説明

建具

【課題】簡単に製造することが可能で、コア材がずれることなく安定した品質を有し、さらに、求められる用途に応じて、かつ、サイズ変更にも簡単に対応して製造し得る建具を提供する。
【解決手段】一方向に貫通する多数の中空筒状セル11の集合体からなる多孔質コア材1の中空筒状セル11の開口面と直角な両面に枠板21、22を固着してコアブロックAを形成し、ついで該コアブロックAの厚さ方向にスライス切断して上記枠板21、22を枠部21a、22aとするコアパネルBを形成し、上記コアパネルBの所要枚数を並設するとともに、表面化粧板3と裏面板4とで挟着し複合してなる建具C。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は建具に関する。更に詳しくは、多数の貫通孔を有するコア材を芯材とし、両面に表面板と裏面板とを貼着してなる玄関ドア用のフラッシュパネル等の建具の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅のプレハブ化が進むにつれ、その規格に合うように住宅建材の規格化も進行している。例えば、玄関ドア等に用いられるフラッシュパネルは、多数の蜂の巣状セルの集合体を紙材で形成してコア材とし、このコア材を内包するように周枠の両面に面板を貼着することにより製造されている。すなわち、一対の横枠材と一対の縦枠材とを矩形状に枠組みして周枠を組み立て、必要に応じて周枠内に中枠材を架設し、周枠内に内部の寸法に応じた寸法のコア材を充填することにより製造されている。
【0003】
例えば、特開平7−217063号公報には、平行に相対向するように配置した一対の矩形板状の原板間に伸縮自在なコア原材を配置するとともに、コア原材の端部を原板に一体に固着してパネル用原材を形成し、このパネル用原材を所定の幅で原板と直交する方向に切断することにより、原板を切断した一対の第1の枠材間にコア原材を切断したコア材が一体になったパネル芯体を形成し、このパネル芯体の一対の第1の枠材の間隔をコア材の伸縮にて所定の間隔とするとともに、第1の枠材と直交するように架設した一対の第2の枠材の端部と第1の枠材の端部とを接合して周枠を組み立て、コア材を内包するように周枠の両面に面板を貼着することを特徴とするフラッシュパネルの製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開平7−217063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来例にあっては、一対の横枠材と一対の縦枠材とからなる枠材を枠組みして周枠を組み立てた後にコア材を配設して装填するので組み立て工程が複雑になるという問題がある。またコア材を単に装填するだけで固定していないためにコア材がずれることにより、品質の安定したものを得ることができないという問題がある。さらに、寸法の異なるフラッシュパネルを製造する場合、枠材や面板以外にコア材も寸法の異なるものを用意しなければならなく、寸法変えに簡単に対応することができないという問題がある。
【0005】
本願発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単に製造することができるとともに、コア材がずれたり、移動することなく安定した品質を有し、さらに、求められる用途に応じて、かつ、サイズ変更にも簡単に対応して製造し得る建具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願請求項1に記載の発明に係る建具は、一方向に貫通する多数の中空筒状セルの集合体からなる多孔質コア材の中空筒状セルの開口面と直角な両面に枠板を固着してコアブロックを形成し、ついで該コアブロックの厚さ方向にスライス切断して上記枠板を枠部とするコアパネルを形成し、上記コアパネルの所要枚数を並設するとともに、表面化粧板と裏面板とで挟着し複合してなることを特徴としている。
【0007】
上記多孔質コア材としては、多数の蜂の巣状セルの集合体を紙材で形成したペーパーハニカムコア材、紙材に替えてプラスチックを用いたプラスチックハニカムコア材等、アルミニウム等の軽金属等の種々の材料から形成された金属ハニカムコア材等が用いられる。また、コアブロックを形成する枠板としては、通常、合板が用いられる。
【0008】
本願発明に係る建具の表面化粧板としては、通常、MDF(中密度繊維板)、合板、LVL(laminated Veneer Lumber)、パーティクルボード、WPB(ウッドプラスティックボード)、パーティクルボード、集成材等の木質材料を基材とし、その表面に木目調あるいは種々のデザインで化粧されたプラスチックシート、不織布等の表面化粧材料を貼着した表面化粧板が用いられる。また、厚みが約0.3〜0.4mmの薄いカラーアルミニウム板やカラー鋼板などの金属板も表面化粧材料として用いられ得る。
【0009】
裏面板としては、上記MDF(中密度繊維板)、合板、LVL(laminated Veneer Lumber)、WPB(ウッドプラスティックボード)、パーティクルボード、集成材等の木質材料パーティクルボード、WPB等化粧されていない木質材料をあげることができる。
【0010】
本願請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、上記裏面板の上面に上記コアパネルの下面に係止する係止リブが突条に設けられてなることを特徴としている。通常、上記リブは複数本が平行して設けられる。
【発明の効果】
【0011】
本願請求項1記載の発明に係る建具においては、多孔質コア材の中空筒状セルの開口面と直角な両面に枠板を固着してコアブロックを形成し、ついでこのコアブロックを厚さ方向にスライスする、いわゆる「食パン工法」によって任意の厚さで切断することができる。 そのため、建具が玄関ドアである場合等、比較的厚さが要求される場合は、約40mm幅程度にカットされたコアパネルを提供することが可能であり、また、間仕切りパネル等比較的厚さが要求されない場合は、10mm幅でコアブロックを切断し比較的薄いコアパネルを提供することができる。したがって、1つのコアブロックから種々の建具に対応できる所望の厚さのコアパネルを作製することができる。
【0012】
上記のようにして得られたコアパネルは寸切りされた枠板が枠部を形成しているが、このコアパネルを所要枚数、例えば2枚のコアパネルを平面を構成するように並設し、この2枚のコアパネルを芯材として表面化粧板と裏面板とで挟着し複合化することにより、簡単な工程で作業性よく建具として用いられ得るフラッシュパネルを作製することができる。このとき、フラッシュパネルの中で当接する枠部どうしが中枠材を形成し、補強材としての効果も発揮することができる。
【0013】
本願請求項2記載の発明に係る建具においては、上記裏面板の上面に上記コアパネルの下面に係止する係止リブが通常、複数本突条に設けられているため、コアパネルの長手方向に突条として設けられた該係止リブは、第3工程における圧着時に上記コアパネルの裏面にしっかりと食い込んで係止する。
【0014】
そして、本願発明の建具Cをフラッシュパネルとし、玄関ドアとしたとき、ドアの開閉時に内包されたコアパネルが中で動くことなくしっかりと固定されて不快な音を発生することを防げる。また、上記係止リブが補強リブとしても機能し、裏面板が反ることを防止し、したがって本願発明の建具に反りが生じることを防げる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本願発明にかかる建具の実施形態について、フラッシュパネルを例とし、多孔質コア材としてダンボールコア材を用いた例について図面を参照して詳細に説明する。まず、本願発明に係る建具としてのフラッシュパネルを製造する工程について述べる。図1は、上記製造工程の第1工程を示す分解説明図である。図1に示すように、多孔質コア材1は細い白抜き矢印で示す一方向に貫通する中空筒状セル11の集合体で、ペーパーハニカムコア材であるダンボールコア材から構成されている。この第1工程においては、多孔質コア材1の中空筒状セル11の開口面と直角な上面12と下面13とにそれぞれ上枠板21と下枠板22を配設し、太い矢印で示すように圧着もしくは、加熱下に圧着する。
【0016】
ここで、上記上下枠板21、22としては、MDF(中密度繊維板)、合板、LVL等が用いられるが、本実施形態においては、合板が用いられる。また、上下枠板21、22の多孔質コア材1との接着面には予め、ロールコータ等により接着剤を塗布した後、圧着もしくは、熱圧下に圧着される。
【0017】
このとき、接着剤としては、例えば、酢酸ビニル系接着剤、エチレン酢酸ビニル系接着剤等の水性接着剤、あるいはアクリル系、ウレタン系、尿素−メラミン系等の熱硬化性接着剤を用い、圧着もしくは、熱圧下にしっかりと圧着される。このようにして、上下枠板21、22を多孔質コア材1の上面と下面とに固着することにより、多孔質コア材1と上枠板21と下枠板22とは複合一体化されてコアブロックが形成される。
【0018】
図2は本願発明に係る建具の製造工程の第2工程を示す説明図である。すなわち、第2工程においては、上記のようにして形成されたコアブロックAを厚さ方向にスライスする、いわゆる「食パン工法」によってコアパネルBを作製する。図2に示すように、スライス手段として丸ノコ5を使用し、厚さdを10〜40mmの幅の範囲内で所望の厚さにスライス切断する。
【0019】
このとき、上記上枠板21と下枠板22とは所定の幅で寸切りされるが、多孔質コア材1とは圧着もしくは、熱圧下にしっかりと接着しているため、切断時に剥がれたり、分離することなく、一体的にスライスされる。このようにして、上記上枠板21を枠部21a、下枠板22を枠部22aとする厚さdが10〜40mmの幅の範囲内の厚さで所望の厚さdを有するコアパネルBが形成される。
【0020】
図3は、本願発明に係る建具の製造工程の第3工程を示す説明図である。第3工程においては、まず、接着剤貯留タンク7から接着剤8をロールコータ6に供給してコアパネルBの上下両面に接着剤8を塗布する。その後、コアパネルBの上面に表面化粧板3を、下面に裏面板4を圧着もしくは、熱圧下に圧着する。なお、ロールコータ6で接着剤8を塗布する工程においては、リバースロール、掻き取りロール等が必要であるが、図示は省略する。このとき、図3に示すように、接着剤8は多孔質コア材1の中空筒状セル11の上下の開口面に塗布されるため、接着面積が少なく、実際に塗着する接着剤の量は少なくて済み、接着コストの低減化が可能となる。しかしながら、少ない接着面積で強力な接着力も求められる。
【0021】
そこで上記接着剤としては、木質材料の接着に好ましく用いられるもの、例えば、酢酸ビニル系接着剤、エチレン酢酸ビニル系接着剤等の水性接着剤、あるいはアクリル系、ウレタン系、尿素−メラミン系等の熱硬化性接着剤を用い、圧着もしくは、熱圧下に圧着される。上記第3工程を終了することにより、長手方向に並設された2枚のコアパネルBは表面化粧板3と裏面板4とによって挟持されて複合、一体化し、本実施形態に係る建具Cとしてのフラッシュパネルを形成する。
【0022】
図4は、上記第1工程、第2工程、第3工程を終了して得られた建具Cとしてのフラッシュパネルを示す斜視図である。図4に示されているように、上記建具Cは、2枚のコアパネルBを長手方向に並設して芯材とされ、フラッシュパネルの中で当接する枠部21aと22aとが一体的となって中枠材を形成し、補強効果を発揮する。このようにして、表面化粧板3と裏面板4とで挟着し複合することにより、簡単な工程で作業性よく玄関ドア等に好適に用いられるフラッシュパネルを作製することができる。
【0023】
図5は、本願発明に係る建具の製造工程の第3工程における変形例を示す分解説明図である。図5に示すように、本変形例においては、裏面板4には係止リブ41が突設されており、圧着時にコアパネルBの下面に係止する。すなわち、圧着もしくは、熱圧下に圧着される際、コアパネルBの長手方向に突条として設けられた係止リブ41は、上記コアパネルBの裏面にしっかりと食い込んで係止し、コアパネルBと裏面板4とがずれたり、相互に移動することを防ぐ。
【0024】
このようにすることにより、本願発明の建具Cを、例えば玄関ドアとして用いる場合、玄関ドアの開閉時に2枚のコアパネルBが中で動くことなくしっかりと固定されて不快な音が生じることを防げる。また、上記係止リブ41が補強リブとして機能し、裏面板4が反ることを防止し、したがって玄関ドアに反りが生じることを防ぐ。
【0025】
なお、図5に示す実施形態においては、裏面板4に係止リブ41が突設された形態を示しているが、表面化粧板3の裏面に係止リブを突設してもよい。このようにすることにより、2枚のコアパネルBが建具Cの中で動くことなく更にしっかりと固定された優れたフラッシュパネルを作製することができる。
【0026】
なお、上記実施形態においては、上枠板21、下枠板22を図1における上下2面に圧着してコアブロックAが形成されているが、左右いずれかにさらに他の枠板を圧着して3面を枠板で囲ったコアブロックAとしてもよい。さらに4面全体を枠板で囲ったコアブロックAとしてもよい。このように本願発明は設計変更自在であり、特許請求の範囲を逸脱しない限り本願発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本願発明に係る建具を製造する工程の第1工程を示す分解説明図。
【図2】本願発明に係る建具の製造工程の第2工程を示す説明図。
【図3】本願発明に係る建具の製造工程の第3工程を示す説明図。
【図4】上記第1工程、第2工程、第3工程を終了して得られた建具としてのフラッシュパネルを示す斜視図。
【図5】本願発明に係る建具の製造方法の第3工程における変形例を示す分解説明図。
【符号の説明】
【0028】
A 本実施形態に係るコアブロック
B 本実施形態に係るコアパネル
C 本実施形態に係る建具
1 多孔質コア材
11 中空筒状セル
12 上面
13 下面
21 上枠板
21a 枠部
22 下枠板
22a 枠部
3 表面化粧板
4 裏面板
41 係止リブ
5 丸ノコ
6 ロールコータ
7 接着剤貯留タンク
8 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に貫通する多数の中空筒状セルの集合体からなる多孔質コア材の中空筒状セルの開口面と直角な両面に枠板を固着してコアブロックを形成し、ついで該コアブロックの厚さ方向にスライス切断して上記枠板を枠部とするコアパネルを形成し、上記コアパネルの所要枚数を並設するとともに、表面化粧板と裏面板とで挟着し複合してなる建具。
【請求項2】
上記裏面板の上面には上記コアパネルの下面に係止する係止リブが突条に設けられてなる請求項1に記載の建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−43499(P2010−43499A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209870(P2008−209870)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】