説明

建築物用接合金物及び建築物における接合部の確認方法

【課題】接合金物によるチェックの必要な接合部分に、逐一、出向くことなく、当該チェック対象接合部の近傍において、接合金物が設計仕様の通りに用いられているか否かを、容易、かつ、安全に、しかも、確実、迅速に確認する。
【解決手段】建築物の接合部に用いられる接合金物Aであって、この接合金物AがRFタグBを備えており、このRFタグBに当該接合金物Aに関する必要な情報を書き込みうるようにしてある建築物用接合金物、及び当該接合金物を用いた建築物における接合部の確認方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築物に必要強度をもたらす接合金物の管理、チェックを容易、かつ、確実になし得るようにした建築物用接合金物及び建築物における接合部の確認方法の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物における接合金物、例えば、構造材の接合に用いられる羽子板ボルトによる接合や、ホールダウン金物による柱の引き寄せ等の各接合金物による接合具合等は、逐一、目視によって確認するようにしていた。
【0003】
しかしながら、接合箇所が高所であったり、立ちまわり難い場所にある場合や、見難い場所にある場合等にあっては、接合金物による的確な接合がなされたか否かのチェックに、多くの労作が必要とされていた。
【0004】
また、各仕上げ処理の施された後における接合金物による接合具合や、引き寄せ具合等のチェックや、経年後の管理時における接合金物による接合具合や、引き寄せ具合等のチェックや、増改築に際しての既存接合金物による接合具合や、引き寄せ具合等のチェックが難しかった。
【0005】
ところで、CDやDVDなどのデジタル記録媒体に音楽、映画、ゲーム等のコンテンツを記録し、該デジタル記録媒体の貸し出しを行うレンタルシステムにおいて、
(1)該デジタル記録媒体のコンテンツ記録エリアとは別の場所にRFIDチップを埋め込み、前記記録エリア上に暗号化したコンテンツを記録し、前記RFIDチップに復号化鍵や貸出期限等の貸出管理情報を記録して利用者に貸し出すRFIDチップ搭載記録媒体の貸出管理手段
(2)前記RFIDチップ搭載記録媒体を借りた利用者が、RFIDリーダー/ライター付きプレーヤーを用いて前記RFIDチップに記録された貸出管理情報の範囲内でコンテンツを再生して利用することができ、貸出管理情報の範囲を超えた時点でコンテンツの再生ができなくなる貸出コントロール手段を備えたRFIDチップ搭載記録媒体レンタルシステムが、
コンピュータ記録媒体に記録した再生可能な音楽・画像などの情報に対して、不正使用防止、情報の保護、貸出条件の管理を行えるレンタルビジネスシステムとして提案されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−187524公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、RFタグを用いて接合金物をチェックしたり、管理するシステムはなく、設計仕様にもとづいて、要請された箇所の接合に、要請された設計仕様の接合金物を、設計仕様に準拠して締め付けると共に、その締め付け操作をした者が、例えば、仕様通りに接合したことの確認をなし得るように、当該締め込んだ接合金物部分に塗料を塗布し、これを、責任者が、逐一、チェックすることによって、設計仕様通りの接合金物による適正な締め付けがなされたことを確認するようにしていた。
【0008】
この結果、接合金物による各部位を逐一、設計仕様と対応しながら確認するために、多くの人手と時間とを要し、また、確認箇所によっては、しかるべき安全策を講じて確認作業をなす必要があった。
【0009】
この発明は、逐一、接合金物の設置位置に移動、確認することなく、容易に、かつ、安全に、しかも、短時間で、建築物における各接合部の確認を可能とする建築物用接合金物及び建築物における接合部の確認方法の提供をなそうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、前記課題を解決するために、建築物の接合部に用いられる接合金物であって、この接合金物がRFタグを備えており、このRFタグに当該接合金物に関する必要な情報を書き込みうるようにしてあることを特徴とする建築物用接合金物としてある。
【0011】
かかる構成からなる建築物用接合金物にあっては、当該接合金物による接合に際して、少なくとも当該接合金物の接合箇所に関する情報の書き込みをなし、更に、必要と判断される当該接合金物の種別、規格、接合方法、締め付け日、締め付け担当者、締め付けトルク値等の当該接合金物のチェックに必要な情報の書き込みをなすことによって、建築物の建築過程におけるチェック、建築後におけるチェック等を、逐一、当該接合金物による接合位置にでかけて、目視しながら確認する必要が無く、また、前記情報の書き込みの態様によっては、設計仕様に適合する種別、規格の接合金物であるか否か、設計仕様に適合するトルク値による締め付けであるか否か等の確認、及び、作業日、接合担当者の割出等を、容易つ確実になすことができる。また、前記接合金物に備えられるRFタグを当該接合金物の接合後に、無線通信手段によって書き込み可能なRFタグとしてある場合、前記接合金物による接合後に確認者、確認日等の書き込みをなすことによって、接合金物に関する再確認状況を、容易かつ確実にチェックすることができる。
【0012】
また、前記課題を解決するために、建築物の接合部に用いられる接合金物であって、この接合金物に当該接合金物に関する必要な情報の書き込まれたRFタグを備えつけるようにしてある接合金物では、当該接合金物に、少なくとも当該接合金物の接合箇所に関する情報が書き込まれており、更に、必要と判断される当該接合金物の種別、規格、接合方法、締め付け担当者、締め付け日、締め付けトルク値等の当該接合金物のチェックに必要な情報の書き込まれているRFタグを備え付けることによって、建築物の建築過程におけるチェック、建築後におけるチェック等を、逐一、当該接合金物による接合位置にでかけて、目視しながら確認する必要が無く、また、前記情報の書き込みの態様によっては、設計仕様に適合する種別、規格の接合金物であるか否か、設計仕様に適合するトルク値による締め付けであるか否かの確認、及び、作業日、接合担当者の割出等を、容易つ確実になすことができる。また、前記接合金物に備えられるRFタグを当該接合金物の接合後に、無線通信手段によって書き込み可能なRFタグとしてある場合、前記接合金物による接合後に確認者、確認日等の書き込みをなすことによって、接合金物に関する再確認状況を、容易かつ確実にチェックすることができる。
【0013】
また、前記課題を解決するために、建築物の接合部に用いられている接合金物であって、当該接合金物が少なくとも当該接合金物を個別に識別し得る情報を備えており、無線通信手段によって当該RFタグの情報の読みとりをなし得るようにしてあることを特徴とする建築物における接合部の確認方法にあっては、建築物の各接合部位に用いられている接合金物が、設計仕様通りに当該接合金物の接合箇所に備え付けられているか否かを、建築物の建築過程において、また、建築後において、逐一、当該接合金物による接合位置にでかけて、目視しながら確認することなく、容易、かつ、確実にチェックすることができる。また、前記接合金物の設置箇所に関する情報以外に、必要に応じて、接合金物の種別、接合方法、規格、締め付けトルク値、締め付け日、締め付け担当者等の情報の書き込みをしておくことによって、当該接合金物が、設計仕様に適合する種別、規格の接合金物であるか否か、設計仕様に適合するトルク値による締め付けであるか否か、作業日、接合担当者の割出等を、容易つ確実になすことができる。また、前記接合金物に備えられるRFタグを当該接合金物の接合後に、無線通信手段によって書き込み可能なRFタグとしてある場合、前記接合金物による接合後に確認者、確認日等の書き込みをなすことによって、接合金物に関する再確認状況を、容易かつ確実にチェックすることができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る建築物用金物及び建築物における接合部の確認方法は、接合金物によるチェックの必要な接合部分に、逐一、出向くことなく、当該チェック対象接合部の近傍において、接合金物が設計仕様の通りに用いられているか否かを、容易、かつ、安全に、しかも、確実、迅速に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図1〜図4にもとづいて、この発明を実施するための最良の形態に係る建築用接合金物A及び建築物における接合部の確認方法について説明する。
【0016】
なお、ここで図1は当該発明を実施するための最良の形態に係る建築物用接合金物AにRFタグBを備え付けた状態の要部を拡大して断面状態で、図2は、典型的な建築用接合金物Aよって構造材10、この図示例にあっては、梁11と桁12とを接合金物Aの一例としての羽子板ボルト20で接合している状態の要部を斜め上方から見て、図3は、その要部を縦向きに断面して側方から見て示している。図4は、基礎13上の土台14に柱15を接合金物Aの一例としてのホールダウン金物30によって接合している状態の要部を斜め上方から見て示している。
【0017】
第1の発明を実施するための最良の形態に係る建築物用接合金物Aは、建築物の接合部に用いられる接合金物Aであって、この接合金物AがRFタグBを備えており、このRFタグBに当該接合金物Aに関する必要な情報を書き込みうるようにしてある。
【0018】
ここで用いられるRFタグBは、ID情報を埋め込んだRFタグBから、電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信手段によって情報のやりとりをする、いわゆる、Radio Frequency IDentification(RFID)に用いられるものであって、備え付けられる接合金物Aにおける情報量が少ない場合には、ICタグと称される、いわゆる、ワンチップのIC(集積回路)で構成してあってもよい。
【0019】
この接合金物Aに備えられるRFタグBは、当該接合金物Aに前もって埋め込み状態に設けてあっても、当該接合金物Aに対して事後的に備え付けるようにしてあってもよい。
【0020】
かかるRFタグBを備える接合金物Aによる構造材10等の接合に際して、当該接合金物AにおけるRFタグBに、接合に関連する必要な情報を入力する。かかるRFタグBに対する情報の書き込みは、接合金物Aによる接合操作に関連して自動的になされるようにしてあっても、また、当該接合操作に際して確認されるデータを手動によってなすようにしてあってもよい。また、接合金物Aによる接合に際してRFタグBを当該接合金物Aに備え付ける場合にあっては、当該接合金物Aの備え付け位置情報等の事前に確認しうる情報を書き込んだ状態でRFタグBを接合金物Aに備え付けるようにしてあってもよい。
【0021】
かかる接合金物AにおけるRFタグBに書き込まれるデータは、当該RFタグBに対する専用のRFIDライターによって書き込まれるようにしてあっても、また、一部を当該RFタグBの書き込みドライバーを備えるコンピューターによってなしておき、現場において確定されるデータを当該RFIDライターを用いて書き込むようにしてあってもよい。
【0022】
かかるRFタグBに対する書き込みデータは、必要とされるデータの全部を当該RFタグBに書き込むようにしてあっても、また、必要最小限の、例えば、当該接合金物Aの接合に用いられている位置情報(例えば、設計仕様における接合箇所を示す番号等)のみの書き込みとして、確認された位置情報(例えば、設置箇所番号等)に対応する当該接合金物A及び当該接合金物Aによる接合条件等の情報をコンピューター等に、前記位置情報に関連づけて、保存、管理しておき、随時、随意に検索しうるようにしてあってもよい。
【0023】
また、第2の発明を実施するための最良の形態に係る建築物用接合金物Aは、建築物の接合部に用いられる接合金物Aであって、この接合金物Aに当該接合金物Aに関する必要な情報の書き込まれたRFタグBを備えつけるようにしてある。
【0024】
かかるRFタグBは、接合金物Aと分離した状態で、当該接合金物Aに備え付けられるRFタグBに、当該接合金物Aに関する情報及び当該接合金物Aの接合条件等を前もって書き込みしてあれば、いかなる形態で書き込んであっても、また、いかなるタイミングで書き込んであってもよい。
【0025】
このように、RFタグBに前もって、対象接合金物A及び当該接合金物Aの接合条件等を書き込むことによって、より的確に、安定した書き込みをなすことができる。
【0026】
また、第3の発明を実施するための最良の形態に係る建築物における接合部の確認方法は、建築物の接合部に用いられている接合金物Aであって、当該接合金物Aが少なくとも当該接合金物Aを個別に識別し得る情報を備えており、無線通信手段によって当該RFタグBの情報の読みとりをなし得るようにしてある。
【0027】
この建築物の接合部に用いられている接合金物Aに備えられているRFタグBに、少なくとも当該接合金物Aを個別に識別し得る情報、例えば、設計仕様における接合金物Aの接合位置毎に付される番号等に対応する個別識別情報が書き込んであれば、更に、それ以上の情報を書き込んであってもよい。かかるRFタグBは、長期間に渡って建築物における接合金物Aの位置確認をする必要がある場合や、接合金物Aの種別、規格、締め付けトルク、締め付け日、締め付け者等を事後的にチェックしたり、接合金物Aにおける当該データを要請される場合等にあっては、当該RFタグBをパッシブタグとして用意する。かかるRFタグBは、例えば、記憶部、整流部、受信部及び送信部を備える半導体チップとアンテナコイルとで構成することができる。
【0028】
また、かかるRFタグBは、建築物に当該接合金物Aが接合手段として用いられて建築部を構成した時点で、必要情報が書き込んであれば、いかなるステップにおいて当該RFタグBに必要情報が書き込まれていてもよい。
【0029】
かかる建築物の接合金物Aに備えられる各RFタグBは、当該建築物における各接合金物Aに対応した個別識別情報を書き込んであり、少なくとも、当該建築物において同一の個別支持別情報がRFタグBに書き込まれないようにする。
【0030】
かかるRFタグBの個別識別情報は、建築確認に用いられる設計仕様における各接合金物Aに対応するようにしてある。
【0031】
従って、この建築確認に用いられる設計仕様に照らし合わせるように、この設計仕様に記載されている接合金物Aに対応する位置に備えられている接合金物AのRFタグBに、RFタグリーダーから届けられる電波や電磁界によってもたらされる電流で当該RFタグB内情報を反射波に乗せてRFタグリーダーに届けるようになし、このRFタグリーダーに届けられた個別識別情報が、前記設計仕様の接合金物Aに対応しているか否かを、順次、設計仕様の各接合金物A毎にチェックすることで、設計仕様通りに接合金物Aを用いて建築されているか否かのチェックをすることができる。
【0032】
この図示例に係る建築用接合金物Aは、典型的なRFタグBとして、例えば、ワンチップの集積回路(IC)からなるパッシブタイプのICタグを、接合後に確認を要する接合用金物に、例えば、凹部Aaを設け、この凹部Aa内に接着する等適宜の方法で止着する等、当該接合金物Aの締め付け操作等に際して、これに備えられるRFタグBが毀損されないように設置する。
【0033】
かかるRFタグBによる確認対象とされる建築用接合金物Aは、建築物の設計に際して、設計強度上、確認が必要とされる各部位にある接合金物Aであって、例えば、各種の羽子板ボルト、羽子板パイプ、ホールダウン金物等の引き寄せ金物、柱脚金物、各種短冊金物、ひら金物、折り曲げ金物、くら金物、かど金物、火打ち金物、梁受け金物、山形プレート、筋交いプレート等の各種の接合金物Aのうち、設計強度上、確認が必要とされる部位にある接合金物Aである。
【0034】
かかる建築用接合金物Aに備えられるRFタグBは、当該接合金物Aにおける確認の必要性に対応した情報が書き込まれる。例えば、当該接合金物Aが、設計仕様位置に備わっていることのみの確認で十分な場合には、当該設計仕様における当該箇所の仕様金物番号の個別識別情報の書き込みがあればよく、当該接合金物Aが設計仕様位置に、設計仕様規格のものとして備わっていることを確認すればよい場合にあっては、前記個別識別情報に併せて仕様規格情報の書き込みがされる。また、当該接合金物Aが設計仕様位置に、設計仕様規格の接合金物Aを所定の締め込みトルクで締め込んであることを確認する必要のある接合金物Aにあっては、前記情報に併せて当該接合金物Aの締め込みトルク値の書き込みがなされる。また、当該接合金物Aが設計仕様位置に前記各条件に併せて、締め込み作業者、締め込み作業日を確認する必要にある接合金物Aにあっては、前記各情報と共に当該接合金物Aの締め込み作業者及び締め込み作業日に関する情報の書き込みがなされる。また、当該接合金物Aが設計仕様位置に前記各条件に併せて、前記必要書き込み情報をチェックしたか否かの確認をする必要のある接合金物Aにあっては、前記各情報と共に当該接合金物Aのチェック情報、チェック者、チェック日に関する情報の書き込みがなされる。
【0035】
かかる建築用接合金物Aに備えられるRFタグBは、前記の各態様に適応する機能を備えるRFタグBを選択的に用いる。かかる、RFタグBの選択は、当該RFタグBに対する情報の書き込み手段、情報の確認手段と、当該RFタグBに要請される記憶容量等によって、都合のよい機能を備えるRFタグBを選択的に接合金物Aに備え付け用いることができる。
【0036】
かかる建築用接合金物Aに備えられるRFタグBは、当該接合金物Aに前もって備え付け用意し、この接合金物Aに備え付け用意されたRFタグBに、要請される情報を書き込むようにしてあっても、また、要請される各情報をRFタグBに書き込んだ状態で、これを対象接合金物Aに備え付けるようにしてあっても、更に、一部の情報を書き込んだRFタグBを対象となる接合金物Aに備え付け、これに、その後に得られる情報を書き込むようにしてあってもよい。
【0037】
かかる建築用接合金物Aに備えられるRFタグBに対する情報の書き込みは、接合金物Aの用いられる建築物の構造や、その施工方法等を勘案して、都合の良いタイミングでなされる。かかるRFタグBに対する情報の書き込みは、一括してなされてもよく、また、作業工程に併せて、数回にわたり、その都度、書き込むようにしてあってもよい。
【0038】
かかるRFタグBの情報の読み書きは、電磁界や電波などを用いた無線通信によって当該RFタグBの情報の読み書きをなし得るRFタグリーダー、RFタグライターでなすことができる。また、RFタグBに対する情報の書き込みは、当該RFタグBの書き込みのためのドライバを備えるコンピュータや、これを搭載する各種装置、例えば、トルク値をデジタルデータとして得られるトルクレンチに備えられる当該RFタグBに対するトルク値の書き込み用ドライバで、RFタグBに当該接合金物Aの締め込みトルク値を書き込むようにしてあってもよい。
【0039】
図2及び図3は、羽子板ボルト20を用いて構造材10としての桁12に梁11を引き寄せ接合している状態を示しており、この羽子板ボルト20における適宜の位置に、前記RFタグBを備え付けるようにして、当該羽子板ボルト20による引き寄せ接合が、設計仕様の通りになされていることを、建築確認に際してなし得るように、例えば、各羽子板ボルト20の羽子板部分に、それぞれRFタグBを貼りつけてある。
【0040】
なお、この図示例において、羽子板ボルト20の締め込み用ナット21、梁11に羽子板を組み付けるボルト22の締め込みナット等にそれぞれRFタグBを備え付けるようにしてあってもよい。
【0041】
図4は、基礎13に備えられているアンカーボルト31で、構造材10としての土台14上に備えられる柱15をホールダウン金物30で引き寄せ接合している状態を示しており、このホールダウン金物30に、前記RFタグBを備え付けてある。
【0042】
なお、この図示例において、アンカーボルト31をホールダウン金物30に引き寄せるナット32、当該ホールダウン金物30を柱15に取り付けるボルト33の締め込みナット、基礎13に柱15を引き寄せるアンカーボルト31の締め込みナット等に、それぞれ、前記RFタグBを備え付けるようにしてあってもよい。
【0043】
このように建築物用接合金物Aに備えられているRFタグBを、建築施工の任意時期、建築完工時等の建築確認に必要な際に、RFタグリーダーを用いて、設計仕様に適合するように順次に確認をする。かかる接合金物Aの確認は、当該接合金物Aに書き込まれている個別識別情報から、その接合金物Aが設計仕様位置にあるか否かの確認と共に、必要に応じて、当該個別惜別情報に対応して設計仕様書等に記載されている当該接合金物Aの種別、規格、締め付けトルク、締め付け操作者、締め付け日等の各種データの確認をすることができる。また、前記RFタグBで確認された個別識別情報に対応する接合金物Aの種別、規格、締め付けトルク、締め付け操作者、締め付け日等のデータを、例えば、ノートパソコン等に蓄積しておき、この個別識別情報と当該蓄積データとを関連づけるようにデータ構築しておくことによって、建築物に用いられている各接合金物Aを、より円滑に、確認、管理することができる。更に、前記のRFタグBにおける個別識別情報に対応する識別番号等を、ノートパソコン等に記録されている当該建築物におけるキャドデータに入力しておき、このキャドデータに入力されている識別番号と当該識別番号に対応する接合金物Aに関する種別、規格、締め付けトルク、締め付け操作者、締め付け日等のデータを関連づけて蓄積しておくことによって、当該RFタグBの付されている接合金物Aが設計仕様位置に、設計仕様の内容で備えられているか否かを、的確かつ迅速に確認することができる。
【0044】
また、かかる建築用接合金物Aに備えられるRFタグBに、当該RFタグBの備えられる接合金物Aの個別識別情報以外に、当該接合金物Aの種別、規格、締め付けトルク、締め付け操作者、締め付け日等の、確認を必要とされる各情報を書き込んでおき、これを無線通信によって、RFライターで読み込り、当該接合金物Aが設計仕様位置に備えられ、かつ、設計仕様の内容を備えているか否かの確認をなすようにしてあってもよい。
【0045】
このように建築物に、例えば、各構造材10の引き寄せ組み付けの手段として用いられている各接合金物Aが、設計仕様に適合する当該接合金物A位置にあるか否か、さらに、必要に応じて、この備えられている各接合金物Aが、それぞれ設計仕様通りの内容を備えているか否かの確認をしたことの記録を、当該各接合金物AにあるRFタグBに書き込むようにして、以降の建築物の管理に用いるようにすることもできる。
【0046】
かかるRFタグBに対する無線通信による各接合金物Aの情報の書き込みと、当該各接合金物A毎の情報の無線通信によるチェックとによって、建築物に備えられている接合金物Aが設計仕様位置毎に正しく据え付けられているか否か、また、必要に応じて、設計仕様通りの内容の接合金物Aが、設計仕様通りに施工されているか否か、さらには、これらのチェックが確実になされたか否か等を、容易、かつ、確実、安全に手際よくなすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】典型的なRFタグの備えられた接合金物の要部拡大断面図
【図2】同RFタグの備えられた羽子板ボルトによる桁と梁の接合部の要部斜視図
【図3】同要部断面図
【図4】同RFタグの備えられたホールダウン金物による土台と柱の接合部の要部斜視図
【符号の説明】
【0048】
A 接合金物
B RFタグ
10 構造材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の接合部に用いられる接合金物であって、この接合金物がRFタグを備えており、このRFタグに当該接合金物に関する必要な情報を書き込みうるようにしてあることを特徴とする建築物用接合金物。
【請求項2】
建築物の接合部に用いられる接合金物であって、この接合金物に当該接合金物に関する必要な情報の書き込まれたRFタグを備えつけるようにしてあることを特徴とする建築物用接合金物。
【請求項3】
建築物の接合部に用いられている接合金物であって、当該接合金物が少なくとも当該接合金物を個別に識別し得る情報を備えており、無線通信手段によって当該RFタグの情報の読みとりをなし得るようにしてあることを特徴とする建築物における接合部の確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−223281(P2008−223281A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60847(P2007−60847)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】