説明

建物監視制御システムおよび建物監視制御方法

【課題】建物内の、セキュリティ管理と設備機器の制御とを連携して行うための連携情報を、安全、確実、且つ容易に設定および変更することが可能な建物監視制御システムおよび建物監視制御方法を提供する。
【解決手段】建物監視制御システム1は、管理情報記憶部11と制御エリア情報取得部13と制御対象機器情報抽出部14と連携情報生成部15とを備える。管理情報記憶部11は、各設備機器の位置情報を設備機器情報として記憶する。制御エリア情報取得部13は、入退室管理を行うエリア単位である部屋の、設備機器の制御エリアを示す制御エリア情報を取得する。制御対象機器情報抽出部14は、当該制御エリア情報内に位置情報を有する設備機器の情報を抽出する。連携情報生成部15は、抽出された設備機器の情報と当該部屋の情報とを対応づけて連携情報を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、建物監視制御システムおよび建物監視制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスビルなどの大型建物においては、監視制御システムにより在室者の状態に応じた空調制御や照明制御が行われるとともに、セキュリティシステムにより建物内への人間の入退室管理が行われている。
【0003】
この監視制御システムとセキュリティシステムとはそれぞれ別個に構築され運用される場合もあるが、近年はセキュリティシステムで取得された最初入室信号や最終退室信号に基づいて監視制御システムで空調や照明を制御するような連携制御が行われる場合もある。
【0004】
この連携制御では、例えばセキュリティシステムで最初入室信号が取得されると、この信号が監視制御システムに転送されて監視制御システムにおいて空調や照明が自動でON状態に制御され、またセキュリティシステムで最終退室信号が取得されると、この信号が監視制御システムに転送されて監視制御システムにおいて空調や照明が自動でOFF状態に制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−48565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように監視制御システムとセキュリティシステムとを連携させて制御を行う場合、監視制御システムで管理する設備機器と、セキュリティシステムで管理するエリアとを一致させるための連携情報を設定していることが必要である。
【0007】
そのため、例えば建物のフロア内が図5(a)の平面図で示されるように障壁により部屋A1、A2、B、およびCに分割されたレイアウトから壁Xが取り除かれ、(b)の平面図で示されるような部屋A、B、およびCに分割されたレイアウトに変更されセキュリティシステムで管理するエリアも変更された場合、これに合わせて部屋A1、A2のエリアの入退室情報にそれぞれ対応していた空調機器や照明機器を、部屋Aのエリアの入退室情報に対応させるように手動で連携情報の設定変更を行う必要があった。
【0008】
しかし、レイアウトの変更によりそれぞれの部屋に対応させる空調機器や照明機器を手動で変更するには処理が煩雑であるとともに、対応させる機器の選択を誤って操作してしまうと重要設備を停止させてしまう等の重大な誤制御を引き起こしてしまう危険性があるため、システム提供者に変更作業を依頼するケースが多かった。そこで、エンドユーザの管理者サイドで、安全、確実、且つ容易に、連携情報の設定および変更を可能にすることが望まれていた。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、建物内の、セキュリティ管理と設備機器の制御とを連携して行うための連携情報を、安全、確実、且つ容易に設定および変更することが可能な建物監視制御システムおよび建物監視制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための実施形態の建物監視制御システムは、建物監視制御システムは、管理情報記憶部と制御エリア情報取得部と制御対象機器情報抽出部と連携情報生成部とを備える。管理情報記憶部は、各設備機器の位置情報を設備機器情報として記憶する。制御エリア情報取得部は、入退室管理を行うエリア単位である部屋の、設備機器の制御エリアを示す制御エリア情報を取得する。制御対象機器情報抽出部は、当該制御エリア情報内に位置情報を有する設備機器の情報を抽出する。連携情報生成部は、抽出された設備機器の情報と当該部屋の情報とを対応づけて連携情報を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態による建物監視制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】一実施形態による建物監視制御システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】一実施形態による建物監視制御システムの管理画面表示部に表示された部屋レイアウトおよび制御エリアを示す画面構成図である。
【図4】一実施形態による建物監視制御システムの管理画面表示部に表示された設備機器の制御に関する情報およびエリア属性設定ポップアップ画面を示す画面構成図である。
【図5】(a)は、一実施形態による建物監視制御システムの管理画面表示部に表示された変更前の部屋レイアウト情報および制御エリアを示す画面構成図であり、(b)は、一実施形態による建物監視制御システムの管理画面表示部に表示された変更後の部屋レイアウト情報および制御エリアを示す画面構成図である。
【図6】一実施形態による建物監視制御システムの管理画面表示部に表示された部屋レイアウトおよび制御エリアを示す画面構成図の他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〈一実施形態による建物監視制御システムの構成〉
本発明の一実施形態による建物監視制御システムの構成について、図1を参照して説明する。
【0013】
本実施形態による建物監視制御システム1は、管理情報記憶部11と、管理画面表示部12と、制御エリア情報取得部13と、制御対象機器情報抽出部14と、連携情報生成部15と、設備機器制御部16とを有する。
【0014】
管理情報記憶部11は、管理対象の建物の入退室管理を行うエリア単位である部屋の配置を示す部屋レイアウト情報と、この建物内に設置され、入退室管理に基づいて制御を行う空調機や照明機器等の各設備機器に関する設備機器情報とを記憶する。
【0015】
この入退室管理を行う単位とは、ICカード等により入退室管理を行うエリアの単位であり、通常は障壁で囲まれた部屋単位である。また設備機器情報とは、管理画面表示部12において部屋レイアウト情報が表示された画面上での、各設備機器の位置に対応する座標情報や、設備名称情報、表示シンボル情報、機器のON/OFFを示すステータス、制御信号等を含む。
【0016】
管理画面表示部12は、管理情報記憶部11に記憶された部屋レイアウト情報を画面に表示する。
【0017】
制御エリア情報取得部13は、管理画面表示部12で表示された部屋レイアウト情報に基づいて画面上で部屋ごとに指定された、設備機器の制御エリアを示す制御エリア情報を取得する。
【0018】
制御対象機器情報抽出部14は、管理情報記憶部11に記憶された設備機器の位置情報に基づいて、制御エリア情報取得部13で取得された制御エリア情報内に位置情報を有する設備機器の情報を抽出する。
【0019】
連携情報生成部15は、制御対象機器情報抽出部14で抽出された設備機器の情報と、当該部屋の情報とを対応づけて、入退室管理と連携した設備機器の制御を行うための連携情報を生成する。
【0020】
設備機器制御部16は、別に構築された当該管理対象建物の入退室管理を行うセキュリティシステムに接続され、このセキュリティシステムから取得された入退室信号と、連携情報生成部15で生成された連携情報とに基づいて、当該建物内の設備機器を制御する。
【0021】
〈一実施形態による建物監視制御システムの動作〉
次に、本実施形態による建物監視制御システムの動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0022】
本実施形態において、建物監視制御システム1の管理情報記憶部11には、予め管理対象の建物のフロアごとの、入退室管理を行うエリア単位である部屋の配置を示す部屋レイアウト情報と、このフロア内に設置された空調機や照明機器等の設備機器ごとの、部屋レイアウト情報が表示された画面上での、設置位置に対応する座標情報、設備名称情報、表示シンボル情報、機器ステータス、制御信号等を含む設備機器情報とが記憶されているものとする。
【0023】
管理情報記憶部11に記憶された部屋レイアウト情報が、管理画面表示部12の画面に表示されたときの画面構成図の一例を、図3に示す。
【0024】
図3は、本実施形態による管理対象の建物の10階フロアの部屋レイアウト情報が平面図により管理画面表示部12の画面に表示されたものであり、当該フロアは部屋A、B、およびCの3つの部屋から構成されていることが示されている。
【0025】
このように処理対象のフロアの部屋レイアウト情報が管理画面表示部12に表示されている状態で(S1)、管理者によりこの管理画面上で各部屋の制御エリア情報がそれぞれ指定されると、制御エリア情報取得部13においてこの情報が取得される(S2)。この制御エリアとは、該当する部屋への入退室情報に基づいて空調機器や照明機器を制御するエリアである。
【0026】
この制御エリアはマウスやポインタデバイスが利用されて画面上で矩形データにより指定されるものであり、この矩形データは、各制御エリアを識別するためのエリア名称、当該エリアのセキュリティレベル、用途、画面に表示させるときの線種、線色、画面上における矩形の頂点の座標情報、頂点のシンボル、頂点のシンボル色、矩形内の塗りつぶし色等の属性情報を有している。これらの属性情報は、管理者により適宜変更可能である。
【0027】
ここでは、図3に示すように管理画面上で、部屋Aの制御エリアとして部屋A内をほぼ網羅する範囲である制御エリアaが指定され、部屋Bの制御エリアとして部屋B内をほぼ網羅する範囲である制御エリアbが指定され、部屋Cの制御エリアとして部屋C内をほぼ網羅する範囲である制御エリアcが指定され、設定された属性情報に基づいてそれぞれ点線の矩形で表示されたものとする。
【0028】
制御エリア情報取得部13において制御エリア情報が取得されると、管理情報記憶部11に記憶された設備機器の位置情報に基づいて、制御エリア情報取得部13で取得されたそれぞれの制御エリア情報内に位置情報を有する設備機器の情報が、制御対象機器情報抽出部14において抽出される(S3)。
【0029】
次に連携情報生成部15において、制御対象機器情報抽出部14において抽出された設備機器の情報と、当該部屋の情報とが対応づけられて、入退室管理と連携した設備機器の制御を行うための連携情報が生成される(S4)。この連携情報では、各部屋の情報に、複数の空調機、照明機器等の設備機器を対応づけることが可能である。
【0030】
生成された連携情報は管理者への確認を促すために管理画面表示部12に表示されて必要に応じて管理者の操作により修正され、管理情報記憶部11に記憶される(S5)。
【0031】
このように連携情報が生成され管理情報記憶部11に記憶されている状態で、別に構築されたセキュリティシステムにより例えば部屋Aへの最初入室信号が取得され建物監視制御システム1でこれが取得されると、設備機器制御部16に予め設定された制御情報および管理情報記憶部11に記憶された連携情報に基づいて制御エリアa内の照明機器や空調機がON状態になるように制御される。
【0032】
また、セキュリティシステムにより例えば部屋Aからの最終退室信号が取得され建物監視制御システム1でこれが取得されると、設備機器制御部16に予め設定された制御情報および管理情報記憶部11に記憶された連携情報に基づいて制御エリアa内の照明機器や空調機がOFF状態になるように制御される。
【0033】
設備機器制御部16による設備機器の制御に関する情報は管理情報記憶部11に記憶され、必要に応じて管理画面表示部12に表示される。
【0034】
管理画面表示部12に設備機器の制御に関する情報が表示されたときの一例を、図4に示す。
【0035】
図4は、部屋Aの制御エリアとして制御エリアaが指定され、この制御エリアaに位置情報を有する設備機器として機器AC−(1)〜AC−(8)が抽出され、これらの設備機器の情報が予め設定された表示シンボル情報等に従って画面上の該当する位置に表示された場合の画面表示図である。
【0036】
またこの画面には、この制御エリアaの属性情報や設備機器の制御に関する情報を含むエリア属性設定ポップアップ画面Pが表示されるようにしてもよい。図4では、エリア属性ポップアップ画面Pに、制御エリアaが矩形データで指定されたときの属性情報として保持されたエリア名称「XXXX」、セキュリティレベル「SA」、および用途「空調」と、設備機器の制御に関する情報として保持された最新の最初入室信号「BI***」および最終退室信号「BI***」と、連携情報生成部15で生成された連携情報に保持された、制御エリアa内に位置情報を有する設備機器AC−(1)〜AC−(8)とが、表示された場合を示している。
【0037】
このようなエリア属性ポップアップ画面Pを表示させることにより、監視制御対象のエリアに関する詳細な状態の情報を管理者に提供することができる。
【0038】
以上の本実施形態による建物監視制御システム1では、管理画面表示部12で部屋レイアウト情報が表示された画面上において制御エリアを指定する操作を行うのみで自動で連携情報が生成されるため、部屋レイアウト情報が変更になった場合にも、変更後の部屋レイアウト情報が表示された画面上においてエンドユーザである管理者が制御エリアを指定し直す操作を行えば、容易に適切な連携情報に変更することが可能になり、入退室管理を行うセキュリティシステムと連携して在室者に快適な環境を提供するための設備機器制御を行うことができる。
【0039】
例えば図5(a)に示すような部屋レイアウトから壁Xが取り除かれ、図5(b)に示すような部屋レイアウトに変更になったときには、図5(a)のように指定されていた部屋A1の制御エリアa1と部屋A2の制御エリアa2とを削除し、図5(b)のように部屋Aの制御エリアaを指定し直す操作を行うことにより、容易に連携情報を変更することが可能になる。
【0040】
この際、常時稼働させておく必要のある重要設備などは変更不可能な状態に設備機器情報を予め設定しておくことで、管理者の操作により重大な誤制御を引き起こすことを防ぐことができる。
【0041】
上記実施形態において、制御エリアが指定される際に、部屋内を網羅する範囲が指定される場合について説明したがこれには限られず、図6に示すように、部屋の中の空調機器や照明機器による制御を必要とするエリア、例えば部屋内の普段使用していない範囲Qを除いたエリアや、在室者が執務に使用する机がおいてあるエリアなどを任意の大きさで選択的に指定するようにしてもよい。
【0042】
このように制御エリアを指定することにより、在室者が使用しない場所には照明機器や空調機による制御を行わないようにし、無駄なエネルギー消費を省くことができる。
【0043】
また、上記実施形態においては管理者の手動操作で制御エリアを設定する場合について説明したが、入退室管理を行うセキュリティシステムにおいて入退室管理を行うエリア単位の部屋の情報(セキュリティエリア)を設定、および変更する際に、該セキュリティエリアの設定情報をセキュリティシステムから建物監視制御システムに送出することにより、建物監視制御システムで取得し、この設定情報に基づき制御エリアを設定して連携情報の生成に利用するようにしてもよい。
【0044】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1…建物監視制御システム
11…管理情報記憶部
12…管理画面表示部
13…制御エリア情報取得部
14…制御対象機器情報抽出部
15…連携情報生成部
16…設備機器制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各設備機器の位置情報を設備機器情報として記憶する管理情報記憶部と、
入退室管理を行うエリア単位である部屋の、設備機器の制御エリアを示す制御エリア情報を取得する制御エリア情報取得部と、
前記管理情報記憶部に記憶された設備機器の位置情報に基づいて、前記制御エリア情報取得部で取得された制御エリア情報内に位置情報を有する設備機器の情報を抽出する制御対象機器情報抽出部と、
前記制御対象機器情報抽出部で抽出された設備機器の情報と、当該部屋の情報とを対応づけて、入退室管理と連携して設備機器の制御を行わせるための連携情報を生成する連携情報生成部と
を備えることを特徴とする建物監視制御システム。
【請求項2】
管理対象の建物の部屋の配置を示す部屋レイアウト情報を画面に表示する表示部をさらに有し、
前記管理情報記憶部は、前記表示部において部屋レイアウト情報が表示された画面上での、各設備機器の位置に対応する座標情報を設備機器情報として記憶し、
前記制御エリア情報取得部は、前記表示部に表示された部屋レイアウト情報に基づいて部屋ごとに指定された、設備機器の制御エリアを示す制御エリア情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の建物監視制御システム。
【請求項3】
前記管理情報記憶部において記憶する設備機器情報のうち、重要設備の設備機器情報は変更不可能な状態に設定される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の建物監視制御システム。
【請求項4】
前記制御エリア情報取得部で取得される制御エリア情報は、当該部屋のエリアの中から任意の大きさで選択される
ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の建物監視制御システム。
【請求項5】
建物監視制御システムが、
管理対象の建物の、入退室管理を行うエリア単位である部屋の配置を示す部屋レイアウト情報を画面に表示する表示ステップと、
前記表示ステップにより部屋レイアウト情報が表示された画面上での、各設備機器の位置に対応する座標情報を設備機器情報として記憶する設備機器情報記憶ステップと、
前記表示ステップにより表示された部屋レイアウト情報に基づいて部屋ごとに指定された、設備機器の制御エリアを示す制御エリア情報を取得する制御エリア情報取得ステップと、
前記設備機器情報記憶ステップにより記憶された設備機器の位置情報に基づいて、前記制御エリア情報取得ステップで取得された制御エリア情報内に位置情報を有する設備機器の情報を抽出する制御対象機器情報抽出ステップと、
前記制御対象機器情報抽出ステップで抽出された設備機器の情報と、当該部屋の情報とを対応づけて、入退室管理と連携して設備機器の制御を行わせるための連携情報を生成する連携情報生成ステップと
を有することを特徴とする建物監視制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−53775(P2012−53775A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197004(P2010−197004)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】