説明

建材畳床と置き畳

【課題】硬すぎたり、繰り返しの使用で「へたり」を生じることがない建材畳床を提供する。
【解決手段】複数枚重ねたタタミボード3の上に、発泡倍率が15〜45倍である無架橋のポリプロピレン樹脂発泡体を緩衝材4として積層し、緩衝材の厚さを5〜10mmとした建材畳床1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝性と耐久性等を向上させた建材畳床と置き畳に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建材畳床として、図5に示すように、発泡樹脂層11の上に補強材12と緩衝材13とが積層され、裏面材14と一体にされたものが知られている(特許文献1参照)。これは、前記補強材12として、紙およびプラスチックを原料とした成型ボードの畳床である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−307024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の建材畳床においては、畳床の加工時の切断加工性は良くなったが、依然として新調の段階で硬すぎると感じたり、繰り返し圧縮によりへたり込み、元に戻らず補強材の硬さを感じるようになったりする課題がある。本発明に係る建材畳床は、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る建材畳床の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、建材畳床の表側において、保護材の下でタタミボードの上に、発泡体からなる緩衝材を介在させたことである。
また、建材畳床の表側において、クッション材の下で補強材の上に、発泡体からなる緩衝材を介在させたことである。
前記緩衝材は、無架橋ポリプロピレン型内成形発泡体を成形したものであることを含むものである。
【0006】
本発明に係る置き畳の要旨は、保護材の表層と、該表層の下に無架橋ポリプロピレン型内成形発泡体を成形した緩衝材とを配設して、これらを逢着若しくは接着等の手段で一体にしてなることである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の建材畳床によれば、この畳床の表側にある保護材若しくはクッション材の下に、発泡体からなる緩衝材を介在させることで、保温性能が向上して人が座る場合に室内温度との差が低減されて快適さが確保される。また、緩衝性能の向上により長時間座るにも適し、転倒時の衝撃を緩和しケガの発生を低減させる。
前記緩衝材により適度な硬さと反発力や復元性が得られて、畳独特の柔らかさが確保され、従来の建材畳床より疲れが少ないものとなる。そして、畳の芯材の上で緩衝性を持たせるので、人の出入りの多いところでも、繰り返しの圧縮に耐えられ畳の芯材のへたりやへこみが出にくくなる。
更に、無架橋ポリプロピレン型内成形発泡体の緩衝材の上に不織布等の保護材を備えることで、縫着した時に生じる糸による発泡体への切り裂き現象を防止すると共に、前記保護材の持つ吸湿性や放湿性を活かすことができる。そして、軽量衝撃音の低減になるとともに寸法安定性が向上する。
また、本発明の置き畳により、畳表若しくは布,不織布等の保護材を表層として内部に前記緩衝材とする組み合わせで、薄肉であって型くずれせず、肌触りの良い簡易的な敷物となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る建材畳床1の断面図である。
【図2】同本発明の実施例2に係る建材畳床1aの断面図である。
【図3】同本発明の実施例3に係る建材畳床1bの断面図である。
【図4】同本発明の実施例4に係る建材畳床1cの断面図である。
【図5】従来例に係る建材畳床の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
本発明に係る建材畳床1は、図1に示すように、JIS A5914に規定の材料および構造による区分における建材畳床I形の表側において、保護材2の下であって且つタタミボード3の上に、発泡体からなりその厚さが5mm〜10mm程度の緩衝材4を介在させたものである。符号5は、裏面材を示している。
【0010】
建材畳床の構成および材料は、日本工業規格(JIS)により、A5914により規格されており、前記保護材2は、保護効果,クッション性および通気性をもち、虫害のない不織布若しくは保護紙などである。前記タタミボード3は、JIS A5905に規定するタタミボード若しくはそれ以上のもので、厚さは例えば、5mm,7mm,10mm,15mm,20mmである。前記裏面材5は、シート状の強化用材料であり、JIS Z1533に規定するテープヤーン1種又は2種で、クラフト紙3種に圧着したものか同等以上のものである。
【0011】
前記緩衝材4は、無架橋のポリプロピレン型内成形発泡体を成形したものである(株式会社JSP製のピーブロック相当品)。この緩衝材4の性質は、耐熱性,緩衝性,耐油性,耐薬品性,断熱性に優れたものである。発泡倍率は、例えば、15倍〜45倍程度である。また、製品の切断やスライス熱接着、抜き等の二次加工が容易である。更に、繰り返しの使用に耐えるものであり、「へたり」がないばかりか、黒煙が少なく有毒ガスも少なく焼却処理が容易である。 前記緩衝材4の諸性質を下記の表に示す。
【0012】


このような建材畳床1により、人に優しい、安心して生活できる快適な畳床となるものである。
【実施例2】
【0013】
図2に示すように、同JIS A5914に規定の建材畳床II形(タタミボード3とポリスチレンフォーム板3aの2層)の表側において、保護材2の下でかつタタミボード3の上に、発泡体からなりその厚さが5mm程度の緩衝材4を介在させた建材畳床1aとするものである。他は上記実施例1と同様である。
【実施例3】
【0014】
図3に示すように、同JIS A5914に規定の建材畳床III形(タタミボード3とポリスチレンフォーム板3aの3層)の表側において、保護材2の下でかつタタミボード3の上に、発泡体からなりその厚さが5mm程度の緩衝材4を介在させた建材畳床1bとするものである。他は上記実施例1と同様である。
【実施例4】
【0015】
図4に示すように、同JIS A5914に規定の建材畳床N形(ポリスチレンフォーム板3aを主な材料としたもので、裏面にかまち補強材がないもの、K形もほぼ同様)の表側において、保護材2の下でかつ補強材6の上に、発泡体からなりその厚さが5mm程度の緩衝材4を介在させた建材畳床1cとするものである。前記補強材6は、耐圧性を強化する板状の材料である。他は上記実施例1と同様である。
【0016】
このように、無架橋のポリプロピレン型内成形発泡体を成形したものである(株式会社JSP製のピーブロック相当品)を建材畳床の保護材(クッション材)の下に使用することで、従来にない、優れた諸性質を持つ建材畳床となり風土に適したくつろげる生活環境を提供するものである。
【0017】
本発明に係る置き畳(図示せず)は、保護材としての例えば畳表や不織布等を表層として、その表層の下に前記無架橋ポリプロピレン型内成形発泡体を成形した緩衝材を配設して、これらを一体に逢着してなるものである。即ち、前記緩衝材に保護材を被せて、この緩衝材の側面と下面の一部を前記保護材のへりで被覆して、表層から裏層へと糸で縫いつけるものである。このほか、一体にする方法として、接着剤、例えば、アクリル樹脂系接着材(ピールアップタイプ:上下にずれたりするが、横にはずれない特性のもの、東リ株式会社製エコGAセメント等)で接着することでも可能である。
【0018】
この置き畳の厚さは、例えば、5mm〜10mm程度の薄いものである。この置き畳の大きさを種々用意することで、座布団等のような簡易的な敷物となったり、和室や洋間の床面に敷く敷物となったりするものである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明に係る建材畳床1〜1cや置き畳を使用することで、あらゆる床材若しくは薄い敷物として使用できるものである。
【符号の説明】
【0020】
1 建材畳床、 1a,1b,1c 建材畳床、
2 保護材、
3 タタミボード、
3a ポリスチレンフォーム板、
4 緩衝材、
5 裏面材、
6 補強材、
11 発泡樹脂層、
12 補強材、
13 緩衝材、
14 裏面材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建材畳床の表側において、
保護材の下でタタミボードの上に、発泡体からなる緩衝材を介在させたこと、
を特徴とする建材畳床。
【請求項2】
建材畳床の表側において、
クッション材の下で補強材の上に、発泡体からなる緩衝材を介在させたこと、
を特徴とする建材畳床。
【請求項3】
緩衝材は、無架橋ポリプロピレン型内成形発泡体を成形したものであること、
を特徴とする請求項1または2に記載の建材畳床。
【請求項4】
保護材の表層と、該表層の下に無架橋ポリプロピレン型内成形発泡体を成形した緩衝材とを配設して、これらを一体にしてなること、
を特徴とする置き畳。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−261184(P2010−261184A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111860(P2009−111860)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(303059990)油化三昌建材株式会社 (29)
【出願人】(509126450)櫻井商事株式会社 (1)
【Fターム(参考)】