説明

建物

【課題】二次電池のメンテナンスが容易で、且つ二次電池の好ましい使用環境を確保できる建物を得る。
【解決手段】バルコニーフレーム20の下面に、吊り下げ金具27によって二次電池28が吊り下げられた状態で収納され、周囲には断熱材66が配置される。バルコニーフレーム20には防水シート22が敷かれている。軒天板には二次電池28を出し入れ可能とする開口部30が形成され、蓋部材32で開閉される。蓋部材32には、換気口34が設けられている。半屋外であるバルコニー18に二次電池28を収納するとともに、蓋部材32をあけて二次電池28にアクセスできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池を収納可能とされた建物に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物では、二次電池(蓄電池)を備えたものがある。たとえば特許文献1には、蓄電池をユニットフレームの床部あるいは壁部に収納設置した建物ユニットが記載されている。
【0003】
しかし、このように蓄電池をユニットフレームの内部に収納してしまうと、蓄電池のメンテナンス等が困難になる。蓄電池に対するメンテナンス性向上のためだけであれば、蓄電池を屋外に設置することも考えられるが、屋外は蓄電池の使用環境としては、好ましいとは言えない。
【特許文献1】特許第3993339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、二次電池のメンテナンスが容易で、且つ二次電池の好ましい使用環境を確保できる建物を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、建物本体の半屋外に設けられ二次電池を収納可能とされた収納庫と、前記収納庫内において、前記二次電池を外部から防水する防水手段と、前記収納庫内において、前記二次電池を外部から断熱する断熱部材と、前記収納庫内を換気する換気手段と、を有する。
【0006】
本発明では、二次電池(蓄電池)を収納可能な収納庫が、建物本体の半屋外に設けられている。この「半屋外」は、建物本体の内部(屋内)のように人が居住するスペースではないものの、建物の外部に露出していない部分をいい、たとえば、バルコニーや屋根の軒天板裏、玄関ポーチ下、玄関庇、勝手口庇、ふかし壁の内部等が該当する。このような半屋外に収納庫を設けて二次電池を収納しているので、二次電池を建物のユニットフレームの内部に配置した構成と比較して、メンテナンスが容易になる。
【0007】
また、本発明では、防水手段によって二次電池が外部から防水され、断熱手段によって、二次電池が外部から断熱されている。さらに、換気手段によって、収納庫が換気されている。これらにより、収納庫内に収納された二次電池に対し、好ましい使用環境を確保することが可能になる。
【0008】
なお、本発明の換気手段は、少なくとも収納庫内を換気できれば充分であり、この換気には、たとえば、空調装置を用いて収納庫内を空調することにより換気する構成も含まれる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記収納庫に設けられ、前記二次電池を収納庫内に出し入れ可能とする開口部と、前記開口部を閉塞可能な蓋部材と、を有する。
【0010】
したがって、蓋部材により通常は開口部を閉塞することができるが、蓋部材を開けた状態では、開口部から二次電池を収納庫内に出し入れし、たとえばメンテナンス等の作業を行うことができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記開口部が下方に向かって開口されている。
【0012】
これにより、開口部から収納庫内への雨水等の浸入をより確実に抑制可能となる。開口部周縁に防水構造を設ける場合でも、簡素化できるので、軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記二次電池が収納庫の内面から離間して保持されている。
【0014】
このように、二次電池を収納庫の内面から離間させて、すなわち収納庫の内面に対し非接触で保持することで、二次電池が収納庫に内面に接触している構成と比較して、より高い断熱効果、防水効果を得ることが可能になる。
【0015】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記収納庫の天面から収納庫の底板を吊り下げるための吊り下げ部材を備え、前記二次電池が前記吊り下げ部材に保持されて前記天面から吊り下げられている。
【0016】
このように、収納庫の底板を吊り下げる吊り下げ部材を用い、この吊り下げ部材に二次電池を保持させることで、二次電池を収納庫の天面から吊り下げて保持することが可能になる。
【0017】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の発明において、前記断熱部材が、前記吊り下げ部材と前記二次電池の間に配置され二次電池を吊り下げ部材に対し固定している。
【0018】
したがって、断熱部材を用いて、二次電池を吊り下げ部材に対し固定でき、結果的に、吊り下げ部材を介して二次電池を収納庫に対しても固定できることになる。二次電池を固定するために他の部材が不要なので、部品点数が少なくて済む。
【0019】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜請求項6に記載の発明において、前記二次電池を保持しつつ、前記収納庫内に収納した収納位置と前記収納庫から取り出した取出位置との間で移動可能とする移動手段、を有する。
【0020】
したがって、移動手段により、二次電池を収納位置と取出位置との間で移動させることができる。
【0021】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の発明において、前記移動手段に備えられ、前記移動手段の移動範囲を制限する移動範囲制限手段、を有する。
【0022】
すなわち、移動手段による二次電池の移動範囲が移動範囲制限部材によって制限される。たとえば、二次電池を昇降させる場合に、地面に接触しない昇降範囲に制限する等が可能であり、作業性がさらに向上する。
【0023】
請求項9に記載の発明では、請求項8に記載の発明において、前記移動手段に備えられ、前記二次電池を前記取出位置で移動手段に対し固定する固定手段、を有する。
【0024】
固定手段により、二次電池を取出位置で固定することで、取出位置での二次電池に対する各種の作業性が向上する。固定手段を複数設けることで、固定位置を複数設定することも可能であり、これによってさらに作業性が向上する。
【0025】
請求項10に記載の発明では、前記換気手段が、前記収納庫内に設けられたファンと、前記収納庫に設けられた換気口と、を含んでいる。
【0026】
ファンを駆動し換気口を通じで空気を出入りさせて収納庫内を換気できる。ファンと換気口を設ける簡単な構造で、換気手段を構成できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は上記構成としたので、二次電池のメンテナンスが容易で、且つ二次電池の好ましい使用環境を確保できる建物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1には、本発明の第1実施形態に係る建物12が部分的に示されている。この建物12は、ユニットフレーム14Uにより構成された複数の建物ユニット14を水平方向及び垂直方向に接合して構成されており、1階部分12−1と2階部分12−2とを有している。建物12の2階部分12−2からは、建物本体16の外側にむけてバルコニー18が固定されている。
【0029】
図2にも示すように、バルコニー18は、建物本体16と接合された略水平のバルコニーフレーム20を有している。バルコニーフレーム20には防水シート22が敷かれており、さらにその上に、バルコニー仕上材24が配置されている。
【0030】
バルコニーフレーム20の下面側には、複数の吊り下げ金具27によって、軒天板26が吊り下げられている。軒天板26はバルコニーフレーム20と平行に配置されており、バルコニーフレーム20と建物外壁16Sの一部及び腰壁21の下部との間の空間が本発明に係る収納庫62となっている。そして、この収納庫62内に、後述するように吊り下げ金具27によって、1又は複数(本実施形態では2つ)の二次電池28が吊り下げられて収納される。したがって、収納庫62の天面は、バルコニーフレーム20の下面で構成され、収納庫62の底板は軒天板26で構成されている。
【0031】
なお、本発明に係る二次電池28は、実際に電力を蓄電する二次電池本体と、この二次電池本体を制御する制御部等とを有している。これらは、一体化されていてもよいし、別体としてケーブル等で接続されていてもよい。さらに、制御部には、外部の接続部等に接続されて二次電池本体の充放電を行うためのコネクターが設けられている。
【0032】
軒天板26には二次電池28を出し入れ可能とする開口部30が形成されており、蓋部材32がヒンジを中心として回転することで、開口部30は開閉されるようになっている。蓋部材32には、換気口34が設けられている。換気口34は、通常は逆止弁36によって閉塞されているが、収納庫62の内部に生じた気流や、収納庫62の内部と外部との気圧差等によって開弁される。
【0033】
バルコニーフレーム20の下面から延出された吊り下げ金具27のそれぞれは、柱状(断面略C字状あるいはH字状など)に形成されており、バルコニー18の延出方向及び幅方向に所定間隔をあけて配置されている。また、図1及び図2に示す吊り下げ金具27のうち、両側に位置する吊り下げ金具27のそれぞれには、図2に詳細に示すように、上下方向に沿って長孔38が形成され、さらに長孔38には、上下方向に所定間隔で複数の係合凹部40が形成されている。また、吊り下げ金具27には、長尺状の一対のスライドレール42が配設されている。スライドレール42の上方には、吊り下げ金具27から離脱不能で、且つ吊り下げ金具27に沿ってスライド可能なスライド部材44が取り付けられている。
【0034】
スライド部材44には、図示しないレバーの操作により係合凹部40に係合又は係合解除可能な一対の係合ピン46が設けられている。係合ピン46は、スライド部材1つにつき、互いに対向するように2つ設けられている。そして、係合ピン46は、係合凹部40に係合していない状態では長孔38内を上下に移動し、スライド部材44も吊り下げ金具27に沿って矢印S1方向及びその反対方向にスライド可能となるが、係合ピン46が係合凹部40に係合している状態では、スライド部材44は矢印S1方向にスライド不能となる。なお、スライド部材44には、図示しないダンパーが設けられており、二次電池28の荷重が作用しても、急激に降下することはないようになっている。
【0035】
スライド部材44には、図3(A)及び(B)に詳細に示すように、支軸48によって固定ギヤ50が固定されている。支軸48は、スライドレール42の上部にも挿通されており、これにより、スライドレール42が支軸48を中心として矢印R1方向に回転可能に支持されている。
【0036】
また、スライドレール42の上部には、スライドレール42の長手方向に沿って長孔51が形成され、この長孔38に沿って矢印S2方向にスライド可能に移動ギヤ52が取り付けられている。移動ギヤ52は、スライドレール下部に設けられた操作部54(図2参照)とリンク55で連結されており、操作部54を操作することで、上方に移動して固定ギヤ50に噛み合う噛合位置と、下方に移動して固定ギヤ50から離間する噛合解除位置との間をスライドする。移動ギヤ52が固定ギヤ50から離間している状態では、スライドレール42は支軸48周り(矢印R1方向)に回転可能となるが、移動ギヤ52が固定ギヤ50と噛合っている状態では、スライドレールは支軸48周りに回転不能となる。
【0037】
図2に示すように、スライドレール42の下部からは、支持プレート56が延出されている。そして、支持プレート56上に1又は複数の二次電池28が支持されている。スライド部材44、スライドレール42、及び支持プレート56を含んで、本発明に係る吊り下げユニット60が構成されている。そして、吊り下げ金具27の間に、二次電池28を収納する収納庫62が構成されている。
【0038】
なお、吊り下げ金具27に形成された長孔38の長さは、二次電池28が最も降下したときでも地面等に接触しない程度に設定されている。すなわち、長孔38が、二次電池28の昇降範囲を、二次電池28が地面等に接触ない範囲に制限している。
【0039】
吊り下げユニット60と二次電池28の間にはアタッチメント部材64が配置されており、このアタッチメント部材64によって、二次電池28が吊り下げユニット60に対し位置決めされて固定されている。
【0040】
さらに、吊り下げユニット60の間には、二次電池28の周囲及び上方に位置するように断熱材66が配置されている。したがって、図1から分かるように、二次電池28は、吊り下げユニット60により保持され、建物外壁16S及び腰壁21から離間した状態でバルコニーフレーム20に吊り下げられていることになる。そして、吊り下げ状態で、上記したアタッチメント部材64に加えて断熱材66を介して、二次電池28が吊り下げユニット60に対し固定されている。なお、断熱材66は、必要とされる断熱の程度に応じて配設されるものであり、たとえば、図2に示すよりもさらに多くの断熱材66が配置されていてもよい。たとえば、吊り下げユニット60と建物外壁16Sの間、あるいは、吊り下げユニット60と腰壁21の間に配設されていてもよい。吊り下げユニット60と建物外壁16Sの間にも断熱材66を配設すると、断熱材66によって、二次電池28が建物外壁16Sに対しても固定されることになる。
【0041】
図1に示すように、吊り下げユニット60には、本発明の空気移動手段の一例であるファン68が設けられている。ファン68の回転により、収納庫62内で空気の流れ(移動)を生じさせることが可能であるが、さらにこれにより、換気口34を通じて収納庫62の内部と外部での空気の出入りを生じさせて、収納庫62内を換気できる。なお、ファン68は、スライド部材44やスライドレール42とは干渉しない位置で吊り下げ金具27に取り付けられている。
【0042】
このような構成とされた第1実施形態の建物12では、二次電池28を収納する収納庫62が、半屋外であるバルコニー18に設けられている。そして、蓋部材32をあけて開口部30を開放することで、収納された二次電池28にアクセスして、メンテナンスや交換等の作業を行うことができる。すなわち、本実施形態では、半屋外であるバルコニー18の下方に二次電池28を収納するようにしたことで、たとえば、二次電池を建物の壁体の内部(ユニットフレームの内部)等に収納した構成と比較して、メンテナンス等の作業性が向上している。
【0043】
特に本実施形態では、係合ピン46を係合凹部40から係合解除することで、スライド部材44及びスライドレール42と共に二次電池28を下方にスライドさせ、下方へ移動させることができる。さらに、操作部54を操作することで移動ギヤ52を固定ギヤ50から係合解除し、スライドレール42を支軸48周りに回転させることで、二次電池28の角度を変更することも可能となる。そして、係合ピン46を係合凹部40に係合させ、移動ギヤ52を固定ギヤ50に噛合わせることで、二次電池28を所望(たとえば作業性に優れた)位置及び角度に固定でき、不用意な移動(揺動や上下動)を抑制できる。そしてこのように、二次電池28を収納庫62から出した状態で、所望の位置及び角度に固定することで、メンテナンス等の作業性がさらに向上する。
【0044】
二次電池28の昇降範囲は、二次電池28を最も降下させても地面等に接触することがないように、長孔38によって制限されている。二次電池28が地面等に接触せず、所望の高さで保持されるので、作業性が向上する。
【0045】
また、本実施形態では、このように、半屋外に二次電池28を収納するようにしており、完全な屋外に二次電池28を設置した構成と比較して、温度、湿度等の条件変化少ない(すなわちこれらの条件が整った状態が維持されやすい)。このため、二次電池28にとって好ましい使用環境を維持可能となる。
【0046】
しかも、本実施形態では、バルコニーフレーム20の上面に防水シート22が配置されており、収納庫62への上方からの水分(雨水等)の浸入が抑制されている。加えて、開口部30は下方に向かって開口されているため、上方に向かって開口部30が開口された構成と比較して、雨水等が収納庫62内に入りにくくなっている。これらにより、収納庫62への外部からの水分の浸入が抑制され、二次電池28にとって好ましい使用環境を維持可能となる。上方に向かって開口している構成では、開口部の周縁に水密性の高いシール構造を設ける必要があるが、本実施形態ではその必要がないので、構造を簡素化でき、軽量化、低コスト化を図ることも可能となる。
【0047】
さらに、本実施形態では、二次電池28の周囲及び上方に断熱材66が配置されており、二次電池28が外部から断熱されている。したがって、二次電池にとって好ましい温度環境を維持できる。また、断熱材66を用いて二次電池28を吊り下げユニット60に固定し、さらに吊り下げユニット60を介して、二次電池28をバルコニーフレーム20に固定できる。二次電池28を吊り下げユニット60に固定するための特別な部材が不要なので、部品点数が少なくて済む。
【0048】
特に、本実施形態では、吊り下げユニット60を用いて、二次電池28を建物外壁16S及び腰壁21から離間させて保持している。したがって、二次電池28がこれらに接触した構造のものと比較して、二次電池28に対するより高い断熱効果、防止効果を得ることができる。もちろん、二次電池28を建物外壁16S及び腰壁21から離間させて保持する構成は吊り下げユニット60に限定されないが、吊り下げユニット60を用いると、軒天板26を吊り下げるための吊り下げ金具27を効果的に利用し、簡単な構造で、二次電池28を建物外壁16S及び腰壁21からから離間させて保持可能となる。
【0049】
加えて、本実施形態では、ファン68を駆動することで、収納庫62内を、換気口34を通して換気することもできる。このように、収納庫62(二次電池28の近傍)を換気することで、二次電池28にとってさらに好ましい温度・湿度環境を維持できる。しかも、ファン68と換気口34を設ける簡単な構成で、収納庫62を換気できる。
【0050】
なお、図1から分かるように、バルコニーフレーム20の下方は、通常は本実施形態のように二次電池28を収納する以外の目的では使用されることはなく、いわゆるデッドスペースとなっていることが多い。このようなデッドスペースを用いて二次電池28を配置できるので、スペース効率の高い建物12となる。
【0051】
図4には、本発明の第1実施形態の変形例の構成が部分的に示されている。この変形例では、第1実施形態と比較して、スライドレール42をスライド部材44に対し回転不能にロックするための構成が異なっている。
【0052】
すなわち、この変形例では、第1実施形態の移動ギヤ52に代えて、上下方向にスライド不能な第2固定ギヤ84がスライドレール42に取り付けられている。また、スライドレール42には、その長手方向に沿って移動可能に係合アーム86が配置されている。係合アーム86の下部は操作部88とされており、操作部88を把持して係合アーム86を上下させることで、係合アーム86の先端を第2固定ギヤに係合あるいは係合解除することができる。係合状態では、スライドレール42は支軸48周りに回転不能となるが、係合解除状態では、図5(A)及び(B)に示すように、スライドレール42は支軸48周り(矢印R1方向)に回転可能となる。
【0053】
このように、スライドレール42を支軸48周りに回転可能或いは回転不能にロックする構成は、特に限定されず、上記以外にも各種の構成を採用できる。
【0054】
図6には、本発明の第2実施形態の建物112が示されている。第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成要素、部材等については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
第2実施形態では、第1実施形態の建物12の構成に加えて、空調装置114が設けられている。空調装置114は、吊り下げユニット60の間に配設される空調装置本体116と、バルコニー18の上に配置される室外機118とを有している。空調装置本体116と室外機118とは、接続ダクト120で接続されている。
【0056】
したがって、第2実施形態では、第1実施形態の作用に加えて、特に、収納庫62内(二次電池28の近傍)の温度や湿度を、空調装置114の運転によって積極的に制御して所望の温度や湿度とし、二次電池28にとってより好ましい環境とすることが可能である。
【0057】
なお、図6では、空調装置114に加えて、ファン68を設けた例を挙げているが、空調装置114がファン68と同様の機能を有していれば、ファン68を省略してもよい。なお、一般的には、空調装置114の駆動により、二次電池28の近傍の空気は、相対的に遠い位置へと移動されるので、ファン68の機能を有していると言える。
【0058】
図7には、本発明の第3実施形態の建物132が部分的に示されている。第3実施形態では、第1実施形態の建物12と略同一の構成とされているので、同一の構成要素、部材等には同一符号を付して詳細な説明を省略し、以下では、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0059】
第3実施形態の建物132では、バルコニーフレーム20に、下方に向かって開口された吸熱口134が形成されている。吸熱口134は、バルコニーフレーム20の内部で略水平方向に延出された熱流路136に連続しており、熱流路136はバルコニーフレーム20の縁部の排熱口138に至っている。排熱口138には、たとえば図示しない逆止弁等が設けられており、外部への気体の移動は許容すると共に不用意な雨水の浸入が防止されている。
【0060】
吸熱口134の下方には蓄熱材140が配置され、さらにその下方には、ファン142が設けられている。
【0061】
このような構成とされた第4実施形態では、二次電池28で発生した熱を一時的に蓄熱材140に蓄熱する。そして、必要に応じてファン142を駆動することで、吸熱口134から熱流路136に送ることで、バルコニー18の床部分の温度を上昇させることができる。たとえば、バルコニー18に雪SNが積もっている場合に、床部分を温度上昇させて融雪できる。
【0062】
しかも、蓄熱材140で蓄熱するようにしているので、二次電池28が熱を発生していないときであっても、蓄熱材140の熱を利用できる。なお、図8に示す第4実施形態の変形例のように、蓄熱材140やファン142がない構成であっても、二次電池28で発生した熱を熱流路136に導入することで、バルコニー18の床部分の温度を上昇させることは可能である。もちろん、蓄熱材140やファン142を用いるほうが、より効果的にバルコニー18の床部分の温度を上昇させることができ、好ましい。
【0063】
図9には、本発明の第4実施形態の建物152が、玄関の近傍(外側部分)を拡大して示されている。
【0064】
第4実施形態では、玄関扉154の外側に2段の階段状の玄関ポーチ156が設けられている。玄関ポーチ156の内部には、2段の段差のそれぞれに対応したサイズの収納庫158A、158Bが配設されている。
【0065】
収納庫158A、158Bはいずれも直方体の箱状に形成されており、その内部に、二次電池28を収納できるようになっている。また、収納庫158A、158Bは、上方(玄関ポーチ156の踏面160)からの荷重や衝撃に耐えることができる程度の強度を有している。収納庫158A、158Bの上面には防水シート170が配設されており、収納庫158A、158B内が防水されている。
【0066】
図10に示すように、玄関ポーチ156の側面には開口部162が形成されており、蓋部材164により開閉できるようになっている。なお、図10では、下側の蓋部材164を玄関ポーチ156から完全に取り外した状態としているが、たとえばヒンジを用いて蓋部材164を玄関ポーチ156に回転可能に取り付け、回転させて開口部162を開閉する構成でもよい。蓋部材164には、換気口166が形成されており、収納庫158A、158B内を換気できるが、図示しない弁部材により、収納庫158A、158B内への雨水等の液体の浸入は防止されている。
【0067】
本実施形態の二次電池28は、その周囲を取り囲む筐体175によって保持されている。そして、筐体175内には断熱材172が配置され、この断熱材172の内部に二次電池28が断熱されて収容されている。収納庫158A、158B内には固定フレーム169が配置されており、所定の収納位置に収納された二次電池28の筐体175を固定している。
【0068】
収納庫158A、158Bの下面には、平行な複数本(本実施形態では3本)の固定レール174が固定されている。固定レール174のそれぞれには、固定レール174上を矢印M1方向及びその反対方向に移動する移動レール176が設けられている。さらに、筐体175には、移動レール176のそれぞれに対応した車輪178が取り付けられている。二次電池28は、車輪178が移動レール176上を転がることで、スムーズに矢印M1方向及びその反対方向に移動するようになっている。したがって、筐体175(二次電池28)を矢印M1方向に引くと、まず、移動レール176が固定レール174上をスライドする。そして、そのスライド終了後に、あるいはスライド途中で、車輪178が回転して、筐体175が移動レール176上を移動する。
【0069】
移動レール176及び筐体175には、図示しないロック機構が設けられている。ロック機構は、通常は移動レール176及び筐体175を矢印M1方向及びその反対方向に移動しないように任意の位置でロックできるが、ロック解除ボタンを操作することでこのロックが解除され、移動レール176及び筐体175が矢印M1方向及びその反対方向に移動可能となる。
【0070】
また、移動レール176の後端(図10で右側の端部)には、ストッパ176Sが立設されており、筐体175が移動レール176に対し相対的に矢印M1方向と反対に移動して脱落することを防止している。
【0071】
収納庫158A、158B内(固定フレーム169の上端及び下端)には、収納庫158A、158の天面及び底面に接触する複数の衝撃緩衝材180が取り付けられている。これにより、玄関ポーチ156の踏面160に作用した荷重が緩和され、二次電池28を保護できるようになっている。
【0072】
このような構成とされた第4実施形態においても、二次電池28を収納する収納庫158A、158Bが、半屋外である玄関ポーチ156に設けられている。そして、蓋部材164をあけて開口部162を開放することで、収納された二次電池28にアクセスして、メンテナンスや交換等の作業を行うことができ、作業性が向上している。
【0073】
また、第4実施形態では、図示しないロック機構により、移動レール176を矢印M1方向及びその反対方向に移動しないようにロックできる。したがって、移動レール176すなわち二次電池28を収納庫158A、158B内で不用意に移動しないように固定できる。さらに、移動レール176(二次電池28)を収納庫158A、158Bから矢印M1方向に引き出した所定の位置で固定することも可能となる。
【0074】
加えて、通常はデッドスペースとなる玄関ポーチ156の内部(踏面160よりも下側)を利用して二次電池28を収納できるので、スペース効率も高くなる。
【0075】
しかも、二次電池28を半屋外に収納することで、温度、湿度などの条件変化が屋外と比較して少なくなるので、二次電池28にとって好ましい使用条件となる。加えて、本実施形態では、収納庫158A、158B内が換気口166によって換気されると共に、収納庫158A、158Bの周囲に配置された防水シート170及び断熱材172により、収納庫158A、158Bが防水及び断熱されている。このように、収納庫158A、158B、すなわち二次電池28が防水及び断熱されることによっても、二次電池28にとって好ましい使用環境を維持可能となる。
【0076】
図11には、本発明の第5実施形態の建物212が部分的に示されている。第5実施形態では、建物本体16の建物外壁16Sの外側に設けられた外観向上のためのふかし壁214内に、二次電池28が収納された例である。
【0077】
ふかし壁214は、建物本体16の建物外壁16Sに配置されるふかし壁フレーム218を有している。建物本体16の建物外壁16Sの接続用ブラケット(図示省略)に対しふかし壁フレーム218がボルト等により固定される。実質的に、ふかし壁フレーム218が、本発明に係る収納庫216の一部を構成している。
【0078】
ふかし壁フレーム218の外側には、複数の外板222が並置されており、その目地部分と、上部及び下部を防水シート224が覆っている。さらに、防水シート224の外側には図示しない目地処理シールが貼着され、目地を覆っている。また、外板222の周囲の所定位置には、必要に応じて木口防水テープ226が貼着されて、木口部分を防水している。したがって、第6実施形態では、ふかし壁フレーム218の内側が、外板222、防水シート224及び木口防水テープ226によって囲まれていることになる。そして、これら外板222、防水シート224及び木口防水テープ226によって、本発明に係る防水手段が構成されている。
【0079】
ふかし壁フレーム218の上部には、第1実施形態と同様の一対の吊り下げユニット60が取り付けられている(ただし、第1実施形態では、吊り下げ金具27は軒天板26を吊り下げるための部材であったが、第5実施形態では軒天板26は設けられていない)。そして、これらの吊り下げユニット60の間に、二次電池28が収納されている。さらに、二次電池28と吊り下げユニット60の間には断熱材228が配置されており、二次電池28が吊り下げユニット60に対し固定されている。
【0080】
ふかし壁フレーム218の下部には、第1実施形態と同様に、二次電池28を取り出し可能とする開口部230が形成され、蓋部材232で開閉できるようになっている。蓋部材232には、第1実施形態と同様の換気口34(図11では図示省略、図2参照)が設けられ、さらに換気口には逆止弁36(同じく図11では図示省略、図2参照)が設けられている。
【0081】
このような構成とされた第5実施形態においても、二次電池28を収納する収納庫216が、半屋外であるふかし壁214の構成部品であるふかし壁フレーム218の内部に設けられている。そして、蓋部材232を開けて開口部230を開放することで、収納された二次電池28にアクセスして、メンテナンスや交換等の作業を行うことができ、作業性が向上している。
【0082】
しかも、二次電池28を半屋外に収納することで、温度、湿度などの条件変化が屋外と比較して少なくなり、二次電池28にとって好ましい使用条件となる。第6実施形態においても、収納庫216が換気口によって換気されると共に、防水シート224及び断熱材228により、収納庫216が防水及び断熱されている。
【0083】
本発明において、二次電池28を収納する箇所としても、上記したものに限定されず、いわゆる半屋外であればよい。たとえば、屋根の軒天板裏、玄関庇、勝手口庇等に二次電池28を収納してもよい。これらの構成において、防水シートの下に二次電池28を配置することで、二次電池28を確実に防水可能となる。また、二次電池の周囲を換気(好ましくは空調)する換気手段を設けることで、二次電池28にとって好ましい温度、湿度等の環境を維持可能となる。
【0084】
なお、第4実施形態及び第5実施形態において、第1実施形態等のファン68(図1参照)や、第2実施形態の空調装置114(図6参照)等を設けて、二次電池28の周囲の温度、湿度等の条件をさらに確実に制御できるようにしてもよい。さらに、これら第4実施形態及び第5実施形態において、第3実施形態と同様の吸熱口134、熱流路136及び排熱口138を設け、踏面160上あるいはふかし壁214の上面の融雪を可能としてもよい。
【0085】
また、第1〜第5実施形態において、上記では、手動により二次電池28をスライドあるいは回転させる構成を挙げたが、たとえば、モータ等を使用し電動によりこれらの動作を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1実施形態に係る建物を部分的に示す概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る建物を収納された二次電池の近傍で拡大して示す概略図である。
【図3】本発明の第1実施形態において吊り下げ部材の一部を拡大して示し(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の変形例において吊り下げ部材の一部を拡大して示す正面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の変形例において吊り下げ部材の一部を拡大して示し(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る建物を収納された二次電池の近傍で拡大して示す概略図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る建物を収納された二次電池の近傍で拡大して示す概略図である。
【図8】本発明の第3実施形態の変形例に係る建物を収納された二次電池の近傍で拡大して示す概略図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る建物を収納された二次電池の近傍で拡大して示す断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る建物を収納された二次電池の近傍で拡大して示す断面図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る建物を収納された二次電池の近傍で拡大して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0087】
12 建物
16 建物本体
16S 建物外壁
18 バルコニー
20 バルコニーフレーム
21 腰壁
22 防水シート(防水手段)
24 バルコニー仕上材
26 軒天板
27 吊り下げ金具(吊り下げ部材)
28 二次電池
30 開口部
32 蓋部材
34 換気口(換気手段)
36 逆止弁
38 長孔(移動範囲制限手段)
40 係合凹部(固定手段)
42 スライドレール
44 スライド部材
48 支軸
50 固定ギヤ
52 移動ギヤ
54 操作部
56 支持プレート
60 吊り下げユニット(吊り下げ部材、移動手段))
62 収納庫
64 アタッチメント部材
66 断熱材(断熱手段)
68 ファン(換気手段)
84 固定ギヤ
86 係合アーム
88 操作部
112 建物
114 空調装置
132 建物
134 吸熱口
136 熱流路
138 排熱口
140 蓄熱材
142 ファン
152 建物
154 玄関扉
156 玄関ポーチ
158A、158B 収納庫
160 踏面
162 開口部
164 蓋部材
166 換気口
169 固定フレーム
170 防水シート
172 断熱材
174 固定レール
175 筐体
176 移動レール
176S ストッパ
178 車輪
180 衝撃緩衝材
212 建物
214 ふかし壁
216 収納庫
218 ふかし壁フレーム
222 外板
224 防水シート
226 木口防水テープ
228 断熱材
230 開口部
232 蓋部材
SN 雪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物本体の半屋外に設けられ二次電池を収納可能とされた収納庫と、
前記収納庫内において、前記二次電池を外部から防水する防水手段と、
前記収納庫内において、前記二次電池を外部から断熱する断熱部材と、
前記収納庫内を換気する換気手段と、
を有する建物。
【請求項2】
前記収納庫に設けられ、前記二次電池を収納庫内に出し入れ可能とする開口部と、
前記開口部を閉塞可能な蓋部材と、
を有する請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記開口部が下方に向かって開口されている請求項2に記載の建物。
【請求項4】
前記二次電池が収納庫の内面から離間して保持されている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の建物。
【請求項5】
前記収納庫の天面から収納庫の底板を吊り下げるための吊り下げ部材を備え、
前記二次電池が前記吊り下げ部材に保持されて前記天面から吊り下げられている請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の建物。
【請求項6】
前記断熱部材が、前記吊り下げ部材と前記二次電池の間に配置され二次電池を吊り下げ部材に対し固定している請求項5に記載の建物。
【請求項7】
前記二次電池を保持しつつ、前記収納庫内に収納した収納位置と前記収納庫から取り出した取出位置との間で移動可能とする移動手段、を有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の建物。
【請求項8】
前記移動手段に備えられ、前記移動手段の移動範囲を制限する移動範囲制限手段、
を有する請求項7に記載の建物。
【請求項9】
前記移動手段に備えられ、前記二次電池を前記取出位置で移動手段に対し固定する固定手段、
を有する請求項8に記載の建物。
【請求項10】
前記換気手段が、
前記収納庫内に設けられたファンと、
前記収納庫に設けられた換気口と、
を含んでいる請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−90660(P2010−90660A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264027(P2008−264027)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】