説明

廃熱回収タービンおよび廃熱回収システム

【課題】エネルギー回収効率をより向上させることができる廃熱回収タービンおよび廃熱回収システムを提供する。
【解決手段】廃熱回収システム1は、外気との接触を抑制するように羽根車部104を収納する第1収納室102と、羽根車部104の回転エネルギーを第1収納室102の外部に配置される動力回収軸109へと伝達する第1磁力発生部107および第2磁力発生部108と、を有する膨張器10を備えることにより、羽根車部104をより低圧に保持して、羽根車部104の上流側の圧力と下流側の圧力によって規定される圧力比をより大きくすることができる。よって、システムのエネルギー回収効率をより向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃熱回収タービンおよび廃熱回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の稼動に伴う廃熱を回収するランキンサイクルが知られている。このようなランキンサイクルには、例えば、エンジンの水冷冷却系統を密閉構造として沸騰冷却を行うようにし、エンジンにおける廃熱によって気化した冷媒、すなわち蒸気によって膨張器(例えば、蒸気タービン)を駆動して、その蒸気の持つ熱エネルギーを電気エネルギー等に変換して回収するものがある。このようなランキンサイクルシステムを改良するものとして、例えば特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−103060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、廃熱回収タービンのタービン効率は、タービンの羽根車部の上流側の圧力と下流側の圧力によって規定される圧力比が大きいほど向上する、すなわち、羽根車部の圧力がより低圧であるほどタービン効率が向上することが知られている。しかしながら、従来の廃熱回収タービンでは、タービンの羽根車部の回転エネルギーを動力回収部へと伝達するための動力回収軸のシール部等から外気が侵入するために、羽根車部をより低圧に保持することが困難である。そのため、エネルギー回収効率をより向上させることが困難である。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、エネルギー回収効率をより向上させることができる廃熱回収タービンおよび廃熱回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の廃熱回収タービンは、外部から供給される蒸気によって回転する羽根車部を有し、前記羽根車部の回転エネルギーを回収する廃熱回収タービンであって、外気との接触を抑制するように前記羽根車部を収納する収納部と、前記収納部の外部に設置された動力回収軸と、前記羽根車部の回転エネルギーを、前記動力回収軸へと伝達する動力伝達手段と、を備える。
上記の構成により、廃熱回収タービンの羽根車部が外気と接触することを抑制し、羽根車部をより低圧に保持することができる。よって、エネルギー回収効率をより向上させることができる。
【0007】
特に、本発明の廃熱回収タービンは、前記動力伝達手段が、前記羽根車部から延びた駆動軸の端部に形成された第1磁力発生部と、前記動力回収軸の端部に形成され前記第1磁力発生部と対向する第2磁力発生部と、を含み、前記第1磁力発生部および前記第2磁力発生部が発生する磁力によって、前記羽根車部の回転エネルギーを、前記収納部の外部に設置される前記動力回収軸へと伝達する構成とすることができる。
上記の構成により、第1磁力発生部および第2磁力発生部が発生する磁力によって、収納部に収納される羽根車部の回転エネルギーを収納部の外部に設置される動力回収軸へと適切に伝達することができる。よって、羽根車部をより低圧に保持して、エネルギー回収効率をより向上させることができる。
【0008】
また、本発明の廃熱回収タービンは、前記第1磁力発生部および前記第2磁力発生部が、それぞれ回転方向に異なる極性の磁石が交互に配置された構成とすることができる。
上記の構成により、回転方向に配置された複数の磁石が発生する磁力によって、収納部に収納される羽根車部の回転エネルギーを収納部の外部に設置される動力回収軸へと高効率で伝達することができる。よって、羽根車部をより低圧に保持して、エネルギー回収効率をより向上させることができる。
【0009】
そして、本発明の廃熱回収タービンは、前記第1磁力発生部および前記第2磁力発生部の温度上昇を抑制する温度上昇抑制手段を備える構成とすることができる。
上記の構成により、第1磁力発生部および第2磁力発生部の温度上昇に基づく発生磁力の低下を抑制し、収納部に収納される羽根車部の回転エネルギーを収納部の外部に設置される動力回収軸へと適切に伝達することができる。よって、羽根車部をより低圧に保持して、エネルギー回収効率をより向上させることができる。
【0010】
更に、本発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の廃熱回収タービンを備える廃熱回収システムである。
上記の構成により、廃熱回収システムのエネルギー回収効率をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の廃熱回収タービンおよび廃熱回収システムによれば、エネルギー回収効率をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例の廃熱回収システムの一構成例を示した図である。
【図2】実施例の廃熱回収タービンの一構成例を示した図である。
【図3】第1磁力発生部の一構成例を示している。
【図4】実施例の廃熱回収タービンの一構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の廃熱回収タービンを備えた廃熱回収システム1の一構成例を示した図である。
【0015】
図1に示す廃熱回収システム1は、内部で冷媒が沸騰することにより冷却されるエンジン50を備えている。エンジン50は、シリンダブロック51とシリンダヘッド52を備える。シリンダブロック51及びシリンダヘッド52の内部にはウォータジャケット511、521が形成されており、このウォータジャケット内を流通する冷媒が沸騰することによってエンジン50の冷却が行われる。このときエンジン50は、蒸気を発生させる。エンジン50は、更に、燃焼室で発生した排気ガスをエンジン50の外部へと導く排気通路18を備える。エンジン50のシリンダヘッド52には、ウォータジャケット511、521と連通する蒸気通路3の一端が接続されている。
【0016】
蒸気通路3には、気液分離器4が配設されている。気液分離器4は、ウォータジャケット511、521から供給された冷媒を、気化冷媒である蒸気と液化冷媒とに分離する。すなわち、エンジン50側から気液混合状態で気液分離器4に流入した冷媒は、気液分離器4内で気相(蒸気)と液相(液化冷媒)とに分離される。気液分離器4の下端部には、冷媒循環路5の一端が接続されている。この冷媒循環路5の他端はシリンダブロック51内のウォータジャケット511に接続されている。また、冷媒循環路5には、エンジン50内に液化冷媒を圧送する第1ウォータポンプ6が配設されている。この第1ウォータポンプ6は、いわゆるメカ式であり、エンジン50が備えるクランクシャフトを駆動源としている。この第1ウォータポンプ6により、液化冷媒が、エンジン50と気液分離器4との間を循環する。
【0017】
蒸気通路3には、過熱器8が設けられている。過熱器8には、主として気液分離器4において分離された蒸気が供給される。過熱器8は、下側に蒸発部8aを備え、その上側に過熱部8bを備えている。過熱器8には、排気通路18が引き込まれている。排気通路18の内部には、エンジン50で発生した排気ガスが流通する。排気通路18は、排気ガスが過熱部8b、蒸発部8aの順に通過するように過熱器8を貫通している。蒸発部8aには、液化冷媒通路7の一端が接続されている。排気ガスは、気液分離器4を通過した蒸気と熱交換をする。液化冷媒通路7の他端は、気液分離器4の下端部に接続されている。液化冷媒通路7には開閉弁7aが設けられている。この開閉弁7aの開閉状態によって、気液分離器4から蒸発部8aへの液化冷媒の供給状態が決定される。蒸発部8aに供給された液化冷媒は、過熱部8bで蒸気を過熱した後の排気ガスの熱によって、蒸気化することができる。これにより、蒸気発生量が増大すると共に、蒸気の過熱度が向上し、廃熱回収効率が向上する。過熱部8bの上端部には、蒸気排出管3aが設けられている。蒸気排出管3aの先端部には、ノズル9が設けられている。
【0018】
過熱器8の下流側には、本発明の廃熱回収タービンの一実施例である膨張器10が配設されている。膨張器10は、過熱器8から供給された気化冷媒、すなわち蒸気によって駆動されてエネルギー回収を行う。なお、膨張器10の詳細な構成については後述する。
【0019】
膨張器10のケース101は、蒸気を排出する排出口105を備えている。排出口105には、蒸気排出通路11の一端が接続されている。蒸気排出通路11の他端はコンデンサ12に接続されている。蒸気排出通路11は、膨張器10から蒸気を排出し、排出した蒸気をコンデンサ12に導入する。コンデンサ12は、膨張器10を通過した蒸気を凝縮して液化冷媒を生成する。コンデンサ12は、ファン13による送風を受けて、効率よく蒸気を冷却、凝縮することができる。コンデンサ12の下部にはコンデンサ12において生成された液化冷媒を貯留する凝縮水タンク14が設置されている。
【0020】
凝縮水タンク14の下流側には、凝縮水タンク14内に一旦貯留された液化冷媒をエンジン50側へ再循環させる液化冷媒通路15が設けられている。液化冷媒通路15は、冷媒循環路5の第1ウォータポンプ6の上流側に接続されている。また、液化冷媒通路15には第2ウォータポンプ16が配設されている。この第2ウォータポンプ16は、電気式のベーンポンプとなっている。第2ウォータポンプ16が稼動状態となると、凝縮水タンク14内の液化冷媒が冷媒循環路5へ供給される。これにより、凝縮水タンク14内の液化冷媒がウォータジャケット511又は気液分離器4に供給することができる。凝縮水タンク14内の液化冷媒は、ウォータジャケット511、521、気液分離器4内の冷媒の状態に応じて、ウォータジャケット511及び気液分離器4のいずれにも流入することができる。第2ウォータポンプ16の下流には、冷媒の逆流を回避するための一方弁17が配設されている。以上のように、ランキンサイクルシステム100は、冷媒が循環する経路を備えている。
【0021】
以下に、膨張器10の詳細な構成について説明する。図2は、実施例の膨張器10の一構成例を示した図である。膨張器10は、第1収納室102および第2収納室103を含むケース101と、ケース101の第1収納室102に収納される羽根車部104とを備えた蒸気タービンである。
【0022】
ノズル9は、蒸気通路3を通じて供給された蒸気が羽根車部104に向かって噴射されるように、ケース101の第1収納室102に連結している。これにより、羽根車部104は、蒸気通路3を通じて供給された蒸気によって回転駆動される。羽根車部104と接触した後の蒸気は、第1収納室102の排出口105から蒸気排出通路11へと排出される。羽根車部104の回転力は、羽根車部104の回転中心近傍に連結する駆動軸106を通じて、第1磁力発生部107へと伝達される。第1磁力発生部107は、図示しないドレン孔を有する隔壁110によって羽根車部104と隔離されている。これにより、ノズル9から供給される蒸気が第1磁力発生部107に接触することを抑制し、それによって第1磁力発生部107の温度が過度に上昇する(例えば、一般的な高温用磁石の耐熱温度である150℃を超える)ことを抑制する。
【0023】
第1収納室102は、隣接する第2収納室103と不連続である。そのため、第2収納室103に設けられる動力回収軸109のシール部等から侵入する外気が第1収納室102に侵入しないために、外気との接触を抑制するように羽根車部104を収納することが可能である。よって、羽根車部104をより低圧に保持することができることから、羽根車部104の上流側の圧力と下流側の圧力によって規定される圧力比がより大きくなるために、膨張器10のエネルギー回収効率がより向上する。
なお、第1収納室102は、本発明の収納部の一構成例である。
【0024】
第1磁力発生部107側に設けられる第2収納室103には、第2磁力発生部108が収納されている。第2磁力発生部108は、第1磁力発生部107と対向するように設置されており、その回転中心近傍で動力回収軸109と連結している。第1磁力発生部107から第2磁力発生部108に伝達された羽根車部104の回転エネルギーは、動力回収軸109を通じて図示しない発電機等に伝達されたり、エンジン50のクランクシャフト回転を補助したりする。このように、エンジン50の廃熱の回収が行われる。
【0025】
第1磁力発生部107および第2磁力発生部108の詳細な構成について説明する。図3は、第1磁力発生部107の一構成例を示している。第1磁力発生部107および第2磁力発生部108はいずれも円盤状であって、その半径比が約1対2である点で相違するが、その他は同様の構成である。そのため、以下第1磁力発生部107の構成について説明する。
【0026】
第1磁力発生部107は、第2磁力発生部108と対向する側の面に、複数の永久磁石が円周状に略等間隔で配置されている。これら複数の永久磁石は、異なる極性の永久磁石が隣接して配置されている、すなわち、N極側が露出した永久磁石107aとS極側が露出した永久磁石107bとが交互に配置されている。この第1磁力発生部107に設けられたN極側が露出した永久磁石107aが、第1収納室102の外部に設置される第2磁力発生部108に設けられたS極側が露出した永久磁石108bと引き合う。また、第1磁力発生部107に設けられたS極側が露出した永久磁石107bが、第1収納室102の外部に設置される第2磁力発生部108に設けられたN極側が露出した永久磁石108aと引き合う。そのため、第1磁力発生部107が回転すると、その回転エネルギーが複数の永久磁石の磁力によって第2磁力発生部108に高効率で伝達する。よって、羽根車部104の回転エネルギーを、駆動軸106から第1磁力発生部107を通じて、第1収納室102の外部に設置される第2磁力発生部108および動力回収軸109へと高効率で伝達することができる。
【0027】
この場合、永久磁石107aと永久磁石107bとの間隔(ピッチ)と、永久磁石108aと永久磁石108bとのピッチとがほぼ等しくなるように配置されることで、より高い効率で回転エネルギーを伝達することができる。また、第1収納室102と第2収納室103とを隔てる壁部分は、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108が発生する磁力に干渉しない材質にて構成されることが望ましい。そして、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108の半径比は、約1対2に限られずに、任意の半径比を採用することができる。
なお、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108は、本発明の動力伝達手段の一構成例である。
【0028】
以上のように、本実施例の廃熱回収システムは、外気との接触を抑制するように羽根車部を収納する第1収納室と、羽根車部の回転エネルギーを第1収納室の外部に配置される動力回収軸へと伝達する第1磁力発生部および第2磁力発生部と、を有する膨張器を備えることにより、羽根車部をより低圧に保持して、羽根車部の上流側の圧力と下流側の圧力によって規定される圧力比をより大きくすることができる。よって、システムのエネルギー回収効率をより向上させることができる。
【実施例2】
【0029】
つづいて、本発明の実施例2について説明する。本実施例の廃熱回収システム2は、膨張器10に代えて、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108の温度上昇を抑制する温度上昇抑制手段を備える膨張器20を有している点で廃熱回収システム1と相違している。
【0030】
膨張器20の構造について詳細に説明する。図4は実施例の膨張器20の一構成例を示した図である。なお、実施例1と同様の構成要素については、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0031】
膨張器20は、ケース101の内部に吸熱フィン201を備えている。吸熱フィン201は、高熱伝導性であって、第1収納室102内部の第1磁力発生部107の近傍、および第2収納室103内部の第2磁力発生部108の近傍に設置されている。これによって、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108の近傍の熱を吸収し、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108の温度が過度に上昇する(例えば、一般的な高温用磁石の耐熱温度である150℃を超える)ことを抑制する。この場合、システムの廃熱回収効率が低下してしまわないよう、羽根車部104の近傍の熱を吸収しないように吸熱フィン201を設置する。
【0032】
ノズル9から高温の蒸気が供給されると、ケース101の内部の温度が上昇するために、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108の温度も上昇する。第1磁力発生部107および第2磁力発生部108の温度が過度に上昇すると、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108に設けられた永久磁石が発生する磁力が低下してしまうために、羽根車部104の回転エネルギーを適切に伝達できなくなる。そのため、吸熱フィン201を設けることで、フィンの吸熱効果によって、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108の温度上昇に基づく発生磁力の低下を抑制することができる。よって、第1収納室102に収納される羽根車部104の回転エネルギーを、第1収納室102の外部に設置される動力回収軸109へと適切に伝達することができる。
なお、吸熱フィン201は、本発明の温度上昇抑制手段の一構成例である。
【0033】
また、膨張器20は、ケース101の外部に放熱フィン202を備えている。放熱フィン202は、吸熱フィン201と同様に高熱伝導性であって、第1収納室102の第1磁力発生部107が収納されている部分(すなわち、隔壁110より第1磁力発生部107側)の熱、および第2収納室103内部の熱を外部に放熱可能に設置されている。これによって、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108が設置される収納部の熱を外部へと放出し、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108の温度が過度に上昇することを抑制する。この場合、システムの廃熱回収効率が低下してしまわないよう、羽根車部104の近傍の熱を外部へと放出しないように放熱フィン202を設置する。
なお、放熱フィン202は、本発明の温度上昇抑制手段の一構成例である。
【0034】
そして、膨張器20は、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108に放熱フィン203を備えている。放熱フィン203は、吸熱フィン201および放熱フィン202と同様に高熱伝導性であって、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108の側面側外周部に設置されている。これによって、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108の熱を放出し、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108の温度が過度に上昇することを抑制する。
【0035】
更に、放熱フィン203は、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108が回転することで、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108近傍の気体を撹拌するように構成されている。これによって、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108の冷却効率(温度上昇の抑制効果)を向上させることができる。
この場合、放熱フィン203は、側面側外周部に限られずに、第1磁力発生部107および第2磁力発生部108の任意の位置に設けることができる。
なお、放熱フィン203は、本発明の温度上昇抑制手段の一構成例である。
【0036】
また、第2収納室103には、冷却孔204が設けられている。冷却孔204は、第2収納室103の内部と外部とを連通し、第2収納室103の内部の気体と外部の気体とを交換可能にしている。これによって、第2収納室103の内部の過度な温度上昇を抑制することができる。すなわち、第2磁力発生部108の温度上昇の抑制効果を向上させることができる。
なお、冷却孔204は、本発明の温度上昇抑制手段の一構成例である。
【0037】
以上のように、本実施例の廃熱回収システムは、第1磁力発生部および第2磁力発生部の温度上昇を抑制する温度上昇抑制手段を備える膨張器を有することにより、第1磁力発生部および第2磁力発生部の温度上昇に基づく発生磁力の低下を抑制することができる。よって、第1収納室に収納される羽根車部の回転エネルギーを、第1収納室の外部に設置される動力回収軸へと高効率で伝達することができる。
【0038】
上記実施例は本発明を実施するための一例にすぎない。よって本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0039】
例えば、第1磁力発生部および第2磁力発生部に設けられる磁力発生源は、永久磁石に限られずに、電磁石等の磁力を発生可能な他の構成であっても良い。
【0040】
また、磁力に限られずに、羽根車部104の回転エネルギーを第1収納室102の外部に設置される動力回収軸109に伝導可能な他の力を動力伝達手段として採用しても良い。
【符号の説明】
【0041】
1,2 廃熱回収システム
10,20 膨張器(廃熱回収タービン)
50 エンジン
102 第1収納室(収納部)
104 羽根車部
107 第1磁力発生部(動力伝達手段)
107a,107b 永久磁石
108 第2磁力発生部(動力伝達手段)
108a,108b 永久磁石
109 動力回収軸



【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給される蒸気によって回転する羽根車部を有し、前記羽根車部の回転エネルギーを回収する廃熱回収タービンであって、
外気との接触を抑制するように前記羽根車部を収納する収納部と、
前記収納部の外部に設置された動力回収軸と、
前記羽根車部の回転エネルギーを、前記動力回収軸へと伝達する動力伝達手段と、
を備えることを特徴とする廃熱回収タービン。
【請求項2】
前記動力伝達手段は、前記羽根車部から延びた駆動軸の端部に形成された第1磁力発生部と、前記動力回収軸の端部に形成され前記第1磁力発生部と対向する第2磁力発生部と、を含み、前記第1磁力発生部および前記第2磁力発生部が発生する磁力によって、前記羽根車部の回転エネルギーを、前記収納部の外部に設置される前記動力回収軸へと伝達することを特徴とする請求項1記載の廃熱回収タービン。
【請求項3】
前記第1磁力発生部および前記第2磁力発生部は、それぞれ回転方向に異なる極性の磁石が交互に配置されたことを特徴とする請求項2記載の廃熱回収タービン。
【請求項4】
前記第1磁力発生部および前記第2磁力発生部の温度上昇を抑制する温度上昇抑制手段を備えることを特徴とする請求項2または3記載の廃熱回収タービン。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の廃熱回収タービンを備える廃熱回収システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−236782(P2011−236782A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107615(P2010−107615)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】