説明

建具の製造方法

【課題】 建具にパネルまたはガラス板を装着することが容易な建具の製造方法を提供すること。
【解決手段】 パネル20の周辺部の縁になるように内側芯材30を配設し、内側芯材30の外側に外側芯材40を複数の横手材51により連結し、つぎに、内側芯材30、複数の横手材51および外側芯材40を複数の表面材60で挟んだ状態で、複数の表面材60を内側芯材30、複数の横手材51および外側芯材40に接着してフラッシュ構造を構成することを特徴とする建具の製造方法。さらに、パネル20の周辺部に内側芯材30の溝31が嵌合すること。さらに、内側芯材30がモール付き芯材であること。さらに、複数の表面材60の接着をプレス工程により行うこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具の製造方法に関し、特に製造工程が簡略になる建具の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建具の製造方法として、中抜き窓を形成する方法がある(例えば、特許文献1参照)。この場合、建具本体の内方に開口部を形成し、この開口部にガラス板を装着して中抜き窓を形成し、前記ガラス板は本体の開口部周縁に表裏から装着される第1額縁と第2額縁とによって挟持されている。
【特許文献1】実公昭64−7177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の従来例では、先に建具本体を構成し、この建具本体の内方に開口部を形成し、この開口部にガラス板を装着しているので、開口部とガラス板の寸法の誤差による不具合を是正するために、前記第1額縁と第2額縁の構造を複雑にし、前記第1額縁と第2額縁で前記ガラス板を前記開口部に装着するために複雑な工程が必要となるという問題があった。なお、この問題はガラス板の代わりにパネルを建具に装着する場合も同様である。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、建具にパネルまたはガラス板を装着することが容易な建具の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、パネルまたはガラス板の周辺部の縁になるように内側芯材を配設し、前記内側芯材の外側に外側芯材を複数の横手材により連結し、つぎに、前記内側芯材、複数の横手材および外側芯材を複数の表面材で挟んだ状態で、前記複数の表面材を前記内側芯材、複数の横手材および外側芯材に接着してフラッシュ構造を構成することを特徴とする建具の製造方法である。
これにより、パネルまたはガラス板の周辺部の縁になるように配設した内側芯材およびその外側に複数の横手材により連結した外側芯材を複数の表面材で挟んだ状態で、前記複数の表面材を前記内側芯材、複数の横手材および外側芯材に接着して、前記複数の表面材、内側芯材、複数の横手材および外側芯材によりフラッシュ構造を構成するので、フラッシュ構造の内側芯材の内側にパネルまたはガラス板を組込んだ建具を容易に製造することができる。
【0005】
さらに、請求項2記載の発明は、請求項1記載の建具の製造方法であって、前記パネルまたはガラス板の周辺部に前記内側芯材の溝が嵌合することを特徴とする建具の製造方法である。
これにより、前記パネルまたはガラス板の周辺部に前記内側芯材を配設することが容易になる。
【0006】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1記載の建具の製造方法であって、前記内側芯材がモール付き芯材であることを特徴とする建具の製造方法である。
これにより、パネルまたはガラス板の縁にモール付き芯材を配設することができる。
【0007】
さらに、請求項4記載の発明は、請求項1から3までのいずれかに記載の建具の製造方法であって、前記複数の表面材の接着をプレス工程により行うことを特徴とする建具の製造方法である。
これにより、プレス工程により前記複数の表面材を前記内側芯材、複数の横手材および外側芯材に容易に接着することができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、建具にパネルまたはガラス板を装着することが容易になる。
さらに、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果とともに、請求項1記載の建具の製造が一層容易になる。
さらに、請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明の効果とともに、パネルまたはガラス板の周囲の縁にモール付き芯材を配設することができる。
さらに、請求項4記載の発明によれば、請求項1から3までのいずれかに記載の発明の効果とともに、表面材の接着工程の効率をよくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明における実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る建具の製造方法の説明をし、図2は図1の続きの製造方法の説明をし、図3は図2の続きの製造方法の説明をし、図4は図3の続きの製造方法の説明をしている。さらに、図5は上記製造方法により製造された建具を示し、図6は図5の建具のA−A断面を示す。
【0010】
建具10の製造方法は以下のようになる。まず、図1に示すように、パネル20の周辺部21の縁になるように内側芯材30を配設する。ここで、内側芯材30をモール付き芯材とする。このとき、内側芯材30の溝31をパネル20の周辺部21に嵌合させる。
具体的には、内側芯材30は第1部材30a、第2部材30b、第3部材30cおよび第4部材30dからなる。内側芯材30の溝31として、第1部材30a、第2部材30bおよび第3部材30cにはそれぞれ溝31a、溝31bおよび溝31cが形成され、第4部材30dには溝31cと同様の溝が形成されている。パネル20は例えば長方形の板状であり、このパネル20の周辺部21の4つの辺に第1部材30a、第2部材30b、第3部材30cおよび第4部材30dが配設される。そして、図2に示すように、第1〜第3部材30a〜30cの溝31a、31b、31cおよび第4部材30dの前記溝31cと同様の溝をパネル20の周辺部21(図1参照)の4辺に嵌合させて接着等により固定する。
【0011】
つぎに、図3に示すように、内側芯材30の外側に外側芯材40を複数の横手材51により連結する。
具体的には、外側芯材40は第1部材40a、第2部材40b、第3部材40cおよび第4部材40dからなり、第1部材40aは複数の横手材51により内側芯材30の第1部材30aに連結され、第2部材40bは複数の横手材51により内側芯材30の第2部材30bに連結され、第3部材40cは複数の横手材51により内側芯材30の第3部材30cに連結され、第4部材40dは複数の横手材51により内側芯材30の第4部材30dに連結される。なお、ここで、外側芯材40の第1〜第4部材40a〜40dの各々に複数の横手材51の一端を結合したものを用意し、つぎに、前記複数の横手材51の他端を内側芯材30の第1〜第4部材30a〜30dに結合してもよい。
そして、建具10の横巾(図3の外側芯材40aから外側芯材40bまでの巾)を決めることができる。
【0012】
つぎに、図4に示すように、内側芯材30、複数の横手材51および外側芯材40を複数の表面材60で挟んだ状態で、複数の表面材60を内側芯材30、複数の横手材51および外側芯材40の図示上下両側にプレス工程により接着して、フラッシュ構造を構成する。
具体的には、図6に示すように、内側芯材30の図示上面には凹部32が形成され、内側芯材30の図示下面には凹部33が形成されている。また、外側芯材40の図示上面には凹部41が形成され、外側芯材40の図示下面には凹部42が形成されている。ここで、凹部32、横手材51の図示上面および凹部41は同一平面上に位置し、凹部33、横手材51の図示下面および凹部42は同一平面上に位置している。そして、図示上側の表面材60の裏面62を凹部32、横手材51の図示上面および凹部41に当接するように接着し、図示下側の表面材60の裏面62を凹部33、横手材51の図示下面および凹部42に当接するように接着する。
なお、図4および図5に示すように、図示上側の表面材60は、第1部材60a、第2部材60b、第3部材60cおよび第4部材60dで構成され、図4に示すように、図示下側の表面材60は、第5部材60e、第6部材60f、第7部材60gおよび第8部材60hで構成されている。また、図6に示す表面材60の表面61には装飾を施してもよい。このため、建具10の製造工程の工数を上述の従来例よりも大幅に減らすことができる。
【0013】
さらに、図3に示すように、補助板52が内側芯材30と外側芯材40とを連結ように
配設されている。なお、補助板52は、表面材60で挟まれるので、外部からは見えない。そして、補助板52を配設した箇所に建具10の図示しない鍵等を取り付けることができる。
なお、図5に示す建具10は縦長のものであるので、建具10を使用する場合には、例えば表面材60cが上側で表面材60dが下側になる。そして、建具10の縦方向の長さを決めて、縦具10の上端および下端の加工をすることになる。
【0014】
上記構成の建具の製造方法は、以下の作用をする。
パネル20の周辺部21の縁になるように配設した内側芯材30およびその外側に複数の横手材51により連結した外側芯材40を複数の表面材60で挟んだ状態で、複数の表面材60を内側芯材30、複数の横手材51および外側芯材40に接着して、複数の表面材60、内側芯材30、複数の横手材51および外側芯材40によりフラッシュ構造を構成するので、フラッシュ構造の内側芯材30の内側にパネル20を組込んだ建具10を容易に製造することができる。なお、内側芯材30は建具10の開口部の縁になり、この開口部にパネル20が装着されていることになる。
【0015】
さらに、内側芯材30の溝31により、パネル20の周辺部21に内側芯材30を配設することが容易になる。
さらに、パネル20の縁に内側芯材30としてのモール付き芯材を配設することができる。
さらに、プレス工程により複数の表面材60を内側芯材30、複数の横手材51および外側芯材40に容易に接着して、フラッシュ構造を構成することができる。
【0016】
なお、上記実施の形態において、パネル20を使用しているが、これに限定されず、例えばガラス板を使用してもよい。
また、内側芯材30をモール付き芯材としているが、これに限定されず、内側芯材30をモール付きでない芯材としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る建具の製造方法の説明をする斜視図である。
【図2】図1の続きの製造方法を説明する斜視図である。
【図3】図2の続きの製造方法を説明する斜視図である。
【図4】図3の続きの製造方法を説明する斜視図である。
【図5】上記製造方法により製造された建具の斜視図である。
【図6】図5の建具のA−A断面図である。
【符号の説明】
【0018】
10 建具
20 パネル
30 内側芯材
40 外側芯材
51 横手材
60 表面材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルまたはガラス板の周辺部の縁になるように内側芯材を配設し、
前記内側芯材の外側に外側芯材を複数の横手材により連結し、
つぎに、前記内側芯材、複数の横手材および外側芯材を複数の表面材で挟んだ状態で、前記複数の表面材を前記内側芯材、複数の横手材および外側芯材に接着してフラッシュ構造を構成することを特徴とする建具の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の建具の製造方法であって、
前記パネルまたはガラス板の周辺部に前記内側芯材の溝が嵌合することを特徴とする建具の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の建具の製造方法であって、
前記内側芯材がモール付き芯材であることを特徴とする建具の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれかに記載の建具の製造方法であって、
前記複数の表面材の接着をプレス工程により行うことを特徴とする建具の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−154485(P2007−154485A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−349400(P2005−349400)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000115049)ユアサ建材工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】