説明

廃棄物分別方法及びその装置

【課題】 断裁されたキャリアテープの断裁片を樹脂と紙とに分別し、その分別品質が高い廃棄物分別方法と、その分別装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 電子部品を基板に実装する際に排出されるキャリアテープの断裁片を分別処理する廃棄物分別方法及びその分別装置であって、キャリアテープがプラスチック製又は紙製からなり、プラスチック製のプラスチック小片と大片及び紙製のキャリアテープの紙片が混在する断裁片を、振動ふるいによりプラスチック大片と、プラスチック小片並びに該紙片とに分別する振動分別機22と、振動分別機22により分別されたプラスチック小片と紙片とが混在する断裁片を風力で吹き上げる循環流を利用して、比重の差異により該プラスチック小片と紙片とを分別する風力選別機25とにより、キャリアテープの断裁片をプラスチック小片と大片と紙片にそれぞれ分別して、再利用可能な有価物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を基板に実装する際に廃棄されるキャリアテープの廃棄物分別方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を収納するキャリアテープには、樹脂製と紙製とがあり、近年、製造コスト、テープの重量による取り扱いの容易性、使用後の廃棄処理の容易性、及び帯電性防止性等の観点からプラスチック製よりも紙製の方が優れている面があって、チップ抵抗やコンデンサ等を収納する紙製のキャリアテープ(以下、紙キャリアテープと称する)が利用されている。
【0003】
樹脂製のキャリアテープは、図10(a)に示したように、キャリアテープ1に凹部が配列し、その側縁にスプロケット用穴3が設けられ、凹部に電子部品が収納されて保護テープ2で被覆され、捲き回されて巻取ロールRを形成している。また、紙キャリアテープは、例えば、図10(b)に示したように、紙キャリアテープ4にボトムカバーテープ5が貼着されて凹部4aと、その側縁にスプロケット用穴3とが形成され、この凹部4aに電子部品を収納してトップカバーテープ6で被覆され、同様に巻取ロールを形成している。
【0004】
電子部品を基板に実装する際、これらの巻取ロールが自動機(チップマウンター)に装着され、例えば、20種類位がセットされて電子部品が基板に実装されており、生産ラインからは、これらのキャリアテープがテープ幅に応じて所定寸法で断裁され、プラスチック製及び紙製の断裁片が混在した状態で排出されている。さらに、樹脂製のキャリアテープには、多数ピンのICチップやトリマーコンデンサ等のコンデンサといった比較的大型の電子部品が収納されたものや、チップトランジスタ、少数ピンのICチップ、チップ抵抗、チップコンデンサ等の小型電子部品が収納されたものとがあり、また、チップ抵抗やチップコンデンサ等は、紙キャリアテープが使用されているのもが多く、これらの断裁されたキャリアテープが混在した状態で排出されている。
【0005】
従来、キャリアテープの断裁片は焼却処理されていたが、焼却による焼却灰や排ガスが環境に負荷を与えることから、近年では、焼却による負荷を軽減するために、樹脂と紙の材質に応じて分別し再利用することが望まれている。キャリアテープの分別処理装置は未だ存在しないと思われるが、手作業によらず雑誌、新聞紙を選別回収するための選別回収装置は下記の特許文献1に開示されている。図11を参照して従来の選別回収装置について説明すると、この選別回収装置は、雑誌や新聞紙等の廃棄物がホッパ7を介して回転ふるい体8に送り込まれ、回転ふるい体8により雑誌や新聞以外の小物の廃棄物が分離され、回転ふるい体8の下部のホッパ9で受けてコンベア10に排出されている。回転ふるい体8を通過した雑誌や新聞紙等は、搬送コンベア11に送られ、搬送コンベア11に積み重なった雑誌や新聞紙等を振動により選別し、雑誌を搬送コンベア11の直下のホッパ12で受け、新聞紙等は搬送コンベア11を通過してホッパ13に投入される。ホッパ13に送られた新聞紙等は、送風機14により新聞紙より重い雑誌を回収箱15に送り込み、新聞紙は回収箱16に送り込んで分別している。
【0006】
【特許文献1】特開平9−10693号公報(明細書〔0009〕〜〔0033〕,図1,図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記ごみの選別回収装置では、樹脂と紙が混在する大小のキャリアテープの断裁片を樹脂と紙とに分別することはできないし、この選別回収は概ね平面方向に送り出して選別し、最終段階で新聞紙と新聞紙より重い雑誌とを送風機により水平方向に風を送って選別しており、装置自体が大型化するおそれがあって、この装置を設置するには、ある程度の設置スペースが必要となり、仮に、この選別回収装置がキャリアテープの断裁片の分別に利用可能であったとしても、電子部品を基板に実装する工場内に設置スペースを確保するのは困難な面があり、生産ラインに隣接して設置可能な小型化された分別装置の開発が望まれる。
【0008】
また、ごみの選別回収又は分別回収には、対象物の廃棄物によって、その形状や硬度、材質、比重などの差異があり、これらが混在する廃棄物からこれらの差異を利用して分別し、分別した廃棄物は再生可能な有価物とすることができるし、焼却対象となるごみの減量化を計り、環境への負荷を軽減することが可能であり、電子機器の生産工場においても生産工場から排出されるキャリアテープの断裁片の分別回収方法の確立及び分別効率の良好な分別装置の開発が望まれている。
【0009】
なお、キャリアテープの断裁片には、樹脂製と紙製の大小の断裁片が混在しており、樹脂と紙とに分別することにより、キャリアテープの廃棄物を再生可能な有価物とし、環境への負荷を軽減することができるが、廃棄物を有価物として利用する場合には、分別品質の精度が高いことが望まれる。
【0010】
本発明は、上記のような問題点に鑑みなされたものであって、断裁されたキャリアテープの断裁片を樹脂と紙とに分別し、その分別品質が高い廃棄物分別方法を提供するとともに、その分別装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した課題を解決したものであり、請求項1の発明は、電子部品を基板に実装する際に排出されるキャリアテープの断裁片を分別処理する廃棄物分別方法であって、
前記キャリアテープがプラスチック製又は紙製からなり、該プラスチック製のキャリアテープを断裁したプラスチック小片と大片及び該紙製のキャリアテープを断裁した紙片が混在する断裁片を、振動ふるいにより該プラスチック大片と、該プラスチック小片並びに該紙片とに分別する振動分別工程と、
前記振動分別工程により分別された該プラスチック小片と該紙片とが混在する断裁片を風力で吹き上げる循環流を利用して、比重の差異により該プラスチック小片と該紙片とを分別する風力選別工程とによって、前記キャリアテープの断裁片をプラスチック小片と大片と紙片とにそれぞれ分別することを特徴とする廃棄物分別方法である。
【0012】
また、請求項2の発明は、前記風力選別工程において、プラスチック小片と紙片とが混在する前記断裁片を、横幅が広く、奥行きが横幅より狭い開口断面を流れる前記循環流に投入し、プラスチック小片と紙片とに分別することを特徴とする請求項1に記載の廃棄物分別方法である。
【0013】
また、請求項3の発明は、前記風力選別工程の後、分別した前記プラスチック小片を前記風力選別工程に再び投入し、該プラスチック小片に混在する紙片を分別することを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄物分別方法である。
【0014】
また、請求項4の発明は、電子部品を基板に実装する際に排出されるキャリアテープの断裁片を分別処理する廃棄物分別装置であって、
該廃棄物分別装置が、プラスチック製のキャリアテープのプラスチック小片と大片、及び紙製のキャリアテープの紙片が混在する断裁片を振動ふるいにより分別する振動分別手段と、
前記振動分別手段により分別された前記プラスチック小片と前記紙片とが混在する断裁片を、所定の風力で吹き上げて比重の差異により該プラスチック小片と該紙片とに分別する風力分別手段とを備えることを特徴とする廃棄物分別装置である。なお、振動分別手段としては、選別孔を設けた多孔選別板を、振動モータなどの電動機で振動を与える振動フィーダーが用いられる。また、風力分別手段は送風機によりダクト内に上下方向の循環流を発生させる手段である。
【0015】
また、請求項5の発明は、前記振動分別手段が、前記断裁片を分別する選別多孔板からなり、該選別多孔板に設けられた各選別孔の搬送方向側が傾斜面を有することを特徴とする請求項4に記載の廃棄物分別装置である。
【0016】
また、請求項6の発明は、前記風力選別手段の断裁片が供給される分別ダクトの開口断面が、前記断裁片の投入側を幅広とし奥行きが狭い長四角形状であることを特徴とする請求項4又は5に記載の廃棄物分別装置である。
【0017】
また、請求項7の発明は、前記風力選別手段により、前記紙片と該紙片より比重の軽い前記プラスチック小片とに分別した後、さらに分別した該プラスチック小片を前記風力選別手段に送り込む返送路を備えることを特徴とする請求項4,5又は6に記載の廃棄物分別装置である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明では、電子部品を基板に実装する際に排出されるキャリアテープの断裁片を分別処理する廃棄物分別方法であって、
前記キャリアテープがプラスチック製又は紙製からなり、該プラスチック製のキャリアテープを断裁したプラスチック小片と大片及び該紙製のキャリアテープを断裁した紙片が混在する断裁片を、振動ふるいにより該プラスチック大片と、該プラスチック小片並びに該紙片とに分別する振動分別工程と、
前記振動分別工程により分別された該プラスチック小片と該紙片とが混在する断裁片を風力で吹き上げる循環流を利用して、比重の差異により該プラスチック小片と該紙片とを分別する風力選別工程とによって、前記キャリアテープの断裁片をプラスチック小片と大片及び紙片にそれぞれ分別することを特徴とする廃棄物分別方法であるので、振動分別工程により、風力選別工程で分別可能なものとした後、風力選別工程でプラスチック小片と紙片とを分別しており、人手により分別することなく、プラスチック大片、プラスチック小片、及び紙片を効率良く分別することができ、再生可能な有価物とすることができる。
【0019】
また、請求項2の発明では、前記風力選別工程において、プラスチック小片と紙片とが混在する前記断裁片を、横幅が広く、奥行きが横幅より狭い開口断面を流れる前記循環流に投入し、プラスチック小片と紙片とに分別することを特徴とする請求項1に記載の廃棄物分別方法であるので、プラスチック小片を上方に吹き上げる循環流により、プラスチック小片と紙片とが開口断面に広く分散し、プラスチック小片を上方に吹き上げ、紙片を落下させることにより、良好な分別品質が得られる。
【0020】
また、請求項3の発明では、前記風力選別工程の後、分別した前記プラスチック小片を前記風力選別工程に再び投入し、該プラスチック小片に混在する紙片を分別することを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄物分別方法であるので、そのまま樹脂或いは紙として再生利用が可能な程度までに分別品質を高めることができる。
【0021】
また、請求項4の発明では、電子部品を基板に実装する際に排出されるキャリアテープの断裁片を分別処理する廃棄物分別装置であって、
該廃棄物分別装置が、プラスチック製のキャリアテープのプラスチック小片と大片、及び紙製のキャリアテープの紙片が混在する断裁片を振動ふるいにより分別する振動分別手段と、
前記振動分別手段により分別された前記プラスチック小片と前記紙片とが混在する断裁片を、所定の風力で吹き上げて比重の差異により該プラスチック小片と該紙片とに分別する風力分別手段とを備えることを特徴とする廃棄物分別装置であるので、振動分別手段は風力分別手段により、プラスチック小片と紙片が分別可能ものとし、人手によることなくプラスチック小片、プラスチック大片、及び紙片を分別することができ、再生可能な有価物とすることができる。また、風力分別手段がプラスチック小片と紙片とを吹き上げて分別するものであり、装置を小型化することができる利点がある。
【0022】
また、請求項5の発明では、前記振動分別手段が、前記断裁片を分別する選別多孔板からなり、該選別多孔板に設けられた各選別孔の搬送方向側が傾斜面を有することを特徴とする請求項4に記載の廃棄物分別装置であるので、選別対象外の断裁片が選別孔の傾斜面に当接しても引っ掛かることがなく、選別対象外の断裁片が下流への搬送を妨げることなく、効率良く選別することができる利点がある。例えば、選別孔に傾斜面が形成されていない場合、選別対象外(プラスチック大片)が選別孔の壁面に当接して停滞し、そこに後続の選別対象(プラスチック小片)及び選別対象外の断裁片が当接して堆積し、選別孔を塞ぐ可能性があるが、このようなことを解消することができる。
【0023】
また、請求項6の発明では、前記風力選別手段の断裁片が供給される分別ダクトの開口断面が、前記断裁片の投入側を幅広とし奥行きが狭い長四角形状であることを特徴とする請求項4又は5に記載の廃棄物分別装置であるので、開口断面を流れる循環流の流速に偏りがなく、分別ダクトに投入された断裁片が均等な風圧を受けて循環流で分散し、分別効率が良好となる利点がある。
【0024】
また、請求項7の発明では、前記風力選別手段により、前記紙片と該紙片より比重の軽い前記プラスチック小片とに分別した後、さらに分別した該プラスチック小片を前記風力選別手段に送り込む返送路を備えることを特徴とする請求項4,5又は6に記載の廃棄物分別装置であるので、風力選別手段から排出されるプラスチック小片を返送路で風力選別手段の投入側に送り、分別したプラスチック小片に混じる紙片とプラスチック小片とを分別することによって、分別品質を高めることができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る廃棄物分別方法及びその装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の廃棄物分別装置の一実施形態を示す模式的図である。図1の廃棄物分別装置20は、電子部品を基板に実装する際に排出されるキャリアテープの断裁片を分別処理する装置であり、キャリアテープは先に説明したようにプラスチック製又は紙製からなり、プラスチックの断裁片と紙の断裁片が含まれ、プラスチックの断裁片には、プラスチック小片と大片とがあり、また紙の断裁片(以下、紙片と称する)は小片が主であり、これらの断裁片が混在して含まれており、これらの断裁片を、プラスチック小片、プラスチック大片、及び紙片にそれぞれ分別する装置である。
【0026】
廃棄物分別装置20は、断裁片を投入するホッパ21が設けられた振動分別機22と、振動分別機22によりプラスチック大片と、プラスチック小片及び紙片に選別し、振動分別機22から排出されるプラスチック小片と紙片がホッパ23から送り込まれ、プラスチック小片と紙片とに分別する風力分別機25とを備え、振動分別機22により選別されたプラスチック大片を搬送路24で搬送して収集する回収箱26と、風力分別機25により分別された紙片を収集する回収箱27とプラスチック小片を収集する回収箱28とが備えられている。
【0027】
振動分別機22は、図2に示したように、選別多孔板22が設けられ、選別多孔板22の底部の前後にスプリング22,22がそれぞれ取り付けられて基台22に設けられ、振動発生機22により選別多孔板22に振動が与えられている。選別多孔板22には、所定の選別孔が設けられている。ホッパ21から送り込まれた大小片の断裁片は、断裁片の小片が選別多孔板22で選別されて落下し、受け部23へと排出される。また、断裁片の大片は、搬送方向前方に送られて排出され、搬送路24を通して回収箱26に送り込まれる。断裁片の小片は受け部23に風力選別機25に送られる。小片にはプラスチック片と紙片が混在している。
【0028】
風力選別機25は、図3に示したように、時計回りの循環流Fが発生しており、プラスチック片と紙片の投入口近傍のダクトは、投入側の横幅が広く奥行きが横幅より狭い概ね長四角形状となっており、この長四角形状の開口断面を上方に吹き上げる循環流Fが発生している。断裁片のプラスチック片と紙片は、この投入口のダクト内を通過する循環流Fにより、プラスチック小片と紙片と分別される。プラスチック小片より比重の重い紙片は落下して回収箱27に回収され、プラスチック小片は循環流Fにより吹き上げられて回収箱28に回収される。このようにして、プラスチック小片と大片及び紙片とが混在する断裁片は、人力によることなくそれぞれ分別される。
【0029】
図4は、本発明の他の実施形態を示しており、この実施形態は、プラスチック小片と紙片との分別において、プラスチック小片に、例えば紙片が混在することがあり、これをさらに分別するための返送路29を設けたものである。返送路29は、回収箱28に隣接して設けられ、プラスチック小片がコンベアに落下して回収箱28に送り込まれるが、コンベアの運転を逆転させることによって、分別された紙片は返送路29に送り込まれる。返送路29は、仕切板が設けられたコンベアであり、紙片が仕切板に保持されて上方に搬送され、振動分別機22の別経路を通して、風力選別機25に送り込まれて再度分別処理が行われる。返送路29は、仕切板に代えてバケット状として装置をより小型化することができる。また、返送路29の排出口は、振動分別機22の別経路を介することなく、受け部23の近傍に投入するようにし、風力選別機25に送り込むようにしてもよい。
【0030】
次に、本発明の廃棄物分別方法の一実施形態について上記実施形態を参照して説明する。電子部品はプラスチック製又は紙製からなるキャリアテープに収納され、このキャリアテープを捲き回した巻取ロールが、自動機に20個程度装着され、基板に電子部品を実装して、電子部品実装基板が製造されている。本実施例では、電子部品を基板に実装する生産ラインからプラスチック製のキャリアテープを断裁したプラスチック小片と大片及び紙を断裁した紙片が混在する断裁片が大量に排出されており、この断裁片をプラスチック大片、プラスチック小片、及び紙片に分別する方法である。
【0031】
廃棄物分別方法の各工程は、プラスチック小片と大片、及び紙片が混在する断裁片を振動分別機22による振動ふるいによりプラスチック大片と、プラスチック小片並びに紙片とに分別する振動分別工程と、この振動分別工程により分別されたプラスチック小片と紙片とが混在する断裁片を風力選別機25による風力でこれら断裁片を吹き上げる循環流Fを利用し、比重の差異によりプラスチック小片と紙片とを分別する風力選別工程とからなり、キャリアテープの断裁片をプラスチック小片、プラスチック大片、及び紙片にそれぞれ分別することができる。このように振動分別工程では、風力選別工程でプラスチック小片と紙片とが分別可能な状態に分別する工程である。また、風力選別工程においては、プラスチック小片と紙片とが混在する断裁片を、横幅が広く奥行きが横幅より狭い開口断面を流れる循環流Fに投入し、プラスチック小片と紙片とに均一な風圧を加えて分別する。また、風力選別工程の後、再び回収されたプラスチック小片を返送路29を通して風力選別工程に投入して分別し、プラスチック小片に混在する紙片を分別することによって、分別品質を高めることができ、再生可能な有価物とすることができる。
【実施例】
【0032】
本発明の実施例について、図5〜図9を参照して説明する。図5(a)は本発明の一実施例の正面図であり、同図(b)は側面図を示し、図6は本発明の他の実施例を示す側面図であり、図6〜図9はそれらの実施例の要部を示す概略図である。
【0033】
実施例1の廃棄物分別装置は、図5(a),(b)に示したように、基台22にプラスチック大片と小片、及び紙片とが混在する断裁片を投入するホッパ21を備えた振動分別機22が備えられ、振動分別機22によりプラスチック大片と、プラスチック小片及び紙片とを選別し、振動分別機22に隣接して選別されたプラスチック小片と紙片とを分別する送風機25が設けられた風力選別機25が脚部25に支持されて配置されている。振動分別機22の搬送先端部は搬送路24の上部の開口部24aに位置し、振動分別機22により選別されたプラスチック大片が開口部24aから投入されて下方の開口部25から排出されて回収箱に収集される。振動分別機22により選別されたプラスチック小片と紙片は、振動フィーダー22aにより風力選別機25に供給される。紙片はコンベア32を介して回収箱に収集され、プラスチック小片はコンベア31を介して回収箱に収集される。また、廃棄物分別装置には、制御盤30が設けられ、送風機25による風量制御、或いはコンベア31,32を操作しており、また、各振動フィーダーの運転制御を行っている。
【0034】
実施例2の廃棄物分別装置は、図6に示したように、コンベア31を介して排出されるプラスチック小片をホッパ34に搬送する返送路29が設けられたものであり、他の構造は実施例1と同様である。なお、返送路29はプラスチック小片と紙片を受ける搬送部22bから振動フィーダー22aに供給し、風力選別機25に供給するようにしてもよい。コンベア31は制御盤30からの制御信号に基づいて、正転・逆転操作が可能であり、返送路34を利用して紙片をホッパ34に返送する場合は、コンベア29は逆転操作となり、プラスチック小片はコンベア31から返送路29を通してホッパ34に自動的に送り込まれ、分別が行われ、高品質に分別が可能である。
【0035】
上記実施例の振動分別機22について、図7(a)〜(d)及び図8(a)〜(c)を参照し説明すると、振動分別機22は、図7(b)に示したように、選別多孔板22からなり、選別多孔板22の底部の前後にスプリング22,22がそれぞれ取り付けられて基台22上に設けられ、選別多孔板22はその底部の前後に振動モータによる振動発生機22が設けられ、振動発生機22により振動が与えられている。振動発生機22による振動は、選別対象物が選別多孔板22上で前方へ跳ねて円弧状の軌跡を描くような振動が与えられてプラスチック大片を前方に送り出している。
【0036】
上記実施例における選別多孔板22には、一定の直径の選別孔35が多数設けられ、選別孔35はパンチングにより形成された略円形状開口孔であり、選別孔35の搬送方向側が傾斜面35aが形成され、振動が与えられられた断裁片の小片と紙片は、これらの選別孔35から落下して前方に送られ、受け部23へと搬出される。プラスチック大片は選別多孔板22面上を前方に搬送される。選別孔35に形成された傾斜面35aは、選別孔35の搬送方向側が、図7(c)のように屈曲部、或いは図7(d)のようにテーパー部を形成している。プラスチック大片が選別孔35の屈曲部又はテーパー部の傾斜面35aに接触したとしても、選別孔35の搬送方向側が直角な壁面ではないので、プラスチック大片が直角な壁面に当接して前方への搬送を妨げることなく、プラスチック大片は傾斜面35aを滑り跳ねるように前方へと送り出させる。
【0037】
なお、選別孔35は略円形状開口孔であり、その直径は、断裁片の断裁機の断裁間隔により大小を定まる。断裁機は、キャリアテープを、例えば4mm又は12mmの間隔で断裁するものとすれば、プラスチック小片及び紙片は4mm間隔のものを対象とし、プラスチック大片は12mmの間隔の断裁片を対象とする。概ね、キャリアテープの幅は広いものが12mmの間隔、幅の狭いものが、4mm間隔でそれぞれ断裁される。従って、選別孔35の直径は、プラスチック大片が落下しない直径とすればよく、選別孔35の直径を、例えば8mmに設定すれば断裁片の大小を選別することができる。
【0038】
風力選別機25は、図9に示したように、プラスチック小片と紙片の断裁片が送り込まれる分別ダクト25aが設けられ、分別ダクト25aは上方に立ち上がって、拡幅されたダクト25bに連なり、落下する紙片を回収する漏斗部25cへと連設され、漏斗部25cより上部中央寄りに、分別ダクト25a内の空気を時計回りに循環流Fを発生させる送風機25が設けられている。分別対象により異なるが、分別ダクト25a内における風量は、概ね14.6m/分〜16.1m/分に設定してプラスチック小片と紙片とを分別する。また、仕切壁25dが設けられ、分別された紙片が送風機25に吸い込まれないようにしている。
【0039】
また、分別ダクト25aは、プラスチック小片と紙片の断裁片が投入される開口断面が、断裁片の投入側の横幅を幅広とし奥行きを横幅より狭い長四角形状とし、投入口から上方への分別ダクト25aは概ね長四角形状となり、分別ダクト25aの上部で拡幅されたダクト25bを形成している。プラスチック小片と紙片は、この分別ダクト25a内で比重の重い紙片と、紙片より比重の軽いプラスチック小片とが分別され、紙片は落下し、回収箱27に収集される。また、プラスチック小片は分別ダクト25a内を流れる循環流Fに乗って上昇し、拡幅されたダクト25b内を通過して落下し、回収箱28へと送り込まれる。
【0040】
図6の実施例では、プラスチック大片とプラスチック小片と紙片とが分別された後、プラスチック小片に混在する紙片を除去して分別品質を高めるための分別工程を備えており、コンベア31から排出されるプラスチック小片は、返送路29に送り込み、プラスチック小片を上方に搬送してホッパ34に送り込まれる。ホッパ34に送り込まれたプラスチック小片は振動分別機22とは別経路から風力選別機25に送り込まれてプラスチック小片に混在する紙片を分別する。プラスチック小片にはプラスチック製の端切れ状の断裁片が含まれる。
【0041】
このように、本発明では、プラスチック大片とプラスチック小片と紙片とが混在する断裁片を振動ふるいにより分別する振動分別工程と、振動分別工程により分別されたプラスチック小片と紙片とが混在する断裁片を、所定の風力で吹き上げて比重の差異によりプラスチック小片と紙片とに分別する風力分別工程とにより、プラスチック小片、プラスチック大片、及び紙片を人手によることなく、分別することができ、さらに分別品質を高めるために、再度回収したプラスチック小片を風圧分別工程に送り込んで分別するようにし、プラスチック小片、プラスチック大片、及び紙片を分別する分別方法及びその装置を提供するものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の活用例としては、キャリアテープの断裁片を樹脂と紙との断裁片に分別し、有価物として再生利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の廃棄物分別方法及びその装置の一実施形態を説明するための模式図である。
【図2】本実施形態の振動分別機の模式図である。
【図3】本実施形態の風力分別機の模式図である。
【図4】本発明に係る廃棄物分別方法及びその装置の他の実施形態を説明するための模式図である。
【図5】(a)は本発明に係る廃棄物分別装置の一実施例の正面図、(b)はその側面図である。
【図6】本発明に係る廃棄物分別装置の他の実施例の側面図である。
【図7】(a)は本実施例の振動分別機の側面図、(b)は振動分別機の選別多孔板の上面図、(c),(d)は選別孔の形態を示す図である。
【図8】(a)は振動分別機の側面図、(b)はその振動発生機を示し、(c)は振動分別機の背面図である。
【図9】本実施例の風力分別機の概略側面図である。
【図10】(a)は樹脂製のキャリアテープの斜視図、(b)は紙製のキャリアテープの分解斜視図である。
【図11】従来の選別回収装置の概略図である。
【符号の説明】
【0044】
20 廃棄物分別装置
21 ホッパ
22 振動分別機
22 選別多孔板
22,22 スプリング
22 基台
22 振動発生機
23 受け部
24 搬送路
25 風力分別機
25 送風機
25 脚部
25 開口部
25a 分別ダクト
25b 分別ダクト
26〜28 回収箱
29 返送路
30 制御盤
31,32 コンベア
34 ホッパ
35 選別孔
35a 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に実装する際に排出されるキャリアテープの断裁片を分別処理する廃棄物分別方法であって、
前記キャリアテープがプラスチック製又は紙製からなり、該プラスチック製のキャリアテープを断裁したプラスチック小片と大片及び該紙製のキャリアテープを断裁した紙片が混在する断裁片を、振動ふるいにより該プラスチック大片と、該プラスチック小片並びに該紙片とに分別する振動分別工程と、
前記振動分別工程により分別された該プラスチック小片と該紙片とが混在する断裁片を風力で吹き上げる循環流を利用して、比重の差異により該プラスチック小片と該紙片とを分別する風力選別工程とによって、前記キャリアテープの断裁片をプラスチック小片と大片及び紙片にそれぞれ分別することを特徴とする廃棄物分別方法。
【請求項2】
前記風力選別工程において、プラスチック小片と紙片とが混在する前記断裁片を、横幅が広く、奥行きが横幅より狭い開口断面を流れる前記循環流に投入し、プラスチック小片と紙片とに分別することを特徴とする請求項1に記載の廃棄物分別方法。
【請求項3】
前記風力選別工程の後、分別した前記プラスチック小片を前記風力選別工程に再び投入し、該プラスチック小片に混在する紙片を分別することを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄物分別方法。
【請求項4】
電子部品を基板に実装する際に排出されるキャリアテープの断裁片を分別処理する廃棄物分別装置であって、
該廃棄物分別装置が、プラスチック製のキャリアテープのプラスチック小片と大片、及び紙製のキャリアテープの紙片が混在する断裁片を振動ふるいにより分別する振動分別手段と、
前記振動分別手段により分別された前記プラスチック小片と前記紙片とが混在する断裁片を、所定の風力で吹き上げて比重の差異により該プラスチック小片と該紙片とに分別する風力分別手段とを備えることを特徴とする廃棄物分別装置。
【請求項5】
前記振動分別手段が、前記断裁片を分別する選別多孔板からなり、該選別多孔板に設けられた各選別孔の搬送方向側が傾斜面を有することを特徴とする請求項4に記載の廃棄物分別装置。
【請求項6】
前記風力選別手段の断裁片が供給される分別ダクトの開口断面が、前記断裁片の投入側を幅広とし奥行きが狭い長四角形状であることを特徴とする請求項4又は5に記載の廃棄物分別装置。
【請求項7】
前記風力選別手段により、前記紙片と該紙片より比重の軽い前記プラスチック小片とに分別した後、さらに分別した該プラスチック小片を前記風力選別手段に送り込む返送路を備えることを特徴とする請求項4,5又は6に記載の廃棄物分別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−314912(P2006−314912A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−139529(P2005−139529)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(000209751)池上通信機株式会社 (123)
【Fターム(参考)】