説明

建物開口部用内窓

【課題】建物開口部における外窓の内側に断熱のための内窓を、簡単に組み立てて、簡易に建物開口部の寸法に合わせて設置できるように構成する。
【解決手段】建物開口部枠内に装着される内窓を、外窓側の四周に位置する外枠材11,12と、それらの内側に透光板7を挟んで配設される内枠材21,22との接合により構成する。内窓の周枠は、中空筒状の本体部14の内周側に透光板の受け面15を有する縦横の金属製の外枠材11,12を四隅において連結することにより、形状保持性が付与され、透光板は、その四周を上記受け面15に面ファスナー8を介して取り付ける。内枠材は、合成樹脂製で、四周の各外枠材の室内側を被包するカバーの形態を有し、外枠材に係着する係止鈎24,25を備え、上記受け面に対向する部位に上記透光板を該受け面側に押圧する可撓舌片26を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部における既設の外窓の内側(室内側)に設置して窓用障子を二重にすることにより断熱効果を高めるようにした建物開口部用内窓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、室内の暖冷房効果を高めるために建物開口部におけるガラス窓の内側に内窓を設置したいという要望が高まっているが、既存の建物の開口部におけるこの内窓の設置に際しては、新しい二重窓用のサッシを設置するよりも、既設のガラス窓の内側に新たに内窓だけを設置することが多く、しかも、施工業者でなくても後付けで簡易に設置可能にすることが望まれている。
このような要望に応えるためには、内窓の設置作業の容易性を考慮するだけでなく、設置作業時及び設置後の使用時における危険性の排除、使用状態において不具合が生じるのを抑制するための十分な配慮が必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の技術的課題は、既存の建物開口部における外窓の内側に断熱のための内窓を設置するに当たり、該建物開口部に内窓設置のための各種の加工を行う必要がなく、施工業者でなくても、建物開口部の寸法に合わせて、該内窓を簡易に設置できるようにした建物開口部用内窓を提供することにある。
本発明の他の技術的課題は、施工業者による設置でなくても、通常の使用状態では、建物開口部に設置した内窓に破損等の可能性や断熱効果の低下、その他の不具合が生じる可能性がないようにした建物開口部用内窓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明によれば、建物開口部における外窓の内側に設置して二重窓を形成させるための内窓であって、建物開口部枠内にガイド材を介して装着される内窓の周枠が、外窓側の四周に位置する外枠材と、それらの内側に透光板を挟んで配設される内枠材との接合により構成され、上記周枠は、中空筒状の本体部の内周側に上記透光板の受け面を有する各一対の縦及び横の金属製の外枠材を四隅において連結することにより形状保持性を付与してなり、上記透光板は、その四周を上記外枠材における上記受け面に対して面ファスナーまたは緩衝材を介して取り付けられ、上記内枠材は、四周の各外枠材の室内側を被包するカバーとしての形態を有し、上記外枠材における本体部の周囲に弾性的に係着する少なくとも一対の係止鈎を備え、且つ、上記外枠材における受け面に対向する部位に上記透光板を該受け面側に押圧する可撓舌片を備え、該係止鈎及び可撓舌片を上記内枠材と共に合成樹脂で一体に成形していることを特徴とする建物開口部用内窓が提供される。
【0005】
本発明に係る建物開口部用内窓の好ましい実施形態においては、上記透光板を外枠材における受け面に対して面ファスナーにより取り付け、該面ファスナーは、互いに着脱可能に接合されて、その接合面間に通気間隙が形成される第1及び第2のファスナー片により構成され、上記内枠材における可撓舌片に、上記面ファスナーの接合面間及び内外枠材内を通して透光板の反対面側に流れる気流を阻止するシール機能をもたせたものとして構成される。
【0006】
本発明に係る建物開口部用内窓の他の好ましい実施形態においては、上記透光板を外枠材における受け面に対して取り付ける面ファスナーが、第1のファスナー片における多数の鈎形突子と第2のファスナー片における多数の繊維ループとが係着した状態において、それらの接合面内でずれ動き可能に形成されたものであり、該面ファスナーによって外枠材の受け面に取り付けられる合成樹脂製の透光板が、縦及び横の金属製の外枠材との熱膨張の差異によって応力を受けるのを抑制したものとして構成される。
【0007】
上記構成を有する建物開口部用内窓は、建物開口部における外窓の内側に断熱のための内窓を設置するに当たり、該建物開口部における内窓の設置位置にガイド材を釘やねじ等で固定して、それに建物開口部の寸法に合わせた所定寸法の網戸枠を嵌め着ければよく、そのため、建物開口部に内窓設置のための各種の加工を行う必要がなく、施工業者でなくても、該内窓を簡易に設置することができる。
【0008】
上記内窓自体の組立も、アルミニウム等の金属製の外枠材用の縦横の枠材を所要の寸法に切断して、それらをコーナー部材で連結することにより外枠材を構成し、その受け面に面ファスナー等を介して透光板を取り付け、その透光板を、各外枠材に対して必要な寸法に切断した内枠材の係止鈎を弾性的に係着させることにより、上記組立を完了し、該透光板を外枠材に対して安定的に保持させることができる。
【0009】
また、上記内窓自体は、その周枠が、外窓側の四周に位置する外枠材とそれらの内側に透光板を挟んで配設される内枠材との接合により構成され、上記外枠材は、アルミニウム等の金属製の縦横の枠材を四隅において連結することにより形状保持性を付与し、該外枠材の内周側に設けた受け面に透光板を面ファスナー等により取り付けているので、不用意に室内側から透光板を押すようなことがあっても、該透光板が外枠材に安定的に保持されているので外れるようなことはない。
しかも、上記内枠材は、四周の各外枠材の室内側を被包するカバーとしての形態を有する合成樹脂製であり、透光板も合成樹脂製とするので、冬期に二重窓間の空間の温度が低下しても室内側の内枠材等に結露することはない。
【0010】
更に、上記透光板を外枠材における受け面に対して面ファスナーにより取り付けたままの構成にすると、該面ファスナーの接合面間に通気間隙が形成されることから、上記面ファスナーの接合面間及び内外枠材内を通して透光板の一面側の空気が反対面側に流れ、断熱効果を損なうことになるが、上記透光板を押さえる内枠材の可撓舌片にその空気の流通を阻止するシール機能をもたせているので、透光板の保護と断熱を効果的に行わせることができる。
【0011】
また、上記外枠材を形成するアルミニウム等の金属材と透光板を構成するポリカーボネート樹脂等の合成樹脂材は、熱膨張係数に差があり、そのため、該透光板を外枠材に対して固定的に保持させておくと、該透光板が膨出したり破損したりする可能性があるが、上述したように面ファスナーがその接合面内でずれ動くようにして、透光板の位置や姿勢を拘束しないようにしておくと、外枠材と透光板との熱膨張の差異によって該透光板が応力を受けるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上に詳述した本発明の建物開口部用内窓によれば、建物開口部における外窓の内側に断熱のための内窓を設置するに当たり、該建物開口部に内窓設置のための各種の加工等を行う必要がなく、該内窓を簡易に設置することができ、しかも、通常の使用状態では、建物開口部に設置した内窓に破損等の可能性や断熱効果の低下、その他の不具合が生じる可能性を抑制した建物開口部用内窓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る建物開口部用内窓の実施例における内窓ユニットの一部破断分解斜視図である。
【図2】本発明に係る建物開口部用内窓の実施例の縦断面図である。
【図3】同実施例の横断面図である。
【図4】上記内窓ユニットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜図4は、本発明に係る建物開口部用内窓の望ましい実施例を示している。この実施例の建物開口部用内窓は、建物開口部における既設の窓(外窓)の内側に設置して二重窓を形成させるためのものであって、該内窓を構成する一対の内窓ユニット1を建物開口部の上下枠に固定するガイド材2,3に引き違い戸状に配して保持させている。上記ガイド材2,3は、汎用されている周知の紙障子を嵌める敷居の溝と同程度の幅を有し、その溝幅内に上記一対の内窓ユニット1を引き違い戸状に建て込むようにしているため、該ガイド材2,3に形成されている各2条の溝2a,3aは、紙障子の敷居の溝に対し1/2程度の幅をもつことになり、小さいスペースに内窓を設置することができる。
【0015】
上記ガイド材2,3は、上記各2条の溝2a,3aを有する一定の断面形状のものとして合成樹脂で押出成形されたものであり、それを建物開口部の上下枠に固定するには、それらの各溝底を通して釘やねじ等の固定金具5を建物開口部の枠材に打ち込むことになるが、特に建物開口部の下枠に固定するガイド材3は、その溝底を内窓ユニット1の下端が摺動することになるので、上記固定金具5の頭部と内窓ユニット1の下端摺動面が接触するのを避けるために、ガイド材3の溝底に滑り性の良好なテープ材6を敷設するようにしている。なお、建物開口部の左右の縦枠にも、必要に応じて、同様な構成のガイド材4を設けることができる。
【0016】
上記建物開口部に上下のガイド材2,3を介して装着される一対の内窓ユニット1は、アルミニウム等の金属材により形成されて、外窓側の四周に位置する一対の縦横の外枠材11,12と、図1に示すように、該縦横の外枠材11,12を四隅において相互に接合するコーナー部材30と、該縦横の外枠材11,12の内側に透光板7を挟んで配設される合成樹脂製の一対の縦横の内枠材21,22とを備えるものであり、上記各一対の縦及び横の金属製の外枠材11,12をコーナー部材30とビス31で強固に連結することにより、内窓ユニット1に形状保持性を付与している。
なお、図2に示す内窓は、その左側を外窓側とし、反対側を室内側として設置されるものである。
【0017】
上記縦横の各外枠材11,12としては、図2及び図3から分かるように、互いに同一の断面形状を有する型材を用いている。該外枠材11,12は、中空筒状の本体部14を有し、該本体部14には外窓側面と面一で該本体部14の内周側に延びる上記透光板7の受け面15が一体に形成され、また、上記本体部14の内面に、この外枠材11,12の端部にコーナー部材30をビス31で連結するためのビスポケット(ビスの螺挿孔)16を設けている。更に、上記受け面15の内面側には、そこに載置した透光板7の移動の限度を設定するためのリブ15aを、透光板7の周囲に若干の余裕が生じるようにして突設している。
なお、縦の外枠材11の強度が問題になる場合には、その本体部14内に、図3に示すようなコ字状に折曲した補強鉄板17を嵌入すればよく、縦横の外枠材11,12の強度を高めるには、図1に示すようにその両者に補強鉄板17を嵌入すればよい。
【0018】
上記透光板7は、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂材板によって形成され、その四周を上記外枠材11,12における各受け面15に対して面ファスナー8を介して取り付けることにより、外枠材に安定的に保持させている。該面ファスナー8は、上記透光板7と上記受け面15とに両面テープで取り付けられる第1及び第2のファスナー片によって構成され、その一方のファスナー片における多数の鈎形突子と他方のファスナー片における多数の繊維ループとが係着することにより、両ファスナー片が接合されるものである。
なお、面ファスナー8は上記構成のものに限らず、他の構成を有するものを用いることができる。また、該面ファスナーに代えて、ゴム弾性を有する緩衝材を介在させることもできる。
【0019】
一方、上記縦横の内枠材21,22は、上記外枠材11,12の室内側を被包するカバーとしての形態を有し、上記外枠材11,12における本体部14の周囲に弾性的に係着する少なくとも一対の係止鈎24,25を備えている。また、上記外枠材11,12における受け面15に対向する内枠材21,22の延長部位21a,22aに、上記透光板7を該受け面15側に押圧する可撓舌片26を備え、該係止鈎24,25及び可撓舌片26を上記内枠材21,22と共に合成樹脂で一体に成形している。該可撓舌片26は、軟質樹脂の一体成形であることが望ましい。
【0020】
なお、上記縦横の内枠材21,22も、基本的には同一形状を有するものであるが、図3に示すように、一対の内窓ユニット1で外窓との間の空間を閉じたときに相互に重なる縦の内枠材21間は、通常、モヘア等によって閉じることになるが、上記内枠材21は合成樹脂製であるため、その一方に他方との間の隙間を埋める可撓突片27を設けておくことにより、上記モヘアに代えることもできる。図1及び図4中の符号28は、内枠材21に取り付けた開閉操作用の取っ手を示している。
また、内枠材21,22に設ける上記可撓舌片26は、それを外枠材11,12に係着させる場合に、部分的にコーナー部材30と干渉することがあるが、その場合には可撓舌片26の不必要部分を切除することになる。
【0021】
更に、上記透光板7を外枠材11,12における受け面15に対して上記面ファスナー8により取り付けたままの構成にすると、該面ファスナー8の接合面間に通気間隙が形成されることから、該接合面間及び内外枠材内を通して、透光板7の一面側の空気が反対面側に流れて断熱効果を損なうことになるが、上記透光板7を押さえる内枠材21,22の可撓舌片26にその空気の流通を阻止するシール機能をもたせているので、透光板7の保護と断熱を効果的に行わせることができる。
【0022】
また、上記外枠材11,12を形成するアルミニウム等の金属材と透光板7を構成するポリカーボネート樹脂等の合成樹脂材は、熱膨張係数に差があり、そのため、該透光板7を外枠材11,12に対して固定的に保持させておくと、該透光板7に内部応力が発生して部分的に膨出したり破損したりする可能性があるが、上述したように面ファスナー8がその接合面内でずれ動くような構成のものとして、透光板7の位置や姿勢を拘束しないようにしておくと、外枠材11,12と透光板7との熱膨張の差異によって該透光板7が応力を受けるのを抑制することができる。また、上記面ファスナー8は緩衝性を有しているので、透光板7を剛に固定する場合に比して、亀裂等の損傷が生じるのを回避することができる。
【0023】
上記構成を有する建物開口部用内窓は、建物開口部における内窓の設置位置にガイド材2,3を釘やねじ等で固定して、それに建物開口部の寸法に合わせた所定寸法の内窓ユニットを嵌め着ければよく、そのため、建物開口部に内窓設置のための各種の加工を行う必要がなく、施工業者でなくても、該内窓を簡易に設置することができる。また、内窓自体の組立も、アルミニウム等の金属製の外枠材用の縦横の枠材を所要の寸法に切断して、それらをコーナー部材30で連結し、外枠材11,12の受け面15に面ファスナー等を介して透光板7を取り付け、その透光板7を、各外枠材11,12に対して必要な寸法に切断した内枠材21,22の係止鈎24,25を弾性的に係着させれば上記組立を完了することができ、それにより該透光板7を外枠材11,12に対して安定的に保持させることができる。
【符号の説明】
【0024】
7 透光板
8 面ファスナー
11,12 外枠材
14 本体部
15 受け面
21,22 内枠材
24,25 係止鈎
26 可撓舌片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部における外窓の内側に設置して二重窓を形成させるための内窓であって、
建物開口部枠内にガイド材を介して装着される内窓の周枠が、外窓側の四周に位置する外枠材と、それらの内側に透光板を挟んで配設される内枠材との接合により構成され、
上記周枠は、中空筒状の本体部の内周側に上記透光板の受け面を有する各一対の縦及び横の金属製の外枠材を四隅において連結することにより形状保持性を付与してなり、
上記透光板は、その四周を上記外枠材における上記受け面に対して面ファスナーまたは緩衝材を介して取り付けられ、
上記内枠材は、四周の各外枠材の室内側を被包するカバーとしての形態を有し、上記外枠材における本体部の周囲に弾性的に係着する少なくとも一対の係止鈎を備え、且つ、上記外枠材における受け面に対向する部位に上記透光板を該受け面側に押圧する可撓舌片を備え、該係止鈎及び可撓舌片を上記内枠材と共に合成樹脂で一体に成形している、
ことを特徴とする建物開口部用内窓。
【請求項2】
上記透光板を外枠材における受け面に対して面ファスナーにより取り付け、該面ファスナーは、互いに係脱可能に接合されて、その接合面間に通気間隙が形成される第1及び第2のファスナー片により構成され、
上記内枠材における可撓舌片に、上記面ファスナーの接合面間及び内外枠材内を通して透光板の反対面側に流れる気流を阻止するシール機能をもたせた、
ことを特徴とする請求項1に記載の建物開口部用内窓。
【請求項3】
上記透光板を外枠材における受け面に対して取り付ける面ファスナーが、第1のファスナー片における多数の鈎形突子と第2のファスナー片における多数の繊維ループとが係着した状態において、それらの接合面内でずれ動き可能に形成されたものであり、
該面ファスナーによって外枠材の受け面に取り付けられる合成樹脂製の透光板が、縦及び横の金属製の外枠材との熱膨張の差異によって応力を受けるのを抑制した、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の建物開口部用内窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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