説明

廃熱利用装置

【課題】ランキンサイクルの起動時における-出力上昇を簡易にして迅速化するとともに、被動力伝達装置をエンジンとしたときにランキンサイクルを適切に制御することができる廃熱利用装置を提供する。
【解決手段】ランキンサイクル(4)は、蒸発器(6)の出口と膨張機(8)の入口との間の循環路(5a)に介挿される膨張機入口弁(20)と、ポンプ(12)の出口と蒸発器(6)の入口との間の循環路(5b)に介挿されて蒸発器(6)からポンプ(12)への作動流体の逆流を禁止する逆止弁(22)とを有し、膨張機(8)の停止時に膨張機入口弁(20)を閉弁し、膨張機(8)の起動時に膨張機入口弁(20)を開弁する制御手段(18)を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃熱利用装置に係り、詳しくは、車両のエンジンの廃熱を回収して利用するのに好適な廃熱利用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の廃熱利用装置は、作動流体としての冷媒の循環路に、熱源の廃熱により作動流体を加熱して蒸発させる蒸発器、該蒸発器を経由した作動流体を膨張させて回転駆動力を発生する膨張機、該膨張機にて発生した回転駆動力が伝達される被動力伝達装置、該膨張機を経由した作動流体を凝縮させる凝縮器、該凝縮器を経由した作動流体を前記蒸発器に送出するポンプが順次介挿されたランキンサイクルを備えている。
【0003】
そして、特許文献1には、ポンプと膨張機と被動力伝達装置としてのモータジェネレータとを同軸上に配し、ランキンサイクルの起動時にはモータジェネレータをモータとして機能させてポンプを回転させる一方、冷媒の循環によって膨張機が自発回転し始めたらモータジェネレータを発電機として機能させる流体機械が開示されている。
また、特許文献2には、膨張機の入口に電磁弁と圧力計とを設けた始動制御機構を有するランキンサイクル回路が開示されている。
【0004】
更に、特許文献3には、ポンプ及び膨張機をバイパスさせて作動流体の流通を促す冷凍装置が開示されている。
更にまた、特許文献4には、凝縮器とポンプとの位置関係によらないでランキンサイクルを起動するランキンサイクル装置が開示されている。
【特許文献1】特開2005−30386号公報
【特許文献2】実公昭61−37771号公報
【特許文献3】特開2007−205699号公報
【特許文献4】特開2005−337063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、モータジェネレータをモータまたは発電機として機能させるため、ランキンサイクルの回路が複雑になるとの問題がある。
また、熱源を車両等のエンジンとし、車両のアイドリングストップなどでエンジンが停止した場合、エンジンからランキンサイクル側への入熱量が少なくなるため、ランキンサイクルにおける蒸発器側(高圧側)と凝縮器側(低圧側)との圧力差が徐々に小さくなり、ひいては膨張機の駆動が停止し、更には上記圧力差がバランスする。その後にエンジンが再起動されると、エンジンからランキンサイクル側への入熱量が増えるため、高圧側の圧力が徐々に上昇するのに伴いランキンサイクルも起動されるが、蒸発器において冷媒蒸気が発生するまで時間を要するため、ランキンサイクルの起動時における出力上昇に時間が掛かるとの問題がある。
【0006】
更に、上記各従来技術では、被動力伝達装置を車両等のエンジンとしたときのエンジンの制動、即ちエンジンブレーキを行う場合については格別な配慮がなされておらず、この場合のランキンサイクルの適切な制御については依然として課題が残されている。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、ランキンサイクルの起動時における出力上昇を簡易にして迅速化するとともに、被動力伝達装置をエンジンとしたときにランキンサイクルを適切に制御することができる廃熱利用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するべく、請求項1記載の廃熱利用装置は、作動流体の循環路に、熱源の廃熱により作動流体を加熱して蒸発させる蒸発器、該蒸発器を経由した作動流体を膨張させて回転駆動力を発生する膨張機、該膨張機にて発生した回転駆動力が伝達される被動力伝達装置、該膨張機を経由した作動流体を凝縮させる凝縮器、該凝縮器を経由した作動流体を蒸発器に送出するポンプが順次介挿されたランキンサイクルを備え、ランキンサイクルは、蒸発器の出口と膨張機の入口との間の循環路に介挿される膨張機入口弁と、ポンプの出口と蒸発器の入口との間の循環路に介挿されて蒸発器からポンプへの作動流体の逆流を禁止する逆止弁とを有し、膨張機の停止時に膨張機入口弁を閉弁し、膨張機の起動時に膨張機入口弁を開弁する制御手段を具備することを特徴としている。
【0008】
また、請求項2記載の発明では、請求項1において、ランキンサイクルは、蒸発器の出口と膨張機入口弁の入口との間の循環路における作動流体の圧力を検出する圧力検出手段を有し、制御手段は、膨張機の起動時に、圧力検出手段にて検出された圧力が所定の設定圧力以上になるとき膨張機入口弁を開弁することを特徴としている。
更に、請求項3記載の発明では、請求項1または2において、膨張機の負荷を変更する負荷変更手段を備え、制御手段は、膨張機の起動時に、負荷変更手段にて膨張機の負荷を所定の最小値に変更することを特徴としている。
【0009】
更にまた、請求項4記載の発明では、請求項3において、制御手段は、膨張機の起動後に、負荷変更手段にて膨張機の負荷を段階的に大きくすることを特徴としている。
また、請求項5記載の発明では、請求項1乃至4の何れかにおいて、制御手段は、膨張機の起動時に、膨張機入口弁を段階的に開弁することを特徴としている。
更に、請求項6記載の発明では、請求項1乃至5の何れかにおいて、制御手段は、膨張機の停止時に、膨張機入口弁を閉弁してから所定の設定時間の経過後にポンプの駆動を停止することを特徴としている。
【0010】
更にまた、請求項7記載の発明では、請求項6において、ランキンサイクルは、蒸発器の出口と膨張機入口弁の入口との間の循環路における作動流体の圧力を検出する圧力検出手段を有し、制御手段は、膨張機の停止時に、膨張機入口弁を閉弁してから圧力検出手段にて検出された圧力が所定の設定圧力以上になった後にポンプの駆動を停止することを特徴としている。
【0011】
また、請求項8記載の発明では、請求項1乃至5の何れかにおいて、膨張機と被動力伝達装置とポンプとは同一の回転軸を介して連結されて一体に回転可能に構成されることを特徴としている。
更に、請求項9記載の発明では、請求項8において、被動力伝達装置はモータ機能を有しない発電機であることを特徴としている。
【0012】
更にまた、請求項10記載の発明では、請求項9において、ランキンサイクルは、凝縮器を経由した作動流体を気液分離してポンプに液状の作動流体を送出する気液分離器を有し、気液分離器を蒸発器よりも上方に設けることを特徴としている。
また、請求項11記載の発明では、請求項10において、ランキンサイクルは、蒸発器の出口と膨張機入口弁の入口との間の循環路における作動流体の圧力を検出する圧力検出手段と、ポンプをバイパスするポンプバイパス路と、ポンプバイパス路に介挿されたポンプバイパス弁と、膨張機をバイパスする膨張機バイパス路と、膨張機バイパス路に介挿された膨張機バイパス弁と、膨張機の起動時に膨張機が正常に起動したか否かを判定する起動判定手段とを備え、制御手段は、起動判定手段にて膨張機が正常に起動していないと判定されたとき、ポンプバイパス弁及び膨張機バイパス弁を開弁することによりポンプバイパス路を介して蒸発器に作動流体を流入させ、その後にポンプバイパス弁及び膨張機バイパス弁と膨張機入口弁とを閉弁し、その後に圧力検出手段にて検出された圧力が所定圧力以上になるとき膨張機入口弁を開弁することを特徴としている。
【0013】
更に、請求項12記載の発明では、請求項1乃至7の何れかにおいて、被動力伝達装置はクラッチを介して膨張機の回転駆動力が伝達されるエンジンであって、制御手段は、エンジンの制動時に膨張機入口弁を閉弁し、エンジンの駆動時に膨張機入口弁を開弁することを特徴としている。
更にまた、請求項13記載の発明では、請求項12において、制御手段は、エンジンの制動時に膨張機入口弁を閉弁した後にクラッチを切って膨張機からエンジンへの動力伝達を遮断することを特徴としている。
【0014】
また、請求項14記載の発明では、請求項12において、クラッチは、膨張機の回転数がエンジンの回転数以上のときにのみ膨張機の動力をエンジンに伝達するワンウェイクラッチであることを特徴としている。
更に、請求項15記載の発明では、請求項13または14において、制御手段は、エンジンの制動後の駆動時には膨張機入口弁を段階的に開弁することを特徴としている。
【0015】
更にまた、請求項16記載の発明では、請求項15において、ランキンサイクルは、蒸発器の出口と膨張機入口弁の入口との間の循環路における作動流体の圧力を検出する圧力検出手段を有し、制御手段は、圧力検出手段にて検出された圧力に基づいて、膨張機入口弁の開弁に伴い膨張機からクラッチを介してエンジンに伝達される動力伝達量を推定し、エンジンの駆動時に該推定された動力伝達量に相当するエンジンの駆動力を予め低減することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
従って、請求項1記載の本発明の廃熱利用装置によれば、膨張機の停止時に蒸発器を経由した作動流体の高圧を保持することができるため、その後の膨張機の起動時には、膨張機入口弁を開弁することで保持された高圧が開放され、膨張機を即座に駆動させ、ひいては被動力伝達装置に回転駆動力を即座に伝達することができる。従って、膨張機の起動時における出力上昇を迅速に行うことができ、廃熱利用装置の廃熱回収効率を向上することができる。
【0017】
また、請求項2記載の発明によれば、特に膨張機を長時間停止した後の膨張機の起動時に作動流体の高圧を確実に開放することができるため、膨張機の起動を確実に行うことができる。
更に、請求項3記載の発明によれば、膨張機の起動時に低負荷で膨張機を円滑に回転させることができるため、膨張機の起動を更に確実に行うことができる。
【0018】
更にまた、請求項4記載の発明によれば、ランキンサイクルの出力を段階的に上昇させることができるため、ランキンサイクルの出力上昇を効率的に迅速化することができる。
また、請求項5記載の発明によれば、膨張機の起動時に高圧の作動流体によって膨張機が高速回転することを防止することができるため、ランキンサイクルの出力上昇を安全に迅速化することができる。
【0019】
更に、請求項6記載の発明によれば、凝縮器を経由したより多くの作動流体を蒸発器側に送出することができ、蒸発器における余熱によってより多くの作動流体を蒸発させて蒸発器を経由した作動流体を更に高圧することができるため、ランキンサイクルの出力上昇を更に迅速化することができる。
更にまた、請求項7記載の発明によれば、膨張機の停止時に蒸発器を経由した作動流体の高圧を確実に保持することができるため、ランキンサイクルの出力上昇を更に確実に迅速化することができる。
【0020】
また、請求項8記載の発明によれば、ポンプ駆動源や被動力伝達装置への動力伝達装置を設ける必要がないため、装置をコンパクト化することができる。
更に、請求項9記載の発明によれば、被動力伝達装置をモータ機能を有する、いわゆるモータジェネレータとした場合に比して、ランキンサイクルの回路構成を簡素化することができる。
【0021】
更にまた、請求項10記載の発明によれば、膨張機の停止後に、凝縮器を経由し気液分離器にて分離された液状の作動流体を高低差を利用して蒸発器に還流させることができるため、膨張機、ひいてはポンプの停止時に、蒸発器に作動流体を供給することができるため、膨張機の起動を確実に行うことができる。
また、請求項11記載の発明によれば、膨張機の停止後に、凝縮器を経由し気液分離器にて分離された液状の作動流体をポンプにおける作動流体の通液抵抗を排除して蒸発器に速やかに還流させることができる。従って、高圧開放による膨張機の起動が何等かの理由で失敗した場合であっても、蒸発器に再び作動流体を供給することができるため、膨張機を確実に再起動させることができる。
【0022】
更に、請求項12記載の発明によれば、エンジンの制動時に蒸発器の余熱によって蒸発器に滞留する作動流体が蒸発して膨張機が回転することにより膨張機の動力がエンジンに伝達されてエンジンの制動が阻害されるのを防止することができる。従って、エンジンの制動、即ちエンジンブレーキを確実に実行することができるため、被動力伝達装置をエンジンとした場合であってもランキンサイクルを適切に制御することができる。
【0023】
更にまた、請求項13及び14記載の発明によれば、エンジンの回転によって膨張機が作動流体の流通していない状態で空回りすることを防止することができるため、膨張機の過熱による焼きつきを防止することができる。
また、請求項15及び16記載の発明によれば、エンジンの制動後の駆動時に膨張機のエンジンに対する急激なアシスト動力の上乗せを防止し、ユーザの不快感を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面により本発明の一実施形態について先ず第1実施形態から説明する。
図1は当該第1実施形態の廃熱利用装置の一例を模式的に示している。
この廃熱利用装置は、例えば車両に搭載され、車両のエンジンを冷却する冷却水回路2と、冷却水回路2を介して熱源としてのエンジンの廃熱を回収するランキンサイクル4(以下、RC回路という)とを備えている。
【0025】
冷却水回路2は、エンジンから延設される冷却水(以下、LLCともいう)の循環路3に、冷却水の流れ方向から順に、後述する蒸発器6の他、何れも図示しないラジエータ、サーモスタット、水ポンプなどが介挿されて閉回路を構成している。
一方、RC回路4は、作動流体としての例えばフロンR134aなどの冷媒の循環路5に、冷媒の流れ方向から順に蒸発器6、膨張機8、凝縮器10、冷媒ポンプ(ポンプ)12が介挿されて閉回路を構成している。
【0026】
蒸発器6は、上記エンジンを経由して加熱された冷却水によって冷媒を加熱して蒸発させる。
膨張機8は、蒸発器6を経由して加熱された冷媒を膨張させて回転駆動力を発生する回転機器である。膨張機8には、膨張機8と同一の回転軸14を介して一体に回転可能に構成された発電機(被動力伝達装置)16が機械的に連結されている。
【0027】
発電機16は、モータ機能を有するいわゆるモータジェネレータではなく、発電機能のみを備えており、膨張機8にて発生した回転駆動力を電力に変換して廃熱利用装置の外部で利用可能とする。
また、発電機16には、発電された電力を廃熱利用装置の外部に送電するための図示しない発電端子と、この発電端子の接続を変更して発電機16、ひいては膨張機8の負荷を変更可能な負荷制御部(負荷変更手段)が備えられている。
【0028】
凝縮器10は、膨張機8を経由した冷媒を外気との熱交換により凝縮液化させる放熱器である。
冷媒ポンプ12は、回転軸14を介して膨張機8及び発電機16と機械的に連結されて膨張機8及び発電機16と一体に回転可能に構成されており、凝縮器10にて凝縮液化された液冷媒を蒸発器6側に圧送してRC回路4において好適に循環させる。
【0029】
このように構成される冷却水回路2及びRC回路4は、車両を総合的に制御する電子制御装置であるECU(制御手段)18によって、その起動、停止が制御される。
具体的には、ECU18がエンジンの運転状況に応じて膨張機8の駆動を制御することにより、エンジンの廃熱が冷却水回路2を介してRC回路4側に適宜回収され、回収された廃熱は膨張機8、発電機16を介して廃熱利用装置の外部にて利用可能な電力に変換される。
【0030】
ここで、本実施形態のRC回路4は、蒸発器6の出口と膨張機8の入口との間の循環路5aに介挿された膨張機入口弁20と、冷媒ポンプ12の出口と蒸発器6の入口との間の循環路5bに介挿された逆止弁22とを備えている。
膨張機入口弁20は、その駆動部がECU18に電気的に接続されており、ECU18から膨張機入口弁20の駆動部に入力される入力信号に応じて膨張機入口弁20の開度を段階的に微調整可能な調整弁である。
【0031】
逆止弁22は、蒸発器6から冷媒ポンプ12への冷媒の逆流を禁止している。
また、RC回路4には、蒸発器6の出口と膨張機入口弁20の入口との間を流れる冷媒の圧力を検出する圧力センサ(圧力検出手段)24が設けられ、圧力センサ24もECU18に電気的に接続されている。
そして、ECU18は、膨張機8の停止時に膨張機入口弁20を閉弁し、その後の膨張機8の再起動時に膨張機入口弁20を開弁する膨張機入口弁制御を実行する。
【0032】
以下、図2のフローチャートを参照して、当該膨張機入口弁制御の制御ルーチンについて説明する。尚、当該膨張機入口弁制御は膨張機8が稼動している状態を初期状態として実行される。
先ず、本制御が開始されるとS1に移行し、S1では、アクセル開度(エンジンブレーキ)などにより膨張機8が停止されるか否かを判定し、判定結果が真(Yes)で膨張機8が停止されると判定された場合にはS2に移行し、判定結果が偽(No)で膨張機8が停止されないと判定された場合には再びS1に戻る。
【0033】
S2では、膨張機入口弁20を閉弁し、冷媒の流れ方向からみて、逆止弁22から蒸発器6を介して膨張機入口弁20までの循環路5に冷媒の高圧が保持された高圧室26を形成し、S3に移行する。
S3では、例えばアクセル開度などにより膨張機8が起動されるか否かを判定し、判定結果が真(Yes)で膨張機8が起動されると判定された場合にはS4に移行し、判定結果が偽(No)で膨張機8が起動されないと判定された場合には再びS3に戻る。
【0034】
S4では、圧力センサ24にて検出された高圧室26の圧力Pが所定の設定圧力Ps以上(P≧Ps)であるか否かを判定し、判定結果が真(Yes)でP≧Psが成立すると判定された場合にはS5に移行し、判定結果が偽(No)でP≧Psが成立しないと判定された場合には再びS4に戻る。尚、設定圧力Psは、少なくとも所定の冷却水温度となった後には高圧室26に蓄圧可能な圧力であって、高圧室26の開放により膨張機8や冷媒ポンプ12を初期駆動可能な高圧に設定される。
【0035】
S5では、膨張機入口弁20を開弁し、高圧室26を開放した後、本制御ルーチンをリターンし、次回の膨張機8の停止まで待機する。
このように、当該膨張機入口弁制御では、膨張機8の停止時に膨張機入口弁20を閉弁することにより高圧室26を形成し、その後の膨張機8の再起動時に膨張機入口弁20を開弁して高圧室26を開放することにより高圧室26に保持されたRC回路4の高圧側の圧力によって膨張機8を起動する。
【0036】
一方、ECU18は、上述した膨張機入口弁制御と併せて、発電機16、ひいては膨張機8の負荷変更制御を実行する。
具体的には、ECU18には、上述した発電機16の負荷制御部が電気的に接続されており、この負荷制御部を介して発電端子の接続状態を変更することにより発電機16、ひいては膨張機8の負荷を変更する。
【0037】
以下、図3のフローチャートを参照して、当該負荷変更制御の制御ルーチンについて説明する。尚、当該負荷変更制御は膨張機8が停止している状態を初期状態として実行される。
先ず、本制御が開始されるとS11に移行し、S11では、膨張機8が起動されるとECU18が判断したか否かを判定し、判定結果が真(Yes)で膨張機8が起動されると判定された場合にはS12に移行し、判定結果が偽(No)で膨張機8が起動されないと判定された場合には再びS11に戻る。
【0038】
S12では、発電機16の発電端子の接続を開放状態にし、S13に移行する。
S13では、所定の設定時間Tsが経過したか否かを判定し、判定結果が真(Yes)で設定時間Tsが経過したと判定された場合にはS14に移行し、判定結果が偽(No)で設定時間Tsが経過していないと判定された場合には再びS13に戻る。
S14では、開放した発電端子を段階的に接続し、最終的に発電端子開放前の通常の接続に戻した後に本制御ルーチンをリターンし、次回の膨張機8の停止、再起動まで待機する。
【0039】
このように、当該負荷変更制御は、少なくとも上述した膨張機入口弁制御のS5において膨張機入口弁20を開弁するときに発電端子を開放状態にし、発電機16、ひいては膨張機8の負荷を限りなく無負荷に近い所定の最小値に変更する。その後に設定時間Tsの経過後、膨張機8の起動後の状態に合わせて開放した発電端子を段階的に接続することにより、膨張機8の負荷は徐々に大きくなり、最終的に発電端子開放前の通常の負荷に戻される。尚、上記S13では、設定時間Tsの経過後にS14に移行するようにしているが、膨張機8の回転数が所定回転数まで増大するのを判定してからS14に移行するようにしても良い。
【0040】
以上のように、本実施形態では、上述した膨張機入口弁制御を行うことにより、膨張機8の停止時に高圧室26を形成して高圧を保持することができるため、その後の膨張機8の起動時には、膨張機入口弁20を開弁することで高圧室26の高圧が開放され、膨張機8を即座に駆動させ、ひいては発電機16に回転駆動力を即座に伝達することができる。従って、膨張機8の起動時における出力上昇を迅速に行うことができ、廃熱利用装置の廃熱回収効率を向上することができる。
【0041】
また、膨張機入口弁制御のS4において、高圧室26の圧力Pが設定圧力Ps以上になるとき膨張機入口弁20を開弁することにより、膨張機8の起動時に高圧室26の高圧を確実に開放することができるため、膨張機8の起動を確実に迅速化することができる。
更に、負荷変更制御のS12において、膨張機8の負荷を所定の最小値に変更することにより、膨張機8の起動時に低負荷で膨張機8を円滑に回転させることができるため、膨張機8の起動を更に確実に行うことができる。
【0042】
更にまた、負荷変更制御のS13において、膨張機の負荷を段階的に大きくすることにより、膨張機8の起動後にRC回路4の出力を段階的に上昇させることができるため、RC回路4の出力上昇を効率的に迅速化することができる。
また、膨張機入口弁20は、その開度を段階的に微調整可能な調整弁であることから、膨張機入口弁制御のS5において、膨張機入口弁20を段階的に開弁するようにしても良い。この場合には、膨張機8の起動時に高圧室26が開放されることにより、高圧の冷媒によって膨張機8が高速回転することを防止することができるため、RC回路4の出力上昇を安全に迅速化することができる。
【0043】
更に、膨張機8と発電機16と冷媒ポンプ12とは同一の回転軸14を介して連結されて一体に回転可能に構成されるため、ポンプ駆動モータや膨張機8の回転を発電機16に伝えるベルトやギヤなどを設ける必要がなく、装置のコンパクト化が可能となる。
更にまた、発電機16はモータ機能を有しないため、発電機をモータ機能を有する、いわゆるモータジェネレータとした場合に比して、RC回路4の回路構成を簡素化することができて好適である。
【0044】
ここで、本実施形態の変形例として、冷媒ポンプ12を膨張機8及び発電機16と回転軸14にて連結しない電動ポンプとし、この電動ポンプの駆動部をECU18に電気的に接続してECU18にて駆動制御するようにしても良い。この場合にも上記と同様にRC回路4の出力上昇を確実に且つ効率的に且つ安全に迅速化することができる。
特にこの変形例では、膨張機入口弁制御において、膨張機入口弁20を閉弁してから所定の設定時間Ts1の経過後に冷媒ポンプ12の駆動を停止することにより、凝縮器10を経由したより多くの冷媒を蒸発器6側に送出することができ、蒸発器6における余熱によってより多くの冷媒を蒸発させて高圧室26に蓄圧することができる。これにより、高圧室26を更に高圧にすることができるため、RC回路4の出力上昇を更に迅速化することができる。尚、設定時間Ts1は、冷媒ポンプ12によってRC回路4の凝縮器10側、即ち低圧側の冷媒を高圧室26に十分に送出可能な時間に設定される。
【0045】
また、膨張機入口弁20を閉弁してから圧力センサ24にて検出された圧力Pが所定の設定圧力Ps以上になった後に冷媒ポンプ12の駆動を停止することにより、RC回路4の停止時に高圧室26の高圧を確実に保持することができるため、RC回路4の出力上昇を更に確実に迅速化することができて好ましい。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0046】
図4は、当該第2実施形態の廃熱利用装置のRC回路4をその構成機器の高低差配置がわかるように概略的に示している。
当該第2実施形態のRC回路4は、凝縮器10を経由した冷媒を気液分離して冷媒ポンプ12に液冷媒を送出する気液分離器28と、冷媒ポンプ12をバイパスするポンプバイパス路30と、ポンプバイパス路30に介挿されたポンプバイパス弁32と、膨張機8をバイパスする膨張機バイパス路34と、膨張機バイパス路34に介挿された膨張機バイパス弁36とを更に備え、各バイパス弁32,36の各駆動部はECU18に電気的に接続されており、その他は上記第1実施形態と同様の構成をなしている。
【0047】
図4から明らかなように、気液分離器28は蒸発器6よりも高低差Hを有して上方に設けられ、更に、ECU18は、高圧室26の開放による膨張機8の起動が何等かの理由で失敗した場合であっても膨張機8を再起動可能なRC再起動制御を実行する。
以下、図5のフローチャートを参照して、当該膨張機再起動制御の制御ルーチンについて説明する。尚、当該膨張機再起動制御は膨張機8が停止している状態を初期状態として実行される。
【0048】
先ず、本制御が開始されるとS21に移行し、S21では、高圧室26の開放によって、例えば膨張機8の回転数などにより膨張機8が正常に起動されたか否かを判定し、判定結果が真(Yes)で膨張機8が正常に起動されたと判定された場合には再びS21に戻り、判定結果が偽(No)で膨張機8が正常に起動されなかった、即ち膨張機8の起動が失敗したと判定された場合にはS22に移行する(起動判定手段)。
【0049】
S22では、ポンプバイパス弁32及び膨張機バイパス弁36を開弁し、S23に移行する。
S23では、ポンプバイパス弁32及び膨張機バイパス弁36が開弁してから所定の設定時間Ts2が経過したか否かを判定し、判定結果が真(Yes)で設定時間Ts2が経過したと判定された場合にはS24に移行し、判定結果が偽(No)で設定時間Ts2が経過していないと判定された場合には再びS23に戻る。尚、設定時間Ts2はポンプバイパス路30を介して蒸発器6に冷媒を十分に流入させることが可能な時間に設定される。
【0050】
S24では、ポンプバイパス弁32及び膨張機バイパス弁36と膨張機入口弁20とを閉弁し、S25に移行する。
S25では、圧力センサ24にて検出された高圧室26の圧力Pが所定の設定圧力Ps以上(P≧Ps)であるか否かを判定し、判定結果が真(Yes)でP≧Psが成立すると判定された場合にはS26に移行し、判定結果が偽(No)でP≧Psが成立しないと判定された場合には再びS25に戻る。尚、設定圧力Psは、十分な時間が経過した後には高圧室26に蓄圧可能な圧力であって、高圧室26の開放により膨張機8や冷媒ポンプ12を初期駆動可能な高圧に設定される。
【0051】
S26では、膨張機入口弁20を開弁し、本制御ルーチンをリターンし、次回の膨張機8の停止、再起動まで待機する。
このように、当該膨張機再起動制御は、高圧室26の開放による膨張機8の起動が何等かの理由で失敗した場合であっても、凝縮器10を経由し気液分離器28にて分離された液冷媒を高低差Hを利用して蒸発器6に還流させて再び高圧室26を形成し、高圧室26を再度開放することにより膨張機8を再起動する。
【0052】
以上のように、本実施形態では、上記第1実施形態と同様に、RC回路4の出力上昇を確実に且つ効率的に且つ安全に迅速化することができる。
特に当該第2実施形態では、気液分離器28を蒸発器6よりも上方に設けることにより、膨張機8の停止後に、凝縮器10を経由し気液分離器28にて分離された液冷媒を高低差Hを利用して蒸発器6に還流させ、蒸発器6における余熱によってより多くの作動流体を蒸発させることにより高圧室26を更に高圧することができるため、RC回路4の出力上昇を更に迅速化することができる。
【0053】
しかも、膨張機再起動制御を行うことにより、膨張機8の停止後に、凝縮器10を経由し気液分離器28にて分離された液冷媒を冷媒ポンプ12における冷媒の通液抵抗を排除して蒸発器6に速やかに還流させることができる。従って、高圧室26の高圧開放による膨張機8の起動が何等かの理由で失敗した場合であっても、膨張機8を確実に再起動することができるため、RC回路4の出力上昇を更に確実に迅速化することができる。
【0054】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図6は、当該第3実施形態の廃熱利用装置を模式的に示している。
当該第3実施形態のRC回路4は、クラッチ38とプーリ40とを介して、膨張機8の回転駆動力が伝達される被動力伝達装置として発電機16の代わりに車両等のエンジン(被動力伝達装置)42を設け、更に、ECU18には、クラッチ38の駆動部と、エンジン42の回転数やスロットル開度などを検出するエンジン状態検出部と、凝縮器10のファン11とが電気的に接続され、その他は上記第1実施形態の変形例と同様の構成をなしている。
【0055】
そして、ECU18は、エンジン42の制動時に膨張機入口弁20を閉弁し、その後のエンジン42の駆動時に膨張機入口弁20を開弁する制動制御を実行する。
以下、図7のフローチャートを参照して、当該制動制御の制御ルーチンについて説明する。尚、当該制動制御は膨張機8が起動している状態を初期状態として実行される。
先ず、本制御が開始されるとS31に移行し、S31では、エンジン状態検出部により検出されたエンジン42の回転数やスロットル開度などにより、エンジン42の制動、即ちエンジンブレーキが実行されたか否かを判定し、判定結果が真(Yes)でエンジンブレーキが実行されたと判定された場合にはS32に移行し、判定結果が偽(No)でエンジンブレーキが実行されていないと判定された場合には再びS31に戻る。
【0056】
S32では、膨張機入口弁20を閉弁し、S33に移行する。
S33では、クラッチ38を切って膨張機8からエンジン42への動力伝達を遮断した後、S34に移行する。
S34では、エンジン状態検出部により検出されたエンジン42の回転数やスロットル開度などにより、エンジン42がエンジンブレーキから加速に転じて駆動されたか否かを判定し、判定結果が真(Yes)でエンジン42が加速駆動されたと判定された場合にはS35に移行し、判定結果が偽(No)でエンジン42が加速駆動されていないと判定された場合には再びS34に戻る。
【0057】
S35では、膨張機入口弁20を段階的に開弁した後、本制御ルーチンをリターンし、次回のエンジン42のエンジンブレーキ実行まで待機する。
以上のように、本実施形態では、上記第1実施形態の変形例と同様に、RC回路4の出力上昇を確実に且つ効率的に且つ安全に迅速化することができる。
特に当該第3実施形態では、上記制動制御を行うことにより、被動力伝達装置をエンジン42とした場合であってもRC回路4を適切に制御することができる。
【0058】
具体的には、エンジンブレーキ時に膨張機8を停止するべく冷媒ポンプ12の駆動を停止したとしても、蒸発器6にはその容量分の高温冷媒が滞留しており、蒸発器6本体やLLCの余熱によって蒸発器6に滞留する冷媒が蒸発するため、蒸発器6を経由した冷媒の圧力は急激には低下しない。これにより、エンジンブレーキ時においても膨張機8は回転し続けてエンジン42を反制動方向である駆動方向にアシストするため、エンジンブレーキが利きにくくなる。
【0059】
そこで、クラッチ38を切ることにより膨張機8からエンジン42への動力伝達を遮断するということも考えられるが、単にクラッチ38を切ると膨張機8が無負荷状態となり、膨張機8が高速で回転して過熱による焼きつきを生じかねない。
そこで、当該制動制御のS32にて膨張機入口弁20を閉弁することにより、エンジンブレーキ時に膨張機8がエンジン42を駆動方向にアシストすることを防止し、エンジンブレーキを確実に実行することができる。
【0060】
また、膨張機入口弁20を単に閉弁すると、膨張機8には冷媒が流通していないため、エンジン42の回転によって膨張機8が空回りして過熱して焼きつきを生じる。
そこで、当該制動制御のS33にて膨張機入口弁20の閉弁後にクラッチ38を切ることにより、膨張機8の過熱による焼きつきを防止することができる。
ここで、クラッチ38を切る以外の他の方法としては、膨張機8の回転がエンジン42の回転数以上のときにのみ膨張機8の動力をエンジン42に伝達するワンウェイクラッチをクラッチ38として使用しても良い。
【0061】
更に、エンジン42がエンジンブレーキから加速に転じて駆動されるとき、膨張機入口弁20を開弁すると高圧室26に高圧冷媒が蓄えられているため、エンジン42に対する急激なアシスト動力が発生し、車両のユーザが車両の挙動に違和感、ひいては不快を感じる。
そこで、当該制動制御のS35にて、エンジン42が加速駆動されるときには膨張機入口弁20を徐々に開弁することにより、膨張機8のエンジン42に対する急激なアシスト動力の上乗せを防止し、ユーザの不快感を解消することができる。
【0062】
更にまた、圧力センサ24にて検出された高圧室26の圧力Pに基づいて、膨張機入口弁20の開弁に伴い膨張機8からクラッチ38を介してエンジン42に伝達される動力伝達量を推定し、エンジン42のエンジンブレーキ後の駆動時に推定された動力伝達量に相当するエンジン42の駆動力を予め低減する制御をECU18にて行っても良い。
具体的には、車両がガソリン車の場合には図示しないエンジンスロットルを絞り、または、車両がディーゼル車の場合には燃料噴射量を低減することにより、エンジン42の駆動力を低減することができる。そして、このような制御を行うことによって、ユーザの不快感を解消することができる。
【0063】
また、膨張機入口弁20を閉弁してから、所定の設定時間Tsの経過後に冷媒ポンプ12の駆動を停止することにより、高圧室26を更に高圧することができて好ましい。
更に、膨張機入口弁20を閉弁してから圧力センサ24にて検出された圧力Pが所定の設定圧力Ps以上になった後に冷媒ポンプ12の駆動を停止することにより、高圧室26の高圧を確実に保持することができて好ましい。
【0064】
更にまた、凝縮器10のファン11の駆動を膨張機8の停止後に停止するか、或いは冷媒ポンプ12の停止と同期させて停止しても良く、この場合には、無駄なファン動力を削減することができて好適である。
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
【0065】
例えば、本発明の廃熱利用装置をハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカーに適用し、回生ブレーキ時やモータのみでの走行時などにエンジンを停止する場合に膨張機入口弁20を閉弁するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態に係る廃熱利用装置を示した模式図である。
【図2】図1のECUにて実行される膨張機入口弁制御の制御ルーチンを示したフローチャートである。
【図3】図1のECUにて実行される膨張機の負荷変更制御の制御ルーチンを示したフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係る廃熱利用装置をランキンサイクルの各構成機器の高低差配置がわかるように示した模式図である。
【図5】図4のECUにて実行される膨張機再起動制御の制御ルーチンを示したフローチャートである。
【図6】本発明の第3実施形態に係る廃熱利用装置を示した模式図である。
【図7】図6のECUにて実行されるエンジンの制動制御の制御ルーチンを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
4 ランキンサイクル
5 循環路
6 蒸発器
8 膨張機
10 凝縮器
12 冷媒ポンプ(ポンプ)
16 発電機(被動力伝達装置)
18 ECU(制御手段)
20 膨張機入口弁
22 逆止弁
24 圧力センサ(圧力検出手段)
28 気液分離器
30 ポンプバイパス路
32 ポンプバイパス弁
34 膨張機バイパス路
36 膨張機バイパス弁
38 クラッチ
42 エンジン(被動力伝達装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体の循環路に、熱源の廃熱により作動流体を加熱して蒸発させる蒸発器、該蒸発器を経由した作動流体を膨張させて回転駆動力を発生する膨張機、該膨張機にて発生した回転駆動力が伝達される被動力伝達装置、該膨張機を経由した作動流体を凝縮させる凝縮器、該凝縮器を経由した作動流体を前記蒸発器に送出するポンプが順次介挿されたランキンサイクルを備え、
前記ランキンサイクルは、前記蒸発器の出口と前記膨張機の入口との間の前記循環路に介挿される膨張機入口弁と、前記ポンプの出口と前記蒸発器の入口との間の前記循環路に介挿されて前記蒸発器から前記ポンプへの作動流体の逆流を禁止する逆止弁とを有し、
前記膨張機の停止時に前記膨張機入口弁を閉弁し、前記膨張機の起動時に前記膨張機入口弁を開弁する制御手段を具備することを特徴とする廃熱利用装置。
【請求項2】
前記ランキンサイクルは、前記蒸発器の出口と前記膨張機入口弁の入口との間の前記循環路における作動流体の圧力を検出する圧力検出手段を有し、
前記制御手段は、前記膨張機の起動時に、前記圧力検出手段にて検出された圧力が所定の設定圧力以上になるとき前記膨張機入口弁を開弁することを特徴とする請求項1に記載の廃熱利用装置。
【請求項3】
前記膨張機の負荷を変更する負荷変更手段を備え、
前記制御手段は、前記膨張機の起動時に、前記負荷変更手段にて前記膨張機の負荷を所定の最小値に変更することを特徴とする請求項1または2に記載の廃熱利用装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記膨張機の起動後に、前記負荷変更手段にて前記膨張機の負荷を段階的に大きくすることを特徴とする請求項3に記載の廃熱利用装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記膨張機の起動時に、前記膨張機入口弁を段階的に開弁することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の廃熱利用装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記膨張機の停止時に、前記膨張機入口弁を閉弁してから所定の設定時間の経過後に前記ポンプの駆動を停止することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の廃熱利用装置。
【請求項7】
前記ランキンサイクルは、前記蒸発器の出口と前記膨張機入口弁の入口との間の前記循環路における作動流体の圧力を検出する圧力検出手段を有し、
前記制御手段は、前記膨張機の停止時に、前記膨張機入口弁を閉弁してから前記圧力検出手段にて検出された圧力が所定の設定圧力以上になった後に前記ポンプの駆動を停止することを特徴とする請求項6に記載の廃熱利用装置。
【請求項8】
前記膨張機と前記被動力伝達装置と前記ポンプとは同一の回転軸を介して連結されて一体に回転可能に構成されることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の廃熱利用装置。
【請求項9】
前記被動力伝達装置はモータ機能を有しない発電機であることを特徴とする請求項8に記載の廃熱利用装置。
【請求項10】
前記ランキンサイクルは、前記凝縮器を経由した作動流体を気液分離して前記ポンプに液状の作動流体を送出する気液分離器を有し、
前記気液分離器を前記蒸発器よりも上方に設けることを特徴とする請求項9に記載の廃熱利用装置。
【請求項11】
前記ランキンサイクルは、前記蒸発器の出口と前記膨張機入口弁の入口との間の前記循環路における作動流体の圧力を検出する圧力検出手段と、前記ポンプをバイパスするポンプバイパス路と、該ポンプバイパス路に介挿されたポンプバイパス弁と、前記膨張機をバイパスする膨張機バイパス路と、該膨張機バイパス路に介挿された膨張機バイパス弁と、前記膨張機の起動時に前記膨張機が正常に起動したか否かを判定する起動判定手段とを備え、
前記制御手段は、前記起動判定手段にて前記膨張機が正常に起動していないと判定されたとき、前記ポンプバイパス弁及び前記膨張機バイパス弁を開弁することにより前記ポンプバイパス路を介して前記蒸発器に作動流体を流入させ、その後に前記ポンプバイパス弁及び前記膨張機バイパス弁と前記膨張機入口弁とを閉弁し、その後に前記圧力検出手段にて検出された圧力が所定圧力以上になるとき前記膨張機入口弁を開弁することを特徴とする請求項10に記載の廃熱利用装置。
【請求項12】
前記被動力伝達装置はクラッチを介して前記膨張機の回転駆動力が伝達されるエンジンであって、
前記制御手段は、前記エンジンの制動時に前記膨張機入口弁を閉弁し、前記エンジンの駆動時に前記膨張機入口弁を開弁することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の廃熱利用装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記エンジンの制動時に前記膨張機入口弁を閉弁した後に前記クラッチを切って前記膨張機から前記エンジンへの動力伝達を遮断することを特徴とする請求項12に記載の廃熱利用装置。
【請求項14】
前記クラッチは、前記膨張機の回転数が前記エンジンの回転数以上のときにのみ前記膨張機の動力を前記エンジンに伝達するワンウェイクラッチであることを特徴とする請求項12に記載の廃熱利用装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記エンジンの制動後の駆動時には前記膨張機入口弁を段階的に開弁することを特徴とする請求項13または14に記載の廃熱利用装置。
【請求項16】
前記ランキンサイクルは、前記蒸発器の出口と前記膨張機入口弁の入口との間の前記循環路における作動流体の圧力を検出する圧力検出手段を有し、
前記制御手段は、前記圧力検出手段にて検出された圧力に基づいて、前記膨張機入口弁の開弁に伴い前記膨張機から前記クラッチを介して前記エンジンに伝達される動力伝達量を推定し、前記エンジンの駆動時に該推定された動力伝達量に相当する前記エンジンの駆動力を予め低減することを特徴とする請求項15に記載の廃熱利用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−65587(P2010−65587A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232117(P2008−232117)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】