説明

建具

【課題】ビス止めすることなく、高い剛性を備えて横框と縦框とが強固に接合された障子を有する建具を提供する。
【解決手段】中空の部材でなる複数の框が矩形状に接合された框体を有する建具であって、前記框体は、互いに接合されて角部を形成する2本の框のうちの一方の框の小口を覆うための端部キャップが、前記一方の框内に長手方向に沿って挿入されていることにより、前記他方の框の長手方向における前記一方の框と前記端部キャップとの相対移動が規制されており、他方の框に、当該他方の框の長手方向から前記一方の框が挿入されて、前記端部キャップに前記他方の框が係止されて前記他方の框の長手方向における前記端部キャップと前記他方の框との相対移動が規制されているとともに、前記一方の框と前記他方の框とが係合して前記他方の框の長手方向における前記一方の框と前記他方の框との相対移動が規制されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の框が矩形状に接合された框体を有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の框が矩形状に接合された框体を有する建具としては、上下框及び左右の縦框とが枠組みされた障子を有する建具が知られている。このような建具の枠組みされている框は、上下框のような横框と縦框とを接合するコーナーブロックに設けられた嵌合用突部が、横框と縦框との中空の部位にそれぞれ嵌合されて接合されている(例えば、特許文献1参照)。また、より強固に接合する場合には、横框と縦框とをコーナーブロックを介してビス止めしたり、または、横框と縦框とを直接ビス止めしている。
【特許文献1】実公平1―39356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の建具のように、横框と縦框とがコーナーブロックに嵌合されているだけで接合されている場合には、横框と縦框とが固定されていないため横框と縦框とが外れる虞があるとともに、枠組みされた框の剛性が低い虞がある。また、剛性を高め、横框と縦框とが外れないようにビス止めすると、製造に手間がかかり煩雑であるという課題があった。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ビス止めすることなく、高い剛性を備えて横框と縦框とが強固に接合された障子を有する建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために本発明の建具は、複数の框が矩形状に接合された框体を有する建具であって、前記框体は、互いに接合されて角部を形成する2本の框のうちの一方の框の小口を覆うための端部キャップが、前記一方の框内に長手方向に沿って挿入されていることにより、前記他方の框の長手方向における前記一方の框と前記端部キャップとの相対移動が規制されており、前記一方の框が、前記他方の框に、当該他方の框の長手方向から挿入されて、前記端部キャップに前記他方の框が係止されて前記他方の框の長手方向における前記端部キャップと前記他方の框との相対移動が規制されているとともに、前記一方の框と前記他方の框とが係合して前記他方の框の長手方向における前記一方の框と前記他方の框との相対移動が規制されていることを特徴とする建具である。
【0006】
このような建具によれば、一方の框に端部キャップを挿入し、端部キャップが挿入された一方の框を、他方の框に、当該他方の框の長手方向から挿入するだけで、他方の框の長手方向における相対移動を規制することが可能である。また、端部キャップに他方の框が係止されるので、単なる嵌合により接合された框体より、強固に接合することが可能であり、矩形状に形成された框体の剛性を高めることが可能である。
【0007】
かかる建具であって、前記端部キャップは、前記一方の框に長手方向に沿って挿入される挿入部と、前記挿入部が挿入されて前記框体の外周側となる前記小口の外周側部位に当接されるとともに当該外周側部位を覆う小口覆い部と、前記小口覆い部より前記框体の内周側にて当該小口より外側に突出して他方の框を係止するための係止部と、を有し、前記他方の框は、前記端部キャップが挿入された前記一方の框の前記小口を前記端部キャップとともに覆う端部覆い部と、前記端部覆い部に形成され、前記係止部が係止される係止受部と、を有し、前記他方の框に前記一方の框が挿入された際に、前記他方の框の先端が前記小口覆い部に当接されるとともに前記係止受部に前記係止部が係止されることが望ましい。
【0008】
このような建具によれば、端部キャップが挿入された一方の框を他方の框に挿入するだけで、一方の框の小口を覆うことが可能である。また、一方の框が他方の框に挿入された際、すなわち他方の框が一方の框の小口を覆った状態では、端部キャップに設けられた係止部が、端部覆い部に形成された係止受部に挿入されて他方の框が係止されているので、他方の框の長手方向において一方の框に対して他方の框が外れないように接合することが可能である。
【0009】
かかる建具であって、前記係止部は、前記端部キャップの弾性変形により、前記一方の框の長手方向に沿って前記一方の框の内方側に変位可能に形成され、前記他方の框に前記一方の框が挿入された際に、前記他方の框における端部覆い部の係止受部より先端側の部位は、前記一方の框の挿入方向への移動が前記係止部によって規制されていることが望ましい。
【0010】
このような建具によれば、係止部が弾性変形により一方の框の内方側に変位可能なので、一方の框を他方の框に挿入する際には、他方の框の先端側が係止部に接触することにより係止部を一方の框の内方に変位させ、係止受部が係止部に至る際に係止部が係止受部に挿入されることにより係止部を小口の外側に復元させて、他方の框を端部キャップに係止することが可能である。このため、単に、一方の框を他方の框に挿入するだけで、係止受部に係止部を挿入させて容易に係合させることが可能であり、一方の框と他方の框とを容易に接合することが可能である。このとき、他方の框における端部覆い部の係止受部より先端側の部位は、一方の框の挿入方向への移動が係止部によって規制されているため、端部キャップと他方の框との接合状態を強固に維持することが可能である。
【0011】
かかる建具であって、前記一方の框には、前記框体の内周側に切欠部を有し、前記他方の框には、前記他方の框に当該一方の框が挿入された際に前記切欠部に係合して、前記一方の框の長手方向における前記一方の框と前記他方の框との相対移動を規制する規制片を有することが望ましい。
【0012】
このような建具によれば、他方の框に一方の框を係合させるだけで、一方の框の他方の框に対する一方の框の長手方向への相対移動を容易に規制することが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ビス止めすることなく、高い剛性を備えて横框と縦框とが強固に接合された障子を有する建具を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について、図面を参照して説明する。
本実施形態の建具1は、図1に示すように、室内外を仕切る壁部に設けられた枠体3に見付け方向にスライドして開閉自在に設けられた障子5を有し、障子5が開放された開口を覆う網戸10を備えている。ここでは、本発明の特徴部分を、上記網戸10にて詳述する。
【0015】
網戸10は、押出成形材でなるアルミニウム製の2本の横框20及び2本の縦框30が矩形状に枠組みされた框体11と、框体11に囲まれた空間に張り付けたれた網材12とを有している。
【0016】
以下の説明では、建具を室外側から見たときに上下となる方向を上下方向、左右となる方向を見付け方向、屋内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、網戸10単体の説明であっても、枠体3に取り付けられた状態に基づいて、上下方向、見付け方向、見込み方向、及び、室内側及び室外側として示す。また、矩形状に枠組みされた框体11に囲まれた空間側を内方または内側とし、空間と反対側の框体11の外周側を外方または外側として示す。
【0017】
横框20には、上框(上側の横框)と下框(下側の横框)とがあるが、上框と下框とは上下が相違するだけで対称な形状をなしているので、ここでは図2〜図4に示すような上側の横框20を例に挙げて説明する。
【0018】
上側の横框20は、見込み方向に対面する2つの壁部となる室内側横壁部21及び室外側横壁部22と、室内側横壁部21の下端から室外方向に延出されて室外側横壁部22に繋がった底板部23と、室外側横壁部22の底板部23より下方に延出されている延出部22eの下端から室内側に突出された下板部24とを有している。
【0019】
室内側横壁部21及び室外側横壁部22と底板部23とは、断面が略U字状をなすような上方が開放された溝状に形成されている。室内側横壁部21の上端部は室内側に、また、室外側横壁部22の上端部は室外側にそれぞれ延出されており、縦框30に挿入された際に縦框30の上端部が当接される当接部21a、22aが設けられている。ここで、横框20においては、当接部21a、22aが設けられている側が、框体11として枠組みされた際に框体11の外周側となり、下板部24が設けられている側が、框体11の内周側となる。
【0020】
また、室内側横壁部21及び室外側横壁部22の対向する内面側には、上下方向の中央より上部側にそれぞれ対向する側に向かって突出された突出部21b、22bが設けられている。室内側横壁部21、室外側横壁部22、底板部23の内側の空間には、後述する端部キャップ50が嵌合される。また、室内側横壁部21と室外側横壁部22とに設けられた突出部21b、22bは、端部キャップ50が横框20に挿入される際に端部キャップ50を案内するガイドとなる。
【0021】
底板部23と室外側横壁部22の延出部22eと下板部24とは、断面が略U字状をなすような室内側に開放された溝状に形成されている。この溝状の部位には、網材12を取り付けるための網戸ロープ(不図示)が嵌合される。このため、下板部24の室内側の端部には、網材12を取り付けるための網戸ロープが外れないように、底板部23側に突出する鉤部24aが設けられている。
【0022】
下板部24には、長手方向の両端部近傍に縦框30に挿入された際に、縦框30に設けられた規制片34aと係合する切欠部24bがそれぞれ設けられている。
【0023】
縦框30には、左側の縦框と右側の縦框とがあるが、左側の縦框と右側の縦框とは左右が相違するだけで対称な形状をなしているので、ここでは図2〜図4に示すような左側の縦框を例に挙げて説明する。
【0024】
左側の縦框30は、水平断面がほぼ長方形状をなし、見込み方向に対面する2つの壁部となる室内側縦壁部31及び室外側縦壁部32と、見付け方向に対向する2つの壁部となる外周側壁部33及び内周側壁部34と、内周側壁部34における室外側縦壁部32より僅かに室内側から框体における内方に向かって延出された縦框延出部35と、縦框延出部35の先端から室内側に突出された側板部36とを有している。ここで、縦框30においては、外周側壁部33が設けられている側が、框体11として枠組みされた際に框体11の外周側となり、内周側壁部34が設けられている側が、框体11の内周側となる。
【0025】
室内側縦壁部31と室外側縦壁部32との間隔は、横框20の室内側横壁部21と室外側横壁部22との間隔より僅かに広く形成されている。また、内周側壁部34の長手方向における両端部は、縦框30に横框20の端部が挿入されるように切除されている。具体的には、横框20の端部の室内側横壁部21及び室外側横壁部22が、縦框30の室内側縦壁部31及び室外側縦壁部32に沿うように挿入された際に、横框20の底板部23の下面から、縦框30の上端が当接される当接部21a、22aの下面までの距離と同じ長さに相当する領域と、室外側横壁部22の切欠部24bとして切り欠かれている部分の延出部22eが入り込む領域とが切除されている。ここで、縦框30において室外側横壁部22の延出部22eが入り込む領域の内周側の切除されない部位が、縦框30に横框20が挿入された際に切欠部24b係合して、横框20の長手方向における縦框30に対する横框20の相対移動を規制する規制片34aである。
【0026】
外周側壁部33の長手方向における両端部の近傍には、縦框30に横框20が挿入された際に、横框20に挿入されている端部キャップ50の係止部56が係止される係止受部としての係止孔33aが設けられている。
【0027】
側板部36と縦框延出部35と内周側壁部34とは、断面が略U字状をなすような室内側に開放された溝状に形成されている。この溝状の部位には、網材12を取り付けるための網戸ロープ(不図示)が嵌合される。このため、側板部36の室内側の端部には、網材12を取り付けるための網戸ロープが外れないように、内周側壁部34側に突出する鉤部36aが設けられている。縦框30の側板部36、縦框延出部35、内周側壁部34でなる溝状の部位と、横框20の底板部23、室外側横壁部22の延出部22e、下板部24でなる溝状の部位とは周方向に繋がるように形成されている。
【0028】
端部キャップ50は樹脂製の成形部材であり、図3および図4に示すように横框20に対して横框20の長手方向に沿って挿入される挿入部51と、挿入部51が挿入されて横框20の外周側となる小口20aの外周側部位となる当接部21a、22aの端(横框20の長手方向端部)に当接されるとともに小口20aの外周側部位(横框20の長手方向端部側部位)を覆う小口覆い部55と、小口覆い部55より横框20の内周側にて小口20aより長手方向の外側に突出して縦框30を係止するための係止部56と、係止部56を横框20の長手方向に変位可能に支持する腕部57と、を有している。
【0029】
挿入部51は、横框20の室内側横壁部21及び室外側横壁部22に設けられた突出部21b、22bより框体11の外周側(上側)の領域に挿入される外周側挿入部52と、突出部21b、22bより框体11の内周側(下側)の領域に挿入される内周側挿入部53と、外周側挿入部52と内周側挿入部53とを連結している連結部54とを有している。
【0030】
外周側挿入部52及び内周側挿入部53の上下の端部側の部位は、見込み方向の幅が、横框20の室内側横壁部21及び室外側横壁部22の間隔より僅かに広く形成されており、端部キャップ50が横框20の長手方向に沿って挿入されると、端部キャップ50が横框20に嵌合されるように構成されている。外周側挿入部52と内周側挿入部53との間に配置される連結部54は、外周側挿入部52と内周側挿入部53との間隔が、室内側横壁部21及び室外側横壁部22に設けられた突出部21b、22bの上下方向の幅より僅かに広く形成されており、連結部54の見込み方向の幅が、室内側横壁部21及び室外側横壁部22に設けられた突出部21b、22bの見込み方向の幅より狭く形成されている。このため、外周側挿入部52と内周側挿入部53との間には、室内側と室外側とにそれぞれ長手方向に沿うスリット51aが形成されている。
【0031】
小口覆い部55は、外周側挿入部52の外周端側であって、横框20の長手方向の一方側に外周側挿入部52より突出させて設けられている。小口覆い部55は、端部キャップ50が横框20に挿入された際に横框20の室内側横壁部21及び室外側横壁部22に設けられた当接部21a、22aに当接される部位が見込み方向に繋がった状態に形成されている。このため、横框20の両端部に端部キャップ50がそれぞれ挿入されると、2つの端部キャップ50の小口覆い部55と横框20の当接部21a、22aとが横框20の上端部にて繋がって突出した状態となる。このとき、端部キャップ50が横框20に挿入された際に、小口覆い部55が横框20から突出する量、及び、当接部21a、22aが室内側横壁部21及び室外側横壁部22から突出する量は、それぞれが当接する縦框30の各壁部の肉厚分以上、つまり、小口覆い部55は外周側壁部33の肉厚分以上、当接部21aは室内側縦壁部31の肉厚分以上、当接部22aは室外側縦壁部32の肉厚分以上である。
【0032】
係止部56は、内周側挿入部53の内周側であって、長手方向において小口覆い部55が設けられている側の端部から延出された腕部57に支持されている。腕部57は、横框20の長手方向に延出された端部から小口覆い部55側に延出されており、その先端に係止部56が一体に形成されている。係止部56は、縦框30に設けられた係止孔33aより僅かに小さく形成されており、腕部57より横框20の長手方向に突出され、突出された表面56aは小口覆い部55とほぼ同じ位置まで突出されている。係止部56は、腕部57が弾性変形することにより、突出された位置から挿入部51側に変位可能に形成されている。
【0033】
網戸10の框体11の組み立ては、2本の横框20の両端にそれぞれ端部キャップ50を挿入した後に、端部キャップ50が挿入された横框20を2本の縦框30に挿入することにより、矩形状に組み立てられる。框体11の四隅における横框20と縦框30との接合構造は同じなので、ここでは図2のように、室内側から見て左上の角部を形成する上側の横框20と左の縦框30との接合部の例について説明する。
【0034】
上側の横框(以下、上框という)20と左の縦框(以下、左縦框という)30とを接合する場合には、まず、上框20に端部キャップ50を長手方向に沿って挿入する。このとき、端部キャップ50のスリット51aに入り込む上框20の室内側横壁部21及び室外側横壁部22に設けられた突出部21b、22bによってガイドされつつ挿入部51が圧入される。上框20に挿入された端部キャップ50は、小口覆い部55が上框20の小口20aに当接される位置まで挿入される。このとき、端部キャップ50の係止部56は、上框20の小口20aより外側に突出している。また、この状態では、上框20の突出部21b、22bが端部キャップ50のスリット51aに入り込むことによって端部キャップ50と上框20との、左縦框30の長手方向における相対移動が規制されている。
【0035】
次に、端部キャップ50が挿入されている上框20を左縦框30に挿入する。このとき、上框20の左側の端部を左縦框30の外周側壁部33の内面に沿わせ、上框20を左縦框30の室内側縦壁部31と室外側縦壁部32との間に左縦框30の長手方向、すなわち左縦框30の上方から挿入する。上框20の左側の端部を左縦框30の外周側壁部33の内面に沿わせ上框20を挿入していくと、左縦框30の上端部が、上框20の小口20aから突出している係止部56に接触する。その後、さらに上框20を挿入していくと、係止部56が左縦框30の外周側壁部33に押圧され、端部キャップ50の腕部57が弾性変形することにより係止部56が上框20の内方側に変位する。そして、左縦框30の上端部が端部キャップ50の小口覆い部55の下部に当接されるとともに、左縦框30の外周側壁部33に設けられた係止孔33aが係止部56の位置に至ると、腕部57の弾性により係止部56が押し戻されて係止孔33aに係止部56が挿入される。このとき、左縦框30に設けられた規制片34aが上框20に設けられた切欠部24bと係合する。
【0036】
この状態で、上框20の小口20aは、端部キャップ50の小口覆い部55と左縦框30の外周側壁部33とにて塞がれ、左縦框30の係止孔33aに端部キャップ50の係止部56が挿入されることにより、端部キャップ50と左縦框30との上下方向(左縦框30の長手方向)における相対移動が規制されている。すなわち、端部キャップ50と上框20との上下方向(左縦框30の長手方向)における相対移動が規制され、端部キャップ50と左縦框30との上下方向における相対移動が規制されているので、上框20と左縦框30との上下方向(左縦框30の長手方向)における相対移動も規制されている。ここで、端部キャップ50が挿入されている上框20を左縦框30に挿入された際に、小口覆い部55とともに上框20の小口20aを覆う、左縦框30の外周側壁部33における端部側の部位が端部覆い部33bの一例である。
【0037】
また、左縦框30に設けられた規制片34aが上框20に設けられた切欠部24bと係合することにより、上框20と左縦框30との、上框20の長手方向における相対移動が規制されている。
【0038】
本実施形態の建具1によれば、框体11の互いに接合されて角部を形成する2本の框のうちの上框20と上框20の小口20aを覆うための端部キャップ50とは、端部キャップ50が上框20に挿入されることより上下方向における相対移動が規制されており、左縦框30と端部キャップ50とは、左縦框30に上下方向から上框20が挿入されて端部キャップ50に左縦框30が係止されて上下方向における相対移動が規制されている。このため、上框20に端部キャップ50を挿入し、端部キャップ50が挿入された上框20を上下方向のいずれかから左縦框30に挿入するだけで、上框20と左縦框30との上下方向における相対移動を規制し、端部キャップ50に左縦框30を係止させることにより相対移動を規制した状態を維持させることが可能である。また、端部キャップ50に左縦框30が係止されるので、単なる嵌合により接合された框体より強固に接合することが可能であり、矩形状に形成された框体11の剛性を高めることが可能である。
【0039】
また、端部キャップ50が挿入された上框20が左縦框30に挿入された状態では、上框20の内周側に設けられた切欠部24bと左縦框30の規制片34aとが係合するので、左縦框30に上框20を係合させるだけで上框20と左縦框30との、上框20の長手方向における相対移動も規制されている。このため、上框20に端部キャップ50を挿入し、端部キャップ50が挿入された上框20を上下方向から左縦框30に挿入するだけで、上框20と左縦框30との、上框20の長手方向における相対移動も容易に規制することが可能である。
【0040】
よって、框体11の角部を形成する上框20と左縦框30をビス止めすることなく、高い剛性を備えて強固に接合された框体11を有する建具1を提供することが可能である。
【0041】
端部キャップ50は、上框20に挿入部51が挿入されると、小口覆い部55が上框20における小口20aの外周側を覆う。また、左縦框30は、端部キャップ50が挿入された上框20が挿入されると、端部覆い部55が上框20の小口20aを端部キャップ50とともに覆う。このため、端部キャップ50が挿入された上框20を左縦框30に挿入するだけで、上框20の小口20aを覆うことが可能である。また、左縦框30に上框20が挿入された際、すなわち左縦框30が上框20の小口20aを覆った状態では、端部キャップ50に設けられた係止部56が、端部覆い部33bに形成された係止孔33aに挿入されて係止されているので、上框20と左縦框30とが上下方向に外れないように接合することが可能である。また、上框20が左縦框30に挿入された際に、左縦框30における端部覆い部33bの係止孔33aより先端側の部位は、下方向(上框20の挿入方向)への移動が係止部56によって規制されているので、端部キャップ50と左縦框30との接合状態を強固に維持することが可能である。このとき、左縦框30の先端は小口覆い部55に当接されるので、図5に示すように、左縦框30の端部覆い部33bの係止孔33aより先端側の部位33cは、小口覆い部55と係止部56とに挟まれる。このため、端部キャップ50と左縦框30とをより強固に接合することが可能である。
【0042】
また、係止部56が腕部57の弾性変形により上框20の内方側に変位可能なので、上框20を左縦框30に挿入する際には、左縦框30の先端側が係止部56に接触した際に係止部56が上框20の内方に変位し、係止部56が係止孔33aに挿入される際に、係止部56が小口20aの外側に復元して、左縦框30を端部キャップ50に係止することが可能である。このため、単に、上框20を左縦框30に挿入するだけで、係止孔33aに係止部56を挿入させて上框20と左縦框30とを容易に接合することが可能である。
【0043】
上記実施形態においては、網戸10を構成する框体11の例について説明したが、これに限らず、障子を構成する框体であっても構わない。また、建具1として引き戸を有する建具を例に説明したが、これに限らず、障子や網戸など、複数の框が矩形状に接合される框体を有する建具であれば構わない。
【0044】
上記実施形態においては、横框20に端部キャップ50を挿入し、端部キャップ50が挿入された横框20を縦框30に挿入する例について説明したが、縦框に端部キャップを挿入し、端部キャップが挿入された縦框を横框に挿入する形態であっても構わない。
【0045】
上記実施形態においては、框体11の見込み方向一方側を室内側、他方側を室外側として説明したが、この室内外の位置関係を逆にしても構わない。例えば、図2〜4において符号21が付与されている横壁部を室外側横壁部とし、符号22が付与されている横壁部を室内側横壁部としても良い。
【0046】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態に係る建具を室外側からみた図である。
【図2】横框と縦框との接合部を示す図である。
【図3】横框と縦框との接合部を横框の小口側から見た分解斜視図である。
【図4】横框と縦框との接合部を図3の反対側から見た分解斜視図である。
【図5】上框と左縦框との接合部を見込む方向の中央部にて切断した切断面を室内側向かって見た断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 建具、10 網戸、11 框体、20 横框(上框)、20a 小口、
24b 切欠部、30 縦框(左縦框)、33a 係止孔、33b 端部覆い部、
34a 規制片、50 端部キャップ、51 挿入部、52 外周側挿入部、
53 内周側挿入部、55 小口覆い部、56 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の框が矩形状に接合された框体を有する建具であって、
前記框体は、互いに接合されて角部を形成する2本の框のうちの一方の框の小口を覆うための端部キャップが、前記一方の框内に長手方向に沿って挿入されていることにより、前記他方の框の長手方向における前記一方の框と前記端部キャップとの相対移動が規制されており、
前記一方の框が、他方の框に、当該他方の框の長手方向から挿入されて、前記端部キャップに前記他方の框が係止されて前記他方の框の長手方向における前記端部キャップと前記他方の框との相対移動が規制されているとともに、前記一方の框と前記他方の框とが係合して前記他方の框の長手方向における前記一方の框と前記他方の框との相対移動が規制されていることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記端部キャップは、前記一方の框に長手方向に沿って挿入される挿入部と、前記挿入部が挿入されて前記框体の外周側となる前記小口の外周側部位に当接されるとともに当該外周側部位を覆う小口覆い部と、前記小口覆い部より前記框体の内周側にて当該小口より外側に突出して他方の框を係止するための係止部と、を有し、
前記他方の框は、前記端部キャップが挿入された前記一方の框の前記小口を前記端部キャップとともに覆う端部覆い部と、前記端部覆い部に形成され、前記係止部が係止される係止受部と、を有し、
前記他方の框に前記一方の框が挿入された際に、前記他方の框の先端が前記小口覆い部に当接されるとともに前記係止受部に前記係止部が係止されることを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項2に記載の建具であって、
前記係止部は、前記端部キャップの弾性変形により、前記一方の框の長手方向に沿って前記一方の框の内方側に変位可能に形成され、
前記他方の框に前記一方の框が挿入された際に、前記他方の框における端部覆い部の係止受部より先端側の部位は、前記一方の框の挿入方向とは反対方向への移動が前記係止部によって規制されていることを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の建具であって、
前記一方の框には、前記框体の内周側に切欠部を有し、
前記他方の框には、前記他方の框に当該一方の框が挿入された際に前記切欠部に係合して、前記一方の框の長手方向における前記一方の框と前記他方の框との相対移動を規制する規制片を有することを特徴とする建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−106498(P2010−106498A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278390(P2008−278390)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】