延長された半減期を有する薬物融合物及びコンジュゲート
本発明は、血清半減期の改善された薬物の融合物及びコンジュゲートに関する。これら融合物及びコンジュゲートは、免疫グロブリン(抗体)単一可変ドメイン及びインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子を含む。本発明は、更に、このような薬物の融合物及びコンジュゲートを含む使用、製剤、組成物、及び装置に関する。また、本発明は、融合物及びコンジュゲートの一部として存在する2以上のインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子を含む組成物、並びにその使用及び製剤に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血清半減期の改善された薬物の融合物及びコンジュゲートに関する。これら融合物及びコンジュゲートは、免疫グロブリン(抗体)単一可変ドメイン及びインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子を含む。本発明は、更に、このような薬物の融合物及びコンジュゲートを含む使用、製剤、組成物、及び装置に関する。また、本発明は、融合物及びコンジュゲートの一部として存在する2以上のインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子を含む組成物、並びにその使用及び製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
治療及び/又は診断目的に有用であり得る活性を有する多くの薬物は、投与されたときに体内から急速に排出されるので価値が限定されている。例えば、治療上有用な活性を有する多くのポリペプチドは、腎臓を介して循環から急速に取り除かれる。したがって、望ましい治療効果を達成するためには、大用量を投与したり頻度の高い投薬レジメンを使用したりしなければならない。改善された薬物動態特性を有する改善された治療剤及び診断剤が必要とされている。
【0003】
体循環又は大循環における半減期が短いこのような薬物の分類の1つは、グルカゴン様ペプチド1等のインクレチンホルモン、及び例えばエキセンディン−4等のエキセンディン、及びPYY等の他の腸管ペプチドである。
【0004】
グルカゴン様ペプチド(GLP)−1は、強力なグルコース依存性インスリン分泌及び静グルカゴン(glucagonostatic)作用、膵臓のβ細胞に対する栄養効果、並びに消化管の分泌及び運動性に対する阻害効果を有するインクレチンホルモンであり、上記作用及び効果が組合せられて血漿グルコースを低下させ、血糖可動域を狭める。更に、GLP−1は、その満腹感を高める能力を介して食物摂取量を減らし、それによって体重増加を制限し、更には体重減少を引き起こす場合さえもある(Drucker(2002年)Gastroenterology 122:531−544、Giorgianoら(2006年)Diabetes Research and Clinical Practice 74:S152−155)、Holt(2002年)Diabetes/Metabolism Research and Reviews 18:430−441)。まとめると、これら作用は、抗糖尿病剤にとって非常に望ましいと考えられる独特のプロファイルをGLP−1に与えており、その理由は、特にその血糖降下効果がグルコース依存性であることが、重篤な低血糖症のいかなるリスクも最低限に抑えるはずであるためである。しかし、その薬物動態学的/薬力学的プロファイルは、ネイティブなGLP−1が治療上有用でないことを示すものである。したがって、GLP−1は連続的に投与されたとき非常に有効であるが、単回の皮下注射では短時間の効果しか得られない。GLP−1は、インビボにおいて酵素分解を非常に受けやすく、この酵素分解は、急速に生じ、非インスリン分泌性の代謝産物が生成されるので、恐らく、ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−IV)による開裂が最も関連性が高い(Metlein(1999年)Regulatory Peptides 85:9−244)。したがって、その代謝的安定性及び薬物動態学的/薬力学的プロファイルに影響を及ぼす要因についての理解に基いて、GLP1の治療能を利用するためのストラテジーが、研究の主な焦点であった。
【0005】
生物活性を維持しながら分解を減速させる方法でペプチダーゼを阻害するか又はGLP−1を改変することを試みる多くの研究が行われた。国際特許公開第05/027978号パンフレットは、延長された作用プロファイルを有するGLP−1誘導体について開示している。国際特許公開第02/46227号パンフレットは、GLP−1又は類似体(これら類似体についての開示は、本発明で使用することができるGLP−1類似体の例として、参照することによって本明細書に組み込まれる)に融合しているポリペプチド(例えばアルブミン)を含む異種融合タンパク質について開示している。国際特許公開第05/003296号パンフレット、国際特許公開第03/060071号パンフレット、国際特許公開第03/059934号パンフレットは、ホルモンの半減期を延長させることを試みるためにGLP−1をアルブミンと融合させたアミノ融合タンパク質について開示している。
【0006】
ペプチドYYは、摂食に応答して神経内分泌細胞によって放出される短い(36アミノ酸)タンパク質である。循環におけるPYY濃度は、食後に増加し、絶食時に減少する。ペプチドYYは、NPY受容体を通して作用を発揮して、胃の運動性を阻害し、結腸における水及び電解質の吸収を増加させる。ペプチドYYは、食事に応答して回腸及び結腸における神経内分泌細胞によって分泌され、食欲を減退させることが示されている(Ballantyne(2006年)Obesity Surgery 16:651−658、Batterham(2003年)New England Journal of Medicine 349:941−8、Boeyら(2007年)Peptides 28:390−395、およびKarraら(2009年)Journal of Physiology 587:19−25)。
【0007】
エキセンディン−4は、アメリカドクトカゲの唾液で見出されたホルモンであり、GLP−1のアゴニストであり、且つ非常に強力なインスリン分泌促進効果も有する。GLP−1とは対照的に、エキセンディン−4は非常に長いインビボ半減期を有する。
【0008】
エキセンディン−4は、グルコース代謝及びインスリン分泌の調節において、ヒトのグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)に類似する生物学的特性を示す。エキセンディン−4は、膵臓のβ細胞によるグルコース依存性のインスリン分泌を強化し、不適切に高いグルカゴン分泌を抑制し、胃内容排出を減速させる(DeFronzoら(2005年)Diabetes Care 28:5:1092−100、Edwardsら(2001年)American Journal of Physiology:Endocrinology and Metabolism 281:E155−162、Koltermanら(2003年)Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 88(7):3082−9、およびNielsenら(2004年)Regulatory Peptides 117:77−88)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
医学では、GLP−1ペプチド、PYY、エキセンディン、又はインスリン分泌促進性及び/又はインクレチン効果及び/又は食欲抑制効果を有する他の剤等のインクレチン及び/又はインスリン分泌促進剤及び/又は腸管ペプチド剤を含み、医学において、例えば糖尿病及び肥満等の代謝性病態の治療及び/又は予防において使用することができる改善された組成物が依然として非常に必要とされている。
【0010】
したがって、インクレチン/インスリン分泌促進剤/腸管ペプチド含有剤(例えば、GLP−1、エキセンディン−4、PYY)を含む新規治療用組成物を提供して、低い毒性及び治療上の利点を維持しながらインビボにおいてより強力且つより持続時間の長い作用を提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、(a)例えば(化学的又は遺伝的)融合物又はコンジュゲートとして存在する、インクレチン及び/又はインスリン分泌促進剤及び/又は腸管ペプチドから選択される(すなわち、2以上の)分子の組合せを含む単一分子(例えば単一の融合物又はコンジュゲート)を含む(又はからなる)組成物;あるいは(b)各個々の分子が1以上のインクレチン及び/又はインスリン分泌促進剤及び/又は腸管ペプチドを含む2以上の個々の分子を含む組成物を提供する。また、これら組成物(a)及び/又は(b)は、更なるタンパク質又はポリペプチド、例えば、ヒト血清アルブミン等の血清アルブミンに結合することができる半減期の延長されたタンパク質又はポリペプチド又はペプチド、例えば、dAb(ドメイン抗体)、例えば、ヒト血清アルブミン等の血清アルブミンに結合するdAb(Albudab(商標))を含んでもよい。
【0012】
1つの実施形態では、本発明は、単一の(化学的又は遺伝的)融合物又は単一のコンジュゲート分子を含む(又はからなる)組成物であって、前記融合物又はコンジュゲートが(a)インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン分子及び/又は腸管ペプチド(例えば、ペプチドYY(PYY)ペプチド、3−36PYY、エキセンディン−4、GLP、例えばGLP−1、例えばGLP−1(7−37)A8G突然変異体)から選択される2以上の分子を含むか又はこれらからなり、前記(a)が、(b)血清アルブミンに特異的に結合するドメイン抗体(dAb)(例えば、DOM7h−14(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14のアミノ酸配列は図1(h)の配列番号8に示す)、又は例えばDOM7h−14−10(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14−10のアミノ酸配列は図1(o)の配列番号15に示す)、又はDOM7h−11−15(DOM7h−11−15のアミノ酸配列は図1(P)の配列番号16に示す)、又は例えばR108C突然変異を有するDOM7h−14−10(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14−10 R108Cのアミノ酸配列は図1(r)の配列番号18に示す)、又は例えばDOM7h−11−15(Vk)ドメイン抗体(dAb)、又は例えばR108C突然変異を有するDOM7h−11−15(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−11−15 R108Cのアミノ酸配列は図1(t)の配列番号47に示す)との単一の融合物又はコンジュゲートとして存在する組成物を提供する。1つの実施形態では、融合物又はコンジュゲートは、2×GLP−1(7−37)A8G DOM7h−14 dAb融合物(DAT0114、アミノ酸配列は図1(a)の配列番号1に示す)ではない。
【0013】
別の実施形態では、単一の融合物又はコンジュゲートは、PYY(例えば、PYY3−36)と、エキセンディン(例えば、エキセンディン−4)と、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミンに結合する1以上のdAb、例えば本明細書に記載するAlbudab(商標)のうちの任意の1つとを含むか、又はこれらからなる。1つの実施形態では、単一の融合物は、図1(u)の配列番号48に示すアミノ酸配列を有する。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載又は開示する個々の融合物又はコンジュゲート化分子のいずれかを含むか又はこれからなる組成物、及び単独で投与されるか又は任意の好適な医薬賦形剤若しくは添加剤と共に製剤化されたときの(例えば、組合せについて本明細書に記載する使用のいずれかについての)前記組成物の使用を更に提供する。
【0015】
また、本発明は、本明細書に記載される個々の融合物のいずれかをコードする核酸を提供する。
【0016】
上記の1つの実施形態では、インクレチン/インスリン分泌促進剤/腸管ペプチド分子は、異なるインクレチン/インスリン分泌促進剤/腸管ペプチド分子であってもよく、同じであってもよい。また、血清アルブミンに結合するdAb(すなわちAlbudAb(商標))は、例えば国際特許公開第2006/059106号パンフレット又は国際特許公開第05/118642号パンフレット又は国際特許公開第2008096158号パンフレットまたは国際特許出願第PCT/EP2009/053640号又は米国特許出願第61/163,990号に記載又は参照されているもののうちのいずれか1つであってもよい。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、更に、2以上の個々の融合物又はコンジュゲートを含む(又はからなる)組成物であって、各融合物又はコンジュゲートが、(a)インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン分子及び/又は腸管ペプチド(例えば、PYYペプチド、3−36PYY、エキセンディン−4、GLP、例えばGLP−1、例えばGLP−1(7−37)A8G突然変異体)から選択される1以上の分子を含むかこれらからなり、前記(a)が、(b)血清アルブミンに特異的に結合するドメイン抗体(dAb)(例えば、DOM7h−14(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14のアミノ酸配列は図1(h)の配列番号8に示す)、又は例えばDOM7h−14−10(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14−10のアミノ酸配列は図1(o)の配列番号15に示す)、又はDOM7h−11−15(DOM7h−11−15のアミノ酸配列は図1(P)の配列番号16に示す)、又は例えばR108C突然変異を有するDOM7h−14−10(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14−10 R108Cのアミノ酸配列は図1(r)の配列番号18に示す)、又は例えばDOM7h−11−15(Vk)ドメイン抗体(dAb)、又は例えばR108C突然変異を有するDOM7h−11−15(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−11−15 R108Cのアミノ酸配列は図1(t)の配列番号47に示す)との単一の融合物又はコンジュゲートとして存在する組成物を提供する。1つの実施形態では、この組成物は、図1a〜1g及び図1m〜1V、並びに図3に示す分子、並びにDom7h−11−15(R108C)−PEG−3−36のPYY(10位がリシンである)分子(AlbudAb構成要素がDom7h−11−15(R108C)AlbudAbであることを除いて、図3に示す構造を有する)から選択される1以上の分子を含んでもよい。
【0018】
上記2以上の融合物又はコンジュゲートを含む(又はこれらからなる)このような組成物は、例えば、高血糖症、耐糖能異常、β細胞欠損、糖尿病(例えば、1型若しくは2型の糖尿病又は妊娠性糖尿病)非アルコール性脂肪性肝炎、多嚢胞性卵巣症候群、高脂血症、若しくは肥満、又は過食及び/又はエネルギー消費の変化を特徴とする疾患等の代謝性疾患を例えば治療又は予防するための療法において同時に、別々に、又は順次使用するための複合調製物であってもよい。
【0019】
本発明の融合物又はコンジュゲートは、例えば、高血糖症、耐糖能異常、β細胞欠損、糖尿病(例えば、1型若しくは2型の糖尿病又は妊娠性糖尿病)非アルコール性脂肪性肝炎、多嚢胞性卵巣症候群、高脂血症、若しくは肥満、又は過食及び/又はエネルギー消費の変化を特徴とする疾患等の代謝性疾患を例えば治療又は予防するための療法において同時に、別々に、又は順次使用するための複合調製物として、一緒に又は順次投与されるとき相乗作用を示すことができる(相乗作用とは、投与されたときの効果が、それぞれを単独で投与したときの効果を単純に足し合わせた効果よりも高いことを意味する)。
【0020】
また、相乗作用は、1分子に2以上のインクレチン又はインスリン分泌促進剤又は腸管ペプチドが存在することに起因する場合もあり、AlbudAbとインクレチン又はインスリン分泌促進剤又は腸管ペプチドとの間の相互作用に起因する場合もある。
【0021】
本発明に係る組成物のいずれか1つでは、インクレチン及び/又はインスリン分泌促進性分子及び/又は腸管ペプチドは、例えば、PYYペプチド、例えば3−36又は13−36;エキセンディン−4、GLP、例えばGLP−1、例えばGLP−1(7−37)A8G突然変異体から選択されてもよく、あるいは、例えばインクレチン/インスリン分泌促進活性を保持することができるこれらペプチドの突然変異体、類似体、又は誘導体であってもよい。GLP、PYY、エキセンディンは、国際特許公開第2006/059106号に記載されているもののうちのいずれであってもよい。これらペプチドの突然変異体、類似体、又は誘導体は、インクレチン及び/又はインスリン分泌促進活性を保持しているものであってよい。
【0022】
インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子(例えば、PYY、エキセンディン、GLP−1等)は、dAbとの融合物(又はコンジュゲート)として存在するとき、dAbのN末端又はC末端のいずれか、あるいはdAb配列内の点に連結することができる。1つの実施形態では、1以上のインクレチン及び/又はインスリン分泌促進剤及び/又は腸管ペプチド分子は、dAbのN末端との融合物(又はコンジュゲート)として存在し、また、1以上のインクレチン及び/又はインスリン分泌促進剤及び/又は腸管ペプチド分子は、dAbのC末端との融合物(又はコンジュゲート)としても存在する。
【0023】
また、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子、例えば、エキセンディン−4及び/又はGLP−1を例えばdAbと接合させるアミノ酸又は化学リンカーが任意で存在してもよい。リンカーは、ヘリカルリンカー、例えば、図1(k)の配列番号11に示す配列のヘリカルリンカーであってもよく、又は例えば図1(l)の配列番号12に示すアミノ酸配列を有するgly−serリンカーであってもよい。
【0024】
あるいは、リンカーは、例えばPEGリンカー、例えば図3に示すPEGリンカーであってもよい。
【0025】
特定の実施形態では、本発明の融合物(又はコンジュゲート)は、更なる分子、例えば更なるペプチド又はポリペプチドを含んでもよい。
【0026】
1つの実施形態では、本発明は、以下の2つの個々の分子を含むか又はこれらからなる組成物を提供する:
(a)エキセンディン−4、(G4S)3リンカー、7h−14AlbudAb(DAT0115、図1bの配列番号2に提示されるアミノ酸配列を有する)である遺伝的融合物;及び
(b)リシン(PYYの10位に導入される)及び4回反復PEGリンカーを介してC末端がアミド化されたPYY3−36にコンジュゲートしているDom7h−14−10(R108C)AlbudAbであるペプチドコンジュゲート。線は、Dom7h−14−10(R108C)AlbudAbの自由C末端システインとPYY配列の10位のリシンとを共有結合しているリンカーを表す。このペプチドコンジュゲートのアミノ酸配列及び構造は、以下の通りである(図3の配列番号30にも示す)。
【化1】
【0027】
(配列番号37)
式中、Dom7h−14−10(R108C)のC末端システインは、リンカーを介してPYYペプチドにおけるリシンに共有結合している。
【0028】
化学リンカーは、以下の構造を有する:
【化2】
【0029】
上記2つの分子、(a)エキセンディン−4、(G4S)3リンカー、7h−14 AlbudAbである遺伝的融合物:(DAT0115、図1bに提示されるアミノ酸配列)、及び(b):
リシン及び(図3に示す構造の)4回反復PEGリンカーを介してPYY3−36にコンジュゲートしているDom7h−14−10(R108C)AlbudAbであるペプチドコンジュゲートは、本明細書に記載される療法で同時、別々、又は順次に使用するのに好適な複合調製物として存在してもよい。
【0030】
あるいは、上記組成物では、ペプチドコンジュゲート(b)(図3に示す構造である)は、以下の分子によって置換されてもよい:Dom7h−11−15(R108C)−PEG−3−36PYY(10位がリシン)(AlbudAb構成要素がDom7h−11−15(R108C)であることを除いて図3に示す構造を有する)。
【0031】
上記組成物の更に別の代案では、ペプチドコンジュゲート(b)(図3に示されている構造である)は、以下の分子によって置換されてもよい:図1(v)の配列番号49に示されているアミノ酸配列を有するPYY−Dom7h−14−10融合物。
【0032】
更なる実施形態では、本発明は、PYY(例えばPYY3−36)と、エキセンディン(例えばエキセンディン−4)と、1以上のAlbudAb、例えば、本明細書に記載するAlbudAbのうちのいずれかとを含むかこれらからなる組成物を提供する。1つの実施形態では、単一の融合物は、図1(u)の配列番号48に示すアミノ酸配列を有する。
【0033】
Dom7h−14は、血清アルブミンに結合するヒト免疫グロブリン単一可変ドメイン又はdAb(Vk)であり、そのアミノ酸配列は、図1(h)の配列番号8に示されている。Dom7h−14 dAbのCDR領域は、図1(h)の配列番号8に示されているアミノ酸配列において強調されている。
【0034】
Dom7h−14−10は、血清アルブミンに結合するヒト免疫グロブリン単一可変ドメイン又はdAb(Vk)であり、そのアミノ酸配列は、図1(h)の配列番号8に示されている。Dom7h−14−10 dAbのCDR領域は、図1(o)の配列番号15に示されているアミノ酸配列において強調されている。
【0035】
Dom7h−11−15は、血清アルブミンに結合するヒト免疫グロブリン単一可変ドメイン又はdAb(Vk)であり、そのアミノ酸配列は、図1(p)の配列番号16に示されている。Dom7h−11−15 dAbのCDR領域は、図1(p)の配列番号16に示されているアミノ酸配列において強調されている。
【0036】
R108C突然変異を有するDom7h−14−10は、血清アルブミンに結合するヒト免疫グロブリン単一可変ドメイン又はdAb(Vk)であり、そのアミノ酸配列は、図1(R)の配列番号18に示されている。
【0037】
R108C突然変異を有するDom7h−11−15は、血清アルブミンに結合するヒト免疫グロブリン単一可変ドメイン又はdAb(Vk)であり、そのアミノ酸配列は、図1(t)に示されている。
【0038】
R108C突然変異とは、未変異配列におけるC末端のアルギニンがシステインによって置換されている突然変異を指し、本発明の1つの態様では、本明細書に記載されるAlbudAbのうちのいずれかがこの突然変異を有してもよい。
【0039】
本発明で使用する「融合物」は、血清アルブミンに結合するdAbを1つの部分として含み、且つインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子である更なる部分を含む融合タンパク質を指す。血清アルブミン及びインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子に結合するdAbは、単一の連続ポリペプチド鎖の別個の部(部分)として存在してもよい。dAbとインクレチン/インスリン分泌促進剤/腸管ペプチド部分とは、ペプチド結合を通して互いに直接結合してもよく、好適なアミノ酸、又はペプチド、又はポリペプチドのリンカーを通して結合してもよい。必要に応じて、追加の部分、例えば、(例えば、第3、第4の)ペプチド又はポリペプチド及び/又はリンカー配列が存在してもよい。dAbは、インクレチン/インスリン分泌促進剤/腸管ペプチド分子に対してN末端に位置してもよく、C末端に位置してもよく、内部に存在してもよい。特定の実施形態では、融合タンパク質は、1以上(例えば、1〜約20)のdAb部分を含有する。
【0040】
本発明で使用する「コンジュゲート」は、インスリン分泌促進剤/インクレチン/腸管ペプチド分子に共有結合又は非共有結合している血清アルブミンに結合するdAbを含む組成物を指す。インスリン分泌促進剤/インクレチン/腸管ペプチド分子は、dAbに直接共有結合してもよく、好適なリンカー部分を通して間接的に共有結合してもよい。インスリン分泌促進剤/インクレチン/腸管ペプチド分子は、アミノ末端、カルボキシ末端等の任意の好適な位置で、又は天然の若しくは改変された好適なアミノ酸側鎖(例えば、リシンのεアミノ基又はシステインのチオール基)を通してdAbに結合することができる。あるいは、インスリン分泌促進剤/インクレチン/腸管ペプチド分子は、dAbに直接(例えば、静電相互作用、疎水性相互作用)又は間接的に(例えば、相補的な結合パートナー(例えば、ビオチン及びアビジン)の非共有結合を通して、この場合、一方のパートナーがインスリン分泌促進剤/インクレチン分子に共有結合し、相補的な結合パートナーがdAbに共有結合する)非共有結合することができる。dAbは、N末端に位置してもC末端に位置してもよく、あるいは、インクレチン/インスリン分泌促進性/腸管ペプチド分子に対して内部に存在してもよい。特定の実施形態では、コンジュゲートタンパク質は、1以上(例えば、1〜約20)のdAb部分を含有する。
【0041】
また、本発明は、例えば図2に示す核酸を含む、本発明に記載する融合物をコードする核酸を含む組成物を提供する。
【0042】
また、これら核酸を含む宿主細胞、例えば、非胚性宿主細胞、例えば、原核生物又は真核生物(哺乳類等)の宿主細胞、例えば、大腸菌又は酵母の宿主細胞を提供する。
【0043】
本発明は、更に、本発明の融合物を生成する方法であって、本発明の融合物をコードする組換え核酸を発現させるのに好適な条件下で、前記組換え核酸及び/又はコンストラクトを含む上記の宿主細胞等の宿主細胞を維持して、融合物を生成させることを含む方法を提供する。
【0044】
また、本発明は、本発明の組成物を含む医薬組成物を提供する。
【0045】
本発明は、更に、例えば、高血糖症、耐糖能異常、β細胞欠損、糖尿病(例えば、1型若しくは2型の糖尿病又は妊娠性糖尿病)非アルコール性脂肪性肝炎、多嚢胞性卵巣症候群、高脂血症、又は肥満、又は過食を特徴とする疾患等の代謝性疾患又は病態の治療において使用するため等、医学において使用するための本発明の組成物を提供し、例えば、前記組成物は、食欲を抑えたりエネルギー消費、膵臓炎を変化させたりするために用いることができ、また、腫瘍成長、例えば膵臓の腫瘍成長(例えば膵臓腺癌)を予防するために用いることもでき、治療上有効な量の本発明の組成物を前記個体に投与することを含む。また、本発明は、膵臓炎を治療及び/又は予防するため、また腫瘍成長、例えば、膵臓の腫瘍成長(例えば膵臓腺癌)を予防するために(単独で用いようと組合せて用いようと)用いるための本明細書に記載するPYY AlbudAbのうちのいずれかを含む組成物を提供する。
【0046】
また、本発明は、疾患又は障害、例えば本明細書に記載する疾患又は障害、例えば、高血糖症、耐糖能異常、β細胞欠損、糖尿病(例えば、1型若しくは2型の糖尿病又は妊娠性糖尿病)、非アルコール性脂肪性肝炎、多嚢胞性卵巣症候群、高脂血症、又は肥満、又は過食を特徴とする疾患等の代謝性疾患又は病態を有する個体を治療する方法を提供し、例えば、食欲を抑えたりエネルギー消費、膵臓炎を変化させたりするために用いることができ、また、腫瘍成長、例えば膵臓の腫瘍成長を予防するために用いることもでき;治療上有効な量の本発明の組成物を前記個体に投与することを含む。
【0047】
本発明に従って治療又は予防することができる他の代謝性疾患又は病態としては、インスリン抵抗性、インスリン欠乏、高インスリン血症、高血糖症、脂質異常症、高脂血症、高ケトン血症、高グルカゴン血症、高血圧症、冠動脈疾患、アテローム性動脈硬化、腎不全、ニューロパシー(例えば自律性ニューロパシー、副交感神経ニューロパシー及び多発性ニューロパシー)、網膜症、白内障、代謝障害(例えばインスリン及び/又はグルコース代謝障害)、内分泌障害、肥満、体重減少、肝臓障害(例えば肝疾患、脂肪肝、肝硬変、及び肝臓移植に関連した障害)及びこれら疾患又は障害に関連する病態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
更に、本発明の化合物で予防又は治療することができる糖尿病に関連する病態としては、高血糖症、肥満、糖尿病性網膜症、モノニューロパシー、多発性ニューロパシー、アテローム性動脈硬化、潰瘍、心疾患、卒中、貧血、(例えば足及び手の)壊疽、不能症、感染症、白内障、腎臓機能の低下、自律神経系の機能不全、白血球機能異常、手根管症候群、デュピュイトラン拘縮、及び糖尿病性ケトアシドーシスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
また、本発明は、高血糖に関連する疾患を治療又は予防する方法であって、少なくとも1用量の組成物、例えば、本発明の医薬組成物を患者又は被験体に投与することを含む方法を提供する。
【0050】
本願に患者又は被験体と記載するとき、これは、ヒト又は非ヒトの患者又は被験体を意味し得る。
【0051】
本発明は、更に、本発明のコンジュゲート又は融合物を用いて、患者のインスリン応答性を調節する方法、並びに細胞によるグルコースの取り込みを増加させる方法、及び細胞のインスリン感受性を調節する方法に関する。また、患者におけるインスリンの合成及び放出を刺激する方法、インスリンの取り込みに対する脂肪、筋肉、又は肝臓の組織の感受性を強化する方法、グルコースの取り込みを刺激する方法、消化過程を減速させる方法、食欲を減退させる方法、エネルギー消費を変化させる方法、又はグルカゴンの分泌をブロックする方法であって、本発明の組成物を前記患者に投与すること、例えば、少なくとも1用量の組成物、例えば本発明の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0052】
本発明の組成物、例えば医薬組成物は、単独で投与されてもよく、例えば以下のような他の分子又は部分と組合せて投与されてもよい:ポリペプチド、治療用タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミンの分子に共有結合している2分子のGLP−1であるAlbiglutide(商標))及び/又は分子(例えば、インスリン及び/又は他のタンパク質(抗体を含む)、ペプチド、又は患者におけるインスリン感受性、体重、心疾患、高血圧、ニューロパシー、細胞代謝、及び/又はグルコース、インスリン、若しくは他のホルモン濃度を調節する小分子)。特定の実施形態では、本発明のコンジュゲート又は融合物は、インスリン(又はインスリンの誘導体、類似体、融合タンパク質、又は分泌促進物質)と組合せて投与される。
【0053】
また、本発明は、例えば、高血糖症、膵臓炎、糖尿病(1型若しくは2型の糖尿病又は妊娠性糖尿病)、又は肥満、又は腸の運動過剰を特徴とする疾患等の代謝性障害等の上記疾患又は障害のうちのいずれか等の疾患又は障害の治療において用いるための、また、腫瘍成長、例えば膵臓の腫瘍成長(例えば膵臓腺癌)を予防するための本発明の組成物を提供する。
【0054】
また、本発明は、例えば、高血糖症、糖尿病(1型若しくは2型の糖尿病又は妊娠性糖尿病)、又は肥満、膵臓炎、又は腸の運動過剰を特徴とする疾患等の代謝性障害、また例えば膵臓の腫瘍成長(例えば膵臓腺癌)等の上記疾患又は障害のうちのいずれか等の疾患又は障害を治療するための薬剤の製造における本発明の組成物の使用を提供する。
【0055】
また、本発明は、療法、診断、又は予防において用いるための本明細書に記載する組成物のうちのいずれかの使用に関する。
【0056】
本発明の組成物、例えば組成物のdAb成分は、例えば、PEG基、血清アルブミン、トランスフェリン、トランスフェリン受容体又は少なくともそのトランスフェリン結合部分、抗体のFc領域を結合させることによって、又は抗体のドメインにコンジュゲートさせることによって、半減期を更に延長させるためにより大きな流体力学的サイズを有するように更にフォーマット化されてもよい。例えば、血清アルブミンに結合するdAbは、抗体のより大きな抗原結合断片としてフォーマット化されてもよい(例えば、Fab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、IgG、scFvとしてフォーマット化される)。
【0057】
この開示全体を通して記載する本発明の他の実施形態では、本発明の融合物において「dAb」を使用する代わりに、当業者は、血清アルブミンに特異的に結合するdAbのCDR、例えば、血清アルブミンに結合するDom7h−14又はDom7h−14−10又はDom7h−14−10R108CのCDRを含むドメインを使用することができる(例えば、CDRは、好適なタンパク質のスカフォールド又はスケルトン、例えば抗体、SpAスカフォールド、LDL受容体クラスAドメイン、又はEGFドメインにグラフトされてもよい)と考えられる。したがって、全体としての開示は、dAbの代わりにこのようなドメインの開示を提供すると解釈される。
【0058】
特定の実施形態では、本発明は、血清アルブミンに結合する本発明に係る第1のdAb、例えば本明細書に記載するもののうちのいずれか、例えばDom7h−14と、前記第1のdAbと同じ又は異なる結合特異性を有する第2のdAbと、任意で、多重特異的リガンドの場合は更なるdAbとを含む二重特異的リガンド又は多重特異的リガンドを含む本発明に係る組成物を提供する。第2のdAb(又は更なるdAb)は、任意で、異なる標的、例えばFgFr1c又はCD5標的に結合してもよい。
【0059】
本発明の他の実施形態では、dAb成分は、参照することによって詳細が本明細書に組み込まれる国際特許公開第2008096158号パンフレット又は国際特許公開第05118642号パンフレットに開示されているdAbのうちのいずれかであってもよい。
【0060】
したがって、1つの態様では、本発明は、非経口投与、例えば、皮下、筋肉内、又は静脈内注射、吸入、鼻送達、経粘膜(例えば舌下)送達、経皮膚、経皮、口腔送達、患者のGI管への送達、直腸送達、又は目送達によって送達するための本発明の組成物を提供する。1つの態様では、本発明は、皮下注射又は筋肉内による送達、経皮送達、吸入、静脈内送達、鼻送達、経粘膜送達、口腔送達、患者のGI管への送達、直腸送達又は目送達するための薬剤の製造における本発明の融合物又はコンジュゲートの使用を提供する。
【0061】
1つの態様では、本発明は、皮下、筋肉内、又は静脈内注射、吸入、鼻送達、経粘膜(例えば舌下)送達、経皮膚、経皮、口腔送達、患者のGI管への送達、直腸送達又は目送達による患者への送達方法であって、治療上有効な量の本発明の融合物又はコンジュゲートを患者に投与することを含む方法を提供する。
【0062】
1つの態様では、本発明は、本発明の融合物又はコンジュゲートを含む経口、注射可能、吸入可能、噴霧可能、局所用又は目用の製剤を提供する。前記製剤は、錠剤、丸剤、カプセル剤、液剤、又はシロップ剤、又は軟膏剤であってもよい。1つの態様では、本発明は、例えば飲料として、例えば肥満治療のための減量用飲料として販売されている飲料として、経口投与されてもよい。1つの態様では、本発明は、患者に直腸内送達するための製剤を提供し、前記製剤は、例えば坐剤として提供されてもよい。
【0063】
GLP−1化合物を非経口投与するための組成物は、例えば、国際特許公開第03/002136号パンフレット(参照することによって本明細書に組み込まれる)に記載されている通り調製することができる。
【0064】
特定のペプチドを鼻に投与するための組成物は、例えば、欧州特許第272097号明細書(Novo Nordisk A/S)又は国際特許公開第93/18785号パンフレット(全て、参照することによって本明細書に組み込まれる)に一般的に記載されている通り調製することができる。
【0065】
用語「被験体」又は「個体」は、本発明では、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ラット、マウス、又は他のウシ科、ヒツジ、ウマ科、イヌ科、ネコ科の動物、げっ歯類又はネズミ科の種が挙げられるが、これらに限定されない哺乳類等の動物を含むと定義される。
【0066】
また、本発明は、本発明の組成物と、薬物送達装置と、任意で使用説明書とを含む、本発明に係る組成物の被験体(例えば、ヒトの患者)への投与において使用するためのキットを提供する。組成物は、例えばフリーズドライ製剤等の製剤として提供され得る。特定の実施形態では、薬物送達装置は、注射器、ペン型注射装置、吸入器、鼻内又は目への投与装置(例えば噴霧器、点眼器、又は点鼻器)及び無針注射装置からなる群より選択される。
【0067】
本発明の組成物(例えば、コンジュゲート又は融合物)は、保存のために凍結乾燥させてもよく、使用前に好適な担体中で再構成してもよい。任意の好適な凍結乾燥方法(例えば、噴霧乾燥、ケーク乾燥)及び/又は再構成技術を使用してもよい。凍結乾燥及び再構成は、抗体の活性喪失の程度を変化させる恐れがあり、それを補うために使用レベルを調節しなければならない場合があることを当業者は認識するであろう。特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載する凍結乾燥(フリーズドライ)組成物を含む組成物を提供する。好ましくは、凍結乾燥(フリーズドライ)組成物は、再水和されたとき、活性(例えば、血清アルブミンに対する結合活性)のうちの多くても約20%、又は多くても約25%、又は多くても約30%、又は多くても約35%、又は多くても約40%、又は多くても約45%、又は多くても約50%を失う。活性は、凍結乾燥される前の組成物の効果を生じさせるのに必要な組成物の量である。例えば、所望の期間に所望の血清濃度を達成及び維持するのに必要なコンジュゲート又は融合物の量である。組成物の活性は、凍結乾燥前に任意の好適な方法を用いて求めることができ、失われた活性の量を求めるために再水和後に同じ方法を用いて活性を求めてもよい。
【0068】
また、本発明は、本発明の組成物を含む持続放出製剤を提供し、このような持続放出製剤は、例えば、ヒアルロン酸、ミクロスフィア、又はリポソーム、並びに他の薬学的に又は薬理学的に許容できる担体、賦形剤、及び/又は希釈剤と組合せられた本発明の組成物を含んでもよい。このような持続放出製剤は、例えば、坐剤の形態であってもよい。
【0069】
1つの態様では、本発明は、本発明の組成物と、薬学的に又は薬理学的に許容できる担体、賦形剤、及び/又は希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1−1】(a)DAT0114(配列番号1)、(b)DAT0115(配列番号2)、(c)DAT0116(配列番号3)、(d)DAT0117(配列番号4)のアミノ酸配列を示す。
【図1−2】(e)DAT0118(配列番号5)、(f)DAT0119(配列番号6)(g)DAT0120(配列番号7)(h)Dom7h−14(配列番号8)((Albudab(商標)))(CDRが強調されている)、(i)GLP−1 7−37 A(8)G(配列番号9)のアミノ酸配列を示す。
【図1−3】(j)エキセンディン−4(配列番号10)、(k)ヘリカルリンカー(配列番号11)(l)Gly−serリンカー(配列番号12)、(m)エキセンディン4、(G4S)3、リンカーDOM7h−14−10融合物(DMS7139:配列番号13)、(n)エキセンディン4、(G4S)3、リンカーDOM7h−11−15融合物(DMS7143:配列番号14)、(o)DOM7h−14−10(配列番号15)のアミノ酸配列を示す。
【図1−4】(p)DOM7h−11−15(Albudab(商標))(配列番号16)、(q)OmpT AWAシグナルペプチド(リーダー)(配列番号17)、(r)DOM7H−14−10 R108C突然変異体(Albudab(商標)(配列番号18)、(s)PYY3−36(PEGで誘導された10位のリシンを有する)(配列番号19)(t)7h−11−15R108C(Albudab(商標))(配列番号47);(u)DAT0116R108C:190PYY(配列番号48)のアミノ酸配列を示す。
【図1−5】(V)PYY−Dom7h−14−10 albudabの遺伝的融合物(配列番号49)のアミノ酸配列を示す。
【図2−1】(a)DAT0114(哺乳類コンストラクト)(配列番号20)、(b)DAT0115(哺乳類コンストラクト)(配列番号21)の核酸配列を示す。
【図2−2】(c)DAT0115(大腸菌コンストラクトのために最適化された)(配列番号22)、(d)DAT0116(哺乳類コンストラクト)(配列番号23)の核酸配列を示す。
【図2−3】(e)DAT0116(大腸菌コンストラクトのために最適化された)(配列番号24)、(f)DAT0117(哺乳類のコンストラクト)(配列番号25)の核酸配列を示す。
【図2−4】(g)DAT0117(大腸菌コンストラクトのために最適化された)(配列番号26)、(h)DAT0118(哺乳類コンストラクト)(配列番号27)の核酸配列を示す。
【図2−5】(i)DAT0119(哺乳類コンストラクト)(配列番号28)、(j)DAT0120(哺乳類コンストラクト)(配列番号29)の核酸配列を示す。
【図2−6】(k)Dom7h−14(配列番号30)、(l)エキセンディン4、(G4S)3、リンカーDOM7h−14−10融合物(DMS7139:配列番号31)の核酸配列を示す。
【図2−7】(m)エキセンディン4、(G4S)3、リンカーDOM7h−11−15融合物(DMS7143:配列番号32)(n)Dom 7h−14−10(配列番号33)、(o)Dom 7h−11−15(配列番号34)の核酸配列を示す。
【図2−8】(p)Omp AWAシグナルペプチド(配列番号35)、(q)Dom 7h−14−10 R(108)C(配列番号36)の核酸配列を示す。
【図3】リシン及び4回反復PEGリンカーを介してPYY3−36にコンジュゲートしているDom7h−14−10(R108C)albudabであるペプチドコンジュゲートを示す。この分子は、実施例7〜9に詳述する実験で使用した。(配列番号37)
【図4】ペプチド−AlbudAbで処理されたDIOマウスにおける経時的な体重の変化を示す。
【図5】ペプチド−AlbudAbで処理されたDIOマウスにおける経時的な食餌摂取量の変化を示す。
【図6】ペプチド−AlbudAbで処理されたDIOマウスにおける体脂肪率(%)を示す(ベースライン及び15日目)。
【図7】ペプチド−AlbudAbで処理されたマウスにおけるDIOマウス(ベースライン対15日目)の体脂肪及び除脂肪質量(Lean Mass)の変化を示す。
【図8】ペプチド−AlbudAbで処理されたDIOマウスにおける内分泌腺検体の測定値を示す。
【図9】ペプチド−AlbudAbの組合せ及び対照で処理されたDIOマウスの肝臓における組織病理学的変化を示す。
【図10】ペプチド−AlbudAbで処理されたdb/dbマウスにおけるグリコシル化ヘモグロビン A1cの測定値を示す。
【図11】ペプチド−AlbudAbで処理されたdb/dbマウスにおけるHbA1c(%)の変化(ベースライン対16日目)を示す。
【図12】ペプチド−AlbudAbで処理されたdb/dbマウスにおける血漿インスリンレベル(16日目)を示す。
【図13】ペプチド−AlbudAbで処理されたdb/dbマウスにおける経時的な体重の変化を示す。
【図14】ペプチド−AlbudAbで処理されたdb/dbマウスにおける経時的な食餌摂取量の変化を示す。
【図15−1】以下のリーダー:(a)ompA(大腸菌由来)(配列番号38)、(b)ompA−AMA(人工配列)(配列番号39)、(c)ompA−AWA(人工配列)(配列番号40)、(d)ompT(大腸菌由来)(配列番号41)、(e)ompT−AMA(人工配列)(配列番号42)、(f)GAS(出芽酵母由来)(配列番号43)、(g)GAS−AMA(人工配列)(配列番号44)のアミノ酸配列を示す。
【図15−2】(h)GAS−AWA(人工配列)(配列番号45)(i)PelB(軟腐病菌)(配列番号46)のアミノ酸配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本明細書中では、本発明は、明確且つ簡潔な説明を記載することができるように実施形態を参照して説明される。実施形態は、本発明から逸脱することなく様々に組合せたり分離したりできることを意図し、またそのように認識されるべきである。
【0072】
他に別段の定義がされない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、(例えば、細胞培養、分子遺伝学、核酸化学、ハイブリダイゼーション技術、及び生化学の)当業者に一般的に理解される意味と同じ意味を有する。分子遺伝学的及び生化学的方法(一般的に、参照することによって本明細書に組み込まれるSambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版.(1989年)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.及びAusubelら,Short Protocols in Molecular Biology(1999年)第4版,John Wiley&Sons,Inc.を参照されたい)及び化学的方法の標準的な技術が用いられる。
【0073】
本発明で使用する用語「インスリン分泌促進剤」は、ホルモンであるインスリンの合成、又は発現、又は活性を刺激することができるか、又は刺激を引き起こすことができる化合物を意味する。インスリン分泌促進剤の公知の例としては、例えば、グルコース、GIP、GLP、エキセンディン(例えば、エキセンディン−4及びエキセンディン−3)、PYY(例えば、3−36 PYY)及びOXMが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
本発明で使用する用語「インクレチン」は、グルコースレベルが正常であるとき、又は特にグルコースレベルが高いときに放出される量の増加を引き起こす種類の胃腸ホルモンを意味する。一例として、インクレチンとしては、GLP−1、GIP、OXM、VIP、及びPP(膵臓ポリペプチド)が挙げられる。
【0075】
腸管ペプチドは、シグナル伝達機能を提供する腸管の異なる部分における様々な細胞から放出されるペプチドの分類であり、PYYも腸管ペプチドの一例である。
【0076】
ポリペプチドに言及するとき本発明で使用する用語「類似体」は、ペプチドの1以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基によって置換されている及び/又は1以上のアミノ酸残基がペプチドから欠失している及び/又は1以上のアミノ酸残基がペプチドから欠失している及び/又は1以上のアミノ酸残基がペプチドに付加されている改変ペプチドを意味する。このようなアミノ酸残基の付加又は欠失は、ペプチドのN末端及び/又はペプチドのC末端で生じてよく、ペプチド内で生じてもよい。GLP−1の類似体は、単純なシステムを用いて説明される:例えば、GLP−1 A8G(7−37アミノ酸)は、8位における天然のアラニンがグリシン残基で置換されているGLP−1類似体を意味する。ペプチド類似体及びその誘導体の式は、IUPAC−IUB命名法に従って用いられるアミノ酸の標準的な一文字略記を用いて記載される。
【0077】
本発明で使用する「断片」は、ポリペプチドに対する言及において使用されるとき、完全な天然ポリペプチドのアミノ酸配列の一部と同じであるが全てが同じ訳ではないアミノ酸配列を有するポリペプチドである。断片は、「自立型」であってもよく、単一のより大きなポリペプチドにおける単一の連続する領域として断片がその一部又は領域を形成しているより大きなポリペプチド内に含まれていてもよい。一例として、天然のGLP−1の断片は、天然のアミノ酸1〜36のうちのアミノ酸7〜36を含む。更に、ポリペプチドの断片は、天然の部分配列の変異体であってもよい。例えば、天然のGLP−1のアミノ酸7〜30を含むGLP−1の断片は、その部分配列内にアミノ酸置換を有する変異体であってもよい。
【0078】
本発明の好適なインスリン分泌促進剤の例としては、GLP−1、GLP−1誘導体、GLP−1類似体、又はGLP−1類似体の誘導体が挙げられる。更に、エキセンディン−4、エキセンディン−4類似体、及びエキセンディン−4誘導体又は断片、並びにエキセンディン−3、エキセンディン−3誘導体、及びエキセンディン−3類似体、PYY、PYY−1誘導体、PYY−1類似体、又はPYY−1類似体の誘導体、PYY断片(例えば、3−36及び/又は13−36PYY)も挙げられる。
【0079】
本発明で使用する用語「GLP−1」は、GLP−1(7−37)、GLP−1(7−36)、GLP−1(7−35)、GLP−1(7−38)、GLP−1(7−39)、GLP−1(7−40)、GLP−1(7−41)、GLP−1類似体、GLP−1ペプチド、GLP−1誘導体、又はGLP−1類似体の突然変異体若しくは断片若しくは誘導体を意味する。このようなペプチド、突然変異体、類似体、及び誘導体は、インスリン分泌促進剤である。
【0080】
例えば、GLP−1は、図1(i)の配列番号9に示すアミノ酸配列を有するGLP−1(7−37)A8G突然変異体であってもよい。
【0081】
更に、GLP−1類似体は、GLP−1(7−36)及びその機能的誘導体を含み、且つGLP−1(1−36)又はGLP−1(1−37)のインスリン分泌促進活性を越えるインスリン分泌促進活性を有するペプチド断片、並びにインスリン分泌促進剤としてのその使用に関する国際特許出願第90/11296号パンフレット(The General Hospital Corporation)に記載されている(特に本発明で使用するための薬物の一例として、参照することによって本明細書に組み込まれる)。
【0082】
国際公開第91/11457号パンフレット(Buckleyら)は、本発明に係るGLP−1薬物としても有用である可能性がある活性GLP−1ペプチド7−34、7−35、7−36、及び7−37の類似体を開示している(特に本発明で使用するための薬物又は剤の一例として、参照することによって本明細書に組み込まれる)。
【0083】
本発明で使用する用語「エキセンディン−4ペプチド」は、エキセンディン−4(1−39)、エキセンディン−4類似体、エキセンディン−4ペプチドの断片、エキセンディン−4誘導体、又はエキセンディン−4類似体の誘導体を意味する。このようなペプチド、断片、類似体、及び誘導体は、インスリン分泌促進剤である。エキセンディン−4(1−39)のアミノ酸配列を図1(j)の配列番号10に示す。
【0084】
本発明にとって有用である更なるエキセンディン類似体は、国際公開第99/25728号パンフレット(Beeleyら)、国際公開第99/25727号パンフレット(Beeleyら)、国際公開第98/05351号パンフレット(Youngら)、国際公開第99/40788号パンフレット(Youngら)、国際公開第99/07404号パンフレット(Beeleyら)及び国際公開第99/43708号パンフレット(Knudsenら)に開示されている(特に本発明で使用するための薬物又は剤の一例として、参照することによって本明細書に組み込まれる)。
【0085】
本発明で使用する用語PYYは、摂食に応答して放出される短い(36アミノ酸)タンパク質であるペプチドYYを指す。環におけるPYY濃度は、食後に増加し、絶食時に減少する。また、活性を保持しているPYYペプチドの断片(例えば活性断片)、例えば3−36及び13−36、並びにPYY類似体及び誘導体も本発明で有用である。
【0086】
本発明で使用する「ペプチド」は、ペプチド結合を介して互いに接合される2〜約50個のアミノ酸を指す。
【0087】
本発明で使用する「ポリペプチド」は、ペプチド結合を介して互いに接合される少なくとも50個のアミノ酸を指す。ポリペプチドは、一般的に、三次構造を含み、機能的ドメインに折り畳まれる。
【0088】
本発明で使用する「ディスプレイシステム」は、物理的、化学的、又は機能的な特徴等の所望の特徴に基づいて選択するためにポリペプチド又はペプチドのコレクションにアクセス可能なシステムを指す。ディスプレイシステムは、(例えば、溶液中の、好適な支持体に固定化されている)ポリペプチド又はペプチドの好適なレパートリーであってもよい。また、ディスプレイシステムは、細胞発現系(例えば、形質転換された、感染した、トランスフェクトされた、又は形質導入された細胞における核酸のライブラリの発現、及び細胞の表面におけるコードされたポリペプチドのディスプレイ)又は無細胞発現系(例えば、エマルションコンパートメンタリゼーション及びディスプレイ)を使用する系であってもよい。代表的なディスプレイシステムは、核酸のコード化機能と、前記核酸によってコードされているポリペプチド又はペプチドの物理的、化学的、及び/又は機能的特徴とを関連づける。このようなディスプレイシステムが使用されるとき、所望の物理的、化学的、及び/又は機能的特徴を有するポリペプチド又はペプチドを選択することができ、選択されるポリペプチド又はペプチドをコードする核酸を容易に単離又は回収することができる。核酸のコード化機能と、ポリペプチド又はペプチドの物理的、化学的、及び/又は機能的特徴とを関連づける多くのディスプレイシステムが当技術分野において公知であり、例えば、バクテリオファージディスプレイ(ファージディスプレイ、例えば、ファージミドディスプレイ)、リボソームディスプレイ、エマルションコンパートメンタリゼーション及びディスプレイ、酵母ディスプレイ、ピューロマイシンディスプレイ、細菌ディスプレイ、プラスミドにおけるディスプレイ、共有ディスプレイ等である。(例えば、欧州特許第0436597号明細書(Dyax)、米国特許第6,172,197号明細書(McCaffertyら)、米国特許第6,489,103号明細書(Griffithsら)を参照されたい)。
【0089】
本発明で使用する「機能的」とは、特異的結合活性等の生物活性を有するポリペプチド又はペプチドを説明する。例えば、用語「機能的ポリペプチド」は、その抗原結合部位を通して標的抗原に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む。
【0090】
本発明で使用する「標的リガンド」は、ポリペプチド又はペプチドによって特異的又は選択的に結合されるリガンドを指す。例えば、ポリペプチドが抗体又はその抗原結合断片であるとき、標的リガンドは、任意の所望の抗原又はエピトープであってもよい。標的抗原に対する結合は、機能的であるポリペプチド又はペプチドに依存する。
【0091】
本発明で使用する抗体は、天然に抗体を産生する任意の種に由来していようと、組換えDNA技術によって作製されていようと、血清、B細胞、ハイブリドーマ、トランスフェクトーマ、酵母、又は細菌から単離されていようと、IgG、IgM、IgA、IgD、若しくはIgE又は断片(Fab、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド結合されたFv、scFv、閉構造多重特異的抗体、ジスルフィド結合されたscFv、ダイアボディ等)を指す。
【0092】
本発明で使用する「抗体フォーマット」は、任意の好適なポリペプチド構造に抗原に対する結合特異性を付与するために1以上の抗体可変ドメインを組み込むことができる構造を指す。様々な好適な抗体フォーマットが当技術分野において公知であり、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、単鎖抗体、二特異性抗体、抗体重鎖、抗体軽鎖、抗体重鎖及び/又は軽鎖のホモダイマー及びヘテロダイマー、前述のいずれかの抗原結合断片(例えば、Fv断片(例えば単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合したFv)、FAb断片、Fab’断片、F(ab’)2断片)、単一抗体可変ドメイン(例えばdAb、VH、VHH、VL)、及び前述のいずれかの改変バージョン(例えば、ポリエチレングリコール又は他の好適なポリマー又はヒト化VHHの共有結合によって改変される)である。
【0093】
語句「免疫グロブリン単一可変ドメイン」とは、他のV領域又はドメインとは独立に抗原又はエピトープに特異的に結合する抗体の可変ドメイン(VH、VHH、VL)を指す。免疫グロブリン単一可変ドメインは、単一免疫グロブリン可変ドメインによる抗原結合に他の領域又はドメインが必要ではない(すなわち、免疫グロブリン単一可変ドメインは、更なる可変ドメインとは独立に抗原に結合する)、他の可変領域又は可変ドメインとのフォーマット(例えば、ホモ又はヘテロ多量体)で存在してもよい。「ドメイン抗体」又は「dAb」は、これらの用語が本明細書で使用されるとき、「免疫グロブリン単一可変ドメイン」と同一である。「単一の免疫グロブリン可変ドメイン」は、本発明で使用される「免疫グロブリン単一可変ドメイン」と同じである。「単一抗体可変ドメイン」は、この用語が本明細書で使用されるとき、「免疫グロブリン単一可変ドメイン」と同じである。免疫グロブリン単一可変ドメインは、1つの実施形態では、ヒト抗体可変ドメインであるが、げっ歯類(例えば、参照することによってその全文が本明細書に組み込まれる国際公開第00/29004号パンフレットに開示されている)、テンジクザメ、及びラクダ科のVHHdAb等の他の種に由来する単一抗体可変ドメインも含む。ラクダ科のVHHは、ラクダ、ラマ、アルパカ、ヒトコブラクダ及びグアナコを含む種に由来する免疫グロブリン単一可変ドメインポリペプチドであり、これらは、天然に軽鎖が欠けている重鎖抗体を産生する。VHHは、ヒト化することもできる。
【0094】
「ドメイン」は、タンパク質の残りと無関係の三次構造を有する折り畳まれたタンパク質構造である。一般的に、ドメインは、タンパク質の別々の機能特性に関与しており、多くの場合、タンパク質及び/又はドメインの残りの機能を失うことなく付加、除去、又は他のタンパク質に転移することができる。「単一抗体可変ドメイン」は、抗体可変ドメインに特徴的な配列を含む折り畳まれたポリペプチドドメインである。したがって、単一抗体可変ドメインは、完全な抗体可変ドメイン、並びに例えば、1以上のループが抗体可変ドメインに特徴的ではない配列、あるいは切頭されているか又はN末端若しくはC末端に伸長を含む抗体可変ドメインによって置換されている改変可変ドメイン、並びに完全長ドメインの少なくとも結合活性及び特異性を保持する可変ドメインの折り畳まれた断片を含む。
【0095】
用語「ライブラリ」とは、異種のポリペプチド又は核酸の混合物を指す。ライブラリは、各々が単一のポリペプチド又は核酸配列を有するメンバーで構成される。この点で、「ライブラリ」は、「レパートリー」と同義である。ライブラリ中に存在する多様性は、ライブラリのメンバー間の配列の差に起因する。ライブラリは、ポリペプチド又は核酸の単純な混合物の形態をとってもよく、核酸のライブラリで形質転換された生物又は細胞、例えば、細菌、ウイルス、動物、又は植物の細胞等の形態であってもよい。1つの実施形態では、各個々の生物又は細胞は、1つのみ又は制限された数のライブラリメンバーを含有する。1つの実施形態では、核酸は、前記核酸によってコードされるポリペプチドを発現させるために、発現ベクターに組み込まれる。したがって、ライブラリが宿主生物の集団の形態をとり得る態様では、各生物は、発現してその対応するポリペプチドメンバーを生成することができる核酸形態でライブラリの単一メンバーを含有する発現ベクターのうちの1以上のコピーを含有する。したがって、宿主生物の集団は、多様なポリペプチドの多くのレパートリーをコードする能力を有する。
【0096】
本発明で使用する用語「用量」は、全てが1度に被験体に投与されるか(単位用量)、又は規定の時間間隔で2回以上被験体に投与される融合物又はコンジュゲートの量を指す。例えば、用量は、1日間(24時間)(日用量)、2日間、1週間、2週間、3週間、又は1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、又は6ヶ月間、又はそれ以上の期間に(例えば、単回投与によって又は2回以上の投与によって)被験体に投与される融合物又はコンジュゲートの量を指す場合もある。用量間の間隔は、任意の所望の時間量であってよい。
【0097】
語句「半減期」は、例えば、天然の機序による分解及び/又はクリアランス又は隔離に起因して、融合物又はコンジュゲートの血清中又は血漿中濃度がインビボで50%低下するのにかかる時間を指す。本発明の組成物は、インビボで安定化され、分解及び/又はクリアランス又は隔離に対して耐性である血清アルブミン分子、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合させることによって半減期が増加される。これら血清アルブミン分子は、それ自体インビボにおける半減期が長い天然タンパク質である。半減期の長い分子に対して特異的ではない類似の分子よりも長い期間、インビボで機能活性が持続している場合、分子の半減期は増加している。例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)並びにインクレチン及び/又はインスリン分泌促進剤及び/又は腸管ペプチド、例えばGLP−1、PYY、又はエキセンディンに対して特異的なdAbを含む本発明の組成物は、HSAに対する特異性が存在しない、すなわちHSAに結合しないが別の分子には結合する同じリガンドと比較される。例えば、前記リガンドは、細胞における第3の標的に結合することができる。典型的には、半減期は、10%、20%、30%、40%、50%又はそれ以上増加する。半減期を2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、又はそれ以上の範囲で増加させることが可能である。あるいは、又は更に、半減期を最大30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、150倍増加させることが可能である。
【0098】
本発明で使用する「流体力学的サイズ」は、水溶液を通じた分子の拡散に基づいた分子(例えば、タンパク質分子、リガンド)の見掛けのサイズを指す。溶液を通じたタンパク質の拡散又は移動を処理してタンパク質の見掛けのサイズを導くことができ、この場合前記サイズは、タンパク質粒子の「ストークス半径」又は「流体力学的半径」によって得られる。タンパク質の「流体力学的サイズ」は、質量及び形状(立体構造)に依存し、その結果、同じ分子量を有する2つのタンパク質は、タンパク質の全体の立体構造に基づいて様々な流体力学的サイズを有する場合がある。
【0099】
2つの配列間の「相同性」又は「同一性」又は「類似性」(これら用語は本発明では互換的に用いられる)の計算は、以下の通り実施される。最適に比較する目的のために配列をアラインメントする(例えば、最適なアラインメントのために第1及び第2のアミノ酸又は核酸のうちの一方又は両方にギャップを導入してもよく、比較のために非相同配列を無視してもよい)。1つの実施形態では、比較のためにアラインメントするレファレンス配列の長さは、前記レファレンス配列の長さのうちの少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、80%、90%、100%である。次いで、対応するアミノ酸位置又は核酸位置におけるアミノ酸残基又はヌクレオチドを比較する。第1の配列中のある位置が第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドで占められている場合、分子は、その位置において同一である(本発明で使用するアミノ酸又は核酸の「相同性」は、アミノ酸又は核酸の「同一性」に等しい)。2つの配列間の同一性割合は、前記2つの配列を最適にアラインメントするために導入する必要のあるギャップ数及び各ギャップの長さを考慮して、前記配列が共有している同一の位置数の関数である。本発明で定義されるアミノ酸及び核酸配列のアラインメント、及び相同性、類似性、又は同一性は、デフォルトのパラメータを用いてアルゴリズムBLAST 2 Sequencesを用いて調製し、求めることができる(Tatusova,T.A.ら,FEMS Microbiol Lett,174:187−188(1999年))。
【0100】
アミノ酸配列の翻訳後修飾:アミノ酸配列の翻訳後修飾は、天然で生じる場合もあり、これらは、例えば、残基の脱アミド化又はN末端の環化又は付加又は欠失を含む場合があることが知られている。したがって、本発明は、このような翻訳後修飾、例えば、配列の脱アミド化形態から生じる、本明細書に開示する配列の変異体を含む。
【0101】
核酸、宿主細胞:
本発明は、本明細書に記載する本発明の組成物、例えば融合物をコードする単離及び/又は組換え核酸に関する。
【0102】
本明細書で「単離」と称される核酸は、そのオリジナルの環境(例えば、細胞内又はライブラリ等の核酸の混合物中)における他の物質(例えば、ゲノミックDNA、cDNA、及び/又はRNA等の他の核酸)から分離されている核酸である。単離核酸は、ベクター(例えば、プラスミド)の一部として単離することができる。
【0103】
本発明で「組換え」と称される核酸は、例えば、制限酵素、相同的組換え、ウイルス等を用いてベクター又は染色体にクローニングする等の人工的組換えに依る方法を含む組換えDNA法によって生成される核酸、及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて調製される核酸である。
【0104】
また、本発明は、本明細書に記載する本発明の組成物、例えば融合物をコードする核酸を含む(1以上の)組換え核酸又は発現コンストラクトを含む、例えば哺乳類又は微生物等の組換え宿主細胞に関する。また、本明細書に記載する本発明の組成物、例えば融合物を調製する方法であって、融合ポリペプチドの発現に適切な条件下で本発明の組換え宿主細胞、例えば哺乳類又は微生物の組換え宿主細胞を維持することを含む方法を提供する。前記方法は、必要に応じて、融合物を単離又は回収する工程を更に含んでもよい。
【0105】
例えば、本発明の組成物、例えば本発明の融合ポリペプチドをコードする核酸分子(すなわち、1以上の核酸分子)、又はこのような核酸分子を含む発現コンストラクト(すなわち、1以上のコンストラクト)を好適な宿主細胞に導入して、選択された宿主細胞に適切な任意の方法(例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、感染)を用いて組換え宿主細胞を作製することができ、その結果、前記核酸分子は、1以上の発現制御エレメントに機能的に連結される(例えば、ベクターにおいて、細胞内過程によって作製されたコンストラクトにおいて、宿主細胞のゲノムに組み込まれる)。得られる組換え宿主細胞は、発現に好適な条件下で(例えば、インデューサの存在下で、好適な動物において、適切な塩、成長因子、抗生物質、栄養補助物質等を添加した好適な培養培地において)維持することができ、それによって、コードされているペプチド又はポリペプチドが生成される。必要に応じて、コードされているペプチド又はポリペプチドを(例えば、哺乳類、動物、宿主細胞、培地、乳から)単離又は回収してもよい。このプロセスは、トランスジェニック動物の宿主細胞における発現を包含する(例えば、国際公開第92/03918号パンフレット、GenPharm Internationalを参照されたい)。ペプチド又は融合タンパク質又はコンジュゲートは、次いで、発現宿主において、培養培地において、精製中又は精製後、例えば、C末端のアミド化を介して、例えば化学的又は酵素的に更に修飾されてもよい。
【0106】
また、本明細書に記載する本発明の組成物、例えば融合ポリペプチドは、例えば化学合成又は任意の他の好適な方法によって好適なインビトロ発現系において生成することができる。
【0107】
本明細書に記載及び例証される本発明の組成物、例えば融合物及びコンジュゲートは、一般的に、高い親和性で血清アルブミンに結合する。
【0108】
例えば、融合物又はコンジュゲートは、(表面プラズモン共鳴によって測定されたとき)、例えば、400〜800nm、例えば、600nmで約5μM〜約100pM、例えば、約1μM〜約100pMの親和性(KD;KD=Koff(kd)/Kon(ka))でヒト血清アルブミンに結合することができる。
【0109】
本発明の組成物、例えば融合物又はコンジュゲートは、大腸菌又はピキア属の種(例えば、ピキア・パストリス)において発現することができる。1つの実施形態では、融合物は、大腸菌若しくはピキア属の種(例えば、ピキア・パストリス);又は哺乳類細胞培養(例えば、CHO又はHEK239細胞)で発現するとき、少なくとも約0.5mg/Lの量で分泌される。本明細書に記載する融合物又はコンジュゲートは、大腸菌若しくはピキア属の種、又は哺乳類細胞で発現するとき分泌可能であるが、これらは、大腸菌又はピキア属の種を使用しない合成化学法又は生物学的生成法等の任意の好適な方法を用いて生成することもできる。
【0110】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、有効な量が投与されたとき、国際公開第2006/059106号パンフレット(例えば、国際公開第2006/059106号パンフレットの104〜105ページ)又は本明細書の実施例に記載される動物モデル等の動物モデルにおいて有効である。一般的に、有効な量は、約0.0001mg/kg〜約10mg/kg(例えば、約0.001mg/kg〜約10mg/kg、例えば、約0.001mg/kg〜約1mg/kg、例えば、約0.01mg/kg〜約1mg/kg、例えば、約0.01mg/kg〜約0.1mg/kg)である。疾患のモデルは、ヒトにおける治療有効性の指標であると当業者に認識されている。
【0111】
一般的に、本発明の組成物は、薬理学的又は生理学的に適切な担体と共に精製形態で利用される。典型的には、これら担体は、水溶液又はアルコール/水溶液、エマルション又は懸濁剤、生理食塩水及び/又は緩衝媒体を含む任意の担体を含んでもよい。非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンゲル液、デキストロース及び塩化ナトリウム、及び乳酸加リンゲル液を挙げることができる。好適な生理学的に許容できる佐剤は、懸濁液中にポリペプチド複合体を維持する必要がある場合、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、及びアルギン酸塩等の増粘剤、スクロース、トレハロース、ソルビトール、tween−20又はtween−80等の洗剤から選択することができる。
【0112】
静脈内用ビヒクルとしては、流体及び栄養補充液及び電解質補充液、例えば、リンゲル液に基づくもの等が挙げられる。また、保存剤、並びに抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、及び不活性気体等の他の添加剤が存在してもよい(Mack(1982年)Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版)。徐放製剤を含む様々な好適な製剤を用いてもよい。
【0113】
本発明に係る医薬組成物の投与経路は、当業者に一般的に知られているものであってよい。療法については、本発明の薬物の融合物又はコンジュゲートを標準的な技術に従って任意の患者に投与することができる。
【0114】
投与は、非経口的に、静脈内に、経粘膜送達(例えば舌下)、皮下注射によって、筋肉内に、腹腔内に、経口的に、経皮的に、経粘膜的に、肺経路を介して、鼻送達を介して、GI送達、直腸内送達、又は目送達を含む適切なモードによって行うことができ、あるいは適切にカテーテルにより直接注入してもよい。投薬量及び投与頻度は、患者の年齢、性別、及び症状、他の薬物の同時投与、使用禁忌、及び医師が考慮すべき他のパラメータに依存する。投与は、指定の通り局所であっても全身であってもよい。
【0115】
本発明の組成物は、保存用に凍結乾燥させてもよく、使用前に好適な担体で再構成してもよい。この技術は、従来の免疫グロブリンで有効であることが示されており、当技術分野において公知である凍結乾燥及び再構成技術を使用することができる。当業者は、凍結乾燥及び再構成が抗体の活性喪失の程度を変化させる恐れがあり(例えば、従来の免疫グロブリンでは、IgM抗体は、IgG抗体よりも活性の喪失が大きい傾向がある)、それを補うために使用レベルを上方調整しなければならない場合があることを認識する。
【0116】
予防的適用では、例えば、糖尿病前症又はインスリン抵抗性の個体に投与するとき、本融合物又はコンジュゲートを含有する組成物は、疾患の発症を予防する、阻害する、又は遅延させるために(例えば、寛解又は静止状態を維持するか、又は急性相を防ぐために)、同様又は僅かに低い投薬量で投与されてもよい。当業者は、疾患を治療、抑制、又は予防するための適切な投薬間隔を求めることができる。疾患を治療、抑制、又は予防するために本発明の組成物を投与するとき、1日当たり4回以内、1日当たり1回、1週間に2回、1週間に1回、2週間毎に1回、1ヶ月に1回、2ヶ月毎に1回、3ヶ月毎に1回、6ヶ月毎に1回、又はより長い間隔で、例えば、約0.0001mg/kg〜約10mg/kg(例えば、約0.001mg/kg〜約10mg/kg、例えば、約0.001mg/kg〜約1mg/kg、例えば、約0.01mg/kg〜約1mg/kg、例えば、約0.01mg/kg〜約0.1mg/kg)の用量で投与してよい。
【0117】
本明細書に記載される組成物を用いて実施される治療又は療法は、治療前に存在する1以上の症状に対して、又はこのような組成物若しくは他の好適な対照で処理されていない個体(ヒト又はモデル動物)における1以上の症状に対して、1以上の症状又は徴候が(例えば、少なくとも10%、又は臨床評価尺度において少なくとも1ポイント)低減又は緩和される場合「有効」であると考えられる。症状は、標的とされる疾患又は障害の正確な性質に依存して明らかに変化するが、当業者又は技術者によって測定することができる。
【0118】
同様に、本明細書に記載する組成物を用いて実施される予防は、前記組成物で処理されていない同様の個体(ヒト又はモデル動物)における1以上の症状に対して、1以上の症状又は徴候の発症又は重篤度が遅延、低減、又は消滅された場合「有効」である。
【0119】
本発明の組成物は、他の治療剤又は活性剤、例えば、他のポリペプチド又はペプチド又は小分子と併用投与されてもよい。これら更なる剤としては、例えば、メトホルミン、インスリン、グリタゾン(例えば、ロサグリタゾン)、免疫抑制剤、免疫刺激剤等の様々な薬物を挙げることができる。
【0120】
本発明の組成物は、1以上の更なる治療剤又は活性剤と一緒に投与及び/又は製剤化されてもよい。本発明の組成物が追加の治療剤と共に投与される場合、融合物又はコンジュゲートは、前記追加の剤の投与前に、投与と同時に、投与と共に、又は投与後に投与されてもよい。一般的に、本発明の組成物及び追加の剤は、治療効果が重複するように投与される。
【0121】
半減期:
インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子、例えば、GLP−1、PYY、又はエキセンディンリガンドの半減期が増加することは、インビボにおける用途において有用である。本発明は、インビボにおけるインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド薬物、例えば、GLP及びエキセンディンの半減期を増加させることによってこの問題を解決し、結果として、これら分子の機能活性の体内における持続時間を長くする。
【0122】
本明細書に記載するとき、本発明の組成物は、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子単独と比べて、インビボにおける血清又は血漿半減期を劇的に延ばす及び/又はAUCを増加させる及び/又は平均滞留時間(MRT)を増加させることができる。更に、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子の活性は、一般的に、本発明の組成物(例えば、コンジュゲート又は融合物)において実質的に変化しない。しかし、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子単独と比較して本発明の組成物の活性が若干変化することは許容でき、一般的に、本発明の組成物の薬物動態特性を改善することによって補われる。例えば、本発明の組成物は、インクレチン/インスリン分泌促進性単独よりも低い親和性で標的に結合する可能性があるが、組成物の薬物動態特性が改善されたことによって(例えば、インビボにおける血清半減期の延長、AUCの増加)、インクレチン/インスリン分泌促進剤単独に比べてほぼ同等又はより優れた効力を有する。更に、本発明の組成物の半減期が増加したことにより、本発明の組成物は、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド薬物単独よりも低い頻度で投与することができる、例えば、1ヶ月に1回又は1週間に1回患者に投与してもよく、また、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド単独の投与よりも血中のインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド剤の濃度をより一定にすることができるので、所望の治療又は予防効果が達成される。
【0123】
リガンドの半減期の薬物動態分析及び測定の方法は、当業者によく知られている。詳細は、Kenneth,Aら:Chemical Stability of Pharmaceuticals:A Handbook for Pharmacists及びPetersら,Pharmacokinetc analysis:A Practical Approach(1996年)に見出すことができる。また、tα及びtβ半減期及び曲線下面積(AUC)等の薬物動態パラメータについて記載している「Pharmacokinetics」,M Gibaldi&D Perron,Marcel Dekker発行,第2版(1982年)も参照されたい。
【0124】
半減期(t1/2α及びt1/2β)及びAUC及びMRTは、時間に対するリガンドの血漿又は血清濃度の曲線から求めることができる。例えば、WinNonlin分析パッケージ(Pharsight Corp.,Mountain View,CA94040,USAから入手可能)を用いて、曲線をモデル化することができる。第1の相(α相)では、リガンドは、患者の体内に主に分配されるが、一部は排出される。第2の相(β相)は、リガンドが分配され、リガンドが患者からなくなるとともに血清濃度が低下するときの終末相である。tα半減期は第1の相の半減期であり、tβ半減期は第2の相の半減期である。更に、当技術分野において周知である非コンパートメント適合モデルを用いて半減期を求めることもできる。
【0125】
1つの実施形態では、本発明は、本発明に係る融合物又はコンジュゲートを含む組成物であって、前記融合物又はコンジュゲートが、例えば、ヒト被験体において、約12時間以上、例えば約12時間〜約21日間、例えば約24時間〜約21日間、例えば約2〜8日間、例えば約3〜4日間の範囲の排出半減期を有する組成物を提供する。
【0126】
本発明の組成物、すなわち、本明細書に記載する融合物及びコンジュゲートを含む組成物は、幾つかの更なる利点を提供する。ドメイン抗体成分は、非常に安定であり、抗体及び抗体の他の抗原結合断片に比べて小さく、大腸菌又は酵母(例えば、ピキア・パストリス)又は哺乳類細胞(例えばCHO細胞)で発現することによって高収率で生成することができ、且つ血清アルブミンに結合する抗体の抗原結合断片を、ヒト起源のライブラリ又は任意の所望の種から容易に選択することができる。したがって、血清アルブミンに結合するdAbを含む本発明の組成物は、哺乳類細胞(例えば、ヒト、ヒト化、又はキメラ抗体)で一般的に生成される治療剤よりも容易に生成することができ、免疫原性ではないdAbを用いることもできる(例えば、ヒトdAbをヒトの疾患の治療又は診断に用いることができる)。
【0127】
血清アルブミンに結合するdAbを含有する薬物組成物の一部であるとき、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子の免疫原性が低下する場合がある。したがって、本発明は、(インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子単独よりも)免疫原性が低下し得る、又は血清アルブミンに結合するdAbを含有する薬物組成物の状況において実質的に免疫原性でなくなり得る組成物を提供する。したがって、このような組成物は、被験体の免疫系による抗薬物抗体の同化に起因する効果の喪失を最小限に抑えながら経時的に繰り返し被験体に投与することができる。
【0128】
更に、本明細書に記載する組成物は、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド剤単独よりも高い安全性プロファイル及び少ない副作用を有することができる。例えば、dAbの血清アルブミン結合活性の結果として、本発明の融合物又はコンジュゲートは、血管循環における滞留時間が長くなる。更に、本発明の組成物は、血液脳関門を通過したり、全身投与(例えば、静脈内投与)後中枢神経系に蓄積したりすることが実質的に不可能である。したがって、本発明の組成物は、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド剤単独と比べて、安全性は高く且つ副作用は少なく投与することができる。同様に、本発明の組成物は、薬物単独よりも特定の器官(例えば、腎臓又は肝臓)に対する毒性が低い場合がある。
【実施例】
【0129】
実施例1:GLP−1(A8G)又はエキセンディン−4とDOM7h−14 AlbudAbとの遺伝融合物の発現:
エキセンディン−4又はグリシンによって置換された8位のアラニンを有するGLP−1(7−37)([Gly8]GLP−1)のいずれかを、DOM7h−14(以下に示すアミノ酸配列を有する血清アルブミン(albudab)に結合するドメイン抗体(dAb))との融合物としてpTT−5ベクター(CNRC,Canadaから入手可能)にクローニングした。いずれの場合も、GLP−1又はエキセンディン−4がコンストラクトの5’末端に存在し、dAbが3’末端に存在していた。図1(A〜G)に示すアミノ酸配列を有する合計7つのコンストラクト(DAT0114、DAT0115、DAT0116、DAT0117、DAT0118、DAT0119、DAT0120)を作製した。GLP−1又はエキセンディン−4とdAbとの間には、リンカーが存在しないか、あるいはgly−serリンカー(G4S×3)、ヘリカルリンカー(「Design of the linkers which effectively separate domains of a bifunctional fusion protein.」Protein Eng 14(8):529−32.456)、又はGLP−1若しくはエキセンディン−4とdAbとの間の第2のGLP−1部分からなるリンカーが存在していた。リンカーは、GLP−1又はエキセンディン−4をdAbから分離して、GLP−1又はエキセンディン−4とGLP−1受容体との間の結合の立体障害を防ぐためのスペーサとして含まれていた。コンストラクトの配列を図1(A〜G)の配列番号1〜7に示す。
【0130】
(Qiagen CAから入手可能な内毒素を含まないプラスミドGigaキットを用いて)アルカリ溶解を用いて大腸菌で内毒素を含まないDNAを調製し、それを用いてHEK293E細胞(CNRC,Canadaから入手可能)をトランスフェクトした。フラスコ1個当たり333μLの293fectin(Invitrogen)及び250μgのDNAを用いて、1.75×106細胞/mLで250mL/フラスコのHEK293E細胞にトランスフェクションし、5日間30℃で発現させた。上清を遠心分離によって回収し、プロテインLを用いて親和性精製を行った。タンパク質を樹脂にバッチ結合させ、カラムにパックし、10カラム体積のPBSで洗浄した。タンパク質を0.1Mのグリシン(pH2)50mLで溶出し、Tris(pH8)で中和した。予測されるサイズのタンパク質をSDS−PAGEゲルで同定した。サイズを以下の表1に示す。
【表1】
【0131】
実施例2:GLP−1及びエキセンディン−4 AlbudAb融合物が血清アルブミンに結合することを示す:
GLP−1及びエキセンディン−4 AlbudAb融合物を、表面プラズモン共鳴(GE Healthcareから入手可能なBiacore AB)によって分析して、親和性に関する情報を得た。血清アルブミンでコーティングされたCM5 Biacoreチップ(カルボキシメチル化デキストランマトリクス)を用いて分析を実施した。約1000共鳴単位(RU)の試験される各血清アルブミン(ヒト、ラット、及びマウスの血清アルブミン)をpH5.5の酢酸バッファで固定化した。Biocore ABのフローセル1は、コーティングされておらず且つブロッキングされているネガティブコントコールであり、フローセル2は、ヒト血清アルブミン(HSA)(815RU)でコーティングされており、フローセル3は、ラット血清アルブミン(RSA)(826RU)でコーティングされており、フローセル4は、マウス血清アルブミン(MSA)(938RU)でコーティングされていた。試験した各融合分子を上記実施例に記載の通り哺乳類組織培養で発現させた。
【0132】
BIACORE HBS−EPバッファ(0.01MのHEPES、pH7.4、0.15MのNaCl、3mMのEDTA、0.005%の界面活性剤P20)で希釈することによって様々な濃度の融合分子を調製し(16nM〜2μMの範囲)、BIACOREチップに流した。
【0133】
親和性(KD)の領域におけるdAbの濃度によって作成されるトレースに会合速度(on−rate)及び解離速度(off−rate)曲線を当てはめることによって、BIACOREトレースからKDを計算した。KD(親和性)を以下の表2に要約する。
【表2】
【0134】
上記結果は、融合分子が全ての種類の血清アルブミンに結合する能力を保持していることを立証し、これは、インビボにおける半減期が延長されている可能性があることを示唆する。
【0135】
実施例3:GLP−1及びエキセンディン−4 AlbudAb融合物は、GLP−1受容体結合アッセイ(GLP−1R BA)において活性である:
融合物を100mMのNaVI、20mMのクエン酸塩(pH6.2)でバッファ交換した。一方、CHO 6CRE GLP1R細胞(ルシフェラーゼレポーター遺伝子をドライブする6つのcAMP応答エレメントで安定にトランスフェクトされ、ヒトGLP−1受容体も有するCHO K1細胞(American Type Tissue Collection,ATCCから入手可能))を、懸濁培地に2×105細胞/mLで播種した。懸濁培養を24時間維持した。次いで、2mMのLグルタミン(2.5×105細胞/mL)を含有する15mMのHEPESバッファ(Sigmaから入手可能)で細胞を希釈し、アッセイされる化合物を10μL/ウェル含有する384ウェルプレートに分配した。アッセイ対照の添加後、プレートをインキュベータに戻して、37℃及び5%CO2で3時間インキュベートした。インキュベーション後、steady gloルシフェラーゼ基質(Promegaから入手可能)をキットに記載の通りウェルに添加し、プレートを自己接着性プレートシール(Weber Marking Systems Inc.カタログ番号607780)で密封した。プレートをリーダー(Viewlux,Perkin Elmer)に入れ、5分間プレインキュベートした後、蛍光を読み取り、結果をプロットした。10μMのアルブミンの存在又は不在下にて、様々な濃度の化合物でアッセイして、アルブミンの有り無しで用量応答曲線を当てはめた。EC50を計算し、以下の表3に要約した:
【表3】
【0136】
上記結果は、試験した融合分子が全てGLP−1受容体に結合する効力を保持していることを実証する。また、上記結果は、この効力が血清アルブミンの存在下で保持されていることを示す。したがって、これら融合分子は、インビボにおいてGLP−1受容体に結合する能力を保持している可能性がある。
【0137】
実施例4:HEK293哺乳類組織培養におけるDAT0115、DAT0116、DAT0117、及びDAT0120の発現、次いで、プロテインL親和性捕捉及びイオン交換クロマトグラフィーによる精製:
本実験の目的は、インビボ及びインビボにおける特性評価のためにタンパク質を生成することであった。既に記載の通り、HEK293E細胞における哺乳類組織培養でpTT−5ベクターからタンパク質を発現させた。簡潔に述べると、内毒素を含まないDNAを調製し、精製し、それを用いてHEK293E細胞をトランスフェクトした。振盪インキュベータ内で30℃にて5日間タンパク質を発現させ、培養物をスピンダウンし、上清(対象タンパク質を含有する)を回収した。プロテインLアガロースstreamline親和性樹脂(樹脂はGE Healthcare製、プロテインLはインハウスでカップリングした)において親和性捕捉によって上清からタンパク質を精製した。次いで、約10カラム体積のPBSで樹脂を洗浄し、次いで、約5カラム体積の0.1Mグリシン(pH2.0)でタンパク質を溶出した。この場合(前述の例と対照的に)、次いで、更なる精製を行った。タンパク質(tris−グリシン中)を20mMの酢酸(pH5.0)でバッファ交換した後、Aktaを用いて、予め20mMの酢酸(pH5.0)で平衡化された1つ(又は並行して2つ)の6mLのresource Sカラム(GE healthcare)にロードした。同じバッファで洗浄した後、20mMの酢酸(pH5.0)中の0〜0.75M又はNaCl勾配を介してタンパク質を溶出した。次いで、SDS−PAGE電気泳動及び質量分析によって正確なサイズの画分を同定し、次いで、合わせて最終的なタンパク質サンプルを作製した。次いで、タンパク質を20mMのクエン酸塩(pH6.2)、100mMのNaClでバッファ交換し、0.5〜5mg/mLに濃縮した。タンパク質を0.2μMのフィルタで濾過して、確実に滅菌した。
【0138】
実施例5:PYY(3−36)Dom7h−14−10(R108C)AlbudAbペプチドコンジュゲート(図3に示す構造を有する)(これはリシン及び4回反復PEGリンカーを介してPYY3−36にコンジュゲートされているDom7h−14−10(R108C)albudabである)の生成:
Dom7h−14−10(R108C)albudabを、以下に記載する通り大腸菌で発現させ精製した。DOM7h−14−10(R108C)をコードする遺伝子をベクターpET30にクローニングした。発現ベクターにクローニングするために、5’にNdeI制限酵素部位を有し、続いてPEL Bリーダー配列(図15(i)の配列番号46に示すアミノ酸配列)を有するアセンブリPCRとして融合物を生成した。ベクター及びアセンブリPCRをNdeI及びBamHI制限エンドヌクレアーゼで切断し、次いで、Quick Ligation Kit(NEB)を用いてインサートをベクターにライゲーションした。このライゲーション物2マイクロリットルをMachI細胞の形質転換に用いた。回復増殖期間後、カルベニシリンを含有する寒天プレートに細胞をプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。コロニーの配列を決定し、正確な配列を含有するものをプラスミドの増殖及び単離に用いた(Plasmid Mini Prep kit,Qiagen)。BL21(DE3)細胞をプラスミドDNAで形質転換し、得られたコロニーを発現培養物の接種に用いた。50mLの変法TB培地(Sigma)を含有する250mLのフラスコに接種することによって発現させ、これをOD=0.1で接種し、次いで、50mg/mLのカナマイシンを添加して30℃で増殖させた。A600=0.5〜1にて、細胞をIPTGで誘導し最終濃度を50μMにし、23℃で一晩増殖を続けた。次いで、培養上清を1時間3700×gで遠心分離することによって清澄化した。次いで、プロテインL streamline(GE Healthcare,カタログ番号28−4058−03,プロテインLがカップリングしている)を用いて清澄化された上清から発現したタンパク質を精製し、0.1Mのグリシン(pH2.0)を用いてプロテインLから溶出し、次いで、1MのTris(pH8.0)を1/5溶出体積添加することによって中和した。次いで、0.1Mのクエン酸を用いてタンパク質のpHを調整し、50mMのクエン酸ナトリウム(pH5)で平衡化されている30mLのSource S column(GE Healthcare)に適用した。0〜100の50mMのクエン酸ナトリウム(pH5)、1MのNaClの勾配をAktaXpress FPLC(GE healthcare)を用いて150mL超適用した。SDS−PAGEで画分を分析し、最も純度の高い生成物を含有する画分をプールした。最終タンパク質を50mMのリン酸ナトリウム(pH6.5)、5mMのEDTAで脱塩した。
【0139】
次いで、図3に示すPEGリンカーを用いてPYY3−36アミノ酸分子(但し、PEGリンカーで誘導体化できる10位にリシンを有する)にDom7h−14−10(R108C)を連結させる。PYY及びPEGは、標準的な化学合成によって調製した。次いで、PEGリンカーの末端のマレイミドを用いて、上記の通り調製したDom7h−14−10(R108C)albudabの自由システインにPYYペプチドをコンジュゲートさせた。最終濃度が5mMになるようにジチオスレイトール(DTT)を添加することによってDom7h−14−10(R108C)の自由システインを還元し、30分間インキュベートし、最後に50mMのリン酸ナトリウム(pH6.5)、5mMのEDTAで脱塩してDTTを除去した。次いで、マレイミドで活性化されたペプチドを1:1の比でタンパク質と混合し、インキュベートしてコンジュゲートさせた。
【0140】
上記と同様の方法でイオン交換クロマトグラフィーによって未反応のDom7h−14−10(R108C)からコンジュゲートを精製した。最後に、上記と同様の方法でプロテインL親和性精製を用いて、コンジュゲート中で濃縮された画分を自由ペプチドから精製した。最終的なコンジュゲートをバッファ交換し、SDS−PAGE及び質量分析によって分析した。
【0141】
実施例6:エキセンディン−4及びDOM7h−14−10/DoM7h−11−15 AlbudAbの遺伝的融合物の発現及び精製
この実験の目的は、DMS7139及びDMS7143を効率的に発現させることであった。DMS7139は、DOM7h−14−10(血清アルブミンに結合するドメイン抗体(dAb)、albudabとしても知られている)とエキセンディン−4との融合物であり、DMS7143は、正確にプロセシングされたN末端を有する、大腸菌におけるDOM7h−11−15(血清アルブミンに結合するドメイン抗体(dAb)、albudabとしても知られている)とエキセンディン−4との融合物である。次いで、後の実験においてこの融合物のエキセンディン−4部分の活性及びAlbudAb部分の活性について試験することができた。DOM7h−14−10又はDOM7h−11−15との融合物としてエキセンディン−4をクローニングし、ここでは、エキセンディン−4ペプチドがコンストラクトの5’末端に存在し、AlbudAbが3’末端に存在していた。各々がエキセンディン−4ペプチドとAlbudAbとの間に(Gly4Ser)3リンカーを含む合計2つのコンストラクトを作製した。リンカーは、エキセンディン4をdAbから空間的に分離して、エキセンディン−4とGLP−1受容体との間の結合の立体障害を防ぐためのスペーサとして含まれていた。コンストラクトの配列を図1(m)及び1(n)に示す。発現ベクターにクローニングするために、5’にNdeI制限酵素部位を有し、続いて改変OmpT(図1(q)の配列番号17に示すアミノ酸配列を有するOmpT AWA)を有し、3’末端にBamHI部位を有するアセンブリPCRとして融合物を生成した。OmpT AWAシグナルペプチドは、最後3つのコドンをが野性型「TCTTTTGCC」から、SFAの代わりにAWAをコードする「GCTTGGGCC」に変化している。この変化は、大腸菌のシグナルペプチダーゼによる正確な部位のプロセシングを改善する。
【0142】
更に、融合物の配列は、ペプチダーゼ切断部位の直後に始まる。NcoI切断部位が導入されており、これは、シグナルペプチドの最後のコドン及びエキセンディン−4配列の最初の2つのアミノ酸と重複している。この変化は、将来のサブクローニングを促進するとともに、自由N末端とエキセンディン−4との融合物の生成を導く。上に列記される変化を含む改変pET12a発現ベクターをpDOM35と命名した。ベクター及びアセンブリPCRをNdeI及びBamHI制限エンドヌクレアーゼで切断し、次いで、Quick Ligation Kit(NEB)を用いてインサートをベクターにライゲーションした。このライゲーション物2マイクロリットルをMachI細胞の形質転換に用いた。回復増殖期間後、カルベニシリンを含有する寒天プレートに細胞をプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。コロニーの配列を決定し、正確な配列を含有するものをプラスミドの増殖及び単離に用いた(Plasmid Mini Prep kit,Qiagen)。BL21(DE3)細胞をプラスミドDNAで形質転換し、得られたコロニーを発現培養の接種に用いた。TB Onex培地(Overnight Express(商標)自己誘導溶液を添加した)、1滴の消泡剤(antifoam A204;Sigma)及び100μg/mLのカルベニシリンに4×0.5リットルの培養物を接種することによって発現させた。培養物を250rpmで攪拌しながら30℃で三晩インキュベートし、次いで、培養上清を1時間3700×gで遠心分離することによって清澄化した。次いで、発現したタンパク質を、プロテインL streamline(GE Healthcare,カタログ番号28−4058−03,プロテインLがカップリングしている)を用いて清澄化された上清から精製し、0.1Mのグリシン(pH2.0)を用いてプロテインLから溶出し、1MのTris(pH8.0)0.1体積を用いて中和した。次のタンパク質を濃縮し、バッファA(20mMの酢酸ナトリウム−酢酸、pH5.0)で透析し、AktaXpress(GE healthcare)におけるイオン交換クロマトグラフィーによって精製した。タンパク質をバッファA(塩を含まないバッファ)中でResource S 6mlカラムにロードし、次いで、75分間0〜75%のBを含むバッファB(20mMの酢酸ナトリウム−酢酸、pH5.0、1MのNaCl)勾配で少しずつ溶出した。SDS−PAGE及び質量分析で画分を分析し、正確な質量を有するものをプールした。最終タンパク質を20mMのクエン酸 0.1MのNaClバッファで透析し、SDS−PAGE及び質量分析によって構造特性(identity)を再確認した。
【0143】
実施例7:メラニン保有細胞の機能バイオアッセイにおけるエキセンディン−4 AlbudAb(上記の通り作製されるDAT0115)及びPYY(3−36)AlbudAb融合ペプチド(実施例5に記載の通り作製され、図3に示す構造を有する)の薬理学的プロファイル
エキセンディン−4 AlbudAb(DAT0115)及びPYY(3−36)AlbudAb(実施例5に記載の通り作製され、図3に示す構造を有する)の薬理学的プロファイルを、対象受容体でトランスフェクトされた細胞を用いるメラニン保有細胞の機能バイオアッセイにおいて求めた。前記バイオアッセイは、本質的にJayawickremeら.(2005年)Current Protocols in Pharmacology 12.9.1−12.9.16に記載の通り実施した。
【0144】
エキセンディン−4及びPYY(3−36)AlbudAb融合ペプチドの薬理学的プロファイルを表4に示す。結果は、エキセンディン−4及びPYY(3−36)の両方の融合ペプチドが、これらのコグネート受容体(Exendin−4 AlbudAb/GLP−1R及びPYY(3−36)/NPY2R)のヒト及びマウスの形態の両方を活性化する能力を保持していることを示す。NPY受容体に対するPYY(3−36)AlbudAbの見掛けの選択性を以下の順序でランク付けする:ヒト受容体についてはNPY2R>NPY5R*>NPY1R>NPY4R、マウス受容体についてはNPY2R>NPY5R>NPY4R>NPY1R。NPY2Rのペプチド活性を同じ種内の他のNPY受容体と比較したとき(表5から計算)、選択性の値は、数百倍から1000倍超変動する。
【表4】
【0145】
実施例8:PYY−albudab(実施例5に記載の通り、図3に示す構造を有する)と組合せられたエキセンディン−albudab(DAT0115)は、食餌誘発性肥満(DIO)マウスにおける複数のパラメータに対する相乗効果を引き起こす:
オスの食餌誘発性肥満(DIO)C57BL/6マウス(Taconic,Hudson,NY)及び痩せ型C57BL/6マウス(Taconic,Hudson,NY)を全ての実験で用いた。DIO C57BL/6マウスを集団飼育し、離乳時から製造供給元による高脂肪食餌(カロリーの45%が脂肪)を与えた。DIOマウス(体重40〜50g)及び年齢の同じ対照を単体飼育し、12時間明/暗サイクル(AM5:00〜PM5:00に点灯)で一定温度(約22℃)にて維持した。マウスには、食餌(DIOにはResearch Diets D12451、45%脂肪;痩せ型にはLab Diet 5001、13.5%脂肪)及び水に自由に接近させた。全ての動物用プロトコールは、Research Triangle Park,NCのGlaxoSmithKlineの施設内動物実験委員会によって承認された。ペプチド−AlbudAbは、毎日新たに調製したか、又は1度に調製し小分けにして−70℃で凍結させた。複合投与の場合、1回の注射のみですむように薬物を一緒に混合した。
【0146】
慢性肥満効力実験:実験の開始前6週間、DIO C56BL/6マウス及び年齢の同じ痩せ型対照を飼育箱に慣れさせた。15日間にわたって5mL/kgの用量体積で2〜4pmを2日毎に動物に皮下投与した。
【0147】
動物群に以下の通り投薬した:
(a)には、0.1mg/kgのPYY−AlbudAbを投与した(PYY ED20群)
(b)には、1.0mg/kgのPYY−AlbudAbを投与した(PYY ED80群)
(c)には、0.01mg/kgのエキセンディン−albudab(DAT0115)を投与した(エキセンディンED20群)
(d)には、0.1mg/kgのエキセンディン−albudab(DAT0115)を投与した(エキセンディンED80群)
(e)ED20 comboには、0.01mg/kgのエキセンディン−4−albudab(DAT0115)と混合された0.1mg/kgのPYY−albudabを単回投与した
(f)ED80 comboには、0.1mg/kgのエキセンディン−4−albudab(DAT0115)と混合された1.0mg/kgのPYY−albudabを単回投与した
(g)には、0.1mg/kgの対照エキセンディン−4のみを投与した。
【0148】
薬物の開始前に、最初の日がビヒクルであり次の2日間は擬注射である3日間のビヒクル導入期間を用いた。QMR機器(Echo Medical Systems,Houston,TX.)を用いて、薬物の開始日の3〜4日前及び15日目にベースラインの脂肪質量及び除脂肪質量測定を行った。体重測定は、最初の薬物投与の4日前に開始し、月曜日、水曜日、及び金曜日毎に行い、最初の測定値を用いて動物を無作為化した。最初の薬物投与の4〜6日前から始めて平日に毎日、食餌供給器の重量を測定して、食餌摂取量を計算した。過剰の食餌をこぼした動物は、実験の開始前に取り除いた。実験中、過剰の食餌をケージから取り除き、正確さを高めるために食餌供給器の重量に付加した。8〜10匹の動物(n=8〜10)を痩せ型対照群として用い、8匹の動物(n=8)を全ての他の処理群として用いた。薬物処理開始の16日後、末端心臓採血を介して全血、血漿、及び血清サンプルを回収する前少なくとも4時間絶食させた。全血を用いてHbA1c(%)を求め、血漿は胃腸ホルモンパネルに用い、血清は複数の臨床化学パラメータを求めるために用いた。最後に、主な器官及び組織(心臓、腎臓、肝臓、肺、胃、十二指腸、結腸、膵臓、褐色脂肪、白色脂肪、屠肉)を16日目に摘出し、巨視的及び微視的な組織学的検査のために10%中性緩衝ホルマリンで固定した。
【0149】
A)PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の体重に対する効果
上記全ての処理群が、明らか且つ持続的な体重減少を示した。図4を参照されたい。効果は、一般的に、Combo ED80を除く全ての群で7日後にはプラトーに達した。Combo ED80は、処理後15日目までにプラトーに達しなかった。15日目において、PYY−AlbudAb 0.1mg/kg用量(ビヒクルに対して2%減少)に加えてエキセンディン−4−AlbudAb 0.01mg/kg用量(ビヒクルに対して4.5%減少)を添加すると、ビヒクル対照に対して体重が6.5%減少すると予測されていた。しかし、Combo ED20群でAlbudAbを組合せた場合、11.2%の体重減少が観察され、これは、予測相加作用よりも大きい(p<0.05)。
【0150】
ED80群では、僅か処理の最初の7日後に体重に対する相加効果よりも大きい効果が観察された。これら処理の効果が7日目に相加的であった場合、ビヒクルに対して体重が20.1%減少すると予測されていた(PYY−AlbudAb 1.0mg/kgの7.1%及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kgの13.0%)。7日目のCombo ED80群では21.6%の減少が観察され、これは、予測相加性データと比べて統計的に有意ではない。しかし、15日目の時点では、PYY−AlbudAb 1.0mg/kg群はビヒクルに対して約7.8%の減少を示し、エキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg群は、ビヒクルに対して16.8%の減少を示しており;これら2つの用量群を足し合わせると、体重が24.6%減少するはずであった。実際には、Combo ED80群では32.8%の減少が観察され、これは、予測相加性データよりも統計的に有意に大きい(p<0.05)。
【0151】
B)PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の食餌摂取量に対する効果
ビヒクル対照に対する幾つかのレベルの食餌摂取阻害が、全ての処理群で観察された。図5を参照されたい。Combo ED80を除く全ての処理群で、時間とともにビヒクル対照レベルに戻った。1日及び2日目では、Combo ED20は、ベースライン(ビヒクルに正規化)に対して毎日平均25.1%の食餌摂取阻害を示したが、2群を足し合わせると、食餌摂取が5.7%減少するであろうという控えめな結果が予測されていた。全ての他の時点では、相加効果が観察された。
【0152】
ED80用量群(PYY−AlbudAb 1.0mg/kg及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg)では、体重に対する相加効果が早い時点で観察された。しかし、10日目の時点から始まって、42%の食餌摂取阻害が観察されたが、組合せの効果が単に相加的であった場合に予測されていた食餌摂取阻害は17%であった(p<0.05)。この効果は、実験の残りの期間継続し、PYY−AlbudAb 1.0mg/kg群(2.5%の食餌摂取阻害)及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg群(0.8%の食餌摂取阻害)の付加から、2群の組合せ(Combo ED80)では食餌摂取が3.3%阻害されると予測されていた14日目に最もよく例証され得る。最終的に、Combo ED80では19.2%の食餌摂取阻害が観察され、これは、組合せが相加効果を有する場合に予測される値と比べて統計的に有意な差(p<0.05)である。組合せ群における食餌摂取阻害は、食欲減退活性が、PYY−AlbudAb及びエキセンディン−4−AlbudAbの組合せについての体重減少機序の少なくとも一因となることを示す。
【0153】
C.PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の体組成の変化に対する効果
エキセンディン−4 AlbudAb 0.1mg/kg群、Combo ED20群、及びCombo ED80群で体脂肪率の絶対変化が観察された(全ての群について、ビヒクルに対してp<0.01)。図6及び7を参照されたい。また、両方のCombo処理群は、15日間の処理期間にわたって体脂肪率の減少を示し、組合せの相加効果よりも大きいことと整合している。具体的には、PYY−AlbudAb 0.1mg/kg群の体脂肪率は、1.8%低下し、エキセンディン−4−AlbudAb 0.01mg/kg群は、体脂肪率の0.6%の減少を示し、いずれも有意な変化を示さない(両方の値をビヒクル対照における変化に対して正規化した)。対照的に、Combo ED20処理群では、体脂肪率が4.8%減少し、これは、予測される相加値である2.4%よりも有意に大きい(p<0.05)。より高い用量では、予測される相加的減少は8.6%であった(PYY−AlbudAb 1.0mg/kg及びExendin−4−AlbudAb 0.1mg/kg;それぞれ、1.8%及び6.8%の減少)。しかし、Combo ED80群で観察された変化は、20.0%の減少であり、これは、相加性によって予測された変化よりも有意に大きい(p<0.05)。
【0154】
Combo ED80群は、39.5%から18.9%に体脂肪率が低下した。痩せ型対照とCombo ED80群との間に、体脂肪率の有意な差はもはや存在していなかった(p=0.43)。したがって、Combo ED80群は、肥満しやすい環境(すなわち、高脂肪食餌へのアクセス)で維持されているにもかかわらず、痩せ型対照に「正常化」された。これは、過剰の体脂肪が100%失なわれることに相当する。
【0155】
単独療法群及び組合せ処理群の両方について体脂肪量の用量依存的変化が観察された。処理期間中、PYY−AlbudAb 0.1mg/kg群では、体脂肪量が0.8mg減少した(ビヒクル対照に対してp=0.29)が、エキセンディン−4−AlbudAb群では、体脂肪量が1.4mg減少した(ビヒクル対照に対してp<0.05)。これら処理が体脂肪量に対して相加効果を有していた場合、Combo ED20群では体脂肪量が2.2mg減少すると予測していた。しかし、Combo ED20群では体脂肪量が3.8mg減少し、これは、予測相加値よりも有意に大きい(p<0.05)。
【0156】
類似の分析をED80群についても実施した。PYY−AlbudAb 1.0mg/kg群では体脂肪量が2.2グラム減少した(ビヒクル対照に対してp<0.01)が、エキセンディン−4−AlbudAb群では体脂肪量が平均5.7グラム減少した(ビヒクル対照に対してp<0.01)。これら2つの群を足し合わせると、組合せて7.9g体脂肪量が減少すると予測されていた。しかし、Combo ED80群では11.3gの体脂肪量減少が観察された(ビヒクル対照に対してp<0.01)。相加性に基づく予測データと観察されたデータとの間の差は、統計的に有意である(p<0.05)。
【0157】
処理群の中でも若干の除脂肪質量の減少が観察されたが、効果の規模は、体脂肪量に対する効果よりも除脂肪質量に対する効果の方が遥かに小さかった。全体としては、全体重減少のうちの約80%が体脂肪であり、これは、食事療法及び運動を用いる臨床試験で観察される体脂肪量減少対除脂肪質量減少の比に一致している。
【0158】
D.PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の内分泌検体における変化に対する効果(図8を参照されたい)
Combo ED80群では、インスリンレベルがビヒクル対照群の僅か1/10であった(それぞれ、血漿中2617pg/mL及び259pg/mL、p<0.05)。このインスリンの減少は、理に適っている。その理由は、動物が試験の開始及び終了時に正常血糖であったためである。すなわち、インスリンの減少は、恐らく低血糖に対する保護である。
【0159】
Combo ED80群におけるレプチンレベルは、ビヒクル対照群よりも90%超低かった(ビヒクルでは血漿中51.6ng/mL;Combo ED80群では血漿中4.7ng/mL、p<0.01)。これは、痩せ型対照レベル(血漿中9.8ng/ml)に匹敵しており、Combo ED80群における体脂肪量の劇的な減少に起因する可能性がある。更に、Combo ED20群及びエキセンディン−4−albudab 0.1mg/kg群は、ビヒクル対照よりも有意に低い血漿レプチン値を有していた(それぞれ、34.8ng/mL、p<0.01及び31.4ng/mL、p<0.01)。これら効果は、体脂肪量の減少に関連していると考えられる。
【0160】
胃抑制ペプチド(GIP)濃度は、Combo ED20群で有意に減少し(ビヒクル対照に対してp<0.05)、Combo ED80群において強い傾向を示した(ビヒクル対照に対してp=0.08)。
【0161】
Combo ED80群におけるアミリンレベル(血漿中68pg/mL)は、ビヒクル対照(血漿中250pg/mL;p<0.01)よりも有意に低かった。更に、Combo ED80群のアミリンレベルは、痩せ型対照レベル(血漿中87pg/mL)と殆ど同じであった。Combo ED20群は、減少に対して強い傾向を示し(血漿中171pg/mL;ビヒクル対照に対してp=0.054)、エキセンディン−4−albudab 0.1mg/kg群は、ビヒクル対照よりも有意に低かった(血漿中163pg/mL;p<0.01)。
【0162】
グレリンレベルは、エキセンディン−4−albudab単独療法群において組合せ群に殆ど等しいレベルまで上昇していた。これは、エキセンディン−4活性のみが、グレリン曝露の増加に関与している可能性が最も高いことを示す。
【0163】
PYYレベルは、PYY−AlbudAbを投与した動物で高く、これは恐らく血漿中に投与されたペプチドを直接検出しているためであると思われる。しかし、これら値は、循環中のPYY−AlbudAbの絶対濃度の指標ではない。
【0164】
E.PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の血清化学パラメータの変化に対する効果
全体的に、Combo ED20を含む大部分の処理群及びED80群で試験した全ての群で、血清化学物質の優れたプロファイルが観察された。痩せ型対照群は、痩せ型動物とDIO群との間に相対差を表す。値は、全ての他の群についての変化を表す、その理由は、これら群が試験の開始前に単一集団から無作為化されたためである。Combo ED20群は、グルコース及び総コレステロールに対して幾つかの有意な改善を示し、一方トリグリセリド及びアラニントランスアミナーゼ(ALT)レベルにおいて改善傾向を示した(表5)。
【0165】
PYY−AlbudAb 1.0mg/kg群及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg群について、グルコース、総コレステロール、総ビリルビン、クレアチニン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、及び総タンパク質の領域において有意な改善が観察された。しかし、これら効果は、一般的に、組合せ(Combo ED80群)で観察された効果よりも低かった。Combo ED80群は、血清化学物質において多くの有意な変化を示した。(血中尿素窒素(BUN)を除く)これら変化の全ては、動物を病理学的肥満状態から正常痩せ型状態にする改善を表す。例えば、肝臓の酵素であるアラニントランスアミナーゼ(ALT)は、ビヒクル対照DIOマウスで高いが、Combo ED80群の処理では、79%減少して痩せ型対照のレベルになった。他の有意な改善としては、HbA1c、総コレステロール、トリグリセリド、総ビリルビン、クレアチニン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、及び総タンパク質が挙げられる。これら変化の全ては、DIOの血清化学物質を痩せ型対照の化学物質により近づけるものであり、有益であると考えられた。
【表5】
【0166】
F.PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の組織病理における変化に対する効果
オスミウム染色によって確認される肝臓における細胞質内脂肪滴は、DIOビヒクル対照マウスにおける重篤度が著しく、大部分の肝細胞に影響を及ぼしている。Combo ED80を投与したDIOマウスでは、細胞質内脂肪滴が著しく減少した(最小限から検出不可能)(図9を参照されたい)。Combo ED20、PYY−AlbudAb(1.0mg/kg)、エキセンディン−4−AlbudAb(0.1mg/kg)、及びエキセンディン−4(0.1mg/kg)を投与したDIOマウスではCombo ED80肝臓でみられるよりも応答程度の低い同様の変化が注目された。しかし、処理されたDIOマウスの肝臓[Combo ED20、Combo ED80、PYY−AlbudAb(1.0mg/kg)、エキセンディン−4−AlbudAb(0.1mg/kg)、及びエキセンディン−4(0.1mg/kg)]、褐色脂肪組織[Combo ED20、Combo ED80、PYY−AlbudAb(1.0mg/kg)、エキセンディン−4−AlbudAb(0.01及び0.1mg/kg)、及びエキセンディン−4(0.1mg/kg)]、及び腎臓(Combo ED80のみ)では、細胞質内脂肪滴の減少からなる試験物品に関連する微視的変化が観察された。これら群におけるこれら組織変化は、血清トランスアミナーゼ、総コレステロール、HDL、及びグルコースの減少と相関していた。Combo ED20及びED80では、トリグリセリドも減少していた。これら変化は、意図される薬理作用に関連しており、有益であると考えられた。
【0167】
実施例9:db/dbマウスにおける糖尿病パラメータに対するエキセンディン−AlbudAb(DAT0115)とPYY−AlbudAb(実施例5に記載の通り、図3に示す構造を有する)との組合せの効果
オスのdb/db C57BL/6Jマウス(Jackson Labs,Bar Harbor,ME)を全ての実験に用いた。db/dbマウス(B6.Cg−m +/+ Leprdb/J)及び対照は、供給元によって集団飼育されていた。db/dbマウス(10〜12週齢)及び年齢の同じ対照をGSKに輸送し、そこで単体飼育し、12時間明/暗サイクル(AM5:00〜PM5:00点灯)で一定温度(約22℃)にて維持した。マウスには、食餌(db/db及びその対照についてLabDiet 5K67、16%脂肪)及び水に自由に接近させた。全ての動物用プロトコールは、Research Triangle Park,NCのGlaxoSmithKlineの施設内動物実験委員会によって承認された。ペプチド−AlbudAbは、毎日新たに調製した。100mMのNaCl、20mMのクエン酸、pH6.2(濾過滅菌)で構成されるクエン酸ビヒクルバッファを用いて原液を希釈することによって、正確な投与濃度の薬物を得た。複合投与の場合、1回の注射のみですむように薬物を一緒に混合した。
【0168】
慢性糖尿病有効性研究:実験の開始前2週間、db/dbマウス及び年齢の同じ痩せ型対照を飼育箱に慣れさせた。15日間にわたって5mL/kgの用量体積で2〜4pmを2日毎に動物に皮下投与した。薬物の開始前に、最初の日がビヒクルであり次の2日間は擬注射である3日間のビヒクル導入期間を用いた。QMR機器(Echo Medical Systems,Houston,TX.)を用いて薬物の開始の3日前及び15日目にベースラインの体脂肪量及び除脂肪質量測定を行った。体重測定は、最初の薬物投与の4日前に始めて月曜日、水曜日、及び金曜日毎に行った。薬物投与開始の2日前に、満腹時のグルコース値及びHbA1c%値を測定するために尾を切り取ることによって血液サンプルを採取した。このデータを用いて動物を様々な群に無作為化した。最初の薬物投与の4〜6日前から始めて平日に毎日、食餌供給器の重量を測定して、食餌摂取量を計算した。過剰の食餌をこぼした動物は、実験の開始前に取り除いた。実験中、過剰の食餌をケージから取り除き、正確さを高めるために食餌供給器の重量に付加した。8匹の動物(n=8)を痩せ型対照群として用い、8匹の動物(n=8)を全ての他の処理群として用いた。組合せED80群についての1日食餌摂取量が計算され、その量が次の日に与えられる同時飼育群が含まれていた。薬物処理開始の16日後、末端心臓採血を介して全血、血漿、及び血清サンプルを回収する前少なくとも4時間動物を絶食させた。全血を用いてHbA1c(%)を求め、血漿は胃腸ホルモンパネルに用い、血清は複数の化学物質にアクセスするために用いた。最後に、主な器官及び組織(心臓、腎臓、肝臓、肺、胃、十二指腸、結腸、膵臓、褐色脂肪、白色脂肪、屠肉)を16日目に摘出し、巨視的及び微視的な組織学的検査のために10%中性緩衝ホルマリンで固定した。
【0169】
A.PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)のヘモグロビンA1cの割合の変化に対する効果
ビヒクル対照動物は、ベースライン時の平均7.14%から16日目の平均9.03%まで、18日間にHbA1c%が増加した。これは、その期間中糖尿病表現型が実質的に進行したことを示す。図10及び11を参照されたい。Combo ED20、PYY−AlbudAb 1.0mg/kg及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg群を含む複数回投与群において糖尿病表現型の進行の阻害が観察された(ビヒクル増加に対してp<0.05)。HbA1c%の絶対減少は、Combo ED80群でのみ観察された(ベースラインに対してp<0.01)。Combo ED80群は、グリコシル化HbA1cが6.83%から5.16%に低下した。痩せ型非糖尿病対照とCombo ED80群との間に、グリコシル化HbA1cの有意な差はもはや存在していなかった(p<0.01)。したがって、Combo ED80処理群における糖尿病患者(db/db)マウスは、完全に正常なレベルのグリコシル化HbA1c%を有しており、ほとんど正常な痩せ型対照動物に「正常化」されていた。
【0170】
同時飼育対照(Combo ED80動物が消費したのと同じ量の食餌を給餌)は、ビヒクル対照動物から有意な変化は示さなかった(p=0.11)。これは、食餌摂取の阻害が、Combo ED80群のHbA1c低下の主な機序ではなかったことを示す。
【0171】
PYY−AlbudAb 1.0mg/kg群(1.16%の減少、p<0.05)、エキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg群(0.80%の減少、p<0.05)、並びにCombo ED20群(0.89%の減少、p<0.05)及びCombo ED80群(3.57%の減少、p<0.01)を含む複数の群においてグリコシル化HbA1cの有意な変化が観察された。
【0172】
Combo群を同様の方法で分析した。PYY−AlbudAb 0.1mg/kg群及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.01mg/kg群は、ビヒクル対照群から有意な変化を示さなかったが、組合せでは(Combo ED20群)、グリコシル化HbA1cが0.89%減少した。Combo ED80用量群では、予測された相加的減少は、PYY−AlbudAb 1.0mg/kg群及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg群について1.96%であった。しかし、組合せ(Combo ED80群)では、グリコシル化HbA1cの3.57%の減少が観察された。この減少は、単独療法群の相加性によって予測されるものよりも有意に大きかった(p<0.05)。
【0173】
B.PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の血漿インスリンの変化に対する効果
低用量単独療法処理群は、ビヒクル対照と比較して血漿インスリンレベルが増加する傾向を示した(PYY−AlbudAb 0.1mg/kg、p=0.052;エキセンディン−4−AlbudAb 0.01mg/kg、p=0.17)。Combo ED20群では、血漿インスリンレベルは、21307pg/mLに達し、これは、血漿中9470pg/mLであるビヒクル対照群よりも有意に高かった(p<0.05)。PYY−AlbudAb 1.0mg/kg群(30467pg/mL;ビヒクル対照に対してp<0.05)及びエキセンディン−4−AlbudAb群(32036pg/mL;ビヒクル対照に対してp<0.01)もインスリンレベルが高かった。(図12を参照されたい)
Combo ED80群では、インスリンレベルは、ビヒクル対照レベルよりも5倍超高かった(それぞれ、血漿中55950pg/mL及び9470pg/mL、p<0.05)。これら特に高いインスリンレベルは、これら動物において観察されるグルコース低下効果の少なくとも一部に関与していると考えられる。
【0174】
ED80同時飼育対照群は、4438pg/mLの血漿インスリン濃度を有しており、これは、ビヒクル対照レベルよりも有意に低く(p<0.01)、体重減少による可能性が最も高い。
【0175】
C.PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の体重増加阻害に対する効果
糖尿病試験では体重もモニタされた。db/dbマウスの急速な体重増加に起因して、このモデルを用いて体重減少に加えて体重増加の阻害を評価することもできる。この実験は、PYY−AlbudAb 1.0mg/kg、エキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg、Combo ED20及びCombo ED80処理が体重増加の阻害において有効であったことを示す。図13を参照されたい。
【0176】
15日目までに、ビヒクル対照に対して1.5%の減少傾向を示した(p=0.18)PYY−AlbudAb 0.1mg/kgと、単独では有意な効果を有しなかったエキセンディン−4−AlbudAb 0.01mg/kgとの間で明らかな協働が生じた。組合せでは、Combo ED20群は、ビヒクル対照よりも有意に体重増加が少なかった(ビヒクルでは9.5%の体重増加、Combo ED20では4.4%の体重増加;p<0.01)。
【0177】
Combo ED80群を同様の方法で分析した。15日目において、PYY−AlbudAb 1.0mg/kg群はビヒクルから5.9%の減少を示し、エキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg群は、ビヒクルから9.2%の減少を示した;これら2つの用量群を足し合わせると、15.1%体重が減少するはずであった。実際には、Combo ED80群では26.2%の減少が観察され、これは、予測された相加性データに対して統計的に有意に大きい(p<0.05)。
【0178】
最初の8日間で、同時飼育対照(Combo ED80群との同時飼育)は、12.8%の体重減少を示し、これは、同じ期間にわたるCombo ED80群(12.3%の体重減少)に匹敵していた。しかし、8日後、同時飼育対照はビヒクル対照とほぼ同じ速度で体重が増加したが、Combo ED80群は、体重減少を維持した。これは、同時飼育群で8.4%、Combo ED80群で16.7%の正味の体重減少を生じさせた(両方の群について、ベースラインに対してp<0.01)。このリバウンド効果及び15日目で生じた体重の差は、8日後に同時飼育群とCombo ED80群との間に代謝の差が生じ、これは組合せ物に起因するものであり、単に体重に対する効果ではないことを示唆する。
【0179】
D.PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の食餌摂取阻害に対する効果
PYY−AlbudAb 0.1mg/kg及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.01mg/kg群を除く全ての群で、15日間にわたって有意な食餌摂取量の減少が観察された。図14を参照されたい。一般的に、食餌摂取の阻害は、最初の5日間大きかったが、その後、若干の1日食餌摂取量の安定化がみられた。15日目(平均13〜15日目)、Combo ED20、PYY−AlbudAb 1.0mg/kg、及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg群は全て、平均して1日当たりの食餌摂取量が6.9〜7.0gであった。これは、ビヒクル対照群によって消費された食餌9.0gよりも有意に少なかった(p<0.05)。
【0180】
食餌摂取量の劇的な減少は、Combo ED80群で最初に観察された。5日目まで、この群の動物は平均して1日当たり2g未満の食餌しか摂取せず、これは、ビヒクル対照動物の9gよりも遥かに少なかった(p<0.01)。10日目まで食餌摂取量の僅かなリバウンドが観察され、このとき食餌摂取レベルは安定化していた。15日目まで、Combo ED80群は、1日当たり4.8gの食餌を消費し、これは、ビヒクル対照群の食餌摂取量の約半分である。
【0181】
食餌摂取量は、食餌摂取の有意な減少が観察された群のいずれにおいてもビヒクル対照レベルには戻らなかった。処理群の食餌摂取量は安定しており、実験の10〜15日目にはビヒクル対照群とほぼ平行していた。これは、これら動物が、負のエネルギーバランス(代謝的補償はないと推定される)を保っている可能性があり、ビヒクル対照に比べて体重が減少し続ける可能性があることを示唆する。
【0182】
実施例10:PYY3−36 AlbudAb(DMS7620)は、用量依存的に食餌摂取を抑制し、食餌誘発性肥満(DIO)マウスにおける体重減少を引き起こす:
オスの食餌誘発性肥満(DIO)C57BL/6マウス(Taconic,Hudson,NY)を全ての実験で使用した。DIOマウスを単体飼育し、12時間明/暗サイクル(AM5:00〜PM5:00点灯)で一定温度及び湿度(それぞれ、約22℃及び50%)にて維持した。マウスには、自由に食餌(DIOには、Research Diets D12451、45%脂肪)及び水に自由に接近させた。全ての動物用プロトコールは、Research Triangle Park,NCのGlaxoSmithKlineの施設内動物実験委員会によって承認された。ペプチド−AlbudAbsは、1度に調製し、小分けにして−80℃で凍結させた。複合投与の場合、1回の注射のみですむように薬物を一緒に混合した。
【0183】
慢性肥満有効性研究:実験の開始前7週間、DIO C56BL/6マウスを飼育箱に慣れさせた。6日間にわたって5mL/kgの用量体積で1〜3pmを2日毎(e.o.d.)に動物に皮下投与した。
【0184】
動物群に以下の通り投薬した:
(a)には、3mg/kgのDMS7620を投与した(DMS7620 3mg/kg群)
(b)には、1mg/kgのDMS7620を投与した(DMS7620 1mg/kg群)
(c)には、0.3mg/kgのDMS7620を投与した(DMS7620 0.3mg/kg群)
(d)には、0.1mg/kgのDMS7620を投与した(DMS7620 0.1mg/kg群)
(e)には、ビヒクル(クエン酸バッファ:20mMのクエン酸塩及び100mMのNaCl)を投与した。
【0185】
また、動物には0.03mg/kg、0.01mg/kg及び0.003mg/kgでも投与したことに留意すべきである。しかし、これら用量は、この実験における有効性について閾値を下回っていた。
【0186】
薬物の開始前に1日間のビヒクル導入期間を用いた。最初の薬物投与の4日前から始めて頻繁に体重測定を行い、最初の測定値を用いて動物を無作為化した。最初の薬物投与の4日前から始めて頻繁に食餌供給器の重量を測定して、食餌摂取量を計算した。過剰の食餌をこぼした動物は、実験の開始前に取り除いた。実験中、過剰の食餌をケージから取り除き、正確さを高めるために食餌供給器の重量に付加した。全ての群について1群当たり5匹の動物(n=5)を用いた。
【0187】
実施例10の結果を以下の表6に示す。
【0188】
A)体重に対するPYY3−36 AlbudAb(DMS7620)の効果
PYY3−36 AlbudAb(DMS7620)の複数回投与は、体重の有意な減少を示した。6日目の体重の変化率は、ビヒクル対照で0.0%、DMS7620(3mg/kg)で−10.4%、DMS7620(1mg/kg)で−4.6%、DMS7620(0.3mg/kg)で−1.7%、及びDMS7620(0.1mg/kg)で−2.2%であった。3.0mg/kg、1.0mg/kg及び0.3mg/kgの用量のDMS7620は、ビヒクル対照と有意に異なっていた。
【0189】
B)食物摂取に対するPYY3−36 AlbudAb(DMS7620)の効果
3.0mg/kg、1.0mg/kg、及び0.3mg/kgの用量のDMS7620では、ビヒクル対照に対して食物摂取の有意な阻害が観察された。実験過程の間の平均1日食餌摂取量は、ビヒクル対照で3.09グラム、DMS7620(3mg/kg)で1.52グラム、DMS7620(1mg/kg)で2.34グラム、DMS7620(0.3mg/kg)で2.64グラム、及びDMS7620(0.1mg/kg)で2.76グラムであった。これは、DMS7620(3mg/kg)で食餌摂取の51.2%の減少、DMS7620(1mg/kg)で20.8%の減少、DMS7620(0.3mg/kg)で11.8%の減少、及びDMS7620(0.1mg/kg)で16.6%の減少に相当する。
【表6】
【0190】
実施例11:エキセンディン−4及びペプチドYYの両方を用いた単一のAlbudAb融合物の作製
突然変異オリゴの伸長及びテンプレートDNAのDPIN切断(Stratagene Quickchange)を用いて、N末端に分泌シグナル、C末端にシステインが導入されている哺乳類の発現ベクターpTT5にDAT0116をクローニングした。DNAの配列を決定し、一時的にHEK293細胞にトランスフェクトした。
【0191】
哺乳類細胞の上清を清澄化し、プロテインL親和性クロマトグラフィーを用いて精製し、タンパク質質量を質量分析によって確認した。タンパク質を4℃保存から取り出し、DAT0116R108Cを2×20mLの濃縮器で12.5mLに濃縮した。最終濃度が5mMになるようにDTTを添加し、15分間サンプルをインキュベートした。次いで、20mMのBis Tris(pH6.57)、5mMのEDTA、10%のグリセロールでタンパク質を脱塩した。脱塩された画分をプールし、n−エチルマレイミドを収容している50mLのファルコンチューブにR108C誘導体の1/10の体積(約2mg)を添加した。残りのプールされているタンパク質を、50mLのファルコン内の様々な質量のPYYペプチド(バッチ「190」)に添加した。サンプルを室温で30分間回転させながらインキュベートし、ベンチトップで10分間スピンし、4,500rpmで遠心分離し、SDS−PAGEによって分析し、次いで4℃で一晩保存した。
【0192】
沈殿物が両方で観察され、R108C誘導体とサンプルとのカップリング反応物はタンパク質の添加直後に不透明になり、5分間以内に大きなフレークが形成された。他の反応では沈殿物は観察されなかった。
【0193】
一晩保存した後、溶液は僅かに曇っているように見えたが、静置すると、曇りとペレットとはそれほど容易に識別できなかった。
【0194】
50mMの酢酸ナトリウム(pH4.5)でサンプルを1/5に希釈し、2.5mL/分で2×6mLのResource Sカラム(予め0.5M NaOHで清浄化され、希釈バッファで平衡化されている)に適用した。サンプル適用後、カラムを希釈バッファで洗浄し、次いで、50mMの酢酸ナトリウム(pH4.5)、1MのNaClの0〜100%勾配に供した。次いで、カラムを2×PBSで洗浄し、最後に0.5MのNaOHで清浄化した。
【0195】
酢酸ナトリウム画分及び2×PBS画分を複数の20mLの遠心分離濃縮器で別々に濃縮し、SDS−PAGEによって分析し、濾過滅菌し、2×2Lのクエン酸ナトリウム(pH6)、100mMのNaClで透析した。タンパク質をMS分析にかけた。
【0196】
DAT0116R108C:190PYYにペプチドが僅かに混入していたため、これらタンパク質及び対応する酢酸ナトリウム画分プールをプロテインLカラムに再適用した。
【0197】
1mLのプロテインLカラムを1×PBSで平衡化し、6MのグアニジンHClで清浄化した。カラムを2mL/分で1×PBSによって再平衡化し、DAT0115R108C:190 PYY酢酸ナトリウム溶出プールを適用した。適用後、カラムを100mMのクエン酸ナトリウム(pH6)で洗浄し、最後に100mMのクエン酸(pH2.6)で溶出した。100mMのクエン酸ナトリウム(pH6)でカラムを再平衡化し、2XPBS溶出プールを適用し、同様に精製した。6MのグアニジンHClでカラムを清浄化し、DAT0116R108C:190 PYY誘導体についてこのプロセスを繰り返した。
【0198】
タンパク質を1〜1.5mLに濃縮し、室温で一晩、1.6Lの50mMの酢酸ナトリウム(pH6)、100mMのNaClで透析した。次の朝、タンパク質を透析カセットから取り出し、ODを測定し、SDS−PAGE分析用に200μLを20μLに濃縮した。
【0199】
エキセンディン−4 AlbudAbペプチドYYコンストラクトのサンプルをY2受容体アッセイに供して、ペプチドYYの機能を決定し、GLP−1受容体アッセイに供して、エキセンディン−4の機能を決定した。表10は、n−エチルマレイミドでブロッキングされたエキセンディン−4 AlbudAb(DAT0116 nEM)及びペプチドYYで修飾されたエキセンディン−4 AlbudAb(DAT0116 R108C 190PYY)の活性を示す。ペプチドYYで修飾されたエキセンディン−4 AlbudAb融合物は、Y2受容体ではペプチド対照よりも低い活性を示し、GLP−1受容体では同様の効力を示す。PYYペプチドは、対照として含まれる。結果を表7に示す。
【表7】
【0200】
実施例12:DOM7h−14−10 AlbudAbとPYYとの遺伝的融合物の発現:
C−末端に追加のグリシンが導入されているPYY3−36を、DOM7h−14−10(以下に示すアミノ酸配列を有する血清アルブミンに結合するドメイン抗体(dAb)(albudab))との融合物として、pET30aベクター(Novagen(Merck)から入手可能)にクローニングした。PYYは、コンストラクトの3’末端に存在しており、dAbは5’末端に存在していた。また、TVAAPSリンカーを、dAbとPYY配列との間に導入した。前記リンカーは、dAbをPYYから空間的に分離して、PYYとNP受容体との間の結合の立体障害を防ぐためのスペーサとして含まれていた。このコンストラクトのアミノ酸配列を以下及び図1(v)の配列番号49に示す:
MDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQWIGSQLSWYQQKPGKAPKLLIMWRSSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCAQGLRHPKTFGQGTKVEIKRTVAAPSIKPEAPGEDASPEELNRYYASLRHYLNLVTRQRYG
(配列番号49)。
【0201】
(miniprepキット、Qiagen CAから入手可能を使用して)アルカリ溶解を使用して大腸菌でプラスミドDNAを調製し、それを用いてBL21(DE3)細胞(Invitrogenから入手可能)を形質転換した。単一コロニーを取り出し、100mLのTB培地で37℃にて一晩増殖させ、次いで、1/100希釈を介して1Lの培養物を接種するために用いた。この培養物をODが0.7に達するまで増殖させ、この時点でタンパク質の発現は、IPTGの添加によって最終濃度70μMに誘導されていた。前記培養物を23℃で一晩増殖させ、次いで、遠心分離によって回収し、ペレットを−20℃で保存した。その後、Bugbusterミックス(12.5mLの10×bugbuster(Merck)、112.5mLのPBS、250μLのlysonase(Merck)及び4つの完全プロテアーゼ阻害剤タブレット(Roche))で細胞を溶解させることによって封入体を調製した。500mLの培養物に由来するペレットを100mLのbugbusterミックスに再懸濁させ、攪拌しながら30分間室温でインキュベートし、次いで、20分間32000gで遠心分離し、上清を廃棄した。ペレットをPBS中2Mの尿素で洗浄し、次いで、32000gで15分間遠心分離し、上清を廃棄した。次いで、元の培養物体積の1/12.5のバッファB(100mMのNaCl、100mMのTris−HCl(pH8.0)、5%のグリセロール)中8Mの尿素にペレットを再懸濁させ、室温で1時間攪拌し、次いで、16000rpmで15分間遠心分離した。上清(封入体調製物)を4℃で保存した。
【0202】
タンパク質をリフォールディングバッファ(100mMのMES(pH6.0)、60mMのNaCl、0.001%のtriton−X100)で1/50に希釈することによってリフォールディングし、濾過し、次いで遠心分離した。必要な場合、一晩室温で、100mMのMES(pH6.0)、0.001%のTriton X−100、30mMのNaCl、1%のエタノール、10μg/mLのカタラーゼ、2.5mMのアスコルビン酸ナトリウム、1μMの塩化銅、及び80μMのペプチジルグリシンαアミド化モノオキシゲナーゼと共に、8μMのリフォールディングされたタンパク質をインキュベートすることによってC末端をアミド化した。質量分析によってアミド化を確認した(グリシンで伸長された融合タンパク質の分子量=16592;C末端がアミド化された融合タンパク質の分子量=16534)。
【0203】
バッファYに平衡化されたHiTrap SPFFカチオン交換カラムで精製を実施し、バッファZの0〜100%勾配で溶出した。バッファYは、20mMのクエン酸ナトリウム(pH5.0)であり;バッファZは、20mMのクエン酸ナトリウム(pH5.0)+1MのNaClである。その後、20mMのクエン酸ナトリウム(pH6.2)及び100mMのNaClでタンパク質をバッファ交換し、濃縮し、−80℃で保存した。
【技術分野】
【0001】
本発明は、血清半減期の改善された薬物の融合物及びコンジュゲートに関する。これら融合物及びコンジュゲートは、免疫グロブリン(抗体)単一可変ドメイン及びインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子を含む。本発明は、更に、このような薬物の融合物及びコンジュゲートを含む使用、製剤、組成物、及び装置に関する。また、本発明は、融合物及びコンジュゲートの一部として存在する2以上のインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子を含む組成物、並びにその使用及び製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
治療及び/又は診断目的に有用であり得る活性を有する多くの薬物は、投与されたときに体内から急速に排出されるので価値が限定されている。例えば、治療上有用な活性を有する多くのポリペプチドは、腎臓を介して循環から急速に取り除かれる。したがって、望ましい治療効果を達成するためには、大用量を投与したり頻度の高い投薬レジメンを使用したりしなければならない。改善された薬物動態特性を有する改善された治療剤及び診断剤が必要とされている。
【0003】
体循環又は大循環における半減期が短いこのような薬物の分類の1つは、グルカゴン様ペプチド1等のインクレチンホルモン、及び例えばエキセンディン−4等のエキセンディン、及びPYY等の他の腸管ペプチドである。
【0004】
グルカゴン様ペプチド(GLP)−1は、強力なグルコース依存性インスリン分泌及び静グルカゴン(glucagonostatic)作用、膵臓のβ細胞に対する栄養効果、並びに消化管の分泌及び運動性に対する阻害効果を有するインクレチンホルモンであり、上記作用及び効果が組合せられて血漿グルコースを低下させ、血糖可動域を狭める。更に、GLP−1は、その満腹感を高める能力を介して食物摂取量を減らし、それによって体重増加を制限し、更には体重減少を引き起こす場合さえもある(Drucker(2002年)Gastroenterology 122:531−544、Giorgianoら(2006年)Diabetes Research and Clinical Practice 74:S152−155)、Holt(2002年)Diabetes/Metabolism Research and Reviews 18:430−441)。まとめると、これら作用は、抗糖尿病剤にとって非常に望ましいと考えられる独特のプロファイルをGLP−1に与えており、その理由は、特にその血糖降下効果がグルコース依存性であることが、重篤な低血糖症のいかなるリスクも最低限に抑えるはずであるためである。しかし、その薬物動態学的/薬力学的プロファイルは、ネイティブなGLP−1が治療上有用でないことを示すものである。したがって、GLP−1は連続的に投与されたとき非常に有効であるが、単回の皮下注射では短時間の効果しか得られない。GLP−1は、インビボにおいて酵素分解を非常に受けやすく、この酵素分解は、急速に生じ、非インスリン分泌性の代謝産物が生成されるので、恐らく、ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−IV)による開裂が最も関連性が高い(Metlein(1999年)Regulatory Peptides 85:9−244)。したがって、その代謝的安定性及び薬物動態学的/薬力学的プロファイルに影響を及ぼす要因についての理解に基いて、GLP1の治療能を利用するためのストラテジーが、研究の主な焦点であった。
【0005】
生物活性を維持しながら分解を減速させる方法でペプチダーゼを阻害するか又はGLP−1を改変することを試みる多くの研究が行われた。国際特許公開第05/027978号パンフレットは、延長された作用プロファイルを有するGLP−1誘導体について開示している。国際特許公開第02/46227号パンフレットは、GLP−1又は類似体(これら類似体についての開示は、本発明で使用することができるGLP−1類似体の例として、参照することによって本明細書に組み込まれる)に融合しているポリペプチド(例えばアルブミン)を含む異種融合タンパク質について開示している。国際特許公開第05/003296号パンフレット、国際特許公開第03/060071号パンフレット、国際特許公開第03/059934号パンフレットは、ホルモンの半減期を延長させることを試みるためにGLP−1をアルブミンと融合させたアミノ融合タンパク質について開示している。
【0006】
ペプチドYYは、摂食に応答して神経内分泌細胞によって放出される短い(36アミノ酸)タンパク質である。循環におけるPYY濃度は、食後に増加し、絶食時に減少する。ペプチドYYは、NPY受容体を通して作用を発揮して、胃の運動性を阻害し、結腸における水及び電解質の吸収を増加させる。ペプチドYYは、食事に応答して回腸及び結腸における神経内分泌細胞によって分泌され、食欲を減退させることが示されている(Ballantyne(2006年)Obesity Surgery 16:651−658、Batterham(2003年)New England Journal of Medicine 349:941−8、Boeyら(2007年)Peptides 28:390−395、およびKarraら(2009年)Journal of Physiology 587:19−25)。
【0007】
エキセンディン−4は、アメリカドクトカゲの唾液で見出されたホルモンであり、GLP−1のアゴニストであり、且つ非常に強力なインスリン分泌促進効果も有する。GLP−1とは対照的に、エキセンディン−4は非常に長いインビボ半減期を有する。
【0008】
エキセンディン−4は、グルコース代謝及びインスリン分泌の調節において、ヒトのグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)に類似する生物学的特性を示す。エキセンディン−4は、膵臓のβ細胞によるグルコース依存性のインスリン分泌を強化し、不適切に高いグルカゴン分泌を抑制し、胃内容排出を減速させる(DeFronzoら(2005年)Diabetes Care 28:5:1092−100、Edwardsら(2001年)American Journal of Physiology:Endocrinology and Metabolism 281:E155−162、Koltermanら(2003年)Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 88(7):3082−9、およびNielsenら(2004年)Regulatory Peptides 117:77−88)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
医学では、GLP−1ペプチド、PYY、エキセンディン、又はインスリン分泌促進性及び/又はインクレチン効果及び/又は食欲抑制効果を有する他の剤等のインクレチン及び/又はインスリン分泌促進剤及び/又は腸管ペプチド剤を含み、医学において、例えば糖尿病及び肥満等の代謝性病態の治療及び/又は予防において使用することができる改善された組成物が依然として非常に必要とされている。
【0010】
したがって、インクレチン/インスリン分泌促進剤/腸管ペプチド含有剤(例えば、GLP−1、エキセンディン−4、PYY)を含む新規治療用組成物を提供して、低い毒性及び治療上の利点を維持しながらインビボにおいてより強力且つより持続時間の長い作用を提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、(a)例えば(化学的又は遺伝的)融合物又はコンジュゲートとして存在する、インクレチン及び/又はインスリン分泌促進剤及び/又は腸管ペプチドから選択される(すなわち、2以上の)分子の組合せを含む単一分子(例えば単一の融合物又はコンジュゲート)を含む(又はからなる)組成物;あるいは(b)各個々の分子が1以上のインクレチン及び/又はインスリン分泌促進剤及び/又は腸管ペプチドを含む2以上の個々の分子を含む組成物を提供する。また、これら組成物(a)及び/又は(b)は、更なるタンパク質又はポリペプチド、例えば、ヒト血清アルブミン等の血清アルブミンに結合することができる半減期の延長されたタンパク質又はポリペプチド又はペプチド、例えば、dAb(ドメイン抗体)、例えば、ヒト血清アルブミン等の血清アルブミンに結合するdAb(Albudab(商標))を含んでもよい。
【0012】
1つの実施形態では、本発明は、単一の(化学的又は遺伝的)融合物又は単一のコンジュゲート分子を含む(又はからなる)組成物であって、前記融合物又はコンジュゲートが(a)インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン分子及び/又は腸管ペプチド(例えば、ペプチドYY(PYY)ペプチド、3−36PYY、エキセンディン−4、GLP、例えばGLP−1、例えばGLP−1(7−37)A8G突然変異体)から選択される2以上の分子を含むか又はこれらからなり、前記(a)が、(b)血清アルブミンに特異的に結合するドメイン抗体(dAb)(例えば、DOM7h−14(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14のアミノ酸配列は図1(h)の配列番号8に示す)、又は例えばDOM7h−14−10(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14−10のアミノ酸配列は図1(o)の配列番号15に示す)、又はDOM7h−11−15(DOM7h−11−15のアミノ酸配列は図1(P)の配列番号16に示す)、又は例えばR108C突然変異を有するDOM7h−14−10(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14−10 R108Cのアミノ酸配列は図1(r)の配列番号18に示す)、又は例えばDOM7h−11−15(Vk)ドメイン抗体(dAb)、又は例えばR108C突然変異を有するDOM7h−11−15(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−11−15 R108Cのアミノ酸配列は図1(t)の配列番号47に示す)との単一の融合物又はコンジュゲートとして存在する組成物を提供する。1つの実施形態では、融合物又はコンジュゲートは、2×GLP−1(7−37)A8G DOM7h−14 dAb融合物(DAT0114、アミノ酸配列は図1(a)の配列番号1に示す)ではない。
【0013】
別の実施形態では、単一の融合物又はコンジュゲートは、PYY(例えば、PYY3−36)と、エキセンディン(例えば、エキセンディン−4)と、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミンに結合する1以上のdAb、例えば本明細書に記載するAlbudab(商標)のうちの任意の1つとを含むか、又はこれらからなる。1つの実施形態では、単一の融合物は、図1(u)の配列番号48に示すアミノ酸配列を有する。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載又は開示する個々の融合物又はコンジュゲート化分子のいずれかを含むか又はこれからなる組成物、及び単独で投与されるか又は任意の好適な医薬賦形剤若しくは添加剤と共に製剤化されたときの(例えば、組合せについて本明細書に記載する使用のいずれかについての)前記組成物の使用を更に提供する。
【0015】
また、本発明は、本明細書に記載される個々の融合物のいずれかをコードする核酸を提供する。
【0016】
上記の1つの実施形態では、インクレチン/インスリン分泌促進剤/腸管ペプチド分子は、異なるインクレチン/インスリン分泌促進剤/腸管ペプチド分子であってもよく、同じであってもよい。また、血清アルブミンに結合するdAb(すなわちAlbudAb(商標))は、例えば国際特許公開第2006/059106号パンフレット又は国際特許公開第05/118642号パンフレット又は国際特許公開第2008096158号パンフレットまたは国際特許出願第PCT/EP2009/053640号又は米国特許出願第61/163,990号に記載又は参照されているもののうちのいずれか1つであってもよい。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、更に、2以上の個々の融合物又はコンジュゲートを含む(又はからなる)組成物であって、各融合物又はコンジュゲートが、(a)インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン分子及び/又は腸管ペプチド(例えば、PYYペプチド、3−36PYY、エキセンディン−4、GLP、例えばGLP−1、例えばGLP−1(7−37)A8G突然変異体)から選択される1以上の分子を含むかこれらからなり、前記(a)が、(b)血清アルブミンに特異的に結合するドメイン抗体(dAb)(例えば、DOM7h−14(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14のアミノ酸配列は図1(h)の配列番号8に示す)、又は例えばDOM7h−14−10(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14−10のアミノ酸配列は図1(o)の配列番号15に示す)、又はDOM7h−11−15(DOM7h−11−15のアミノ酸配列は図1(P)の配列番号16に示す)、又は例えばR108C突然変異を有するDOM7h−14−10(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14−10 R108Cのアミノ酸配列は図1(r)の配列番号18に示す)、又は例えばDOM7h−11−15(Vk)ドメイン抗体(dAb)、又は例えばR108C突然変異を有するDOM7h−11−15(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−11−15 R108Cのアミノ酸配列は図1(t)の配列番号47に示す)との単一の融合物又はコンジュゲートとして存在する組成物を提供する。1つの実施形態では、この組成物は、図1a〜1g及び図1m〜1V、並びに図3に示す分子、並びにDom7h−11−15(R108C)−PEG−3−36のPYY(10位がリシンである)分子(AlbudAb構成要素がDom7h−11−15(R108C)AlbudAbであることを除いて、図3に示す構造を有する)から選択される1以上の分子を含んでもよい。
【0018】
上記2以上の融合物又はコンジュゲートを含む(又はこれらからなる)このような組成物は、例えば、高血糖症、耐糖能異常、β細胞欠損、糖尿病(例えば、1型若しくは2型の糖尿病又は妊娠性糖尿病)非アルコール性脂肪性肝炎、多嚢胞性卵巣症候群、高脂血症、若しくは肥満、又は過食及び/又はエネルギー消費の変化を特徴とする疾患等の代謝性疾患を例えば治療又は予防するための療法において同時に、別々に、又は順次使用するための複合調製物であってもよい。
【0019】
本発明の融合物又はコンジュゲートは、例えば、高血糖症、耐糖能異常、β細胞欠損、糖尿病(例えば、1型若しくは2型の糖尿病又は妊娠性糖尿病)非アルコール性脂肪性肝炎、多嚢胞性卵巣症候群、高脂血症、若しくは肥満、又は過食及び/又はエネルギー消費の変化を特徴とする疾患等の代謝性疾患を例えば治療又は予防するための療法において同時に、別々に、又は順次使用するための複合調製物として、一緒に又は順次投与されるとき相乗作用を示すことができる(相乗作用とは、投与されたときの効果が、それぞれを単独で投与したときの効果を単純に足し合わせた効果よりも高いことを意味する)。
【0020】
また、相乗作用は、1分子に2以上のインクレチン又はインスリン分泌促進剤又は腸管ペプチドが存在することに起因する場合もあり、AlbudAbとインクレチン又はインスリン分泌促進剤又は腸管ペプチドとの間の相互作用に起因する場合もある。
【0021】
本発明に係る組成物のいずれか1つでは、インクレチン及び/又はインスリン分泌促進性分子及び/又は腸管ペプチドは、例えば、PYYペプチド、例えば3−36又は13−36;エキセンディン−4、GLP、例えばGLP−1、例えばGLP−1(7−37)A8G突然変異体から選択されてもよく、あるいは、例えばインクレチン/インスリン分泌促進活性を保持することができるこれらペプチドの突然変異体、類似体、又は誘導体であってもよい。GLP、PYY、エキセンディンは、国際特許公開第2006/059106号に記載されているもののうちのいずれであってもよい。これらペプチドの突然変異体、類似体、又は誘導体は、インクレチン及び/又はインスリン分泌促進活性を保持しているものであってよい。
【0022】
インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子(例えば、PYY、エキセンディン、GLP−1等)は、dAbとの融合物(又はコンジュゲート)として存在するとき、dAbのN末端又はC末端のいずれか、あるいはdAb配列内の点に連結することができる。1つの実施形態では、1以上のインクレチン及び/又はインスリン分泌促進剤及び/又は腸管ペプチド分子は、dAbのN末端との融合物(又はコンジュゲート)として存在し、また、1以上のインクレチン及び/又はインスリン分泌促進剤及び/又は腸管ペプチド分子は、dAbのC末端との融合物(又はコンジュゲート)としても存在する。
【0023】
また、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子、例えば、エキセンディン−4及び/又はGLP−1を例えばdAbと接合させるアミノ酸又は化学リンカーが任意で存在してもよい。リンカーは、ヘリカルリンカー、例えば、図1(k)の配列番号11に示す配列のヘリカルリンカーであってもよく、又は例えば図1(l)の配列番号12に示すアミノ酸配列を有するgly−serリンカーであってもよい。
【0024】
あるいは、リンカーは、例えばPEGリンカー、例えば図3に示すPEGリンカーであってもよい。
【0025】
特定の実施形態では、本発明の融合物(又はコンジュゲート)は、更なる分子、例えば更なるペプチド又はポリペプチドを含んでもよい。
【0026】
1つの実施形態では、本発明は、以下の2つの個々の分子を含むか又はこれらからなる組成物を提供する:
(a)エキセンディン−4、(G4S)3リンカー、7h−14AlbudAb(DAT0115、図1bの配列番号2に提示されるアミノ酸配列を有する)である遺伝的融合物;及び
(b)リシン(PYYの10位に導入される)及び4回反復PEGリンカーを介してC末端がアミド化されたPYY3−36にコンジュゲートしているDom7h−14−10(R108C)AlbudAbであるペプチドコンジュゲート。線は、Dom7h−14−10(R108C)AlbudAbの自由C末端システインとPYY配列の10位のリシンとを共有結合しているリンカーを表す。このペプチドコンジュゲートのアミノ酸配列及び構造は、以下の通りである(図3の配列番号30にも示す)。
【化1】
【0027】
(配列番号37)
式中、Dom7h−14−10(R108C)のC末端システインは、リンカーを介してPYYペプチドにおけるリシンに共有結合している。
【0028】
化学リンカーは、以下の構造を有する:
【化2】
【0029】
上記2つの分子、(a)エキセンディン−4、(G4S)3リンカー、7h−14 AlbudAbである遺伝的融合物:(DAT0115、図1bに提示されるアミノ酸配列)、及び(b):
リシン及び(図3に示す構造の)4回反復PEGリンカーを介してPYY3−36にコンジュゲートしているDom7h−14−10(R108C)AlbudAbであるペプチドコンジュゲートは、本明細書に記載される療法で同時、別々、又は順次に使用するのに好適な複合調製物として存在してもよい。
【0030】
あるいは、上記組成物では、ペプチドコンジュゲート(b)(図3に示す構造である)は、以下の分子によって置換されてもよい:Dom7h−11−15(R108C)−PEG−3−36PYY(10位がリシン)(AlbudAb構成要素がDom7h−11−15(R108C)であることを除いて図3に示す構造を有する)。
【0031】
上記組成物の更に別の代案では、ペプチドコンジュゲート(b)(図3に示されている構造である)は、以下の分子によって置換されてもよい:図1(v)の配列番号49に示されているアミノ酸配列を有するPYY−Dom7h−14−10融合物。
【0032】
更なる実施形態では、本発明は、PYY(例えばPYY3−36)と、エキセンディン(例えばエキセンディン−4)と、1以上のAlbudAb、例えば、本明細書に記載するAlbudAbのうちのいずれかとを含むかこれらからなる組成物を提供する。1つの実施形態では、単一の融合物は、図1(u)の配列番号48に示すアミノ酸配列を有する。
【0033】
Dom7h−14は、血清アルブミンに結合するヒト免疫グロブリン単一可変ドメイン又はdAb(Vk)であり、そのアミノ酸配列は、図1(h)の配列番号8に示されている。Dom7h−14 dAbのCDR領域は、図1(h)の配列番号8に示されているアミノ酸配列において強調されている。
【0034】
Dom7h−14−10は、血清アルブミンに結合するヒト免疫グロブリン単一可変ドメイン又はdAb(Vk)であり、そのアミノ酸配列は、図1(h)の配列番号8に示されている。Dom7h−14−10 dAbのCDR領域は、図1(o)の配列番号15に示されているアミノ酸配列において強調されている。
【0035】
Dom7h−11−15は、血清アルブミンに結合するヒト免疫グロブリン単一可変ドメイン又はdAb(Vk)であり、そのアミノ酸配列は、図1(p)の配列番号16に示されている。Dom7h−11−15 dAbのCDR領域は、図1(p)の配列番号16に示されているアミノ酸配列において強調されている。
【0036】
R108C突然変異を有するDom7h−14−10は、血清アルブミンに結合するヒト免疫グロブリン単一可変ドメイン又はdAb(Vk)であり、そのアミノ酸配列は、図1(R)の配列番号18に示されている。
【0037】
R108C突然変異を有するDom7h−11−15は、血清アルブミンに結合するヒト免疫グロブリン単一可変ドメイン又はdAb(Vk)であり、そのアミノ酸配列は、図1(t)に示されている。
【0038】
R108C突然変異とは、未変異配列におけるC末端のアルギニンがシステインによって置換されている突然変異を指し、本発明の1つの態様では、本明細書に記載されるAlbudAbのうちのいずれかがこの突然変異を有してもよい。
【0039】
本発明で使用する「融合物」は、血清アルブミンに結合するdAbを1つの部分として含み、且つインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子である更なる部分を含む融合タンパク質を指す。血清アルブミン及びインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子に結合するdAbは、単一の連続ポリペプチド鎖の別個の部(部分)として存在してもよい。dAbとインクレチン/インスリン分泌促進剤/腸管ペプチド部分とは、ペプチド結合を通して互いに直接結合してもよく、好適なアミノ酸、又はペプチド、又はポリペプチドのリンカーを通して結合してもよい。必要に応じて、追加の部分、例えば、(例えば、第3、第4の)ペプチド又はポリペプチド及び/又はリンカー配列が存在してもよい。dAbは、インクレチン/インスリン分泌促進剤/腸管ペプチド分子に対してN末端に位置してもよく、C末端に位置してもよく、内部に存在してもよい。特定の実施形態では、融合タンパク質は、1以上(例えば、1〜約20)のdAb部分を含有する。
【0040】
本発明で使用する「コンジュゲート」は、インスリン分泌促進剤/インクレチン/腸管ペプチド分子に共有結合又は非共有結合している血清アルブミンに結合するdAbを含む組成物を指す。インスリン分泌促進剤/インクレチン/腸管ペプチド分子は、dAbに直接共有結合してもよく、好適なリンカー部分を通して間接的に共有結合してもよい。インスリン分泌促進剤/インクレチン/腸管ペプチド分子は、アミノ末端、カルボキシ末端等の任意の好適な位置で、又は天然の若しくは改変された好適なアミノ酸側鎖(例えば、リシンのεアミノ基又はシステインのチオール基)を通してdAbに結合することができる。あるいは、インスリン分泌促進剤/インクレチン/腸管ペプチド分子は、dAbに直接(例えば、静電相互作用、疎水性相互作用)又は間接的に(例えば、相補的な結合パートナー(例えば、ビオチン及びアビジン)の非共有結合を通して、この場合、一方のパートナーがインスリン分泌促進剤/インクレチン分子に共有結合し、相補的な結合パートナーがdAbに共有結合する)非共有結合することができる。dAbは、N末端に位置してもC末端に位置してもよく、あるいは、インクレチン/インスリン分泌促進性/腸管ペプチド分子に対して内部に存在してもよい。特定の実施形態では、コンジュゲートタンパク質は、1以上(例えば、1〜約20)のdAb部分を含有する。
【0041】
また、本発明は、例えば図2に示す核酸を含む、本発明に記載する融合物をコードする核酸を含む組成物を提供する。
【0042】
また、これら核酸を含む宿主細胞、例えば、非胚性宿主細胞、例えば、原核生物又は真核生物(哺乳類等)の宿主細胞、例えば、大腸菌又は酵母の宿主細胞を提供する。
【0043】
本発明は、更に、本発明の融合物を生成する方法であって、本発明の融合物をコードする組換え核酸を発現させるのに好適な条件下で、前記組換え核酸及び/又はコンストラクトを含む上記の宿主細胞等の宿主細胞を維持して、融合物を生成させることを含む方法を提供する。
【0044】
また、本発明は、本発明の組成物を含む医薬組成物を提供する。
【0045】
本発明は、更に、例えば、高血糖症、耐糖能異常、β細胞欠損、糖尿病(例えば、1型若しくは2型の糖尿病又は妊娠性糖尿病)非アルコール性脂肪性肝炎、多嚢胞性卵巣症候群、高脂血症、又は肥満、又は過食を特徴とする疾患等の代謝性疾患又は病態の治療において使用するため等、医学において使用するための本発明の組成物を提供し、例えば、前記組成物は、食欲を抑えたりエネルギー消費、膵臓炎を変化させたりするために用いることができ、また、腫瘍成長、例えば膵臓の腫瘍成長(例えば膵臓腺癌)を予防するために用いることもでき、治療上有効な量の本発明の組成物を前記個体に投与することを含む。また、本発明は、膵臓炎を治療及び/又は予防するため、また腫瘍成長、例えば、膵臓の腫瘍成長(例えば膵臓腺癌)を予防するために(単独で用いようと組合せて用いようと)用いるための本明細書に記載するPYY AlbudAbのうちのいずれかを含む組成物を提供する。
【0046】
また、本発明は、疾患又は障害、例えば本明細書に記載する疾患又は障害、例えば、高血糖症、耐糖能異常、β細胞欠損、糖尿病(例えば、1型若しくは2型の糖尿病又は妊娠性糖尿病)、非アルコール性脂肪性肝炎、多嚢胞性卵巣症候群、高脂血症、又は肥満、又は過食を特徴とする疾患等の代謝性疾患又は病態を有する個体を治療する方法を提供し、例えば、食欲を抑えたりエネルギー消費、膵臓炎を変化させたりするために用いることができ、また、腫瘍成長、例えば膵臓の腫瘍成長を予防するために用いることもでき;治療上有効な量の本発明の組成物を前記個体に投与することを含む。
【0047】
本発明に従って治療又は予防することができる他の代謝性疾患又は病態としては、インスリン抵抗性、インスリン欠乏、高インスリン血症、高血糖症、脂質異常症、高脂血症、高ケトン血症、高グルカゴン血症、高血圧症、冠動脈疾患、アテローム性動脈硬化、腎不全、ニューロパシー(例えば自律性ニューロパシー、副交感神経ニューロパシー及び多発性ニューロパシー)、網膜症、白内障、代謝障害(例えばインスリン及び/又はグルコース代謝障害)、内分泌障害、肥満、体重減少、肝臓障害(例えば肝疾患、脂肪肝、肝硬変、及び肝臓移植に関連した障害)及びこれら疾患又は障害に関連する病態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
更に、本発明の化合物で予防又は治療することができる糖尿病に関連する病態としては、高血糖症、肥満、糖尿病性網膜症、モノニューロパシー、多発性ニューロパシー、アテローム性動脈硬化、潰瘍、心疾患、卒中、貧血、(例えば足及び手の)壊疽、不能症、感染症、白内障、腎臓機能の低下、自律神経系の機能不全、白血球機能異常、手根管症候群、デュピュイトラン拘縮、及び糖尿病性ケトアシドーシスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
また、本発明は、高血糖に関連する疾患を治療又は予防する方法であって、少なくとも1用量の組成物、例えば、本発明の医薬組成物を患者又は被験体に投与することを含む方法を提供する。
【0050】
本願に患者又は被験体と記載するとき、これは、ヒト又は非ヒトの患者又は被験体を意味し得る。
【0051】
本発明は、更に、本発明のコンジュゲート又は融合物を用いて、患者のインスリン応答性を調節する方法、並びに細胞によるグルコースの取り込みを増加させる方法、及び細胞のインスリン感受性を調節する方法に関する。また、患者におけるインスリンの合成及び放出を刺激する方法、インスリンの取り込みに対する脂肪、筋肉、又は肝臓の組織の感受性を強化する方法、グルコースの取り込みを刺激する方法、消化過程を減速させる方法、食欲を減退させる方法、エネルギー消費を変化させる方法、又はグルカゴンの分泌をブロックする方法であって、本発明の組成物を前記患者に投与すること、例えば、少なくとも1用量の組成物、例えば本発明の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0052】
本発明の組成物、例えば医薬組成物は、単独で投与されてもよく、例えば以下のような他の分子又は部分と組合せて投与されてもよい:ポリペプチド、治療用タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミンの分子に共有結合している2分子のGLP−1であるAlbiglutide(商標))及び/又は分子(例えば、インスリン及び/又は他のタンパク質(抗体を含む)、ペプチド、又は患者におけるインスリン感受性、体重、心疾患、高血圧、ニューロパシー、細胞代謝、及び/又はグルコース、インスリン、若しくは他のホルモン濃度を調節する小分子)。特定の実施形態では、本発明のコンジュゲート又は融合物は、インスリン(又はインスリンの誘導体、類似体、融合タンパク質、又は分泌促進物質)と組合せて投与される。
【0053】
また、本発明は、例えば、高血糖症、膵臓炎、糖尿病(1型若しくは2型の糖尿病又は妊娠性糖尿病)、又は肥満、又は腸の運動過剰を特徴とする疾患等の代謝性障害等の上記疾患又は障害のうちのいずれか等の疾患又は障害の治療において用いるための、また、腫瘍成長、例えば膵臓の腫瘍成長(例えば膵臓腺癌)を予防するための本発明の組成物を提供する。
【0054】
また、本発明は、例えば、高血糖症、糖尿病(1型若しくは2型の糖尿病又は妊娠性糖尿病)、又は肥満、膵臓炎、又は腸の運動過剰を特徴とする疾患等の代謝性障害、また例えば膵臓の腫瘍成長(例えば膵臓腺癌)等の上記疾患又は障害のうちのいずれか等の疾患又は障害を治療するための薬剤の製造における本発明の組成物の使用を提供する。
【0055】
また、本発明は、療法、診断、又は予防において用いるための本明細書に記載する組成物のうちのいずれかの使用に関する。
【0056】
本発明の組成物、例えば組成物のdAb成分は、例えば、PEG基、血清アルブミン、トランスフェリン、トランスフェリン受容体又は少なくともそのトランスフェリン結合部分、抗体のFc領域を結合させることによって、又は抗体のドメインにコンジュゲートさせることによって、半減期を更に延長させるためにより大きな流体力学的サイズを有するように更にフォーマット化されてもよい。例えば、血清アルブミンに結合するdAbは、抗体のより大きな抗原結合断片としてフォーマット化されてもよい(例えば、Fab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、IgG、scFvとしてフォーマット化される)。
【0057】
この開示全体を通して記載する本発明の他の実施形態では、本発明の融合物において「dAb」を使用する代わりに、当業者は、血清アルブミンに特異的に結合するdAbのCDR、例えば、血清アルブミンに結合するDom7h−14又はDom7h−14−10又はDom7h−14−10R108CのCDRを含むドメインを使用することができる(例えば、CDRは、好適なタンパク質のスカフォールド又はスケルトン、例えば抗体、SpAスカフォールド、LDL受容体クラスAドメイン、又はEGFドメインにグラフトされてもよい)と考えられる。したがって、全体としての開示は、dAbの代わりにこのようなドメインの開示を提供すると解釈される。
【0058】
特定の実施形態では、本発明は、血清アルブミンに結合する本発明に係る第1のdAb、例えば本明細書に記載するもののうちのいずれか、例えばDom7h−14と、前記第1のdAbと同じ又は異なる結合特異性を有する第2のdAbと、任意で、多重特異的リガンドの場合は更なるdAbとを含む二重特異的リガンド又は多重特異的リガンドを含む本発明に係る組成物を提供する。第2のdAb(又は更なるdAb)は、任意で、異なる標的、例えばFgFr1c又はCD5標的に結合してもよい。
【0059】
本発明の他の実施形態では、dAb成分は、参照することによって詳細が本明細書に組み込まれる国際特許公開第2008096158号パンフレット又は国際特許公開第05118642号パンフレットに開示されているdAbのうちのいずれかであってもよい。
【0060】
したがって、1つの態様では、本発明は、非経口投与、例えば、皮下、筋肉内、又は静脈内注射、吸入、鼻送達、経粘膜(例えば舌下)送達、経皮膚、経皮、口腔送達、患者のGI管への送達、直腸送達、又は目送達によって送達するための本発明の組成物を提供する。1つの態様では、本発明は、皮下注射又は筋肉内による送達、経皮送達、吸入、静脈内送達、鼻送達、経粘膜送達、口腔送達、患者のGI管への送達、直腸送達又は目送達するための薬剤の製造における本発明の融合物又はコンジュゲートの使用を提供する。
【0061】
1つの態様では、本発明は、皮下、筋肉内、又は静脈内注射、吸入、鼻送達、経粘膜(例えば舌下)送達、経皮膚、経皮、口腔送達、患者のGI管への送達、直腸送達又は目送達による患者への送達方法であって、治療上有効な量の本発明の融合物又はコンジュゲートを患者に投与することを含む方法を提供する。
【0062】
1つの態様では、本発明は、本発明の融合物又はコンジュゲートを含む経口、注射可能、吸入可能、噴霧可能、局所用又は目用の製剤を提供する。前記製剤は、錠剤、丸剤、カプセル剤、液剤、又はシロップ剤、又は軟膏剤であってもよい。1つの態様では、本発明は、例えば飲料として、例えば肥満治療のための減量用飲料として販売されている飲料として、経口投与されてもよい。1つの態様では、本発明は、患者に直腸内送達するための製剤を提供し、前記製剤は、例えば坐剤として提供されてもよい。
【0063】
GLP−1化合物を非経口投与するための組成物は、例えば、国際特許公開第03/002136号パンフレット(参照することによって本明細書に組み込まれる)に記載されている通り調製することができる。
【0064】
特定のペプチドを鼻に投与するための組成物は、例えば、欧州特許第272097号明細書(Novo Nordisk A/S)又は国際特許公開第93/18785号パンフレット(全て、参照することによって本明細書に組み込まれる)に一般的に記載されている通り調製することができる。
【0065】
用語「被験体」又は「個体」は、本発明では、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ラット、マウス、又は他のウシ科、ヒツジ、ウマ科、イヌ科、ネコ科の動物、げっ歯類又はネズミ科の種が挙げられるが、これらに限定されない哺乳類等の動物を含むと定義される。
【0066】
また、本発明は、本発明の組成物と、薬物送達装置と、任意で使用説明書とを含む、本発明に係る組成物の被験体(例えば、ヒトの患者)への投与において使用するためのキットを提供する。組成物は、例えばフリーズドライ製剤等の製剤として提供され得る。特定の実施形態では、薬物送達装置は、注射器、ペン型注射装置、吸入器、鼻内又は目への投与装置(例えば噴霧器、点眼器、又は点鼻器)及び無針注射装置からなる群より選択される。
【0067】
本発明の組成物(例えば、コンジュゲート又は融合物)は、保存のために凍結乾燥させてもよく、使用前に好適な担体中で再構成してもよい。任意の好適な凍結乾燥方法(例えば、噴霧乾燥、ケーク乾燥)及び/又は再構成技術を使用してもよい。凍結乾燥及び再構成は、抗体の活性喪失の程度を変化させる恐れがあり、それを補うために使用レベルを調節しなければならない場合があることを当業者は認識するであろう。特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載する凍結乾燥(フリーズドライ)組成物を含む組成物を提供する。好ましくは、凍結乾燥(フリーズドライ)組成物は、再水和されたとき、活性(例えば、血清アルブミンに対する結合活性)のうちの多くても約20%、又は多くても約25%、又は多くても約30%、又は多くても約35%、又は多くても約40%、又は多くても約45%、又は多くても約50%を失う。活性は、凍結乾燥される前の組成物の効果を生じさせるのに必要な組成物の量である。例えば、所望の期間に所望の血清濃度を達成及び維持するのに必要なコンジュゲート又は融合物の量である。組成物の活性は、凍結乾燥前に任意の好適な方法を用いて求めることができ、失われた活性の量を求めるために再水和後に同じ方法を用いて活性を求めてもよい。
【0068】
また、本発明は、本発明の組成物を含む持続放出製剤を提供し、このような持続放出製剤は、例えば、ヒアルロン酸、ミクロスフィア、又はリポソーム、並びに他の薬学的に又は薬理学的に許容できる担体、賦形剤、及び/又は希釈剤と組合せられた本発明の組成物を含んでもよい。このような持続放出製剤は、例えば、坐剤の形態であってもよい。
【0069】
1つの態様では、本発明は、本発明の組成物と、薬学的に又は薬理学的に許容できる担体、賦形剤、及び/又は希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1−1】(a)DAT0114(配列番号1)、(b)DAT0115(配列番号2)、(c)DAT0116(配列番号3)、(d)DAT0117(配列番号4)のアミノ酸配列を示す。
【図1−2】(e)DAT0118(配列番号5)、(f)DAT0119(配列番号6)(g)DAT0120(配列番号7)(h)Dom7h−14(配列番号8)((Albudab(商標)))(CDRが強調されている)、(i)GLP−1 7−37 A(8)G(配列番号9)のアミノ酸配列を示す。
【図1−3】(j)エキセンディン−4(配列番号10)、(k)ヘリカルリンカー(配列番号11)(l)Gly−serリンカー(配列番号12)、(m)エキセンディン4、(G4S)3、リンカーDOM7h−14−10融合物(DMS7139:配列番号13)、(n)エキセンディン4、(G4S)3、リンカーDOM7h−11−15融合物(DMS7143:配列番号14)、(o)DOM7h−14−10(配列番号15)のアミノ酸配列を示す。
【図1−4】(p)DOM7h−11−15(Albudab(商標))(配列番号16)、(q)OmpT AWAシグナルペプチド(リーダー)(配列番号17)、(r)DOM7H−14−10 R108C突然変異体(Albudab(商標)(配列番号18)、(s)PYY3−36(PEGで誘導された10位のリシンを有する)(配列番号19)(t)7h−11−15R108C(Albudab(商標))(配列番号47);(u)DAT0116R108C:190PYY(配列番号48)のアミノ酸配列を示す。
【図1−5】(V)PYY−Dom7h−14−10 albudabの遺伝的融合物(配列番号49)のアミノ酸配列を示す。
【図2−1】(a)DAT0114(哺乳類コンストラクト)(配列番号20)、(b)DAT0115(哺乳類コンストラクト)(配列番号21)の核酸配列を示す。
【図2−2】(c)DAT0115(大腸菌コンストラクトのために最適化された)(配列番号22)、(d)DAT0116(哺乳類コンストラクト)(配列番号23)の核酸配列を示す。
【図2−3】(e)DAT0116(大腸菌コンストラクトのために最適化された)(配列番号24)、(f)DAT0117(哺乳類のコンストラクト)(配列番号25)の核酸配列を示す。
【図2−4】(g)DAT0117(大腸菌コンストラクトのために最適化された)(配列番号26)、(h)DAT0118(哺乳類コンストラクト)(配列番号27)の核酸配列を示す。
【図2−5】(i)DAT0119(哺乳類コンストラクト)(配列番号28)、(j)DAT0120(哺乳類コンストラクト)(配列番号29)の核酸配列を示す。
【図2−6】(k)Dom7h−14(配列番号30)、(l)エキセンディン4、(G4S)3、リンカーDOM7h−14−10融合物(DMS7139:配列番号31)の核酸配列を示す。
【図2−7】(m)エキセンディン4、(G4S)3、リンカーDOM7h−11−15融合物(DMS7143:配列番号32)(n)Dom 7h−14−10(配列番号33)、(o)Dom 7h−11−15(配列番号34)の核酸配列を示す。
【図2−8】(p)Omp AWAシグナルペプチド(配列番号35)、(q)Dom 7h−14−10 R(108)C(配列番号36)の核酸配列を示す。
【図3】リシン及び4回反復PEGリンカーを介してPYY3−36にコンジュゲートしているDom7h−14−10(R108C)albudabであるペプチドコンジュゲートを示す。この分子は、実施例7〜9に詳述する実験で使用した。(配列番号37)
【図4】ペプチド−AlbudAbで処理されたDIOマウスにおける経時的な体重の変化を示す。
【図5】ペプチド−AlbudAbで処理されたDIOマウスにおける経時的な食餌摂取量の変化を示す。
【図6】ペプチド−AlbudAbで処理されたDIOマウスにおける体脂肪率(%)を示す(ベースライン及び15日目)。
【図7】ペプチド−AlbudAbで処理されたマウスにおけるDIOマウス(ベースライン対15日目)の体脂肪及び除脂肪質量(Lean Mass)の変化を示す。
【図8】ペプチド−AlbudAbで処理されたDIOマウスにおける内分泌腺検体の測定値を示す。
【図9】ペプチド−AlbudAbの組合せ及び対照で処理されたDIOマウスの肝臓における組織病理学的変化を示す。
【図10】ペプチド−AlbudAbで処理されたdb/dbマウスにおけるグリコシル化ヘモグロビン A1cの測定値を示す。
【図11】ペプチド−AlbudAbで処理されたdb/dbマウスにおけるHbA1c(%)の変化(ベースライン対16日目)を示す。
【図12】ペプチド−AlbudAbで処理されたdb/dbマウスにおける血漿インスリンレベル(16日目)を示す。
【図13】ペプチド−AlbudAbで処理されたdb/dbマウスにおける経時的な体重の変化を示す。
【図14】ペプチド−AlbudAbで処理されたdb/dbマウスにおける経時的な食餌摂取量の変化を示す。
【図15−1】以下のリーダー:(a)ompA(大腸菌由来)(配列番号38)、(b)ompA−AMA(人工配列)(配列番号39)、(c)ompA−AWA(人工配列)(配列番号40)、(d)ompT(大腸菌由来)(配列番号41)、(e)ompT−AMA(人工配列)(配列番号42)、(f)GAS(出芽酵母由来)(配列番号43)、(g)GAS−AMA(人工配列)(配列番号44)のアミノ酸配列を示す。
【図15−2】(h)GAS−AWA(人工配列)(配列番号45)(i)PelB(軟腐病菌)(配列番号46)のアミノ酸配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本明細書中では、本発明は、明確且つ簡潔な説明を記載することができるように実施形態を参照して説明される。実施形態は、本発明から逸脱することなく様々に組合せたり分離したりできることを意図し、またそのように認識されるべきである。
【0072】
他に別段の定義がされない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、(例えば、細胞培養、分子遺伝学、核酸化学、ハイブリダイゼーション技術、及び生化学の)当業者に一般的に理解される意味と同じ意味を有する。分子遺伝学的及び生化学的方法(一般的に、参照することによって本明細書に組み込まれるSambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版.(1989年)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.及びAusubelら,Short Protocols in Molecular Biology(1999年)第4版,John Wiley&Sons,Inc.を参照されたい)及び化学的方法の標準的な技術が用いられる。
【0073】
本発明で使用する用語「インスリン分泌促進剤」は、ホルモンであるインスリンの合成、又は発現、又は活性を刺激することができるか、又は刺激を引き起こすことができる化合物を意味する。インスリン分泌促進剤の公知の例としては、例えば、グルコース、GIP、GLP、エキセンディン(例えば、エキセンディン−4及びエキセンディン−3)、PYY(例えば、3−36 PYY)及びOXMが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
本発明で使用する用語「インクレチン」は、グルコースレベルが正常であるとき、又は特にグルコースレベルが高いときに放出される量の増加を引き起こす種類の胃腸ホルモンを意味する。一例として、インクレチンとしては、GLP−1、GIP、OXM、VIP、及びPP(膵臓ポリペプチド)が挙げられる。
【0075】
腸管ペプチドは、シグナル伝達機能を提供する腸管の異なる部分における様々な細胞から放出されるペプチドの分類であり、PYYも腸管ペプチドの一例である。
【0076】
ポリペプチドに言及するとき本発明で使用する用語「類似体」は、ペプチドの1以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基によって置換されている及び/又は1以上のアミノ酸残基がペプチドから欠失している及び/又は1以上のアミノ酸残基がペプチドから欠失している及び/又は1以上のアミノ酸残基がペプチドに付加されている改変ペプチドを意味する。このようなアミノ酸残基の付加又は欠失は、ペプチドのN末端及び/又はペプチドのC末端で生じてよく、ペプチド内で生じてもよい。GLP−1の類似体は、単純なシステムを用いて説明される:例えば、GLP−1 A8G(7−37アミノ酸)は、8位における天然のアラニンがグリシン残基で置換されているGLP−1類似体を意味する。ペプチド類似体及びその誘導体の式は、IUPAC−IUB命名法に従って用いられるアミノ酸の標準的な一文字略記を用いて記載される。
【0077】
本発明で使用する「断片」は、ポリペプチドに対する言及において使用されるとき、完全な天然ポリペプチドのアミノ酸配列の一部と同じであるが全てが同じ訳ではないアミノ酸配列を有するポリペプチドである。断片は、「自立型」であってもよく、単一のより大きなポリペプチドにおける単一の連続する領域として断片がその一部又は領域を形成しているより大きなポリペプチド内に含まれていてもよい。一例として、天然のGLP−1の断片は、天然のアミノ酸1〜36のうちのアミノ酸7〜36を含む。更に、ポリペプチドの断片は、天然の部分配列の変異体であってもよい。例えば、天然のGLP−1のアミノ酸7〜30を含むGLP−1の断片は、その部分配列内にアミノ酸置換を有する変異体であってもよい。
【0078】
本発明の好適なインスリン分泌促進剤の例としては、GLP−1、GLP−1誘導体、GLP−1類似体、又はGLP−1類似体の誘導体が挙げられる。更に、エキセンディン−4、エキセンディン−4類似体、及びエキセンディン−4誘導体又は断片、並びにエキセンディン−3、エキセンディン−3誘導体、及びエキセンディン−3類似体、PYY、PYY−1誘導体、PYY−1類似体、又はPYY−1類似体の誘導体、PYY断片(例えば、3−36及び/又は13−36PYY)も挙げられる。
【0079】
本発明で使用する用語「GLP−1」は、GLP−1(7−37)、GLP−1(7−36)、GLP−1(7−35)、GLP−1(7−38)、GLP−1(7−39)、GLP−1(7−40)、GLP−1(7−41)、GLP−1類似体、GLP−1ペプチド、GLP−1誘導体、又はGLP−1類似体の突然変異体若しくは断片若しくは誘導体を意味する。このようなペプチド、突然変異体、類似体、及び誘導体は、インスリン分泌促進剤である。
【0080】
例えば、GLP−1は、図1(i)の配列番号9に示すアミノ酸配列を有するGLP−1(7−37)A8G突然変異体であってもよい。
【0081】
更に、GLP−1類似体は、GLP−1(7−36)及びその機能的誘導体を含み、且つGLP−1(1−36)又はGLP−1(1−37)のインスリン分泌促進活性を越えるインスリン分泌促進活性を有するペプチド断片、並びにインスリン分泌促進剤としてのその使用に関する国際特許出願第90/11296号パンフレット(The General Hospital Corporation)に記載されている(特に本発明で使用するための薬物の一例として、参照することによって本明細書に組み込まれる)。
【0082】
国際公開第91/11457号パンフレット(Buckleyら)は、本発明に係るGLP−1薬物としても有用である可能性がある活性GLP−1ペプチド7−34、7−35、7−36、及び7−37の類似体を開示している(特に本発明で使用するための薬物又は剤の一例として、参照することによって本明細書に組み込まれる)。
【0083】
本発明で使用する用語「エキセンディン−4ペプチド」は、エキセンディン−4(1−39)、エキセンディン−4類似体、エキセンディン−4ペプチドの断片、エキセンディン−4誘導体、又はエキセンディン−4類似体の誘導体を意味する。このようなペプチド、断片、類似体、及び誘導体は、インスリン分泌促進剤である。エキセンディン−4(1−39)のアミノ酸配列を図1(j)の配列番号10に示す。
【0084】
本発明にとって有用である更なるエキセンディン類似体は、国際公開第99/25728号パンフレット(Beeleyら)、国際公開第99/25727号パンフレット(Beeleyら)、国際公開第98/05351号パンフレット(Youngら)、国際公開第99/40788号パンフレット(Youngら)、国際公開第99/07404号パンフレット(Beeleyら)及び国際公開第99/43708号パンフレット(Knudsenら)に開示されている(特に本発明で使用するための薬物又は剤の一例として、参照することによって本明細書に組み込まれる)。
【0085】
本発明で使用する用語PYYは、摂食に応答して放出される短い(36アミノ酸)タンパク質であるペプチドYYを指す。環におけるPYY濃度は、食後に増加し、絶食時に減少する。また、活性を保持しているPYYペプチドの断片(例えば活性断片)、例えば3−36及び13−36、並びにPYY類似体及び誘導体も本発明で有用である。
【0086】
本発明で使用する「ペプチド」は、ペプチド結合を介して互いに接合される2〜約50個のアミノ酸を指す。
【0087】
本発明で使用する「ポリペプチド」は、ペプチド結合を介して互いに接合される少なくとも50個のアミノ酸を指す。ポリペプチドは、一般的に、三次構造を含み、機能的ドメインに折り畳まれる。
【0088】
本発明で使用する「ディスプレイシステム」は、物理的、化学的、又は機能的な特徴等の所望の特徴に基づいて選択するためにポリペプチド又はペプチドのコレクションにアクセス可能なシステムを指す。ディスプレイシステムは、(例えば、溶液中の、好適な支持体に固定化されている)ポリペプチド又はペプチドの好適なレパートリーであってもよい。また、ディスプレイシステムは、細胞発現系(例えば、形質転換された、感染した、トランスフェクトされた、又は形質導入された細胞における核酸のライブラリの発現、及び細胞の表面におけるコードされたポリペプチドのディスプレイ)又は無細胞発現系(例えば、エマルションコンパートメンタリゼーション及びディスプレイ)を使用する系であってもよい。代表的なディスプレイシステムは、核酸のコード化機能と、前記核酸によってコードされているポリペプチド又はペプチドの物理的、化学的、及び/又は機能的特徴とを関連づける。このようなディスプレイシステムが使用されるとき、所望の物理的、化学的、及び/又は機能的特徴を有するポリペプチド又はペプチドを選択することができ、選択されるポリペプチド又はペプチドをコードする核酸を容易に単離又は回収することができる。核酸のコード化機能と、ポリペプチド又はペプチドの物理的、化学的、及び/又は機能的特徴とを関連づける多くのディスプレイシステムが当技術分野において公知であり、例えば、バクテリオファージディスプレイ(ファージディスプレイ、例えば、ファージミドディスプレイ)、リボソームディスプレイ、エマルションコンパートメンタリゼーション及びディスプレイ、酵母ディスプレイ、ピューロマイシンディスプレイ、細菌ディスプレイ、プラスミドにおけるディスプレイ、共有ディスプレイ等である。(例えば、欧州特許第0436597号明細書(Dyax)、米国特許第6,172,197号明細書(McCaffertyら)、米国特許第6,489,103号明細書(Griffithsら)を参照されたい)。
【0089】
本発明で使用する「機能的」とは、特異的結合活性等の生物活性を有するポリペプチド又はペプチドを説明する。例えば、用語「機能的ポリペプチド」は、その抗原結合部位を通して標的抗原に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む。
【0090】
本発明で使用する「標的リガンド」は、ポリペプチド又はペプチドによって特異的又は選択的に結合されるリガンドを指す。例えば、ポリペプチドが抗体又はその抗原結合断片であるとき、標的リガンドは、任意の所望の抗原又はエピトープであってもよい。標的抗原に対する結合は、機能的であるポリペプチド又はペプチドに依存する。
【0091】
本発明で使用する抗体は、天然に抗体を産生する任意の種に由来していようと、組換えDNA技術によって作製されていようと、血清、B細胞、ハイブリドーマ、トランスフェクトーマ、酵母、又は細菌から単離されていようと、IgG、IgM、IgA、IgD、若しくはIgE又は断片(Fab、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド結合されたFv、scFv、閉構造多重特異的抗体、ジスルフィド結合されたscFv、ダイアボディ等)を指す。
【0092】
本発明で使用する「抗体フォーマット」は、任意の好適なポリペプチド構造に抗原に対する結合特異性を付与するために1以上の抗体可変ドメインを組み込むことができる構造を指す。様々な好適な抗体フォーマットが当技術分野において公知であり、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、単鎖抗体、二特異性抗体、抗体重鎖、抗体軽鎖、抗体重鎖及び/又は軽鎖のホモダイマー及びヘテロダイマー、前述のいずれかの抗原結合断片(例えば、Fv断片(例えば単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合したFv)、FAb断片、Fab’断片、F(ab’)2断片)、単一抗体可変ドメイン(例えばdAb、VH、VHH、VL)、及び前述のいずれかの改変バージョン(例えば、ポリエチレングリコール又は他の好適なポリマー又はヒト化VHHの共有結合によって改変される)である。
【0093】
語句「免疫グロブリン単一可変ドメイン」とは、他のV領域又はドメインとは独立に抗原又はエピトープに特異的に結合する抗体の可変ドメイン(VH、VHH、VL)を指す。免疫グロブリン単一可変ドメインは、単一免疫グロブリン可変ドメインによる抗原結合に他の領域又はドメインが必要ではない(すなわち、免疫グロブリン単一可変ドメインは、更なる可変ドメインとは独立に抗原に結合する)、他の可変領域又は可変ドメインとのフォーマット(例えば、ホモ又はヘテロ多量体)で存在してもよい。「ドメイン抗体」又は「dAb」は、これらの用語が本明細書で使用されるとき、「免疫グロブリン単一可変ドメイン」と同一である。「単一の免疫グロブリン可変ドメイン」は、本発明で使用される「免疫グロブリン単一可変ドメイン」と同じである。「単一抗体可変ドメイン」は、この用語が本明細書で使用されるとき、「免疫グロブリン単一可変ドメイン」と同じである。免疫グロブリン単一可変ドメインは、1つの実施形態では、ヒト抗体可変ドメインであるが、げっ歯類(例えば、参照することによってその全文が本明細書に組み込まれる国際公開第00/29004号パンフレットに開示されている)、テンジクザメ、及びラクダ科のVHHdAb等の他の種に由来する単一抗体可変ドメインも含む。ラクダ科のVHHは、ラクダ、ラマ、アルパカ、ヒトコブラクダ及びグアナコを含む種に由来する免疫グロブリン単一可変ドメインポリペプチドであり、これらは、天然に軽鎖が欠けている重鎖抗体を産生する。VHHは、ヒト化することもできる。
【0094】
「ドメイン」は、タンパク質の残りと無関係の三次構造を有する折り畳まれたタンパク質構造である。一般的に、ドメインは、タンパク質の別々の機能特性に関与しており、多くの場合、タンパク質及び/又はドメインの残りの機能を失うことなく付加、除去、又は他のタンパク質に転移することができる。「単一抗体可変ドメイン」は、抗体可変ドメインに特徴的な配列を含む折り畳まれたポリペプチドドメインである。したがって、単一抗体可変ドメインは、完全な抗体可変ドメイン、並びに例えば、1以上のループが抗体可変ドメインに特徴的ではない配列、あるいは切頭されているか又はN末端若しくはC末端に伸長を含む抗体可変ドメインによって置換されている改変可変ドメイン、並びに完全長ドメインの少なくとも結合活性及び特異性を保持する可変ドメインの折り畳まれた断片を含む。
【0095】
用語「ライブラリ」とは、異種のポリペプチド又は核酸の混合物を指す。ライブラリは、各々が単一のポリペプチド又は核酸配列を有するメンバーで構成される。この点で、「ライブラリ」は、「レパートリー」と同義である。ライブラリ中に存在する多様性は、ライブラリのメンバー間の配列の差に起因する。ライブラリは、ポリペプチド又は核酸の単純な混合物の形態をとってもよく、核酸のライブラリで形質転換された生物又は細胞、例えば、細菌、ウイルス、動物、又は植物の細胞等の形態であってもよい。1つの実施形態では、各個々の生物又は細胞は、1つのみ又は制限された数のライブラリメンバーを含有する。1つの実施形態では、核酸は、前記核酸によってコードされるポリペプチドを発現させるために、発現ベクターに組み込まれる。したがって、ライブラリが宿主生物の集団の形態をとり得る態様では、各生物は、発現してその対応するポリペプチドメンバーを生成することができる核酸形態でライブラリの単一メンバーを含有する発現ベクターのうちの1以上のコピーを含有する。したがって、宿主生物の集団は、多様なポリペプチドの多くのレパートリーをコードする能力を有する。
【0096】
本発明で使用する用語「用量」は、全てが1度に被験体に投与されるか(単位用量)、又は規定の時間間隔で2回以上被験体に投与される融合物又はコンジュゲートの量を指す。例えば、用量は、1日間(24時間)(日用量)、2日間、1週間、2週間、3週間、又は1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、又は6ヶ月間、又はそれ以上の期間に(例えば、単回投与によって又は2回以上の投与によって)被験体に投与される融合物又はコンジュゲートの量を指す場合もある。用量間の間隔は、任意の所望の時間量であってよい。
【0097】
語句「半減期」は、例えば、天然の機序による分解及び/又はクリアランス又は隔離に起因して、融合物又はコンジュゲートの血清中又は血漿中濃度がインビボで50%低下するのにかかる時間を指す。本発明の組成物は、インビボで安定化され、分解及び/又はクリアランス又は隔離に対して耐性である血清アルブミン分子、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合させることによって半減期が増加される。これら血清アルブミン分子は、それ自体インビボにおける半減期が長い天然タンパク質である。半減期の長い分子に対して特異的ではない類似の分子よりも長い期間、インビボで機能活性が持続している場合、分子の半減期は増加している。例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)並びにインクレチン及び/又はインスリン分泌促進剤及び/又は腸管ペプチド、例えばGLP−1、PYY、又はエキセンディンに対して特異的なdAbを含む本発明の組成物は、HSAに対する特異性が存在しない、すなわちHSAに結合しないが別の分子には結合する同じリガンドと比較される。例えば、前記リガンドは、細胞における第3の標的に結合することができる。典型的には、半減期は、10%、20%、30%、40%、50%又はそれ以上増加する。半減期を2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、又はそれ以上の範囲で増加させることが可能である。あるいは、又は更に、半減期を最大30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、150倍増加させることが可能である。
【0098】
本発明で使用する「流体力学的サイズ」は、水溶液を通じた分子の拡散に基づいた分子(例えば、タンパク質分子、リガンド)の見掛けのサイズを指す。溶液を通じたタンパク質の拡散又は移動を処理してタンパク質の見掛けのサイズを導くことができ、この場合前記サイズは、タンパク質粒子の「ストークス半径」又は「流体力学的半径」によって得られる。タンパク質の「流体力学的サイズ」は、質量及び形状(立体構造)に依存し、その結果、同じ分子量を有する2つのタンパク質は、タンパク質の全体の立体構造に基づいて様々な流体力学的サイズを有する場合がある。
【0099】
2つの配列間の「相同性」又は「同一性」又は「類似性」(これら用語は本発明では互換的に用いられる)の計算は、以下の通り実施される。最適に比較する目的のために配列をアラインメントする(例えば、最適なアラインメントのために第1及び第2のアミノ酸又は核酸のうちの一方又は両方にギャップを導入してもよく、比較のために非相同配列を無視してもよい)。1つの実施形態では、比較のためにアラインメントするレファレンス配列の長さは、前記レファレンス配列の長さのうちの少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、80%、90%、100%である。次いで、対応するアミノ酸位置又は核酸位置におけるアミノ酸残基又はヌクレオチドを比較する。第1の配列中のある位置が第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドで占められている場合、分子は、その位置において同一である(本発明で使用するアミノ酸又は核酸の「相同性」は、アミノ酸又は核酸の「同一性」に等しい)。2つの配列間の同一性割合は、前記2つの配列を最適にアラインメントするために導入する必要のあるギャップ数及び各ギャップの長さを考慮して、前記配列が共有している同一の位置数の関数である。本発明で定義されるアミノ酸及び核酸配列のアラインメント、及び相同性、類似性、又は同一性は、デフォルトのパラメータを用いてアルゴリズムBLAST 2 Sequencesを用いて調製し、求めることができる(Tatusova,T.A.ら,FEMS Microbiol Lett,174:187−188(1999年))。
【0100】
アミノ酸配列の翻訳後修飾:アミノ酸配列の翻訳後修飾は、天然で生じる場合もあり、これらは、例えば、残基の脱アミド化又はN末端の環化又は付加又は欠失を含む場合があることが知られている。したがって、本発明は、このような翻訳後修飾、例えば、配列の脱アミド化形態から生じる、本明細書に開示する配列の変異体を含む。
【0101】
核酸、宿主細胞:
本発明は、本明細書に記載する本発明の組成物、例えば融合物をコードする単離及び/又は組換え核酸に関する。
【0102】
本明細書で「単離」と称される核酸は、そのオリジナルの環境(例えば、細胞内又はライブラリ等の核酸の混合物中)における他の物質(例えば、ゲノミックDNA、cDNA、及び/又はRNA等の他の核酸)から分離されている核酸である。単離核酸は、ベクター(例えば、プラスミド)の一部として単離することができる。
【0103】
本発明で「組換え」と称される核酸は、例えば、制限酵素、相同的組換え、ウイルス等を用いてベクター又は染色体にクローニングする等の人工的組換えに依る方法を含む組換えDNA法によって生成される核酸、及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて調製される核酸である。
【0104】
また、本発明は、本明細書に記載する本発明の組成物、例えば融合物をコードする核酸を含む(1以上の)組換え核酸又は発現コンストラクトを含む、例えば哺乳類又は微生物等の組換え宿主細胞に関する。また、本明細書に記載する本発明の組成物、例えば融合物を調製する方法であって、融合ポリペプチドの発現に適切な条件下で本発明の組換え宿主細胞、例えば哺乳類又は微生物の組換え宿主細胞を維持することを含む方法を提供する。前記方法は、必要に応じて、融合物を単離又は回収する工程を更に含んでもよい。
【0105】
例えば、本発明の組成物、例えば本発明の融合ポリペプチドをコードする核酸分子(すなわち、1以上の核酸分子)、又はこのような核酸分子を含む発現コンストラクト(すなわち、1以上のコンストラクト)を好適な宿主細胞に導入して、選択された宿主細胞に適切な任意の方法(例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、感染)を用いて組換え宿主細胞を作製することができ、その結果、前記核酸分子は、1以上の発現制御エレメントに機能的に連結される(例えば、ベクターにおいて、細胞内過程によって作製されたコンストラクトにおいて、宿主細胞のゲノムに組み込まれる)。得られる組換え宿主細胞は、発現に好適な条件下で(例えば、インデューサの存在下で、好適な動物において、適切な塩、成長因子、抗生物質、栄養補助物質等を添加した好適な培養培地において)維持することができ、それによって、コードされているペプチド又はポリペプチドが生成される。必要に応じて、コードされているペプチド又はポリペプチドを(例えば、哺乳類、動物、宿主細胞、培地、乳から)単離又は回収してもよい。このプロセスは、トランスジェニック動物の宿主細胞における発現を包含する(例えば、国際公開第92/03918号パンフレット、GenPharm Internationalを参照されたい)。ペプチド又は融合タンパク質又はコンジュゲートは、次いで、発現宿主において、培養培地において、精製中又は精製後、例えば、C末端のアミド化を介して、例えば化学的又は酵素的に更に修飾されてもよい。
【0106】
また、本明細書に記載する本発明の組成物、例えば融合ポリペプチドは、例えば化学合成又は任意の他の好適な方法によって好適なインビトロ発現系において生成することができる。
【0107】
本明細書に記載及び例証される本発明の組成物、例えば融合物及びコンジュゲートは、一般的に、高い親和性で血清アルブミンに結合する。
【0108】
例えば、融合物又はコンジュゲートは、(表面プラズモン共鳴によって測定されたとき)、例えば、400〜800nm、例えば、600nmで約5μM〜約100pM、例えば、約1μM〜約100pMの親和性(KD;KD=Koff(kd)/Kon(ka))でヒト血清アルブミンに結合することができる。
【0109】
本発明の組成物、例えば融合物又はコンジュゲートは、大腸菌又はピキア属の種(例えば、ピキア・パストリス)において発現することができる。1つの実施形態では、融合物は、大腸菌若しくはピキア属の種(例えば、ピキア・パストリス);又は哺乳類細胞培養(例えば、CHO又はHEK239細胞)で発現するとき、少なくとも約0.5mg/Lの量で分泌される。本明細書に記載する融合物又はコンジュゲートは、大腸菌若しくはピキア属の種、又は哺乳類細胞で発現するとき分泌可能であるが、これらは、大腸菌又はピキア属の種を使用しない合成化学法又は生物学的生成法等の任意の好適な方法を用いて生成することもできる。
【0110】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、有効な量が投与されたとき、国際公開第2006/059106号パンフレット(例えば、国際公開第2006/059106号パンフレットの104〜105ページ)又は本明細書の実施例に記載される動物モデル等の動物モデルにおいて有効である。一般的に、有効な量は、約0.0001mg/kg〜約10mg/kg(例えば、約0.001mg/kg〜約10mg/kg、例えば、約0.001mg/kg〜約1mg/kg、例えば、約0.01mg/kg〜約1mg/kg、例えば、約0.01mg/kg〜約0.1mg/kg)である。疾患のモデルは、ヒトにおける治療有効性の指標であると当業者に認識されている。
【0111】
一般的に、本発明の組成物は、薬理学的又は生理学的に適切な担体と共に精製形態で利用される。典型的には、これら担体は、水溶液又はアルコール/水溶液、エマルション又は懸濁剤、生理食塩水及び/又は緩衝媒体を含む任意の担体を含んでもよい。非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンゲル液、デキストロース及び塩化ナトリウム、及び乳酸加リンゲル液を挙げることができる。好適な生理学的に許容できる佐剤は、懸濁液中にポリペプチド複合体を維持する必要がある場合、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、及びアルギン酸塩等の増粘剤、スクロース、トレハロース、ソルビトール、tween−20又はtween−80等の洗剤から選択することができる。
【0112】
静脈内用ビヒクルとしては、流体及び栄養補充液及び電解質補充液、例えば、リンゲル液に基づくもの等が挙げられる。また、保存剤、並びに抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、及び不活性気体等の他の添加剤が存在してもよい(Mack(1982年)Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版)。徐放製剤を含む様々な好適な製剤を用いてもよい。
【0113】
本発明に係る医薬組成物の投与経路は、当業者に一般的に知られているものであってよい。療法については、本発明の薬物の融合物又はコンジュゲートを標準的な技術に従って任意の患者に投与することができる。
【0114】
投与は、非経口的に、静脈内に、経粘膜送達(例えば舌下)、皮下注射によって、筋肉内に、腹腔内に、経口的に、経皮的に、経粘膜的に、肺経路を介して、鼻送達を介して、GI送達、直腸内送達、又は目送達を含む適切なモードによって行うことができ、あるいは適切にカテーテルにより直接注入してもよい。投薬量及び投与頻度は、患者の年齢、性別、及び症状、他の薬物の同時投与、使用禁忌、及び医師が考慮すべき他のパラメータに依存する。投与は、指定の通り局所であっても全身であってもよい。
【0115】
本発明の組成物は、保存用に凍結乾燥させてもよく、使用前に好適な担体で再構成してもよい。この技術は、従来の免疫グロブリンで有効であることが示されており、当技術分野において公知である凍結乾燥及び再構成技術を使用することができる。当業者は、凍結乾燥及び再構成が抗体の活性喪失の程度を変化させる恐れがあり(例えば、従来の免疫グロブリンでは、IgM抗体は、IgG抗体よりも活性の喪失が大きい傾向がある)、それを補うために使用レベルを上方調整しなければならない場合があることを認識する。
【0116】
予防的適用では、例えば、糖尿病前症又はインスリン抵抗性の個体に投与するとき、本融合物又はコンジュゲートを含有する組成物は、疾患の発症を予防する、阻害する、又は遅延させるために(例えば、寛解又は静止状態を維持するか、又は急性相を防ぐために)、同様又は僅かに低い投薬量で投与されてもよい。当業者は、疾患を治療、抑制、又は予防するための適切な投薬間隔を求めることができる。疾患を治療、抑制、又は予防するために本発明の組成物を投与するとき、1日当たり4回以内、1日当たり1回、1週間に2回、1週間に1回、2週間毎に1回、1ヶ月に1回、2ヶ月毎に1回、3ヶ月毎に1回、6ヶ月毎に1回、又はより長い間隔で、例えば、約0.0001mg/kg〜約10mg/kg(例えば、約0.001mg/kg〜約10mg/kg、例えば、約0.001mg/kg〜約1mg/kg、例えば、約0.01mg/kg〜約1mg/kg、例えば、約0.01mg/kg〜約0.1mg/kg)の用量で投与してよい。
【0117】
本明細書に記載される組成物を用いて実施される治療又は療法は、治療前に存在する1以上の症状に対して、又はこのような組成物若しくは他の好適な対照で処理されていない個体(ヒト又はモデル動物)における1以上の症状に対して、1以上の症状又は徴候が(例えば、少なくとも10%、又は臨床評価尺度において少なくとも1ポイント)低減又は緩和される場合「有効」であると考えられる。症状は、標的とされる疾患又は障害の正確な性質に依存して明らかに変化するが、当業者又は技術者によって測定することができる。
【0118】
同様に、本明細書に記載する組成物を用いて実施される予防は、前記組成物で処理されていない同様の個体(ヒト又はモデル動物)における1以上の症状に対して、1以上の症状又は徴候の発症又は重篤度が遅延、低減、又は消滅された場合「有効」である。
【0119】
本発明の組成物は、他の治療剤又は活性剤、例えば、他のポリペプチド又はペプチド又は小分子と併用投与されてもよい。これら更なる剤としては、例えば、メトホルミン、インスリン、グリタゾン(例えば、ロサグリタゾン)、免疫抑制剤、免疫刺激剤等の様々な薬物を挙げることができる。
【0120】
本発明の組成物は、1以上の更なる治療剤又は活性剤と一緒に投与及び/又は製剤化されてもよい。本発明の組成物が追加の治療剤と共に投与される場合、融合物又はコンジュゲートは、前記追加の剤の投与前に、投与と同時に、投与と共に、又は投与後に投与されてもよい。一般的に、本発明の組成物及び追加の剤は、治療効果が重複するように投与される。
【0121】
半減期:
インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子、例えば、GLP−1、PYY、又はエキセンディンリガンドの半減期が増加することは、インビボにおける用途において有用である。本発明は、インビボにおけるインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド薬物、例えば、GLP及びエキセンディンの半減期を増加させることによってこの問題を解決し、結果として、これら分子の機能活性の体内における持続時間を長くする。
【0122】
本明細書に記載するとき、本発明の組成物は、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子単独と比べて、インビボにおける血清又は血漿半減期を劇的に延ばす及び/又はAUCを増加させる及び/又は平均滞留時間(MRT)を増加させることができる。更に、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子の活性は、一般的に、本発明の組成物(例えば、コンジュゲート又は融合物)において実質的に変化しない。しかし、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子単独と比較して本発明の組成物の活性が若干変化することは許容でき、一般的に、本発明の組成物の薬物動態特性を改善することによって補われる。例えば、本発明の組成物は、インクレチン/インスリン分泌促進性単独よりも低い親和性で標的に結合する可能性があるが、組成物の薬物動態特性が改善されたことによって(例えば、インビボにおける血清半減期の延長、AUCの増加)、インクレチン/インスリン分泌促進剤単独に比べてほぼ同等又はより優れた効力を有する。更に、本発明の組成物の半減期が増加したことにより、本発明の組成物は、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド薬物単独よりも低い頻度で投与することができる、例えば、1ヶ月に1回又は1週間に1回患者に投与してもよく、また、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド単独の投与よりも血中のインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド剤の濃度をより一定にすることができるので、所望の治療又は予防効果が達成される。
【0123】
リガンドの半減期の薬物動態分析及び測定の方法は、当業者によく知られている。詳細は、Kenneth,Aら:Chemical Stability of Pharmaceuticals:A Handbook for Pharmacists及びPetersら,Pharmacokinetc analysis:A Practical Approach(1996年)に見出すことができる。また、tα及びtβ半減期及び曲線下面積(AUC)等の薬物動態パラメータについて記載している「Pharmacokinetics」,M Gibaldi&D Perron,Marcel Dekker発行,第2版(1982年)も参照されたい。
【0124】
半減期(t1/2α及びt1/2β)及びAUC及びMRTは、時間に対するリガンドの血漿又は血清濃度の曲線から求めることができる。例えば、WinNonlin分析パッケージ(Pharsight Corp.,Mountain View,CA94040,USAから入手可能)を用いて、曲線をモデル化することができる。第1の相(α相)では、リガンドは、患者の体内に主に分配されるが、一部は排出される。第2の相(β相)は、リガンドが分配され、リガンドが患者からなくなるとともに血清濃度が低下するときの終末相である。tα半減期は第1の相の半減期であり、tβ半減期は第2の相の半減期である。更に、当技術分野において周知である非コンパートメント適合モデルを用いて半減期を求めることもできる。
【0125】
1つの実施形態では、本発明は、本発明に係る融合物又はコンジュゲートを含む組成物であって、前記融合物又はコンジュゲートが、例えば、ヒト被験体において、約12時間以上、例えば約12時間〜約21日間、例えば約24時間〜約21日間、例えば約2〜8日間、例えば約3〜4日間の範囲の排出半減期を有する組成物を提供する。
【0126】
本発明の組成物、すなわち、本明細書に記載する融合物及びコンジュゲートを含む組成物は、幾つかの更なる利点を提供する。ドメイン抗体成分は、非常に安定であり、抗体及び抗体の他の抗原結合断片に比べて小さく、大腸菌又は酵母(例えば、ピキア・パストリス)又は哺乳類細胞(例えばCHO細胞)で発現することによって高収率で生成することができ、且つ血清アルブミンに結合する抗体の抗原結合断片を、ヒト起源のライブラリ又は任意の所望の種から容易に選択することができる。したがって、血清アルブミンに結合するdAbを含む本発明の組成物は、哺乳類細胞(例えば、ヒト、ヒト化、又はキメラ抗体)で一般的に生成される治療剤よりも容易に生成することができ、免疫原性ではないdAbを用いることもできる(例えば、ヒトdAbをヒトの疾患の治療又は診断に用いることができる)。
【0127】
血清アルブミンに結合するdAbを含有する薬物組成物の一部であるとき、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子の免疫原性が低下する場合がある。したがって、本発明は、(インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子単独よりも)免疫原性が低下し得る、又は血清アルブミンに結合するdAbを含有する薬物組成物の状況において実質的に免疫原性でなくなり得る組成物を提供する。したがって、このような組成物は、被験体の免疫系による抗薬物抗体の同化に起因する効果の喪失を最小限に抑えながら経時的に繰り返し被験体に投与することができる。
【0128】
更に、本明細書に記載する組成物は、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド剤単独よりも高い安全性プロファイル及び少ない副作用を有することができる。例えば、dAbの血清アルブミン結合活性の結果として、本発明の融合物又はコンジュゲートは、血管循環における滞留時間が長くなる。更に、本発明の組成物は、血液脳関門を通過したり、全身投与(例えば、静脈内投与)後中枢神経系に蓄積したりすることが実質的に不可能である。したがって、本発明の組成物は、インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド剤単独と比べて、安全性は高く且つ副作用は少なく投与することができる。同様に、本発明の組成物は、薬物単独よりも特定の器官(例えば、腎臓又は肝臓)に対する毒性が低い場合がある。
【実施例】
【0129】
実施例1:GLP−1(A8G)又はエキセンディン−4とDOM7h−14 AlbudAbとの遺伝融合物の発現:
エキセンディン−4又はグリシンによって置換された8位のアラニンを有するGLP−1(7−37)([Gly8]GLP−1)のいずれかを、DOM7h−14(以下に示すアミノ酸配列を有する血清アルブミン(albudab)に結合するドメイン抗体(dAb))との融合物としてpTT−5ベクター(CNRC,Canadaから入手可能)にクローニングした。いずれの場合も、GLP−1又はエキセンディン−4がコンストラクトの5’末端に存在し、dAbが3’末端に存在していた。図1(A〜G)に示すアミノ酸配列を有する合計7つのコンストラクト(DAT0114、DAT0115、DAT0116、DAT0117、DAT0118、DAT0119、DAT0120)を作製した。GLP−1又はエキセンディン−4とdAbとの間には、リンカーが存在しないか、あるいはgly−serリンカー(G4S×3)、ヘリカルリンカー(「Design of the linkers which effectively separate domains of a bifunctional fusion protein.」Protein Eng 14(8):529−32.456)、又はGLP−1若しくはエキセンディン−4とdAbとの間の第2のGLP−1部分からなるリンカーが存在していた。リンカーは、GLP−1又はエキセンディン−4をdAbから分離して、GLP−1又はエキセンディン−4とGLP−1受容体との間の結合の立体障害を防ぐためのスペーサとして含まれていた。コンストラクトの配列を図1(A〜G)の配列番号1〜7に示す。
【0130】
(Qiagen CAから入手可能な内毒素を含まないプラスミドGigaキットを用いて)アルカリ溶解を用いて大腸菌で内毒素を含まないDNAを調製し、それを用いてHEK293E細胞(CNRC,Canadaから入手可能)をトランスフェクトした。フラスコ1個当たり333μLの293fectin(Invitrogen)及び250μgのDNAを用いて、1.75×106細胞/mLで250mL/フラスコのHEK293E細胞にトランスフェクションし、5日間30℃で発現させた。上清を遠心分離によって回収し、プロテインLを用いて親和性精製を行った。タンパク質を樹脂にバッチ結合させ、カラムにパックし、10カラム体積のPBSで洗浄した。タンパク質を0.1Mのグリシン(pH2)50mLで溶出し、Tris(pH8)で中和した。予測されるサイズのタンパク質をSDS−PAGEゲルで同定した。サイズを以下の表1に示す。
【表1】
【0131】
実施例2:GLP−1及びエキセンディン−4 AlbudAb融合物が血清アルブミンに結合することを示す:
GLP−1及びエキセンディン−4 AlbudAb融合物を、表面プラズモン共鳴(GE Healthcareから入手可能なBiacore AB)によって分析して、親和性に関する情報を得た。血清アルブミンでコーティングされたCM5 Biacoreチップ(カルボキシメチル化デキストランマトリクス)を用いて分析を実施した。約1000共鳴単位(RU)の試験される各血清アルブミン(ヒト、ラット、及びマウスの血清アルブミン)をpH5.5の酢酸バッファで固定化した。Biocore ABのフローセル1は、コーティングされておらず且つブロッキングされているネガティブコントコールであり、フローセル2は、ヒト血清アルブミン(HSA)(815RU)でコーティングされており、フローセル3は、ラット血清アルブミン(RSA)(826RU)でコーティングされており、フローセル4は、マウス血清アルブミン(MSA)(938RU)でコーティングされていた。試験した各融合分子を上記実施例に記載の通り哺乳類組織培養で発現させた。
【0132】
BIACORE HBS−EPバッファ(0.01MのHEPES、pH7.4、0.15MのNaCl、3mMのEDTA、0.005%の界面活性剤P20)で希釈することによって様々な濃度の融合分子を調製し(16nM〜2μMの範囲)、BIACOREチップに流した。
【0133】
親和性(KD)の領域におけるdAbの濃度によって作成されるトレースに会合速度(on−rate)及び解離速度(off−rate)曲線を当てはめることによって、BIACOREトレースからKDを計算した。KD(親和性)を以下の表2に要約する。
【表2】
【0134】
上記結果は、融合分子が全ての種類の血清アルブミンに結合する能力を保持していることを立証し、これは、インビボにおける半減期が延長されている可能性があることを示唆する。
【0135】
実施例3:GLP−1及びエキセンディン−4 AlbudAb融合物は、GLP−1受容体結合アッセイ(GLP−1R BA)において活性である:
融合物を100mMのNaVI、20mMのクエン酸塩(pH6.2)でバッファ交換した。一方、CHO 6CRE GLP1R細胞(ルシフェラーゼレポーター遺伝子をドライブする6つのcAMP応答エレメントで安定にトランスフェクトされ、ヒトGLP−1受容体も有するCHO K1細胞(American Type Tissue Collection,ATCCから入手可能))を、懸濁培地に2×105細胞/mLで播種した。懸濁培養を24時間維持した。次いで、2mMのLグルタミン(2.5×105細胞/mL)を含有する15mMのHEPESバッファ(Sigmaから入手可能)で細胞を希釈し、アッセイされる化合物を10μL/ウェル含有する384ウェルプレートに分配した。アッセイ対照の添加後、プレートをインキュベータに戻して、37℃及び5%CO2で3時間インキュベートした。インキュベーション後、steady gloルシフェラーゼ基質(Promegaから入手可能)をキットに記載の通りウェルに添加し、プレートを自己接着性プレートシール(Weber Marking Systems Inc.カタログ番号607780)で密封した。プレートをリーダー(Viewlux,Perkin Elmer)に入れ、5分間プレインキュベートした後、蛍光を読み取り、結果をプロットした。10μMのアルブミンの存在又は不在下にて、様々な濃度の化合物でアッセイして、アルブミンの有り無しで用量応答曲線を当てはめた。EC50を計算し、以下の表3に要約した:
【表3】
【0136】
上記結果は、試験した融合分子が全てGLP−1受容体に結合する効力を保持していることを実証する。また、上記結果は、この効力が血清アルブミンの存在下で保持されていることを示す。したがって、これら融合分子は、インビボにおいてGLP−1受容体に結合する能力を保持している可能性がある。
【0137】
実施例4:HEK293哺乳類組織培養におけるDAT0115、DAT0116、DAT0117、及びDAT0120の発現、次いで、プロテインL親和性捕捉及びイオン交換クロマトグラフィーによる精製:
本実験の目的は、インビボ及びインビボにおける特性評価のためにタンパク質を生成することであった。既に記載の通り、HEK293E細胞における哺乳類組織培養でpTT−5ベクターからタンパク質を発現させた。簡潔に述べると、内毒素を含まないDNAを調製し、精製し、それを用いてHEK293E細胞をトランスフェクトした。振盪インキュベータ内で30℃にて5日間タンパク質を発現させ、培養物をスピンダウンし、上清(対象タンパク質を含有する)を回収した。プロテインLアガロースstreamline親和性樹脂(樹脂はGE Healthcare製、プロテインLはインハウスでカップリングした)において親和性捕捉によって上清からタンパク質を精製した。次いで、約10カラム体積のPBSで樹脂を洗浄し、次いで、約5カラム体積の0.1Mグリシン(pH2.0)でタンパク質を溶出した。この場合(前述の例と対照的に)、次いで、更なる精製を行った。タンパク質(tris−グリシン中)を20mMの酢酸(pH5.0)でバッファ交換した後、Aktaを用いて、予め20mMの酢酸(pH5.0)で平衡化された1つ(又は並行して2つ)の6mLのresource Sカラム(GE healthcare)にロードした。同じバッファで洗浄した後、20mMの酢酸(pH5.0)中の0〜0.75M又はNaCl勾配を介してタンパク質を溶出した。次いで、SDS−PAGE電気泳動及び質量分析によって正確なサイズの画分を同定し、次いで、合わせて最終的なタンパク質サンプルを作製した。次いで、タンパク質を20mMのクエン酸塩(pH6.2)、100mMのNaClでバッファ交換し、0.5〜5mg/mLに濃縮した。タンパク質を0.2μMのフィルタで濾過して、確実に滅菌した。
【0138】
実施例5:PYY(3−36)Dom7h−14−10(R108C)AlbudAbペプチドコンジュゲート(図3に示す構造を有する)(これはリシン及び4回反復PEGリンカーを介してPYY3−36にコンジュゲートされているDom7h−14−10(R108C)albudabである)の生成:
Dom7h−14−10(R108C)albudabを、以下に記載する通り大腸菌で発現させ精製した。DOM7h−14−10(R108C)をコードする遺伝子をベクターpET30にクローニングした。発現ベクターにクローニングするために、5’にNdeI制限酵素部位を有し、続いてPEL Bリーダー配列(図15(i)の配列番号46に示すアミノ酸配列)を有するアセンブリPCRとして融合物を生成した。ベクター及びアセンブリPCRをNdeI及びBamHI制限エンドヌクレアーゼで切断し、次いで、Quick Ligation Kit(NEB)を用いてインサートをベクターにライゲーションした。このライゲーション物2マイクロリットルをMachI細胞の形質転換に用いた。回復増殖期間後、カルベニシリンを含有する寒天プレートに細胞をプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。コロニーの配列を決定し、正確な配列を含有するものをプラスミドの増殖及び単離に用いた(Plasmid Mini Prep kit,Qiagen)。BL21(DE3)細胞をプラスミドDNAで形質転換し、得られたコロニーを発現培養物の接種に用いた。50mLの変法TB培地(Sigma)を含有する250mLのフラスコに接種することによって発現させ、これをOD=0.1で接種し、次いで、50mg/mLのカナマイシンを添加して30℃で増殖させた。A600=0.5〜1にて、細胞をIPTGで誘導し最終濃度を50μMにし、23℃で一晩増殖を続けた。次いで、培養上清を1時間3700×gで遠心分離することによって清澄化した。次いで、プロテインL streamline(GE Healthcare,カタログ番号28−4058−03,プロテインLがカップリングしている)を用いて清澄化された上清から発現したタンパク質を精製し、0.1Mのグリシン(pH2.0)を用いてプロテインLから溶出し、次いで、1MのTris(pH8.0)を1/5溶出体積添加することによって中和した。次いで、0.1Mのクエン酸を用いてタンパク質のpHを調整し、50mMのクエン酸ナトリウム(pH5)で平衡化されている30mLのSource S column(GE Healthcare)に適用した。0〜100の50mMのクエン酸ナトリウム(pH5)、1MのNaClの勾配をAktaXpress FPLC(GE healthcare)を用いて150mL超適用した。SDS−PAGEで画分を分析し、最も純度の高い生成物を含有する画分をプールした。最終タンパク質を50mMのリン酸ナトリウム(pH6.5)、5mMのEDTAで脱塩した。
【0139】
次いで、図3に示すPEGリンカーを用いてPYY3−36アミノ酸分子(但し、PEGリンカーで誘導体化できる10位にリシンを有する)にDom7h−14−10(R108C)を連結させる。PYY及びPEGは、標準的な化学合成によって調製した。次いで、PEGリンカーの末端のマレイミドを用いて、上記の通り調製したDom7h−14−10(R108C)albudabの自由システインにPYYペプチドをコンジュゲートさせた。最終濃度が5mMになるようにジチオスレイトール(DTT)を添加することによってDom7h−14−10(R108C)の自由システインを還元し、30分間インキュベートし、最後に50mMのリン酸ナトリウム(pH6.5)、5mMのEDTAで脱塩してDTTを除去した。次いで、マレイミドで活性化されたペプチドを1:1の比でタンパク質と混合し、インキュベートしてコンジュゲートさせた。
【0140】
上記と同様の方法でイオン交換クロマトグラフィーによって未反応のDom7h−14−10(R108C)からコンジュゲートを精製した。最後に、上記と同様の方法でプロテインL親和性精製を用いて、コンジュゲート中で濃縮された画分を自由ペプチドから精製した。最終的なコンジュゲートをバッファ交換し、SDS−PAGE及び質量分析によって分析した。
【0141】
実施例6:エキセンディン−4及びDOM7h−14−10/DoM7h−11−15 AlbudAbの遺伝的融合物の発現及び精製
この実験の目的は、DMS7139及びDMS7143を効率的に発現させることであった。DMS7139は、DOM7h−14−10(血清アルブミンに結合するドメイン抗体(dAb)、albudabとしても知られている)とエキセンディン−4との融合物であり、DMS7143は、正確にプロセシングされたN末端を有する、大腸菌におけるDOM7h−11−15(血清アルブミンに結合するドメイン抗体(dAb)、albudabとしても知られている)とエキセンディン−4との融合物である。次いで、後の実験においてこの融合物のエキセンディン−4部分の活性及びAlbudAb部分の活性について試験することができた。DOM7h−14−10又はDOM7h−11−15との融合物としてエキセンディン−4をクローニングし、ここでは、エキセンディン−4ペプチドがコンストラクトの5’末端に存在し、AlbudAbが3’末端に存在していた。各々がエキセンディン−4ペプチドとAlbudAbとの間に(Gly4Ser)3リンカーを含む合計2つのコンストラクトを作製した。リンカーは、エキセンディン4をdAbから空間的に分離して、エキセンディン−4とGLP−1受容体との間の結合の立体障害を防ぐためのスペーサとして含まれていた。コンストラクトの配列を図1(m)及び1(n)に示す。発現ベクターにクローニングするために、5’にNdeI制限酵素部位を有し、続いて改変OmpT(図1(q)の配列番号17に示すアミノ酸配列を有するOmpT AWA)を有し、3’末端にBamHI部位を有するアセンブリPCRとして融合物を生成した。OmpT AWAシグナルペプチドは、最後3つのコドンをが野性型「TCTTTTGCC」から、SFAの代わりにAWAをコードする「GCTTGGGCC」に変化している。この変化は、大腸菌のシグナルペプチダーゼによる正確な部位のプロセシングを改善する。
【0142】
更に、融合物の配列は、ペプチダーゼ切断部位の直後に始まる。NcoI切断部位が導入されており、これは、シグナルペプチドの最後のコドン及びエキセンディン−4配列の最初の2つのアミノ酸と重複している。この変化は、将来のサブクローニングを促進するとともに、自由N末端とエキセンディン−4との融合物の生成を導く。上に列記される変化を含む改変pET12a発現ベクターをpDOM35と命名した。ベクター及びアセンブリPCRをNdeI及びBamHI制限エンドヌクレアーゼで切断し、次いで、Quick Ligation Kit(NEB)を用いてインサートをベクターにライゲーションした。このライゲーション物2マイクロリットルをMachI細胞の形質転換に用いた。回復増殖期間後、カルベニシリンを含有する寒天プレートに細胞をプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。コロニーの配列を決定し、正確な配列を含有するものをプラスミドの増殖及び単離に用いた(Plasmid Mini Prep kit,Qiagen)。BL21(DE3)細胞をプラスミドDNAで形質転換し、得られたコロニーを発現培養の接種に用いた。TB Onex培地(Overnight Express(商標)自己誘導溶液を添加した)、1滴の消泡剤(antifoam A204;Sigma)及び100μg/mLのカルベニシリンに4×0.5リットルの培養物を接種することによって発現させた。培養物を250rpmで攪拌しながら30℃で三晩インキュベートし、次いで、培養上清を1時間3700×gで遠心分離することによって清澄化した。次いで、発現したタンパク質を、プロテインL streamline(GE Healthcare,カタログ番号28−4058−03,プロテインLがカップリングしている)を用いて清澄化された上清から精製し、0.1Mのグリシン(pH2.0)を用いてプロテインLから溶出し、1MのTris(pH8.0)0.1体積を用いて中和した。次のタンパク質を濃縮し、バッファA(20mMの酢酸ナトリウム−酢酸、pH5.0)で透析し、AktaXpress(GE healthcare)におけるイオン交換クロマトグラフィーによって精製した。タンパク質をバッファA(塩を含まないバッファ)中でResource S 6mlカラムにロードし、次いで、75分間0〜75%のBを含むバッファB(20mMの酢酸ナトリウム−酢酸、pH5.0、1MのNaCl)勾配で少しずつ溶出した。SDS−PAGE及び質量分析で画分を分析し、正確な質量を有するものをプールした。最終タンパク質を20mMのクエン酸 0.1MのNaClバッファで透析し、SDS−PAGE及び質量分析によって構造特性(identity)を再確認した。
【0143】
実施例7:メラニン保有細胞の機能バイオアッセイにおけるエキセンディン−4 AlbudAb(上記の通り作製されるDAT0115)及びPYY(3−36)AlbudAb融合ペプチド(実施例5に記載の通り作製され、図3に示す構造を有する)の薬理学的プロファイル
エキセンディン−4 AlbudAb(DAT0115)及びPYY(3−36)AlbudAb(実施例5に記載の通り作製され、図3に示す構造を有する)の薬理学的プロファイルを、対象受容体でトランスフェクトされた細胞を用いるメラニン保有細胞の機能バイオアッセイにおいて求めた。前記バイオアッセイは、本質的にJayawickremeら.(2005年)Current Protocols in Pharmacology 12.9.1−12.9.16に記載の通り実施した。
【0144】
エキセンディン−4及びPYY(3−36)AlbudAb融合ペプチドの薬理学的プロファイルを表4に示す。結果は、エキセンディン−4及びPYY(3−36)の両方の融合ペプチドが、これらのコグネート受容体(Exendin−4 AlbudAb/GLP−1R及びPYY(3−36)/NPY2R)のヒト及びマウスの形態の両方を活性化する能力を保持していることを示す。NPY受容体に対するPYY(3−36)AlbudAbの見掛けの選択性を以下の順序でランク付けする:ヒト受容体についてはNPY2R>NPY5R*>NPY1R>NPY4R、マウス受容体についてはNPY2R>NPY5R>NPY4R>NPY1R。NPY2Rのペプチド活性を同じ種内の他のNPY受容体と比較したとき(表5から計算)、選択性の値は、数百倍から1000倍超変動する。
【表4】
【0145】
実施例8:PYY−albudab(実施例5に記載の通り、図3に示す構造を有する)と組合せられたエキセンディン−albudab(DAT0115)は、食餌誘発性肥満(DIO)マウスにおける複数のパラメータに対する相乗効果を引き起こす:
オスの食餌誘発性肥満(DIO)C57BL/6マウス(Taconic,Hudson,NY)及び痩せ型C57BL/6マウス(Taconic,Hudson,NY)を全ての実験で用いた。DIO C57BL/6マウスを集団飼育し、離乳時から製造供給元による高脂肪食餌(カロリーの45%が脂肪)を与えた。DIOマウス(体重40〜50g)及び年齢の同じ対照を単体飼育し、12時間明/暗サイクル(AM5:00〜PM5:00に点灯)で一定温度(約22℃)にて維持した。マウスには、食餌(DIOにはResearch Diets D12451、45%脂肪;痩せ型にはLab Diet 5001、13.5%脂肪)及び水に自由に接近させた。全ての動物用プロトコールは、Research Triangle Park,NCのGlaxoSmithKlineの施設内動物実験委員会によって承認された。ペプチド−AlbudAbは、毎日新たに調製したか、又は1度に調製し小分けにして−70℃で凍結させた。複合投与の場合、1回の注射のみですむように薬物を一緒に混合した。
【0146】
慢性肥満効力実験:実験の開始前6週間、DIO C56BL/6マウス及び年齢の同じ痩せ型対照を飼育箱に慣れさせた。15日間にわたって5mL/kgの用量体積で2〜4pmを2日毎に動物に皮下投与した。
【0147】
動物群に以下の通り投薬した:
(a)には、0.1mg/kgのPYY−AlbudAbを投与した(PYY ED20群)
(b)には、1.0mg/kgのPYY−AlbudAbを投与した(PYY ED80群)
(c)には、0.01mg/kgのエキセンディン−albudab(DAT0115)を投与した(エキセンディンED20群)
(d)には、0.1mg/kgのエキセンディン−albudab(DAT0115)を投与した(エキセンディンED80群)
(e)ED20 comboには、0.01mg/kgのエキセンディン−4−albudab(DAT0115)と混合された0.1mg/kgのPYY−albudabを単回投与した
(f)ED80 comboには、0.1mg/kgのエキセンディン−4−albudab(DAT0115)と混合された1.0mg/kgのPYY−albudabを単回投与した
(g)には、0.1mg/kgの対照エキセンディン−4のみを投与した。
【0148】
薬物の開始前に、最初の日がビヒクルであり次の2日間は擬注射である3日間のビヒクル導入期間を用いた。QMR機器(Echo Medical Systems,Houston,TX.)を用いて、薬物の開始日の3〜4日前及び15日目にベースラインの脂肪質量及び除脂肪質量測定を行った。体重測定は、最初の薬物投与の4日前に開始し、月曜日、水曜日、及び金曜日毎に行い、最初の測定値を用いて動物を無作為化した。最初の薬物投与の4〜6日前から始めて平日に毎日、食餌供給器の重量を測定して、食餌摂取量を計算した。過剰の食餌をこぼした動物は、実験の開始前に取り除いた。実験中、過剰の食餌をケージから取り除き、正確さを高めるために食餌供給器の重量に付加した。8〜10匹の動物(n=8〜10)を痩せ型対照群として用い、8匹の動物(n=8)を全ての他の処理群として用いた。薬物処理開始の16日後、末端心臓採血を介して全血、血漿、及び血清サンプルを回収する前少なくとも4時間絶食させた。全血を用いてHbA1c(%)を求め、血漿は胃腸ホルモンパネルに用い、血清は複数の臨床化学パラメータを求めるために用いた。最後に、主な器官及び組織(心臓、腎臓、肝臓、肺、胃、十二指腸、結腸、膵臓、褐色脂肪、白色脂肪、屠肉)を16日目に摘出し、巨視的及び微視的な組織学的検査のために10%中性緩衝ホルマリンで固定した。
【0149】
A)PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の体重に対する効果
上記全ての処理群が、明らか且つ持続的な体重減少を示した。図4を参照されたい。効果は、一般的に、Combo ED80を除く全ての群で7日後にはプラトーに達した。Combo ED80は、処理後15日目までにプラトーに達しなかった。15日目において、PYY−AlbudAb 0.1mg/kg用量(ビヒクルに対して2%減少)に加えてエキセンディン−4−AlbudAb 0.01mg/kg用量(ビヒクルに対して4.5%減少)を添加すると、ビヒクル対照に対して体重が6.5%減少すると予測されていた。しかし、Combo ED20群でAlbudAbを組合せた場合、11.2%の体重減少が観察され、これは、予測相加作用よりも大きい(p<0.05)。
【0150】
ED80群では、僅か処理の最初の7日後に体重に対する相加効果よりも大きい効果が観察された。これら処理の効果が7日目に相加的であった場合、ビヒクルに対して体重が20.1%減少すると予測されていた(PYY−AlbudAb 1.0mg/kgの7.1%及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kgの13.0%)。7日目のCombo ED80群では21.6%の減少が観察され、これは、予測相加性データと比べて統計的に有意ではない。しかし、15日目の時点では、PYY−AlbudAb 1.0mg/kg群はビヒクルに対して約7.8%の減少を示し、エキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg群は、ビヒクルに対して16.8%の減少を示しており;これら2つの用量群を足し合わせると、体重が24.6%減少するはずであった。実際には、Combo ED80群では32.8%の減少が観察され、これは、予測相加性データよりも統計的に有意に大きい(p<0.05)。
【0151】
B)PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の食餌摂取量に対する効果
ビヒクル対照に対する幾つかのレベルの食餌摂取阻害が、全ての処理群で観察された。図5を参照されたい。Combo ED80を除く全ての処理群で、時間とともにビヒクル対照レベルに戻った。1日及び2日目では、Combo ED20は、ベースライン(ビヒクルに正規化)に対して毎日平均25.1%の食餌摂取阻害を示したが、2群を足し合わせると、食餌摂取が5.7%減少するであろうという控えめな結果が予測されていた。全ての他の時点では、相加効果が観察された。
【0152】
ED80用量群(PYY−AlbudAb 1.0mg/kg及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg)では、体重に対する相加効果が早い時点で観察された。しかし、10日目の時点から始まって、42%の食餌摂取阻害が観察されたが、組合せの効果が単に相加的であった場合に予測されていた食餌摂取阻害は17%であった(p<0.05)。この効果は、実験の残りの期間継続し、PYY−AlbudAb 1.0mg/kg群(2.5%の食餌摂取阻害)及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg群(0.8%の食餌摂取阻害)の付加から、2群の組合せ(Combo ED80)では食餌摂取が3.3%阻害されると予測されていた14日目に最もよく例証され得る。最終的に、Combo ED80では19.2%の食餌摂取阻害が観察され、これは、組合せが相加効果を有する場合に予測される値と比べて統計的に有意な差(p<0.05)である。組合せ群における食餌摂取阻害は、食欲減退活性が、PYY−AlbudAb及びエキセンディン−4−AlbudAbの組合せについての体重減少機序の少なくとも一因となることを示す。
【0153】
C.PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の体組成の変化に対する効果
エキセンディン−4 AlbudAb 0.1mg/kg群、Combo ED20群、及びCombo ED80群で体脂肪率の絶対変化が観察された(全ての群について、ビヒクルに対してp<0.01)。図6及び7を参照されたい。また、両方のCombo処理群は、15日間の処理期間にわたって体脂肪率の減少を示し、組合せの相加効果よりも大きいことと整合している。具体的には、PYY−AlbudAb 0.1mg/kg群の体脂肪率は、1.8%低下し、エキセンディン−4−AlbudAb 0.01mg/kg群は、体脂肪率の0.6%の減少を示し、いずれも有意な変化を示さない(両方の値をビヒクル対照における変化に対して正規化した)。対照的に、Combo ED20処理群では、体脂肪率が4.8%減少し、これは、予測される相加値である2.4%よりも有意に大きい(p<0.05)。より高い用量では、予測される相加的減少は8.6%であった(PYY−AlbudAb 1.0mg/kg及びExendin−4−AlbudAb 0.1mg/kg;それぞれ、1.8%及び6.8%の減少)。しかし、Combo ED80群で観察された変化は、20.0%の減少であり、これは、相加性によって予測された変化よりも有意に大きい(p<0.05)。
【0154】
Combo ED80群は、39.5%から18.9%に体脂肪率が低下した。痩せ型対照とCombo ED80群との間に、体脂肪率の有意な差はもはや存在していなかった(p=0.43)。したがって、Combo ED80群は、肥満しやすい環境(すなわち、高脂肪食餌へのアクセス)で維持されているにもかかわらず、痩せ型対照に「正常化」された。これは、過剰の体脂肪が100%失なわれることに相当する。
【0155】
単独療法群及び組合せ処理群の両方について体脂肪量の用量依存的変化が観察された。処理期間中、PYY−AlbudAb 0.1mg/kg群では、体脂肪量が0.8mg減少した(ビヒクル対照に対してp=0.29)が、エキセンディン−4−AlbudAb群では、体脂肪量が1.4mg減少した(ビヒクル対照に対してp<0.05)。これら処理が体脂肪量に対して相加効果を有していた場合、Combo ED20群では体脂肪量が2.2mg減少すると予測していた。しかし、Combo ED20群では体脂肪量が3.8mg減少し、これは、予測相加値よりも有意に大きい(p<0.05)。
【0156】
類似の分析をED80群についても実施した。PYY−AlbudAb 1.0mg/kg群では体脂肪量が2.2グラム減少した(ビヒクル対照に対してp<0.01)が、エキセンディン−4−AlbudAb群では体脂肪量が平均5.7グラム減少した(ビヒクル対照に対してp<0.01)。これら2つの群を足し合わせると、組合せて7.9g体脂肪量が減少すると予測されていた。しかし、Combo ED80群では11.3gの体脂肪量減少が観察された(ビヒクル対照に対してp<0.01)。相加性に基づく予測データと観察されたデータとの間の差は、統計的に有意である(p<0.05)。
【0157】
処理群の中でも若干の除脂肪質量の減少が観察されたが、効果の規模は、体脂肪量に対する効果よりも除脂肪質量に対する効果の方が遥かに小さかった。全体としては、全体重減少のうちの約80%が体脂肪であり、これは、食事療法及び運動を用いる臨床試験で観察される体脂肪量減少対除脂肪質量減少の比に一致している。
【0158】
D.PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の内分泌検体における変化に対する効果(図8を参照されたい)
Combo ED80群では、インスリンレベルがビヒクル対照群の僅か1/10であった(それぞれ、血漿中2617pg/mL及び259pg/mL、p<0.05)。このインスリンの減少は、理に適っている。その理由は、動物が試験の開始及び終了時に正常血糖であったためである。すなわち、インスリンの減少は、恐らく低血糖に対する保護である。
【0159】
Combo ED80群におけるレプチンレベルは、ビヒクル対照群よりも90%超低かった(ビヒクルでは血漿中51.6ng/mL;Combo ED80群では血漿中4.7ng/mL、p<0.01)。これは、痩せ型対照レベル(血漿中9.8ng/ml)に匹敵しており、Combo ED80群における体脂肪量の劇的な減少に起因する可能性がある。更に、Combo ED20群及びエキセンディン−4−albudab 0.1mg/kg群は、ビヒクル対照よりも有意に低い血漿レプチン値を有していた(それぞれ、34.8ng/mL、p<0.01及び31.4ng/mL、p<0.01)。これら効果は、体脂肪量の減少に関連していると考えられる。
【0160】
胃抑制ペプチド(GIP)濃度は、Combo ED20群で有意に減少し(ビヒクル対照に対してp<0.05)、Combo ED80群において強い傾向を示した(ビヒクル対照に対してp=0.08)。
【0161】
Combo ED80群におけるアミリンレベル(血漿中68pg/mL)は、ビヒクル対照(血漿中250pg/mL;p<0.01)よりも有意に低かった。更に、Combo ED80群のアミリンレベルは、痩せ型対照レベル(血漿中87pg/mL)と殆ど同じであった。Combo ED20群は、減少に対して強い傾向を示し(血漿中171pg/mL;ビヒクル対照に対してp=0.054)、エキセンディン−4−albudab 0.1mg/kg群は、ビヒクル対照よりも有意に低かった(血漿中163pg/mL;p<0.01)。
【0162】
グレリンレベルは、エキセンディン−4−albudab単独療法群において組合せ群に殆ど等しいレベルまで上昇していた。これは、エキセンディン−4活性のみが、グレリン曝露の増加に関与している可能性が最も高いことを示す。
【0163】
PYYレベルは、PYY−AlbudAbを投与した動物で高く、これは恐らく血漿中に投与されたペプチドを直接検出しているためであると思われる。しかし、これら値は、循環中のPYY−AlbudAbの絶対濃度の指標ではない。
【0164】
E.PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の血清化学パラメータの変化に対する効果
全体的に、Combo ED20を含む大部分の処理群及びED80群で試験した全ての群で、血清化学物質の優れたプロファイルが観察された。痩せ型対照群は、痩せ型動物とDIO群との間に相対差を表す。値は、全ての他の群についての変化を表す、その理由は、これら群が試験の開始前に単一集団から無作為化されたためである。Combo ED20群は、グルコース及び総コレステロールに対して幾つかの有意な改善を示し、一方トリグリセリド及びアラニントランスアミナーゼ(ALT)レベルにおいて改善傾向を示した(表5)。
【0165】
PYY−AlbudAb 1.0mg/kg群及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg群について、グルコース、総コレステロール、総ビリルビン、クレアチニン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、及び総タンパク質の領域において有意な改善が観察された。しかし、これら効果は、一般的に、組合せ(Combo ED80群)で観察された効果よりも低かった。Combo ED80群は、血清化学物質において多くの有意な変化を示した。(血中尿素窒素(BUN)を除く)これら変化の全ては、動物を病理学的肥満状態から正常痩せ型状態にする改善を表す。例えば、肝臓の酵素であるアラニントランスアミナーゼ(ALT)は、ビヒクル対照DIOマウスで高いが、Combo ED80群の処理では、79%減少して痩せ型対照のレベルになった。他の有意な改善としては、HbA1c、総コレステロール、トリグリセリド、総ビリルビン、クレアチニン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、及び総タンパク質が挙げられる。これら変化の全ては、DIOの血清化学物質を痩せ型対照の化学物質により近づけるものであり、有益であると考えられた。
【表5】
【0166】
F.PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の組織病理における変化に対する効果
オスミウム染色によって確認される肝臓における細胞質内脂肪滴は、DIOビヒクル対照マウスにおける重篤度が著しく、大部分の肝細胞に影響を及ぼしている。Combo ED80を投与したDIOマウスでは、細胞質内脂肪滴が著しく減少した(最小限から検出不可能)(図9を参照されたい)。Combo ED20、PYY−AlbudAb(1.0mg/kg)、エキセンディン−4−AlbudAb(0.1mg/kg)、及びエキセンディン−4(0.1mg/kg)を投与したDIOマウスではCombo ED80肝臓でみられるよりも応答程度の低い同様の変化が注目された。しかし、処理されたDIOマウスの肝臓[Combo ED20、Combo ED80、PYY−AlbudAb(1.0mg/kg)、エキセンディン−4−AlbudAb(0.1mg/kg)、及びエキセンディン−4(0.1mg/kg)]、褐色脂肪組織[Combo ED20、Combo ED80、PYY−AlbudAb(1.0mg/kg)、エキセンディン−4−AlbudAb(0.01及び0.1mg/kg)、及びエキセンディン−4(0.1mg/kg)]、及び腎臓(Combo ED80のみ)では、細胞質内脂肪滴の減少からなる試験物品に関連する微視的変化が観察された。これら群におけるこれら組織変化は、血清トランスアミナーゼ、総コレステロール、HDL、及びグルコースの減少と相関していた。Combo ED20及びED80では、トリグリセリドも減少していた。これら変化は、意図される薬理作用に関連しており、有益であると考えられた。
【0167】
実施例9:db/dbマウスにおける糖尿病パラメータに対するエキセンディン−AlbudAb(DAT0115)とPYY−AlbudAb(実施例5に記載の通り、図3に示す構造を有する)との組合せの効果
オスのdb/db C57BL/6Jマウス(Jackson Labs,Bar Harbor,ME)を全ての実験に用いた。db/dbマウス(B6.Cg−m +/+ Leprdb/J)及び対照は、供給元によって集団飼育されていた。db/dbマウス(10〜12週齢)及び年齢の同じ対照をGSKに輸送し、そこで単体飼育し、12時間明/暗サイクル(AM5:00〜PM5:00点灯)で一定温度(約22℃)にて維持した。マウスには、食餌(db/db及びその対照についてLabDiet 5K67、16%脂肪)及び水に自由に接近させた。全ての動物用プロトコールは、Research Triangle Park,NCのGlaxoSmithKlineの施設内動物実験委員会によって承認された。ペプチド−AlbudAbは、毎日新たに調製した。100mMのNaCl、20mMのクエン酸、pH6.2(濾過滅菌)で構成されるクエン酸ビヒクルバッファを用いて原液を希釈することによって、正確な投与濃度の薬物を得た。複合投与の場合、1回の注射のみですむように薬物を一緒に混合した。
【0168】
慢性糖尿病有効性研究:実験の開始前2週間、db/dbマウス及び年齢の同じ痩せ型対照を飼育箱に慣れさせた。15日間にわたって5mL/kgの用量体積で2〜4pmを2日毎に動物に皮下投与した。薬物の開始前に、最初の日がビヒクルであり次の2日間は擬注射である3日間のビヒクル導入期間を用いた。QMR機器(Echo Medical Systems,Houston,TX.)を用いて薬物の開始の3日前及び15日目にベースラインの体脂肪量及び除脂肪質量測定を行った。体重測定は、最初の薬物投与の4日前に始めて月曜日、水曜日、及び金曜日毎に行った。薬物投与開始の2日前に、満腹時のグルコース値及びHbA1c%値を測定するために尾を切り取ることによって血液サンプルを採取した。このデータを用いて動物を様々な群に無作為化した。最初の薬物投与の4〜6日前から始めて平日に毎日、食餌供給器の重量を測定して、食餌摂取量を計算した。過剰の食餌をこぼした動物は、実験の開始前に取り除いた。実験中、過剰の食餌をケージから取り除き、正確さを高めるために食餌供給器の重量に付加した。8匹の動物(n=8)を痩せ型対照群として用い、8匹の動物(n=8)を全ての他の処理群として用いた。組合せED80群についての1日食餌摂取量が計算され、その量が次の日に与えられる同時飼育群が含まれていた。薬物処理開始の16日後、末端心臓採血を介して全血、血漿、及び血清サンプルを回収する前少なくとも4時間動物を絶食させた。全血を用いてHbA1c(%)を求め、血漿は胃腸ホルモンパネルに用い、血清は複数の化学物質にアクセスするために用いた。最後に、主な器官及び組織(心臓、腎臓、肝臓、肺、胃、十二指腸、結腸、膵臓、褐色脂肪、白色脂肪、屠肉)を16日目に摘出し、巨視的及び微視的な組織学的検査のために10%中性緩衝ホルマリンで固定した。
【0169】
A.PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)のヘモグロビンA1cの割合の変化に対する効果
ビヒクル対照動物は、ベースライン時の平均7.14%から16日目の平均9.03%まで、18日間にHbA1c%が増加した。これは、その期間中糖尿病表現型が実質的に進行したことを示す。図10及び11を参照されたい。Combo ED20、PYY−AlbudAb 1.0mg/kg及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg群を含む複数回投与群において糖尿病表現型の進行の阻害が観察された(ビヒクル増加に対してp<0.05)。HbA1c%の絶対減少は、Combo ED80群でのみ観察された(ベースラインに対してp<0.01)。Combo ED80群は、グリコシル化HbA1cが6.83%から5.16%に低下した。痩せ型非糖尿病対照とCombo ED80群との間に、グリコシル化HbA1cの有意な差はもはや存在していなかった(p<0.01)。したがって、Combo ED80処理群における糖尿病患者(db/db)マウスは、完全に正常なレベルのグリコシル化HbA1c%を有しており、ほとんど正常な痩せ型対照動物に「正常化」されていた。
【0170】
同時飼育対照(Combo ED80動物が消費したのと同じ量の食餌を給餌)は、ビヒクル対照動物から有意な変化は示さなかった(p=0.11)。これは、食餌摂取の阻害が、Combo ED80群のHbA1c低下の主な機序ではなかったことを示す。
【0171】
PYY−AlbudAb 1.0mg/kg群(1.16%の減少、p<0.05)、エキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg群(0.80%の減少、p<0.05)、並びにCombo ED20群(0.89%の減少、p<0.05)及びCombo ED80群(3.57%の減少、p<0.01)を含む複数の群においてグリコシル化HbA1cの有意な変化が観察された。
【0172】
Combo群を同様の方法で分析した。PYY−AlbudAb 0.1mg/kg群及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.01mg/kg群は、ビヒクル対照群から有意な変化を示さなかったが、組合せでは(Combo ED20群)、グリコシル化HbA1cが0.89%減少した。Combo ED80用量群では、予測された相加的減少は、PYY−AlbudAb 1.0mg/kg群及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg群について1.96%であった。しかし、組合せ(Combo ED80群)では、グリコシル化HbA1cの3.57%の減少が観察された。この減少は、単独療法群の相加性によって予測されるものよりも有意に大きかった(p<0.05)。
【0173】
B.PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の血漿インスリンの変化に対する効果
低用量単独療法処理群は、ビヒクル対照と比較して血漿インスリンレベルが増加する傾向を示した(PYY−AlbudAb 0.1mg/kg、p=0.052;エキセンディン−4−AlbudAb 0.01mg/kg、p=0.17)。Combo ED20群では、血漿インスリンレベルは、21307pg/mLに達し、これは、血漿中9470pg/mLであるビヒクル対照群よりも有意に高かった(p<0.05)。PYY−AlbudAb 1.0mg/kg群(30467pg/mL;ビヒクル対照に対してp<0.05)及びエキセンディン−4−AlbudAb群(32036pg/mL;ビヒクル対照に対してp<0.01)もインスリンレベルが高かった。(図12を参照されたい)
Combo ED80群では、インスリンレベルは、ビヒクル対照レベルよりも5倍超高かった(それぞれ、血漿中55950pg/mL及び9470pg/mL、p<0.05)。これら特に高いインスリンレベルは、これら動物において観察されるグルコース低下効果の少なくとも一部に関与していると考えられる。
【0174】
ED80同時飼育対照群は、4438pg/mLの血漿インスリン濃度を有しており、これは、ビヒクル対照レベルよりも有意に低く(p<0.01)、体重減少による可能性が最も高い。
【0175】
C.PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の体重増加阻害に対する効果
糖尿病試験では体重もモニタされた。db/dbマウスの急速な体重増加に起因して、このモデルを用いて体重減少に加えて体重増加の阻害を評価することもできる。この実験は、PYY−AlbudAb 1.0mg/kg、エキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg、Combo ED20及びCombo ED80処理が体重増加の阻害において有効であったことを示す。図13を参照されたい。
【0176】
15日目までに、ビヒクル対照に対して1.5%の減少傾向を示した(p=0.18)PYY−AlbudAb 0.1mg/kgと、単独では有意な効果を有しなかったエキセンディン−4−AlbudAb 0.01mg/kgとの間で明らかな協働が生じた。組合せでは、Combo ED20群は、ビヒクル対照よりも有意に体重増加が少なかった(ビヒクルでは9.5%の体重増加、Combo ED20では4.4%の体重増加;p<0.01)。
【0177】
Combo ED80群を同様の方法で分析した。15日目において、PYY−AlbudAb 1.0mg/kg群はビヒクルから5.9%の減少を示し、エキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg群は、ビヒクルから9.2%の減少を示した;これら2つの用量群を足し合わせると、15.1%体重が減少するはずであった。実際には、Combo ED80群では26.2%の減少が観察され、これは、予測された相加性データに対して統計的に有意に大きい(p<0.05)。
【0178】
最初の8日間で、同時飼育対照(Combo ED80群との同時飼育)は、12.8%の体重減少を示し、これは、同じ期間にわたるCombo ED80群(12.3%の体重減少)に匹敵していた。しかし、8日後、同時飼育対照はビヒクル対照とほぼ同じ速度で体重が増加したが、Combo ED80群は、体重減少を維持した。これは、同時飼育群で8.4%、Combo ED80群で16.7%の正味の体重減少を生じさせた(両方の群について、ベースラインに対してp<0.01)。このリバウンド効果及び15日目で生じた体重の差は、8日後に同時飼育群とCombo ED80群との間に代謝の差が生じ、これは組合せ物に起因するものであり、単に体重に対する効果ではないことを示唆する。
【0179】
D.PYY−albudabと組合せられたエキセンディン−4−albudab(DAT0115)の食餌摂取阻害に対する効果
PYY−AlbudAb 0.1mg/kg及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.01mg/kg群を除く全ての群で、15日間にわたって有意な食餌摂取量の減少が観察された。図14を参照されたい。一般的に、食餌摂取の阻害は、最初の5日間大きかったが、その後、若干の1日食餌摂取量の安定化がみられた。15日目(平均13〜15日目)、Combo ED20、PYY−AlbudAb 1.0mg/kg、及びエキセンディン−4−AlbudAb 0.1mg/kg群は全て、平均して1日当たりの食餌摂取量が6.9〜7.0gであった。これは、ビヒクル対照群によって消費された食餌9.0gよりも有意に少なかった(p<0.05)。
【0180】
食餌摂取量の劇的な減少は、Combo ED80群で最初に観察された。5日目まで、この群の動物は平均して1日当たり2g未満の食餌しか摂取せず、これは、ビヒクル対照動物の9gよりも遥かに少なかった(p<0.01)。10日目まで食餌摂取量の僅かなリバウンドが観察され、このとき食餌摂取レベルは安定化していた。15日目まで、Combo ED80群は、1日当たり4.8gの食餌を消費し、これは、ビヒクル対照群の食餌摂取量の約半分である。
【0181】
食餌摂取量は、食餌摂取の有意な減少が観察された群のいずれにおいてもビヒクル対照レベルには戻らなかった。処理群の食餌摂取量は安定しており、実験の10〜15日目にはビヒクル対照群とほぼ平行していた。これは、これら動物が、負のエネルギーバランス(代謝的補償はないと推定される)を保っている可能性があり、ビヒクル対照に比べて体重が減少し続ける可能性があることを示唆する。
【0182】
実施例10:PYY3−36 AlbudAb(DMS7620)は、用量依存的に食餌摂取を抑制し、食餌誘発性肥満(DIO)マウスにおける体重減少を引き起こす:
オスの食餌誘発性肥満(DIO)C57BL/6マウス(Taconic,Hudson,NY)を全ての実験で使用した。DIOマウスを単体飼育し、12時間明/暗サイクル(AM5:00〜PM5:00点灯)で一定温度及び湿度(それぞれ、約22℃及び50%)にて維持した。マウスには、自由に食餌(DIOには、Research Diets D12451、45%脂肪)及び水に自由に接近させた。全ての動物用プロトコールは、Research Triangle Park,NCのGlaxoSmithKlineの施設内動物実験委員会によって承認された。ペプチド−AlbudAbsは、1度に調製し、小分けにして−80℃で凍結させた。複合投与の場合、1回の注射のみですむように薬物を一緒に混合した。
【0183】
慢性肥満有効性研究:実験の開始前7週間、DIO C56BL/6マウスを飼育箱に慣れさせた。6日間にわたって5mL/kgの用量体積で1〜3pmを2日毎(e.o.d.)に動物に皮下投与した。
【0184】
動物群に以下の通り投薬した:
(a)には、3mg/kgのDMS7620を投与した(DMS7620 3mg/kg群)
(b)には、1mg/kgのDMS7620を投与した(DMS7620 1mg/kg群)
(c)には、0.3mg/kgのDMS7620を投与した(DMS7620 0.3mg/kg群)
(d)には、0.1mg/kgのDMS7620を投与した(DMS7620 0.1mg/kg群)
(e)には、ビヒクル(クエン酸バッファ:20mMのクエン酸塩及び100mMのNaCl)を投与した。
【0185】
また、動物には0.03mg/kg、0.01mg/kg及び0.003mg/kgでも投与したことに留意すべきである。しかし、これら用量は、この実験における有効性について閾値を下回っていた。
【0186】
薬物の開始前に1日間のビヒクル導入期間を用いた。最初の薬物投与の4日前から始めて頻繁に体重測定を行い、最初の測定値を用いて動物を無作為化した。最初の薬物投与の4日前から始めて頻繁に食餌供給器の重量を測定して、食餌摂取量を計算した。過剰の食餌をこぼした動物は、実験の開始前に取り除いた。実験中、過剰の食餌をケージから取り除き、正確さを高めるために食餌供給器の重量に付加した。全ての群について1群当たり5匹の動物(n=5)を用いた。
【0187】
実施例10の結果を以下の表6に示す。
【0188】
A)体重に対するPYY3−36 AlbudAb(DMS7620)の効果
PYY3−36 AlbudAb(DMS7620)の複数回投与は、体重の有意な減少を示した。6日目の体重の変化率は、ビヒクル対照で0.0%、DMS7620(3mg/kg)で−10.4%、DMS7620(1mg/kg)で−4.6%、DMS7620(0.3mg/kg)で−1.7%、及びDMS7620(0.1mg/kg)で−2.2%であった。3.0mg/kg、1.0mg/kg及び0.3mg/kgの用量のDMS7620は、ビヒクル対照と有意に異なっていた。
【0189】
B)食物摂取に対するPYY3−36 AlbudAb(DMS7620)の効果
3.0mg/kg、1.0mg/kg、及び0.3mg/kgの用量のDMS7620では、ビヒクル対照に対して食物摂取の有意な阻害が観察された。実験過程の間の平均1日食餌摂取量は、ビヒクル対照で3.09グラム、DMS7620(3mg/kg)で1.52グラム、DMS7620(1mg/kg)で2.34グラム、DMS7620(0.3mg/kg)で2.64グラム、及びDMS7620(0.1mg/kg)で2.76グラムであった。これは、DMS7620(3mg/kg)で食餌摂取の51.2%の減少、DMS7620(1mg/kg)で20.8%の減少、DMS7620(0.3mg/kg)で11.8%の減少、及びDMS7620(0.1mg/kg)で16.6%の減少に相当する。
【表6】
【0190】
実施例11:エキセンディン−4及びペプチドYYの両方を用いた単一のAlbudAb融合物の作製
突然変異オリゴの伸長及びテンプレートDNAのDPIN切断(Stratagene Quickchange)を用いて、N末端に分泌シグナル、C末端にシステインが導入されている哺乳類の発現ベクターpTT5にDAT0116をクローニングした。DNAの配列を決定し、一時的にHEK293細胞にトランスフェクトした。
【0191】
哺乳類細胞の上清を清澄化し、プロテインL親和性クロマトグラフィーを用いて精製し、タンパク質質量を質量分析によって確認した。タンパク質を4℃保存から取り出し、DAT0116R108Cを2×20mLの濃縮器で12.5mLに濃縮した。最終濃度が5mMになるようにDTTを添加し、15分間サンプルをインキュベートした。次いで、20mMのBis Tris(pH6.57)、5mMのEDTA、10%のグリセロールでタンパク質を脱塩した。脱塩された画分をプールし、n−エチルマレイミドを収容している50mLのファルコンチューブにR108C誘導体の1/10の体積(約2mg)を添加した。残りのプールされているタンパク質を、50mLのファルコン内の様々な質量のPYYペプチド(バッチ「190」)に添加した。サンプルを室温で30分間回転させながらインキュベートし、ベンチトップで10分間スピンし、4,500rpmで遠心分離し、SDS−PAGEによって分析し、次いで4℃で一晩保存した。
【0192】
沈殿物が両方で観察され、R108C誘導体とサンプルとのカップリング反応物はタンパク質の添加直後に不透明になり、5分間以内に大きなフレークが形成された。他の反応では沈殿物は観察されなかった。
【0193】
一晩保存した後、溶液は僅かに曇っているように見えたが、静置すると、曇りとペレットとはそれほど容易に識別できなかった。
【0194】
50mMの酢酸ナトリウム(pH4.5)でサンプルを1/5に希釈し、2.5mL/分で2×6mLのResource Sカラム(予め0.5M NaOHで清浄化され、希釈バッファで平衡化されている)に適用した。サンプル適用後、カラムを希釈バッファで洗浄し、次いで、50mMの酢酸ナトリウム(pH4.5)、1MのNaClの0〜100%勾配に供した。次いで、カラムを2×PBSで洗浄し、最後に0.5MのNaOHで清浄化した。
【0195】
酢酸ナトリウム画分及び2×PBS画分を複数の20mLの遠心分離濃縮器で別々に濃縮し、SDS−PAGEによって分析し、濾過滅菌し、2×2Lのクエン酸ナトリウム(pH6)、100mMのNaClで透析した。タンパク質をMS分析にかけた。
【0196】
DAT0116R108C:190PYYにペプチドが僅かに混入していたため、これらタンパク質及び対応する酢酸ナトリウム画分プールをプロテインLカラムに再適用した。
【0197】
1mLのプロテインLカラムを1×PBSで平衡化し、6MのグアニジンHClで清浄化した。カラムを2mL/分で1×PBSによって再平衡化し、DAT0115R108C:190 PYY酢酸ナトリウム溶出プールを適用した。適用後、カラムを100mMのクエン酸ナトリウム(pH6)で洗浄し、最後に100mMのクエン酸(pH2.6)で溶出した。100mMのクエン酸ナトリウム(pH6)でカラムを再平衡化し、2XPBS溶出プールを適用し、同様に精製した。6MのグアニジンHClでカラムを清浄化し、DAT0116R108C:190 PYY誘導体についてこのプロセスを繰り返した。
【0198】
タンパク質を1〜1.5mLに濃縮し、室温で一晩、1.6Lの50mMの酢酸ナトリウム(pH6)、100mMのNaClで透析した。次の朝、タンパク質を透析カセットから取り出し、ODを測定し、SDS−PAGE分析用に200μLを20μLに濃縮した。
【0199】
エキセンディン−4 AlbudAbペプチドYYコンストラクトのサンプルをY2受容体アッセイに供して、ペプチドYYの機能を決定し、GLP−1受容体アッセイに供して、エキセンディン−4の機能を決定した。表10は、n−エチルマレイミドでブロッキングされたエキセンディン−4 AlbudAb(DAT0116 nEM)及びペプチドYYで修飾されたエキセンディン−4 AlbudAb(DAT0116 R108C 190PYY)の活性を示す。ペプチドYYで修飾されたエキセンディン−4 AlbudAb融合物は、Y2受容体ではペプチド対照よりも低い活性を示し、GLP−1受容体では同様の効力を示す。PYYペプチドは、対照として含まれる。結果を表7に示す。
【表7】
【0200】
実施例12:DOM7h−14−10 AlbudAbとPYYとの遺伝的融合物の発現:
C−末端に追加のグリシンが導入されているPYY3−36を、DOM7h−14−10(以下に示すアミノ酸配列を有する血清アルブミンに結合するドメイン抗体(dAb)(albudab))との融合物として、pET30aベクター(Novagen(Merck)から入手可能)にクローニングした。PYYは、コンストラクトの3’末端に存在しており、dAbは5’末端に存在していた。また、TVAAPSリンカーを、dAbとPYY配列との間に導入した。前記リンカーは、dAbをPYYから空間的に分離して、PYYとNP受容体との間の結合の立体障害を防ぐためのスペーサとして含まれていた。このコンストラクトのアミノ酸配列を以下及び図1(v)の配列番号49に示す:
MDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQWIGSQLSWYQQKPGKAPKLLIMWRSSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCAQGLRHPKTFGQGTKVEIKRTVAAPSIKPEAPGEDASPEELNRYYASLRHYLNLVTRQRYG
(配列番号49)。
【0201】
(miniprepキット、Qiagen CAから入手可能を使用して)アルカリ溶解を使用して大腸菌でプラスミドDNAを調製し、それを用いてBL21(DE3)細胞(Invitrogenから入手可能)を形質転換した。単一コロニーを取り出し、100mLのTB培地で37℃にて一晩増殖させ、次いで、1/100希釈を介して1Lの培養物を接種するために用いた。この培養物をODが0.7に達するまで増殖させ、この時点でタンパク質の発現は、IPTGの添加によって最終濃度70μMに誘導されていた。前記培養物を23℃で一晩増殖させ、次いで、遠心分離によって回収し、ペレットを−20℃で保存した。その後、Bugbusterミックス(12.5mLの10×bugbuster(Merck)、112.5mLのPBS、250μLのlysonase(Merck)及び4つの完全プロテアーゼ阻害剤タブレット(Roche))で細胞を溶解させることによって封入体を調製した。500mLの培養物に由来するペレットを100mLのbugbusterミックスに再懸濁させ、攪拌しながら30分間室温でインキュベートし、次いで、20分間32000gで遠心分離し、上清を廃棄した。ペレットをPBS中2Mの尿素で洗浄し、次いで、32000gで15分間遠心分離し、上清を廃棄した。次いで、元の培養物体積の1/12.5のバッファB(100mMのNaCl、100mMのTris−HCl(pH8.0)、5%のグリセロール)中8Mの尿素にペレットを再懸濁させ、室温で1時間攪拌し、次いで、16000rpmで15分間遠心分離した。上清(封入体調製物)を4℃で保存した。
【0202】
タンパク質をリフォールディングバッファ(100mMのMES(pH6.0)、60mMのNaCl、0.001%のtriton−X100)で1/50に希釈することによってリフォールディングし、濾過し、次いで遠心分離した。必要な場合、一晩室温で、100mMのMES(pH6.0)、0.001%のTriton X−100、30mMのNaCl、1%のエタノール、10μg/mLのカタラーゼ、2.5mMのアスコルビン酸ナトリウム、1μMの塩化銅、及び80μMのペプチジルグリシンαアミド化モノオキシゲナーゼと共に、8μMのリフォールディングされたタンパク質をインキュベートすることによってC末端をアミド化した。質量分析によってアミド化を確認した(グリシンで伸長された融合タンパク質の分子量=16592;C末端がアミド化された融合タンパク質の分子量=16534)。
【0203】
バッファYに平衡化されたHiTrap SPFFカチオン交換カラムで精製を実施し、バッファZの0〜100%勾配で溶出した。バッファYは、20mMのクエン酸ナトリウム(pH5.0)であり;バッファZは、20mMのクエン酸ナトリウム(pH5.0)+1MのNaClである。その後、20mMのクエン酸ナトリウム(pH6.2)及び100mMのNaClでタンパク質をバッファ交換し、濃縮し、−80℃で保存した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の融合物又はコンジュゲートを含む組成物であって、前記融合物又はコンジュゲートが、(a)インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子から選択され、且つ(b)前記インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子の半減期を延長させるタンパク質又はペプチド、との融合物又はコンジュゲートとして存在する少なくとも2つの分子、を含むか又はこれらからなる、組成物。
【請求項2】
前記半減期を延長させるタンパク質又はペプチドが、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミンに結合するものである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記半減期を延長させるタンパク質が、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミンに対して特異的に結合するドメイン抗体(dAb)を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも2つの個々の融合物又はコンジュゲートを含む組成物であって、各個々の融合物又はコンジュゲートが、(a)インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子から選択され、(b)前記インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子の半減期を延長させるタンパク質又はペプチド、との融合物又はコンジュゲートとして存在する1以上の分子、を含むか又はこれらからなる、組成物。
【請求項5】
前記半減期を延長させるタンパク質又はペプチドが、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミンに結合するものである、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記半減期を延長させるタンパク質が、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミンに対して特異的に結合するドメイン抗体(dAb)を含む、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチンのうちの少なくとも1つが、GLP−1、PYY、エキセンディン、あるいはインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチンの活性を保持しているこれらの機能的変異体、類似体、突然変異体、又は誘導体であるペプチド、から選択される、請求項1〜6のいずれか一項記載の組成物。
【請求項8】
インクレチンのうちの少なくとも1つが、(a)図1(i)(配列番号9)に示すアミノ酸配列を有するGLP−1(7−37)A8G突然変異体、又はその突然変異体、誘導体、若しくは類似体、(b)図1(j)(配列番号10)に示すアミノ酸配列を有するエキセンディン−4分子、又はその突然変異体、誘導体、若しくは類似体、及び(c)図1(s)(配列番号19)に示すアミノ酸配列を有するPYYペプチド、又はその突然変異体、誘導体、若しくは類似体から選択される、請求項1〜7のいずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
血清アルブミンに対して特異的に結合するドメイン抗体(dAb)が、DOM7h−14(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14のアミノ酸配列は図1(h)の配列番号8に示す)、又はDOM7h−14−10(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14−10のアミノ酸配列は図1(o)の配列番号15に示す)、及びR108C突然変異を有するDOM7h−14−10(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14−10 R108Cのアミノ酸配列は図1(r)の配列番号18に示す)、及び7h−11−15 albudab(DOM7h−11−15のアミノ酸配列は図1(p)の配列番号16に示す)、及び7h−11−15 R108C albudab(DOM7h−11−15 R108Cのアミノ酸配列は図1(T)の配列番号47に示す)、あるいは血清アルブミンにおける同じエピトープに結合するか、又は血清アルブミンに対する結合についてこれらのうちのいずれかと競合するdAb、から選択される、請求項1〜8のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン分子及び/又は腸管ペプチドを接合させるアミノ酸又は化学リンカーと、血清アルブミンに結合するdAbとを更に含む、請求項1〜9のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
アミノ酸リンカーが、図1(k)(配列番号11)に示すアミノ酸配列を有するヘリカルリンカー、図1(l)(配列番号12)に示すアミノ酸配列を有するgly−serリンカー、又はPEGリンカーから選択される、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
PEGリンカーが、図3に示すPEGリンカーの構造を有する、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子が、dAbのN末端又はC末端のいずれか又は両方に存在する、請求項1〜12のいずれか一項記載の組成物。
【請求項14】
1以上のインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチドがdAbのC末端に存在し、更に、1以上のインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子がdAbのN末端に存在する、請求項1〜13のいずれか一項記載の組成物。
【請求項15】
図1a〜1g(配列番号1〜7)、及び図1m〜1n(配列番号13〜14)、及び図1u〜1v(配列番号48〜49)、及び図3又はDom7h−11−15(R108C)−PEG−3−36PYY(10位がリシン)(albudab成分がDom7h−11−15(R108C)であることを除いて図3に示す構造を有する)に記載のペプチド−AlbudAb分子のうちの1以上を含む、請求項1〜14のいずれか一項記載の組成物。
【請求項16】
(a)DAT0115分子(図1bの配列番号2に示すアミノ酸配列を有する)と、(b)同時に、別々に、又は順次使用するための複合調製物としてのDom7h−14−10(R108C)−PEG−3−36PYY(10位がリシン)(図3に示す構造を有する)、又は(c)Dom7h−11−15(R108C)−PEG−3−36PYY(10位がリシン)(albudab成分がDom7h−11−15(R108C)であることを除いて図3に示す構造を有する)のいずれかとを含む、請求項3又は6記載の組成物。
【請求項17】
PEG基、血清アルブミン、トランスフェリン、トランスフェリン受容体又は少なくともそのトランスフェリン結合部分、抗体Fc領域から選択される前記半減期を延長させるタンパク質又はペプチドに追加の分子を結合させることによるか、又は抗体ドメインにコンジュゲートさせることによってその流体力学的サイズを増大させるように、前記タンパク質又はペプチドを更にフォーマット化する、請求項1〜16のいずれか一項記載の組成物。
【請求項18】
融合物又はコンジュゲートが、更なるペプチド又はポリペプチド部分を含む、請求項1〜17のいずれか一項記載の組成物。
【請求項19】
融合物又はコンジュゲートが、Dom7h−14、DOM 7h−11−15、又はDom7h−14−10dAbのうちのいずれか、から選択されるAlbudAbに対して同じ又は異なる結合特異性を有する追加のdAb部分を含む、請求項1〜18のいずれか一項記載の組成物。
【請求項20】
追加のdAbが、Dom7h−14、Dom7h−11−15、又はDom7h−14−10dAbのうちのいずれか、との結合について競合する、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
融合物又はコンジュゲートが、12時間以上、例えば12〜21日間のヒトにおける排出半減期を有する、請求項1〜20のいずれか一項記載の組成物。
【請求項22】
融合物又はコンジュゲートが、約5μM〜約1pMの範囲のKDでヒト血清アルブミンに結合する、請求項1〜21のいずれか一項記載の組成物。
【請求項23】
薬学的又は生理学的に許容できる担体、賦形剤、又は希釈剤と組合せて、請求項1〜22のいずれか一項記載の組成物を含む、医薬組成物。
【請求項24】
更なる治療剤又は活性剤を含む、請求項23記載の医薬組成物。
【請求項25】
被験体に別々に、順次、又は同時に投与するための、(a)請求項1〜24のいずれか一項記載の組成物と、(b)更なる治療剤又は活性剤とを含む、組成物。
【請求項26】
請求項3又は6記載の2以上の融合物又はコンジュゲートを含む組成物であって、各々が、療法において同時に、別々に、又は順次使用するための複合調製物として、(a)1以上のインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子であって、(b)血清アルブミンに特異的に結合するドメイン抗体(dAb)、との融合物又はコンジュゲートとして存在する1以上のインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子を含むか又はこれらからなる、組成物。
【請求項27】
代謝性疾患又は障害の治療又は予防において使用するための、請求項1〜26のいずれか一項記載の組成物。
【請求項28】
疾患又は障害が、高血糖症、耐糖能異常、β細胞欠損、糖尿病(1型若しくは2型の糖尿病又は妊娠性糖尿病)、肥満、過食を特徴とする疾患から選択される、請求項27記載の組成物。
【請求項29】
代謝性疾患又は障害を治療又は予防するための薬剤の製造における、請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物の使用。
【請求項30】
皮下、静脈内、又は筋肉内注射によって被験体に送達するための薬剤の製造における、請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物の使用。
【請求項31】
非経口、経口、直腸内、経粘膜、皮下注射、目、肺、又はGI管送達のための薬剤の製造における、請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物の使用。
【請求項32】
治療上又は予防上有効な量の請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物を患者に投与することを含む、代謝性疾患を治療又は予防する方法。
【請求項33】
請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物を含む経口、注射可能、吸入可能、又は噴霧可能な製剤。
【請求項34】
請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物を含む坐剤の形態の持続放出製剤。
【請求項35】
請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物を含むフリーズドライ製剤。
【請求項36】
請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物を含む送達装置。
【請求項37】
請求項1〜28のいずれか一項記載の融合物をコードする単離又は組換え核酸。
【請求項38】
請求項15記載の融合物をコードする核酸。
【請求項39】
請求項37又は38記載の核酸を含むベクター。
【請求項40】
請求項37若しくは38記載の核酸、又は請求項39記載のベクターを含む、非胚性宿主細胞。
【請求項41】
患者の高血糖に関連する代謝性疾患又は障害を治療又は予防する方法であって、治療上又は予防上有効な量の請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項42】
前記疾患又は障害が、高血糖症、耐糖能異常、β細胞欠損、糖尿病(1型若しくは2型の糖尿病又は妊娠性糖尿病)、肥満、過食を特徴とする疾患から選択される、請求項41記載の方法。
【請求項43】
患者におけるインスリン生成を刺激する及び/又はインスリン感受性を高める方法であって、少なくとも1用量の請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項44】
腫瘍成長、例えば膵臓腫瘍の成長を治療又は予防する方法であって、治療上若しくは予防上有効な量の請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物、又は例えば本明細書に記載されるもののうちのいずれか等のPYY及びAlbudAbを含む単一の融合物若しくはコンジュゲートを前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項45】
膵臓炎を治療又は予防する方法であって、治療上若しくは予防上有効な量の請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物、又はPYY及びAlbudAbを含む単一の融合物若しくはコンジュゲートを前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項46】
PYYが3−36PYYであり、AlbudAbが本明細書に記載されるもののうちのいずれかである、請求項44又は45記載の方法。
【請求項1】
単一の融合物又はコンジュゲートを含む組成物であって、前記融合物又はコンジュゲートが、(a)インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子から選択され、且つ(b)前記インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子の半減期を延長させるタンパク質又はペプチド、との融合物又はコンジュゲートとして存在する少なくとも2つの分子、を含むか又はこれらからなる、組成物。
【請求項2】
前記半減期を延長させるタンパク質又はペプチドが、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミンに結合するものである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記半減期を延長させるタンパク質が、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミンに対して特異的に結合するドメイン抗体(dAb)を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも2つの個々の融合物又はコンジュゲートを含む組成物であって、各個々の融合物又はコンジュゲートが、(a)インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子から選択され、(b)前記インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子の半減期を延長させるタンパク質又はペプチド、との融合物又はコンジュゲートとして存在する1以上の分子、を含むか又はこれらからなる、組成物。
【請求項5】
前記半減期を延長させるタンパク質又はペプチドが、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミンに結合するものである、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記半減期を延長させるタンパク質が、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミンに対して特異的に結合するドメイン抗体(dAb)を含む、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチンのうちの少なくとも1つが、GLP−1、PYY、エキセンディン、あるいはインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチンの活性を保持しているこれらの機能的変異体、類似体、突然変異体、又は誘導体であるペプチド、から選択される、請求項1〜6のいずれか一項記載の組成物。
【請求項8】
インクレチンのうちの少なくとも1つが、(a)図1(i)(配列番号9)に示すアミノ酸配列を有するGLP−1(7−37)A8G突然変異体、又はその突然変異体、誘導体、若しくは類似体、(b)図1(j)(配列番号10)に示すアミノ酸配列を有するエキセンディン−4分子、又はその突然変異体、誘導体、若しくは類似体、及び(c)図1(s)(配列番号19)に示すアミノ酸配列を有するPYYペプチド、又はその突然変異体、誘導体、若しくは類似体から選択される、請求項1〜7のいずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
血清アルブミンに対して特異的に結合するドメイン抗体(dAb)が、DOM7h−14(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14のアミノ酸配列は図1(h)の配列番号8に示す)、又はDOM7h−14−10(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14−10のアミノ酸配列は図1(o)の配列番号15に示す)、及びR108C突然変異を有するDOM7h−14−10(Vk)ドメイン抗体(dAb)(DOM7h−14−10 R108Cのアミノ酸配列は図1(r)の配列番号18に示す)、及び7h−11−15 albudab(DOM7h−11−15のアミノ酸配列は図1(p)の配列番号16に示す)、及び7h−11−15 R108C albudab(DOM7h−11−15 R108Cのアミノ酸配列は図1(T)の配列番号47に示す)、あるいは血清アルブミンにおける同じエピトープに結合するか、又は血清アルブミンに対する結合についてこれらのうちのいずれかと競合するdAb、から選択される、請求項1〜8のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン分子及び/又は腸管ペプチドを接合させるアミノ酸又は化学リンカーと、血清アルブミンに結合するdAbとを更に含む、請求項1〜9のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
アミノ酸リンカーが、図1(k)(配列番号11)に示すアミノ酸配列を有するヘリカルリンカー、図1(l)(配列番号12)に示すアミノ酸配列を有するgly−serリンカー、又はPEGリンカーから選択される、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
PEGリンカーが、図3に示すPEGリンカーの構造を有する、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
インスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子が、dAbのN末端又はC末端のいずれか又は両方に存在する、請求項1〜12のいずれか一項記載の組成物。
【請求項14】
1以上のインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチドがdAbのC末端に存在し、更に、1以上のインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子がdAbのN末端に存在する、請求項1〜13のいずれか一項記載の組成物。
【請求項15】
図1a〜1g(配列番号1〜7)、及び図1m〜1n(配列番号13〜14)、及び図1u〜1v(配列番号48〜49)、及び図3又はDom7h−11−15(R108C)−PEG−3−36PYY(10位がリシン)(albudab成分がDom7h−11−15(R108C)であることを除いて図3に示す構造を有する)に記載のペプチド−AlbudAb分子のうちの1以上を含む、請求項1〜14のいずれか一項記載の組成物。
【請求項16】
(a)DAT0115分子(図1bの配列番号2に示すアミノ酸配列を有する)と、(b)同時に、別々に、又は順次使用するための複合調製物としてのDom7h−14−10(R108C)−PEG−3−36PYY(10位がリシン)(図3に示す構造を有する)、又は(c)Dom7h−11−15(R108C)−PEG−3−36PYY(10位がリシン)(albudab成分がDom7h−11−15(R108C)であることを除いて図3に示す構造を有する)のいずれかとを含む、請求項3又は6記載の組成物。
【請求項17】
PEG基、血清アルブミン、トランスフェリン、トランスフェリン受容体又は少なくともそのトランスフェリン結合部分、抗体Fc領域から選択される前記半減期を延長させるタンパク質又はペプチドに追加の分子を結合させることによるか、又は抗体ドメインにコンジュゲートさせることによってその流体力学的サイズを増大させるように、前記タンパク質又はペプチドを更にフォーマット化する、請求項1〜16のいずれか一項記載の組成物。
【請求項18】
融合物又はコンジュゲートが、更なるペプチド又はポリペプチド部分を含む、請求項1〜17のいずれか一項記載の組成物。
【請求項19】
融合物又はコンジュゲートが、Dom7h−14、DOM 7h−11−15、又はDom7h−14−10dAbのうちのいずれか、から選択されるAlbudAbに対して同じ又は異なる結合特異性を有する追加のdAb部分を含む、請求項1〜18のいずれか一項記載の組成物。
【請求項20】
追加のdAbが、Dom7h−14、Dom7h−11−15、又はDom7h−14−10dAbのうちのいずれか、との結合について競合する、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
融合物又はコンジュゲートが、12時間以上、例えば12〜21日間のヒトにおける排出半減期を有する、請求項1〜20のいずれか一項記載の組成物。
【請求項22】
融合物又はコンジュゲートが、約5μM〜約1pMの範囲のKDでヒト血清アルブミンに結合する、請求項1〜21のいずれか一項記載の組成物。
【請求項23】
薬学的又は生理学的に許容できる担体、賦形剤、又は希釈剤と組合せて、請求項1〜22のいずれか一項記載の組成物を含む、医薬組成物。
【請求項24】
更なる治療剤又は活性剤を含む、請求項23記載の医薬組成物。
【請求項25】
被験体に別々に、順次、又は同時に投与するための、(a)請求項1〜24のいずれか一項記載の組成物と、(b)更なる治療剤又は活性剤とを含む、組成物。
【請求項26】
請求項3又は6記載の2以上の融合物又はコンジュゲートを含む組成物であって、各々が、療法において同時に、別々に、又は順次使用するための複合調製物として、(a)1以上のインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子であって、(b)血清アルブミンに特異的に結合するドメイン抗体(dAb)、との融合物又はコンジュゲートとして存在する1以上のインスリン分泌促進剤及び/又はインクレチン及び/又は腸管ペプチド分子を含むか又はこれらからなる、組成物。
【請求項27】
代謝性疾患又は障害の治療又は予防において使用するための、請求項1〜26のいずれか一項記載の組成物。
【請求項28】
疾患又は障害が、高血糖症、耐糖能異常、β細胞欠損、糖尿病(1型若しくは2型の糖尿病又は妊娠性糖尿病)、肥満、過食を特徴とする疾患から選択される、請求項27記載の組成物。
【請求項29】
代謝性疾患又は障害を治療又は予防するための薬剤の製造における、請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物の使用。
【請求項30】
皮下、静脈内、又は筋肉内注射によって被験体に送達するための薬剤の製造における、請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物の使用。
【請求項31】
非経口、経口、直腸内、経粘膜、皮下注射、目、肺、又はGI管送達のための薬剤の製造における、請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物の使用。
【請求項32】
治療上又は予防上有効な量の請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物を患者に投与することを含む、代謝性疾患を治療又は予防する方法。
【請求項33】
請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物を含む経口、注射可能、吸入可能、又は噴霧可能な製剤。
【請求項34】
請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物を含む坐剤の形態の持続放出製剤。
【請求項35】
請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物を含むフリーズドライ製剤。
【請求項36】
請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物を含む送達装置。
【請求項37】
請求項1〜28のいずれか一項記載の融合物をコードする単離又は組換え核酸。
【請求項38】
請求項15記載の融合物をコードする核酸。
【請求項39】
請求項37又は38記載の核酸を含むベクター。
【請求項40】
請求項37若しくは38記載の核酸、又は請求項39記載のベクターを含む、非胚性宿主細胞。
【請求項41】
患者の高血糖に関連する代謝性疾患又は障害を治療又は予防する方法であって、治療上又は予防上有効な量の請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項42】
前記疾患又は障害が、高血糖症、耐糖能異常、β細胞欠損、糖尿病(1型若しくは2型の糖尿病又は妊娠性糖尿病)、肥満、過食を特徴とする疾患から選択される、請求項41記載の方法。
【請求項43】
患者におけるインスリン生成を刺激する及び/又はインスリン感受性を高める方法であって、少なくとも1用量の請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項44】
腫瘍成長、例えば膵臓腫瘍の成長を治療又は予防する方法であって、治療上若しくは予防上有効な量の請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物、又は例えば本明細書に記載されるもののうちのいずれか等のPYY及びAlbudAbを含む単一の融合物若しくはコンジュゲートを前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項45】
膵臓炎を治療又は予防する方法であって、治療上若しくは予防上有効な量の請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物、又はPYY及びAlbudAbを含む単一の融合物若しくはコンジュゲートを前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項46】
PYYが3−36PYYであり、AlbudAbが本明細書に記載されるもののうちのいずれかである、請求項44又は45記載の方法。
【図1−1】
【図1−2】
【図1−3】
【図1−4】
【図1−5】
【図2−1】
【図2−2】
【図2−3】
【図2−4】
【図2−5】
【図2−6】
【図2−7】
【図2−8】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15−1】
【図15−2】
【図1−2】
【図1−3】
【図1−4】
【図1−5】
【図2−1】
【図2−2】
【図2−3】
【図2−4】
【図2−5】
【図2−6】
【図2−7】
【図2−8】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15−1】
【図15−2】
【公表番号】特表2013−506628(P2013−506628A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531329(P2012−531329)
【出願日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064020
【国際公開番号】WO2011/039096
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064020
【国際公開番号】WO2011/039096
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】
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