説明

建築構造体説明用画像システム

【課題】マンション等の買い主に判りやすく、またPCのWebブラウザ上で3D画像をスムーズに表示できる建築構造体説明用画像システムを提供する。
【解決手段】PC1と接続可能なWebサーバ2、またはPC1のメモリ内に、建築構造体を説明するためのページデータ等が格納されているページデータベース10と、Web3D画像表示ツールのエンジンの圧縮データ、3D画面表示データ等が格納されている3次元モデルデータベース20と、建築構造物の各要素に色や質感を付加する画像が格納されているテクスチャデータベース40と、Web3D画像表示ツールを動かすための基本的な命令が3Dアプレットで記述されたデータファイル等が格納されている動作実行データベース50と、が格納された建築構造体説明用画像システムであり、ノープラグインで3Dシーン情報の表示および操作を可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の耐震構造や免震構造等の安全性を、3次元画像を用いて可視的に説明をするための建築構造体説明用画像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の構造設計においては建築物に常時あるいは一時的に働く固定荷重、積載荷重、積雪荷重、風圧力、地震力等の種々の力を考慮した構造計画が必要となる。建築物の構造設計ではこれら種々の荷重により生じる種々の応力について安全基準を満たすように建築物の形状、骨格の形式を決め、更に建築構造部材の配置と大きさを決めている。
【0003】
分譲販売するマンション等の建築物の事業主は、買い主に対して建築物の構造がどのように構成され、また安全性などを説明する説明責任がある。
【0004】
しかし、建築物の専門分野である構造体について、図面や構造計算書を見せても、専門家ではない買い主には一般的には理解できない。
【0005】
そこで、建築構造部材の荷重や応力に基づいて決定された強度を、表示画面に表示された実際の建築構造部材に分かりやすく表現する建築構造の強度表示装置が、特許文献1において提案された。
【0006】
その内容は、複数種類の建築構造部材の形状データ及び相対位置データを記憶する記憶手段と、同記憶手段から読み出された同両データに基づいて各建築構造部材を組み合わせた仮想3次元モデルを構築し、同仮想3次元モデルから選択された建築構造部材に対して平面上に描画された2次元線図を作成する2次元線図作成手段と、同2次元線図作成手段により得られた2次元線図を表示画面に表示させる表示手段と、各建築構造部材の属性に応じた応力算出用データに基づいて応力値を算出する応力算出手段と、前記建築構造部材の2次元線図に対して建築構造部材毎に応力値が属する帯域に対応して複数の異なる強度表示態様を小さい応力値から大きな応力値まで順に用意し、同複数の強度表示態様の中から前記応力算出手段によって得られた応力値が含まれる帯域に対応する強度表示態様を選択する選択手段と、同選択手段によって選択された所定の強度表示態様を2次元線図上の建築構造部材の強度表示態様として表示画面に表示させる強度表示手段とを有する建築構造の強度表示装置である。
【0007】
しかし、この特許文献1において開示された装置においては、各建築構造部材を組み合わせた仮想3次元モデルから選択された建築構造部材に対して平面上に描画された2次元線図を作成して表示画面に表示し、その2次元線図上の建築構造部材を、応力値に応じた強度表示態様で表現させることにより、視覚的に実際の建築構造部材の強度を理解できるようにしたものであるが、これは、建築設計家向けのものであり、個別の建築構造部材が安全かどうかよりも、建築物全体の安全性を買い主に説明するツールとしては不向きである。
【0008】
一般的に素人である買い主にわかりやすく説明するためには、当該建築物の基礎、杭、梁、柱、耐震壁等がどの位置に、どのように配置されているかを、3D(3次元)画像を用い、画像の回転、拡大を交えながら説明すると、理解が早いと考えられる。
【0009】
しかし、3D画像を、PC(Personal Computer)を用いて表示するには、特別なビュワーや3次元グラフィックス記述言語をPCにインストールないしインターネットを介してダウンロードする必要がある。また、3D画像は一般的にデータサイズが大きく、複雑かつ外観がきれいな表示を高速で行うには、PCのCPUの処理速度が速いことが要求されるため、高性能なPCを使用しないと、画像処理に時間がかかり、快適な画像再現が困難となる。
【0010】
このような問題を解決するために、特許文献2には、Webブラウザ上で3D画像をスムーズに表示できるWeb3D画像表示システムが開示されている。
【0011】
これは、サーバから3D画像ファイルをダウンロードし、Webブラウザ上で3D画像を表示するコンピュータシステムであって、VRML(Virtual Reality Modeling Language)等の標準的なWeb用3Dグラフィックス記述言語で記述されたWeb3Dファイルから取出された3Dシーン情報を基に編集・生成し、編集・生成して得られた3Dシーン情報の3D圧縮ファイルとリアルタイム3Dレンダリング及びモーションアルゴリズムを実行して該3Dシーンを表示するための3Dアプレットとを保持するサーバと、3Dシーンを表示するための3Dアプレット及び3D圧縮ファイルをダウンロードして3Dシーンを表示するWebブラウザと、を備え、Webブラウザは、サーバとのコミュニケーションによりサーバに3Dアプレットを要求してダウンロードする3Dアプレット要求手段と、3Dアプレットを実行してサーバに3D圧縮ファイルを要求しダウンロードする3D圧縮ファイル要求手段と、シーン,バックグラウンド,イメージ,シェイプ,テクスチャ,アプレット,ツールバー等のオプション情報をサーバに要求してダウンロードするオプション情報要求手段と、ダウンロードを完了して全ての情報を受け取った後、サーバを介さずにWebブラウザ単独で3Dアプレットを実行する3Dアプレット実行手段と、3Dアプレット実行手段によりリアルタイム3Dレンダリング及びモーションアルゴリズムをWebブラウザ単独で実行し継続して3Dシーンの表示を行う3Dシーン表示手段と、3Dシーンを表示すると共に、利用者とのインタラクティビィティを可能にするインタラクティブ表示処理手段とを有するWeb3D画像表示システムである。
【0012】
【特許文献1】特開2000−67103号公報
【特許文献2】再公表WO2003/034345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したように、マンション等の共同住宅建築の購入を検討しようとするクライアントに、その建築物の設計図や構造計算書を示しても、それが安全設計されているかどうか、クライアントには判らない。また、特許文献1に記載されたような建築構造の強度表示装置を用いても、建築物全体の安全性については把握することが困難である。
【0014】
マンション等のディベロッパーにとって、マンション等の構造体がどうなっているのかをクライアントに説明する説明責任があるし、クライアントにとっても、耐震構造等の安全性を満たしているかどうかの説明を受けることが購入の大きな要件となる。
【0015】
具体的には、杭、基礎、柱、梁、耐震壁、床等がどういう構造体になっているか、杭がどのくらいの長さになっているか、接合部の曲げモーメントは大丈夫か、鉄筋がどういう風に入っているかを説明することは、クライアントに対する大きな判断材料を与えることになる。また、そのような説明を判りやすく行うことによって、マンション等のディベロッパーに対する信頼感が築かれる。
【0016】
本発明は、そのような、マンション等の買い主に対する説明責任を果たすためのツールとして有用であり、クライアントに判りやすく、またPCのWebブラウザ上で3D画像をスムーズに表示できる建築構造体説明用画像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するため、本発明は、上述の特許文献2に開示されたWeb3D画像表示システムを利用し、クライアントに判りやすく、またPCのWebブラウザ上で3D画像をスムーズに表示できる建築構造体説明用画像システムとして開発されたものである。
本発明の建築構造体説明用画像システムは、インターネットを介してPCに接続されるWebサーバ、またはPCに直接接続される外部メモリ、あるいはPCの内部メモリに、建築構造体を説明するためのページをディスプレイ上に表示するためのページデータ、およびそのページに表示する建築構造体のデータならびに3Dアプレットページ動作プログラムが格納されているページデータベースと、Web3D画像表示ツールを動かすためのエンジンの圧縮データおよび3D画面表示データが格納されている3次元モデルデータベースと、指定された建築構造物の各要素に色や質感を付加する画像が格納されているテクスチャデータベースと、Web3D画像表示ツールを動かすための基本的な命令が3Dアプレットで記述されたデータファイル、および3D画面の動きを円滑に行うための命令が3Dアプレットで記述されたデータファイルが格納されている動作実行データベースと、が格納され、前記PCに、インターネット用のオブジェクト指向言語で記述されたプログラムが動作可能なWebブラウザがインストールされ、前記3次元モデルデータベースは、3Dシーン情報の3D圧縮ファイルとリアルタイム3Dレンダリングおよびモーションアルゴリズムを実行して該3Dシーン情報を表示するための3Dアプレットとで構成され、前記ページデータベースに格納されるページは、html(HyperText Markup Language)形式および3Dアプレットで記述され、前記テクスチャデータベースに格納される画像は、gif,jpeg等の汎用の画像形式であることを特徴とする。
本発明では、特別なビュワーや3次元グラフィックス記述言語を用いないので、一般的なPCに標準的にインストールされているWebブラウザ上で、画像を表示することができ、3Dシーン情報が圧縮ファイルで保存されていることと、3Dアプレットを使用しているので、画像のデータサイズを小さくでき、また画像処理を高速に行うことができ、快適な画像閲覧が可能となる。
前記ページデータには、フレーム構成ページデータ、保有水平耐力ページデータ、パネルゾーンと構造ページデータの少なくともいずれかを含ませることができる。PCのWebブラウザ上で、鉄骨柱梁接合部などに形成される大きなせん断力を受ける領域であるパネルゾーンおよび(鉄骨)構造、重心と剛心の位置および偏心率を示す保有水平耐力、柱と梁で構成された骨組部分であるフレームの構成をそれぞれ3Dで表示し、また回転、拡大、移動などの操作により判りやすく表示することができる。
ここで「重心」は、建築物の重さの中心であり、「剛心」は耐震要素の配置による強さの中心である。建築物が地震力の作用によって崩壊メカニズムを形成する場合において、地震力は、建築物の各階の重心に作用する。これを、各階の柱、耐力壁及び筋かいが負担する抵抗の度合いである剛心が抵抗する。重心と剛心の離れの度合いである「偏心率」は、地震力に対する建築物のねじれ剛性を示す。偏心率が大きくなれば、建築物全体のねじれが大きくなり、バランスが崩れて崩壊しやすくなる。Webブラウザ上で、各階の重心と剛心の位置を3Dで表示することにより、その建築物の地震耐力を判りやすく説明することができる。
前記3Dアプレットは、Java(登録商標)アプレットを用いることができる。ここで、「アプレット」とは、Java(登録商標)等のインターネット用のオブジェクト指向言語のプログラミングに利用できる簡単なモジュールのことをいう。
前記3次元モデルデータベースにおける3Dシーン情報は、Web用3Dグラフィックス記述言語で記述されたWeb3Dファイルから取出された3Dシーン情報を基に編集・生成して得られたものとすることができる。
前記Web用3Dグラフィックス記述言語は、VRMLを用いることができる。ここで、VRMLは、インターネットのWeb上で三次元仮想空間を表現するための言語であり、多くのCAD(Computer Aided Design)や多くのCG(Computer Graphics)ソフトから出力することが可能であるが、Webブラウザで再現するには専用のプラグインを必要とし、高速のCPUを必要とする。本発明では、3DコンテンツをJava(登録商標)アプレットとして作成することで、専用のプラグインを不要としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、特別なビュワーや3次元グラフィックス記述言語を用いないので、一般的なPCに標準的にインストールされているWebブラウザ上で、画像を表示することができ、3Dシーン情報が圧縮ファイルで保存されていることと、3Dアプレットを使用しているので、画像のデータサイズを小さくでき、また画像処理を高速に行うことができ、快適な画像閲覧が可能となる。
PCに標準的にインストールされているWebブラウザ上で、鉄骨柱梁接合部などに形成される大きなせん断力を受ける領域であるパネルゾーンおよび(鉄骨)構造を3Dで表示した上で、各フレーム部分(杭、基礎、柱、梁、床、耐震壁)をそれぞれ抜粋表示し、また回転、拡大、移動などの操作を可能とすることにより、建築物の全体フレーム構成をあらゆる角度から検証できる。
また、柱と梁で構成された骨組部分であるフレームの構成を3Dで表示し、また回転、拡大、移動などの操作を可能とすることにより、建築物の杭または基礎がどのようにその土地の支持地盤に定着しているかを3D表示できる。
さらに、重心と剛心の位置および偏心率を示す保有水平耐力を3Dで表示し、また回転、拡大、移動などの操作を可能とすることにより、重心と剛心の離れ、いわゆる偏心率の大きさを確認しながら、建築物のバランスの良さを検証できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図7を用いて説明する。
図1は、本実施の形態の構成を示すブロック図であり、クライアントPC(以下、単に「PC」という)1と、PC1とインターネットを介して通信可能なWeb(World Wide Webの略)サーバ2、および/またはPC1にUSB(Universal Serial Bus)端子等を介して接続可能な外部メモリ3を有している。外部メモリ3としては、ICメモリ、CD(Compact Disc)−ROM,DVD(Digital Versatile Disc)−ROM等のメモリ媒体を用いることができる。PC1は、CPU(Central Processing Unit)と、Windows(登録商標)やMacOS(登録商標)等のOS(Operating System)やプログラムがインストールされたハードディスクや、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等の記憶手段と、キーボード、マウス等の入力手段と、液晶ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置と、インターネットを介しての通信を行う通信手段を有している一般的な構成のものである。
【0020】
PC1には、Java(登録商標)等の画像や音声の表現をリアルタイムに表現するインターネット用のオブジェクト指向言語で記述されたプログラムが動作可能な、Internet Explorer(登録商標)やNetscape Navigator(登録商標)等の一般的なWebブラウザがインストールされており、HTMLで記述されたインターネット用の画面、文書を表示装置上に表示することができる。
【0021】
本実施の形態においては、インターネットを介してPC1に接続されるWebサーバ2またはPC1のUSB端子等に直接接続されるかCD−ROMドライブやDVD−ROMドライブに装着されるディスク等の外部メモリ3には、ページデータベース10と、3次元モデルデータベース20と、動作チェックデータベース30と、テクスチャデータベース40と、動作実行データベース50が格納されている。これらのデータベースは、PC1内のハードディスク等にコピーして用いることができる。
【0022】
ページデータベース10には、建築構造体を説明するためのトップページデータ11、フレーム構成ページデータ12、保有水平耐力ページデータ13、およびパネルゾーンと構造ページデータ14およびそれらのページに表示する建築構造体のデータおよびJava(登録商標)アプレットページ動作プログラムが格納されている。これらのページデータは、VRML(Virtual Reality Modeling Language)等の標準的なWeb用3Dグラフィックス記述言語で記述されたWeb3Dファイルから取出された3Dシーン情報を基に編集・生成されたものである。
【0023】
3次元モデルデータベース20には、Web3D画像表示ツールである3Dプログラムを動かすためのエンジンの圧縮データからなるエンジンと、3D画面表示データと、保有水平耐力画面で表示する文書のデータが格納されている。
【0024】
動作チェックデータベース30には、Web3D画像表示ツールが立ち上がるまでのチェックを行うプログラム各htmlから受け取った命令を実行するスクリプトが格納されている。
【0025】
テクスチャデータベース40には、指定された建築構造物の各要素に色や質感を付加する画像が格納されている。
【0026】
動作実行データベース50には、Web3D画像表示ツールを動かすための基本的な命令がJavascript(登録商標)で記述されたデータファイルと、3D画面の動きを円滑に行うための命令がJavascript(登録商標)で記述されたデータファイルとが格納されている。
【0027】
Web3D画像表示ツールは、特許文献2において開示され、YAPPA3D(商標)として提供されているものを用いることができる。
【0028】
PC1を起動後、Webブラウザを開き、Webサーバ2のURLを入力するか、お気に入りのリストからWebサーバ2のサイト名称を選択すると、インターネットを介してWebサーバ2に接続され、Webサーバ2に格納されているトップページデータ11の画面が表示されるとともに、ページデータベース10、3次元モデルデータベース20、動作チェックデータベース30、3Dテクスチャデータベース40、動作実行データベース50がPC1の記憶手段における所定の領域にダウンロードされる。なお、Webサーバ2に格納された各データベースをインターネットを介してダウンロードする代わりに、各データベースを外部メモリ3に保存し、その外部メモリ3をPC1に接続することにより、データベースにアクセスするようにすることもできる。
【0029】
トップページデータ11で記述されたトップページ画面は、図示しないが、マンション等の建築物のディベロッパーのホームページのようなものであり、建築物件であるマンションをマウス等で選択すると、図2に示すような該当物件のフレーム構成画面となる。
【0030】
図2は、フレーム構成ページデータ12に基づく画面を示すものである。この画面は、3D表示領域であるアプレット画面12aと、画面切換ボタン12bと、3D画面操作ボタン12cと、構造物指定ボタン12dと、構造物指定ボタン12dで指定された構造物のデータを表示する構造物データ表示領域12eと、フレーム構成一覧表示領域12fを有している。画面切換ボタン12bは、「フレーム構成」と「保有水平耐力」と「パネルゾーンと構造」からなっている。3D画面操作ボタン12cは、「回転」と「移動」と「ズーム」と「リセット」からなっている。構造物指定ボタン12dは、「基礎」と「柱」と「地中梁」と「梁」と「耐震壁」と「ボイドスラブ」と「杭」と「土質」からなっている。図2の12−1は、構造物指定ボタン12dの「基礎」をマウスで押したときに画面に表示される、フレーム構成ページデータ12の下位の基礎ページを示している。
【0031】
このフレーム構成ページデータ12に基づく画面の各部とそれらを画面表示するためのデータとの関連を図3(a)に示し、各ボタン12b,12c,12dをマウスで押したときの処理のフローチャートを図3(b)に示す。
【0032】
図3(b)のフローチャートにおいて、フレーム構成ページデータ12に基づく画面のアプレット画面12aに3Dオブジェクトまたは3Dシーンを3次元モデルデータベース20に格納されている圧縮フォルダから読み込む(S1)。動作チェックデータベース30に格納されているチェックプログラムにより、3Dプログラム起動時のチェックを行う(S2)。3Dプログラムが起動すると、アプレット画面12aにJavascript(登録商標)で記述された3Dアプレットが実行され、インタラクディブ3Dシーンが表示される(S3)。この画面上で構造物指定ボタン12dのいずれかを押すと(S4)、動作実行データベース50より、Javascript(登録商標)コードがHtml画面内に読み込まれる(S5)。Javascript(登録商標)コードの指示により(S6)、3Dオブジェクト表示画像をテクスチャデータベース40より読み込む(S7)。これは、選択部位をカラー表示するためのものである。あるいは、動作実行データベース50内の3Dを動かす命令(Javascript(登録商標))により、3Dオブジェクト効果、アニメーションを読み込む(S8)。これは、フレームを透明にしたり、オブジェクトの自動移動をしたりするためのものである。読み込まれたデータに基づき、3Dアプレットが実行され、インタラクディブ3Dシーンが表示される。すなわち、選択部位が配筋別でカラー表示される(S9)。
【0033】
3D画面操作ボタン12cの「回転」をマウスで押し、マウスをアプレット画面12a内で動かすと、その動きが動作実行データベース50に伝達され、マウスの動きに応じて画像が回転する。3D画面操作ボタン12cの「移動」をマウスで押し、マウスをアプレット画面12a内で動かすと、その動きが動作実行データベース50に伝達され、マウスの動きに応じて画像が移動する。3D画面操作ボタン12cの「ズーム」をマウスで押し、マウスをアプレット画面12a内で上下に動かすと、その動きが動作実行データベース50に伝達され、マウスの動きに応じて画像が拡大・縮小する。
【0034】
このように、建築物の全体フレーム構成を3Dで表示した上で、各フレーム部分(杭、基礎、柱、梁、床、耐震壁)をそれぞれ抜粋表示することにより、あらゆる角度から構造体を検証することができる。
【0035】
図4は、保有水平耐力ページデータ13に基づく画面を示すものである。この画面は、3D表示領域であるアプレット画面13aと、画面切換ボタン13bと、3D画面操作ボタン13cと、バランス項目指定ボタン13dと、バランス項目指定ボタン13dで指定された項目の解説を表示する用語解説表示領域13eと、耐震強度一覧表示領域13fを有している。画面切換ボタン13bは、「フレーム構成」と「保有水平耐力」と「パネルゾーンと構造」からなっている。3D画面操作ボタン13cは、「回転」と「移動」と「ズーム」と「リセット」からなっている。バランス項目指定ボタン13dは、「重心」と「剛心」と「偏心率」からなっている。図4の13−1は、バランス項目指定ボタン13dの「偏心率」をマウスで押したときに画面に表示される、保有水平耐力ページデータ13の下位の偏心率ページを示している。
【0036】
この保有水平耐力ページデータ13に基づく画面の各部とそれらを画面表示するためのデータとの関連を図5(a)に示し、各ボタン13b,13c,13dをマウスで押したときの処理のフローチャートを図5(b)に示す。
【0037】
図5(b)のフローチャートにおいて、保有水平耐力ページデータ13に基づく画面のアプレット画面13aに3Dオブジェクトまたは3Dシーンを3次元モデルデータベース20に格納されている圧縮フォルダから読み込む(S11)。動作チェックデータベース30に格納されているチェックプログラムにより、3D起動時のチェックを行う(S12)。3Dプログラムが起動すると、アプレット画面13aにJavascript(登録商標)で記述された3Dアプレットが実行され、インタラクディブ3Dシーンが表示される(S13)。この画面上でバランス項目指定ボタン13dのいずれかを押すと(S14)、動作実行データベース50より、Javascript(登録商標)コードがHtml画面内に読み込まれる(S15)。Javascript(登録商標)コードの指示により(S16)、3Dオブジェクト表示画像をページデータベース10の画像保存フォルダより読み込む(S17)。これは、「基準点」、「重心」、「剛心」、「偏心率」をカラー表示するためのものである。あるいは、動作実行データベース50内の3Dを動かす命令(Javascript(登録商標))により、3Dオブジェクト効果、アニメーションを読み込む(S18)。これは、フレームを透明にしたり、オブジェクトの自動移動をしたりするためのものである。読み込まれたデータに基づき、3Dアプレットが実行され、インタラクディブ3Dシーンが表示される。すなわち、追加オブジェクトがカラー表示される(S19)。
【0038】
3D画面操作ボタン13cの「回転」をマウスで押し、マウスをアプレット画面13a内で動かすと、その動きが動作実行データベース50に伝達され、マウスの動きに応じて画像が回転する。3D画面操作ボタン13cの「移動」をマウスで押し、マウスをアプレット画面13a内で動かすと、その動きが動作実行データベース50に伝達され、マウスの動きに応じて画像が移動する。3D画面操作ボタン13cの「ズーム」をマウスで押し、マウスをアプレット画面13a内で上下に動かすと、その動きが動作実行データベース50に伝達され、マウスの動きに応じて画像が拡大・縮小する。
【0039】
このように、建築物の各階の重心と剛心位置を3Dで表示して、重心と剛心の離れ、すなわち偏心率の大きさを確認しながら、建物のバランスの良さを検証することができる。
【0040】
図6は、パネルゾーンと構造ページデータ14に基づく画面を示すものである。この画面は、3D表示領域であるアプレット画面14aと、画面切換ボタン14bと、3D画面操作ボタン14cと、パネルゾーン指定ボタン14dと、パネルゾーンの用語の解説を表示する用語解説表示領域14eとを有している。画面切換ボタン14bは、「フレーム構成」と「保有水平耐力」と「パネルゾーンと構造」からなっている。3D画面操作ボタン14cは、「回転」と「移動」と「ズーム」と「リセット」からなっている。パネルゾーン指定ボタン14dは、「柱と梁」の一方または全体を選択するボタンと「基礎と地中梁」の一方または全体を選択するボタンと「基礎と杭」の一方または全体を選択するボタンと「床と梁」の一方または全体を選択するボタンからなっている。図6の14−1は、パネルゾーン指定ボタン14dの「柱と梁」の全体を選択したときに画面に表示される、パネルゾーンと構造ページデータ14の下位の、柱と梁の接合部の配筋の状態を示すページを示している。
【0041】
このパネルゾーンと構造ページデータ14に基づく画面の各部とそれらを画面表示するためのデータとの関連を図7(a)に示し、各ボタン14b,14c,14dをマウスで押したときの処理のフローチャートを図7(b)に示す。
【0042】
図7(b)のフローチャートにおいて、パネルゾーンと構造ページデータ14に基づく画面のアプレット画面14aに3Dオブジェクトまたは3Dシーンを3次元モデルデータベース20に格納されている圧縮フォルダから読み込む(S21)。動作チェックデータベース30に格納されているチェックプログラムにより、3D起動時のチェックを行う(S22)。3Dプログラムが起動すると、アプレット画面14aにJavascript(登録商標)で記述された3Dアプレットが実行され、インタラクディブ3Dシーンが表示される(S23)。この画面上で「柱と梁」か「基礎と地中梁」か「基礎と杭」か「床と梁」かのいずれかの項目における一方または全体を選択するボタンを押すと(S24)、動作実行データベース50より、Javascript(登録商標)コードがHtml画面内に読み込まれる(S25)。Javascript(登録商標)コードの指示により(S26)、3Dオブジェクト表示画像をページデータベース10の画像保存フォルダより読み込む(S27)。これは、配筋のカラー表示、文言表示をするためのものである。あるいは、動作実行データベース50内の3Dを動かす命令(Javascript(登録商標))により、3Dオブジェクト効果、アニメーションを読み込む(S28)。これは、主要部位にクローズアップしたり、接合部配筋以外を透明にしたり、オブジェクトの自動移動をしたり、追加オブジェクトの読み込みをしたり、配筋の表示・非表示を切り替えるためのものである。読み込まれたデータに基づき、3Dアプレットが実行され、インタラクディブ3Dシーンが表示される。すなわち、選択部位の配筋表示がなされる(S29)。
【0043】
3D画面操作ボタン14cの「回転」をマウスで押し、マウスをアプレット画面14a内で動かすと、その動きが動作実行データベース50に伝達され、マウスの動きに応じて画像が回転する。3D画面操作ボタン14cの「移動」をマウスで押し、マウスをアプレット画面14a内で動かすと、その動きが動作実行データベース50に伝達され、マウスの動きに応じて画像が移動する。3D画面操作ボタン14cの「ズーム」をマウスで押し、マウスをアプレット画面14a内で上下に動かすと、その動きが動作実行データベース50に伝達され、マウスの動きに応じて画像が拡大・縮小する。
【0044】
このように、建築物の各フレーム同士が接合する部分であるパネルゾーンの配筋・鉄骨の詳細を3Dで表示して、あらゆる角度から検証することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、建築物の耐震構造や免震構造等の安全性を、3次元画像を用いて可視的に説明をするための建築構造体説明用画像システムとして、建築の分野において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に係るフレーム構成ページデータに基づく画面を示す説明図である。
【図3】本実施の形態に係るフレーム構成ページデータに基づく画面の各部とそれらを画面表示するためのデータとの関連を示すブロック図およびフローチャートである。
【図4】本実施の形態に係る保有水平耐力ページデータに基づく画面を示す説明図である。
【図5】本実施の形態に係る保有水平耐力ページデータに基づく画面の各部とそれらを画面表示するためのデータとの関連を示すブロック図およびフローチャートである。
【図6】本実施の形態に係るパネルゾーンと構造ページデータに基づく画面を示す説明図である。
【図7】本実施の形態に係るパネルゾーンと構造ページデータに基づく画面の各部とそれらを画面表示するためのデータとの関連を示すブロック図およびフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 PC
2 Webサーバ
3 外部メモリ
10 ページデータベース
11 トップページデータ
12 フレーム構成ページデータ
12a アプレット画面
12b 画面切換ボタン
12c 3D画面操作ボタン
12d 構造物指定ボタン
12e 構造物データ表示領域
12f フレーム構成一覧表示領域
13 保有水平耐力ページデータ
13a アプレット画面
13b 画面切換ボタン
13c 3D画面操作ボタン
13d バランス項目指定ボタン
13e 用語解説表示領域
13f 耐震強度一覧表示領域
14 パネルゾーンと構造ページデータ
14a アプレット画面
14b 画面切換ボタン
14c 3D画面操作ボタン
14d パネルゾーン指定ボタン
14e 用語解説表示領域
20 3次元モデルデータベース
30 動作チェックデータベース
40 テクスチャデータベース
50 動作実行データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットを介してPCに接続されるWebサーバ、またはPCに直接接続される外部メモリ、あるいはPCの内部メモリに、
建築構造体を説明するためのページをディスプレイ上に表示するためのページデータ、およびそのページに表示する建築構造体のデータならびに3Dアプレットページ動作プログラムが格納されているページデータベースと、
Web3D画像表示ツールを動かすためのエンジンの圧縮データおよび3D画面表示データが格納されている3次元モデルデータベースと、
指定された建築構造物の各要素に色や質感を付加する画像が格納されているテクスチャデータベースと、
Web3D画像表示ツールを動かすための基本的な命令が3Dアプレットで記述されたデータファイル、および3D画面の動きを円滑に行うための命令が3Dアプレットで記述されたデータファイルが格納されている動作実行データベースと、が格納され、
前記PCに、インターネット用のオブジェクト指向言語で記述されたプログラムが動作可能なWebブラウザがインストールされ、
前記3次元モデルデータベースは、3Dシーン情報の3D圧縮ファイルとリアルタイム3Dレンダリングおよびモーションアルゴリズムを実行して該3Dシーン情報を表示するための3Dアプレットとで構成され、
前記ページデータベースに格納されるページは、html形式および3Dアプレットで記述され、
前記テクスチャデータベースに格納される画像は、gif,jpeg等の汎用の画像形式である、
建築構造体説明用画像システム。
【請求項2】
前記ページデータには、フレーム構成ページデータ、保有水平耐力ページデータ、パネルゾーンと構造ページデータの少なくともいずれかが含まれている請求項1記載の建築構造体説明用画像システム。
【請求項3】
前記3Dアプレットは、Java(登録商標)アプレットである請求項1または2に記載の建築構造体説明用画像システム。
【請求項4】
前記3次元モデルデータベースにおける3Dシーン情報は、Web用3Dグラフィックス記述言語で記述されたWeb3Dファイルから取出された3Dシーン情報を基に編集・生成して得られたものである、請求項1から3のいずれかの項に記載の建築構造体説明用画像システム。
【請求項5】
前記Web用3Dグラフィックス記述言語は、VRMLである請求項1から4のいずれかの項に記載の建築構造体説明用画像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−3858(P2008−3858A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172935(P2006−172935)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(506215928)
【Fターム(参考)】