説明

建築材料組成物、特にビチューメン不含シーラント

本発明は、構造物を封止するためのビチューメン不含シーラントとして使用するのに特に適する建築材料組成物であって、ポリマー分散液または対応する再分散粉末(特に、好ましくは水性で再分散可能なエマルジョンポリマーに基づく)を、ポリスチレン粒子、セラミックおよび合成の中空微小球、および所望により少なくとも1つのバインダー、および所望によりさらなる添加剤と一緒に含有する建築材料組成物に関する。本発明のシーラントは、原則的に1成分または2成分適用系として配合することができる。本発明のビチューメン不含の建築材料組成物は、通常はビチューメンシーラントによってのみ達成されうるような優れた封止特性だけでなく、特に、適用後に優れた収縮挙動を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築材料組成物、特にビチューメン不含シーラント(封止用コンパウンド)およびその使用、特に構造物を封止する目的での使用、ならびに、該建築材料組成物を使用して構造物または部材を保護または封止するための対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の封止において、特に、地面と接触する構造物および部材(例えば、地下室の外壁、湿った部屋、擁壁など)を封止および保護するため、さらには屋根の封止目的のために、原則的に異なる封止系を、即ち、一方においてはビチューメン含有コンパウンドおよびシート系を、他方においてはセメント含有系または鉱物封止スラリーを使用することができる。また、プラスチック修飾した肉厚ビチューメン被覆物(KMB)に基づく封止系も存在し、これは、いわば「ハイブリッド形態」を構成し、結果的にある種の中間的な位置を占める。
【0003】
上記した種々の封止系が構造物の封止に関して満たさなければならない要求は、種々の規格およびガイドラインによって、例えば、DIN 18195、「Bauwerksabdichtungen(構造物の封止)」、パート1〜10(パート1〜6:2000年8月編;パート7:1989年6月編;パート8〜10:2003年3月編)、DIN 18195-100(案、2003年6月)およびDIN 18195-101(案、2005年9月)において、柔軟性封止スラリーを用いて地面と接触する部材を封止する計画および実施のためのガイドライン(第1版、日付:1999年1月)において、鉱物封止スラリーを用いて部材を封止する計画および実施のためのガイドライン(第1版、日付:2002年5月)において、ならびに、プラスチック修飾した肉厚ビチューメン被覆物(KMB)を用いて封止する計画および実施のためのガイドライン(第2版、日付:2001年11月)において指定されている。
【0004】
セメント含有系または鉱物封止スラリーは、環境的に優しいという利点を有するが、加工性に劣るか、または肉厚層として適用される可能性に劣るので、これらは垂直表面(例えば壁)における肉厚層の適用には適さない。従って、現在では、主にビチューメン含有封止(通常は肉厚ビチューメン被覆物に基づき、屋根封止の場合には、ビチューメン屋根シートにも基づく)が、構造物の封止において、地面と接触する構造物および部材(例えば、地下室の外壁、湿った部屋、擁壁など)の封止および保護の両方のために、ならびに屋根封止において使用されている。
【0005】
先行技術の対応するビチューメン配合物は、原則的に、1成分または2成分の形態で使用することができる。1成分の肉厚ビチューメン被覆物は、水または溶媒の蒸発によって純粋に物理的に硬化または皮膜形成するが、2成分の肉厚ビチューメン被覆物は、通常はイオン性のビチューメンエマルジョンに基づく基本成分および硬化剤成分からなるのが普通であり、通常は、充填剤、例えば、珪砂およびポルトランドセメントおよび/または高アルミナセメントなどの混合物を、硬化剤成分として使用することができる。
【0006】
ビチューメンの使用は比較的経済的であるが、蒸気およびエアロゾルの形態にあるビチューメンは、現在ではヒトに対して発癌性であると分類されているので、将来においてはビチューメンそれ自体も発癌性であると分類され、それが構造物封止の目的でビチューメンを使用することを妨げる可能性がある。
【0007】
従って、少なくとも実質的にビチューメンを使用せずに達成される封止系を提供するために、先行技術において既に多くの努力が為されている。先行技術のほとんどのビチューメン不含シーラントの欠点は、高価な原料または高価な出発化学物質の使用のゆえに、それが全体として比較的高価であり、建築業におけるその適用性を妨げることが多いことである。さらに、ほとんどの系は、非常に複雑な化学を含み、実施に向けた取扱いに関して同様に不利である。さらに、先行技術のビチューメン不含の封止系の多くは、反応性の系に基づき、それが実施上の取扱いを複雑にする。さらに、ほとんどのビチューメン不含シーラントは、通常のビチューメンシーラントの効果を達成しない。
【0008】
先行技術のビチューメン不含シーラントの多くは、エポキシ樹脂系に基づいている。しかし、エポキシ樹脂は、比較的高価であり、さらに環境的に有害であるだけでなく、シーラントの加工中の取扱いが比較的複雑である。
【0009】
即ち、独国特許出願公開DE10150601A1は、構造物および部材を封止するための2成分組成物であって、ビスフェノールAまたはビスフェノールF型のエポキシ樹脂に基づき、それと反応性のアミン硬化剤を他の成分中に、種々の他の構成成分(例えば、充填剤、ポリスチレンビーズ、セメント含有バインダー、添加剤、可塑剤、ポリマー分散液など)に加えて含む2成分組成物を記載している。系の反応性のゆえに、それを、使用直前にのみ適当な比率で一緒に混合される2成分組成物として供することが必須である。さらに、粉末成分中へのポリスチレンビーズの導入は、ポリスチレンビーズの劣った湿潤のゆえに、2つの成分を一緒に混合する際に、ある種の分離傾向が存在するという欠点を有する。
【0010】
独国特許出願公開DE4416570A1は、摩耗層、保護表面、複合材料などとして使用するための、再生利用の廃棄ゴム材料および/または柔軟性プラスチック部分を含有する弾性成形材料および/または封止用コンパウンドに関する。この弾性成形材料および/または封止用コンパウンドは、添加剤を含む水溶性アクリレート分散液(約0.9〜0.2部)で固められた、2mm直径以下の異なる粒度のゴム顆粒(0.1〜0.8部)からなる。この成形材料および/または封止用コンパウンドは、その使用前に10バールまでの動的に変化する圧力下で小さい体積単位において順次的に圧縮しなければならず、これが実際に近い条件下での使用に関して不利である。
【0011】
独国特許DE69419983または対応する欧州特許EP0632170は、建築分野において使用するためのプレハブ多段構造物であって、屋根および屋根被覆を、ビチューメンに基づくブレンド層(これに補強材料が埋め込まれる)で、および成形が可能な材料(最終製品の寸法安定性を増大させる)からなる外側層で封止するための構造物を記載している。さらに、この構造物は、水エマルジョン中にエラストマーおよびコポリマーを含有する追加の樹脂層を有することができ、この樹脂層は、ブレンド層と予備成形層の間に存在する。この製品の特定の欠点は、ビチューメンの必須の使用である。さらに、この構造物は、プレハブ形態でのみ使用されるので、平坦でない表面の封止は必ずしも保証されない。
【0012】
欧州特許出願公開EP0556414A1は、適当な硬化剤と共にビスフェノールおよび/または陰イオン性ビチューメンエマルジョンに基づく反応性の系を含んでなる永久弾性の2成分多目的材料に関する。これは、反応性のエポキシ樹脂に基づく系であり、水硬性バインダー、特にセメントをさらに含まない。また、この系は、ビチューメン不含であることが必須ではない。
【0013】
米国特許US4634725は、建築構造物のための亀裂耐性の被覆材料(石造建築の亀裂架橋を目的とする)であって、規定した粘度の樹脂/硬化剤溶液中の球形粒子の分散液を含有する被覆材料を記載している。1〜6mmの直径を有する球形粒子を、樹脂/硬化剤溶液中に均一に分散させる。その稠度が、垂直表面において流れることなく使用することを可能にし、幅5mmまでの亀裂が架橋されると言及されている。
【0014】
日本特許出願公開JP53/132054は、発泡したポリスチレンビーズ、ガラスおよび硬化剤を含有するコンクリート修復のための軽量充填剤に関する。これは、純粋なコンクリート修復生成物である。有機バインダーまたは有機分散液のいずれかあるいはセメントペーストを、硬化用原料として使用する。
【0015】
最後に、独国特許出願公開DE2643501Aは、接着剤および充填剤を含有するセメントであって、乳化剤の導入のゆえに水混和性であるセメントに関する。流動性アスファルト、テレビン油、ゴムおよびポリメタクリル酸メチルが、接着剤として挙げられている。このセメントを、例えば、接合部充填剤として、モルタルの置換物として、封止として、または2つの材料間を充填するために使用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、本発明の基礎となる課題は、構造物の封止において封止用コンパウンドまたはシーラントとして適するビチューメン不含の建築材料組成物を提供することである。特に、この建築材料組成物は、上記した先行技術の欠点を、少なくとも実質的に回避するか、または少なくとも軽減すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
ここに驚くべきことに、出願人は、ポリスチレン粒子、中空セラミック微小球および中空合成微小球に基づく軽量充填剤の混合物、および適切であれば少なくとも1つのバインダーと一緒にポリマー分散液を配合することによって、上記課題を解決しうることを見いだした。
【0018】
即ち、本発明の第1の態様によれば、本発明は、以下の成分を含有する建築材料組成物、特にビチューメン不含シーラントに関する:
・少なくとも1つのポリマー分散液または1つの対応する再分散粉末(特に、好ましくは水性媒体中で再分散可能なエマルジョンポリマーに基づく再分散粉末)、
・ポリスチレン粒子、
・中空セラミック微小球、
・中空合成微小球、および
・適切であれば、少なくとも1つのバインダー。
【発明の効果】
【0019】
驚くべきことに、上記した成分の組合せは、ビチューメン不含の建築材料組成物であって、構造物の封止に顕著に適し、ビチューメン含有シーラントによってのみ先行技術に従って達成されうるような優れた封止特性に加えて、特に、その適用後に優れた収縮挙動を有し、乾燥および硬化中に少なくとも実質的に収縮が観察されない建築材料組成物を導く。これを以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の建築材料組成物の実質的な構成成分は、ポリマー分散液または対応する再分散粉末である。用語「ポリマー分散液」は、通常は水性(比較的まれには非水性)の分散媒体中の、微細に分割された天然および/または合成ポリマーの分散液(ラテックス)のための全体的表示である。即ち、この用語は、ポリマー、例えば、天然ゴム(「ゴムラテックス」)および合成ゴム(「合成ラテックス」)、ならびに、合成樹脂(「合成樹脂分散液」)およびプラスチック(「プラスチック分散液」)、例えば、ポリマー、重縮合物および重付加化合物の分散液を包含する。用語「ポリマー分散液」に関するさらなる詳細については、例えば、Roempp Chemielexikon(Roempp Chemistry Lexicon)、第10版、第5巻、1998、Georg Thieme Verlag、Stuttgart/New York、第3469/3470頁、キーワード:「Polymerdispersionen(ポリマー分散液)」ならびにそこで参照されている文献を参照することができる。
【0021】
本発明によれば、ポリマー分散液を使用するのが好ましい。しかし、ポリマー分散液の代わりに、原則的に、対応する再分散可能な、特に水分散性の分散粉末(同じポリマーに基づく)を使用することもでき、次いでこれから、対応する分散媒体(好ましくは水)と混合することによってポリマー分散液を得ることができる。簡単にするために、用語「ポリマー分散液」のみを通常は以下に使用するが、以下の全ての記載、特にこれらポリマー分散液の特性(例えば、物理的および化学的特性、パラメーター、構造、組成など)に関する記載は、それぞれの対応する再分散粉末に対応して当てはまるのは勿論である(そのことが明示されていないときであっても)。このような再分散粉末は、当業者には自体既知であり、市販もされている(例えば、Wacker、Celanese、Rhodia、Elotex、Dow Chemical、BASF、Vinavil、Unimexなどから)。従って、再分散粉末の技術をここでさらに詳しく説明する必要はない。本発明によれば、使用する再分散粉末は、特に、好ましくは水性媒体中で再分散可能なエマルジョンポリマーに基づく再分散粉末である。
【0022】
ポリマー分散液、好ましくは水性分散液の使用は、さらなる他の利点(例えば、価格、他の成分の良好な混合性および湿潤性など)に加えて、特に、混合水の対応量を指定することができるので混合中の計量の誤りが排除されるという再分散粉末を超える決定的な利点を有する。
【0023】
有利には、本発明に従って使用するポリマー分散液は、プラスチック分散液である。エポキシ樹脂に基づく系の上記した欠点のゆえに、エポキシ樹脂に基づかないポリマー分散液、好ましくはエポキシ樹脂に基づかないプラスチック分散液を、本発明に従って使用するのが好ましい。さらなる成分の導入のため、および改善された使用のために、本発明に従って使用するポリマー分散液がさらにイオン修飾、好ましくは陽イオン修飾されていると有利である。
【0024】
本発明に従って好ましく使用するポリマー分散液は、水ベースまたは水性の系、好ましくはアンモニア不含の分散系として配合する。
通常、本発明に従って使用するポリマー分散液は、ポリマー分散液を基準に、30〜75%、特に40〜65%、好ましくは50〜60%の固体含量(DIN ISO 1625-D)を有する。
通常、本発明に従って使用するポリマー分散液のポリマー粒子は、0.001〜5μm、特に0.01〜3μm、好ましくは0.05〜2μm、特に好ましくは0.1〜1.0μmの粒度(粒径)、特に平均粒度を有する。
【0025】
本発明に従って好ましいポリマー分散液は、通常は7.0〜8.5のpH(DIN ISO 976)を有する。
さらに、本発明に従って好ましく使用するポリマー分散液は、23℃において、10〜500mPas、特に50〜200mPasの粘度を有する。
【0026】
さらに、本発明に従って好ましく使用するポリマー分散液は、0.9〜1.1g/cm3、特に0.95〜1.05g/cm3の密度(DIN 53217、ISO 2811)を有する。
さらに、本発明に従って好ましく使用するポリマー分散液は、5℃以下、特に1℃以下の最低皮膜形成温度(DIN ISO 2115)を有する。
【0027】
最適の性能特性のために、本発明に従って使用するポリマー分散液から出発して得られる皮膜は、−5℃以下、特に−5℃〜−50℃、好ましくは−20℃〜−40℃の範囲内、特に好ましくは約−30℃のガラス転移温度Tg(DSC)を有すると有利である。しかし、原則的に、適当な可塑剤と混合されているときには、得られる皮膜のガラス転移温度がさらに高いポリマーを使用することもできる。
【0028】
さらに、本発明に従って使用するポリマー分散液から出発して得られる皮膜は、少なくとも0.1N/mm2、特に少なくとも0.2N/mm2の破断強度(DIN 53455に基づく)、および/または、少なくとも1000%、好ましくは少なくとも2000%の破断点伸び(DIN 53455に基づく)を有すると有利である。
【0029】
アルカリ耐性または加水分解安定性のポリマー分散液またはポリマーを、通常は本発明に従って使用する。
【0030】
特に、1つのポリマーまたは少なくとも2つのポリマーの混合物の水性ポリマー分散液を、ポリマー分散液として使用するのが好ましい。ポリマーまたは2つもしくはそれ以上のポリマーの混合物は、好ましくはフリーラジカル重合によって得られたポリマー、特にエチレン性不飽和モノマーから得られるようなポリマーを含有する。このポリマーは、好ましくはいわゆる主モノマー、特に、(メタ)アクリル酸C1〜C20アルキル、20個までの炭素原子を含むカルボン酸のビニルエステル、20個までの炭素原子を含むビニル芳香族化合物、エチレン性不飽和ニトリル、ハロゲン化ビニル、少なくとも2個の共役二重結合を含む非芳香族炭化水素から選択されるモノマーまたはこれらモノマーの混合物を含有する。例えば、C1〜C12アルキル基を含むアクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキル、例えば、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸エチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルを、具体的に挙げることができる。特に、アクリル酸アルキルおよびメタクリル酸アルキルの混合物の重合によって得られるポリマーも適している。本発明に従って適するポリマーの製造のために、例えば、1〜20個の炭素原子を含むカルボン酸のビニルエステルも適している。本発明に従って適するポリマーの製造のために、例えば、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベルサチン酸ビニル(vinyl versatate)または酢酸ビニルあるいは上記化合物の2つまたはそれ以上の混合物が適している。例えば、ビニルトルエン、α-およびp-メチルスチレン、α-ブチルスチレン、4-n-ブチルスチレン、4-n-デシルスチレンおよびスチレンが、ビニル芳香族化合物として適している。適するニトリルの例は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルである。本発明に従って適するポリマーの製造のために、ハロゲン化ビニル、例えば、塩素、フッ素または臭素によって置換されたエチレン性不飽和化合物、例えば、塩化ビニルまたは塩化ビニリデン、あるいはこれらの混合物も同様に適している。本発明に従って適するポリマーの製造のために、2〜8個の炭素原子および少なくとも2個のオレフィン性二重結合を含む非芳香族炭化水素、例えば、ブタジエン、イソプレンおよびクロロプレンも追加で適している。例えば0〜40重量%、好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0.2〜10重量%の量でポリマー中に存在していてよいさらなるモノマーは、特に、C1〜C10ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドおよび窒素においてC1〜C4アルキルにより置換されたその誘導体、エチレン性不飽和カルボン酸、ジカルボン酸、そのモノエステルおよび無水物、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、マレイン酸およびフマル酸モノエステルおよびイタコン酸である。
【0031】
ビニル系、(メタ)アクリレート系、スチレン系、ブタジエン系および/またはエチレン系のポリマーに基づくポリマー分散液または対応する再分散粉末が、本発明に従って好ましく使用される。ここで、用語「ポリマー」は、本発明によれば広い意味で解されるべきであり、狭い意味でのポリマーだけでなく、コポリマー、ターポリマーなどをも包含する。特に、ビニル系またはアクリレート系であるポリマー分散液または対応する再分散粉末を使用し、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ベルサチン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデンおよび/または1〜20個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のビニルエステル、アクリルおよびメタクリルモノマー(特にエステル)、スチレン、ブタジエンおよび/またはエチレンを使用する。
【0032】
上記のように、非常に広い範囲の系を、ポリマー分散液として使用することができる。スチレン/(メタ)アクリレートコポリマー、スチレン/ブタジエンコポリマーおよび/または酢酸ビニル/エチレンコポリマーに基づく分散液を、ポリマー分散液として使用するのが好ましい。特に有利な特性が、スチレン-アクリレートコポリマー[例えば、Acronal DS 3511またはAcronal S 456(BASF Aktiengesellschaft、Ludwighafenから)あるいはMowilith LDM 6482(Celanese、Frankfurtから)]のポリマー分散液を用いて達成される。これは、出願人が驚くべきことに、本発明の建築材料組成物において、スチレン/アクリレートコポリマーに基づく分散液が、得られた封止または得られた皮膜の特に良好な安定性および耐水性(得られた皮膜が特にしっかりと密着したままであるため)を導くことを見いだしたためである。それでも、原則的に上記したプラスチック分散液の全てが、本発明の建築材料組成物において使用するのに適している。
【0033】
上記したポリマー分散液は、エポキシ樹脂を含有しない。従って、これらは環境的に優しく、より実施に向いているかまたは単純な方法で加工および取り扱うことができる。さらに、本発明の建築材料組成物の価格は、エポキシ樹脂に基づく系と比較して大きく低下する。
【0034】
本発明に従って使用するポリスチレン粒子に関して、これらは、特に、いわゆるポリスチレンビーズもしくは小さいポリスチレン球の形態で、またはポリスチレン顆粒の形態で存在することができる。本発明に従って好ましく使用するポリスチレン粒子は、0.1〜3.0mm、特に0.2〜2.0mm、好ましくは0.5〜1.5mmの範囲内の粒度(粒径)を有し、通常は5〜30g/L、特に7.5〜15g/L、好ましくは10〜13g/Lの嵩密度を有する。
【0035】
本発明に従って特に好ましい態様において、ポリスチレン粒子は、発泡可能なおよび/または発泡したポリスチレンから形成することができる。発泡可能なポリスチレンは、通常、少なくとも1つの適する発泡剤、好ましくはアルカン、特にペンタンおよび/またはペンタン異性体を含有する。
本発明に従って特に好ましいポリスチレン粒子は、例えば、NOVA Brands Ltdから名称「NOVA Chemicals」のもとで得られる。
【0036】
本発明に従って使用する中空セラミック微小球に関して、通常、これらは、ケイ酸塩、特にアルミノケイ酸塩および/またはホウケイ酸塩、好ましくはアルミノケイ酸塩をベースに形成される。さらに、少量の他の鉱物酸化物、特にFe23およびTiO2が存在していてもよいが、アルミノケイ酸塩の分画、即ち、SiO2およびAl23を一緒にした割合は95%以上である。
【0037】
本発明に従って適する中空セラミック微小球は、通常は1〜500μm、特に1〜350μm、好ましくは10〜300μmの粒度(粒径)を有し、通常は100〜160μm、特に120〜150μm、好ましくは125〜140μmの平均粒度を有する。
【0038】
本発明において、使用する中空セラミック微小球は、100〜600g/L、特に250〜500g/L、好ましくは350〜475g/Lの嵩密度、および/または、1800〜3000ml/1000g、特に2000〜2100ml/1000g、好ましくは2100〜2800ml/1000gの嵩体積を有すると有利である。
【0039】
さらに、本発明に従って使用しうる中空セラミック微小球は、通常、0.5〜1.0g/cm3、特に0.6〜0.9g/cm3、好ましくは0.7〜0.8g/cm3の範囲内の密度を有する。さらに、本発明に従って使用しうる中空セラミック微小球は、通常、少なくとも4、特に少なくとも4.5、好ましくは少なくとも5、特に好ましくは5〜6の範囲内のモース硬度、および/または、少なくとも12MPa、特に少なくとも13MPa、好ましくは少なくとも14MPaの圧縮強度を有する。
【0040】
一方において中空セラミック微小球のある種の機械的安定性を確保するため、また他方において中空セラミック微小球の比重を低下させるために、本発明に従って好ましく使用する中空セラミック微小球は、全中空セラミック微小球のわずか5〜15%、好ましくはわずか約10%を占めるシェル直径を有する。即ち、言い換えると、中空セラミック微小球の85〜95%、好ましくは約90%は、シェルによって形成されたかまたは囲まれたキャビティから構成される。
【0041】
本発明に従って適する中空セラミック微小球は、多数の供給元から、例えば、Omega Minerals Germany GmbH、Advanced Minerals Ltd.、Trelleborg Fillite Ltd.、Envirospheres Pty.Ltd.およびAshTek Corporationから入手することができる。本発明に従って特に好ましく使用する中空セラミック微小球は、Omega Minerals Germany GmbHから、特に「Omega-Spheres」系列の製品、例えば「Omega-Spheres W300」または「Isospheres SG 300」として市販されている。
【0042】
本発明において、中空セラミック微小球の割合を中空ガラス微小球によって完全にまたは部分的に置換することができる。しかし、中空セラミック微小球を使用するのが有利である。
【0043】
本発明に従って使用する中空合成微小球に関して、通常、これらは、有機ポリマーをベースに形成される。例えば、塩化ビニリデン、アクリロニトリルおよび/または(メタ)アクリル酸メチルからなる群からのモノマーに基づく有機ポリマー、好ましくは塩化ビニリデン/アクリロニトリルコポリマーを使用する。このような製品は、例えば、Akzo Nobel(「Expancel WE」)またはSika Addiment GmbHから市販されている。また、このような中空合成微小球は、フェノール樹脂をベースにすることもできる(例えば、Asia Pacific Microspheres Sdn.Bhd.、マレーシアからの製品)。しかし、塩化ビニリデン/アクリロニトリルコポリマーをベースにするか、またはモノマー塩化ビニリデンおよび/またはアクリロニトリルおよび/または(メタ)アクリル酸メチルに基づくポリマーをベースにする中空合成微小球を、本発明に従って使用するのが好ましい。
【0044】
本発明に従って使用する中空合成微小球に関して、通常、これらは、1〜300μm、特に1〜200μm、好ましくは5〜150μm、特に好ましくは10〜150μmの粒度(粒径)、および/または、10〜100μm、特に20〜80μm、好ましくは20〜60μmの平均粒度を有する。
【0045】
本発明に従って使用しうる中空合成微小球は、例えば、発泡可能なおよび/または発泡した形態で存在することができる。このような中空合成微小球、特に発泡可能な形態にある中空合成微小球は、発泡剤、好ましくはアルカン、特にペンタンおよび/またはペンタン異性体を含有することができ、この発泡剤が、ある温度以上に加熱したときに発泡可能な球の発泡を引き起こし、こうしてそれらを最終粒度にする。
【0046】
本発明に従って好ましく使用する中空合成微小球は、中空合成微小球を基準に、5〜20%、特に7〜17%の固体含量を有する。残りの割合は、シェル材料によって囲まれたキャビティによって占められる。
【0047】
上記したように、本発明の建築材料組成物、特にビチューメン不含シーラントは、上記した成分だけでなく、適切であれば少なくとも1つのバインダーをも含有する。本発明によれば、用語「バインダー」は、特に、同一または異なる種類の物質を互いに結合する物質についての全体的表示であると解される。本発明において、水硬性、潜在水硬性または非水硬性バインダー、特に水硬性および潜在水硬性バインダー、特に好ましくは水硬性バインダーを使用することができる。空気中でのみ硬化するバインダー(「空気バインダー」、例えば、石膏、Soralセメント、無水石膏、マグネシアバインダー、漆喰など)は、非水硬性バインダーと称され、一方、例えば水硬性石灰および多くの他のセメントは、水硬性バインダーと称され、これらは水のもとでも硬化する。この結合が添加剤または活性化剤の作用によってのみ起こるときには、いわゆる潜在水硬性バインダー(例えば高炉スラグ)と称される。用語「バインダー」に関するさらなる詳細については、例えば、Roempp Chemielexikon(Roempp Chemistry Lexicon)、第10版、第1巻、1996、Georg Thieme Verlag、Stuttgart/New York、第433/434頁、キーワード:「Bindemittel(バインダー)」ならびにそこで参照されている文献を参照することができる。
【0048】
本発明に従って適するバインダーは、セメント;石灰;漆喰;硫酸カルシウム、例えば無水石膏および石膏;スラグ、例えば高炉スラグ;フィルター灰;および上記した化合物の混合物からなる群から選択することができる。
【0049】
本発明に従って特に好ましい態様において、セメントをバインダーとして使用する。用語「セメント」に関するさらなる詳細については、例えば、Roempp Chemielexikon(Roempp Chemistry Lexicon)、第10版、第6巻、1999、Georg Thieme Verlag、Stuttgart/New York、第5049-5051頁、キーワード:「Zement(セメント)」ならびにそこで参照されている文献を参照することができる。いわゆるポルトランドセメントを使用するのが特に好ましい。
【0050】
本発明の建築材料組成物において、バインダー(特にセメント)は、二重の機能を発揮する。即ち、第1に、バインダーは、ポリマー分散液をいわば「破壊」するので、皮膜形成過程が本発明の建築材料組成物の適用後に始まることができ、第2に、バインダーは、乾燥中に物理的過程(特に蒸発)によって除去されない過剰の水を結合する。特に、本発明に従って所望により使用するバインダーは、建築材料組成物の使用または適用後に、適用された建築材料組成物の増大した強度および改善された凝集、特に増大した初期安定性を与える。
【0051】
バインダー成分(特にセメント)の導入は、分散液の比較的早い「破壊」および関連する比較的良好な皮膜形成特性を導くだけでなく、比較的早いかまたは短い硬化時間、さらには収縮挙動の改善をも導く。
【0052】
上記した成分に加えて、本発明の建築材料組成物は、さらなる成分および/または添加剤を含有することもできる。これらは、特に、湿潤剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、可塑剤、無機充填剤、鉱物骨材、固化遅延剤、固化促進剤、繊維、顔料など、および上記物質の混合物からなる群から選択することができる。
【0053】
例えば、追加の増粘剤を、流動性または粘度を調節するために本発明の建築材料組成物に添加するときには、有利には、メチルヒドロキシエチルセルロース(「Tylose」)および/またはキサンタンゴム、好ましくはメチルヒドロキシエチルセルロースおよびキサンタンゴムを使用することができる。本発明の建築材料組成物におけるキサンタンゴムの使用は、キサンタンゴムが組成物に、増粘効果だけでなく、さらにチキソトロープ特性(これは使用中に特に有利である)をも与えるという特別の利点を有する。キサンタンゴムの代わりに、キサンタンゴムと同様に増粘剤としておよび標準化剤またはチキソトロープ剤として働くシリカを添加することもできる。キサンタンゴムおよびシリカの混合物を、適切であればメチルヒドロキシエチルセルロースと一緒に、増粘剤として使用することもできる。
【0054】
さらに、再生利用の材料(例えばゴム顆粒など)を、本発明の建築材料組成物に導入することもできる。
【0055】
原則的に、本発明の建築材料組成物を、1成分系(1C系)として、または2成分系(2C系)として配合することができる。2成分系としての配合が好ましい。
1成分系として配合する場合には、上記した種類の再分散粉末を、ポリマー成分として使用するのが好ましい。この場合、本発明の建築材料組成物を、特に、1C乾燥系または1C粉末系として配合することができる。即ち、本組成物は、もっぱら単一の固体成分または単一の固体混合物からなることができ、次いでこれをその使用前に所望量の水と混合する。
【0056】
本発明に従って好ましい2成分系として配合する場合には、ポリマー分散液を通常はポリマー成分として使用し、一方のポリマー分散液および他方において存在する任意のバインダーは有利には異なる成分で存在し、該ポリマー分散液は、通常は液体成分の構成であり、一方、該バインダーは、原則的に固体または粉末成分の構成あるいは液体成分の構成(好ましくは固体または粉末成分の構成)である。しかし、原則的にはこの態様において、ポリマー分散液の代わりに対応する再分散粉末を使用することもできるが、これは本発明に従って好ましさが低い。以下において、本発明に従って好ましい2C系を、もっぱらポリマー分散液に基づいて説明するが、ポリマー分散液の代わりに対応する再分散粉末を使用しうることは、当業者には明らかである(ただし、それを使用前に適切量の水と混合する)。
【0057】
即ち、本発明の特定の態様によれば、本発明は、特に上記したような建築材料組成物、特にビチューメン不含シーラントであって、該建築材料組成物が2成分系(2C系)として配合され、該2成分系が、第1に成分(A)を、特に液体成分として、ならびに、第2に成分(B)を、特に乾燥もしくは粉末成分または液体成分(好ましくは乾燥もしくは粉末成分)として含み、
・成分(A)が、成分(A)の量を基準にそれぞれ、
−少なくとも1つのポリマー分散液、特に、2〜100重量部、好ましくは30〜80重量部、特に好ましくは40〜60重量部の量のポリマー分散液、
−ポリスチレン粒子、特に、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、特に好ましくは0.1〜2.5重量部の量のポリスチレン粒子、
−中空セラミック微小球、特に、0.1〜60重量部、好ましくは0.2〜50重量部、特に好ましくは0.5〜10重量部の量の中空セラミック微小球、
−中空合成微小球、特に、0.01〜30重量部、好ましくは0.05〜15重量部、特に好ましくは0.1〜5重量部の量の中空合成微小球、
−適切であれば、少なくとも1つの無機充填剤または鉱物骨材、好ましくは炭酸カルシウムおよび/またはSiO2(好ましくは珪砂の形態にあるSiO2)、特に、全体で2〜160重量部、好ましくは5〜100重量部、特に好ましくは10〜50重量部の量の無機充填剤または鉱物骨材、
−適切であれば、少なくとも1つのさらなる添加剤、特に湿潤剤、消泡剤、防腐剤および/または増粘剤からなる群からの添加剤、特に、全体で0.01〜5重量部、好ましくは1〜5重量部の量の添加剤、および
−適切であれば、追加の水、特に、0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部の量の水、
を含有し、そして
・成分(B)が、成分(B)の量を基準にそれぞれ、
−少なくとも1つのバインダー、好ましくはセメント、特に、1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、特に好ましくは5〜15重量部の量のバインダー、
−適切であれば、少なくとも1つの無機充填剤または鉱物骨材、好ましくは炭酸カルシウム(好ましくは石灰石粉末の形態にある)および/またはSiO2(好ましくは珪砂の形態にあるSiO2)、特に、全体で2〜200重量部、好ましくは50〜150重量部、特に好ましくは80〜100重量部の量の無機充填剤または鉱物骨材、
を含有する建築材料組成物に関する。
【0058】
本発明に従って好ましさが低い態様においては、成分(B)も液体成分として配合するが、この成分(B)は、分散剤、特にバインダーに対して不活性な分散剤を含有することができ、該分散剤は、特に、有機溶媒、例えば有機炭化水素、油、特に鉱油および液体パラフィン、可塑剤などからなる群から選択することができ、ここで、大気圧におけるこれら有機化合物の沸点または沸点範囲は少なくとも200℃であるべきである。成分(B)中の分散剤の量は、この態様において広範囲に変化することができるが、特に、1〜1000重量部、特に50〜500重量部、特に好ましくは100〜200重量部である。
【0059】
一方の成分(A)および他方の成分(B)は、変化する混合比で使用することができる。例えば、(A):(B)の混合比は、30:1〜1:1、特に10:1〜1:1、好ましくは4:1〜1:1、好ましくは3:1〜1:1の範囲内で変化することができる。特に好ましい態様によれば、混合比(A):(B)は約2:1である。
【0060】
使用のために、2成分系の場合、2つの成分(A)および(B)を、有利には使用の直前に接触させ、特に互いに混合または均一化して、成分(A)および(B)の緊密または均一な混合物が使用状態で存在するようにする。
【0061】
上記したように、無機充填剤または鉱物骨材(「重量充填剤」または「重量骨材」)を、有利には成分(A)および成分(B)の両方に添加することができる。特に、比較的微粒子の骨材または充填剤(特に0〜0.5mmのふるい分け曲線を有する)を、液体成分(A)に添加し、一方、比較的粗粒子の骨材または充填剤(特に0〜1mmのふるい分け曲線を有する)を、固体または粉末の成分(B)に添加する傾向にある操作を採用する。このようにして、連続的または非断続的なふるい分けラインを確立することができる。このようにして、空気を含まない妥当な充填密度が達成され、最終生成物の圧縮強度または安定性が増大する。これは、特に、本発明の建築材料組成物を、地面と接触する領域におけるシーラントとして使用する場合に重要である。
【0062】
本発明によれば、液体成分(A)が、通常は0.5〜1.0kg/L、特に0.6〜0.8kg/L、好ましくは0.70〜0.80kg/Lの密度を有し、一方、成分(B)が、特に固体成分(B)として、0.8〜2.5kg/L、特に1.5〜2.1kg/L、好ましくは1.60〜1.70kg/Lの密度を有すると好ましい。特に、固体成分(B)の密度は、液体成分(A)の密度の少なくとも1.5倍、特に少なくとも1.7倍、特に少なくとも2倍であるべきである。これは、使用前の2つの成分の迅速かつ均一な、特にダストのない撹拌または混合を可能にする。
【0063】
2成分系の場合に、ポリスチレン粒子、中空セラミック微小球および中空合成微小球が液体成分(A)中に存在するということは、これら構成成分の分離が起こらないという利点を有する。むしろ、大きい密度差[重量成分および骨材が実質的に固体成分(B)中に存在し、一方、軽量成分および骨材が液体成分(A)中に存在する]のゆえに、2つの成分(A)および(B)の互いとの優れた混和性が達成され、これが迅速な使用を可能にする。
【0064】
本発明の建築材料組成物、特に本発明のビチューメン不含シーラントは、全体として以下の複数の利点を有する。
第1に、本組成物は、その成分のゆえに経済的であり、環境的に優しく、これがその使用を有利なものにする。シーラントとして適用した後に、本組成物は、実質的に収縮を示さない。
【0065】
本発明の建築材料組成物は、1成分または2成分の系としてのその配合とは無関係に、通常は先行技術のビチューメン含有シーラントを用いてのみ達成されうるような優れた封止特性を示す。特に、本発明の建築材料組成物は、ビチューメン含有シーラントのためのDIN 18195(冒頭に言及した)に、ならびに、セメント含有または鉱物封止スラリーおよびプラスチック修飾した肉厚ビチューメン被覆物のための対応するガイドラインに定められるような要求を満たす。
【0066】
本発明の建築材料組成物は、構造物を、特に地面と接触する領域において封止するために、また、屋根を封止するためにも適する。特に、本発明の建築材料組成物を、特に垂直壁において、肉厚層で加工または適用することもできる。
【0067】
驚くべきことに、本発明の建築材料組成物は、比較的高価なポリマー分散液に基づいて配合されているが、ビチューメンエマルジョンと同じ価格レベルで開発された。さらに驚くべきことは、本発明の建築材料組成物が、2成分配合物の場合に、特にダストを多量に発生することなく、非常に迅速に混合されうることである(即ち、液体成分と粉末成分との撹拌)。さらに驚くべきことは、比較的大きい層厚みであっても、封止の実質的に収縮のない硬化が起こることである。これは、その結果として収縮亀裂(必然的に漏れを導く)が起こりえないので高度の確実性を与えるため、特に重要である。
【0068】
実質的に収縮のない乾燥または硬化を、例えば、次のように例示することができる。本発明の建築材料組成物を、例えば、湿潤状態で約3mmの層厚みで適用すると、その結果は、乾燥または硬化した状態においても同程度の層厚み(即ち約3mm)を有する被覆である。従って、あらゆる収縮亀裂を回避しつつ本発明の封止の優れた結合が達成される。他方において、先行技術の封止系は、乾燥または硬化時に通常は約20〜25%の収縮を示す。先行技術の系を、例えば、湿潤状態で4mmの層厚みで適用すると、乾燥または硬化した状態において3mmにすぎない封止層が得られ、これが実際には有意の亀裂発生を導く(使用中にこの現象が十分に考慮されない場合)。
【0069】
上記した特性は、本発明の建築材料組成物の特別の配合、特に、通常は水性のポリマー分散液と、特別の軽量骨材(即ち、ポリスチレン粒子、中空合成微小球および中空セラミック微小球)の組合せとの、および適切であれば少なくとも1つのバインダーとの組合せによる。驚くべきことに、出願人は、上記した効果は、この相乗組合せを用いてのみ達成されうることを見いだした。
【0070】
さらに、スチレン粒子および中空セラミックおよび合成微小球に基づく軽量充填剤の導入は、本発明の建築材料組成物の重量を減少させる。即ち、これらは明らかにそれをより軽量にし、さらに、適用中のはぎ取り(pull-off)抵抗を減少させる。特に、小さい球またはビーズの形態にあるポリスチレン粒子は、適用中のある種のローリング作用を確実にする。
本発明のさらなる利点は、通常は可塑剤または可塑剤成分を割愛しうることである。
【0071】
全体として、本発明のビチューメン不含の建築材料組成物は、通常はビチューメン含有シーラントを用いてのみ達成されうるような優れた封止特性に加えて、特に、適用後に優れた収縮挙動を示す。
【0072】
本発明の建築材料組成物が1成分または2成分のいずれの系として配合されるかによらず、ある種の軽量骨材、例えば、パーライト、例えば発泡パーライト、発泡ガラス、発泡マイカ(バーミキュライト)、発泡頁岩、発泡粘土、焼結フライアッシュ、軽石、例えば天然軽石および発泡スラグ、れんが片、凝灰岩、溶岩および溶岩スラグおよびベントナイトからなる群からの軽量骨材を、上記した成分に加えて添加することもできる。
【0073】
さらに、本発明の第2の態様によれば、本発明は、構造物を封止するため、特に、地面と接触する構造物および部材ならびに屋根(平屋根)の封止および/または保護のための、上記した本発明の建築材料組成物の使用に関する。
【0074】
さらに、本発明の第3の態様によれば、本発明は、構造物または部材(屋根を含む)を封止および/または保護するための方法であって、上記した本発明の建築材料組成物を、関連の構造物または部材に十分な厚みで適用し、次いで乾燥および硬化させる方法に関する。
【0075】
本発明の使用および本発明の方法において、本発明の建築材料組成物は、通常は0.1〜10mm、特に1〜5mm、好ましくは2〜4.5mmの層厚み(湿潤厚み)で適用する。
【0076】
本発明のさらなる態様、展開、修飾および変更は、本願を読んだ当業者により、本発明の範囲から逸脱することなく容易に認識および実現することができる。
【実施例】
【0077】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、これらは本発明の限定を意図するものではない。
本発明の建築材料組成物、特にビチューメン不含シーラントを、以下のように2成分系(2C系)として配合した:
【表1】


【表2】

【0078】
成分(A)の鉱物骨材は、成分(B)の鉱物骨材よりも小さい粒度で存在する。
成分(A)は約0.75kg/Lの密度を有し、一方、成分(B)の密度は約1.63kg/Lである。
上記した成分(A)および(B)を、(A):(B)の混合比=約2:1で混合して、均一な混合物を得た。
【0079】
次いで、均一混合物を、8m×3mの壁表面に、湿潤状態で約4mmの層厚みで適用した。乾燥および硬化の後に、壁表面を水分の作用から保護する均一な約4mm厚みの亀裂のない密着した封止層が得られた。封止した表面は、どのような亀裂をも含んでいなかった。
【0080】
上記した実験を繰り返したが、液体成分(A)においてポリスチレン成分(比較実験I)または中空セラミック微小球(比較実験II)または中空合成微小球(比較実験III)を除いた。操作は上記と同じであった。それぞれの混合物を湿潤状態で壁表面に4mm厚みで適用した後に、上記成分を含まない各生成物の場合に生じる収縮のゆえの亀裂を観察した。乾燥および硬化した封止層は、収縮のゆえにそれぞれ実質的に4mm未満の小さい厚みを有していた。
【0081】
上記した実施例は、ビチューメン不含のエポキシ樹脂に基づかないポリマー分散液における上記軽量充填剤の特別の組合せによる、本発明の建築材料組成物の効果を明瞭に示すものである。
【0082】
プラスチック分散液を使用する代わりに、水性媒体中に再分散性であるスチレン/アクリレートコポリマーに基づく再分散粉末を使用することができる(次いで、この再分散粉末は、使用前に、対応する量の水と混合しなければならない)。再分散粉末の使用は、1成分系(1C系)としての配合を可能にするが、この場合には、全ての他の成分が乾燥構成成分として選択される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分を含有する建築材料組成物、特にビチューメン不含シーラント:
・少なくとも1つのポリマー分散液または1つの対応する再分散粉末、特に、好ましくは水性媒体中で再分散可能なエマルジョンポリマーに基づく再分散粉末、
・ポリスチレン粒子、
・中空セラミック微小球、
・中空合成微小球、および
・適切であれば、少なくとも1つのバインダー。
【請求項2】
ビニル系、(メタ)アクリレート系、スチレン系、ブタジエン系および/またはエチレン系のポリマーに基づくポリマー分散液または対応する再分散粉末が使用され、特に、ポリマー分散液または対応する再分散粉末がビニル系またはアクリレート系であり、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ベルサチン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデンおよび/または1〜20個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のビニルエステル、アクリルおよびメタクリルモノマー、特にそのエステル、スチレン、ブタジエンおよび/またはエチレンが使用される、請求項1に記載の建築材料組成物。
【請求項3】
・ポリマー分散液が、プラスチック分散液、特に非エポキシ樹脂に基づくプラスチック分散液であり、そして/または
・ポリマー分散液が、イオン修飾され、そして/または
・ポリマー分散液が、ポリマー分散液を基準に、30〜75%、特に40〜65%、好ましくは50〜60%の固体含量を有し、そして/または
・ポリマー分散液のポリマー粒子が、0.001〜5μm、特に0.01〜3μm、好ましくは0.05〜2μm、特に好ましくは0.1〜1.0μmの粒度、特に平均粒度を有し、そして/または
・ポリマー分散液が、水ベースの系、好ましくはアンモニア不含の分散系として配合され、そして/または
・ポリマー分散液が、スチレン/(メタ)アクリレートコポリマー、スチレン/ブタジエンコポリマーおよび/または酢酸ビニル/エチレンコポリマーに基づく分散液、好ましくはスチレン/アクリレートコポリマーに基づく分散液であり、そして/または、再分散粉末が、スチレン/(メタ)アクリレートコポリマー、スチレン/ブタジエンコポリマーおよび/または酢酸ビニル/エチレンコポリマーに基づく再分散粉末、好ましくはスチレン/アクリレートコポリマーに基づく再分散粉末である、請求項1または2に記載の建築材料組成物。
【請求項4】
・ポリスチレン粒子が、ポリスチレンビーズもしくは小さいポリスチレン球として、またはポリスチレン顆粒として存在し、そして/または
・ポリスチレン粒子が、0.1〜3.0mm、特に0.2〜2.0mm、好ましくは0.5〜1.5mmの粒度を有し、そして/または
・ポリスチレン粒子が、5〜30g/L、特に7.5〜15g/L、好ましくは10〜13g/Lの嵩密度を有し、そして/または
・ポリスチレン粒子が、発泡可能なおよび/または発泡したポリスチレンから、特に、少なくとも1つの発泡剤、好ましくはアルカン、特にペンタンおよび/またはペンタン異性体を含有する発泡可能なポリスチレンから形成される、請求項1〜3のいずれかに記載の建築材料組成物。
【請求項5】
・中空セラミック微小球が、ケイ酸塩、特にアルミノケイ酸塩および/またはホウケイ酸塩、好ましくはアルミノケイ酸塩をベースに形成され、そして/または
・中空セラミック微小球が、1〜500μm、特に1〜350μm、好ましくは10〜300μmの粒度を有し、そして/または
・中空セラミック微小球が、100〜160μm、特に120〜150μm、好ましくは125〜140μmの平均粒度を有し、そして/または
・中空セラミック微小球が、100〜600g/L、特に250〜500g/L、好ましくは350〜475g/Lの嵩密度、および/または、1800〜3000ml/1000g、特に2000〜2900ml/1000g、好ましくは2100〜2800ml/1000gの嵩体積を有し、そして/または
・中空セラミック微小球が、0.5〜1.0g/cm3、特に0.6〜0.9g/cm3、好ましくは0.7〜0.8g/cm3の範囲内の密度を有し、そして/または
・中空セラミック微小球が、少なくとも4、特に少なくとも4.5、好ましくは少なくとも5、特に好ましくは5〜6の範囲内のモース硬度、および/または、少なくとも12MPa、特に少なくとも13MPa、好ましくは少なくとも14MPaの圧縮強度を有し、そして/または
・中空セラミック微小球が、全中空微小球の5〜15%、好ましくは約10%を占めるシェル直径を有し、中空セラミック微小球の85〜95%、好ましくは約90%が、シェルによって形成されるキャビティから構成される、請求項1〜4のいずれかに記載の建築材料組成物。
【請求項6】
・中空合成微小球が、有機ポリマーをベースに形成され、特に、塩化ビニリデン、アクリロニトリルおよび/または(メタ)アクリル酸メチルからなる群からのモノマーに基づく有機ポリマーから、好ましくは塩化ビニリデン/アクリロニトリルコポリマーから、またはフェノール樹脂から形成され、そして/または
・中空合成微小球が、1〜300μm、特に1〜200μm、好ましくは5〜150μm、特に好ましくは10〜150μmの粒度を有し、そして/または
・中空合成微小球が、10〜100μm、特に20〜80μm、好ましくは20〜60μmの平均粒度を有し、そして/または
・中空合成微小球が、中空微小球を基準に、5〜20%、特に7〜17%の固体含量を有し、そして/または
・中空合成微小球が、発泡可能なおよび/または発泡した形態で存在し、特に、中空合成微小球が、少なくとも1つの発泡剤、好ましくはアルカン、特にペンタンおよび/またはペンタン異性体を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の建築材料組成物。
【請求項7】
・バインダーが、水硬性、潜在水硬性または非水硬性バインダー、特に水硬性バインダーであり、そして/または
・バインダーが、セメント;石灰;漆喰;硫酸カルシウム、例えば無水石膏および石膏;スラグ、例えば高炉スラグ;フィルター灰;およびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはセメント、特にポルトランドセメントである、請求項1〜6のいずれかに記載の建築材料組成物。
【請求項8】
建築材料組成物が、少なくとも1つの添加剤および/または少なくとも1つのさらなる成分、特に、湿潤剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、可塑剤、無機充填剤、鉱物骨材、固化遅延剤、固化促進剤、繊維、顔料およびこれらの混合物からなる群から選択される添加剤および/またはさらなる成分をも含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の建築材料組成物。
【請求項9】
建築材料組成物が、少なくとも1つの増粘剤、特に、メチルヒドロキシエチルセルロース、キサンタンゴム、シリカおよびこれらの混合物からなる群からの増粘剤、特にキサンタンゴムおよび/またはシリカとメチルヒドロキシエチルセルロースとの組合せを含有する、請求項1〜8のいずれかに記載の建築材料組成物。
【請求項10】
建築材料組成物が、1成分系(1C系)または2成分系(2C系)として配合され、特に、2成分系の場合に、一方のポリマー分散液と他方のバインダーが異なる成分で存在する、請求項1〜9のいずれかに記載の建築材料組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の建築材料組成物、特にビチューメン不含シーラントであって、該建築材料組成物が2成分系(2C系)として配合され、該2成分系が、第1に成分(A)を、特に液体成分として、ならびに、第2に成分(B)を、特に乾燥もしくは粉末成分としてまたは液体成分として、好ましくは乾燥もしくは粉末成分として含み、
・成分(A)が、成分(A)の量を基準にそれぞれ、
−少なくとも1つのポリマー分散液、特に、2〜100重量部、好ましくは30〜80重量部、特に好ましくは40〜60重量部の量のポリマー分散液、
−ポリスチレン粒子、特に、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、特に好ましくは0.1〜2.5重量部の量のポリスチレン粒子、
−中空セラミック微小球、特に、0.1〜60重量部、好ましくは0.2〜50重量部、特に好ましくは0.5〜10重量部の量の中空セラミック微小球、
−中空合成微小球、特に、0.01〜30重量部、好ましくは0.05〜15重量部、特に好ましくは0.1〜5重量部の量の中空合成微小球、
−適切であれば、少なくとも1つの無機充填剤または鉱物骨材、好ましくは炭酸カルシウムおよび/またはSiO2、好ましくは珪砂の形態にあるSiO2、特に、全体で2〜160重量部、好ましくは5〜100重量部、特に好ましくは10〜50重量部の量の無機充填剤または鉱物骨材、
−適切であれば、少なくとも1つのさらなる添加剤、特に湿潤剤、消泡剤、防腐剤および/または増粘剤からなる群からの添加剤、特に、全体で0.01〜5重量部、好ましくは1〜5重量部の量の添加剤、および
−適切であれば、追加の水、特に、0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部の量の水、
を含有し、そして
・成分(B)が、成分(B)の量を基準にそれぞれ、
−少なくとも1つのバインダー、好ましくはセメント、特に、1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、特に好ましくは5〜15重量部の量のバインダー、
−適切であれば、少なくとも1つの無機充填剤または鉱物骨材、好ましくは炭酸カルシウム、好ましくは石灰石粉末の形態にある炭酸カルシウム、および/またはSiO2、好ましくは珪砂の形態にあるSiO2、特に、全体で2〜200重量部、好ましくは50〜150重量部、特に好ましくは80〜100重量部の量の無機充填剤または鉱物骨材、
を含有する建築材料組成物。
【請求項12】
成分(B)が液体成分として配合され、少なくとも1つの分散剤、特にバインダーに対して不活性な分散剤を、好ましくは1〜1000重量部、特に50〜500重量部、特に好ましくは100〜200重量部の量で含有し、特に、該分散剤が、大気圧下で液体であって大気圧で少なくとも200℃の沸点または沸点範囲を有する有機化合物から、好ましくは、有機溶媒、例えば有機炭化水素、油、特に鉱油および液体パラフィン、可塑剤およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の建築材料組成物。
【請求項13】
成分(A)および成分(B)が、(A):(B)の混合比=30:1〜1:1、特に10:1〜1:1、好ましくは4:1〜1:1、特に好ましくは3:1〜1:1、非常に特に好ましくは約2:1で使用される、請求項11または12に記載の建築材料組成物。
【請求項14】
成分(A)が、0.5〜1.0kg/L、特に0.6〜0.8kg/L、好ましくは0.70〜0.80kg/Lの密度を有し、そして/または、成分(B)が、0.8〜2.5kg/L、特に1.5〜2.1kg/L、好ましくは1.60〜1.70kg/Lの密度を有し、そして/または、成分(B)の密度が、成分(A)の密度の少なくとも1.5倍、特に少なくとも1.7倍、好ましくは少なくとも2倍である、請求項11〜13のいずれかに記載の建築材料組成物。
【請求項15】
構造物を封止するため、特に、地面と接触する構造物または部材あるいは屋根を封止および/または保護するための請求項1〜14のいずれかに記載の建築材料組成物の使用。
【請求項16】
構造物または部材を封止および/または保護するための方法であって、請求項1〜14のいずれかに記載の建築材料組成物を、関連の構造物または部材に十分な厚みで適用し、次いで乾燥および硬化させる方法。
【請求項17】
建築材料混合物を、湿潤状態で0.1〜10mm、特に1〜5mm、好ましくは2〜4.5mmの層厚みで適用する、請求項15に記載の使用または請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2009−515014(P2009−515014A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539267(P2008−539267)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008545
【国際公開番号】WO2007/054148
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】