説明

建材ボードの加工屑回収補助具

【課題】建材ボードの寸法に合わせて利用でき、運搬や加工時の取り付けが容易で、収集した加工屑の回収も容易な建材ボードの加工屑回収補助具を提供する。
【解決手段】回収補助具10は、平板状の固定板16と、固定板16が取り付けられる本体トラップ18と、その両端側に長手方向にスライド可能に設けられた延長トラップ20,24により構成される。固定板16を、加工台12と石膏ボード14の間(あるいは、複数の石膏ボード14間)に挟み込み、石膏ボード14の長さに合わせて延長トラップ20,24を引き出し、石膏ボード14の切断加工時に発生する切屑26を受ける。収集した切屑26は、延長トラップ端部24A側に置かれた回収袋28に回収され処分される。延長トラップ20,24の引き出し程度によって回収補助具10の全長が調整可能となるため、石膏ボード14の寸法に合わせて利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石膏ボードなどの建材ボードを切断する時などに発生する加工屑を回収するための回収補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、住宅の壁や天井の内装等に用いられる石膏ボードのような建材ボードは、建築現場において必要な寸法に切り出されるが、その際に、加工屑(切屑)が周囲に飛散してしまうため、作業終了後に清掃作業が必要となる。このような問題を解決する手段として、例えば、下記特許文献1に示す建築用建材ボード類の加工時ダスト・トラップがある。当該技術によれば、加工する建材ボード類と地面、床との間に、長尺塩ビ製のU字型トラップを接続して、散乱・飛散する小型切屑をトラップで受けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3107501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上のような背景技術では、ダスト・トラップの長さの調節ができないため、加工対象の建材ボードの寸法によっては、長さの異なる複数のトラップを用意しなければならない。また、ダスト・トラップが長尺であるため、現場までの運搬や加工場所への取り付けが容易ではない場合もある。
【0005】
本発明は、以上のような点に着目したもので、建材ボードの寸法に合わせて利用でき、運搬や加工時の取り付けが容易であって、収集した加工屑の回収も容易な建材ボードの加工屑回収補助具を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建材ボードの加工屑回収補助具は、加工台とその上に載置された建材ボードの間,あるいは、前記加工台上に載置された複数の建材ボードの間に挟み込み可能な平板状の固定板,長手方向と略直交する断面の上方が開放し、一方の側面の上縁側に前記固定板が取り付けられるとともに、長手方向の少なくとも一方の端部が開放した本体トラップ,該本体トラップの開放した端部側に、前記本体トラップに沿って長手方向にスライド可能に取り付けられた少なくとも1つの延長トラップ,を備えたことを特徴とする。
【0007】
主要な形態の一つは、前記固定板が、回動機構によって前記本体トラップに対して回動可能に取り付けられるとともに、前記本体トラップの内側に収納可能な寸法に形成されていることを特徴とする。他の形態は、前記延長トラップが前記本体トラップと重ならない側の端部を開放し、開放した端部に、回収用の袋ないし容器を吊り下げる吊下手段を設けたことを特徴とする。更に他の形態は、前記延長トラップが前記本体トラップと重ならない側の端部を閉塞する端面を設けるとともに、該端面に、加工屑を吸引回収するための装置を接続する回収口を設けたことを特徴とする。更に他の形態は、前記閉塞する端面が、前記延長トラップの端部に対して着脱可能であることを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、平板状の固定板と、長手方向に直交する断面の上方が開放しており前記固定板が取り付けられる本体トラップと、該本体トラップの少なくとも一端側に該本体トラップに沿って長手方向にスライド可能に取り付けられた延長トラップを備え、前記本体トラップ及び延長トラップによって加工屑を受けることとした。このため、延長トラップの引き出し程度によって回収補助具の全長が調整可能となり、建材ボードの寸法に合わせての利用が可能となる。また、延長トラップを収納すれば、運搬,使用場所での取り付け,収納が容易になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1の全体構成を示す外観斜視図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
最初に、図を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1は、本実施例の全体構成を示す外観斜視図である。図1に示すように、本実施例の加工屑回収補助具(以下「回収補助具」とする)10は、加工台12上に複数重ねて載置された石膏ボード14の切断加工時に発生する切屑26を収集するものであって、固定板16と、本体トラップ18と、延長トラップ20及び24により構成されている。前記固定板16は、加工台12と一番下の石膏ボード14との間,あるいは、複数の石膏ボード14の間に挟み込まれるもので、図示の例では、略長方形の平板状となっている。前記本体トラップ18は、長手方向と直交する断面が略コ字状であって上方が開放しており、一方の側面18Cの上縁側に、前記固定板16が取り付けられている。
【0012】
次に、一方の延長トラップ20は、前記本体トラップ18の一方の端部18B側に設けられており、前記本体トラップ18の底面及び側面に沿って図に矢印F1で示すようにスライド可能となっている。該延長トラップ20の一方の端部20Aは開放しており、他方の端部(図の右側)は端面22によって閉塞している。このような延長トラップ22は、本体トラップ18から最大に引き出したときに、抜け落ちることがないように、必要に応じて図示しないストッパ機構により抜け落ちが防止される。
【0013】
他方の延長トラップ24は、前記本体トラップ18の他方の端部18A側に設けられており、前記延長トラップ20と同様に、本体トラップ18の底面及び側面に沿ってスライド可能となっている。該延長トラップ24は、両端部24A,24Bが開放しており、図示の例では、端部24Aの下方に、回収補助具10で収集した切屑26を回収するための回収袋28が置かれている。該延長トラップ24についても、前記延長トラップ20と同様に、本体トラップ18からの抜け落ち防止用のストッパ機構を設けてもよい。
【0014】
以上のような固定板16,本体トラップ18,延長トラップ20及び24は、例えば、金属,プラスチックなどの公知の各種の材質によって形成することができる。また、前記固定板16及び本体トラップ18の長さは、例えば、1200mmであり、延長トラップ20及び24の長さはそれぞれ、例えば600mm程度であって、これら延長トラップ20及び24を本体トラップ18から最大に引き出したときに、端部同士がそれぞれ100mm重なるようにすると、回収補助具10は、石膏ボード14の寸法が1200mm〜2200mmのときに適用できる。
【0015】
本実施例の回収補助具10によれば、固定板16を加工台12と石膏ボード14の間(あるいは、複数の石膏ボード14間)に挟み込み、前記石膏ボード14の長さに合わせて、延長トラップ20及び24を本体トラップ18から引き出し、石膏ボード14の切断加工時に発生する切屑26を受ける。収集した切屑26は、延長トラップ24の端部24A側に置かれた回収袋28に回収されて適宜処分される。このため、延長トラップ20及び24の引き出し程度によって回収補助具10の全長が調整可能となり、石膏ボード14の寸法に合わせて利用できるという効果がある。また、延長トラップ20及び24を収納すれば、全長が短くなるため加工場所への運搬が容易となる。更に、固定板16の長さが、石膏ボード14に対して短いため、加工台12と石膏ボード14間への取り付けも容易となる。
【0016】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。例えば、前記実施例では、本体トラップ18及び延長トラップ20,24の断面形状を略コ字状としたが、略U字状にするなどである。材質についても同様に、公知の各種の素材が利用可能である。
(2)前記実施例では、本体トラップ18の両端側に延長トラップ20,24を設けることとしたが、いずれか片方のみを設けるようにしてもよい。また、延長トラップ20,24は、状況に応じて付け替えて使用してもよい。
【0017】
(3)前記実施例では、本体トラップ18に対して固定板16が折り曲げ不能に取り付けられていたが、図2(A)に示す例のように、本体トラップ側面18Cの上縁側に設けられた回動機構30によって、本体トラップ18の内側に折り曲げ可能な構成としてもよい。このとき、固定板16を本体トラップ18の内側に収納可能な寸法に設定しておくことにより、運搬がいっそう容易になるとともに、収納スペースの削減も可能である。
(4)前記実施例では、延長トラップ端部24Aの下方に回収袋28を置いて、集めた切屑26を回収することとしたが、図2(B)に示す例のように、延長トラップ端部24Aに一組のフック32A,32Bを設けて、取手付きの回収袋28Aやその他の回収容器を吊り下げ利用することも可能である。
【0018】
(5)前記実施例では、延長トラップ24の端部24Aを開放する構成としたが、これも一例であり、図2(C)に示す例のように、端部24Aを着脱可能な端面カバー25で閉塞し、該端面カバー25の下方寄りに、略円筒状の回収口34を設け、該回収口34に集塵機(掃除機)のゴムホース36などを接続して、切屑26を吸引回収してもよい。前記端面カバー25としては、ゴム製のシートなどが利用される。また、前記端面カバー25を、延長トラップ24と一体に形成してもよい。
(6)前記実施例では、建材ボードの一例として石膏ボード14を例に挙げたが、これも一例であり、本発明は、他の公知の各種の建材ボード(例えば、ケイ酸カルシウム板やベニヤ板など)に適用可能である。また、石膏ボードの切屑以外にも、他の公知の各種の加工により生じる加工屑の回収補助全般に適用可能である。
(7)前記実施例を組み合わせてもよく、それらも本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明によれば、平板状の固定板と、長手方向に直交する断面の上方が開放しており前記固定板が取り付けられる本体トラップと、該本体トラップの少なくとも一端側に本体トラップに沿って長手方向にスライド可能に取り付けられた延長トラップを備え、前記本体トラップ及び延長トラップによって加工屑を受けることとした。このため、延長トラップの引き出し程度によって回収補助具の全長が調整可能となるため、建材ボードの加工屑の回収補助具の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0020】
10:加工屑回収補助具(回収補助具)
12:加工台
14:石膏ボード
16:固定板
18:本体トラップ
18A,18B:端部
18C:側面
20,24:延長トラップ
20A,24A,24B:端部
22:端面
25:端面カバー
26:切屑
28,28A:回収袋
30:回動機構
32A,32B:フック
34:回収口
36:ゴムホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工台とその上に載置された建材ボードの間,あるいは、前記加工台上に載置された複数の建材ボードの間に挟み込み可能な平板状の固定板,
長手方向と略直交する断面の上方が開放し、一方の側面の上縁側に前記固定板が取り付けられるとともに、長手方向の少なくとも一方の端部が開放した本体トラップ,
該本体トラップの開放した端部側に、前記本体トラップに沿って長手方向にスライド可能に取り付けられた少なくとも1つの延長トラップ,
を備えたことを特徴とする建材ボードの加工屑回収補助具。
【請求項2】
前記固定板が、回動機構によって前記本体トラップに対して回動可能に取り付けられるとともに、前記本体トラップの内側に収納可能な寸法に形成されていることを特徴とする請求項1記載の建材ボードの加工屑回収補助具。
【請求項3】
前記延長トラップが前記本体トラップと重ならない側の端部を開放し、開放した端部に、回収用の袋ないし容器を吊り下げる吊下手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の建材ボードの加工屑回収補助具。
【請求項4】
前記延長トラップが前記本体トラップと重ならない側の端部を閉塞する端面を設けるとともに、該端面に、加工屑を吸引回収するための装置を接続する回収口を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の建材ボードの加工屑回収補助具。
【請求項5】
前記閉塞する端面が、前記延長トラップの端部に対して着脱可能であることを特徴とする請求項4記載の建材ボードの加工屑回収補助具。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−106355(P2012−106355A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255425(P2010−255425)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(510303040)株式会社ホンマ (1)
【Fターム(参考)】