説明

廃棄物熱分解処理装置

【課題】 廃棄物の処理において現状では、焼却か、埋立かのどちらかに分類される。リサイクルも奨励されて要るがコストの面や廃棄物の種類が限定され満足行くようなリサイクルが出来ていない。又感染性廃棄物等の医療系廃棄物については、主に焼却処分が一般的である。焼却炉での処分はダイオキシン等の環境破壊が危惧されている。埋立処分においても処分場の減少、環境アセス等の問題が有り大幅な改善は望めない。
【解決手段】 廃棄物の種類に係らず高周波滅菌室や破砕室、乾燥室、脱塩素室、熱分解炭化室、冷却室等、を設け廃棄物の加熱蒸気による熱分解処理を自動化し、熱分解で発生する炭化水素油等は加熱蒸気発生バーナーへの補助燃料としての再利用、塩素ガスの加熱蒸気処理の無害化、並びに凝縮塔でのクリーンガス化等、廃棄物処理工程において外部環境汚染が無く残渣が出ないなど、環境に貢献できる装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃棄物処理における、環境の汚染、残渣の減少、又廃棄物のリサイクル率の向上等、廃棄物処理に関する装置である。
【背景技術】
【0002】
従来廃棄物処理において数多くの処理が為されているが、環境汚染、残渣の処理、埋め立て処分場の減少等、地球環境に著しい影響を与えている。自然環境で消滅しないプラスチック等の科学物質は多くなる一方である。しかし科学物質等の処理は埋め立てか焼却処理が一般的で在るが、土壌汚染やダイオキシン等の環境汚染を引き起こし、付近住民の生活及び動植物の生態系に及ぼす重大な影響が危惧されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明が解決しようとする課題は、廃棄物を熱分解処理する工程で排出される、排ガスを外部に排出する事無く、排ガスを再還流させ熱分解処理用の熱源等に使用、その他のガスは分別、分留し科学原材料として再利用する。並びに熱分解処理後の炭化物は土壌の浄化及び水、空気等の浄化等に使用する。
【0004】
そこで本発明の目的は廃棄物熱分解処理装置を金属又はコンクリート並びに硬質樹脂によって形成したユニットに、廃棄物が移動し各ボックスの密閉空間の中で高周波殺菌処理、破砕、乾燥、脱塩素、ガス化、炭化、冷却等の各処理がなされる。又熱分解処理工程で排出される炭化水素油等の排出ガスは還流機構により再使用し外部環境に排気される事は無い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成して課題を達成するため本発明に係る廃棄物熱分解処理装置は廃棄物の種類にかかわらず処理できる。高周波放射装置によって、滅菌及び殺菌工程を設け、医療系廃棄物を処理出来る。食物残渣及プラスチック類又液体等も熱分解する事により処理出来る。熱分解処理工程で発生する排ガスは分留装置で分留後再利用が可能である。熱分解後の炭化廃棄物は利用用途が多く環境の改善等に幅広く利用できる。
【発明の効果】
【0006】
廃棄物の処理において数多くの処理方法が存在するが、大きく分類すると埋め立てか焼却が処理の80パーセント以上を締め大きな改善は無い、本発明は熱分解処理によって油化及び炭化する。熱分解処理後の廃棄物を再利用する。炭化廃棄物は多孔質性の特色を生かし、水の浄化作用等の環境改善、熱分解工程で排出される炭化水素油の再利用と、一連の処理工程で外気に放出する排ガスは無い。従って埋め立て処分場の延命と焼却炉での焼却が無く、外気排出ガスの環境汚染が無い環境にやさしい廃棄物熱分解装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明に係る廃棄物炭化処理装置の一例を示す物である。この処理装置はコンクリート又は金属又は樹脂で形成し、5の投入口から入った廃棄物は10の搬送傾斜ベルトにて搬送される。10の搬送途中に11の高周波発生器で発生した高周波が廃棄物に照射し滅菌処理をする。滅菌処理後の廃棄物は15の破砕装置で破砕され20のフレーク充填室に搬入される。
【0008】
20の充填室にセットされているフレーク搬送用コンテナ40にフレークが投入される。21の乾燥室前面ゲート29が上部に上がり搬送コンテナ40が21の乾燥室に移動する。40が21の定位置に移動後21の前面ゲートが下がり21の乾燥室が完全密封する。密封後乾燥室21の床面に設置されて入る30の電気ヒーターが加熱する。又乾燥を促進するため90の加熱蒸気発生装置で作られた加熱蒸気が31の加熱蒸気ヒーターに流入し40内部のフレークが乾燥処理される。
【0009】
21の乾燥処理後搬送用コンテナ40が22の脱塩素室に送られる。この移動時21の背面ゲートが開き22の定位置に移動後閉まる。22が密閉後60の窒素ガス発生装置で作られた窒素ガスが62、63、65を通り22の脱塩素室に充満し22の室内の空気を50の塩素ガス回収回路に押し込む窒素ガスとの置き換えは21から22、23、24、25の各室もその作業工程ごとに行われる。この一連の流れで22の室内は窒素ガスで充たされ発火燃焼しない空間となる。22の室内にセットされている30の電気ヒーターと31の加熱蒸気ヒーターが加熱され40の中のフレークが熱分解する、この時点で塩素ガスが発生し、この塩素ガスを53で回収50のスクラバーで水に接触させ回収する。
【0010】
炭化室23、24、25に搬入されたフレークは30の電気ヒーターと31の加熱蒸気ヒーターによって過熱されフレークを熱分解炭化させる。炭化工程で発生する炭化水素油は70の炭化水冷却器に入り73炭化水素油回収回路を通り75炭化水素分留装置で分留され77を通り80に貯蔵される。
【0011】
80に貯蔵された各炭化水素油は85、86、87の回路を通り90の熱風発生器の補助バーナー91で90の加熱蒸気発生熱源の補助燃料としてリサイクルする。
【0012】
又フレーク搬送コンテナは35のコンテナリターンコンベアで移動し、コンテナ90度旋回装置38によって旋回20に戻る。又35を移動途中で39のコンテナは90度反転装置によりコンテナ内部のフレークを受け入れコンテナに空ける。
【0013】
冷却室26、27、28の各室は45の熱交換器によって冷却される、この冷却室も他の21、22、23、24、25の室同様ゲートの開閉が前後別々に開閉し各室は完全密閉の空間となる。
【実施例】
【0014】
図2は本発明に使用する炭化室の一例である。
各室のゲート29はくさび形形状をしており40の移動に合せて前面ゲートが開いた時背面ゲートは閉じる、これの繰り返しによって各室21、22、23、24、25、26、27は密閉される。又40のコンテナが移動する時21、22、23、24、25の各室に窒素ガスの補充が自動供給される。
【0015】
冷却室26、27、28、は水を循環させ冷却する。各室の床面及び壁面に水の循環装置を設け熱を吸収する。熱交換する冷水は49の冷却水デリバリー管を通り各室の熱交換器に入り熱交換する。熱交換後の温水は冷却水リターン回路48を通り45の熱交換器に入り冷却される。
【0016】
図3は本発明に使用する加熱蒸気及び冷却水回路の一例である。
加熱蒸気は各室の加熱蒸気ヒーターを通過後96の加熱蒸気排出回路を通り97の凝縮塔において凝縮水とクリーンガスに分離排出する。又冷却水リターンで熱交換器45に流入する冷却水は、凝縮水と混合され循環する。
【産業上の利用可能性】
【0017】
以上説明したように本発明に係る廃棄物熱分解処理装置は、廃棄物の種類を問わず処理でき、ダイオキシン等の排出ガスや埋立残渣の減少など地球環境に配慮し、並びに廃棄物の再利用、環境汚染の防止又廃棄物の炭化による水及び空気の浄化など環境に貢献する装置である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る廃棄物熱分解処理装置の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る廃棄物熱分解処理装置の一例を示す断面図である。
【図3】本発明に係る廃棄物熱分解処理装置の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
5 廃棄物投入口
10 搬送傾斜コンベア
11 高周波発生器
15 破砕装置
20 フレーク充填室
21 乾燥室
22 脱塩素室
23 炭化室1
24 炭化室2
25 炭化室3
26 冷却室1
27 冷却室2
28 冷却室3
29 開閉ゲート
30 電機ヒーター
31 加熱蒸気ヒーター
35 コンテナリターンコンベア
36 コンテナ搬送チェーンコンベア
38 コンテナ90°旋回装置
39 コンテナ90°反転装置
40 フレーク搬送用コンテナ
45 熱交換器
47 無害温水取り出し口
48 冷却水リターン回路
49 冷却水デリバリー回路
50 スクラバー
53 塩素ガス回収回路
60 窒素ガス発生装置
62 窒素ガス供給回路1
63 窒素ガス貯蔵タンク
65 窒素ガス供給回路2
70 炭化水素冷却塔
73 炭化水素油回路1
75 炭化水素分留装置
77 分離後炭化水素油回路
80 炭化水素油貯蔵タンク
85 重質油供給回路
86 中質油供給回路
87 軽質油供給回路
90 加熱蒸気発生装置
91 補助バーナー
95 加熱蒸気供給回路
96 加熱蒸気排出回路
97 凝縮塔
98 凝縮水
99 クリーンガス廃棄塔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物の種類にかかわらず殺菌、分別を自動処理し低温度で全ての原材料を炭化できる炭化装置。
【請求項2】
廃棄物の投入時投入ゲートが開口し、投入後ゲートを閉鎖、ゲート封鎖後、高周波発生装置で廃棄物を滅菌、滅菌室から破砕室への移動後、回転破砕刃にて破砕、破砕完了後下部のゲートが開口し原材料を下部移動装置に落下移動させる一連の装置。
【請求項3】
水分量の多い廃棄物を乾燥、滅菌する加熱蒸気発生供給装置。
【請求項4】
廃棄物が炭化する工程で排出する高温ガスを外部環境に排気しない、ガス循環とガスの再利用をするガス分留、分別循環させる一連の装置。
【請求項5】
再利用するガスの供給を受け稼動する燃焼バーナーと分別ガス供給装置。
【請求項6】
ゲートの開閉によって個室を形成し、その各個室が移動されてくる原材料を滅菌、破砕、乾燥、炭化、冷却、と一連の処理工程を継続的に処理できる移動自動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−216204(P2007−216204A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73495(P2006−73495)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(505287830)
【Fターム(参考)】