説明

建材板または建材板セット、建材板のための固定システムおよび建材板を固定するための方法

本発明は、所定の形状、特に丸いまたは矩形の形状の横断面となるように形成された、板の前面(10)から板(12)を貫通して裏面(11)までに及ぶ複数の孔(14)を含んだ有孔板、特に有孔石膏板(12)を有する、壁または天井を構築するための建材板または建材板セットであって、有孔板(12)と接続された、または接続可能である別体の固定装置(13)、とりわけ金属および/またはプラスチックから成る固定装置(13)を備えており、固定装置(13)は、少なくとも一部が1つの孔(14)の内側に、および/または少なくとも1つの孔(14)の少なくとも一部に重なるように配置され、または配置可能であり、該固定装置は、特に少なくとも孔(14)の内部の一部においては、固定手段、特にねじおよび/または釘を受けるように形成されている建材板または建材板セットに関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の形状、特に丸いまたは矩形の形状の横断面となるように形成された、板の前面から板を貫通して裏面までに及ぶ複数の孔を含んだ有孔板、特に有孔石膏板を有する、壁または天井を構築するための請求項1に記載の建材板または建材板セット、建材板または建材板セットのための請求項10に記載の固定システム、固定システムの請求項16に記載の使用および建材板を固定するための請求項17に記載の方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
孔を備えた建材板、特に音響吸収のために使う孔を備えた建材板が従来技術において知られている。一般に、音響吸収とは、ある空間内において音響エネルギーの減少のことである。音響吸収は、音響エネルギーがある空間内に存在する境界面、物体または人物に当たるときの音響エネルギーの損失である。その損失は主に音響エネルギーが熱に変換されることによって起こる(散逸)。音響吸収率は、例えば天井、床、壁板の各音響吸収要素において孔を設けることによって向上できる。
【0003】
建材板は、一般的に、天井、壁または例えばプロファイルから成る適合した支持構造にねじで固定されることによって据え付けられる。その際、ねじは孔と孔との間の領域に(真中に)配置される。ねじ頭は例えばこてで塗りつぶし、その後(乾燥後)滑らかに研磨される。最後に、望ましい塗装を施す。これら全体として、この建材板の据え付けは、比較的に面倒と感じられている。それに加えて、このような固定の安全性には、特に防火天井または防火壁としての役割をも果たす建材板の場合に、場合により改良の余地が残されている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の課題は、とりわけ、同時に特に固定の安全性の改良を伴って、据え付け労力の減少を実現する、建材板または建材板セット、建材板のための固定システム、または建材板を固定するための方法を提供することである。上記課題は請求項1に記載の建材板、請求項10に記載の固定システムおよび請求項17に記載の建材板を固定する方法によって解決される。
【0005】
上記課題は、特に、有孔板、特に有孔石膏板を有する、壁または天井を構築するための建材板または建材板セットによって解決され、この有孔板は、所定の形状、特に丸いまたは矩形の形状の横断面となるように形成された、板の前面から板を貫通して裏面までに及ぶ複数の孔を有するものであって、有孔板と接続された、または接続可能である別体の固定装置、とりわけ金属および/またはプラスチックから成る固定装置を備えており、固定装置は、少なくとも一部が1つの孔の内側に、および/または少なくとも1つの孔の少なくとも一部に重なるように配置され、または配置可能であり、該固定装置は、特に少なくとも一つの孔の内部においては、固定手段、特にねじおよび/または釘を受けるように形成されている建材板または建材板セットによって解決されている。
【0006】
ここで、「別体」とは、固定装置が石膏板と空間的に隔てられている状態で設けられると理解することができる。ただし、固定装置を石膏板と連続した状態で設けられることもでき、その場合は、「別体」とは、固定装置が石膏板に対して独立した部品であることを意味することになる。建材板は、好適に少なくとも石膏板と固定装置とから成る単位が既に工場で用意されているようにすることもできる。ただし、建材板を建材板セットとしても用意することもできるし、その場合は、石膏板と固定装置との接続が好適に現場で行われる。
【0007】
本発明の本質的な特徴の一つは、建材板を固定するために、適宜の固定手段を1つの孔内またはその孔に隣接する領域内に受けるように、固定装置が少なくとも部分的に1つの孔または1つの孔の領域内に設けられていることである。この孔は、、例えば音響吸収等の、基本的に異なった機能を果たし、同時に固定も一体的になされる。それによって、現場で、建材板を壁または天井に固定するために孔をあける必要がなくなる。建材板を固定した後で、塗りつぶすことや研磨することの必要もなくなる。固定装置は孔内に配置される場合は、満足できる視覚的に全体的印象を得ることができる。さらに、作業員が安全面からみて不完全な据え付けを行う恐れが減り、それによって、特に火事の場合の安全性を向上させることになる。
【0008】
固定装置は、1つの部品から成ることも、または複数の部品から成ることも可能である。
固定装置が、好適に少なくとも部分的に、少なくとも1つの孔に挿入可能であり、または押し込まれている、または押し込み可能である。これによって据え付けが容易になる。
本発明の1つの好ましい実施態様では、固定装置が少なくとも1つの介在部材を介して有孔板と接続されている、または接続可能である。有孔板との接続が、好ましくは既に工場で、とりわけ接着材および/またはクランプで行われる。そして、天井または壁への固定が、例えばねじ等の適切な固定手段で行われる。固定装置が好ましくは(本質的に) 石膏板の裏面に配置されることができる。据え付けの労力は全体として減少される。
【0009】
以下、「裏面」という用語は、据え付けられた状態での建材板または石膏板の、室から離れた面を意味する。「前面」という用語は、据え付けられた状態での、建材板または石膏板の室に向かった面を意味する。
【0010】
特に好ましいのは、固定装置を既に工場で用意することである。これによって、据え付けの労力、とりわけ現場での据え付け時間を減少することになる。
【0011】
本発明の1つの具体的な実施態様では、固定装置は、少なくとも、丸い横断面の固定手段を受けるために、特に丸い、とりわけ円形、楕円形または矩形の形状の外部横断面及び/または、特に孔の横断面に合わせた外部横断面を有するスリーブを有し、該スリーブは組み立てた状態で特に建材板と面一に終了するものである。
【0012】
ここで、「スリーブ」とは、とりわけ外部円柱面および内部円柱面を有する中空円柱体を意味すると理解することができる。この「スリーブ」は、例えば内部円柱面を有し、外部は、とりわけ石膏板に対応する形状の横断面の孔が在るときに、例えば楕円形、矩形または正方形をの横断面を有するようにすることができる。この様なスリーブは、(例えば、差し込みにより)簡単に取り付けることができ、その場合には材料の消費も比較的少ない。スリーブは面一に終了する場合には、張り出した部を少なくすることによって安全性および視覚的な全体的印象を改良することができる。
【0013】
好ましくは、スリーブまたは固定手段が孔壁と摩擦して嵌め合い結合されるために、スリーブは、丸い横断面の固定手段が導入されるときに、少なくとも1つの孔の孔壁の方向に拡張することができる複数の拡張要素を有している。それにより、固定を簡単にかつ速やかに行うことができる。
【0014】
本発明の具体的な実施態様では、固定装置、特にスリーブが、少なくとも部分的に、例えば金属および/またはプラスチックから成るジベル、特に拡張ジベルとして形成されている。この措置で据え付け作業は容易になるわけである。
【0015】
スリーブが、天井または壁から離れた側の端部に、好ましくは孔よりも張り出している、とりわけカラー状の拡大部を有している。
これによって、スリーブが孔を貫通して天井または壁の方向へ滑ることを防ぐことができ、固定装置の信頼性を向上し、据え付け労力を減少することになる。
【0016】
固定装置が、とりわけクランプで有孔板と接続されている、または接続可能である少なくとも1つの別体の固定有孔板および/または孔有りまたは孔無しの固定帯板を含み、該固定有孔板は固定有孔板の少なくとも1つの固定孔が有孔板の少なくとも1つの孔に重なるように配置されている、または配置可能であり、前記少なくとも1つ固定孔の直径は前記有孔板の少なくとも1つの孔の直径より小さいものである。固定有孔板、または固定有孔帯板は、好ましくは少なくとも部分的に金属板から成ることができる。固定有孔板、または固定有孔帯板は、好ましくは石膏板の裏面に配置されている、または配置可能である。
【0017】
有孔板の天井または壁への固定は、例えばねじまたは釘のような適宜の固定手段が固定孔とかみ合うことによって簡単に行われる。特に、固定有孔板が裏面に配置された場合には、固定手段が実際に見られないように深く(例えば、全孔深さの30%、好ましくは60%)有孔板の孔に導入されることができる。固定有孔板が帯板状に成るように形成された場合は、音響透過が比較的に低く、または音響吸収率が向上される。固定有孔板毎の孔の数が少ない、例えば1つの孔だけを有する幾つかの固定有孔板を設けることも可能である。そのような場合でも音響吸収率は比較的に高い。
【0018】
上記課題は、上記とは別のやり方で、板の前面から板を貫通して裏面までに及ぶ、所定の形状、特に丸いまたは矩形の形状の横断面となるように形成された、複数の孔を含んだ有孔板、特に有孔石膏板を有する、壁または天井を構築するための、建材板または建材板セットのための固定システムであって、有孔板と接続可能であり、少なくとも1つの固定孔を含んだ固定装置、とりわけ金属および/またはプラスチックから成る固定装置、および有孔板を天井および/または壁または場合によっては天井または壁に設けられた支持体に固定するために、固定装置に導入可能な固定手段、とりわけねじおよび/または釘を含む前記固定システムによって解決される。該固定システムは、建材板または建材板セットの関係で既に上述した効果と同じ効果を有している。また、建材板または建材板セットの如く、該固定システムによっては、建材板を据え付けた後の、例えば検査または整備作業のための簡単な解体が可能になる。作業を終了した後は、割合に面倒の少ない作業で、建材板を再び天井または壁に据え付けることができる。さらに、建材板または建材板セットの如く、該固定システムは、例えばランプ等の周辺機器の簡単な取り付けを可能とする。
【0019】
固定装置は、少なくとも、丸い横断面の固定手段を受けるために、内部円柱部分を有するスリーブを含むことができる。さらにまた、スリーブは、スリーブまたは固定手段が孔壁と摩擦で嵌め合うように接続されるために、丸い横断面の固定手段を導入するときに、少なくとも1つの孔の孔壁の方向に拡張できる複数の拡張要素を有することもできる。固定装置、とりわけスリーブは、少なくとも部分的に金属および/またはプラスチックから成るジベルまたは拡張ジベルとして形成されることができる。スリーブは、組み立てた状態で天井または壁から離れた側の端部に、特に、少なくとも1つの孔よりも張り出した拡大部、とりわけカラー状の拡大部を有している。さらに、固定装置は、とりわけクランプおよび/または接着材で有孔板と接続された、少なくとも1つの別体の固定有孔板、とりわけ固定有孔帯板を含み、該固定有孔板は固定有孔板の少なくとも1つの固定孔が有孔板の少なくとも1つの孔に重なるように配置され、その少なくとも1つ固定孔の直径はその有孔板の少なくとも1つの孔の直径より小さい。
【0020】
上記課題は、とりわけ上述した様な建材板または建材板セットのための、上述した様な固定システムの使用によって解決される。
【0021】
また、上記課題は、上記とは別のやり方で、建材板、とりわけ上述した様な建材板を固定するための方法であり、特に上述した様な固定システムを使用する方法であって、
a)所定の形状、特に丸いまたは矩形の形状の横断面となるように形成された、板の前面から板を貫通して裏面までに及ぶ複数の孔を含んだ有孔板を用意するステップ、
b)とりわけ金属および/またはプラスチックから成り、少なくとも一部が1つの孔の内側に、および/または少なくとも1つの孔の少なくとも一部に重なるように配置される別体の固定装置を用意するステップ、
c)有孔板を該固定装置と接続するステップ、および
d)固定手段、例えばねじまたは釘を固定装置に導入するステップ
を含む方法によって解決される。
【0022】
この方法は、本質的に上述した建材板または建材板セットおよび固定システムの効果と同じ効果を有している。
好ましくは、固定装置は、少なくとも1つの孔に押し込まれ、または差し込まれ、および/または有孔板の介在部材と強固に接続される。
好ましくは、固定装置は、とりわけクランプおよび/または接着材で有孔板と接続された、少なくとも1つの別体の固定有孔板、とりわけ固定有孔帯板を含み、該固定有孔板は固定有孔板の少なくとも1つの固定孔が前記有孔板の少なくとも1つの孔と重なるように配置され、その少なくとも1つ固定孔の直径は前記有孔板の少なくとも1つの孔の直径より小さい。
【0023】
上記課題は、上記とは別のやり方で、特に上述した様な建材板のための製造方法であって、
a)所定の形状、特に丸いまたは矩形の形状の横断面となるように形成された、板の前面から板を貫通して裏面までに及ぶ複数の孔を含んだ有孔板を用意するステップ、
b)とりわけ金属および/またはプラスチックから成り、少なくとも一部が1つの孔の内側に、および/または少なくとも1つの孔の少なくとも一部に重なるように配置される別体の固定装置を用意するステップ、および
c)有孔板を該固定装置と接続するステップ、
を含む前記製造方法によって解決される。
【0024】
その他の実施態様は従属クレームから分かる。
以下にその他の特徴および利点も考慮して、図面に基づき更に詳しく説明される実施態様を挙げ、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、建材板の上部より見た模式的平面図である。
【図2】図2は、建材板の第一の実施態様に対応した図1のII−II線に沿った概略断面図でる。
【図3】図3は、建材板の第二の実施態様に対応した図1のII−II線に沿った概略断面図でる。
【図4】図4は、図3の部分拡大図である。
【図5】図5は、図4の部分のもう1つの実施態様である。
【0026】
なお、以下の説明においては、同一の要素および同一の作用効果を呈する要素は同一の参照番号を使って説明する。
【0027】
図1は、視線が建材板の前面(10)(組み立てた状態で内部へまたは室の方向へ向いた面)と垂直に、該前面に向いた図であり、上部より見た建材板、とりわけ音響吸収性建材板の平面図を示している。該建材板は、固定装置(13)(図2−5参照)と連絡された有孔石膏板(12)を有している。この場合の石膏板は四角形の形状となり、全体として本質的に直方体の形状となるが、矩形、一般の四角形、丸いまたは楕円形等の他の基本形状となるように形成されることも可能である。有孔石膏板(12)の内部には、前面(10)(図2参照)から裏面(11)までに及ぶ、丸い横断面形状を有し、立体的に見て円柱状となるように形成された石膏板孔(14)が存在する。石膏板孔(14)も任意の横断面形状となり、立体的に見ていろいろの形状となるように形成されることが可能である。例えば、石膏板孔(14)は、横断面が矩形(一般の四角形)であり、立体的に見て直方体の形状である、前面(10)から裏面(11)に向けて徐々に細くなる(またはその反対)ことが可能である。
【0028】
図2は、建材板の第一の実施態様に対応した図1のII−II線に沿った概略断面図である。本実施態様においては、固定装置(13)が、具体的に帯状の固定金属板から成る固定有孔板(15)を有し、図で概略的に示された固定手段(16)を介して、有孔石膏板(12)と連絡されている。固定手段(16)は、例えばクランプ、かすがい、ねじ、接着材、ジベルおよび/または釘を包含することができる。
【0029】
固定有孔板(15)は、直径が石膏板孔の直径より小さい(例えば、少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%、とりわけ60%より少ない)、かつ石膏板孔(14)と重なった固定孔(17)を包含している。これ故に、適宜の固定手段、例えばねじまたは釘が固定孔(17)を通じて導入され、これによって、固定有孔板(15)を有孔石膏板(12)と共に、据え付けた状態で裏側(11)にある、図に示されていない壁または天井に据え付けることができる。固定手段の頭が、例えば直接に固定有孔板(15)または固定孔(17)に接蝕接続され、そのため深く石膏板孔(14)の内部に導入されている。これによって、特に音響吸収および視覚的な全体的印象が改良される。各石膏板孔(14)毎に固定孔(17)を設けても良いし、設けなくても良い。例えば固定有孔板(15)が石膏板孔(14)の20%以下、好ましく5%以下に重なる場合には、音響吸収が比較的に高い。
【0030】
図面で示されていない他の実施態様においては、上述した固定有孔板(15)の代わりに、孔無しの固定板、例えば帯状の金属板から成る固定板を使っても良い。
【0031】
汚れの粒子が孔(14)に入り込むことを防ぎ、または少なくするために、固定有孔板(15)と有孔石膏板(12)の間に、図面に示されていないカバー、例えばカバー膜を配置しても良い。その場合固定手段(16)は、固定有孔板(15)を有孔石膏板(12)に固定するとともに、図面で示されていないカバーを固定する二重機能を有することができる。その時、図で示されていないカバーと有孔石膏板(12)を接続する固定手段を裏面の石膏板孔(14)に対応する面積を差し引いた有孔石膏板の全裏面積より小さく設定することができる。有孔石膏板に当たる音響パルスが、孔がある領域内だけでなく、少なくとも孔に隣接する縁領域においても、図で示されていないカバーの部分的な持ち上げまたは振動を起こしている。これによって、音響パルスのエネルギーがさらに石膏板または領域毎に自由に振動するカバーに伝送され、音響吸収率が向上されることになる。
【0032】
図3は、建材板の第二の実施態様に対応した図1のII−II線に沿った概略断面図である。固定装置(13)が、石膏板孔(14)の孔壁(19)に隣接するスリーブ(18)を有している。好ましくは石膏板孔(14)の5%以下、更に好ましくは2%以下がスリーブ(18)を有している。スリーブ(18)または有孔石膏板(12)を図に示されていない天井または壁(または天井または壁に設ける適合したプロファイル)に接続するために、スリーブ(18)に図に示されていないねじまたは釘のような固定手段を導入することができる。図で示されていない固定手段の頭は、例えばスリーブ(18)の前側の端部にぴったり着けられるか、またはスリーブ(18)の内部に沈めることができる。スリーブが裏側(11)の方向へ滑ることを防ぎ、または不可能になるように、スリーブ(18)(図4,5参照)は、前側の端部(20)においては、拡大部(21)を有していることができる。スリーブ(18)は、拡張要素を有し、例えば拡張ジベルとして形成されることができる。さらに、摩擦で嵌め合うことを可能とする、または改良するために、スリーブは外周囲に高み(22)(図5参照)を有することができる。
【0033】
スリーブ(18)は(図4に破線で示された)スリーブ底(23)を有することができ、その場合スリーブ底(23)はスリーブ(18)の前側の端部(20)の反対側に配置されていることになる。スリーブ底(23)がスリーブ底孔(24)を有することもできるし、スリーブ底を完全にオープンにしても良い。
【0034】
スリーブ(18)が(図3,5と違って)孔壁(19)の決まった部分だけに亘っており、例えばスリーブ(18)の第一の端部(20)から孔壁(19)の長さの少なくとも80%までに及ぶことも可能である。
【0035】
建材板が、場合によって塗りつぶしをしなくて突合せ接続するように、石膏板(12)が1つまたは複数の側面にさねはぎを有することができる。
建材板は特に格間天井に使用することが可能である。
視覚的な全体的印象および室内の明るさを改良するために、スリーブは内部で例えば白い塗装が施されており、好ましくは石膏板(12)の表面に続けて終了することができる。孔の種類毎に独特のスリーブまたは固定装置を設けても良い。孔がばらばらな建材板の場合には、同一の建材板においても様々なスリーブを使用しても良い。孔の種類としては、例えば、丸い直線孔、正方形の直線孔または丸い千鳥孔がある。
【0036】
とりわけ孔内で固定すること、または固定有孔板(13)を設けることによって被覆固定が可能になる。
ここにおいて、上述したすべての要素については、その要素自体、またはその要素のあらゆる組み合わせ、特に図面で示された詳細事項も本発明の本質的要素として請求されることを指摘するべきである。その変形態様は当業者には容易にわかるものである。
【符号の説明】
【0037】
参照符号
10 前側
11 裏側
12 石膏板
13 孔(固定装置)
14 孔(石膏板孔)
15 孔(固定有孔板)
16 固定手段
17 固定孔
18 スリーブ
19 孔壁
20 前側の端部(スリーブの)
21 拡大部
22 隆起部
23 スリーブ底
24 スリーブ底板(孔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状、特に丸いまたは矩形の形状の横断面となるように形成された、板の前面(10)から板(12)を貫通して裏面(11)までに及ぶ複数の孔(14)を含んだ有孔板、特に有孔石膏板(12)を有する、壁または天井を構築するための建材板または建材板セットであって、
有孔板(12)と接続された、または接続可能である別体の固定装置(13)、とりわけ金属および/またはプラスチックから成る固定装置(13)を備えており、固定装置(13)は、少なくとも一部が1つの孔(14)の内側に、および/または少なくとも1つの孔(14)の少なくとも一部に重なるように配置され、または配置可能であり、該固定装置は、特に少なくとも孔(14)の内部の一部においては、固定手段、特にねじおよび/または釘を受けるように形成されていることを特徴とする建材板または建材板セット。
【請求項2】
固定装置(13)が、少なくとも部分的に、少なくとも1つの孔(14)に差し込まれている、または差込可能であり、または押し込まれている、または押し込み可能であることを特徴とする請求項1に記載の建材板または建材板セット。
【請求項3】
固定装置(13)が、介在部材となる有孔板(12)と接続された、または接続可能なものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建材板または建材板セット。
【請求項4】
固定装置(13)が、工場で用意されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の建材板または建材板セット。
【請求項5】
固定装置(13)は、少なくとも、丸い横断面の固定手段を受けるために、特に丸い、楕円形または矩形の形状の外部横断面及び/または、特に孔(14)の横断面に合わせた外部横断面を有するスリーブ(18)を有し、該スリーブは組み立てた状態で特に建材板と面一に終了することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の建材板または建材板セット。
【請求項6】
スリーブ(18)が、スリーブ(18)または固定手段が孔壁(19)と摩擦で嵌め合うように接続されるために、丸い横断面の固定手段を導入するときに、少なくとも1つの孔(14)の孔壁(19)の方向に拡張できる複数の拡張要素を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の建材板または建材板セット。
【請求項7】
固定装置(13)、とりわけスリーブ(18)が、少なくとも部分的に金属および/またはプラスチックから成るジベルまたは拡張ジベルとして形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の建材板または建材板セット。
【請求項8】
スリーブ(18)が、天井または壁から離れた側の端部に、特に孔(14)よりも張り出した拡大部、とりわけカラー状の拡大部を有していることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の建材板または建材板セット。
【請求項9】
固定装置(13)が、とりわけクランプおよび/または接着材で有孔板(12)と接続されている、少なくとも1つの別体の固定有孔板(15)および/または孔有りまたは孔無しの固定帯板を含み、該固定有孔板(15)は固定有孔板(15)の少なくとも1つの固定孔(17)が有孔板(12)の少なくとも1つの孔(14)に重なるように配置されている、前記少なくとも1つ固定孔(17)の直径は、前記有孔板(12)の少なくとも1つの孔(14)の直径より小さいことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の建材板または建材板セット。
【請求項10】
板の前面(10)から板(12)を貫通して裏面(11)までに及ぶ、所定の形状、特に丸いまたは矩形の形状の横断面となるように形成された、複数の孔(14)を含んだ有孔板、特に有孔石膏板(12)を有する、壁または天井を構築するための、とりわけ請求項5〜9のいずれか一項に記載の建材板または建材板セットのための固定システムであって、
有孔板(12)と接続可能であり、少なくとも1つの固定孔(17)を含んだ固定装置、とりわけ金属および/またはプラスチックから成る固定装置、および
有孔板(12)を天井および/または壁または場合によっては天井または壁に設けられた支持体に固定するために、固定装置(13)に導入可能な固定手段、とりわけねじおよび/または釘を含む前記固定システム。
【請求項11】
固定装置(13)は、少なくとも、丸い横断面の固定手段を受けるために、特に丸い、楕円形または矩形の形状の外部横断面及び/または、特に孔(14)の横断面に合わせた外部横断面を有するスリーブ(18)を有し、該スリーブは組み立てた状態で特に建材板と面一に終了することを特徴とする請求項10に記載の固定システム。
【請求項12】
スリーブ(18)は、スリーブ(18)または固定手段が孔壁(19)と摩擦で嵌め合うように接続されるために、丸い横断面の固定手段を導入するときに、少なくとも1つの孔(14)の孔壁(19)の方向に拡張できる複数の拡張要素を有していることを特徴とする請求項11に記載の固定システム。
【請求項13】
固定装置(13)、とりわけスリーブ(18)は、少なくとも部分的に金属および/またはプラスチックから成るジベルまたは拡張ジベルとして形成されていることを特徴とする請求項12に記載の固定システム。
【請求項14】
スリーブ(18)は、天井または壁から離れた側の端部に、特に孔(14)よりも張り出した拡大部、とりわけカラー状の拡大部を有していることを特徴とする請求項13に記載の固定システム。
【請求項15】
固定装置(13)は、とりわけクランプおよび/または接着材で有孔板(12)と接続された、少なくとも1つの別体の固定有孔板(15)、とりわけ固定有孔帯板を含み、該固定有孔板(15)は固定有孔板(15)の少なくとも1つの固定孔(17)が有孔板(12)の少なくとも1つの孔(14)に重なるように配置され、その少なくとも1つ固定孔(17)の直径はその有孔板(12)の少なくとも1つの孔(14)の直径より小さいことを特徴とする請求項14に記載の固定システム。
【請求項16】
とりわけ請求項1〜9のいずれかに記載の建材板のための請求項10〜15のいずれか一項に記載の固定システムの使用。
【請求項17】
建材板、とりわけ請求項1〜9のいずれか一項に記載の建材板を固定するための方法であり、特に請求項1〜15のいずれか一項に記載の固定システムを使用する方法であって、
a)所定の形状、特に丸いまたは矩形の形状の横断面となるように形成された、板の前面(10)から板(12)を貫通して裏面(11)までに及ぶ複数の孔(14)を含んだ有孔板を用意するステップ、
b)とりわけ金属および/またはプラスチックから成り、少なくとも一部が1つの孔(14)の内側に、および/または少なくとも1つの孔(14)の少なくとも一部に重なるように配置される別体の固定装置を用意するステップ、
c)有孔板(12)を該固定装置(18)と接続するステップ、および
d)固定手段、例えばねじまたは釘を固定装置(18)に導入するステップ
を含む方法。
【請求項18】
固定装置(18)が、少なくとも1つの孔(14)に押し込まれ、または差し込まれ、および/または有孔板(12)の介在部材と強固に接続されていることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
固定装置が、とりわけクランプで有孔板(12)と接続された、少なくとも1つの別体の固定有孔板、とりわけ固定有孔帯板を含み、該固定有孔板(15)は固定有孔板(15)の少なくとも1つの固定孔(17)が前記有孔板(12)の少なくとも1つの孔(14)と重なるように配置され、その少なくとも1つ固定孔(17)の直径は前記有孔板(12)の少なくとも1つの孔(14)の直径より小さいことを特徴とする請求項17または請求項18に記載の方法。
【請求項20】
特に請求項10〜16のいずれか一項に記載の固定システムにおいて使用する建材板、とりわけ請求項1〜9のいずれか一項に記載の建材板または建材板セットのための製造方法であって、
a)所定の形状、特に丸いまたは矩形の形状の横断面となるように形成された、板の前面(10)から板(12)を貫通して裏面(11)までに及ぶ複数の孔(14)を含んだ有孔板を用意するステップ、
b)とりわけ金属および/またはプラスチックから成り、少なくとも一部が1つの孔(14)の内側に、および/または少なくとも1つの孔(14)の少なくとも一部に重なるように配置される別体の固定装置を用意するステップ、および
c)有孔板(12)を該固定装置(18)と接続するステップ、
を含む前記製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2013−505382(P2013−505382A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530182(P2012−530182)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055721
【国際公開番号】WO2011/134506
【国際公開日】平成23年11月3日(2011.11.3)
【出願人】(510094539)
【Fターム(参考)】