説明

建築用ガラスブロック集合体及びガラスブロック組込壁面構造

【課題】施工前の運搬時の衝撃や、施工後の温度変化や地震時の躯体からの応力を十分に緩衝することのできる建築用ガラスブロック集合体を提供する。
【解決手段】複数のガラスブロック11の側面11dを、接着剤を介して連結して一体化する。このように、ガラスブロック11同士の固定力を連結部12で受け持つことにより、ガラスブロック連結体13の外周を硬い材料からなるフレーム等で補強する必要がなくなる。これにより、ガラスブロック連結体13の側周面13aに、ゴム材等の柔らかい材料からなる緩衝層14を配することができるため、施工前の運搬時の衝撃や、施工後の温度変化や地震時の躯体からの応力を緩衝し、ガラスブロックを保護することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱性、遮音性及び透光性に優れ、外壁用や内壁用として広く利用される建築用ガラスブロックに関し、特に熟練を要することなく簡単に施工することが可能な建築用ガラスブロック集合体及びそれを用いたガラスブロック組込壁面構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築用のガラスブロックは、有底無蓋の箱型形状をなした底部が透光面となる一対のガラス成形体を、互いの開放端縁で溶着一体化されてなり、その表裏面の双方に透光面を有する中空の建築材料である。このような複数個のガラスブロックを、縦横方向に整列配置して一体化してなるガラスブロックパネルは、透光性・断熱性・遮音性に優れるため、採光・装飾等を目的として建築物の外壁材・内壁材・採光屋根・ベランダ壁面・仕切り材等に広く使用される。
【0003】
近年、ビルや住宅のデザインの多様化により、装飾性に富んだ壁面が求められるようになっている。そこで、透光性の建築用ガラスブロックを部分的に嵌め込んだ、外壁面・内壁面・仕切り壁面・ベランダ壁面や、建築用ガラスブロック壁面に周囲とは別の彩色を施したガラスブロックを部分的に嵌め込んだ壁面等が提案されている。
【0004】
熟練を要することなく簡単に施工可能な方法として、例えば、特許文献1には、一方向に整列配置された複数個のガラスブロックと、それらの外周を囲繞するフレームと、フレームの対向する短辺に埋設された取り付け部と、ガラスブロック間及びガラスブロックとフレームとの間に配置され、ガラスブロックをフレームに固定する目地部材とを具備したガラスブロックパネルが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、複数個のガラスブロックが平面上に配置されるとともに、このガラスブロックの集合体の周囲及びガラスブロック間の目地が透明樹脂で形成されてなるガラスブロックパネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−70544号公報
【特許文献2】特開平10−131392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のガラスブロックパネルは、ガラスブロック同士の固定力をフレームで受け持っているため、フレームは剛性・強度に優れた材料で形成する必要があり、施工前の運搬時の衝撃や、施工後の温度変化や地震時の躯体からの応力を十分に緩衝することができないという問題がある。
【0008】
また、特許文献2に記載のガラスブロックパネルは、ガラスブロックと型枠の間及びガラスブロック間に透明樹脂を流し込んで硬化させてガラスブロックを樹脂内に固定させている。このため、ガラスブロックと型枠とが透明樹脂硬化物により遊び無く固着されており、上記と同様に施工前の運搬時の衝撃や施工後の温度変化や地震時の躯体からの応力を十分に緩衝することができないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、施工前の運搬時の衝撃や、施工後の温度変化や地震時の躯体からの応力を十分に緩衝することのできる建築用ガラスブロック集合体、及びこの建築用ガラスブロック集合体を用いたガラスブロック組込壁面構造を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る建築用ガラスブロック集合体は、底面が透光面である有底無蓋の箱型形状をなした一対のガラス成形体の開放端縁同士を溶着してなる複数のガラスブロックと、複数のガラスブロックの側面同士を接着剤を介して連結する連結部とを有するものである。
【0011】
このように、本発明の建築用ガラスブロック集合体は、複数のガラスブロックの側面に接着剤を塗布して突き合わせ、硬化させることにより、互いに連結して一体化したものである。このように、ガラスブロック同士の固定力を連結部で受け持つことにより、ガラスブロック連結体の外周を硬い構造材料(例えばアルミ板やステンレス板、プラスチック成形材等)からなるフレーム等で補強する必要がなくなる。
【0012】
また、整列させたガラスブロックの外周を巻回又は囲繞するフレーム等の外側補強材を省くために、ガラスブロック連結体は、連結部から最も離れたガラスブロック先端までの長さが0.8m未満であることが連結部に負荷されるモーメント荷重を小さくする上で重要である。例えば、190mm×190mm×95mmの寸法を有するガラスブロックでは、一方向に5個未満の中空ガラスブロックを並べて接着したものであれば使用可能である。具体的には、ガラスブロック連結体が、2個一対のガラスブロックを接着したもの、一列、L形、又は山形にガラスブロックを3個並べて接着したもの、2行×2列又は略Z形にガラスブロックを4個並べて接着したもの等、連結部からガラスブロック先端までの長さが短く、連結部に大きなモーメント荷重が負荷され難い構成であることが好ましい。このようなガラスブロック連結体を採用したガラスブロック集合体は、明かり取りや、壁面のデザイン性を高めるために、局所的に壁面中に施工する場合には取り扱いが容易で大変便利である。また、建築用ガラスブロック集合体は、壁面内に配置される縦力骨等の補強筋の位置を回避して配設可能なサイズを有し、施工の作業効率を低下させないものであることが好ましい。
【0013】
また、ガラスブロック同士の接着面積は、ガラスブロックが安全に連結できる寸法であればよく、例えば、190mm×190mm×95mmの寸法を有する通常サイズのガラスブロックでは、外周寸法が約Φ50mm(約2000mm2)相当の面積で接着されていればよい。接着剤としては、ガラスに対して接着性及び接着剤の固化物そのものに実用強度があり、建築用として耐候性を有するものであれば使用可能である。例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤等が使用可能であり、建築用として実績のある2液常温硬化型エポキシ樹脂系接着剤が適している。また、接着剤が、1時間程度で強度の出る速乾型のものであると、ガラスブロック集合体を素早く作製することができる。
【0014】
また、建築用ガラスブロック集合体は、連結部により一体化された複数のガラスブロックからなるガラスブロック連結体の側周面に緩衝層が施されてなる。
【0015】
これにより、ガラスブロック連結体の側周面に、ゴム材等の柔らかい材料からなる緩衝層を配することができるため、施工前の運搬時の衝撃や、施工後の温度変化や地震時の躯体からの応力を緩衝し、ガラスブロックを保護することができる。
【0016】
ガラスブロック連結体の周囲に施される緩衝層としては、ガラスブロックの強度上の最弱部分である溶着部を全周面に亘って保護し、施工前の運搬時の衝撃や施工後の温度変化、及び地震時の躯体からの影響を緩衝することができるものであれば使用可能である。例えば、ポリエチレンフォームが多く使用されるが、ネオプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ハイパロンゴム(CSM)、シリコーンゴム(SI・Q)等各種のゴム材のスポンジ、ポリウレタンフォームに粘着層を施したもの等が適している。この緩衝層の厚さは、温度変化の比較的少ない屋内施工の時は1mm〜3mm厚が、屋外施工の時は3mm〜8mm厚が最適な寸法である。
【0017】
ガラスブロック集合体の質量が25kgを超えると、作業者一人では容易に扱えなくなる。このようなガラスブロック集合体を効率よく安全に取り扱うためには、補助的な揚重機を要し、また作業空間が狭い場合には揚重機が入らず施工が困難となり、二人以上の作業員を要し、施工コストが嵩むものになる。そこで、ガラスブロック集合体の質量を25kg以下(好ましくは20kg以下)とすれば、ガラスブロック集合体を作製するときのハンドリングを作業者一人で簡単に行うことができる。また、施工現場においても、揚重機を使用することなく施工作業者が一人で安全にガラスブロック集合体を運搬、取り付け、微調整など施工が簡単に取り扱うことができる。
【0018】
ガラスブロック集合体を施工した状態でガラスブロック間の接着剤が見えると、見栄えが悪くなる。この接着剤を目隠しするために、接着剤で連結したガラスブロック間の隙間にモルタル目地仕上げ等による目地処理を施すと、目地の厚みが不均一になり、モルタル目地の色むらになる恐れがある。そこで、ガラスブロック同士の連結部の少なくとも透光面側にバックアップ材を装着すれば、硬化した接着剤を目隠しすることができると共に、目地の厚みを均一にすることができる。また、シーリング目地仕上げを行う場合、シーリング材料がバックアップ材により堰き止められてガラスブロック間の隙間の奥まで入っていかないため、シーリング材料を節約でき、低コスト化を図ることができる。
【0019】
また、本発明のガラスブロック集合体を、透光面が曲面であるガラスブロックを含むものとすると、デザインのバリエーションを増やすことができる。例えば、コーナー部を有するコンクリートブロック壁に対応させる上で、ガラスブロック集合体を構成するガラスブロックの透光面を、壁面の曲率に沿った曲面を持つものとすると、壁面と連続性を保った所望の透光面を形成することができる。具体的に、例えば透光面が90度の角度の曲面であるガラスブロックを用いると、90度のコンクリートブロック壁のコーナー部に使用することが可能となる。
【0020】
本発明に係る建築用ガラスブロック組込壁面構造は、上記本発明の建築用ガラスブロック集合体と、該建築用ガラスブロック集合体の周囲に充填される固定材及び目地材とを備えてなることを特徴とする。例えば、コンクリートブロック壁やレンガ壁に上記本発明の建築用ガラスブロック集合体を局所的に積み込むことで所望部位に透光部を設けてデザイン性を高めた壁面や、周囲とは別の彩色や模様を施したガラスブロック集合体を部分的に嵌め込んだ壁面、あるいは建築用ガラスブロック集合体のみを使用した壁面等に適用可能である。
【0021】
固定材は、壁面を構成する構造体(コンクリートブロック等)とガラスブロック集合体とを固定するものである。例えば、セメントモルタル、樹脂モルタル等が使用可能であり、材料費及び施工性の点で、セメントモルタルが好ましい。また、目地材は、壁面を構成する構造体とガラスブロック集合体の隙間を埋める材料であり、固定材のように単独で構造体とガラスブロック集合体とを固定できるような固定力は有さない材料からなる。例えば、化粧目地材や、バックアップ材が該当し、現地で建築物に施工する際に使用する無定型のものや、予め工場でガラスブロックパネルに組み立てる際に使用する定形の加工品等が採用可能である。例えば、化粧目地材としてシリコーン系シーリング材、防水剤混入等のモルタル目地が使用可能であり、他部分とのデザイン上の連続性の点で、モルタル目地が好ましい。
【0022】
上記の建築用ガラスブロック組込壁面構造は、緩衝層が温度変化や地震時に躯体からの負荷応力を緩衝することにより、ガラスブロックに破損が生じ難い壁面を効率よく施工することが可能となる。また、ガラスブロック連結体を囲繞するフレーム等の高価な補強材を使用することなく材料費を抑制し、施工作業者一人でガラスブロック集合体を組込んだ壁面を簡単に施工することが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る建築用ガラスブロック集合体によれば、ガラスブロック連結体の外周を囲繞する高価なフレーム等を使用することなく、施工前の運搬などからガラスブロックの強度上最も弱い部分である溶着部を保護することが可能になる。
【0024】
また、ガラスブロック連結体の側周面に緩衝層が施されてなる本発明の建築用ガラスブロック集合体は、施工された後も、緩衝材が、温度変化や地震時に躯体から負荷される外力の影響を緩衝し、ガラスブロックの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】建築用ガラスブロック集合体の正面図である。
【図2】右半分は、建築用ガラスブロック集合体の上面図であり、左半分は、図1のII−II断面図(水平断面図)である。
【図3】図1のIII−III断面図(垂直断面図)である。
【図4】ガラスブロックの斜視図である。
【図5】他の例の建築用ガラスブロック集合体の断面図である。
【図6】建築用ガラスブロック組込壁面の正面図である。
【図7】図6の部分水平断面図である。
【図8】他の例の建築用ガラスブロック集合体の説明図であって、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態に係る一例について図1〜7を用いて詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る建築用ガラスブロック集合体10であり、複数個(図示例では2個)のガラスブロック11と、ガラスブロック11の側面11d同士を接着剤を介して連結する連結部12と、連結部12を介して一体化された2個のガラスブロック11(ガラスブロック連結体13)の側周面13aに施された緩衝層(緩衝シート14)とを有する。尚、以下では、説明の便宜上、建築用ガラスブロック集合体10の矩形状の意匠面(図1で示される面)のうち、短辺方向を上下方向、長辺方向を幅方向とし、これらの2方向と直交する方向(図1の紙面直交方向)を厚さ方向と言う。
【0028】
ガラスブロック11は、図4に示すように、底面が透光面11cである有底無蓋の箱型形状をなした一対のガラス成形体11aを、互いの開放端縁で溶着一体化されてなる。透光面11cの外周は額縁11bで囲まれている。ガラス成形体11aは、例えば190mm×190mm×47.5mm、開放端縁部の肉厚5mmの大きさに形成され、この場合ガラスブロック11は190mm×190mm×95mmの寸法を有する。各ガラス成形体11aは、側面視で開放側を狭めた台形状をなしており、これによりガラスブロック11の側面11dは、厚さ方向中央部(溶着部11e)へ向けて凹んだ形状をなしている。
【0029】
建築用ガラスブロック集合体10の製造は、例えば以下のように行われる。まず、溶融ガラスを金型でプレス成型し、一対のガラス成形体11aを形成する。この一対のガラス成形体11aの開放端縁を溶着することで、ガラスブロック11が形成される。こうして形成されたガラスブロック11を2個用意し、一方のガラスブロック11の側面11dの中央部に、接着剤(例えば、セメダイン株式会社製:二液常温硬化型エポキシ樹脂系接着剤 型番1500)を接着面積が約Φ50mm相当になるように塗布する。この接着剤に、他方のガラスブロック11の側面11dを接触させ、2個のガラスブロック11を幅方向に並べた状態で、接着剤が硬化するまで型枠内で位置決め固定する。上記の接着剤を使用した場合、半日養生を行うことで完全に接着剤が硬化し、硬化後に型枠内からガラスブロック連結体13が取り出される。
【0030】
次に、連結部12(接着剤が硬化した部分)の厚さ方向両側にバックアップ材15を取り付ける。バックアップ材15は、例えば棒状(丸棒、角棒、断面台形状など)を成し、図3に示すように、連結部12の厚さ方向両側のガラスブロック11の額縁11bに沿って配される。バックアップ材15は、復元性を有する材料で形成され、例えば発泡材(ポリエチレン発泡体やウレタン発泡体)で形成される。バックアップ材15は、目地幅W(額縁11b・11bの間隔)よりも若干大きい幅に形成され、圧縮変形させながらガラスブロック11・11の側面11d・11d間の隙間に押し込み、額縁11bの奥側で復元することにより装着される。このように、バックアップ材15を連結部12の厚さ方向両側に配することで、連結部12の接着剤を目隠しすることができる。また、図2及び図3に示すように、バックアップ材15の厚さ方向外側にモルタル目地16を塗工する場合、棒状のバックアップ材15に沿ってモルタル目地16を配することで、モルタル目地16の厚さを均一にすることができる。また、シーリング目地仕上げでモルタル目地16を形成する場合、バックアップ材15でモルタル目地16のシーリング材料を堰き止めることにより、目地材料を節約することができる。
【0031】
バックアップ材15の形状はこれに限らず、例えば図5に示すように、予め接着剤が塗布される領域をくり抜いたものを使用することもできる。図示例では、厚さ方向両側の縁が額縁11bに沿って配され、その中央部に円形のくり抜き部15aが形成されている。この場合、一方のガラスブロック11の側面11dにバックアップ材15を配した状態で、バックアップ材15のくり抜き部15aに接着剤を塗布し、その後他方のガラスブロック11の側面11dを接着剤と接触させることにより、2個のガラスブロック11が円形の連結部12で連結される。
【0032】
2個のガラスブロック11を連結してガラスブロック連結体13を形成した後、ガラスブロック連結体13の側周面13aに、緩衝層としての緩衝シート14が取り付けられる。緩衝シート14は、ガラスブロック連結体13の側周面13aのうち、ガラスブロック11の表裏の透光面11cから後退した領域(厚さ方向中央側の領域)に設けられる。図示例では、側周面13aのうち、透光面11cから10mm後退した領域に、緩衝層として厚さ5mm、幅75mmのポリエチレンフォーム製緩衝シート14が巻き付けられる。緩衝シート14は、ガラスブロック連結体13の側周面13aに、例えば両面粘着テープで貼り付けられる。図2に示すように、緩衝シート14を、ガラスブロック連結体13の側周面13aのうち、額縁11bの厚さ方向内側の領域に設けると、緩衝シート14がガラスブロック連結体13の外周にはみ出す量を小さくすることができる。尚、緩衝シート14の配設箇所は上記に限らず、例えば緩衝シート14の厚さ方向両端縁が額縁11bにかかるように配してもよい。この場合、緩衝シート14で額縁11bも保護することができる。
【0033】
以上により、建築用ガラスブロック集合体10が完成する。この建築用ガラスブロック集合体10は、接着剤による連結部12により、ガラスブロック11・11間の固定力が受け持たれている。従って、緩衝層14にはガラスブロック11・11を結合する機能は要求されず、ゴム材等の緩衝性の高い材料を使用することができる。このようにガラスブロック連結体13の周囲に緩衝層14を配することにより、施工前の運搬時の衝撃や、施工後の温度変化や地震時の躯体からの応力を緩衝し、ガラスブロック11を保護することができる。特に、ガラスブロック11のうち、ガラス成形体11a同士の溶着部11eは、他の部位と比べて脆弱であるため、緩衝層14で溶着部11eを保護することが有効となる。
【0034】
上記構成の建築用ガラスブロック集合体10の寸法は385mm×190mm×95mmで、質量は5.5kgである。本実施形態では、ガラスブロック連結体13の連結部12の意匠面における目地幅W(図1参照)が5mmに設定される。各ガラスブロック11は、190mm×190mm×95mmの寸法を有するため、建築用ガラスブロック集合体10の意匠面の寸法は、385mm×190mmとなる。
【0035】
図6は、本実施形態に係る建築用ガラスブロック組込壁面20であり、長さ400mm高さ200mmのモジュール呼び寸法のコンクリートブロック(JIS A 5406)31を積み重ねて形成したものである。この壁面20のデザインとしてバランスのよい所定の部位にガラスブロック集合体10が配される。ガラスブロック集合体10は、コンクリートブロック31よりも意匠面が僅かに小さいため(385mm×190mm)、違和感無く壁面20に組み込むことができる。ガラスブロック集合体10は、図7に示すように、セメントモルタル32を介して積み込まれ、目地部は化粧目地材17でカバーされているものである。
【0036】
建築用ガラスブロック組込壁面20を施工する場合には、使用数量の建築用ガラスブロック集合体10と、長さ400mm、高さ200mmのモジュール呼び寸法を有するコンクリートブロック31を、コンクリートブロック31のみで壁面を形成する場合の必要数量から建築用ガラスブロック集合体10の数量を差し引いた数量準備し、ブロック壁の施工を始める。このコンクリートブロック31を積み上げていく際に、施工中の壁面の縦筋が配置されていない所定の部分に、建築用ガラスブロック集合体10をコンクリートブロック31と同じように、セメントモルタル32を介して積み重ね、必要に応じてバックアップ材を配設した後、セメントモルタルからなる化粧目地材17を充填して施工していく。最終的には、建築用ガラスブロック集合体10が組み込まれた図6に示す建築用ガラスブロック組込壁面20が得られる。
【0037】
本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、各ガラスブロック11の透光面11cが平面である場合を示したが、これに限らず、透光面が曲面であるガラスブロックを含む構成としてもよい。図8は、平面状の透光面11cを有する上記実施形態に示したガラスブロック11と、曲面状の透光面19c1・19c2を有するコーナーガラスブロック19とで構成された建築用ガラスブロック集合体18を示している。コーナーガラスブロック19の透光面19c1・10c2は、90度の角度を有する曲面であるため、90度のコーナーを有するコンクリートブロック壁に使用することが可能である。
【0038】
ガラスブロック11同士の間、及びガラスブロック11とコーナーガラスブロック10との間は、接着剤による連結部12により固定される(図8(B)参照)。コーナーガラスブロック19の大きいほうの透光面19c1の寸法は120×120mmで約20mmの曲面により90度になっており、小さいほうの透光面19c2は25mmの曲率半径を持つ曲面からなっている。ガラスブロック集合体18全体では、長辺方向(図8(A)の左右方向)の寸法は520mmであり、短辺方向(図8(A)の上下方向)の寸法は120mmである。ガラスブロック集合体18の質量は7.8kgとなる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、ガラスブロック以外の陶器、セラミックスその他の脆性材からなるブロック及びこのような中空ブロックを用いた壁面にも適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
10、18 建築用ガラスブロック集合体
11 ガラスブロック
11a ガラス成形体
11b 額縁
11c 透光面
11d 側面
11e 溶着部
12 連結部
13 ガラスブロック連結体
13a 側周面
14 緩衝シート(緩衝層)
15 バックアップ材
16 目地
17 化粧目地材
19 コーナーガラスブロック
20 建築用ガラスブロック組込壁面
31 コンクリートブロック
32 セメントモルタル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面が透光面である有底無蓋の箱型形状をなした一対のガラス成形体の開放端縁同士を溶着してなる複数のガラスブロックと、複数のガラスブロックの側面同士を接着剤を介して連結する連結部とを有する建築用ガラスブロック集合体。
【請求項2】
連結部に使用される接着剤が、エポキシ系、アクリル系、ポリウレタン系のうちの何れかである請求項1に記載の建築用ガラスブロック集合体。
【請求項3】
連結部により一体化された複数のガラスブロックからなるガラスブロック連結体の側周面に緩衝層が施されてなる請求項1又は請求項2に記載の建築用ガラスブロック集合体。
【請求項4】
質量が25kg以下である請求項1から請求項3の何れかに記載の建築用ガラスブロック集合体。
【請求項5】
連結部の少なくとも透光面側に、バックアップ材が装着されている請求項1から請求項4の何れかに記載の建築用ガラスブロック集合体。
【請求項6】
透光面が曲面であるガラスブロックを含む請求項1から請求項5の何れかに記載の建築用ガラスブロック集合体。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れかに記載のガラスブロック集合体と、該ガラスブロック集合体の周囲に充填される固定材及び目地材とを備えてなるガラスブロック組込壁面構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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