説明

建物用の壁

【課題】見栄えを向上させる。
【解決手段】本発明の建物用の壁10は、上端が建物内の天井34と接続されると共に下端が建物内の床36と接続された壁本体を構成すると共に、壁本体の幅方向に離間して配置された少なくとも一対の壁構成材12と、一対の壁構成材12の互いに対向する端面16Aにそれぞれ開口されると共に各壁構成材12に上下方向に沿って形成された一対の溝部24と、前記一対の溝部24のそれぞれに設けられた弾性支持部材としての接着材26と、一対の壁構成材12の間に配置されて、一対の接着材26のみによって一対の壁構成材12に対して支持されると共に、天井34から床36に近接する位置まで上下方向に延在されたガラス板14と、を備えており、一対の壁構成材12は、一対の接着材26及びガラス板14によってのみ連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物用の壁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一対の框材の間にパネル板が設けられると共に、この一対の框材及びパネル板の上下が連結部材で連結された扉が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4011043号公報(図1,図5,図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の例では、扉の上側に設けられた連結部材が外部から視認可能な状態にあり、扉の上側における見栄えが悪いという問題がある。これは、扉だけの問題ではなく、建物用の壁についても同様である。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、見栄えを向上させることができる建物用の壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の建物用の壁は、上端が建物内の天井と接続されると共に下端が前記建物内の床と接続された壁本体を構成すると共に、前記壁本体の幅方向に離間して配置された少なくとも一対の壁構成材と、前記一対の壁構成材の互いに対向する端面にそれぞれ開口されると共に前記各壁構成材に上下方向に沿って形成された一対の溝部と、前記一対の溝部のそれぞれに設けられた弾性支持部材と、前記一対の壁構成材の間に配置されて、前記一対の弾性支持部材のみによって前記一対の壁構成材に対して支持されると共に、前記天井から前記床に近接する位置まで上下方向に延在されたガラス板と、を備え、前記一対の壁構成材が、前記一対の弾性支持部材及び前記ガラス板によってのみ連結された構成とされている。
【0007】
請求項1に記載の建物用の壁では、隣り合う壁構成材の間には、ガラス板が配置されており、このガラス板は、天井から床に近接する位置まで上下方向に延在されている。
【0008】
ここで、隣り合う壁構成材は、一対の弾性支持部材及びガラス板によってのみ連結されている。従って、隣り合う壁構成材同士を連結する連結部材が存在せず、ガラス板が天井から床に近接する位置まで外部から視認可能な状態となる。これにより、ガラス板がすっきりとした印象となり、壁全体の見栄えを向上させることができる。
【0009】
ところで、上述のように、隣り合う壁構成材が、一対の弾性支持部材及びガラス板によってのみ連結されていると、ガラス板に衝撃が加えられてガラス板が割れた場合に壁の損壊が懸念される。
【0010】
ところが、請求項1に記載の建物用の壁では、隣り合う壁構成材の互いに対向する端面に溝部がそれぞれ形成されており、この溝部のそれぞれに設けられた弾性支持部材によってガラス板が隣り合う壁構成材に対して弾性支持されている。従って、ガラス板に衝撃が加えられたときでも、この衝撃を弾性支持部材で吸収することができるので、ガラス板の割れを抑制することができる。
【0011】
また、弾性支持部材を用いることにより、ガラス板に強化ガラスを用いる必要が無く、非強化ガラスを用いることが可能となる。そして、ガラス板に非強化ガラスを用いた場合には、ガラス板に強い衝撃が加えられた場合でも、ガラス板が強化ガラスのように粉々に砕け散ることが防止され、通常は、ガラス板に亀裂が生じる。
【0012】
ここで、ガラス板は、隣り合う壁構成材によってのみ支持されている。このため、ガラス板に加えられた衝撃力は壁構成材へ向けて伝達され、上記亀裂も壁構成材に向かって生じる。従って、ガラス板に強い衝撃が加えられた場合でも、ガラス板に亀裂が上下方向に生じることを抑制できる。これにより、ガラス板が割れ難いか、又は、ガラス板が割れても壁としての機能を維持できる壁が実現可能となる。
【0013】
請求項2に記載の建物用の壁は、請求項1に記載の建物用の壁において、前記ガラス板が、前記一対の弾性支持部材によって前記壁本体の幅方向及び厚さ方向に支持された構成とされている。
【0014】
請求項2に記載の建物用の壁によれば、ガラス板が、一対の弾性支持部材によって壁本体の幅方向及び厚さ方向に支持されているので、ガラス板に対して壁本体の幅方向及び厚さ方向に衝撃が加えられた場合でも、ガラス板の割れを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上詳述したように、本発明によれば、ガラス板がすっきりとした印象となり、壁全体の見栄えを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る建物用の壁の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る建物用の壁の要部拡大平面断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る建物用の壁が建物内に取り付けられた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、上記図面に基づき、本発明の一実施形態について説明する。
【0018】
図1に示される本発明の一実施形態に係る建物用の壁10は、例えば、住宅等の建物におけるリビングの壁として好適に用いられるものであり、複数の壁構成材12と、ガラス板14とを有して構成されている。
【0019】
複数の壁構成材12は、壁10の本体を構成するものであり、それぞれ上下方向に延在する板状に構成されている。この複数の壁構成材12は、互いに壁10の幅方向(W方向)に離間して配置されており、図2に示されるように、縦枠材16と、柱18と、一対の石膏板20とをそれぞれ有して構成されている。
【0020】
縦枠材16は、壁構成材12の幅方向両側に配置されており、この縦枠材16に対する内側に配置された柱18に固定されている。一対の石膏板20は、柱18に対する表側と裏側に対向して配置されており、柱18に固定されている。そして、この縦枠材16、一対の石膏板20の表面は、クロス材22で覆われている。なお、図1,図3では、壁10にクロス材22を貼り付ける前の状態が示されている。
【0021】
また、縦枠材16には、一対の壁構成材12の互いに対向する端面16Aに開口する溝部24が形成されている。この溝部24は、縦枠材16に上下方向に沿って形成されており、その上端は、縦枠材16の上面に開口し(図1参照)、その下端は、縦枠材16の下面に開口している(不図示)。
【0022】
ガラス板14は、図1に示されるように、上下方向を長尺方向とする短冊状に形成されており、隣り合う壁構成材12の間に配置されている。このガラス板14は、透光性を有する非強化ガラスにより構成されている。
【0023】
なお、ここで言う強化ガラスとは、ガラスを軟化点温度近くまで加熱した後に、表層から急激に冷却することにより製造したものであり、非強化ガラスとは、これに当てはまらないものである。
【0024】
また、このガラス板14は、図2に示されるように、その幅方向両側が溝部24に挿入されている。そして、この状態で、この溝部24に接着材26が充填されると共に、この接着材26が固化されることにより、ガラス板14が隣り合う壁構成材12に対して支持されている。
【0025】
この接着材26(弾性支持部材)は、固化した状態でも弾性を有する材料のものであり、例えば、シリコーン変性ポリマー系弾性接着剤が用いられると好適である。
【0026】
また、接着材26は、ガラス板14の表面、側面、裏面と凹部の内面との間に充填されており、これにより、ガラス板14は、一対の接着材26によって壁10の幅方向及び厚さ方向に支持されている。なお、溝部24の開口部には、見切り板28が設けられており、接着材26が外部から見えないようになっている。
【0027】
このように、ガラス板14は、一対の接着材26のみによって隣り合う壁構成材12に対して支持されている。また、隣り合う壁構成材12の間に配置されるのは、ガラス板14のみであり、上述の隣り合う壁構成材12は、一対の接着材26及びガラス板14によってのみ連結されている。
【0028】
そして、図3に示されるように、上記構成からなる壁10が建物内に取り付けられた状態では、壁構成材12の上端及びガラス板14の上端は、天井34と接続され、壁構成材12の下端は、建物内の床36と接続される。なお、天井34には、床36側に開口する図示しない溝部が設けられており、壁10の上側の僅かな部分は、この溝部に挿入される。
【0029】
また、ガラス板14は、天井34から床36に近接する位置まで上下方向に延在され、このガラス板14の下端と床36との間には、支持台40が配置される。
【0030】
なお、上述の各構成部材のうち、ガラス板14、縦枠材16、接着材26(図2のユニットA)は、予め工場において組立されてユニット化されている。
【0031】
次に、本発明の一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0032】
本発明の一実施形態に係る建物用の壁10では、隣り合う壁構成材12の間には、ガラス板14が配置されており、このガラス板14は、天井34から床36に近接する位置まで上下方向に延在されている。
【0033】
ここで、隣り合う壁構成材12は、一対の接着材26及びガラス板14によってのみ連結されている。従って、隣り合う壁構成材12同士を連結する連結部材が存在せず、ガラス板14が天井34から床36に近接する位置まで外部から視認可能な状態となる。これにより、ガラス板14がすっきりとした印象となり、壁10全体の見栄えを向上させることができる。
【0034】
ところで、上述のように、隣り合う壁構成材12が、一対の接着材26及びガラス板14によってのみ連結されていると、ガラス板14に衝撃が加えられてガラス板14が割れた場合に壁10の損壊が懸念される。
【0035】
ところが、本発明の一実施形態に係る建物用の壁10では、隣り合う壁構成材12の互いに対向する端面16Aに溝部24がそれぞれ形成されており、この溝部24のそれぞれに設けられた接着材26によってガラス板14が隣り合う壁構成材12に対して弾性支持されている。従って、ガラス板14に衝撃が加えられたときでも、この衝撃を弾性を有する接着材26で吸収することができるので、ガラス板14の割れを抑制することができる。
【0036】
また、弾性を有する接着材26を用いることにより、ガラス板14に強化ガラスを用いる必要が無く、非強化ガラスを用いることが可能となる。そして、ガラス板14に非強化ガラスを用いた場合には、ガラス板14に強い衝撃が加えられた場合でも、ガラス板14が強化ガラスのように粉々に砕け散ることが防止され、通常は、ガラス板14に亀裂が生じる。
【0037】
ここで、ガラス板14は、隣り合う壁構成材12によってのみ支持されている。このため、ガラス板14に加えられた衝撃力は壁構成材12へ向けて伝達され、上記亀裂も壁構成材12に向かって生じる。従って、ガラス板14に強い衝撃が加えられた場合でも、ガラス板14に亀裂が上下方向に生じることを抑制できる。これにより、ガラス板14が割れ難いか、又は、ガラス板14が割れても壁としての機能を維持できる壁10が実現可能となる。
【0038】
また、本発明の一実施形態に係る建物用の壁10によれば、ガラス板14が、一対の接着材26によって壁10の幅方向及び厚さ方向に支持されているので、ガラス板14に対して壁10の幅方向及び厚さ方向に衝撃が加えられた場合でも、ガラス板14の割れを抑制することができる。
【0039】
また、本発明の一実施形態に係る建物用の壁10によれば、ガラス板14、縦枠材16、接着材26(図2のユニットA)は、予め工場において組立されてユニット化されている。従って、実際の取付現場においては、このユニットAを容易に取り付けることができる。
【0040】
また、本発明の一実施形態に係る建物用の壁10によれば、従来のように、大工が各構成部材を実際の取付現場において造り付けする場合に比して、ユニットAが予めユニット化されているので、大幅に工期を短縮することができると共に、現場作業を削減することができる。しかも、ユニットAが予め工場において組み立てられているので、ユニットAの品質を安定させることができる。これにより、安価で高品質な建物用の壁10を提供することができる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【0042】
例えば、上記実施形態では、壁10が4つの壁構成材12を有して構成されていたが、一対の壁構成材12、又は、5つ以上の壁構成材12を有して構成されていても良い。
【0043】
また、上記実施形態において、ガラス板14は、接着材26によって壁構成材12に弾性支持されていたが、例えば、弾性支持部材としてのゴム等によって弾性支持される構成とされていても良い。
【符号の説明】
【0044】
10 壁
12 壁構成材
14 ガラス板
16A 端面(一対の壁構成材の互いに対向する端面)
24 溝部
26 接着材(弾性支持部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端が建物内の天井と接続されると共に下端が前記建物内の床と接続された壁本体を構成すると共に、前記壁本体の幅方向に離間して配置された少なくとも一対の壁構成材と、
前記一対の壁構成材の互いに対向する端面にそれぞれ開口されると共に前記各壁構成材に上下方向に沿って形成された一対の溝部と、
前記一対の溝部のそれぞれに設けられた弾性支持部材と、
前記一対の壁構成材の間に配置されて、前記一対の弾性支持部材のみによって前記一対の壁構成材に対して支持されると共に、前記天井から前記床に近接する位置まで上下方向に延在されたガラス板と、
を備え、
前記一対の壁構成材は、前記一対の弾性支持部材及び前記ガラス板によってのみ連結されている、
建物用の壁。
【請求項2】
前記ガラス板は、前記一対の弾性支持部材によって前記壁本体の幅方向及び厚さ方向に支持されている、
請求項1に記載の建物用の壁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−196410(P2010−196410A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44526(P2009−44526)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(595142749)神谷コーポレーション株式会社 (15)
【Fターム(参考)】