説明

建築物

【課題】
解決しようとする課題は、地震や竜巻などの自然災害に対して十分な倒壊防止強度を有する、新らたな構造の建築物を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明の建築物は、土台となる逆T字型の基礎コンクリートから、そのまま上部に延長して建築物の壁を構成し、建築物の形状を風の抵抗を最小限とする卵型などの球状体としていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎コンクリートとその上部に建築される建築物を一体化した建築物の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等に代表される建築物は、土台としてコンクリートと鉄筋を用いて基礎を設置し、その上に建築物を建設して、土台と固定する構造となっている。この構造ゆえ、その接合部の強度に依存し、耐震強度が十分とはいえない。土台としてコンクリートと鉄筋を用いて築く基礎を、基礎コンクリートと呼称する。
【0003】
また、住宅等に代表される建築物は木造建築である場合が多く、例えば、日本での発生頻度は少ないが、竜巻など自然の巨大なストレスを受けた場合に、建築物は破壊され土台となる基礎コンクリートのみが、その場に残ることが容易に予測される。
【0004】
鉄筋コンクリートで建築された建築物の場合は、前記木造建築に比べ強度は勝るが、構造物の外側の窓や外壁表面などの凹凸構造が多く存在し、風の抵抗を受けやすく、竜巻など自然の巨大なストレスにどれだけ耐えられるものかは不明である。
【0005】
現状では、竜巻など自然の巨大なストレスに耐えられる建築物は特殊なものを除いて、特に一般の住宅などでは存在していないと考えられる。
特開2004−300910においては、天災・人災に対する安全性、危険回避性を改
善した建築物についての記載があるが、これは避難を前提としたものであり、本発明における建築物の安定性と強度を確保するための構造とは技術的に相違する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−300910号(項番0006、0007、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする課題は、地震や竜巻などの自然災害に対して十分な倒壊防止強度を有する、新らたな構造の建築物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の建築物は、土台となる基礎コンクリートから、そのまま上部に延長して建築物の壁を構成し、建築物の形状を風の抵抗を最小限とする卵型などの球状体としていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の建築物は、土台となる基礎コンクリートと建築物が、鉄筋コンクリートで一体に構成されており、形状を卵型などの球状体とすることで、耐震強度及び竜巻のような強風に対して、風の抵抗を受けにくくしているため、倒壊防止強度も向上する。
【0010】
土台となる基礎コンクリートの底面に、逆T字型となる面を設けることで、土を埋め戻し後に建築物が、埋め戻した土により土圧が掛かり更に強固に固定され安定度が増し、建築物の素材が鉄筋コンクリートであることから、自らの重量にもより、強風で飛ばされることをより確実に防止する。
【0011】
型枠を用いた工法により建築品質の均一性や、型枠は繰り返し使用が可能でもあることから建築費用の抑制につながる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一例の断面図
【図2】本発明の一例の平面図
【図3】本発明の実施例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
本発明の実施形態について、図面を引用して説明する。
【0014】
本発明の建築物は、基礎部と住居部の壁を一体として構成し、その形状を卵型などの球状体とすることにある。基礎部3は地中に埋設されるが、底面部を逆T字型になるよう平板状に形成する。これにより、地中から抜けにくくする。基礎部3の地中への埋設は、1m以上確保することが望ましい。土1立方メートルの重量は1.6tとなり、逆T字型により両側へ1.6tの重量で押さえることとなり、建築物の周囲をこの重量で押さえることで、安定性が向上する。これは図1のL1で示す長さである。基礎部3の底面部の巾寸法は、L1の2倍以上にすることが倒壊防止の面で望ましい。これは図1のL2で示す長さである。
【0015】
壁となる本体1は基礎部3から連続して球状に形成し、基礎部3及び本体1共、鉄筋コンクリートで築造する。鉄筋の取り付けは、基礎部3の底面部へは地面と平行になるよう複数本設置し、基礎部3及び本体1は縦の鉄筋を複数本設置し、横の鉄筋は縦の鉄筋の周りを囲うように、間隔をおいて複数本設置する。建設にあたっては、型枠を用いてその枠内にコンクリートを流し込み、乾燥後型枠を取り外し、その上部に型枠を設置し直して、枠内にコンクリートを流し込む作業を繰り返すことで、下から上へ順次築造していく。
【0016】
本発明の建築物は、底面の長さに対して、高さの比を1.5倍以内にすることが望ましい。高すぎると安定性及び強度が失われるためである。底面の長さは図1のWで示す長さで、高さは図1のHで示す高さである。また、本発明の建築物には柱が存在しない。これは形状を球状体としていることで、橋の建設等で利用されているアーチ型の構造を応用しており、それに鉄筋を使用することで柱がなくても十分な強度を確保することができる。
【0017】
住居部4には必要に応じて、玄関となる入口6や窓7を取り付ける。外面に凹凸が出ないよう取り付けると、空気抵抗が減少するので、望ましい設置方法である。
【0018】
住居部4は、1階と2階などに区切り、内装及び什器設備は一般的に利用するものを設置する。電気、ガス、水道などは、地下から配管するとよい。
【実施例2】
【0019】
本発明の建築物の内部に、地下室10を設けてもよい。また、前述の地下室を核シェルターとしてもよい。一般的に核シェルターを建設する場合には、地下1m以上の地中に建設する必要がある。これは気密性を確保するためであるが、本発明の建築物の内部に建設する場合は、既に鉄筋コンクリートで覆われているため、地下1m以上の地中に建設する条件が緩和されるため、建設費用を抑えることができ、更に安全性にも優れた核シェルターとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の建築物は、住宅に代表される建築物として工業生産が可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 本体 6 入口
2 鉄筋 7 窓
3 基礎部 8 1F住居部
4 住居部 9 2F住居部
5 地面 10 地下室












【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台となる基礎部から、そのまま上部に延長して住居部の壁を構成し、形状を球状体としていることを特徴とする建築物。
【請求項2】
土台となる基礎部の底面部を逆T字型にしたことを特徴とする請求項1に記載の建築物。
【請求項3】
土台となる基礎部を1m以上地中に埋設したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建築物。
【請求項4】
地下に核シェルターを設けることを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の建築物。











【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−26154(P2012−26154A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165487(P2010−165487)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(300091784)
【Fターム(参考)】