説明

延伸開孔性に優れた樹脂組成物

【課題】相溶性を改良させ、開孔性に優れた延伸開孔性に優れた樹脂組成物を提供することにある。
【解決手段】(a)マトリックス相を形成するポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、(b)分散相を形成する、ポリプロピレン系樹脂(a)に対して非相溶のセグメントおよび相溶のセグメントを持つ共重合体0.5〜20質量部を含有してなる延伸開孔性に優れた樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気・電子分野、自動車分野、その他の各種工業材料分野で利用できる耐油性、耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性、とりわけ、延伸開孔性に優れた樹脂組成物に関するものである。特に、電池用セパレータとして利用でき、各種電子機器等の電源として利用されるリチウムイオン二次電池等の非水電解質電池用セパレータとして好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
高分子多孔膜は、基本的には、高分子材料を塑性化せしめ、次いで多孔化することによって得られる。これら高分子多孔膜の外観、状態、物性などは、使用する高分子材料及び多孔化の方法によって様々に変化する。従来の高分子多孔膜は、この多孔化の方法により、下記(1)〜(3)のものに分類される。
(1)高分子材料溶液を調製し、これを中空糸、フィルムなど種々の形状に成形した後、良溶媒−貧溶媒からなる混合溶液と接触することによる溶媒除去工程で多孔化して得られる高分子多孔膜。
(2)高分子材料に、シリカ、アルミナ、無機塩類などの無機材料あるいは他の高分子材料等の添加物を添加して成形した後、該添加物を溶媒抽出し、多孔化して得られる高分子多孔膜。
(3)熱可塑性の結晶性高分子材料を成形したのち熱処理し、これに続く延伸工程で多孔化して得られる高分子多孔膜。
【0003】
しかしながら、これら従来技術によって得られている高分子多孔膜は、種々の欠点を有する。上記(1)の高分子多孔膜は、膜の表面と内部で大きさの不整な孔を持つ膜であることが多い。また、多孔化の方法に関しても、溶液からの成形、貧溶媒との接触、溶媒の蒸発などの工程が複雑であるばかりでなく、大量に使用する有機溶媒の管理、処理などの問題も付随して発生する。
上記(2)の高分子多孔膜においては、成形物内部に存在する添加物を溶媒抽出によって完全に除くことは著しく困難であり、該高分子多孔膜の内部には、必ず添加物が含まれる。また、良好な成形物を得るための添加物の充填量の限界、成形物内部での添加物の凝集などの問題もある。このため、上記(2)の高分子多孔膜の物性は、膜素材よりむしろ添加物そのものの性質に大きく依存する場合がある。従って、上記(2)の高分子多孔膜は、微細で均一な貫通透孔を有する膜とは言い難い。
最近ポリマーブレンドフィルムを延伸してフィルム内部に空孔を発生させた多孔フィルム及び該フィルムを得る方法が提案されており、例えば、特許文献1に開示されている。上記公報においては、変性ポリオレフィンあるいはポリスチレンと、これらより実質的に高い融点を持つポリアミドとのブレンドフィルムを、該ポリアミドの融点以上で、該ポリアミドが海成分となるように溶融押出成形し、得られたフィルムを延伸することによりポリアミド多孔フィルムを得ている。しかしながら、特許文献1に記載の方法によって得られる多孔フィルムは、マトリックス相と分散相の相溶性が低いため分散相の粒径を制御ができなく、フィルムを均一に開孔させることが困難であった。
【0004】
【特許文献1】特開昭60−060138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、相溶性を改良させ、延伸開孔性に優れた樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。即ち、本発明では、開孔性向上の観点より、マトリックスのポリプロピレン系樹脂との界面相を形成する成分が水添ブロック共重合体であり、この界面相内部に分散相成分としてのポリマーを含むモルフォロジーを有する樹脂組成物が有効であることに着眼し、マトリックス相のポリプロピレン樹脂に対して、(1)マトリックスのポリプロピレン系樹脂との界面相および分散相成分を同時に形成するポリマー、(2)マトリックスのポリプロピレン系樹脂との界面相を形成する水添ブロック共重合体とこの界面相内部に含まれる分散相成分のポリマーをポリフェニレンエーテルにすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1](a)マトリックス相を形成するポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、(b)分散相を形成する、ポリプロピレン系樹脂(a)に対して非相溶のセグメントAおよび相溶のセグメントBを有する共重合体0.5〜20質量部を含有してなる延伸開孔性に優れた樹脂組成物。
[2](b)成分がビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合量の合計量が40〜90%である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体および/または共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合量の合計量が1〜40%未満である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合量の合計量が40〜90%である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体であることを特徴とする[1]に記載の延伸開孔性に優れた樹脂組成物。
[3](b)成分が少なくとも1個のポリスチレンブロックAと、全ビニル結合量が40〜80%であるイソプレンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体および/または共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合量の合計量が1〜40%未満である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと全ビニル結合量が40〜80%であるイソプレンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBからなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の延伸開孔性に優れた樹脂組成物。
[4]分散相(b)成分の平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の延伸開孔性に優れた樹脂組成物。
【0008】
[5](a)成分100質量部に対して、(c)ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜90質量部を含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の延伸開孔性に優れた樹脂組成物。
[6](a)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、(c)ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜90質量部、及び上記(a)、(c)成分の合計100質量部に対して、(b)ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合量の合計量が40〜90%である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体からなり、(c)/(b)=0.5〜5(重量比)で構成されることを特徴とする[5]に記載の延伸開孔性に優れた樹脂組成物。
[7](a)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、(c)ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜90質量部、及び上記(a)、(c)成分の合計100質量部に対して、(b)少なくとも1個のポリスチレンブロックAと、全ビニル結合量が40〜80%であるイソプレンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体からなり、(c)/(b)=0.5〜5(重量比)で構成されることを特徴とする[5]又は[6]に記載の延伸開孔性に優れた樹脂組成物。
[8]前記樹脂組成物において、(a)成分がマトリックス相を、(b)成分および(c)成分が分散相を形成することを特徴とする[5]〜[7]のいずれか1項に記載の延伸開孔性に優れた樹脂組成物。
[9]分散相(b)、(c)成分の平均粒径が10μm以下であることを特徴とする[5]〜[8]のいずれか1項に記載の延伸開孔性に優れた樹脂組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、相溶性が改良され、フィルムの延伸開孔性に優れた樹脂組成物を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態の延伸開孔性に優れた樹脂組成物は、少なくともポリプロピレン樹脂に対し、ポリプロピレン系樹脂と非相溶のセグメントおよび相溶のセグメントを持つ共重合体を有する熱可塑性樹脂組成物を用いて形成される。
以下、詳細を説明する。
本実施の形態に用いる(a)ポリプロピレン樹脂(以下、PPと略す場合がある。)としては、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーが挙げられ、1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。また、重合触媒にも特に制限はなく、チーグラー・ナッタ系の触媒やメタロセン系の触媒などが挙げられる。また、立体規則性にも特に制限はなく、アイソタクチックやシンジオタクチックを使用することができる。
【0011】
また、用いるポリプロピレン樹脂は、いかなる結晶性や融点を有するものであっても本実施の形態においては単独で用いることができるが、得られる多孔性フィルムの物性や用途に応じて、異なる性質を有する2種のポリプロピレン樹脂を特定範囲で配合したポリプロピレン樹脂を用いても良い。
本実施の形態で用いるポリプロピレン樹脂は、通常、メルトフローレート(ASTM D1238に準拠し、230℃、2.16kgの荷重下で測定)が0.1〜100g/10分、好ましくは0.1〜80g/10分の範囲のものから選択できる。
本実施の形態で用いるポリプロピレン樹脂は、上述のポリプロピレン樹脂の他に、特開昭44−15422号公報、特開昭52−30545号公報、特開平6−313078号公報、特開2006−83294号公報に示されるような公知の変性ポリプロピレン樹脂であってもよい。さらに上述のポリプロピレン樹脂と該変性ポリプロピレン樹脂との任意の割合の混合物であってもよい。
【0012】
次に、本実施の形態に用いる(b)成分は、ポリプロピレン系樹脂と非相溶のセグメントおよび相溶のセグメントを持つ共重合体であれば、特に限定されるものではない。より具体的には、例えば、ポリフェニレンエーテル分子鎖にポリプロピレン分子鎖が化学結合して得られるブロック(グラフト)共重合体、ポリスチレン分子鎖にポリプロピレン分子鎖が化学結合して得られるブロック(グラフト)共重合体、ポリフェニレンエーテル分子鎖にエチレンとα−オレフィンとの共重合体エラストマー分子鎖が化学結合して得られるブロック(グラフト)共重合体、ポリスチレン分子鎖にエチレンとα−オレフィンとの共重合体エラストマー分子鎖が化学結合して得られるブロック(グラフト)共重合体、水添ブロック共重合体等が挙げられる。非相溶セグメント/相溶セグメントとは、ポリフェニレンエーテル分子鎖にポリプロピレン分子鎖が化学結合した共重合体を例に挙げると、ポリフェニレンエーテル分子鎖がポリプロピレン系樹脂と非相溶のセグメントであり、ポリプロピレン分子鎖が相溶のセグメントである。これら(b)成分の具体例の中で、好ましい共重合体として、水添ブロック共重合体が挙げられる。この水添ブロック共重合体とは、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加反応して得られるブロック共重合体である。このブロック共重合体Bを構成する共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好ましい。そして共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとは、共役ジエン化合物を少なくとも70質量%以上を含有した重合体であり、共役ジエン化合物のホモ重合体または共役ジエン化合物と共重合可能なモノマーとの共重合体を意味する。そして重合体ブロックBにおけるミクロ構造(共役ジエン化合物の結合形態)は、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合量の合計量(以下ビニル結合量と略す)が40〜90%、好ましくは45〜85%である。ビニル結合量が40%未満となるとポリプロピレン樹脂との相溶性が低下する。これらの共役ジエン化合物の結合形態は通常、赤外分光スペクトルやNMRスペクトル等で知ることができ、上記ビニル結合量はこのようにして求めた上記ビニル結合の数から求めることができる。この水添ブロック共重合体は、後述のポリプロピレン樹脂のマトリックス中にポリフェニレンエーテル樹脂を分散粒子化させるための分散剤としても作用する。
【0013】
次に重合体ブロックAを構成するビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ジフェニルエチレン等のうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。
そしてビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAとは、ビニル芳香族化合物を少なくとも70質量%以上を含有した重合体であり、ビニル芳香族化合物のホモ重合体またはビニル芳香族化合物と共重合可能なモノマーとの共重合体を意味する。さらに、重合体ブロックAとしては、共役ジエン化合物を主体とし、ビニル結合量が1〜40%である重合体も用いることが可能である。
上記の構造を有するブロック共重合体の数平均分子量は5,000〜1,000,000の範囲であり、分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比〕は10以下である。さらに、このブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状又はこれら任意の組み合わせのいずれであってもよい。
このような構造を持つブロック共重合体は、それに含まれる重合体ブロックBの脂肪族系二重結合を水素添加することにより、水添ブロック共重合体、すなわちビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物として、本発明の(b)成分として用いられる。かかる脂肪族系二重結合の水素添加率は80%以上である。そして、この水素添加率は通常、赤外分光スペクトルやNMRスペクトル等によって知ることができる。
【0014】
本実施の形態に用いる(c)ポリフェニレンエーテル樹脂(以下、PPEと略す場合がある。)としては、下式の繰返し単位構造からなるホモ重合体及び/または共重合体である。:
【化1】


(ここで、R1、R2、R3及びR4 は各々同一でも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、炭素数1〜7の低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基又は少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択される。)
を有するPPEであることが好ましい。
【0015】
PPEの具体的な例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のようなポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。特に、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)がより好ましい。
また、PPEの製造方法に関しては、特に限定されるものではなく、公知の製造方法で得られるPPEであれば、本実施の形態に用いることができる。
【0016】
本実施の形態で用いるPPEとしては、上述のPPEとスチレン系モノマー及び/又はα,β−不飽和カルボン酸若しくはその誘導体(例えば、エステル化合物、酸無水物化合物)をラジカル発生剤の存在下又は非存在下で溶融状態、溶液状態又はスラリー状態で80〜350℃の温度で反応させることによって得られる公知の変性PPEを用いることも可能である。さらに上述のPPEと該変性PPEとの任意の割合の混合物であってもよい。
本実施の形態で用いるPPEとしては、その還元粘度が0.15〜2.5の範囲、好ましくは0.30〜2.00の範囲である。
前記PPEの配合量としては、(a)ポリプロピレン樹脂100質量部に対し、(c)ポリフェニレンエーテル樹脂5〜90質量部である。PPEの配合量を上記範囲に設定することは、得られるフィルムの延伸開孔性の観点から好適である。
本実施の形態で用いるPPEは上述のPPEの他に、PPEに対してポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン及び/又はゴム補強したシンジオタクチックポリスチレン等を加えたものも好適に用いることができる。
【0017】
また、本発明では、上記の成分の他に本発明の特徴及び効果を損なわない範囲で必要に応じて他の付加的成分、例えば、オレフィン系エラストマー、酸化防止剤、金属不活性化剤、熱安定剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム系化合物、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤など)、フッ素系ポリマー、可塑剤(低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、ポリオレフィン用造核剤、スリップ剤、無機または有機の充填材や強化材(ポリアクリロニトリル繊維、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、導電性金属繊維、導電性カーボンブラック等)、各種着色剤、離型剤等を添加してもかまわない。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、上記した各成分を用いて、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練方法が挙げられるが、二軸押出機を用いた溶融混練方法が最も好ましい。この際の溶融混練温度は特に限定されるものではないが、通常180〜320℃の中から任意に選ぶことができる。本発明のフィルムに成形される樹脂組成物は、リチウムイオン電池のセパレータに好適に使用できる。
【0018】
本実施の形態の樹脂組成物を用いたフィルムの製造方法はシート成形工程と延伸工程からなる製造方法が好ましく用いられる。シート成形工程においては、Tダイ押出し成形、インフレーション成形、カレンダー成形、スカイフ法等のシート成形方法を採用し得る。中でも、本実施の形態で得られるフィルムに要求される物性や用途の観点から、Tダイ押出し成形が好ましい。冷却固化温度は、フィルムの収縮を防ぐため、20〜150℃、好ましくは50℃〜120℃である。
一方、延伸工程においては、ロール、テンター、オートグラフ等により1軸方向、または/及び2軸方向に延伸する方法を採用し得る。中でも、物性や用途の観点から、ロールによる2段階以上の1軸延伸が好ましい。また、当該延伸工程の条件は、マトリックス相のガラス転移温度以上かつ分散相のガラス転移温度以下の温度で実施した。さらに、得られたフィルムの形状保持のために、120〜190℃の温度で熱固定しても良い。延伸されたフィルムの厚みは5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
【0019】
なお、本発明の樹脂組成物の分散状態は、透過型電子顕微鏡などを用いて容易に測定、観察することが可能である。また、分散相の平均粒径は、円相当平均粒子径を意味する。円相当平均粒子径とは、粒子の全周を測定し、その値を円周と見立てて粒子径を算出したものである。かかる分散形態を知るには、本発明の方法で得たペレットからミクロトーム(ライヘルト社製 ウルトラカットE)により超薄切片を作成し、ルテニウム酸により染色しそれを透過型電子顕微鏡(日本電子製 1200EX)により容易に観察出来る。具体的には得られた透過型電子顕微鏡写真をもとに画像解析装置(旭化成(株)製 IP1000)を用いて分散相の周囲長から円相当径を求め、平均粒子径および粒径分布を求めることができる。前記分散相の粒径としては、(a)成分、(b)成分よりなる樹脂組成物は0.5μm以下、好ましくは0.4μm以下で、且つ0.02μm以上であり、(a)成分、(b)成分、(c)成分よりなる樹脂組成物は10μm以下、好ましくは5μm以下で、且つ0.02μm以上である。
【0020】
本実施の形態の(a)成分(b)成分からなる樹脂組成物は、(a)成分と非相溶なセグメントのガラス転移温度以下で延伸を行うことにより、(a)成分と(b)成分の界面より開孔する。また、(a)成分、(b)成分、(c)成分からなる樹脂組成物においては、(c)成分のガラス転移温度以下で延伸を行うことにより、(a)成分と(b)成分の界面及び/又は(a)成分と(c)成分の界面が開孔する。
本発明の樹脂組成物の界面が開孔する機構について詳細は明らかではないが、(b)成分に含まれている(a)成分に非相溶のセグメントや(c)成分が延伸時のクラックの起点となり、開孔性の向上に寄与しているものと考えられる。さらに、開孔性の向上は、ガス透過性の向上が期待できる。
【実施例】
【0021】
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、使用した原材料および各種特性の評価方法については以下の通りである。
1.(a)成分
(a−1)プロピレンホモポリマー、MFR=0.4
(a−2)プロピレンホモポリマー、MFR=75
(a−3)プロピレンホモポリマー、MFR=2.5
2.(b)成分
(b−1) ポリスチレン(1)−水素添加されたポリイソプレン−ポリスチレン(2)共重合体の構造を有し、結合スチレン量48%、数平均分子量88,000、水素添加前のポリイソプレンの1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量の合計量55%、ポリスチレン(1)の数平均分子量21,000、ポリスチレン(2)の数平均分子量21,000、ポリイソプレン部水素添加率90%のスチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加物
(b−2) ポリスチレン(1)−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン(2)の構造を有し、結合スチレン量43%、数平均分子量95,000、水素添加前のポリブタジエンの1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量の合計量80%、ポリスチレン(1)の数平均分子量30,000、ポリスチレン(2)の数平均分子量10,000、ポリブタジエン部水素添加率99.9%のスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物
(b−3) ポリスチレン(1)−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン(2)の構造を有し、結合スチレン量41%、数平均分子量92,000、水素添加前のポリブタジエンの1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量の合計量35%、ポリスチレン(1)の数平均分子量28,000、ポリスチレン(2)の数平均分子量10,000、ポリブタジエン部水素添加率99.9%のスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物
【0022】
3.(c)成分のPPE
2,6−キシレノールを酸化重合して得た還元粘度0.54のPPE
(1)分散相の粒子径(μm)
明細書本文中の記載に準じて測定し、測定した平均粒径を示した。なお、分散相の粒径が測定できているということは、マトリックス相と分散相が観察されていることを意味する。
(2)開孔性
開孔性の指標は、気孔率(%)とした。なお、延伸工程の温度は以下のようにして行った。
[I] (a)成分、(b)成分からなる樹脂組成物の場合は、分散相に(b)成分中のポリスチレン鎖があるため、80℃で実施した。
[II](a)成分、(b)成分、(c)成分からなる樹脂組成物は、分散相は(b)成分の単一の分散や(c)成分が分散している相があるため、150℃で実施した。
得られたフィルムを10cm角のサンプルをとり、気孔率をその体積と質量から次式を用いて算出し、開孔性を判断した。
気孔率(%)=(体積(cm)−質量(g)/ポリマー組成物の密度)/体積(cm
×100
○:気孔率が30%以上の場合
×:気孔率が30%未満の場合
【0023】
[実施例1]
(a−1)成分85質量部、(a−2)成分15質量部、(b−1)成分10質量部を、温度180〜210℃、スクリュー回転数300rpmに設定した、第一原料供給口及び第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)を有する二軸押出機を用い、押出機の第一原料供給口から(a−1)、(a−2)、または(a−1)、(a−2)成分の一部を、また第二原料供給口から(b−1)成分、または残りの(a−1)、(a−2)成分と(b−1)成分を押出機に供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
上記のようにして得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを、口径20mm、L/D=30、220℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、押出機先端に設置したリップ厚0.5mmのTダイから押出した後、ただちに95℃に冷却したキャストロールで引き取り、前駆体フィルムを成形した。
この前駆体フィルムを130℃で1時間アニール処理し、80℃の温度で1.5倍に一軸延伸した後、150℃で熱固定を行い、フィルムを得た。得られたフィルムに対して、開孔性を気孔率より判定し、その結果を表1に示す。
【0024】
[実施例2]
(a−1)成分85質量部、(a−2)成分15質量部、(b−2)成分10質量部を、温度180〜210℃、スクリュー回転数300rpmに設定した、第一原料供給口及び第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)を有する二軸押出機を用い、押出機の第一原料供給口から(a−1)、(a−2)、(b−2)成分、または(a−1)、(a−2)成分の一部と(b−2)成分を、また第二原料供給口から残りの(a−1)、(a−2)成分を押出機に供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
上記のようにして得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いた以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価を行った。その結果を表1に示す。
【0025】
[実施例3]
(a−1)成分100質量部、(b−1)成分10質量部を、温度180〜210℃、スクリュー回転数300rpmに設定した、第一原料供給口及び第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)を有する二軸押出機を用い、押出機の第一原料供給口から(a−1)成分、または(a−1)成分の一部を、また第二原料供給口から(b−1)成分、または残りの(a−1)成分と(b−1)成分を押出機に供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
上記のようにして得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いた以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価を行った。その結果を表1に示す。
【0026】
[実施例4]
(a−1)成分85質量部、(a−2)成分15質量部、(c)成分67質量部、(b−1)成分17質量部を、温度260〜320℃、スクリュー回転数300rpmに設定した、第一原料供給口及び第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)を有する二軸押出機を用い、押出機の第一原料供給口から(a−1)、(a−2)成分と(c)成分、もしくは(a−1)、(a−2)成分の一部と(c)成分を、また第二原料供給口から(b−1)成分、もしくは残りの(a−1)、(a−2)成分、(b−1)成分を押出機に供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
上記のようにして得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを、口径20mm、L/D=30、260℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、押出機先端に設置したリップ厚0.5mmのTダイから押出した後、ただちに95℃に冷却したキャストロールで引き取り、前駆体フィルムを成形した。
この前駆体フィルムを150℃の温度で1.5倍に一軸延伸した後、170℃で熱固定を行い、フィルムを得た。得られたフィルムに対して、開孔性を気孔率より判定し、その結果を表1に示す。
【0027】
[実施例5]
(a−1)成分85質量部、(a−2)成分15質量部、(c)成分67質量部、(b−2)成分17質量部を、温度260〜320℃、スクリュー回転数300rpmに設定した、第一原料供給口及び第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)を有する二軸押出機を用い、押出機の第一原料供給口から(a−1)、(a−2)成分、(b−2)成分と(c)成分、もしくは(a−1)、(a−2)成分の一部、(b−2)成分、(c)成分を、また第二原料供給口から残りの(a−1)、(a−2)成分を押出機に供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
上記のようにして得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いた以外は、実施例4と同様の方法でフィルムを作製し、実施例4と同様の方法で評価を行った。その結果を表1に示す。
【0028】
[実施例6]
(a−3)成分100質量部、(c)成分67質量部、(b−1)成分17質量部を、温度260〜320℃、スクリュー回転数300rpmに設定した、第一原料供給口及び第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)を有する二軸押出機を用い、押出機の第一原料供給口から(a−3)成分、(c)成分、もしくは(a−3)成分の一部と(c)成分を、また第二原料供給口から(b−1)成分、もしくは残りの(a−3)成分、(b−1)成分を押出機に供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
上記のようにして得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いた以外は、実施例4と同様の方法でフィルムを作製し、実施例4と同様の方法で評価を行った。その結果を表1に示す。
【0029】
[比較例1]
(a−1)成分100質量部を口径20mm、L/D=30、220℃に設定したの単軸押出機にフィーダーを介して投入し、押出機先端に設置したリップ厚3.0mmのTダイから押出した後、ただちに溶融した樹脂に25℃の冷風をあて95℃に冷却したキャストロールで引き取り、前駆体フィルムを成形した。評価は、実施例1と同様の方法で行った。その結果を表1に示す。
【0030】
[比較例2]
(a−1)成分85質量部、(a−2)成分15質量部、(b−3)成分10質量部を、温度180〜210℃、スクリュー回転数300rpmに設定した、第一原料供給口及び第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)を有する二軸押出機を用い、押出機の第一原料供給口から(a−1)、(a−2)、または(a−1)、(a−2)成分の一部を、また第二原料供給口から(b−3)成分、または残りの(a−1)、(a−2)成分と(b−3)成分を押出機に供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
上記のようにして得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いた以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製し、実施例1と同様の方法で評価を行った。その結果を表1に示す。
【0031】
[比較例3]
(a−3)成分100質量部、(b−1)成分33質量部、(c)成分233質量部を、温度260〜320℃、スクリュー回転数300rpmに設定した、第一原料供給口及び第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)を有する二軸押出機を用い、押出機の第一原料供給口から(a−3)成分、(c)成分、もしくは(a−3)成分の一部と(c)成分、また第二原料供給口から(b−1)成分、もしくは残りの(a−3)成分、(b−1)を押出機に供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
上記のようにして得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いた以外は、実施例4と同様の方法でフィルムを作製し、実施例4と同様の方法で評価を行った。その結果を表1に示す。
【0032】
[比較例4]
(a−1)成分85質量部、(a−2)成分15質量部、(b−3)成分17質量部、(c)成分67質量部を温度260〜320℃、スクリュー回転数300rpmに設定した、第一原料供給口及び第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)を有する二軸押出機を用い、押出機の第一原料供給口から(a−1)、(a−2)成分、(b−3)成分、(c)成分と、もしくは(a−1)、(a−2)成分の一部と(b−3)成分、(c)成分、また第二原料供給口から、残りの(a−1)、(a−2)成分を押出機に供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
上記のようにして得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いた以外は、実施例4と同様の方法でフィルムを作製し、実施例4と同様の方法で評価を行った。その結果を表1に示す。
【0033】
[比較例5]
(a−1)ポリプロピレン樹脂100質量部、(c)ポリフェニレンエーテル樹脂67質量部を、温度260〜320℃、スクリュー回転数300rpmに設定した、第一原料供給口及び第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)を有する二軸押出機を用い、押出機の第一原料供給口から(c)成分、もしくは(c)成分と(a−1)成分の一部を、また第二原料供給口から(a−1)成分、もしくは残りの(a−1)成分を押出機に供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
上記のようにして得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いた以外は、実施例4と同様の方法でフィルムを作製した。その結果、延伸時にフィルムが破けたため、気孔率の測定を行えなかった。
表1の結果から、以下の内容が読み取れる。
本実施の形態で得られる樹脂組成物は開孔性に優れるが、本発明の組成の範囲外である場合、開孔性を改良できないことが明らかとなった。
【0034】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)マトリックス相を形成するポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、(b)分散相を形成する、ポリプロピレン系樹脂(a)に対して非相溶のセグメントAおよび相溶のセグメントBを有する共重合体0.5〜20質量部を含有してなる延伸開孔性に優れた樹脂組成物。
【請求項2】
(b)成分がビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合量の合計量が40〜90%である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体および/または共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合量の合計量が1〜40%未満である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合量の合計量が40〜90%である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の延伸開孔性に優れた樹脂組成物。
【請求項3】
(b)成分が少なくとも1個のポリスチレンブロックAと、全ビニル結合量が40〜80%であるイソプレンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体および/または共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合量の合計量が1〜40%未満である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと全ビニル結合量が40〜80%であるイソプレンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBからなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の延伸開孔性に優れた樹脂組成物。
【請求項4】
分散相(b)成分の平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の延伸開孔性に優れた樹脂組成物。
【請求項5】
(a)成分100質量部に対して、(c)ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜90質量部を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の延伸開孔性に優れた樹脂組成物。
【請求項6】
(a)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、(c)ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜90質量部、及び上記(a)、(c)成分の合計100質量部に対して、(b)ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合量の合計量が40〜90%である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体からなり、(c)/(b)=0.5〜5(重量比)で構成されることを特徴とする請求項5に記載の延伸開孔性に優れた樹脂組成物。
【請求項7】
(a)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、(c)ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜90質量部、及び上記(a)、(c)成分の合計100質量部に対して、(b)少なくとも1個のポリスチレンブロックAと、全ビニル結合量が40〜80%であるイソプレンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体からなり、(c)/(b)=0.5〜5(重量比)で構成されることを特徴とする請求項5又は6に記載の延伸開孔性に優れた樹脂組成物。
【請求項8】
前記樹脂組成物において、(a)成分がマトリックス相を、(b)成分および(c)成分が分散相を形成することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の延伸開孔性に優れた樹脂組成物。
【請求項9】
分散相(b)、(c)成分の平均粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の延伸開孔性に優れた樹脂組成物。

【公開番号】特開2009−242693(P2009−242693A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93273(P2008−93273)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】