説明

建具及び建具の取付方法

【課題】高い風圧等にも耐え得る強度を備え、かつ、容易に着脱可能な固定障子を備えた建具等を提供する。
【解決手段】室内外を連通する開口に設けられる枠体と、前記枠体内に固定され前記開口の一部を閉塞する固定障子と、前記開口にて前記固定障子にて閉塞されていない領域を閉塞可能であり、前記枠体に沿って移動可能な移動障子と、を有し、前記固定障子が有する框の外周部には外側に向かって開放された框側溝部を有し、前記枠体の内周部には内側に向かって開放された枠側溝部を有し、前記固定障子は、前記框側溝部と前記枠側溝部とにそれぞれ嵌合される嵌合部材にて見込み方向の移動が規制されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内外を連通する開口に設けられる枠体に固定され開口の一部を閉塞する固定障子を有する建具及び建具の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内外を連通する開口に設けられる枠体に固定され開口の一部を閉塞する固定障子を有する建具としては、外障子をサッシ枠に固定して内障子を面内方向に走行自在に建て込んだ片引きサッシが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような建具は、方形枠状に枠組みしたサッシ枠内に内障子が走行自在に装着され、固定される外障子は、高い風圧等にも耐え得るように、上框が外上レールに取り付けられた樹脂製の取付アタッチメントがビスで取り付けられている。
【0003】
具体的には、取付アタッチメントは、上枠の外上レールを挟むように一側片と他側片とが下端側で連結されており、一側片側から他側片側に向かって係合突片が設けられている。外上レールには、係合孔が形成されており、一側片と他側片との間に外上レールを差し込むとともに係合突片を係合孔に係合させて取付アタッチメントがサッシ枠に取り付けられる。サッシ枠に取り付けられた取付アタッチメントには、上向きコ字状をなす上框を下から上に向けて嵌合し、下方から上框の底面を貫通したビスを取付アタッチメントに螺合することにより外障子が取り付けられている。
【特許文献1】登録実用新案第2554796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような建具は、取付アタッチメントを取り付けるための係合孔を外上レール、すなわち上枠に形成するための加工が必要であり、また、取付アタッチメントの係合突片は一側片側から他側片側に突出しているため、取り付ける際には見込み方向に形成された係合孔に係合突片を位置を合わせながら嵌合しなければならず、取り付け作業が煩雑である。また、取付アタッチメントは樹脂製であり、上框と取付アタッチメントとはビスが螺合されて固定されているため、外障子の着脱を繰り返すと取り付けられなくなる虞があるという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高い風圧等にも耐え得る強度を備え、かつ、容易に着脱可能な固定障子を備えた建具及び建具の取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の建具は、室内外を連通する開口に設けられる枠体と、前記枠体内に固定され前記開口の一部を閉塞する固定障子と、前記開口において前記固定障子にて閉塞されていない領域を閉塞可能であり、前記枠体に沿って移動可能な移動障子と、を有し、前記固定障子が有する框の外周部には外側に向かって開放された框側溝部を有し、前記枠体の内周部には内側に向かって開放された枠側溝部を有し、前記固定障子は、前記框側溝部と前記枠側溝部とにそれぞれ嵌合される嵌合部材にて見込み方向の移動が規制されていることを特徴とする建具である。
【0007】
このような建具によれば、固定障子が有する框の外周部に設けられた外側に向かって開放された框側溝部と、枠体の内周部に設けられた内側に向かって開放された枠側溝部とにそれぞれ嵌合される嵌合部材にて固定障子の見込み方向の移動が規制されているので、固定障子を風圧等に耐えうるように枠体に保持させることが可能である。また、嵌合部材は框側溝部と枠側溝部とに嵌合されているだけなので、工具等を用いることなく固定障子を枠体に着脱することが可能である。
【0008】
かかる建具であって、前記固定障子は、前記枠体を構成する縦枠に嵌合された前記嵌合部材と、前記框側溝部と前記枠側溝部とに嵌合されるとともに、前記固定障子を構成する召し合わせ框の側面に当接される規制部材と、にて見付け方向の移動が規制されることが望ましい。
このような建具によれば、固定障子は、縦枠に嵌合された嵌合部材のみならず、框側溝部と枠側溝部とに嵌合されるとともに、固定障子を構成する召し合わせ框の側面に当接される規制部材によっても見付け方向の移動が規制されるので、固定障子を見付け方向の移動を確実に規制すべく固定して取り付けることが可能である。
【0009】
かかる建具であって、前記嵌合部材は、前記枠体側に向かって突出する突起を有し、前記枠体は、前記突起が挿入される孔部を有し、前記嵌合部材は、前記孔部に前記突起が挿入されて位置決めされることが望ましい。
このような建具によれば、框側溝部と枠側溝部とに嵌合された嵌合部材の突起が枠体の孔部に挿入されて位置決めされるので、嵌合部材を枠側溝部に沿ってスライドさせるだけで位置決めすることが可能である。また、突起が孔部に挿入されることにより嵌合部材の移動が規制されるので、固定障子をより安定した状態にて取り付けることが可能である。
【0010】
かかる建具であって、前記框側溝部及び前記枠側溝部の開放された端部には、見込み方向の幅が前記框側溝部及び前記枠側溝部の内部の見込み方向の幅より狭くなるような突片が設けられており、前記嵌合部材は、前記框側溝部の内部または前記枠側溝部の内部に挿入されて前記突片に係合され、前記固定障子と前記枠体とを連結することが望ましい。
このような建具によれば、框側溝部及び枠側溝部の開放された端部に設けられた突片は、見込み方向の幅が框側溝部及び枠側溝部の内部の見込み方向の幅より狭くなるように形成されているので、嵌合部材を、框側溝部の内部または枠側溝部の内部に挿入するだけで確実に框側溝部及び枠側溝部に嵌合される。このため、嵌合部材により枠体と固定障子とを容易にかつ確実に連結することが可能である。
【0011】
かかる建具であって、前記枠側溝部の前記固定障子にて覆われない部位を塞ぐ閉塞部材を有することが望ましい。
枠側溝部の固定障子にて覆われない部位は、美観を損なうとともに、埃や汚れが取り除きにくい部位となるので、閉塞部材にて塞ぐことにより美観に優れた建具を提供することが可能である。
【0012】
かかる建具であって、前記枠体は、前記突片が切り欠かれた切欠部を有しており、前記嵌合部材は、前記切欠部から前記枠側溝部に挿入されて見付け方向に移動されることが望ましい。
このような建具によれば、枠体の切欠部から枠側溝部に嵌合部材が挿入されるので、嵌合部材を無理なく容易に嵌合させることが可能である。
【0013】
かかる建具であって、前記切欠部は、固定された前記固定障子又は前記閉塞部材にて覆われることが望ましい。
枠体の切欠部は固定障子が取り付けられた後には必要ないので、固定障子が取り付けられる前に嵌合部材を嵌合させ、取り付けられた固定障子により切欠部が覆われることにより、取り付けやすく、かつ、美観に優れた建具を提供することが可能である。
【0014】
また、前記切欠部は、前記閉塞部材にて覆われることとしてもよい。
このような建具によれば、切欠部が閉塞部材に覆われるので、切欠部が露出せず、美観に優れた建具を提供することが可能である。
【0015】
また、室内外を連通する開口に設けられ縦枠と横枠とが枠組みされた枠体と、前記枠体内に固定され前記開口の一部を閉塞する固定障子と、前記開口における前記固定障子にて閉塞されていない領域を閉塞可能であり、見付け方向に沿って移動可能な移動障子と、を有する建具の取付方法であって、前記固定障子が有する框の外周部に設けられ外側に向かって開放された框側溝部及び前記枠体の内周部に設けられ内側に向かって開放された枠側溝部にそれぞれ嵌合される嵌合部材を、前記枠体に嵌合すること、前記固定障子を、前記枠体の内側であって前記固定障子が固定される領域と異なる領域から見付け方向に移動させることにより前記嵌合部材と嵌合させて所定の位置に配置すること、を有することを特徴とする建具の取付方法である。
【0016】
このような建具の取付方法によれば、框側溝部及び枠側溝部にそれぞれ嵌合される嵌合部材は枠体に嵌合されるので高い風圧等にも耐え得るように固定障子を取り付けることが可能である。また、框側溝部及び枠側溝部にそれぞれ嵌合される嵌合部材は枠体に嵌合されると、框側溝部に嵌合される部位が枠体から突出するが、固定障子を、当該固定障子が固定される領域と異なる領域から見付け方向に移動させて嵌合部材と嵌合させるので、枠体に嵌合された嵌合部材に固定障子を容易に嵌合させることが可能である。また、所定の位置にて取り付けられている固定障子を異なる領域に移動させることにより、固定障子と嵌合部材との嵌合を容易に解除することが可能である。このため、容易に着脱可能な固定障子を有する建具を提供することが可能である。
【0017】
かかる建具の取付方法であって、前記框側溝部と前記枠側溝部とに嵌合されるとともに、前記固定障子を構成する召し合わせ框の側面に当接される規制部材を、前記横枠に固定して当該固定障子の見付け方向の移動を規制すること、を有することが望ましい。
このような建具の取付方法によれば、框側溝部と枠側溝部とに嵌合されるとともに、固定障子を構成する召し合わせ框の側面に当接される規制部材が横枠に固定されるので、固定障子の見付け方向の移動を確実に規制することが可能である。
【0018】
かかる建具の取付方法であって、前記嵌合部材を、見付け方向において間隔を隔てて設けられた一対の前記縦枠のうちの一方の前記縦枠に嵌合し、前記横枠における他方の前記縦枠側にスライド可能に嵌合し、前記固定障子を前記縦枠に嵌合させた前記嵌合部材と嵌合させて前記所定の位置に配置した後に、前記横枠に嵌合させた前記嵌合部材を前記枠側溝部に沿ってスライドさせて、前記固定障子と嵌合させることが望ましい。
このような建具の取付方法によれば、固定障子を取り付ける際の移動距離が小さいため固定障子を取り付ける作業が容易である。
【0019】
かかる建具の取付方法であって、前記嵌合部材を、見付け方向において間隔を隔てて設けられた一対の前記縦枠のうちの一方の前記縦枠と、前記横枠との決められた位置に嵌合し、前記固定障子を、前記横枠の前記嵌合部材が嵌合されていない領域から見付け方向に移動させることにより当該嵌合部材と嵌合させることとしても良い。
このような建具の取付方法によれば、嵌合部材を縦枠と横枠とに嵌合した後に固定障子を移動させるだけで、より容易に固定障子と嵌合部材とを嵌合させることが可能である。
【0020】
また、室内外を連通する開口に設けられ縦枠と横枠とが枠組みされた枠体と、前記枠体内に固定され前記開口の一部を閉塞する固定障子と、前記開口における前記固定障子にて閉塞されていない領域を閉塞可能であり、見付け方向に沿って移動可能な移動障子と、を有する建具の取付方法であって、前記固定障子が有する框の外周部に設けられ外側に向かって開放された框側溝部及び前記枠体の内周部に設けられ内側に向かって開放された枠側溝部にそれぞれ嵌合される嵌合部材を、見付け方向において間隔を隔てて設けられた一対の前記縦枠のうちの一方の前記縦枠と、前記横枠との決められた位置に嵌合し、前記固定障子を、見込み方向に移動させて前記嵌合部材と嵌合させることを特徴とする建具の取付方法である。
このような建具の取付方法によれば、嵌合部材を縦枠と横枠とに嵌合した後に固定障子を見込み方向に移動させる僅かな移動だけでさらに容易に固定障子を嵌合部材に嵌合させることが可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、高い風圧等にも耐え得る強度を備え、かつ、容易に着脱可能な固定障子を備えた建具を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
本実施形態の建具1は、図1に示すような、室内外を連通する建物の開口に設けられる枠体と、枠体内に固定され開口の一部を閉塞し、面材としてのガラス3が嵌め付けられて移動しない固定障子20と、固定障子20にて閉塞されない領域を閉塞可能であり、枠体11に沿って移動可能な移動障子5とを備えた建具1を例に挙げて説明する。
【0023】
この建具1は、図2、図3に示すように、枠体11の見込み方向におけるほぼ中央より室外側の領域に固定障子20が設けられ、ほぼ中央より室内側の領域は移動障子5が移動可能な領域となっている。以下の説明においては、建具1を室外側から見たときに上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、本発明の特徴的な部分は、本実施形態においては固定障子20に含まれるため、以下では、主に固定障子20について説明する。
【0024】
枠体11は、室内外を仕切る壁の開口に設けられ、押し出し成形部材である上枠12、下枠13、左右の縦枠14、15が矩形状に枠組みされて構成されている。上枠12、下枠13、左右の縦枠14、15は、いずれも同一の断面形状をなす押し出し成形部材であり、45度に切断された両端部が互いに突き合わされて接合されている。
【0025】
上枠12、下枠13、左右の縦枠14、15は、いずれも見込み方向における室内側に移動障子5の周縁部が収容される収容凹部16と、室外側に固定障子20が装着される装着部17が設けられている。そして、上枠12、下枠13、左右の縦枠14、15は、同一断面形状をなしているので、収容凹部16及び装着部17は枠体11の全周に渡って形成されている。本実施形態の建具1は、室外側から見て開口の右側が固定障子20にて閉塞され、左側が移動障子5にて開閉可能に構成されているため、移動障子5は、右の縦枠15側には移動しない。このため移動障子5の外周部が右の縦枠15の収容凹部16に収容されることはない。
【0026】
下枠13の収容凹部16には、移動障子5を案内するためのレール部材10が見付け方向の全域にわたって嵌合されている。
収容凹部16の屋外側の壁部16aをなすとともに収容凹部16と装着部17との境界となる境界壁18の屋外側に臨む面は、固定障子20を構成する框が対向して配置される框対向部17aをなしている。
装着部17は、框対向部17aと、この框対向部17aと繋がってほぼ直角をなす水平面を有する内周部としての内周面部17bとを有している。内周面部17bには、見込み方向におけるほぼ中央に見付け方向に沿って枠側溝部19が形成されている。
【0027】
枠側溝部19は、枠体11が囲む空間の内側に向かって開放された溝部であり、枠側溝部19の開放された端部には、見込み方向の幅が枠側溝部19の内部19aより狭くなるような突片19bが設けられている。すなわち、装着部17の内周面部17b側の縁に見込み方向に突出する突片19bが設けられている。
【0028】
この突片19bは、見付け方向のほぼ全域に渡って設けられているが、図4に示すように、固定障子20が取り付けられる領域の一部には突片19bが切り欠かれた切欠部19cが形成されており、この切欠部19cから後述する嵌合部材としての棒状嵌合部材30及び規制部材55が挿入される。このため、切欠部19cは、後述する棒状嵌合部材30及び規制部材55の長さより長く、また、幅も広く形成されている。また、枠側溝部19の底19eには、後述する棒状嵌合部材30の突起31bが挿入されて位置決めされる位置決め孔19dが形成されている。
【0029】
下枠13の枠側溝部19の、固定障子20が取り付けられた際に当該固定障子20にて覆われない部位及び左側の縦枠(以下、左縦枠という)14の枠側溝部19には、枠側溝部19を塞ぐ閉塞部材28が設けられている。また、閉塞部材28は、上枠12の枠側溝部19の、固定障子20が取り付けられた際に当該固定障子20にて覆われない部位に設けても良い。
【0030】
また、装着部17の室外側に上枠12と下枠13とに網戸60が移動されるレール61が設けられており、同一断面形状をなす左右の縦枠14、15にも繋がっている。
【0031】
固定障子20は、面材としてのガラス3と、矩形状に枠組みされた框体20aと、框体20aとともにガラス3を挟持する押縁20bとを有している。ガラス3は、2枚のガラス板の周縁間にスペーサや封着剤を介在させて、互いに間隔を隔てて対面させた2層構造をなしている。
【0032】
框体20aは、押し出し成形部材でなる上框21、下框22、左右の縦框23、24が、45度に切断された各々の両端部が互いに突き合わされて接合されている。枠組みされた框体20aの外周部としての外周面20cには、固定障子20を枠体11に取り付けた際に枠側溝部19と対向する位置に、框体20aの外側向かって開放された框側溝部25が設けられている。
【0033】
この框側溝部25の開放された端部には、見込み方向の幅が框側溝部25の内部25aより狭くなるような突片25bが設けられている。すなわち、框体20aの外周面20c側の縁に見込み方向に突出する突片25bが設けられている。
【0034】
このような固定障子20は、ほぼ直方体状をなす成形部材である棒状嵌合部材30、及び、角部を連結するための鉤状嵌合部材50を用いて枠体11に取り付けられる。また、框側溝部25と枠側溝部19とに嵌合されるとともに、固定障子20を構成する召し合わせ框(左の縦框)23の側面23aに当接される規制部材55により固定障子20の見付け方向の移動が規制されている。
【0035】
棒状嵌合部材30は、長手方向が枠側溝部19及び框側溝部25に沿うように配置されて嵌合される。棒状嵌合部材30は、図5〜図7に示すように、枠側溝部19に収容される枠側被収容部31と框側溝部25に収容される框側被収容部33とそれらを連結する連結部35とで構成されている。そして、図2、図3に示すように、棒状嵌合部材30は、上枠12と上框21との間、下枠13と下框22との間、右の縦枠(以下、右縦枠という)15と右の縦框24との間に、それぞれ介在され、上枠12、下枠13、右縦枠15の枠側溝部19と上框21、下框22、縦框24の框側溝部25とにそれぞれ嵌合されて枠体11と框体20aとを連結し、固定障子20の見込み方向への移動を規制する。
【0036】
以下の説明では、棒状嵌合部材30が、枠側溝部19と框側溝部25とに嵌合された状態にて、室内に向かう方向を室内方向、室外に向かう方向を室外方向、枠側溝部19の底19eに向かう方向を枠体方向、框側溝部25の底に向かう方向を框体方向、見付け方向、見込み方向として方向を示す。
棒状嵌合部材30の長手方向における両端部30aは、各々先端に向かって細くなるようなテーパー状に形成されている。
【0037】
枠側被収容部31は、枠側溝部19に収容された際に、枠側溝部19側が連結部35より見込み方向に突出する突出部31cを有しており、枠側溝部19の深さ方向におけるほぼ半分の位置から底19e側に向かって見込み方向の幅が狭くなるようなテーパー状に形成されている。また、枠側被収容部31には、枠側溝部19の底19eと対向する面31aの中央に、棒状嵌合部材30を位置決めするための突起31bが設けられている。
【0038】
框側被収容部33は、長手方向にてテーパー状に形成された両端部30aを除く部位が、室内側と室外側とにそれぞれ4つの領域、すなわち合計8つの領域に区分けされ、各領域には框体方向に開放された中空部33aが形成されている。
【0039】
各中空部33aが形成されている室外側の領域の室外側の壁部33cと、室内側の領域の室内側の壁部33cとには、それぞれ長手方向の両端部にスリット33bが形成されている。各領域のスリット33b間の壁部33cは、連結部35より見込み方向に突出する突出部33dを有しており、框体方向におけるほぼ半分の位置から底25c側に向かって見込み方向の幅が狭くなるようなテーパー状に形成されている。そして、前記スリット33bは突出部33dより枠側被収容部31側まで形成されている。このため、各領域のスリット33b間の壁部33cは、弾性により中空部33aの内方に向かって屈曲可能である。このとき、棒状嵌合部材30に設けられた8つの中空部33aは、壁部33cがより大きく屈曲するように、框側被収容部33のみならず連結部35や枠側被収容部31まで繋がっていてもよい。
【0040】
鉤状嵌合部材50は、枠側溝部19に嵌合される枠側被嵌合部51と框側溝部25に嵌合される框側被嵌合部53とをそれぞれ備えた一対の嵌合部52がほぼ直角をなすように連結されて構成されている。一対の嵌合部52は同じ構成なので、ここでは一方の嵌合部52について説明する。
【0041】
嵌合部52は、長手方向のほぼ中央にて2つの領域に区分けされ、先端に框側溝部25に嵌合される框側被嵌合部53が形成され、連結されている側に枠側溝部19に嵌合される枠側被嵌合部51が形成されている。
【0042】
框側被嵌合部53は、室内側と室外側との2つの領域に区分けされており、各領域には框体方向に開放された中空部53aが形成されている。各中空部53aを形成している室内側及び室外側の部位には、それぞれ長手方向の両端部にスリット53bが形成されている。各領域のスリット53b間の壁部53cは、枠側溝部19に収容される部位53dより見込み方向に突出する突出部53eを有しており、框側溝部25の深さ方向におけるほぼ半分の位置から框側溝部25の底25c側に向かって見込み方向の幅が狭くなるようなテーパー状に形成されている。そして、前記スリット53bは突出部53eより枠体11に収容される側の端近傍まで形成されている。このため、各領域のスリット53b間の壁部53cは、弾性により中空部53aの内方に向かって屈曲可能である。また、框側被嵌合部53は、長手方向における先端側のほぼ半分は、先端に向かって細くなるようにテーパー状に形成されている。
【0043】
框側被嵌合部53より連結側に設けられている枠側被嵌合部51も、室内側と室外側との2つの領域に区分けされており、各領域には枠体方向に開放された中空部51aが形成されている。各中空部51aを形成している室内側及び室外側の部位には、それぞれ長手方向の両端部にスリット51bが形成されている。各領域のスリット51b間の壁部51cは、框側溝部25に収容される部位51dより見込み方向に突出する突出部51eを有しており、枠側溝部19の深さ方向におけるほぼ半分の位置から枠側溝部19の底19e側に向かって見込み方向の幅が狭くなるようなテーパー状に形成されている。そして、前記スリット51bは突出部51eより框体20aに収容される側の端近傍まで形成されている。このため、各領域のスリット51b間の壁部51cは、弾性により中空部51aの内方に向かって屈曲可能である。
【0044】
規制部材55は、棒状嵌合部材30における長手方向のほぼ半分の部位でなり、框側溝部25と枠側溝部19とに嵌合される本体嵌合部56と、本体嵌合部56の長手方向における一方の端部の框側溝部25側に突出されて召し合わせ框23の側面に当接される規制部57と、を有している。本体嵌合部56は、棒状嵌合部材30を見込み方向に沿って切断した切断面の外周部の輪郭とほぼ同様の輪郭を有する中実の部材である。すなわち、規制部材55には、棒状嵌合部材30のような中空部は設けられていない。
【0045】
本体嵌合部56は、規制部57が設けられている側の端部に、規制部材55を枠体11に、枠体11の内側から外側に向かって斜めに進入するビスにて固定するための固定用貫通孔58が形成されている。また、規制部57が設けられていない側の端部には、室内側から室外側に向かい、かつ、枠体11の内側から外側に向かって斜めに進入するビスが枠体11と框体20aと螺合し、規制部材55を貫通して規制部材55の見付け方向の移動を規制するための規制用貫通孔59が形成されている。
【0046】
規制部57は、召し合わせ框23の側面23aに当接される部位57aから召し合わせ框23側に突出され、召し合わせ框23に形成された孔(不図示)に挿入されるピン57bが突設されている。また、規制部57のピン57bが設けられていない側の部位には、規制部材55を固定するためのビスを隠すためのカバー部材70が係止される係止部57cが設けられている。
【0047】
本実施形態の建具1によれば、固定障子20が有する框体20aの外周部に設けられた外側に向かって開放された框側溝部25と、枠体11の内周面部17bに設けられた内側に向かって開放された枠側溝部19とにそれぞれ嵌合される棒状嵌合部材30にて固定障子20の見込み方向の移動が規制されているので、固定障子20を風圧等に耐えうるように枠体11に保持させることが可能である。また、棒状嵌合部材30は框側溝部25と枠側溝部19とに嵌合されているだけなので、工具等を用いることなく固定障子20を枠体11から取り外すことが可能である。
【0048】
また、固定障子20は、右縦枠15に嵌合された棒状嵌合部材30のみならず、框側溝部25と枠側溝部19とに嵌合されるとともに、固定障子20を構成する召し合わせ框23の側面23aに当接される規制部材55によっても見付け方向の移動が規制されるので、固定障子20を確実に固定して取り付けることが可能である。
【0049】
また、框側溝部25と枠側溝部19とに嵌合された棒状嵌合部材30は、突起31bが枠体11の位置決め孔19dに挿入されて位置決めされるとともに棒状嵌合部材30の移動が規制されるので、固定障子20をより安定した状態にて取り付けることが可能である。
【0050】
また、框側溝部25及び枠側溝部19の開放された端部に設けられた突片19b、25bは、見込み方向の幅が框側溝部25及び枠側溝部19の内部19a、25aの見込み方向の幅より狭くなるように形成されており、棒状嵌合部材30は、框側溝部25の内部25aまたは枠側溝部19の内部19aに挿入されて、突片19b、25bに係合するので、確実に框側溝部25及び枠側溝部19に嵌合され、枠体11と固定障子20とを連結することが可能である。
【0051】
また、枠体11の切欠部19cから枠側溝部19に棒状嵌合部材30が挿入されるので、棒状嵌合部材30を無理なく容易に枠側溝部19に嵌合させることが可能である。そして、切欠部19cは、固定障子20が取り付けられた後には必要ないので、固定障子20が取り付けられる前に棒状嵌合部材30を嵌合させ、取り付けられた固定障子20により切欠部19cが覆われることにより、取り付けやすく、かつ、美観に優れた建具1を提供することが可能である。上記実施形態においては、切欠部19cを棒状嵌合部材30及び規制部材55の幅よりも広く形成させる構成としたが、切欠部19cに棒状嵌合部材30及び規制部材55を回転させながら挿入する場合には、必ずしも幅が広くなくとも良い。
【0052】
ところで、枠側溝部19の固定障子20にて覆われない部位は、そのまま露出すると美観を損なうとともに、埃や汚れが取り除きにくいので、枠側溝部19において固定障子20にて覆われない部位を閉塞部材28にて塞ぐことにより美観に優れ、またメンテナンス性に優れたた建具1を提供することが可能である。上記実施形態においては、上枠12および左縦枠14の枠側溝部19にも閉塞部材28を取り付けた構成としたが、上枠12および左縦枠14の枠側溝部19には、必ずしも閉塞部材28が取り付けられていなくとも良い。
【0053】
また、切欠部19cが固定障子20にて覆われない位置に設けられている場合には、閉塞部材28にて切欠部19cが覆われることとしても良い。この場合には、切欠部19cが固定障子20に覆われなくとも閉塞部材28に覆われるので、切欠部19cが露出せず、美観に優れた建具1を提供することが可能である。
【0054】
次に、本実施形態の建具1の取付方法の一例を図13を参照しつつ説明する。
まず、枠体11を躯体に取り付け、枠体11の角部、すなわち、固定障子20が取り付けられる側の縦枠(ここでは右縦枠)15と上枠12及び下枠13の枠側溝部19に、図13(a)に示すように鉤状嵌合部材50を嵌合する。このとき、鉤状嵌合部材50は、上枠12または下枠13の枠側溝部19に嵌合した後、上枠12または下枠13に沿ってスライドさせて右縦枠15に嵌合しても、右縦枠15に嵌合させた後、右縦枠15に沿ってスライドさせて上枠12または下枠13に嵌合しても、いずれの手順であってもよく、また、右縦枠15と上枠12または下枠13の枠側溝部19に一挙に嵌合してもよい。
【0055】
次に、右縦枠15に棒状嵌合部材30を右縦枠15に設けられた切欠部19cから枠側溝部19に挿入し、右縦枠15に沿ってスライドさせ位置決め孔19dに挿入して配置する。図13の例では、右縦枠15に嵌合される棒状嵌合部材30を1つとしたが、右縦枠15の長さに応じて適宜備えても良い。
【0056】
次に、上枠12及び下枠13に、規制部材55を仮配置する。規制部材55は、固定障子20が所定の位置に配置された後に固定される部材であるが、固定障子20が取り付けられた後には、切欠部19cが固定障子20にて覆われてしまうため、予め固定障子20が取り付けられる領域から外れた位置に仮配置しておく。このため、規制部材55を上枠12または下枠13の切欠部19cから枠側溝部19に挿入し、上枠12または下枠13に沿ってスライドさせて左縦枠14側に仮配置する。
【0057】
そして、上枠12及び下枠13にも、棒状嵌合部材30を配置する。このとき、棒状嵌合部材30を上枠12及び下枠13に設けられた切欠部19cから枠側溝部19に挿入し、上枠12及び下枠13に沿ってスライドさせ位置決め孔19dに挿入して配置する。この場合には、所定の位置に配置された固定障子20の下に棒状嵌合部材30が位置するように位置決め孔19dが形成されている。
【0058】
その後、図13(b)に示すように、固定障子20を、枠体11の内側であって既に上枠12及び下枠13に配置された棒状嵌合部材30と、上枠12及び下枠13とに仮配置された規制部材55との間から本来固定障子20が配置されるべき位置に移動させることにより、固定障子20の框側溝部25に、上枠12、下枠13、右縦枠15に配置された棒状嵌合部材30及び枠体11の角部に配置された鉤状嵌合部材50を嵌合させる。すなわち、固定障子20が固定される領域と異なる領域から見付け方向に、固定障子20を移動させることにより棒状嵌合部材30及び鉤状嵌合部材50を框側溝部25に嵌合させて固定障子20を本来固定されるべき所定の位置に配置する。この状態で、固定障子20は枠体11に保持される。
【0059】
そして、図13(c)に示すように、予め仮配置しておいた規制部材55を、上枠12及び下枠13に沿ってスライドさせ、規制部材55が有する本体嵌合部56を框側溝部25に嵌合させるとともに、規制部57を召し合わせ框23の左側の側面に当接させピン57bを召し合わせ框の孔に挿入させる。その後、規制部材55の固定用貫通孔58にビスを斜めに貫通させ上枠12及び下枠13に螺合して規制部材55を固定する。ビスにて規制部材55を固定した後に、図13(d)に示すように、規制部材55の左側の面を覆うようなカバー部材70を、規制部材55の係止部57cに係合することにより、ビス及び固定用貫通孔58を覆い隠す。
【0060】
その後に、室内側から枠体11と框体20aとを規制部材55と重なる位置でビスにて斜めに螺合する。このビスは枠体11側から挿入されて移動規制部材55に至る位置より十分に長いため、框体20aを貫通して規制部材55の規制用貫通孔59をも貫通して枠体11に螺合される。これにより、規制部材55を固定しているビスが外されたとしても、規制部材55の見付け方向への移動は規制されている。最後に、固定障子20より室内側の領域に移動障子5を配置する。
【0061】
本実施形態の建具1の取付方法によれば、框側溝部25及び枠側溝部19にそれぞれ嵌合される棒状嵌合部材30は、枠体11に嵌合されると枠体11から突出するが、固定障子20を、当該固定障子20が固定される領域と異なる領域から見付け方向に移動させて棒状嵌合部材30と嵌合させるので、枠体11に嵌合された棒状嵌合部材30に固定障子20を容易に嵌合させることが可能である。また、取り付けられている固定障子20を異なる領域に移動させることにより、固定障子20と棒状嵌合部材30との嵌合を容易に解除することが可能である。このため、容易に着脱可能な固定障子20を有する建具1を提供することが可能である。
【0062】
また、框側溝部25と枠側溝部19とに嵌合されるとともに、固定障子20を構成する召し合わせ框23の側面23aに当接される規制部材55が上枠12及び下枠13に固定されるので、固定障子20の見付け方向の移動を確実に規制することが可能である。
【0063】
また、棒状嵌合部材30を、右縦枠15と、上枠12及び下枠13との決められた位置に嵌合し、固定障子20を、上枠12及び下枠13の棒状嵌合部材30が嵌合されていない領域から見付け方向に移動させて棒状嵌合部材30と嵌合させたので、棒状嵌合部材30を右縦枠15と上枠12及び下枠13とに嵌合した後に固定障子20を移動させるだけでより容易に固定障子20と棒状嵌合部材30とを嵌合させることが可能である。
【0064】
次に、本実施形態の建具1の取付方法の変形例を、図14を参照しつつ説明する。
変形例の建具の取付方法は、上枠12及び下枠13に規制部材55を仮配置するまでは、上記実施形態と同じである。
【0065】
上枠12及び下枠13に規制部材55を仮配置した後に、図14(a)に示すように、さらに上枠12及び下枠13に、棒状嵌合部材30を仮配置する。このとき、棒状嵌合部材30を規制部材55と同様に上枠12または下枠13の切欠部19cから枠側溝部19に挿入し、上枠12または下枠13に沿ってスライドさせて左縦枠14側に仮配置する。
【0066】
その後、図14(a)に示すように、固定障子20を、枠体11の内側であって既に右縦枠15に配置された棒状嵌合部材30及び鉤状嵌合部材50と、上枠12及び下枠13とに仮配置された棒状嵌合部材30との間から本来固定障子20が配置されるべき位置に移動させることにより、固定障子20の框側溝部25に、上枠12、下枠13、右縦枠15に配置された棒状嵌合部材30及び鉤状嵌合部材50を嵌合させる。この状態で、固定障子20は、枠体11に保持される。
【0067】
そして、図14(b)に示すように、まず予め仮配置しておいた棒状嵌合部材30を上枠12または下枠13に沿ってスライドさせ上框21または下框22の框側溝部25に嵌合させる。このとき、嵌合された棒状嵌合部材30は固定障子20の左端に位置している。この棒状嵌合部材30の突起31bが位置決め孔19dに挿入される位置まで棒状嵌合部材30をスライドさせるために上枠12と上框21との間、下枠13と下框22との間に薄板状の治具を挿入させ、治具を右方向に移動させることにより棒状嵌合部材30を、突起31bが位置決め孔19dに挿入される位置までスライドさせて位置決めする。
【0068】
その後の規制部材55の固定及び移動障子5の取り付けは、図14(c)、図14(d)に示すように、上記実施形態と同じである。
【0069】
変形例の建具1の取付方法によれば、棒状嵌合部材30を、右縦枠15に嵌合し、上枠12及び下枠13における左縦枠14側にスライド可能に嵌合し、固定障子20を右縦枠15に嵌合させた棒状嵌合部材30と嵌合させて所定の位置に配置した後に、上枠12及び下枠13に嵌合させた棒状嵌合部材30を枠側溝部19に沿ってスライドさせて、固定障子20と嵌合させたので、固定障子20を取り付ける際の移動距離が短いため容易に固定障子20を取り付けることが可能である。
【0070】
上記実施形態及び変形例では、上枠12及び下枠13に棒状嵌合部材30をそれぞれ1つずつ設けた例について説明したが、固定障子20の見付け方向における幅に応じて上枠12及び下枠13に複数の棒状嵌合部材30を設けても良い。この場合には、上枠12または下枠13に配置する複数の棒状嵌合部材30をすべて、固定障子20を取り付ける前に配置しておいても良いし、また、すべての棒状嵌合部材30を予め左縦枠14側に仮配置し、固定障子20を取り付けた後に、上枠12または下枠13に沿ってスライドさせても良い。さらに、上枠12または下枠13に複数設けられる棒状嵌合部材30のうちのいくつかを固定障子20を取り付ける前に配置しておき、残りの棒状嵌合部材30を予め左縦枠14側に仮配置し、固定障子20を取り付けた後に、上枠12または下枠13に沿ってスライドさせても良い。
【0071】
また、規制部材55は、固定障子20が本来取り付けられる位置に配置された後に、左縦枠14と固定障子20の召し合わせ框23との間にて枠体11に嵌合しスライドさせて召し合わせ框に当接させて固定しても良い。
【0072】
上記実施形態においては、固定障子20を枠体11の内側であって固定障子20が固定される領域と異なる領域から見付け方向に固定障子20を移動させて枠体11に取り付ける方法について説明したが、この限りではない。例えば、枠体11に予め嵌合部材を配置しておき、固定障子20を見込み方向に移動させることにより固定障子20と嵌合部材とを嵌合させて固定障子20を取り付けても良い。この場合には、図15に示すような、見込み方向嵌合部材36を用いることが望ましい。見込み方向嵌合部材36は、前記棒状嵌合部材30と枠側被収容部はほぼ同じであるが、棒状嵌合部材30の連結部35より低く形成された見込み方向嵌合部材36の連結部36cから框側溝部側に突出する框側突出片36aが設けられている点で相違する。以下の説明においては、上記実施形態と同様または相当する構成部品には、同じ符号を付してその説明を省略または簡略化する。
【0073】
具体的には、見込み方向嵌合部材36の枠側被収容部36bには、連結部36cの室内側の部位から室内側に向かって框側溝部25の底25cに順次近づくような傾斜を有する板状の框側突出片36aが設けられている。この框側突出片36aは弾性により弾性変形可能である。
【0074】
上記のような見込み方向嵌合部材36を上枠12、下枠13、右縦枠15のそれぞれ切欠部19cから枠側溝部19に挿入しスライドさせて位置決め孔19dに突起31bを嵌合させて見込み方向嵌合部材36を所定の位置に配置しておく。そして固定障子20を見込み方向に移動させて枠体11の内側に配置する際に、框体20aの室内側の部位が框側突出片36aを枠側被収容部36b側に押圧しつつ枠体11の内側に進入する。その後、固定障子20が見込み方向の所定の位置に移動した際に、押圧されて弾性変形していた框側突出片36aが弾性により起き上がって框側溝部25に入り込んで嵌合され固定障子20が保持される。
【0075】
このような建具1の取付方法によれば、見込み方向嵌合部材36を右縦枠15と上枠12及び下枠13とに嵌合した後に固定障子20を見込み方向に移動させる僅かな移動だけでさらに容易に固定障子20を見込み方向嵌合部材36に嵌合させて固定障子20を取り付けることが可能である。
【0076】
本実施形態では、見込み方向嵌合部材36を上記実施形態の棒状嵌合部材30と同様に切欠部19cから枠側溝部19に挿入しスライドさせて位置決め孔19dに突起31bを嵌合させたが、例えば、図16に示すように、枠側被収容部36bを枠側溝部19に嵌合させてビス72にて枠体11に固定しても良い。
【0077】
また、上記実施形態においては、移動障子5が左右方向に移動可能な片引き窓用の建具を例に挙げて説明したが、図17に示すような開口枠内を移動障子が垂直方向に移動可能に設けられた上げ下げ窓であっても構わない。この場合には、固定障子20は、上枠12及び左右の縦枠14、15に嵌合された棒状嵌合部材30及び鉤状嵌合部材50と框体20aとが嵌合され、固定障子20の下端側に規制部材55が固定されている。
【0078】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本実施形態に係る建具を室外側からみた外観図である。
【図2】本実施形態に係る建具の平断面図である。
【図3】本実施形態に係る建具の縦断面図である。
【図4】枠体の内周面部を示す平面図である。
【図5】棒状嵌合部材を示す斜視図である。
【図6】棒状嵌合部材の正面図である。
【図7】棒状嵌合部材と枠体及び固定障子との嵌合状態を説明するための図である。
【図8】鉤状嵌合部材の正面図である。
【図9】鉤状嵌合部材の側面図である。
【図10】鉤状嵌合部材と枠体及び固定障子との嵌合状態を説明するための図である。
【図11】規制部材を示す斜視図である。
【図12】規制部材を規制用貫通孔の貫通方向から見た図である。
【図13】建具の取付方法を説明するための図である。
【図14】建具の取付方法の変形例を説明するための図である。
【図15】見込み方向嵌合部材を示す斜視図である。
【図16】見込み方向嵌合部材の変形例を示す斜視図である。
【図17】上げ下げ窓を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 建具、5 移動障子、11 枠体、12 上枠、13 下枠、
14 左縦枠、15 右縦枠、17b 内周面部、19 枠側溝部、
19b 突片、19c 切欠部、19d 位置決め孔、20 固定障子、
20a 框体、20c 外周面、21 上框、22 下框、
23 召し合わせ框(縦框)、23a 側面、25 框側溝部、
25b 突片、28 閉塞部材、30 棒状嵌合部材、31b 突起、
36 見込み方向嵌合部材、50 鉤状嵌合部材、55 規制部材、
59 規制用貫通孔、72 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内外を連通する開口に設けられる枠体と、
前記枠体内に固定され前記開口の一部を閉塞する固定障子と、
前記開口において前記固定障子にて閉塞されていない領域を閉塞可能であり、前記枠体に沿って移動可能な移動障子と、を有し、
前記固定障子が有する框の外周部には外側に向かって開放された框側溝部を有し、
前記枠体の内周部には内側に向かって開放された枠側溝部を有し、
前記固定障子は、前記框側溝部と前記枠側溝部とにそれぞれ嵌合される嵌合部材にて見込み方向の移動が規制されていることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記固定障子は、前記枠体を構成する縦枠に嵌合された前記嵌合部材と、
前記框側溝部と前記枠側溝部とに嵌合されるとともに、前記固定障子を構成する召し合わせ框の側面に当接される規制部材と、にて見付け方向の移動が規制されることを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記嵌合部材は、前記枠体側に向かって突出する突起を有し、
前記枠体は、前記突起が挿入される孔部を有し、
前記嵌合部材は、前記孔部に前記突起が挿入されて位置決めされることを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の建具であって、
前記框側溝部及び前記枠側溝部の開放された端部には、見込み方向の幅が前記框側溝部及び前記枠側溝部の内部の見込み方向の幅より狭くなるような突片が設けられており、
前記嵌合部材は、前記框側溝部の内部または前記枠側溝部の内部に挿入されて、前記突片に係合されて、前記固定障子と前記枠体とを連結することを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の建具であって、
前記枠側溝部の前記固定障子にて覆われない部位を塞ぐ閉塞部材を有することを特徴とする建具。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5に記載の建具であって、
前記枠体は、前記突片が切り欠かれた切欠部を有しており、
前記嵌合部材は、前記切欠部から前記枠側溝部に挿入されて見付け方向に移動されることを特徴とする建具。
【請求項7】
請求項6に記載の建具であって、
前記切欠部は、固定された前記固定障子又は前記閉塞部材にて覆われることを特徴とする建具。
【請求項8】
室内外を連通する開口に設けられ縦枠と横枠とが枠組みされた枠体と、
前記枠体内に固定され前記開口の一部を閉塞する固定障子と、
前記開口における前記固定障子にて閉塞されていない領域を閉塞可能であり、見付け方向に沿って移動可能な移動障子と、を有する建具の取付方法であって、
前記固定障子が有する框の外周部に設けられ外側に向かって開放された框側溝部及び前記枠体の内周部に設けられ内側に向かって開放された枠側溝部にそれぞれ嵌合される嵌合部材を、前記枠体に嵌合すること、
前記固定障子を、前記枠体の内側であって前記固定障子が固定される領域と異なる領域から見付け方向に移動させることにより前記嵌合部材と嵌合させて所定の位置に配置すること、
を有することを特徴とする建具の取付方法。
【請求項9】
請求項8に記載の建具の取付方法であって、
前記框側溝部と前記枠側溝部とに嵌合されるとともに、前記固定障子を構成する召し合わせ框の側面に当接される規制部材を、前記横枠に固定して当該固定障子の見付け方向の移動を規制すること、
を有することを特徴とする建具の取付方法。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の建具の取付方法であって、
前記嵌合部材を、見付け方向において間隔を隔てて設けられた一対の前記縦枠のうちの一方の前記縦枠に嵌合し、前記横枠における他方の前記縦枠側にスライド可能に嵌合し、
前記固定障子を前記縦枠に嵌合させた前記嵌合部材と嵌合させて前記所定の位置に配置した後に、前記横枠に嵌合させた前記嵌合部材を前記枠側溝部に沿ってスライドさせて、前記固定障子と嵌合させることを特徴とする建具の取付方法。
【請求項11】
請求項8または請求項9に記載の建具の取付方法であって、
前記嵌合部材を、見付け方向において間隔を隔てて設けられた一対の前記縦枠のうちの一方の前記縦枠と、前記横枠との決められた位置に嵌合し、
前記固定障子を、前記横枠の前記嵌合部材が嵌合されていない領域から見付け方向に移動させることにより当該嵌合部材と嵌合させることを特徴とする建具の取付方法。
【請求項12】
室内外を連通する開口に設けられ縦枠と横枠とが枠組みされた枠体と、
前記枠体内に固定され前記開口の一部を閉塞する固定障子と、
前記開口における前記固定障子にて閉塞されていない領域を閉塞可能であり、見付け方向に沿って移動可能な移動障子と、を有する建具の取付方法であって、
前記固定障子が有する框の外周部に設けられ外側に向かって開放された框側溝部及び前記枠体の内周部に設けられ内側に向かって開放された枠側溝部にそれぞれ嵌合される嵌合部材を、見付け方向において間隔を隔てて設けられた一対の前記縦枠のうちの一方の前記縦枠と、前記横枠との決められた位置に嵌合し、
前記固定障子を、見込み方向に移動させて前記嵌合部材と嵌合させることを特徴とする建具の取付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−53654(P2010−53654A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222407(P2008−222407)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】