説明

廃油処理方法

本発明は、廃油処理方法に係り、さらに詳細には、各種の廃油(特に、放射性廃油はもとより、一般的な機械で使用する潤滑油、冷凍油及び絶縁油など)を環境にやさしい固形物として処理することによって、浸出油を発生させない廃油処理方法を提供する。
すなわち、本発明は、各種の廃油85ないし90重量%と1:2の割合で混合した高濃度の硫酸と高濃度の硝酸混合液10ないし15重量%を混合する工程と、前記混合工程によって生成された変性廃油、沈殿物及び濾液(3H+3及びSO2、NO)を生成する工程と、前記沈殿物と濾液を均一に混合した混合液85ないし90重量%に10ないし15重量%の飽和水酸化ナトリウム水溶液(NaOH+H−2)を添加して2次重合反応を行って固形粒子を生成する工程と、前記固形粒子を均一に撹拌した撹拌物をコロイド化させる工程と、反応炉の冷却前に前記コロイド化した撹拌物85ないし90重量%に10ないし15重量%のジイソシアネート化合物を添加すれば、連鎖的な3次重合反応を行って気体と共に粉末状の化合物と得る工程と、前記3次重合反応で発生した気体を錯塩反応によって浄化させて大気中に放出させる工程と、前記化合物を樹脂に充填材料として添加して圧縮成形し、埋め立てることを特徴とする。
このような本発明の廃油処理方法は、各種の廃油はもとより、原子力発電所で使用された放射性廃油などの処理時に、1次的に高濃度の硫酸と硝酸を混合した後、水酸化ナトリウムを添加して2次重合反応を行ってコロイド化した撹拌物を、反応炉でジイソシアネートを添加して連鎖的な重合反応によって粉末状の新しい化合物を得て、発生した気体は浄化処理して大気に放出させることによって環境にやさしい廃油処理が可能であり、粉末状の新しい化合物を得ることにより、廃油を物理的・化学的に最も安定化ことができる。
また、本発明の廃油処理方法によって得られた粉末状の化合物は、各種の樹脂と共にブロックとして圧縮成形することにより、埋め立てが容易であり、浸出油が発生しないため、2次的な公害を誘発しないなど、廃油による産業公害を予防し、特に、原子力発電所から放出される廃油を環境にやさしい固形物として安全に処理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃油処理方法に係り、さらに詳細には、各種の廃油(特に、放射性廃油はもとより、一般的なの機械で使用する潤滑油、冷凍油及び絶縁油など)を環境にやさしい固形物として処理することによって、浸出油を発生させない廃油処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の各種の廃油は、廃棄物管理法上、指定廃棄物として分類されて、廃油再生会社などが収去して焼却ないし精製して再生油として再生させている。
【0003】
一方、原子力発電所などで使用された廃油は、放射能の流出を遮断するために放廃場で別に処理しているが、放射性廃棄物処理場(放廃場)に置く放射能廃油の浸出油のない永久固形化のための研究実験が持続的に行われてきており、研究実験の結果、廃油とセメントとを1:99の割合で充填固定させて固形化する方法が代替案として考えられているが、これは、数時間が経て流出される油脂の浸出現象を阻むことができず、処理方法が環境にやさしくないため、放廃場の設置などにも多くの問題が持続する実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、前記のような各種の廃油の処理時に発生する既存の諸般の問題点を解決することができる廃油処理方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記技術的課題を達成するために、本発明では、以下のような工程からなる廃油処理方法を提供する。
【0006】
すなわち、本発明は、廃油85ないし90重量%と1:2の割合で混合した高濃度の硫酸と高濃度の硝酸混合液10ないし15重量%を混合する工程と、
【0007】
前記混合工程によって生成された変性廃油、沈殿物及び濾液(3H+3及びSO−2、NO)を生成する工程と、
【0008】
前記沈殿物と濾液を均一に混合した混合液85ないし90重量%に10ないし15重量%の飽和水酸化ナトリウム水溶液(NaOH+H−2)を添加して2次重合反応を行って固形粒子を生成する工程と、
【0009】
前記固形粒子を均一に撹拌した撹拌物をコロイド化させる工程と、
【0010】
反応炉の冷却前に前記コロイド化した撹拌物85ないし90重量%に10ないし15重量%のジイソシアネート化合物を添加すれば、連鎖的な3次重合反応を行って気体と共に粉末状の化合物と得る工程と、
【0011】
前記3次重合反応で発生した気体を錯塩反応によって浄化させて大気中に放出させる工程と、
【0012】
前記化合物を樹脂に充填材料として添加して圧縮成形し、埋め立てることを特徴とする廃油処理方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、前記技術的課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、各種の廃油を1次的に高濃度の硫酸と硝酸を混合した後、水酸化ナトリウムを添加して2次重合反応を行ってコロイド化させ、反応炉でジイソシアネートを添加して連鎖的な3次重合反応によって粉末状の新しい化合物を得て、発生した気体は浄化処理して大気に放出させることによって環境にやさしい廃油処理が可能であり、粉末状の新しい化合物はブロック化成型することにより、埋め立てが容易であり、浸出油を発生させないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の廃油処理方法を示す化学反応式及び構造式である。
【図2】本発明で使用される多様な種類のジイソシアネート及びトリイソシアネートの化学式である。
【図3】本発明で使用される多様な種類のジイソシアネート及びトリイソシアネートの化学式である。
【図4】本発明で使用される多様な種類のジイソシアネート及びトリイソシアネートの化学式である。
【図5】本発明の廃油処理方法を示す概略的な工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
前記技術的課題を達成するための本発明の廃油処理方法は、以下のような順次的な工程によって、廃油を環境にやさしい固形物として処理する。
【0016】
すなわち、本発明の発明者は、混合放射能廃油の性質を多様な面から観察及び分析し、ポリマー重合工程を誘導する研究に取り掛かって合成高分子学的に接近した。以下、本発明を詳細に説明すれば次の通りであり、本発明の実施例では放射能廃油を試料として使用した。
【実施例】
【0017】
原子力発電所で使用された放射能廃油(R)85ないし90重量%に、高濃度の硫酸(HSO)と高濃度の硝酸(HNO)を1:2の割合で混合して10ないし15重量%の割合で相互に混合する。
【0018】
前記混合工程によって変性廃油(R’)、沈殿物(R”)、そして濾液(3H+3及びSO−2、NO)が発生して発熱反応が起こる。
【0019】
前記沈殿物(R”)と濾液を均一に混合した後、その総量85ないし90重量%に10ないし15重量%の飽和水酸化ナトリウム水溶液(NaOH+H−2)を添加して2次重合反応を起こせば、小さな固形粒子が生成され、これを均一に撹拌すれば、撹拌物がおかゆのようにコロイド化する。
【0020】
反応炉が冷却される前、すなわち発熱反応が連続している状態で、前記コロイド化した撹拌物を85ないし90重量%にジイソシアネート化合物10ないし15重量%を添加すれば連鎖的な重合反応が起こり、3次重合反応の結果として粉末状の新しい化合物が生成され、茶色の気体が発生する。(図1を参照)
【0021】
前記ジイソシアネートは、図2ないし図3に示すように、多様な種類の化学式を有するジイソシアネートを選択的に使用することができ、場合によっては図4に示すようなトリイソシアネートを使用することも可能である。
【0022】
また、前記重合反応によって生成された茶色の気体は、3回の錯塩反応を経て無臭の空気に浄化して大気中に放出させる。
【0023】
一方、反応炉の下部に沈殿物として生成された化合物は、無臭、耐燃性、耐水性、耐酸性及び耐塩基性の非常に安定性の高い茶色の粉末状の組成物である。
【0024】
また、土のような微細粉末であり、比重が水より重いため、エポキシ樹脂や尿素樹脂、またはメラミンなどの熱硬化性樹脂に充填材料として添加して特定の形状に圧縮成形化(すなわち、固体化、ブロック化)することができるため、永久埋立時に容易に成形することが可能であり、さらに、これを利用した建築用基礎資材、アスファルト用充填材などのリサイクル資源として活用することができる。
【0025】
前記工程で廃油と反応させる高濃度の硫酸は、必要によって硫化水素(HS)に代替しても同一の反応を得ることができる。
【0026】
前記廃油を処理することによって発生した新しい化合物は耐酸性であり、塩酸、硝酸などの強酸においてイオン反応が全く起こらず、さらに、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの強塩基においても反応せず、加熱時に不燃特性を発揮して2次的な環境公害を発生させなかった。
【0027】
本願発明はその精神又は中心的な特徴から離れることなく、その他の特定の形式に具現化されると考えられる。本願実施例と実施形態は、それ故、実例となりうる全ての物と見なすことができ、また、限定されるものではない。そして、本発明はここで挙げられた詳細に限定されるものではない。特定の実施形態が図示、説明される一方で、様々な修正が本発明の精神から顕著に離れることなく思い浮かぶであろうし、保護の範囲は請求項に沿った範囲に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
前述のように、本発明の廃油処理方法は、各種の廃油はもとより、原子力発電所で使用された放射性廃油などの処理時に、1次的に高濃度の硫酸と硝酸を混合した後、水酸化ナトリウムを添加して2次重合反応を行ってコロイド化した撹拌物を、反応炉でジイソシアネートを添加して連鎖的な重合反応によって粉末状の新しい化合物を得て、発生した気体は浄化処理して大気に放出させることによって環境にやさしい廃油処理が可能であり、粉末状の新しい化合物を得ることにより、廃油を物理的・化学的に最も安定化させることができる。
【0029】
また、本発明の廃油処理方法によって得られた粉末状の化合物は、各種の樹脂と共にブロックとして圧縮成形することにより、埋め立てが容易であり、浸出油が発生しない。
【0030】
そのため、2次的な公害を誘発しないなど、廃油による産業公害を予防し、特に、原子力発電所から放出される廃油を環境にやさしい固形物として安全に処理することができるなど、その期待される効果が多大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃油85ないし90重量%と1:2の割合で混合した高濃度の硫酸と高濃度の硝酸混合液10ないし15重量%を混合する工程と、
前記混合工程によって生成された変性廃油、沈殿物及び濾液(3H+3及びSO−2、NO)を生成する工程と、
前記沈殿物と濾液を均一に混合した混合液85ないし90重量%に10ないし15重量%の飽和水酸化ナトリウム水溶液(NaOH+H−2)を添加して2次重合反応を行って固形粒子を生成する工程と、
前記固形粒子を均一に撹拌した撹拌物をコロイド化させる工程と、
反応炉の冷却前に前記コロイド化した撹拌物85ないし90重量%に10ないし15重量%のジイソシアネート化合物を添加すれば、連鎖的な3次重合反応を行って気体と共に粉末状の化合物と得る工程と、
前記3次重合反応で発生した気体を錯塩反応によって浄化させて大気中に放出させる工程と、
前記化合物を樹脂に充填材料として添加して圧縮成形し、埋め立てることを特徴とする廃油処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−523325(P2010−523325A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502923(P2010−502923)
【出願日】平成19年12月24日(2007.12.24)
【国際出願番号】PCT/KR2007/006800
【国際公開番号】WO2008/126977
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(509268886)
【氏名又は名称原語表記】CHOI,Hong Yoon
【住所又は居所原語表記】563−106,Guseo 1−Dong,Geumjeong−Gu,Busan 609−806 Republic of Korea
【Fターム(参考)】