説明

建物

【課題】建物における大梁の振動を十分に低減する。
【解決手段】2階の床大梁20に振動の腹となる部分にダイナミックダンパ32を設置する。ダイナミックダンパ32の固有振動数を50〜60Hzに設定することで、床大梁20の周波数50〜60Hzの振動(重量床衝撃音)を効果的に抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に係り、特に上階から下階への振動伝達を低減可能な建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床や天井といったパネル部材を支持する梁部材、所謂根太等の小梁にダンパを設置し、パネル部材の振動を抑制する制振構造(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007―126940号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている制振構造では、床小梁にダンパを設置しているため、床小梁の上で発生する衝撃音の低減には一定の効果は得られるが、大梁付近で発生する衝撃音、例えば、重量床衝撃音(JIS A 1418参照)の低減を目的としていないため、大梁付近で発生する衝撃音に対しては十分な効果が得られない場合がある。
【0005】
また、複数の建物ユニットからなるユニット構造の建物では、部屋の中央に大梁が通っているケースがあるため、大梁を伝播する音を低減するための対策が必要である。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、大梁の振動、特には重量床衝撃音を十分に低減可能な建物を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、柱、及び前記柱に連結される大梁を備えた建物であって、前記大梁の振動の腹となる部分に、振動を抑制するダンパが設置されている。
【0008】
次に、請求項1に記載の建物の作用を説明する。
請求項1に記載の建物では、大梁の振動の腹となる部分に大梁の振動を抑制するダンパが設置されているため、ダンパによって大梁の振動を効果的に低減することができ、大梁を経由して柱や、柱に接続される壁等に伝播する振動、空気を介して大梁と対向して配置された部材の振動を抑えることができる。
【0009】
なお、ダンパは、大梁の振動の振幅が最大となる部分に設置することが最も好ましいが、他の部材と干渉する場合には、振動の振幅が最大となる部分から若干外れた位置に設置しても良い。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の建物において、2階以上に構成され、前記ダンパの設置される前記大梁が2階以上の床大梁である。
【0011】
次に、請求項2に記載の建物の作用を説明する。
請求項2に記載の建物は2階以上に構成されており、2階以上の床大梁にダンパが設置されている。したがって、上階の床大梁の振動がダンパによって抑制され、上階の床大梁の振動が下階の柱や壁、天井等に伝播することが抑えられ、下階で気になる上階の振動音が抑えられる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の建物において、桁側の前記大梁に前記ダンパが設置されている建物ユニットを含んで構成される。
【0013】
次に、請求項3に記載の建物の作用を説明する。
桁側の大梁は、妻側の大梁に比較して長くて振動し易いため、桁側の大梁にダンパを設置する方が、妻側の大梁にダンパを設置するよりも大きな振動抑制効果が得られる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の建物において、桁側の互いに対向する一方の前記大梁と他方の前記大梁の各々に前記ダンパが設置されている。
【0015】
次に、請求項4に記載の建物の作用を説明する。
桁側の互いに対向する一方の大梁と他方の大梁の各々にダンパを設置することで、各々の大梁の振動を抑制でき、何れか一方の大梁のみにダンパを設置するよりも、大きな振動抑制効果が得られる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の建物において、互いに隣接する一方の前記建物ユニットの前記大梁と他方の建物ユニットの前記大梁との隙間に前記ダンパが設置されている。
【0017】
次に、請求項5に記載の建物の作用を説明する。
一方の建物ユニットの大梁と他方の建物ユニットの大梁との隙間にダンパを設置することで、大梁間のデッドスペースを有効活用でき、他部材に干渉することなくダンパを設置することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の建物において、前記大梁の内側面に前記ダンパが設置されている。
【0019】
次に、請求項6に記載の建物の作用を説明する。
大梁の内側面にダンパを設置するので、大梁の外側面に配置される外壁材等の他部材とダンパとの干渉を避けることができる。大梁が、例えば断面C字形状の溝型鋼である場合、梁内部は大部分がデッドスペースとなるため、大梁の内側面、例えば、上フランジと下フランジとの間のウエブ内側面にダンパを設置すると、デッドスペースの有効活用となる。
なお、大梁の上面や下面にダンパを設置すると、天井高が低くなる、水平構造が確保できなくなる等の問題が生ずるが、大梁の内側面にダンパを設置した場合は、これらの問題は生じない。また、大梁の外側面からダンパが突出することが抑えられ、大梁の外側に配置される他の部材との干渉が抑えられる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の建物において、前記ダンパが前記大梁の両側面に設置されている。
【0021】
次に、請求項7に記載の建物の作用を説明する。
ダンパを大梁の両側面、例えばウエブの両側面に設置することで、ダンパを大梁の一方の側面のみに設置する場合に比較して、大きな振動抑制効果が得られる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の建物において、前記ダンパは、前記大梁との接続に用いられる第1の部材と、前記第1の部材に接続される弾性体と、前記弾性体の前記第1の部材とは異なる位置に接続される第2の部材と、前記第2の部材に接続される重錘と、を備えたダイナミックダンパである。
【0023】
次に、請求項8に記載の建物の作用を説明する。
請求項8に記載のダンパは、第1の部材が大梁に接続されることで、大梁に設置される。請求項8に記載のダンパは、ダイナミックダンパであり、大梁が振動することで、重錘が大梁の振動を打ち消す方向に振動し、その結果、大梁の振動が低減される。
なお、低減したい振動の周波数に応じて、重錘の質量、弾性体のばね定数が設定される。また、ダイナミックダンパは、構成部材が少なく、簡単な構造で大きな振動抑制効果が得られる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように請求項1に記載の建物は上記の構成としたので、大梁を経由して柱や、柱に接続される壁、大梁に対向して配置される部材等に伝播する振動を効果的に抑えることができる。
【0025】
請求項2に記載の建物は、下階で気になる上階の大梁を伝播する振動音を効果的に抑えることができる。
【0026】
請求項3に記載の建物は、大きな振動抑制効果が得られる。
【0027】
請求項4に記載の建物は、桁側の互いに対向する一方の大梁と他方の大梁の各々にダンパを設置したので、何れか一方の大梁のみにダンパを設置するよりも、大きな振動抑制効果が得られる。
【0028】
請求項5に記載の建物は、デッドスペースを有効活用し、他部材に干渉することなくダンパを設置することができる。
【0029】
請求項6に記載の建物は、ダンパは、大梁の外側面に配置される他部材との干渉を避けることができる。
【0030】
請求項7に記載の建物は、ダンパを大梁の一方の側面のみに設置する場合に比較して、大きな振動抑制効果が得られる。
【0031】
請求項8に記載の建物は、ダンパがダイナミックダンパであり、簡単な構造で大きな振動抑制効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】建物ユニットを複数連結して構成されたユニット建物の斜視図である。
【図2】1階と2階との境界部分の縦断面図である。
【図3】2階の部屋の床部分を示す平面図である。
【図4】(A)、(B)は、床大梁の断面図である。
【図5】床大梁の断面図である。
【図6】第2に実施形態に係るダイナミックダンパの側面図である。
【図7】第2の実施形態に係るダイナミックダンパの正面図である。
【図8】他の実施形態に係る床部分を示す断面図である。
【図9】ダイナミックダンパの取り付けられた床小梁の断面図である。
【図10】ダイナミックダンパの取り付けられた床小梁の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[第1の実施形態]
以下、図1〜図4を用いて、本発明の建物の第1の実施形態について説明する。
図1には、複数個の建物ユニット12からなる2階建てのユニット建物10が示されている。
【0034】
なお、説明の便宜上、建物ユニット12の各部材に名称付けをしておく。建物ユニット12は、4本の柱14と、互いに平行に配置された長短二組の天井大梁16、18と、これらの天井大梁16、18に対して上下に平行に配置された長短二組の床大梁20、22とを備えており、梁の端部を天井と床の仕口に溶接することによりラーメン構造として構成されている。但し、ユニット構成は上記に限られることなく、他の箱形の架構構造としてもよい。
【0035】
本実施形態では、天井大梁16、18、及び床大梁20、22に、断面コ字形状のチャンネル鋼(溝形鋼)が用いられている。
【0036】
建物ユニット12は、矩形枠状に組まれた天井フレーム24と床フレーム26とを備えており、これらの間に4本の柱14が立設される構成となっている。天井フレーム24は四隅に天井仕口部(柱)28を備えており、この天井仕口部28に長さが異なる天井大梁16、18の長手方向の端部が溶接されている。
【0037】
同様に、床フレーム26は四隅に床仕口部(柱)30を備えており、この床仕口部30に長さが異なる床大梁20、22の長手方向の端部が溶接されている。
【0038】
図2には1階と2階の境界部分が示されており、図3には2階の部屋の床部分が平面図にて示されており、この部屋には、中央に2本の床大梁20が配置されている。
図2及び、及び図3に示すように、床フレーム26の上面側には、床材27が取り付けられ、桁側の一方の床大梁20と他方の床大梁20とを連結するように、一定の間隔で複数の床小梁29が取り付けられている。
【0039】
一方、天井フレーム24の下面側には、天井材31が取り付けられ、桁側の一方の天井大梁16と他方の天井大梁16とを連結するように、一定の間隔で複数の天井小梁33が取り付けられている。
そして、上下に対向して配置された天井仕口部28と床仕口部30との間に、柱14の上下端部が溶接により剛接合されて及びボルトにより仮固定されて建物ユニット12が構成される。
【0040】
(ダイナミックダンパ)
次に、本実施形態の振動低減構造の要部について詳細に説明する。
図3、及び図4(A)に示すように、本実施形態の建物ユニット12では、2階の桁側の床大梁20の上下フランジ間にあるウエブの内側面に複数のダイナミックダンパ32が、L型のブラケット34を介して取り付けられている。ブラケット34は、ボルト35等で床大梁20に取り付けられている。
【0041】
ダイナミックダンパ32は、第1プレート36、弾性体38、第2プレート40、及び鋳鉄、鋼板等の比重の高い材料からなる重錘42を含んで構成されている。
弾性体38は第1プレート36と第2プレート40の間に固着されており、第1プレート36は、図示しないネジ等でブラケット34に取り付けられている。また、第2プレート40の上面に、図示しないネジ等で重錘42が固着されている。
本実施形態の弾性体38は円柱状のゴムであるが、バネ性を有していれば材質、形状は特に問わず、金属バネ(コイルバネ、板バネ)等であっても良い。
【0042】
弾性体38を構成するゴムの種類としては、特に限定されないが、例えばブチルゴムを採用することができ、他のゴムでも、適宜その制振性に応じて選択することができる。
なお、本実施形態のダイナミックダンパ32は、重錘42の重量が10kgに設定されており、重量床衝撃音の周波数に合わせて、固有振動数が例えば50〜60Hzとなるように弾性体38のバネ定数等が設定されている。
【0043】
2階の床大梁20の長手方向におけるダイナミックダンパ32の取り付け位置は、振動の腹となる位置(振幅の大となる位置)に設置されており、図3に示すように、該床大梁20の長手方向中央部分(1/2部)に1個、長手方向両端部と長手方向中央部との中央部分(1/4部、3/4部)に各々1個、合計3個設置されている。
【0044】
(作用)
次に、本実施形態のユニット建物10の作用を説明する。
本実施形態では、2階の床材27に重量物による衝撃が入力(矢印F)されると、衝撃により床大梁20が振動するが、床大梁20には固有振動数が50〜60Hzに設定されたダイナミックダンパ32が振動の腹部分に設置されているため、床大梁20の周波数50〜60Hzの振動が効果的に抑制される。
【0045】
このため、2階の床大梁20から1階の天井大梁16、柱14、及び1階の天井材31を介して伝播する振動(振動伝播音)、及び2階の床材27と1階の天井材31との間の空気を伝わって1階の天井材31に伝わる振動(太鼓音)の両方を効果的に抑えることができる。
【0046】
本実施形態では、ダイナミックダンパ32の固有振動数が50〜60Hzに設定されているので、例えば、「ドスン」といった周波数50〜60Hz付近の重量床衝撃音を効果的に低減することができる。
【0047】
図3に示すような部屋の中央に配置された床大梁20は、外壁側の床大梁20に比較して振動し易いため、本実施形態の様に部屋の中央に配置された床大梁20にダイナミックダンパ32を設けることが1階への振動伝播を抑える上で効果的である。
【0048】
本実施形態では、ダイナミックダンパ32の固有振動数を50〜60Hzに設定したが、固有振動数50〜60Hzは一例であり、ダイナミックダンパ32の固有振動数はこの値に限定されるものではない。固有振動数は、重錘42の重量、弾性体38のバネ定数及びtanδ等によって変更できることは言うまでもない。
【0049】
なお、本実施形態では、ダイナミックダンパ32を2階の床大梁20のウエブの内側面にのみ設置したが、図4(B)に示すように、床大梁20のウエブの内側面と外側面の両方に設置しても良い。建物ユニット間(図3参照)の2本の床大梁20が隙間を開けて平行に配置されている場合、2本の床大梁20の間はデッドスペースとなるので、他部材に干渉することなく床大梁20の外側面にダイナミックダンパ32を設置することができる。
【0050】
また、本実施形態では、ダイナミックダンパ32をブラケット34を介して床大梁20に取り付けたが、図5に示すように、ダイナミックダンパ32を床大梁20の内側下部に図しないネジ等で取り付けても良い。
【0051】
また、本実施形態では、ダイナミックダンパ32を桁側の床大梁20に取り付けたが、妻側の床大梁20の振動を抑えるために、ダイナミックダンパ32を妻側の床大梁20に取り付けても良い。
【0052】
なお、ダイナミックダンパ32は、弾性体38の特性であるtanδの値、すなわち弾性体38の動バネ定数と損失ばね定数との間におけるベクトル位相差(角度)の値を適切に設定することにより、広い範囲の周波数帯域において制振作用を発揮させることができるようになる。その結果、例えばJIS A 1418−2に規定される重量衝撃音のみに限らず、JIS A 1418−1に規定される軽量衝撃音や、歩行者の歩行によって発生する音等も効果的に抑制することができるようになる。
【0053】
図3に示すような部屋の中央に配置された床大梁20は、外壁側の床大梁20に比較して振動し易いため、本実施形態の様に部屋の中央に配置された床大梁20にダイナミックダンパ32を設けることが1階への振動伝播を抑える上で効果的である。
【0054】
本実施形態では、2階の部屋の中央に配置される2本の床大梁20の各々にダイナミックダンパ32を設けたが、この2本の床大梁20の長手方向中間部分が図示しない連結部材で互いに連結されて1本の梁として機能している場合には、何れか一方の床大梁20にのみダイナミックダンパ32を設置しても本発明の効果は得られる。
【0055】
また、本実施形態では、ダイナミックダンパ32を床大梁20の長手方向中央部分(1/2部)に1個、長手方向両端部と長手方向中央部との中央部分(1/4部、3/4部)に各々1個、合計3個設置したが、低減したい周波数の振動の腹の位置に設置すれば振動抑制効果は得られるので、上記以外の部分にダイナミックダンパ32を設置しても良いのは勿論である。
【0056】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るダイナミックダンパ32を図6、及び図7にしたがって説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符合を付し、その説明は省略する。
【0057】
図6、及び図7に示すように、本実施形態のダイナミックダンパ32には、第1プレート36の下面に、振動抑制手段としての2個の突起部44が設けられている。
この突起部44は、第1プレート36の梁長手方向における両端側に設けられており、第1プレート36に弾性体38が固定された部位に相当する範囲内に形成されている。
【0058】
突起部44の形状や大きさは、本発明の作用効果を奏しうる範囲内で適宜設定することができる。すなわち、第1プレート36をボルト46とナット48によりブラケット34に固定した状態で、突起部44がブラケット34に押圧されるように、突起部44の形状や大きさが設定されている。
【0059】
本実施形態では、第1プレート36をボルト46とナット48によりブラケット34に固定することにより、第1プレート36のボルト側とは反対側であって、弾性体38の固定された第1プレート36の弾性体38の固定部位に相当する範囲内に設けられた突起部44がブラケット34に押圧されるため、第1プレート36のボルト側とは反対側部分をブラケット34に対して確実に接地、密着させることができ、第1プレート36は、ボルト側とは反対側部分がブラケット34に対して近接及び離隔する方向に振動することを抑制されている。
【0060】
このため、本実施形態では、前記固定状態において、ブラケット側の第1プレート36がブラケット34から独立して単独で金属弾性体として機能することを抑えることが可能となり、弾性体38による粘弾性特性を十分に発揮させて、弾性体本来の減衰性能を得ることができる。それにより、広い周波数帯域において所望の減衰特性を発揮させることができる。
【0061】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、2階の床大梁20に重量床衝撃音吸収用のダイナミックダンパ32を取り付けた例を示したが、図8に示すように、2階の床大梁20に重量床衝撃音吸収用のダイナミックダンパ32を取り付けると共に、図9のように床小梁29の下面にブラケット52を取り付け、ブラケット52の一方側に重量床衝撃音吸収用のダイナミックダンパ32を、他方側に軽量床衝撃音吸収用のダイナミックダンパ50を取り付けても良い。これにより、床小梁29の近くの重量床衝撃音、及び軽量床衝撃音(例えば、周波数100〜200Hz)を吸収することができるようなる。
【0062】
また、図10に示すように、床小梁29において、重量床衝撃音吸収用のダイナミックダンパ32を梁長手方向中央部の両側に配置し、軽量床衝撃音吸収用のダイナミックダンパ50をダイナミックダンパ32の梁長手方向両側に設置しても良い。
【0063】
上記実施形態のユニット建物10は、複数の建物ユニット12からなるユニット建物であったが、本発明はユニット構造の建物だけではなく、鉄骨軸組構造、木造軸組構造等の他の構造の建物にも適用可能であり、例えば、軸組構造の壁内伝播の振動抑制にも効果がある。
また、本発明の適用される建物は、一般住宅に限らず、商業用施設であっても良い。
なお、上記実施形態では、ダンパを床大梁に設置した例を示したが、ダンパは床大梁に限らず、天井大梁に設置しても良い。
上記実施形態のダンパは、弾性体と重錘(質量体)とを含んで構成されたダイナミックダンパであったが、振動を抑制できるものであればダイナミックダンパ以外の公知のダンパを用いることができ、ダンパは電気的に制御を行うアクティブ式ダンパであっても良い。
【符号の説明】
【0064】
10 ユニット建物(建物)
12 建物ユニット
14 柱
20 床大梁(大梁)
32 ダイナミックダンパ(ダンパ)
36 第1プレート(第1の部材)
38 弾性体
40 第2プレート(第2の部材)
42 重錘
50 ダイナミックダンパ(ダンパ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱、及び前記柱に連結される大梁を備えた建物であって、
前記大梁の振動の腹となる部分に、振動を抑制するダンパが設置されている建物。
【請求項2】
2階以上に構成され、
前記ダンパの設置される前記大梁が2階以上の床大梁である、請求項1に記載の建物。
【請求項3】
桁側の前記大梁に前記ダンパが設置されている建物ユニットを含んで構成される、請求項1または請求項2に記載の建物。
【請求項4】
桁側の互いに対向する一方の前記大梁と他方の前記大梁の各々に前記ダンパが設置されている、請求項3に記載の建物。
【請求項5】
互いに隣接する一方の前記建物ユニットの前記大梁と他方の建物ユニットの前記大梁との隙間に前記ダンパが設置されている、請求項3または請求項4に記載の建物。
【請求項6】
前記大梁の内側面に前記ダンパが設置されている、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の建物。
【請求項7】
前記ダンパが前記大梁の両側面に設置されている、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の建物。
【請求項8】
前記ダンパは、前記大梁との接続に用いられる第1の部材と、前記第1の部材に接続される弾性体と、前記弾性体の前記第1の部材とは異なる位置に接続される第2の部材と、前記第2の部材に接続される重錘と、を備えたダイナミックダンパである、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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