説明

建具

【課題】 重量の軽量化を図るとともに、不燃性を備えさせ、かつ立体的な模様によって装飾性に優れた建具を提供する。
【解決手段】 周囲縁4によって固定される芯材6の表面に化粧層7を設けた建具であって、前記芯材6は多孔質となした発泡体から形成され、この芯材の表面に無機質石灰系結合材からなる化粧材を塗付けて前記化粧層7となしたことを特徴とするので、芯材6と化粧層7の二層構造であり、かつ芯材6が多孔質であるため、接着剤を使用しなくても化粧層7の接着が良好であるため、軽量化を図ることができる。また、化粧層7は無機質であるため不燃性を備えさせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建築物に使用する襖、障子、扉、衝立あるいは間仕切パネル等の建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物に使用する建具は、発泡スチロールからなる基材の両面に、金属箔、チップボード、襖紙などを積層状にした表面化粧層を貼り合わせた構造のものが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−119358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の襖においては、積層する各層の材質が異質であることにより、接着結合度を上げ、強度を高めるために接着剤の使用量が多くなり、重量が増加する。また、表面化粧層の襖紙は二次元的な模様のみしか付与することができないため、装飾性に乏しかった。
【0005】
本発明は、重量の軽量化を図るとともに、不燃性を備えさせ、かつ立体的な模様によって装飾性に優れた建具を提供する。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
本発明の建具は、周囲縁によって固定される芯材の表面に化粧層を設けた建具であって、前記芯材は多孔質となした発泡体から形成され、この芯材の表面に無機質石灰系結合材からなる化粧材を塗付けて前記化粧層となしたことを特徴とする。
【0007】
上記のように構成したことにより、芯材と化粧層の二層構造であり、かつ芯材が多孔質であるため、接着剤を使用しなくても化粧層の接着が良好であるため、軽量化を図ることができる。また、化粧層は無機質であるため不燃性を備えさせることができる。
【0008】
また、芯材は、炭酸カルシウムを主成分とした無機質材を発泡させて、独立空孔によって多孔質状に形成したので、芯材の表面の接合個所において、炭酸カルシウム膜によって形成される独立空孔内に化粧材が入り込むことによって、釘又はくさびのような働きによるアンカー効果によって互いに強固に接合されるため、耐久性が高くなる。
【0009】
また、無機質石灰系結合材からなる化粧材は漆喰、ドロマイトプラスターあるいは生石灰クリームとなしたので、化粧材が硬化することによって芯材と同化して一体化するので、さらに接着結合が安定する。また、化粧材を顔料によって着色させることができ、また、化粧層の表面を凹凸状に形成することができるので、デザイン性が広がり、装飾性の高い建具を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例を参照して説明する。図1は、本発明に係る建具の一例としての襖を示す斜視図である。図2は、図1における襖のA―A断面図である。図1において、この建具1は、住宅や建築物の開口部に取り付けられ、その開口部を開閉することができる設備であり、本例では襖、障子、扉、衝立あるいは間仕切パネル等の一例として、襖の形態で説明する。
【0011】
この襖は、左右両側で上下に延びる竪縁2a、2bと上下両側で左右に延びる横縁3a、3bとで四角枠状に形成された木材、金属、プラスチック等からなる周囲縁4と、この周囲縁4の内側で固定される襖本体5とで構成されている。なお、襖の略中央における左右方向の一方側には、襖を開閉する際、手を掛ける部分としての引手5aが設けられている。
【0012】
図2に示すように、襖本体5は周囲縁4の内側に嵌めこまれるように方形板状に形成される芯材6と、この芯材6の表面に設けられる化粧層7(本例では両面であるも片面でもよい)とによって構成される。この化粧層7は、無機質石灰系結合材である化粧材として漆喰を用いている。この漆喰は消石灰と、水、糊剤、すさ類を混練している。そして、糊剤としては、海藻糊、メチルセルロースなどが挙げられる。また、すさ類としては、わら、麻、紙、ガラス繊維などが挙げられる。また、芯材6の表面に化粧層7を塗布する左官工法としては、鏝仕上げ、刷毛塗り仕上げ、ローラー仕上げ、吹き付け仕上げなどが挙げられる。この工法によって設けられた化粧層7の表面には、種々の模様、文字など、得ようとする凹凸模様7a(図3参照)を形成することができる。
【0013】
また、芯材6は多孔質となした発泡体から形成され、この発泡体は、炭酸カルシウムを主成分とした無機質材に発泡剤を混合した混合物を発泡させて、独立空孔P(図3参照)によって多孔質状に形成している。発泡体は、無機質充填材を基材とし、これに塩化ビニル樹脂、発泡剤や有機溶剤等の添加剤を加えて混練し、更に、加熱発泡させることにより形成される断熱材である。
【0014】
この様に、各種左官工法によって芯材6の表面に塗られた化粧材は、この化粧材と芯材6の表面の接合個所において、図3に示すように、芯材6の表層部位に形成される炭酸カルシウム膜によって形成される独立空孔P内に漆喰が入り込むことによって、釘又はくさびのような働きによるアンカー効果によって互いに強固に接合されるため、耐久性が高くなる。また、漆喰は硬化することによって芯材6と同化して一体化する。
【0015】
なお、無機質系充填材の他の例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸マグネシウム等の炭酸化合物、石膏、硫酸アルミニウム等の結晶水を有する化合物等が挙げられる。
【0016】
本実施の形態において、芯材6は、所定の厚みを持ち板状に形成された炭酸カルシウム系発泡板である。芯材6は、無機質系素材の比率が高いので耐候性が高く、また、所定の素材を用いた炭酸カルシウム系発泡板にあっては、不燃材としての性質も有する。この様な芯材6として、具体的には、商品名;「ロックセルボードFT−101」(フジ化成工業株式会社製)を挙げることができる。
【0017】
なお、上記実施の形態では建具1として、襖の形態で説明したが、他の建具として、図4に示すように、襖本体5の一部を切り取って、その部分に障子8を組み込んだものとすることができる。なお、図示しないが、障子、扉、衝立あるいは間仕切パネル等にも、芯材6の表面に化粧層7を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る建具の一例としての襖を示す斜視図。
【図2】図1における襖のA―A断面図。
【図3】化粧材と芯材の接合個所の模式図。
【図4】建具の他の実施形態を示す図。
【符号の説明】
【0019】
1 建具
4 周囲縁
6 芯材
7 化粧層
7a 凹凸模様

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲縁によって固定される芯材の表面に化粧層を設けた建具であって、
前記芯材は多孔質となした発泡体から形成され、前記芯材の表面に無機質石灰系結合材からなる化粧材を塗付けて前記化粧層となしたことを特徴とする建具。
【請求項2】
前記芯材は、炭酸カルシウムを主成分とした無機質材を発泡させて、独立空孔によって多孔質状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記無機質石灰系結合材は漆喰、ドロマイトプラスターあるいは生石灰クリームからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の建具。
【請求項4】
前記化粧材に顔料を混合して着色させたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載の建具。
【請求項5】
前記化粧層の表面を凹凸状に形成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1に記載の建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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