建築用パネルの縁加工に関する方法及び構成
本発明は、予備加工段階67、67′を取り入れた工具構成68、68′と、予備加工段階を有する工具構成を取り入れて、床パネル1、1′の改良型固定システムを製作する方法とに関する。特殊な工具構成と表面層の特性を変化させる予備加工段階とを用いて、床パネルの接合縁部のある一定の表面が型出しすると、その結果として公差が減じられる。本発明は更に、上側案内装置により水平方向に案内されると共に床パネルを垂直方向に下側チェーンの方へと押圧するように構成される、製作された床パネルの公差を同様に減少させる上側ベルト又はチェーンを有する装置に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[技術分野]
本発明は一般に床パネルの機械的固定の分野に関する。特に、本発明は床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する工具構成であって、床パネルの上表面層を予備加工する手段を含む工具構成と、このような工具構成の使用方法とに関する。更に、本発明は、上ベルト又はチェーンを案内すると共に床パネルを2つの工具構成間において案内する案内装置を用いて、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する装置に関する。
【0002】
[利用分野]
本発明は特に、耐摩耗性上表面層を有する、機械的固定システムを縁部に備えた浮き床、例えば高圧積層板又はダイレクトラミネートの表面層を有する貼り合せ床、鉱物粒により被覆された床板、木質繊維混入板等に用いるのに適する。従って、以下に記載の従来技術と公知のシステムの問題と本発明の目的及び特徴とは、非限定的な例として、主にこうした利用分野を対象として、長尺縁部の機械的固定システムの型出しを意図するものである。しかし、本発明は、耐摩耗性の上表面層を有すると共に機械的固定システムを手段として接合されることが意図されるあらゆる床パネル又は壁パネルに利用可能であることを強調しておきたい。例えば従来式の板張り床又は壁パネルが耐摩耗性粒子を含む摩耗層により被覆されている場合は、本発明を利用することができる。本発明は、長尺及び/又は短尺縁部、矩形パネル及び4つ以上の縁部を有するパネルの成形に用いることができる。
【0003】
[いくつかの用語の定義]
以下の本文では、設置された床パネルの見えている面を「表側」と呼び、床下地に面する床パネルの反対側を「裏側」と呼ぶ。「水平面」は、表側に平行な面に関連する。互いに接合された2枚の床パネルの2つの隣接する接合縁部の直接相接する上側部分は、水平面に対して垂直な「垂直面」を画成する。表側と裏側との間において床パネルの縁部に位置する床パネルの外側部分を「接合縁部」と呼ぶ。通例として、接合縁部は、垂直、水平、角形、丸形、面取り付き等である幾つかの「接合面」を有する。これらの接合面は、異なる材料、例えば積層板、ファイバーボード、木、プラスチック、金属(特にアルミ)又はシーリング材上にある。
【0004】
「固定」又は「固定システム」は、床パネルを垂直方向及び/又は水平方向に相互接続する協働接続手段を意味する。「機械的固定システム」は、固定が接着剤を用いずに行なわれうることを意味する。機械的固定システムは、多くの場合、接着剤により接合されることもある。
【0005】
「垂直固定」は、垂直面に対して平行に固定することを意味し、「水平固定」は、水平面に対して平行に固定することを意味する。
【0006】
「垂直固定面」は、隣接する縁部を垂直方向に固定する隣接する第2の縁部の実溝(tongue groove, さね溝)の上側及び下側協働実溝面(さね溝面)と協働する第1の縁部の実(tongue, さね)の上側及び下側協働実面(さね面)を意味する。
【0007】
「水平固定面」は、隣接する第1の縁部の本質的に垂直な上側実溝縁部及び固定溝と協働する第2の縁部の本質的に垂直な上側実溝縁部及び固定要素を意味し、これらの協働する水平固定面が隣接する縁部を水平に固定する。
【0008】
「固定溝側」は、水平固定部の一部分が開口部を裏側に向けた固定溝によって構成される床パネル側を意味する。「固定要素側」は、水平固定部の一部分が固定溝と協働する固定要素によって構成される床パネル側を意味する。
【0009】
「固定角」は、水平面に対する水平固定部の固定面の角度を意味する。固定面が湾曲している場合は、固定角は、その湾曲に対する、最大の角度を有する接線である。
【0010】
「工具角」は、工具がその上で回転する平面の角度を意味する。
【0011】
「表面化粧層」は、主に床に装飾的外観を与えることを意図された表面層を意味する。「耐摩耗性表面層」は、主に表側の耐久性を高めるようになされた高研摩性表面層に関連する。このことから、「耐摩耗性表面化粧層」は、床に装飾的外観を与えることと表側の耐久性を高めることとを意図された層であると結論付けられる。表面層は心材に施される。
【0012】
「表面層の畝状部」は、接合縁部に隣接する床パネル部分上の表面層部分であって、接合縁部に沿って続く表面層部分に関連する。
【0013】
[背景技術、従来技術及び課題]
本発明の理解及び説明と本発明の背景をなす問題の認識とを容易にするために、以下に、添付図面の図1〜6を参照して、床パネルの基本的な構造と機能との両方を説明する。この基本的な構造及び機能は、本発明においても全面的又は部分的に用いられる。
【0014】
機械的固定システムは、垂直固定用の実及び実溝と、水平固定用の固定要素及び固定溝とを含む。機械的固定システムは、垂直固定用の2対と水平固定用の2対との少なくとも4対の有効協働固定面を有する。固定システムは幾つかのその他の面を含み、これらの面は一般に互いに接触せず、従って協働固定面よりかなり大きい公差を有して製作されうる。
【0015】
貼り合せフローリングは通常、6〜9mmのファイバーボードによって構成される心材と、0.20mmの厚さの上側表面層と下側平衡層とにより構成される。表面層は、床パネルに見栄えと耐久性とを与える。心材は安定性を与え、平衡層は、1年の間に相対湿度(RH)が変動してもボードを水平に保つ。
【0016】
機械的固定システムは一般にボードの心材を機械加工することによって形成される。このような機械加工は、高品質を確保するために非常に厳密でなければならない。特に、協働垂直及び水平固定面を高い精度で成形して、容易な設置と隣接縁部間の厳密な嵌合とを確保することが重要である。
【0017】
図1aに、傾斜させて固定され、市場で広く用いられている、従来技術に従った機械的固定システム(ストリップロック)を示す。このような固定システムは、垂直方向又は水平方向のスナップ動作により固定されるようにも設計されうる。床パネルの縦断面図に、床パネル1′の長尺側4aの一部分と隣接する床パネル1の長尺側4bの一部分とが示されている。床パネル1、1′の本体は、ファイバーボード本体又は心材30によって構成され得、この本体がここでは自身の表側において耐摩耗性の表面化粧層31を、そして自身の裏側(裏面)において平衡層32を支持する。固定システムは、上側43及び下側46実溝面と協働する上側53及び下側56実面によりパネルを垂直方向D1に固定する実10と実溝9とを有する。ストリップ6は、床パネルの本体と平衡層とによって形成され、固定要素側1の固定要素8を支持する。従って、ストリップ6と固定要素8とは、ある意味では、実溝46の下側部分の延長部を構成する。ストリップ6上に形成される固定要素8は、隣接する床パネル1′の対向する固定溝側の固定溝14の固定溝作用面12と協働する固定要素作用面11を有する。水平固定作用面11、12間の係合により、パネルが離れる方向に引っ張られる場合に、床パネル1、1′の接合縁部を横断する方向(方向D2)の水平固定が得られる。固定面11、12の固定角Aは、この図示された実施形態では90度であり、これが非常に強い水平固定をもたらす。固定システムは、例えば45〜60度のその他の固定角を有して形成されてもよい。一部の固定システムは、例えば30度の非常に小さい固定角を有する。小さい固定角は、非常に小さい固定システムの製作と材料の節約とを可能にする。しかし、このようなシステムの固定強さは、非常に低い。固定要素側1の上側部分は第1の上側縁部19を含み、固定溝側1′の上側部分は第2の上側縁部18を含み、これらの縁部はパネルが互いに押し付けられる場合に水平移動を防ぐ。
【0018】
図1bに、酸化アルミニウムの耐摩耗性粒子36を有する透明な表張り33と、表面に装飾性を与えるプリント34を有する化粧紙層35とによって構成される積層板表面層を示す。ほとんどの場合は木調であるプリントは、一般に、直線的且つ垂直な上側縁部を有する床パネルでは見えない白色素地層を有する。一部の床パネルは、塗料又は装飾テープにより覆われる装飾的面取り部31aを備える。表張り31bの一部分を小さい面取り部として加工して、縁部をよりソフトにし、工具が鋭利でない場合に生じうる縁部のチッピングを除去しうることも公知である。こうした表張りの加工は、表面層と上側縁部の加工後に最終段階として研摩作業と同様の加工処理を用いて行なわれる。
【0019】
固定システム(さねはぎ式ロック)は更にまた、図2aに示すように、ストリップ6を有さずに形成されうる。固定要素8は、この実施形態では、実10上に配置され、固定溝14は、実溝9内においてアンダーカットとして形成される。
【0020】
固定システムは更にまた、固定時に移動されることができる可撓性実10aを有して形成されうる(折込式ロック(fold lock))。図2bに示されるような固定システムは、垂直移動D1により固定されうる。
【0021】
固定システム(フック式ロック)は更にまた、水平方向D2にのみ固定するために、図2cに示すように実を有さずに形成されうる。このような固定システムは、幅狭の床パネルの短尺側に用いられる。垂直固定は隣接するパネルの長尺側により達成される。
【0022】
パネルを水平方向に固定するために用いられるこれらの公知の全ての固定システムは、適正に作用するために厳密な態様で互いに合致しなければならない2対の協働面18、19及び11、12を有する。
【0023】
図3a(側面図)及び3b(平面図)に、固定システムを製作するために最もよく用いられる方法と、こうした製作に関連する主要な問題とを示す。固定システムは、床パネルの表面31を下方に向けて形成される。床パネル1、1′がチェーン70により水平方向に直線的な送り方向に移動する時に、幾つかの回転工具構成60を用いて縁部が型出しされる。押圧ホイール70bにより支持されるベルト70aを用いて、チェーンに対して垂直な圧力が創出される。ベルトは、送り方向に対して垂直な水平D2方向に安定性を有さない。床パネルの垂直D1及び水平位置D2は、回転工具構成に対して高精度で移動するチェーンによって得られる。床パネルの表面層は摩擦によりチェーンに固着される。
【0024】
図4aに、1本のチェーン70を含む型出し装置を用いて製作される床パネルが示されており、押圧ホイール70bにより支持される1本のベルト70aはチェーンに対して垂直方向の圧力を創出する。図4bは、完璧な機械加工により、理論的に略完全に平行をなす非常に精密な溝14と固定要素8と上側縁部18、19とが形成されることを示す図である。製作公差は±0.02mmもの低さとなりうる。しかし、実際には、このような公差を達成することは非常に困難である。その理由は、チェーンと床面との間における摩擦が不十分であり、床パネルが製作時に送り方向に対して垂直な水平方向に移動又は転向する(以下では水平方向の転向と呼ぶ)ためである。特にベルトとチェーンとが平行でない場合は、ベルトとチェーンと更にまた使用される工具と圧力シュー(図示せず)とが床パネルに対して無制御の水平方向の側圧を創出し、固定システムの上記の部分が図4cに示すように完全に平行には形成されなくなる。パネルの1つの部分における床パネルの上側部分18、19と固定面11、12との間の距離L1、L2が、同じパネルの別の部分における対応する距離L3、L4より例えば0.1〜0.2mmだけ小さくなりうる。 固定がきつくなりすぎるか又は緩くなりすぎる可能性がある。実10及び実溝9も水平方向に変動しうる。しかし、固定システムは、実の先端と溝の内側部分との間に間隙を有して形成され、こうした間隙を用いて上記の製作公差が補償されるため、図1aに示すような公差10′、9′はいかなる問題も引き起こさない。
【0025】
水平方向の転向に関連ある問題を解決するために、幾つかの方法が用いられてきた。最もよく用いられる方法は、チェーンの案内を向上させることにより型出し装置をより安定化させるものである。チェーンと床パネルとの間において高い摩擦を維持するためにクリーナ装置を用いチェーンも清浄化されている。水平方向の転向を防ぐために、パネルの裏側の特殊な溝と協働するスチールルーラー(steal ruler)等の、図4aに示すような特殊な案内装置GDが用いられてきた。このようなルーラーと溝とは調節困難であり、製作時に摩耗と熱とを創出すると共に、平衡層が溝により分離されると安定性の問題を創出しうる。
【0026】
しかし、型出し装置を改良するためにこうした努力を重ねても、問題は解決されなかった。逆に、水平方向の移動の問題は年を追って増加した。1つの理由は、生産速度が増加し、そのことがより強い側圧を創出するためである。より小さい寸法、深い表面エンボス加工及び光沢のある表面を有する床パネルが開発され、これがチェーンと床表面との摩擦を低下させると共に、無制御の水平方向の大幅な転向の危険性を高めている。
【0027】
導入されたその他の方法も水平方向の転向を軽減するために工具設計と工具位置とを用いるという原理に基づくものである。これを図5及び6に示す。
【0028】
図5a〜5eに、耐摩耗性上表面層を有する床パネルを製作する従来式の工具設置ソリューションを示す。床パネルは、縁部の型出し時に矢印の送り方向FDに移動する。型出しラインの第1段階が図5aに、そして最終段階が図5eに示されている。床パネル1、1′の断面は、図ではフライス盤の玉軸受チェーン70上において上表面層31を下にして配置されている。従来式の加工設備により、ボード1、1′は、複数の独立回転する切削工具構成を通って高精度で搬送される。切削工具は一般に約200〜250mmの工具直径を有し、ボードの水平面HPに対して任意の工具角TAに設定されうる。工具は幾つかの柱の両側に取り付けられる。図3a及び3bに示すように、工具間距離TDは約0.5mであり、柱間距離CDは約1mである。各工具60〜64、60′〜63′は、専ら接合縁部の限られた部分を除去するために用いられ、最終的な接合面を成形するものもある。幾つかの工具は、床パネル1、1′の送り方向FDに型出しラインの両側に沿って配置される。このようにするのは、十分な製作公差を得るためである。通例として、工具の個数が増えると、各工具により除去される材料の量が少なくなると共に、各工具が創出する、床パネルを無制御の態様で移動させうる力が小さくなるため、製作公差の向上がもたらされる。通常の製作モードは、4〜6対の対向する工具を長尺側を切削加工する第1の機械において使用し、続いて同様の機械がパネル上に短尺側の固定システムを切削加工するというものである。
【0029】
水平固定面18、19、11、12は、4つの独立した工具62、62′及び63、63′を用いて加工される。各側の第3(図5c)及び第4(図5d)の工具ステーション間における水平方向の転向は、図4cに示すように平行ではない水平固定面18、19、11、12を創出する。
【0030】
従来、床パネルにおいて機械的固定システムを製作する場合は、図5aに示すような荒削り工具60、60′又は図5cに示すような精密切削工具62、62′が、1つの独立した出し位置において床パネル1、1′の送り方向FDの片側と反対側とに対向する対として配置される。対をなす工具の一方が固定要素側1を加工し、他方の工具は固定溝側1′を加工する。荒削り工具60、60′は耐摩耗性表面層の大部分の高研摩性材料を除去して、耐摩耗性表面層の切削も行なう工具62、62′を除く後続の工具の寿命と切削品質とを向上させる。工具の切れ刃はダイヤモンドによって構成されるが、たとえそうであっても、こうした工具の運転時間は限られており、高研摩性の上層を切削加工する場合は通常5000〜20000メートル以下である。このため、表面層を切削加工する工具、即ち図5aに示すような荒削り工具60、60′及び図5cに示すような精密切削工具62、62′は、製作時に段階的に切れ刃に対して平行に移動Mさせて真新しい工具切れ刃を切削加工位置に配置することができる直線状の切れ刃を有して構成される。
【0031】
このような水平工具角TAでの水平回転と段階的な垂直方向の調節Mとが図6a〜6cに示されている。図6aは、床パネル1の上表面層31を成形する精密切削工具62のチップ除去面71の図である。ボードが耐摩耗性上表面層を有する場合には、精密切削工具は、ボードの心材、例えば高密度繊維板(HDF)を切削加工する場合と比べてはるかに急速に摩り減ってしまう。その結果として、工具62上において図6bに示すような切削面の摩損部分72が生じて、これがパネルの上縁部分のいわゆるチッピング73を引き起こし、即ち小さな欠けが生じ、縁部が粗くなると共にプリントの素地の小さい白色部分が見えてしまいかねない。図6cに、精密切削工具62を垂直方向Mに1ミリメートルの十分の幾らかずつ小刻みに移動させて、工具62の真新しい切れ刃部分71が上表面31に当接して正位置に配置されるようにする方法を示す。同様の原理が荒削り工具に用いられ、機械を運転しながら工具の段階的な移動を行なってライン運転時間の損失が防がれる。
【0032】
図5aの荒削り工具60、60′は一般に垂直面VPから且つ最終的な上側縁部18、19から約0.5mmの距離EDを置いて配置される。後続の全ての工具は、精密切削工具62、62′を除いて、特にこれらの工具を段階的に移動させることはできないため、耐摩耗性表面層31に切り込む危険性を回避すると共に、以って工具が急速に摩耗するのを防ぐために、いずれも自身の切歯が上側縁部の表面層に対して安全な距離に保たれるように設計される。
【0033】
型出し機の内側における水平方向の転向は、大体において工具がパネルに対して無制御の側圧を創出することに関連する。このような側圧は、工具が異なる工具角、異なる回転数(送り方向又は送り方向とは逆の方向)で作用する場合又は異なる量の材料又は異なる組成の材料(心材、表面層)を除去する場合に生じうる。
【0034】
幾つかの理由により第1及び最終の切削加工位置ではその他の工具位置と比べてボード1、1′は一般に不安定であり、水平方向の転向の危険性が高い。例えば、ボードは限られた長さにわたってチェーンとベルトとによって把持されるだけであり、入口/出口の装置がボードを軽く押しうる。
【0035】
従って、協働水平固定面11、12、18、19の加工は、一般に中間の工具位置において互いに関連して配置される。これらの面は、図5cの精密切削工具62、62′と図5dの固定溝切削工具63′と固定要素切削工具63とによって成形される。図5cの精密切削工具62、62′は一般に常に、図5bに示す実及び実溝を成形する工具の後に配置される。これは、精密切削工具が材料の除去を開始する時点で材料の大部分がすでに前の工具60、60′、61、61′により除去されているため、大きな利点となる。精密切削工具62、62′は、非常に限られた量の心材材料と耐摩耗性表面層31の最後の部分とを除去するだけでよい。このことは、切削力と床パネルに対する水平方向の圧力とを低下させることにより、厳密な加工公差を得ることを可能にする。
【0036】
荒削り工具60、60′と精密切削工具62、62′とは、上述したように、常に両者間に幾つかの工具位置を挟んで分離される。このことが、荒削り工具60、60′と精密切削工具62、62′との間において実質的な無制御の水平方向の転向を引き起こし、こうした転向は約0.2mmになりうる。従って、縁部の欠け、化粧紙の目に見える白線及び心材の露出等の品質問題を防ぐために、荒削り工具は最終表面縁部から一般に少なくとも0.5mmの安全距離に配置されなければならない。
【0037】
固定溝14及び固定要素8の固定面は、固定角LAと等しいか又はそれより大きい工具角TAを有する回転工具構成63、63′を用いて成形される。固定角Aを有する固定面を成形する回転工具構成は、固定角Aより小さい工具角TAで作用することができない。これは、固定システムの設計及び製作において考慮されなければならない重要な制約事項である。
【0038】
図5b及び5dの水平及び垂直固定用工具61、61′、63、63′はいずれも、同じ軸上に取り付けられる2つの互いに調節可能な工具本体TB1及びTB2によって構成される回転工具構成の例である。このような工具を以下ではコンビ工具と呼ぶ。これらのコンビ工具は、相互間に固定相対距離を有する2つの対向する切削面によって構成される形状、例えば溝を成形する場合に必要とされる。工具を研ぐと、工具の材料の一部が除去され、対向縁部間の相対距離が変化する。従って、2つの本体は、過大な寸法に調節され、然る後に正しい相対寸法に研ぎ出されうる。これらのコンビ工具の好ましい効果は、同じ位置で同じ工具を用いて型出しするため、2つの工具本体によって成形される2つの型出し面間の精度が非常に正確になることである。このようなコンビ工具61、61′を用いて、図5bに示すような実の1対の垂直固定面間における公差を向上させることができる。しかし、コンビ工具は、1対の水平固定面の製作には用いられない。
【0039】
1つの理由は、固定溝側の上側縁部が、図5c及び5dに示すような固定溝内の固定面を成形する工具本体63′の工具角とは異なる工具角を有する工具本体62′を用いて成形されなければならないためである。コンビ工具の工具本体は、同じ軸に固定されるため、常に同じ工具角で作用する。また他の理由は、上側縁部を成形する一方の工具本体62は水平に作用しなければならず、且つ段階的に垂直方向に調節可能でなければならないためである。このような調節は、固定要素の固定面を成形するために用いられるその他の工具本体TB1及びTB2の位置も変化させるため、コンビ工具63、63′を段階的に垂直方向に調節することはできない。従って、2つの工具本体を同じ軸上に有するコンビ工具は、2つの大きな制約事項を有する。いずれの工具本体TB1、TB2も同じ工具角で作用しなければならず、また同時に同じ方向に移動させなければならない。
【0040】
機械的固定システムを加工する際の主要な問題は、総製作費を別にすれば、十分な製作公差を得ること、即ち適正な形状の接合部を得ること及びそれを費用効果的な製作モードで行なうことである。従って、床パネルの製造において、水平固定公差を更に大幅に低い水準に、より費用効果的且つ容易な方法で減少させることが大いに望ましい。
【0041】
[発明の概要及び目的]
本発明の主要な目的は、機械的固定システムの加工時、特に水平固定を達成するために用いられる機械的固定システム部分の加工時における床パネルの水平方向の転向(回転)に関連ある問題の解決策を提供することにある。
【0042】
特定の目的は、床パネル、特に貼り合せフローリングと同様の耐摩耗性上表面層を有する床パネルの製作時における水平方向の転向を阻止又は解消すること及び/又はこのような水平方向の転向の悪影響を減少させることにある。
【0043】
本発明の1つの例示的な実施形態のまた他の目的は、工具交換を少なくすることによって型出しラインのダウン時間を減少させて工具運転時間を増やすことにより製作費を低く保つことにある。
【0044】
水平固定面を成形する工具を組み合わせて、2つの対向する柱側を有する1本の柱の同じ側の1つの工具構成にする製作方法を基本とする第1の原理により、目的が達成され、且つ問題が解決された。これにより、この工具構成では工具間における実質的に全ての水平方向の転向(回転)を解消することができる。しかし、この種の加工は、耐摩耗性表面層を成形する工具に多大な摩耗を生じしめ、製作中の段階的な調節によってこうした工具の寿命を延ばすことができない。このため、第1の上側縁部において床パネルの耐摩耗性上表面層の少なくとも一部分を予備加工して、表面層の特性を変化させるようにする予備加工段階が導入される。
【0045】
問題は、少なくとも固定要素側の組合せ工具セットは、同じ工具軸を互いに個別に調節することができる少なくとも2つの工具本体を駆動する回転工具構成である第2の原理により解決された。このような回転工具構成は、実質的に垂直な工具角で、又は少なくとも固定面の固定角と等しいか又はそれより大きい工具角でのみ作用しうる。しかし、この種の加工は、耐摩耗性表面層を成形する工具に多大な摩耗を生じしめ、製作中の段階的な調節によってこうした工具の寿命を延ばすことができない。その代わりに、表面層の特性を変化させる予備加工段階が導入される。
【0046】
従って、問題は、表面層の中間予備加工段階を行なった後に水平固定面を成形する第3の原理により解決された。材料を除去するか又は材料特性を変化させるこうした中間予備加工は、幾つかの方法を用いて、そして更には上表面層の最終的な縁部に非常に接近し、精密切削工具に近接する位置に配置される従来の荒削り工具を用いて行なうことができる。しかし、中間予備加工は、好ましくは、耐摩耗表面層の一部分として垂直面を超えて内方に形成される畝状部が除去されるように行なわれる。この特殊な種類の中間予備加工により、本質的に垂直方向に作用する回転工具構成の多大な摩耗を防ぐと共に、中間予備加工用工具と回転工具構成との間における水平方向の転向(回転)を防ぐことが可能になる。
【0047】
これらの3つの全ての原理を個別に用いて、機械的固定システムの加工を向上させることができる。しかし、最良の結果は、これらの原理を組み合わせた場合に達成される。
【0048】
本発明の第1の態様に従って、第1の縁部において第1の工具構成を用いて、床パネルの対向縁部において機械的固定システムを製作する方法を提供する。床パネルは、耐摩耗性上表面層と、心材と、当該パネルを同様の他のパネルと水平方向に固定するための第1及び第2の縁部上の機械的固定システムとを有する。機械的固定システムは、パネルの第1の縁部における第1対の固定面と、反対側の第2の縁部における第2対の固定面とを含む。第1対の固定面は、第1の上側縁部と固定要素とを含む。第2対の固定面は、第2の上側縁部と固定溝とを含む。床パネルは、自身の第1の縁部を第1の工具構成に相対させて送り方向に移動させられる。第1の工具構成は、2つの対向する柱側を有する1本の柱の同じ側に配置される第1及び第2の工具本体を含む。この方法は、
・第1の上側縁部において床パネルの耐摩耗性上表面層の少なくとも一部分を予備加工して、表面層の特性を変化させるようにする段階と、
・第1及び第2の工具本体により、第1対の固定面の少なくとも一部分を成形する段階と、を含む。
【0049】
この方法は、2つの工具本体を1本の柱の同じ側に有する工具構成を用いるため、固定溝側における公差の本質的な向上をもたらす。固定溝側又は溝側の対状固定面の少なくとも一方も同時にパネルの反対側の同じ種類の工具によって成形される場合は、更なる向上が達成されうる。
【0050】
従って、第1の態様の例示的な実施形態は、第1の工具構成を第1の縁部に、そして第2の工具構成を第2の反対側縁部に用いて、床パネルの対向する縁部に機械的固定システムを製作する方法を提供するものである。床パネルは、耐摩耗性上表面層と、心材と、パネルを同様のその他のパネルと水平方向に固定するための第1及び第2の縁部上の機械的固定システムとを有する。機械的固定システムは、第1の縁部における第1対の固定面と反対側の第2の縁部における第2対の固定面とを含む。第1対の固定面は、第1の上側縁部と固定要素とを含む。第2対の固定面は、第2の上側縁部と固定溝とを含む。床パネルは、自身の第1の縁部を第1の工具構成に相対させ、そして自身の第2の縁部を第2の工具構成に相対させて送り方向に移動させられる。第1及び第2の工具構成は、各柱が2つの対向する柱側を有する1本の柱の同じ側で床パネルに係合する第1及び第2の両工具本体を含む。この方法は、
・第2の工具構成により第2対の固定面の少なくとも一方の面の少なくとも一部分を成形する段階を含む。この段階を、この成形段階に先立って行なわれる下記の段階と組み合わせることもできる:
・第2の上側縁部において床パネルの耐摩耗性上表面層の少なくとも一部分を予備加工して、表面層の特性を変化させるようにする段階。
【0051】
第1及び第2の工具構成は、好ましくは、送り方向に対して横切る方向に互いに本質的に対向して配置されることとする。工具構成は、好ましくは、チェーンの同じ側の柱間の平均距離より大きく送り方向に沿って移動(変位)しないこととする。ただし、最良の結果は、工具構成が送り方向に対して垂直に互いに完全に対向して配置される場合に得られ、これは第1及び第2の縁部の固定面の成形が同時に開始し且つ終了することを意味する。
【0052】
この第1の態様は、2つの理由によって、製作時における床パネルの転向が協働水平固定面間の相対距離を変化させることはないという利点をもたらす。第1に、これらの固定面は、1本の柱の同じ側において送り方向に互いに接近して又は好ましくは同じ位置に配置される第1及び第2の工具本体により成形され、これによって工具本体間における転向は解消される。第2に、第1及び第2の工具構成も送り方向に対して横切る方向に本質的に互いに対向して配置され、これによって工具構成間における転向が解消される。中間予備加工段階であると共に第1の工具構成及び/又は第2の工具構成に近接して行なわれる第2の予備加工段階は、回転工具構成を相当な寿命で使用することを可能にする。
【0053】
第2の予備加工用工具と回転工具構成との間における水平方向の転向は0.05mm以下もの微小となり、これにより、第2の予備加工用工具を用いて、例えば第1の予備加工用工具の後に残る0.5mmの表面を除去すればよくなるため、いかなる品質問題も生じることなしにほぼ全ての耐摩耗層を除去することが可能になる。こうした工具により垂直面の内側の表張りの一部分を除去することもできる。
【0054】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、この方法は更にまた、
・中間段階において耐摩耗性上表面層の畝状部の一部分を除去する段階を含む。
【0055】
このような予備加工は、回転工具構成の寿命を大幅に延ばす。寿命は、従来の製作方法を用いる従来の工具の場合より本質的に長くなりうる。
【0056】
畝状部は、従来の回転工具、又は工具本体上において送り方向に沿って配置される幾つかの歯を含む非回転掻き取り工具構成を用いることにより除去されうる。
【0057】
水平方向の転向に関連ある製作公差は、1本の柱の片側において互いに可能な限り接近して互いに上下又は前後に並んで配置される工具本体を用いて第1及び/又は第2対の水平面が成形される場合にも減じることができる。工具本体は、2つの回転工具構成又は2つの掻き取り工具構成、或いは1つの回転工具構成と1つの掻き取り工具構成とを含むことができる。
【0058】
本発明の第2の態様によれば、床パネルに機械的固定システムを製作する工具構成が用いられる。床パネルは、耐摩耗性表面層と、心材と、床パネルを同様のその他のパネルと水平方向に固定するための第1及び第2の縁部上の機械的固定システムとを有する。更に、機械固定システムは、パネルの第1の縁部における第1対の固定面と、反対側の第2の縁部における第2対の固定面とを含み、第1対の固定面は第1の上側縁部と固定要素とを含み、第2対の固定面は第2の上側縁部と固定溝とを含む。工具構成は第1の工具構成68を含み、この第1の工具構成は第1及び第2の工具本体を含む。第1の工具構成は、2つの対向する柱側を有する1本の柱の同じ側に配置される。この工具構成は、第1の上側縁部において床パネルの耐摩耗性上表面層の少なくとも一部分を予備加工して、表面層の特性を変化させるようにする手段を含む。第1及び第2の工具本体は、第1対の固定面の少なくとも一部分を成形する手段を含む。水平方向の転向は、本質的に下側チェーンが本質的に床パネルの垂直方向の案内のためだけに用いられる製作方法及び装置によっても阻止されうる。水平方向の案内は、公知の方法とは対照的に、上側ベルト又はチェーンによって達成される。
【0059】
本発明の第3の態様に従って、床パネルの対向する縁部に機械的固定システムを製作する装置であって、下側チェーンと上側ベルト又はチェーンと対向する縁部を成形する幾つかの工具構成とを含む装置を提供する。床パネルは、下側チェーン又は上側ベルト又はチェーンにより、自身の表側化粧面を下側チェーンに接触させて送り方向に移動させられる。下側チェーンは、下側案内装置により垂直方向及び水平方向に案内される。上側ベルト又はチェーンは、上側案内装置により水平方向に案内されると共に、床パネルを垂直方向に下側チェーンの方へと押圧するように構成される。案内装置は、2つの工具構成間における直線的な送り方向からの水平方向の転向が、上側ベルト又はチェーンにおいて下側チェーンの対応する転向と本質的に等しいか又はそれより小さくなるように構成される。
【0060】
水平方向の案内が本質的に上側チェーン又はベルトによって得られる製作装置により、いくつかの利点が達成されうる。ベルト又はチェーンと接触する床パネルの裏側は、高摩擦を創出しうる表面を有して形成されうる。ベルト又は上側チェーンも高摩擦面を有しうる。このような表面は、裏側に多少のエンボシングを施されても、床パネルの品質にいかなる悪影響も及ぼすことなしに創出されうる。上側ベルト又はチェーンと床パネルとの間の非常に強い結合が、下側チェーンと接触する化粧面側の表面構造とは無関係に得られうる。この装置は更にまた、いかなる追加の案内溝も必要とされず、且つパネル又は固定システムの大きさが変更されても案内部品を別々に調節する必要がないという利点も提供する。
【0061】
第1、第2及び第3の態様を単独で又は組み合わせて用いて、製作時における床パネルの水平方向の転向を阻止又は解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1a】従来技術において公知の機械的固定システムを示す床パネルの断面図及び表面層の拡大図である。
【図1b】従来技術において公知の機械的固定システムを示す床パネルの断面図及び表面層の拡大図である。
【図2a】従来技術において公知の様々な種類の機械的固定システムを示す図である。
【図2b】従来技術において公知の様々な種類の機械的固定システムを示す図である。
【図2c】従来技術において公知の様々な種類の機械的固定システムを示す図である。
【図3a】従来技術において公知の、耐摩耗性上表面層を有する床パネルを製作する従来式型出しラインの側面図及び上面図である。
【図3b】従来技術において公知の、耐摩耗性上表面層を有する床パネルを製作する従来式型出しラインの側面図及び上面図である。
【図4a】従来技術において公知の床パネルの短尺側と従来式型出し装置との側断面図と、加工後の床パネルの全体上面図及び短尺側の側面図とである。
【図4b】従来技術において公知の床パネルの短尺側と従来式型出し装置との側断面図と、加工後の床パネルの全体上面図及び短尺側の側面図とである。
【図4c】従来技術において公知の床パネルの短尺側と従来式型出し装置との側断面図と、加工後の床パネルの全体上面図及び短尺側の側面図とである。
【図5a】従来技術において公知の、床パネルに機械的固定システムを製作する製造段階を示す図である。
【図5b】従来技術において公知の、床パネルに機械的固定システムを製作する製造段階を示す図である。
【図5c】従来技術において公知の、床パネルに機械的固定システムを製作する製造段階を示す図である。
【図5d】従来技術において公知の、床パネルに機械的固定システムを製作する製造段階を示す図である。
【図5e】従来技術において公知の、床パネルに機械的固定システムを製作する製造段階を示す図である。
【図6a】従来技術において公知の、工具の運転時間を延ばすための段階的な移動を示す、貼り合せ層を切削する工具の断面図である。
【図6b】従来技術において公知の、工具の運転時間を延ばすための段階的な移動を示す、貼り合せ層を切削する工具の断面図である。
【図6c】従来技術において公知の、工具の運転時間を延ばすための段階的な移動を示す、貼り合せ層を切削する工具の断面図である。
【図7a】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図7b】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図7c】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図8a】本発明による、図7a〜7cに示す工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側面図及び上面図を示す、様々な型出しラインの部分の側面図及び上面図である。
【図8b】本発明による、図7a〜7cに示す工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側面図及び上面図を示す、様々な型出しラインの部分の側面図及び上面図である。
【図8c】本発明による、図7a〜7cに示す工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側面図及び上面図を示す、様々な型出しラインの部分の側面図及び上面図である。
【図9a】本発明による予備加工段階の例示的な実施形態の断面図である。
【図9b】本発明による予備加工段階の例示的な実施形態の断面図である。
【図9c】本発明による予備加工段階の例示的な実施形態の断面図である。
【図9d】本発明による予備加工段階の例示的な実施形態の断面図である。
【図10a】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図10b】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図10c】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図10d】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図10e】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図11a】本発明に従って改良された製造段階の例示的な実施形態により製作される床パネルの全体を示す側面図及び上面図である。
【図11b】本発明に従って改良された製造段階の例示的な実施形態により製作される床パネルの全体を示す側面図及び上面図である。
【図11c】本発明に従って改良された製造段階の例示的な実施形態により製作される床パネルの全体を示す側面図及び上面図である。
【図12a】本発明によるコンビ工具設置ソリューションの背景をなすメカニズムを説明する床パネルの溝側の側断面図及びコンビ工具設置ソリューションの旋回方向を説明する側断面図である。
【図12b】本発明によるコンビ工具設置ソリューションの背景をなすメカニズムを説明する床パネルの溝側の側断面図及びコンビ工具設置ソリューションの旋回方向を説明する側断面図である。
【図12c】本発明によるコンビ工具設置ソリューションの背景をなすメカニズムを説明する床パネルの溝側の側断面図及びコンビ工具設置ソリューションの旋回方向を説明する側断面図である。
【図12d】本発明によるコンビ工具設置ソリューションの背景をなすメカニズムを説明する床パネルの溝側の側断面図及びコンビ工具設置ソリューションの旋回方向を説明する側断面図である。
【図12e】本発明によるコンビ工具設置ソリューションの背景をなすメカニズムを説明する床パネルの溝側の側断面図及びコンビ工具設置ソリューションの旋回方向を説明する側断面図である。
【図13a】本発明による予備加工段階を取り入れた工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側面図及び上面図である。
【図13b】本発明による予備加工段階を取り入れた工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側面図及び上面図である。
【図14a】本発明による工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側断面図である。
【図14b】本発明による工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側断面図である。
【図14c】本発明による工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側断面図である。
【図14d】本発明による工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側断面図である。
【図15a】本発明による予備加工段階の例示的な実施形態の側断面図である。
【図15b】本発明による予備加工段階の例示的な実施形態の側断面図である。
【図15c】本発明による予備加工段階の例示的な実施形態の側断面図である。
【図16a】本発明による工具設置ソリューションの例示的な実施形態により製作可能になる様々な設計の機械的固定システムの側断面図である。
【図16b】本発明による工具設置ソリューションの例示的な実施形態により製作可能になる様々な設計の機械的固定システムの側断面図である。
【図16c】本発明による工具設置ソリューションの例示的な実施形態により製作可能になる様々な設計の機械的固定システムの側断面図である。
【図16d】本発明による工具設置ソリューションの例示的な実施形態により製作可能になる様々な設計の機械的固定システムの側断面図である。
【図17a】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図17b】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図17c】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図17d】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図17e】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図18a】本発明による、コンビ工具に代わる選択肢の工具設置ソリューションであって、予備加工段階を取り入れた工具設置ソリューションの例示的な実施形態を示す側面図である。
【図18b】本発明による、コンビ工具に代わる選択肢の工具設置ソリューションであって、予備加工段階を取り入れた工具設置ソリューションの例示的な実施形態を示す側面図である。
【図19a】本発明によるコンビ工具とその切削面の断面図である。
【図19b】本発明によるコンビ工具とその切削面の断面図である。
【図19c】本発明によるコンビ工具とその切削面の断面図である。
【図20a】本発明によるコンビ工具と位置変更方法との例示的な実施形態を示す断面図である。
【図20b】本発明によるコンビ工具と位置変更方法との例示的な実施形態を示す断面図である。
【図20c】本発明によるコンビ工具と位置変更方法との例示的な実施形態を示す断面図である。
【図20d】本発明によるコンビ工具と位置変更方法との例示的な実施形態を示す断面図である。
【図20e】本発明によるコンビ工具と位置変更方法との例示的な実施形態を示す断面図である。
【図20f】本発明によるコンビ工具と位置変更方法との例示的な実施形態を示す断面図である。
【図21a】床パネルの短尺側と、床パネルの対向する縁部に改良型機械的固定システムを製作する装置の例示的な実施形態とを示す側断面図である。
【図21b】床パネルの短尺側と、床パネルの対向する縁部に改良型機械的固定システムを製作する装置の例示的な実施形態とを示す側断面図である。
【図22a】床パネルの短尺側と、床パネルの対向する縁部に機械的固定システムを製作する装置の例示的な実施形態とを示す側断面図である。
【図22b】床パネルの短尺側と、床パネルの対向する縁部に機械的固定システムを製作する装置の例示的な実施形態とを示す側断面図である。
【図23a】本発明による、コンビ工具に代わる掻き取り工具構成の例示的な実施形態を示す図である。
【図23b】本発明による、コンビ工具に代わる掻き取り工具構成の例示的な実施形態を示す図である。
【0063】
[実施形態の詳細な説明]
図7a〜7cは、本発明による、床パネルに改良型機械的固定システムを製作する工具設置ソリューションの例示的な実施形態を示す型出しラインの図である。固定要素側1の水平固定面は、第1段階において、図7aに示す垂直面VPに隣接する心材と表面との大部分を除去する予備切削装置60により予備加工される。従来の型出しでは、予備切削装置60を垂直面VPから約0.5mmの距離EDを置いて配置するのが普通である。図7bに、本発明の型出しラインに組み込むことができる例示的な実施形態に従った中間予備加工段階の工具設置ソリューションが示されており、この中間予備加工段階において、図7aに示す第1の予備加工段階の後に残った少なくとも大部分の耐摩耗性表面層が除去される。このような成形は、非常に精密であると共に、非常に少量の材料を除去するため、非常に小さい力で行うことができ、この中間予備加工用工具構成は、固定面を成形する次の工具に非常に接近して配置されうる。工具の維持管理のために、予備切削工具60、60′及び中間予備加工用工具構成67は、切れ刃に対して平行な方向Mに段階的に移動させることができ、このことが工具の寿命を大幅に延ばす。図7cは、本発明の型出しラインに組み込むことができる例示的な実施形態に従った成形段階の工具設置ソリューションである。固定要素側1の水平固定面は、回転工具構成、即ち2つの工具本体を含むコンビ工具(COMBI tool)を用いて成形される。この工具設置ソリューション68において、第1の工具本体TB1は床パネル1の第1の上側縁部19を成形し、第2の工具本体TB2は固定要素8を成形する。これにより、固定面の中間位置が、製作時におけるパネルの水平方向の回転(転向)とは無関係に、常に適正であることが約束される。コンビ工具は、この実施形態では、床面に対して90度の工具角TAを有すると共に、90度の固定角LAを有する固定要素側1の固定面を成形する(図20a〜20cも参照)。このコンビ工具を段階的に移動させることはできない。しかし、中間予備加工段階の後に最終的に残った非常に小さい表面層部分のみを除去することになるため、第1の工具本体TB1の寿命は、従来の工具設置ソリューションの場合と同程度の長さか、又はそれより大幅に長くなりうる。
【0064】
図7cは、同じ柱に互いに垂直方向に上下に並んで配置される第1TB1及び第2TB2の工具本体を有する工具構成68′を、固定溝側1′の水平固定面を成形するために好適に用いることができることを示している。この場合は、精密切削工具TB1を段階的に垂直方向に移動させることができるため、中間予備加工段階は不要である。しかし、中間予備加工段階を用いて、精密切削工具TB1、例えば図7bにおいて固定要素側1として示したものと同じ精密切削工具の寿命を更に延ばすことが有利である。
【0065】
図8a〜8cは、本発明に従って床パネルに改良型機械的固定システムを製作するための工具設置ソリューションの例示的な実施形態を示す型出しラインの図7a〜7cとは異なる図である。図8aは、固定要素側1の側面図である。中間予備加工用工具構成67が第1の柱81に、そしてコンビ工具68が第2の柱80の隣接する側に配置される。その結果として、工具は互いに非常に接近し、水平方向の転向(回転)が限定的又は皆無となる。一方の軸中心から他方の軸中心までの測定値である工具距離TDを最も大きい工具の直径より小さくして、水平方向の転向の制限において最良の結果を得ることができる。これは、現在使用されている従来式工具の場合に240mm未満の距離TDに相当し、これに対して現在の型出し機で一般に用いられている距離TDは400〜500mmである。工具を互いに垂直方向に部分的に重複させると、工具距離TDを更に一段と小さくすることができる。図8bは、固定溝側1′の側面図である。上側縁部と固定溝の固定面とを成形する第1TB1及び第2TB2の工具本体が示されている。工具本体は、互いに垂直方向に上下に並んで配置される。その結果として、図11a〜cに示すように、水平方向の転向が発生しても、対をなす水平固定面間の相対距離が変化することはない。図8cは、型出しラインの上面図であって、3本の柱80、80′、81且つ3つの柱側に配置される4つの回転工具構成を用いて高品質の水平固定面を成形し得ることを示している。協働水平固定面11及び19と12及び18とを成形する2つの工具構成68、68′が互いに対向してチェーンの各側において送り方向に対して垂直な線LPに沿って本質的に整合して配置されると有利である。協働固定面の成形は、このような工具構成においては、同時に開始し且つ終了して、協働水平面の相対位置に対する水平方向の転向の影響が完全に解消されうる。
【0066】
図9a〜9dに、本発明による予備加工段階と中間予備加工段階との例示的な実施形態を示す。図9aにおいて、1つの実施形態として、熱は表面層の特性を変化させ、例えば耐摩耗性上表面層を軟化させるように影響を及ぼす。高研摩性粒子、例えば酸化アルミニウムが母材に十分に固着されていない場合は、耐摩耗性上表面層の昇温により上表面層の耐摩耗性は低下する。型出し機において1つの工具ステーションに集められる接合面の最終的な型出しの直前又は更には型出し機において型出しラインが始まる前に、熱を例えばIR(赤外放射)により導入することができる。また他の実施形態として、レーザーは、効率的であるだけでなく精密切削工具に極めて近接して表面層に到達しうるため、同じく加熱手段として用いることができる。加熱は、レーザー、赤外線電球又は熱風を用いる以外に、高温スライドシュー、マイクロ波及びその他の公知の加熱技術又はこれらを組み合わせた方法等の、当業者が認識しているその他の方法を用いて行うことができる。更にまた、切削ではなしに加熱のためだけにレーザーを用いることにより、非常に正確な摩耗の低下が約束され、以って精密切削工具の寿命が延びる。本発明によるさらに別の予備加工段階のさらに他の例示的な実施形態は、床パネルの上表面層の少なくとも複数部分に潤滑剤、例えばワックスを添加することである。これもまた表面層の特性を変化させる。加熱又は潤滑は、本質的に耐摩耗性上表面層の畝状部の一部分において行なわれる。図9bに、本発明によるまた別の予備加工段階の更に他の例示的な実施形態を示す。耐摩耗性上表面化粧層31の一部分が掻き取り工具を用いて除去され、その結果として、表面層の特性が完全に変化する。図9cに、本質的に図1bにも示される垂直面VPに配置される予備加工用工具構成67を用いた予備加工段階を示す。図9dには、垂直面VPの内側の耐摩耗層の一部分を除去すると共に表面層31上に畝状部76を形成させるように配置される予備加工用工具構成67を示す。
【0067】
図10a〜10eは、本発明に従って、型出しラインに中間予備加工段階を取り入れた、対向する両縁部において床パネルに改良型機械的固定システムを製作する工具設置ソリューションの例示的な実施形態を示す型出しラインである。床パネルにおける機械的固定システムの型出し精度の向上が固定要素側と固定溝側との両方において得られると共に、その型出しに用いられる工具の長寿命化が達成される。図10a〜10bは、図5a〜5bに対応しており、よって改めて説明は行わない。図10cは、中間予備加工が中間予備加工用工具構成67、67′を用いて固定要素側1と固定溝側1′とにおいて行なわれる工具設置ソリューションを示す図である。図10dは、固定要素側1のコンビ工具68と固定溝側1′の第1TB1及び第2TB2の工具本体を有する工具構成とを示す図である。例えば固定面と固定溝の一部分とが第2の工具本体TB2により成形されて、除去される材料の量が最小限に抑えられる。これにより工具の寿命が延びる。この第2の工具本体TB2は、同じ柱側に且つ回転する第1の工具本体TB1の上に配置されうる幾分単純な掻き取り工具として設計されてもよい。厳密な公差が必要とされない固定溝の残りの部分は、図10eに示すようなまた他の工具63′により成形することができる。
【0068】
本発明の例示的な実施形態に従った予備加工段階と主に垂直面上で作用するコンビ工具とを用いる工具設置ソリューションは、並外れた工具寿命をもたらしうる。従来技術の精密切削工具は、予備加工を用いない場合は、工具を段階的に移動させることが必要になるまでの動作距離が大体10000〜20000メートルであるが、工具構成68、68′は、工具の砥ぎ直しが必要になるまでに500000メートルを超える動作距離にわたって動作させることができる。これは、見返りとして、型出しラインの工具交換のためのダウン時間において実質的な利益をもたらすと共に、新しい工具の再装着時に作業員が間違いを犯す危険性に対しても顕著な効果をもたらす。垂直面の切込み加工では、工具寿命よりももっと有益な効果がある。水平面上で作用する従来の精密切削工具は、図1の垂直方向の接触面18、19にうねりを創出する。これは、例えば先行技術文献である国際公開WO2006/117229A1又は欧州特許出願公開EP1851020A1に記載されている公知の現象である。上述の精密切削工具は、歯の切れ刃が完全に図1の接触面18、19に対して平行な垂直面に沿って移動し、以って切削時のうねりが起こり得ないため、この問題が解消される。この技術は、例えば代替のレーザー技術よりはるかに費用対効果が高い。
【0069】
図11aは、本発明による上記の製作方法であり、たとえ実質的な水平方向の転向(回転)が起きたとしても、互いに同じ相対水平距離L1、L2、L3及びL4に配置される水平固定面を、対向する側部において床パネルの全長にわたって形成させることが可能になることを示す図である。例えば0.2mmの転向が実10と実溝9とに生じたとして、既に説明したように、これが固定品質に影響を及ぼすことはない。水平方向の転向は、上側縁部が短尺縁部5a、5bに対して完全に垂直にはならないように、上側縁部の形状を変化させる。この逸脱は、短尺縁部が成形されると消滅する。なぜなら上側縁部は一般に短尺縁部の型出しに用いられるプッシャのベースとして用いられるためである。この種の公差は、水平方向の転向が湾曲した形状の水平固定面をもたらす場合でさえ、中間距離Lが同じである限り、容易に解消し得る。一部の公差は短尺縁部の加工時に解消される。例えば0.1mmの残存公差はバナナ形の形状をもたらすが、この形状は、固定要素と固定溝とが自動的に床パネルを互いに押し付けて直線状にする丸形の案内面を有して形成されるため、設置時に容易に自動的に真っ直ぐにされうる。当然ながらパネルを互いに軽く押し付けることもできる。たとえ完璧な加工が行なわれる場合でも、全てのパネルは若干バナナ形の形状を呈する。図11cは、本発明の例示的な実施形態に従った図10dに示す工具設置ソリューションを、実のストリップとストリップの外側部分とが例えば第3の工具本体TB3によるか、又はコンビ工具68の歯68aの一部分により成形されるように設計することができることを示している。このような加工は、水平方向の転向が垂直固定手段に及ぼす効果も必要に応じて解消する。この工具構成を用いて、厳密に嵌合する隣接面を有する固定システムを成形することができ、製作公差を補償するための隙間は不要になる。これにより、しっかり固定される防湿性の固定システムを形成させることが可能になる。
【0070】
図12a〜12eに、図7c、8a又は10dに示すコンビ工具設置ソリューション68の背景をなすメカニズムを説明する切削力の方向を示す。従来技術の精密切削工具は、図12aに示す方向Py、Px及びPyに切削力を向ける。外方に向く力は裏側に支持体を有さない脆性の表面層に対する応力を創出するため、Pyの力は上述のマイクロチッピングを創出する明らかな危険要因である。図12bに、本発明による成形段階の工具設置ソリューションの例示的な実施形態が示されており、精密切削工具68のディスク96は主に垂直面上で作用すると共にボードの送り方向に回転し、即ち作用する歯がボードと同じ方向である送り方向FDに移動する。このため、表面層のマイクロチッピングを創出する力PxもPyも生じない。従って、工具68は、表面層においてPyの力が存在する場合に必要とされるほど鋭利でなくてよい。もし工具68を反対方向に動作させると、その結果として有意なPyの力が創出され、その結果として工具の動作速度と寿命とが大幅に低下する。
【0071】
図12bの特定の工具設置ソリューション68の寿命を延長させる第2のメカニズムは、図12cの精密切削工具の工具本体96の工具チップ92の摩耗特性である。工具68の外側チップ部分Ccは、最初に高研摩性表面層に当たって材料を除去する部分である。Ccの手前に配置されるまた別の部分の切れ刃Ddは、心材30のみに切り込む。しかし、工具の先端Ccは、摩り減ってしまうと図1の縁部18、19から若干離間し、以って代わりに先端Ccの真新しい切れ刃部分が高研摩性表面層に切り込む。この部分が摩り減ってしまうと、更に新たな真新しい切れ刃部分が切り込み、工具は舌先から次第に摩り減っていって、最終的にチップは部分Eeまで摩損する。よって、工具の寿命を最大限に延ばす1つの方法は、工具チップ部分CcからEeまでの距離を増加させることである。工具を手動で段階的に移動させる必要がある従来の精密切削工具と比べると、工具により垂直面上で作業を行なうこの動作モードでは、一旦切れ刃が摩り減ってしまうと、自動的に真新しい切れ刃が高研摩性材料内へと配置される。
【0072】
回転工具構成68′の旋回方向は、固定溝側1において図12bのコンビ工具68と同じ原理を用いる場合は、固定要素側1′では送り方向FDとは逆向きであることとする。この回転方向により、切削力を表面層において確実に内方に心材の方へと向けることができ、このことは上記のように非常に重要である。2つの例示的な実施形態が図12d及び12eに示されており、水平固定における固定角を大きくするためには工具角を大きくする必要があることがわかる。図12eの固定システムのように突出する実が無い場合は、この方法を水平固定において90度の固定角で用いることも可能である。
【0073】
図12bの回転式精密切削部分96が完全に垂直面上で動作せずに若干角度を有する場合は、これによって精密切削工具の工具摩耗メカニズムが変化する。このことは、見返りとして、ある一定の材料、例えば工具の鋭利さに極めて敏感である非常に脆弱な表面における工具の寿命に好ましい影響を及ぼしうる。傾斜のない純粋な垂直面上で回転する場合は、図12cのCcとEeとの間において舌先の外側の最も鋭利な部分が高研摩性表面層を除去する。1つの工具歯の動きが図12dの上面図に示されており、工具が新しい場合は、表面層の全ての除去は位置Aにおいて行なわれる。チップの真新しい切れ刃部分は、位置AとCとの間において既に切削加工された表面層縁部畝状部に沿って摺動する。工具が摩耗すると、点Aが点Bに近づく方向に移動していき、工具が摩り減ってしまった時点で、上述したように、最終的にこの点で終わる。工具が切削を開始する最初の点は、工具が摩耗しても依然として点Aである。材料が摩耗した切れ刃に敏感な(影響を受けやすい)場合は、たとえ次に到来する歯の真新しい切れ刃部分がこの縁部部分の一部を除去するとしても、ある程度のマイクロチッピングが引き起こされうる。図12eに、工具の角度による表面層畝状部における歯の動きを示す。工具の歯は、ボードにおいて工具線TLに従って図12eの点Aから点Bまで次第にボードの内方に移動していくため、歯は角度をなして図12cの工具切れ刃部分Ccから部分Eeまで切れ刃全体に沿って切削する。点BからCまでは、歯はもはやボードと接触を持たない。
【0074】
図12bの回転式精密切削工具96が掻き取り工具構成に置き換えられると共に、例えば回転式工具構成95又は掻き取り工具構成と組み合わされる場合は、掻き取り工具構成96は好ましくは傾斜角をなして作用して、力を内方に心材内に向かって導くこととする。
【0075】
回転式工具が例えば実側において上から作用する場合は、力をPyの方向に導くために、旋回方向を送り方向とは逆向きにすることが必要である。
【0076】
図13a〜13bに、本発明による、予備加工段階を導入した型出しラインの例示的な実施形態の側面図及び上面図を示す。
【0077】
図13a〜13bに、固定要素側又は固定溝側のいずれかにおいて隣接する縁部を水平方向に固定する協働面の少なくとも一部分を成形する第2の工具Aaを有する工具設置ソリューション68を示す。この例示的な工具設置ソリューション68は、柱80の一方の側89に設けられるが、柱80の他方の側88において、即ち第1の工具Bbと共に作用する。一例として、この工具設置ソリューションは、第1の回転工具構成と第2の掻き取り工具構成とを含むか、又は回転工具構成が掻き取り工具構成、レーザー、小型エンドミル又は材料を除去することができる何らかのその他の工具であってもよい。予備加工段階により摩耗が大幅に減じられるため、1つの工具本体により両方の協働面を型出しすることさえ可能である。当業者が認識するように、それでもなおその工具本体の1つの部分において段階的な移動を実施することが好ましく、その理由は、たとえ摩耗が予備加工段階により減じられても、ほとんどの場合はその精密切削工具部分が高研摩性表面層の小部分を切削し、よって心材のみを型出しする残りの工具設置ソリューション部分より急速に摩り減ってしまいうるためである。2本の柱が互いに接近している場合は、第2の工具Aaも、例えば第2の柱81に取り付けられるが、柱80の同じ側88において作用しうる。
【0078】
固定要素側と固定溝側とにおいて若干異なる工具設置ソリューションを用いてもよいが、それらはいずれも、本発明の例示的な実施形態に従って型出し機において隣接する縁部を水平方向に固定する協働面の少なくとも一部分を加工するという共通の加工原理に基づく。好ましくは、予備加工の原理も取り入れられる。当業者が認識するように、本発明の実施形態に従った予備加工の原理は、耐摩耗性上表面層を有さない床パネルの製作にも用いることができ、予備加工された表面に工具設置ソリューションを作用させることによって工具設置ソリューションの寿命を延ばす。
【0079】
図14a〜14dに、本発明による工具構成の例示的な実施形態を示す。図14aには、固定溝側1′の縁部の上側部分18を成形する工具68′は、表面層に対して90度の工具角で垂直方向に作用することが示されている。機能は、コンビ工具68において固定要素側1の縁部19の上側部分に作用する第1の工具本体TB1の場合と同じである。図14bに、固定溝側1′の工具構成68′の第2の工具本体TB2は90度未満の工具角TAで作用しうることが示されている。この場合は、工具角TAは固定角LAに等しい(図20a及び20dも参照)。コンビ工具68は、この実施形態では、同じ工具角を有する。図14c及び14dに、同じ軸上に配置される第1及び第2の工具本体TB1、TB2を有するコンビ工具68′を用いて、固定溝側1′において水平固定面12、18を成形しうることが示されている。工具角TAは、固定溝内の固定面12の固定角LAと実10の形状とに適合せしめられなければならない。実の突出部分が限られている場合は、最大80度以上の固定面を成形することができる。図14dから、実を有さない固定システムと更にまた図2bに示すような固定システムとがいずれも90度の工具角で成形されうることが示されている。この固定システムは、切削力を内方に心材の方へと向けることによって耐摩耗性表面層のチッピングを防ぐために、好ましくは送り方向とは逆向きに回転する工具構成を用いて成形されることとする。
【0080】
図15a〜15cに、本発明による、回転工具構成を用いた耐摩耗性表面層31の、図9dのような予備加工段階の例示的な実施形態を示す。図15aに、最終的な接合縁部19から安全距離ED、例えば0.5mmに配置された荒削り工具60が示されており、EDが荒削り工具60と精密切削工具62との間における床パネル1の水平方向の移動よって小さくなり、以って最終的な床パネルにおいて白色化粧紙に小さな面取り部が露出しても、その結果として白線が生じることが防がれる。予備加工用工具61は、精密切削工具62と一緒に配置されるため、接合縁部19に接近して配置することができ、その結果として予備加工用工具61と精密切削工具62との間における水平方向の移動は実質的に皆無となる。これは、型出しラインの入口に配置される荒削り工具60とは対照的に、これらの2つの工具が好ましくは機械の安定した中間部に配置されるためである。更に、これらの工具は非常に小さい距離を置いて分離され、いずれの工具も非常に限られた量の材料を除去して、非常に限られた側圧を創出する。
【0081】
予備加工用工具61は、好ましくは、精密切削工具62に対して、これらの工具の最終的な結果が表張り35に残る小さな面取り部76となるが、これらの工具の最終的な結果が白線を創出する化粧紙35の面取り部となるほど深くはならないように配置される。以下で微小面取り部と呼ばれるこの面取り部は、滑らかな感触の縁部の畝状部を創出し、そうでない場合に貼り合せ床(ラミネート床)が非常に鋭い縁部を有してしまうという共通の問題を解消する。鋭い縁部は、手に切り傷を負いかねない設置業者にとって、そして床の上を歩くときに靴下を損傷してしまうことがある顧客にとっても問題である。
【0082】
微小面取り部は更にまた、精密切削工具62の寿命を最大限に延ばす。しかし、例えば微小面取り部が目立ちかねない暗色の装飾においては、希望に応じて微小面取り部76を防ぐために予備加工用工具61を若干外方に離して配置することができ、それでもなお精密切削工具の許容可能な寿命が得られることを強調しておくこととする。予備加工用工具61を最終的な接合縁部19から約0.1mm外側に配置することにより、精密切削工具が除去しなければならない耐摩耗性表面材料の量は、0.5mmの耐摩耗性材料を残存させる荒削り工具のみを用いる場合と比べて大幅に減じられる。
【0083】
図16a〜16dに、本発明による工具設置ソリューションにより製作されうる機械的固定システムの設計を示す。図16a及び図16cには、実及び実溝側において完全に補完的な表面を有する従来技術による機械的固定システムが示されている。しかし、このようなシステムは、製作不能であることが実証された。上側接触面が多くの場合に小さすぎて、ボードがボードを互いに押し付ける力を受けたときに上側接触面に損傷を生じうる。これは、汚物及び水分を固定システム内に侵入させる隙間の創出を招きうる。更にまた、上部化粧面の隆起を引き起こすこともあり、床の固定が不十分になってしまう。上表面は、例えば7mm以下の非常に薄いボードの場合又は面取り部を有するボードの場合、又は、図16b及び図16dに示すような大きい接着剤ポケット79や例えば密封装置が設けられる産業用間隙79を作る必要がある場合小さくなる。この問題の解決策は、固定用形状部のまた他の場所により大きい接触部、例えば固定用ストリップ上に突出部を設けて、これを実の下側において凹部に設けられる補完的な面と嵌合させることにより、ボードを互いに押し付ける力を吸収することである。突出部の内側下方接触面と実の補完的な面との間に間隙を設けて製作公差を吸収して、この接触がボードの上側接触面を分離させないことを確実にする。しかし、固定溝側において凹部と上側接触面との両方を型出しする工具と固定要素側における二重エンジン設備とを組み合わせて、以って同じ位置で全ての重要な水平面を型出しすることが解決策となる。これにより、完璧な嵌合が得られ、内方に向けられる力の大部分が凹部で吸収されて、以って上側接触面が保護される。実際には、製作時に型出しラインの工具設置ソリューション間における床パネル1、1′間の垂直方向及び水平方向のいずれの移動も吸収するために、図16b及び図16dの産業用間隙79が機械的固定システムに挿入された。例えば、図16dの間隙79を排除し、従来の工具設置ソリューションを用いると、18、19及び46、46を切削加工する工具間において多少の移動が生じ、このため、面46が面56を押出すと上側接触面18、19間において隙間が創出されると共に目に見える隙間が生じる。隙間があれば押圧はなくなる。
【0084】
本発明を用いると、両方の面19及び46又は18及び56を1つ又は2つの工具を用いて同じ型出し位置で製作することが可能になる。従って、これにより、これらの面の相対位置における公差が解消され、押出しが起こらない傾向が生じる。このため、図16b及び16dの間隙79を排除することが可能となる。これにより、ボードが互いに押し付けられるときに水平方向の力に対して接合部において付加的な強度が生じる。例えばMDF等の軟質の心材の場合又は上側垂直接触面が例えば深い面取り部により縮小される場合又は大きな間隙が実の上に必要とされる場合に、この間隙なしという特徴を用いることが極めて有利となりうる。
【0085】
図17a〜17eに、1つの接触面43、53が内方に向けられた力に対する垂直固定面だけではなしに水平固定面も構成する、本発明による固定システム用工具設置ソリューションの例示的な実施形態を示す。当業者が認識するように、ここでは1つの接触面のみが示されているが、1つを超える接触面がある場合でも、記載の原理は当然ながら等しく重要である。
【0086】
図17aに、工具が耐摩耗性材料の大部分を除去している様子を示す。
【0087】
図17bに、工具が心材の大部分を除去して、後続の工具により除去される材料の量を減少させている様子を示す。
【0088】
図17cに、図17dにおいて精密切削工具が除去することになる残存耐摩耗性材料の大部分を除去する予備加工用工具設置ソリューションを示す。図17cの予備加工用工具設置ソリューションは、図17dの精密切削工具に近接して配置されると共に、型出しラインにおいて精密切削工具に近接する中間部に配置される。
【0089】
図17dは、溝側用の工具設置ソリューションの2つの選択肢を示す。選択肢1(Alt.1)は、回転式工具構成を示し、この設備では面43は図17eに示す次の段階で型出しされなければならない。図17eは、図17dの工具設置ソリューションから離間して配置される工具設置ソリューションであり、特に床パネルが送りチェーン上において必ずしも十分に把持されない外側位置にあるため、床パネルの水平方向の移動が起こる。この移動は水平方向の嵌合の変動を生じしめる。嵌合が緩くなりすぎると、設置後にきしみ音が生じる可能性があり、嵌合がきつくなりすぎると、設置がより困難になる。
【0090】
選択肢2(Alt.2)は、回転工具構成68と組み合わされる掻き取り工具68″を有するものである。この設備を図17dにおいて用いると、全ての垂直面及び水平面が同じ位置で型出しされる。これは本発明が促進する重要な原理であり、この原理は、垂直固定面と水平固定面との両方を構成する面を有する固定システムの場合に極めて有利である。当業者が認識するように、その他の例示的な機械的固定システム、例えば図1のような従来式ストリップ固定システムも適用可能であり、下側の垂直固定面46、56が排除されると共に、傾斜した固定面11、12が垂直及び水平の両方向の固定面となる。
【0091】
図18a〜18bは、本発明による予備加工段階を取り入れたコンビ工具に代わる選択肢の例示的な実施形態を示す型出しラインである。2つのエンジン83、84により、一方の工具84は上から切り込み、他方の工具83は下から切り込む。これらの工具は機械の同じ柱80に且つ柱80の同じ側88に配置されるため、コンビ工具68を用いた場合と同じ効果が得られる。このため、工具の角度は固定面の角度により制限される。工具83及び84は、柱80上において若干離間して配置されうると共に、いずれもボードの同じ側から例えば溝側1において作用して、工具83が工具84より大きく且つこのエンジンが角度を有する場合は固定要素上に傾斜した固定面が得られる。以前は、耐摩耗性表面層に切り込む工具は水平面上で動作することを強いられたため、その他の工具が実溝に侵入することを妨げ、こうしたことは不可能であった。これらの工具のいずれか一方又は両方を掻き取り工具構成に交換することができ、そうすると、全種類の形状、例えば固定要素上の90度の固定面を型出しすることが可能になる。型出し精度にとって非常に重要なのは、各工具本体による加工点は互いに接近していなければならないということである。これは、幾つかの非常に小さい回転式工具を使用して、以って小さい工具直径により互いに接近可能にすること、即ち1本の柱上において柱の同じ側に取り付けられる大きい工具を用いる場合と技術的に同等にすることによっても達成することができる。幾つかの小型の工具を用いる場合は、材料の大部分を除去する1つ又は複数の大型回転工具を用いると共に、前後に並んで取り付けられる1組の非常に小型のモータを用いて真に最後の材料を除去して最終的な固定面を創出することが好ましい。これらのモータは、例えば各工具軸TD間に40mm以下の距離を置いて配置することができる。
【0092】
図19a〜19cに、本発明による、下から切り込む工具構成の例示的な実施形態の精密切削工具チップ93、94を示す。上表面層が非常に硬質の粒子又は大粒の粒子によって構成される場合は、工具チップが非常に大きい応力を受けうるため、特に例えば工具チップ94が図19bに示すように90度の角を有する場合には角が破損する。工具チップが90度より鋭利である可能性もある。工具チップの刃が破損すると、鈍くなった初期切れ刃(initial cutting edge)が創出され、この切れ刃が床板の最終的な縁部に係合しうる。これは、見返りとして、チッピングを創出しうる。
【0093】
この問題の解決策は、チップ93を図19aのようなくさび形にすることである。これにより、初期係合位置が最終的な縁部部分ではなくなり、その代わりに工具の回転につれて徐々に内方に移動していく。角欠けが起こった場合でも、フランジの残りの部分は依然として鋭利なままであり、フランジの係合点が回転時に内方に移動していくため、チッピングは削り取られて、鋭利な最終的な刃部分が得られる。
【0094】
図20a〜20fに、本発明によるコンビ工具68の例示的な実施形態とその位置を変更するとを示す。コンビ工具68は、軸、即ち自身の軸のまわりで回転して切削することにより作用する。コンビ工具の軸を異なる角度に傾けることにより、機械的固定システムの異なる切削面角度を創出することができる。軸の位置は、上表面層31に対して実質的に平行になる位置と回転ディスクの表面が固定面11の固定角LA1−LA2と等しくなるように配置される位置との間において変動させることができる。これは、切歯を調節して異なる工具角で固定面を型出しすることができることを意味する。90度の垂直な固定角と60度の固定角との2つの異なる例が図20a及び20dに示されている。図20c及び20fには、回転ディスク面の対応する工具角TAを調節して、これらの固定面を型出しする方法が示されている。固定要素側の工具設置ソリューションは、固定システムの形状によって若干変動しうる。
【0095】
図21a及び21bは、本発明による、下側チェーン70と上側ベルト又はチェーン70aと対向する縁部を成形する幾つかの工具構成とを含む、床パネルの対向する縁部に機械的固定システムを製作する装置の例示的な実施形態である。床パネル1は、自身の表側化粧面を下側チェーンに接触させて、下側チェーン70又は上側ベルト又はチェーン70aにより送り方向に移動させられる。下側チェーンは、下側案内装置70cにより垂直方向及び水平方向に案内される。上側ベルト又はチェーンは、上側案内装置70bにより水平方向に案内されると共に、床パネルを垂直方向に下側チェーンの方へと押圧するように構成される。案内装置70c及び70bは、2つの工具構成間における直線的な送り方向からの水平方向の逸脱が本質的に上側ベルト又はチェーンにおいては下側チェーンの対応する逸脱と等しいか又はそれより小さくなるように構成される。図21aは、1つ又は複数の上側ベルト70aにより送り方向に沿って主に直線的な水平方向に案内される床パネル1を示す。図21bは、同じ案内が上側チェーン70aによって行い得ることを示している。
【0096】
図22aは、一方の上側ベルト70aのみが水平案内装置70bを有する実施形態を示す。他方のベルト70a′は従来式のベルトである。図22bは、下側チェーン又はベルト70dと協働する上側チェーン70a又はベルトを従来式チェーン/ベルト装置間に設けて加工時にパネルを水平方向に案内し得ることを示している。
【0097】
水平方向の案内が実質的に上側チェーン又はベルトによって得られる製造装置の場合に、幾つかの利点が達成されうる。ベルト又はチェーンと接触する床パネルの裏側は、高摩擦を創出しうる表面を有して形成することができる。ベルト又は上側チェーンも高摩擦面を有することができる。このような表面は、裏側に多少のエンボシングを施されても、床パネルの品質にいかなる悪影響も及ぼすことなしに創出することができる。下側チェーンと接触する化粧側の表面構造とは無関係に、上側ベルト又はチェーンと床パネルとの間の非常に強い接続を得ることができる。この装置は更にまた、いかなる追加の案内溝も必要とされず、且つパネル又は固定システムの大きさが変更されても案内部品を別々に調節する必要がないという利点を提供する。床板の厚さの相違は、例えば可撓性チェーンプレートを有する上側チェーンにより補償することができる。チェーン又はベルト全体を垂直方向に取外し可能にすることもできる。
【0098】
図23aに、本発明による工具構成68の例示的な実施形態を示す。ここでは、この工具構成は、複数のまた他の削り取り部分の各々と固定システムが形成される床パネルの縁部とに対してある特定の位置において送り方向FDに沿って配置される複数の削り取り部分106a〜dを含む掻き取り装置機構68の例示的な実施形態である。この掻き取り工具構成68は、固定歯を有し、各歯105a〜dは、以下ではチップ106と呼びホルダ107a〜d上に取り付けられる削り取り部分106a〜d、例えば切削面を含む。一般的な歯105は、例えばねじ103を用いて固定具に固定される。好ましくは、例えば2〜8個以上の複数の歯、即ちチップホルダ107が同じ固定具100に固定されうる。歯を固定する例示的な方法は、固定具100上のバー102上に各歯を配置することによる。各固定具100は、固定具100全体を型出しラインに固定するために用いられるねじ穴101を有する。チップホルダ107a〜d上の各チップ106a〜dは、固定具100上において、連続する各チップ106が水平方向もしくは垂直方向又は水平方向と垂直方向との両方向に異なる位置を有するように配置される。この掻き取り工具構成を用いると、粉塵及び削屑は、例えば各チップにおける単純な集塵ノズルにより容易に処理される。
【0099】
同じ大きさを有する異なるチップホルダ105a〜dを固定具100に取り付ける方法を示す。チップ106a〜dは、これにより、チップ線を辿る。本発明によるまた他の例示的な実施形態は、歯を垂直方向及び/又は水平方向に偏倚させるものである。第1の歯105aは、例えば第2の「長め」の歯105bより「短め」の寸法を有するといった具合にすることができる。このようにすると、第1の歯105aは、除去対象の材料に当たる程度の「短さ」で材料の表面に切り込み、第2の歯105bは次にチップ106bから更に離れた次の材料層を除去しなければならず、よって「長め」であることが必要になる。このようにすると、固定具100上のチップは、横から見ると、「最短」の第1の歯105aを始点とすると共に「最長」の最後尾105dを終点とする漸増スロープを有することになる。
【0100】
図23bに、本発明に従って製作公差を解消する方法の例示的な実施形態を示す。ここには、一例として掻き取り工具構成68が示されている。即ち、掻き取り工具構成は送り方向の2つの対向する工具ステーションだけではなしに上側工具本体TB1に加えて下側工具本体TB2をも有すると共に、これらの工具本体が互いに近接する位置で作用して同じ段階で協働固定面19、11;12、18を加工し、公差が減じられるため、公差を解消しうる。どのような固定システムを製作するかによって、チップの形状が成形され、固定具上に歯をどのように配置するかは、材料の型出しを上から行なうか下から行なうかによる。
【0101】
当業者には、添付の特許請求の範囲に記載する本発明の範囲から逸脱することなしに、本発明に様々な改変及び変更を加えうることが理解されよう。
【図1a−1b】
【図2a−2c】
【図3a−3b】
【図4a−4c】
【図5a−5e】
【図6a−6c】
【図7a−7c】
【技術分野】
【0001】
[技術分野]
本発明は一般に床パネルの機械的固定の分野に関する。特に、本発明は床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する工具構成であって、床パネルの上表面層を予備加工する手段を含む工具構成と、このような工具構成の使用方法とに関する。更に、本発明は、上ベルト又はチェーンを案内すると共に床パネルを2つの工具構成間において案内する案内装置を用いて、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する装置に関する。
【0002】
[利用分野]
本発明は特に、耐摩耗性上表面層を有する、機械的固定システムを縁部に備えた浮き床、例えば高圧積層板又はダイレクトラミネートの表面層を有する貼り合せ床、鉱物粒により被覆された床板、木質繊維混入板等に用いるのに適する。従って、以下に記載の従来技術と公知のシステムの問題と本発明の目的及び特徴とは、非限定的な例として、主にこうした利用分野を対象として、長尺縁部の機械的固定システムの型出しを意図するものである。しかし、本発明は、耐摩耗性の上表面層を有すると共に機械的固定システムを手段として接合されることが意図されるあらゆる床パネル又は壁パネルに利用可能であることを強調しておきたい。例えば従来式の板張り床又は壁パネルが耐摩耗性粒子を含む摩耗層により被覆されている場合は、本発明を利用することができる。本発明は、長尺及び/又は短尺縁部、矩形パネル及び4つ以上の縁部を有するパネルの成形に用いることができる。
【0003】
[いくつかの用語の定義]
以下の本文では、設置された床パネルの見えている面を「表側」と呼び、床下地に面する床パネルの反対側を「裏側」と呼ぶ。「水平面」は、表側に平行な面に関連する。互いに接合された2枚の床パネルの2つの隣接する接合縁部の直接相接する上側部分は、水平面に対して垂直な「垂直面」を画成する。表側と裏側との間において床パネルの縁部に位置する床パネルの外側部分を「接合縁部」と呼ぶ。通例として、接合縁部は、垂直、水平、角形、丸形、面取り付き等である幾つかの「接合面」を有する。これらの接合面は、異なる材料、例えば積層板、ファイバーボード、木、プラスチック、金属(特にアルミ)又はシーリング材上にある。
【0004】
「固定」又は「固定システム」は、床パネルを垂直方向及び/又は水平方向に相互接続する協働接続手段を意味する。「機械的固定システム」は、固定が接着剤を用いずに行なわれうることを意味する。機械的固定システムは、多くの場合、接着剤により接合されることもある。
【0005】
「垂直固定」は、垂直面に対して平行に固定することを意味し、「水平固定」は、水平面に対して平行に固定することを意味する。
【0006】
「垂直固定面」は、隣接する縁部を垂直方向に固定する隣接する第2の縁部の実溝(tongue groove, さね溝)の上側及び下側協働実溝面(さね溝面)と協働する第1の縁部の実(tongue, さね)の上側及び下側協働実面(さね面)を意味する。
【0007】
「水平固定面」は、隣接する第1の縁部の本質的に垂直な上側実溝縁部及び固定溝と協働する第2の縁部の本質的に垂直な上側実溝縁部及び固定要素を意味し、これらの協働する水平固定面が隣接する縁部を水平に固定する。
【0008】
「固定溝側」は、水平固定部の一部分が開口部を裏側に向けた固定溝によって構成される床パネル側を意味する。「固定要素側」は、水平固定部の一部分が固定溝と協働する固定要素によって構成される床パネル側を意味する。
【0009】
「固定角」は、水平面に対する水平固定部の固定面の角度を意味する。固定面が湾曲している場合は、固定角は、その湾曲に対する、最大の角度を有する接線である。
【0010】
「工具角」は、工具がその上で回転する平面の角度を意味する。
【0011】
「表面化粧層」は、主に床に装飾的外観を与えることを意図された表面層を意味する。「耐摩耗性表面層」は、主に表側の耐久性を高めるようになされた高研摩性表面層に関連する。このことから、「耐摩耗性表面化粧層」は、床に装飾的外観を与えることと表側の耐久性を高めることとを意図された層であると結論付けられる。表面層は心材に施される。
【0012】
「表面層の畝状部」は、接合縁部に隣接する床パネル部分上の表面層部分であって、接合縁部に沿って続く表面層部分に関連する。
【0013】
[背景技術、従来技術及び課題]
本発明の理解及び説明と本発明の背景をなす問題の認識とを容易にするために、以下に、添付図面の図1〜6を参照して、床パネルの基本的な構造と機能との両方を説明する。この基本的な構造及び機能は、本発明においても全面的又は部分的に用いられる。
【0014】
機械的固定システムは、垂直固定用の実及び実溝と、水平固定用の固定要素及び固定溝とを含む。機械的固定システムは、垂直固定用の2対と水平固定用の2対との少なくとも4対の有効協働固定面を有する。固定システムは幾つかのその他の面を含み、これらの面は一般に互いに接触せず、従って協働固定面よりかなり大きい公差を有して製作されうる。
【0015】
貼り合せフローリングは通常、6〜9mmのファイバーボードによって構成される心材と、0.20mmの厚さの上側表面層と下側平衡層とにより構成される。表面層は、床パネルに見栄えと耐久性とを与える。心材は安定性を与え、平衡層は、1年の間に相対湿度(RH)が変動してもボードを水平に保つ。
【0016】
機械的固定システムは一般にボードの心材を機械加工することによって形成される。このような機械加工は、高品質を確保するために非常に厳密でなければならない。特に、協働垂直及び水平固定面を高い精度で成形して、容易な設置と隣接縁部間の厳密な嵌合とを確保することが重要である。
【0017】
図1aに、傾斜させて固定され、市場で広く用いられている、従来技術に従った機械的固定システム(ストリップロック)を示す。このような固定システムは、垂直方向又は水平方向のスナップ動作により固定されるようにも設計されうる。床パネルの縦断面図に、床パネル1′の長尺側4aの一部分と隣接する床パネル1の長尺側4bの一部分とが示されている。床パネル1、1′の本体は、ファイバーボード本体又は心材30によって構成され得、この本体がここでは自身の表側において耐摩耗性の表面化粧層31を、そして自身の裏側(裏面)において平衡層32を支持する。固定システムは、上側43及び下側46実溝面と協働する上側53及び下側56実面によりパネルを垂直方向D1に固定する実10と実溝9とを有する。ストリップ6は、床パネルの本体と平衡層とによって形成され、固定要素側1の固定要素8を支持する。従って、ストリップ6と固定要素8とは、ある意味では、実溝46の下側部分の延長部を構成する。ストリップ6上に形成される固定要素8は、隣接する床パネル1′の対向する固定溝側の固定溝14の固定溝作用面12と協働する固定要素作用面11を有する。水平固定作用面11、12間の係合により、パネルが離れる方向に引っ張られる場合に、床パネル1、1′の接合縁部を横断する方向(方向D2)の水平固定が得られる。固定面11、12の固定角Aは、この図示された実施形態では90度であり、これが非常に強い水平固定をもたらす。固定システムは、例えば45〜60度のその他の固定角を有して形成されてもよい。一部の固定システムは、例えば30度の非常に小さい固定角を有する。小さい固定角は、非常に小さい固定システムの製作と材料の節約とを可能にする。しかし、このようなシステムの固定強さは、非常に低い。固定要素側1の上側部分は第1の上側縁部19を含み、固定溝側1′の上側部分は第2の上側縁部18を含み、これらの縁部はパネルが互いに押し付けられる場合に水平移動を防ぐ。
【0018】
図1bに、酸化アルミニウムの耐摩耗性粒子36を有する透明な表張り33と、表面に装飾性を与えるプリント34を有する化粧紙層35とによって構成される積層板表面層を示す。ほとんどの場合は木調であるプリントは、一般に、直線的且つ垂直な上側縁部を有する床パネルでは見えない白色素地層を有する。一部の床パネルは、塗料又は装飾テープにより覆われる装飾的面取り部31aを備える。表張り31bの一部分を小さい面取り部として加工して、縁部をよりソフトにし、工具が鋭利でない場合に生じうる縁部のチッピングを除去しうることも公知である。こうした表張りの加工は、表面層と上側縁部の加工後に最終段階として研摩作業と同様の加工処理を用いて行なわれる。
【0019】
固定システム(さねはぎ式ロック)は更にまた、図2aに示すように、ストリップ6を有さずに形成されうる。固定要素8は、この実施形態では、実10上に配置され、固定溝14は、実溝9内においてアンダーカットとして形成される。
【0020】
固定システムは更にまた、固定時に移動されることができる可撓性実10aを有して形成されうる(折込式ロック(fold lock))。図2bに示されるような固定システムは、垂直移動D1により固定されうる。
【0021】
固定システム(フック式ロック)は更にまた、水平方向D2にのみ固定するために、図2cに示すように実を有さずに形成されうる。このような固定システムは、幅狭の床パネルの短尺側に用いられる。垂直固定は隣接するパネルの長尺側により達成される。
【0022】
パネルを水平方向に固定するために用いられるこれらの公知の全ての固定システムは、適正に作用するために厳密な態様で互いに合致しなければならない2対の協働面18、19及び11、12を有する。
【0023】
図3a(側面図)及び3b(平面図)に、固定システムを製作するために最もよく用いられる方法と、こうした製作に関連する主要な問題とを示す。固定システムは、床パネルの表面31を下方に向けて形成される。床パネル1、1′がチェーン70により水平方向に直線的な送り方向に移動する時に、幾つかの回転工具構成60を用いて縁部が型出しされる。押圧ホイール70bにより支持されるベルト70aを用いて、チェーンに対して垂直な圧力が創出される。ベルトは、送り方向に対して垂直な水平D2方向に安定性を有さない。床パネルの垂直D1及び水平位置D2は、回転工具構成に対して高精度で移動するチェーンによって得られる。床パネルの表面層は摩擦によりチェーンに固着される。
【0024】
図4aに、1本のチェーン70を含む型出し装置を用いて製作される床パネルが示されており、押圧ホイール70bにより支持される1本のベルト70aはチェーンに対して垂直方向の圧力を創出する。図4bは、完璧な機械加工により、理論的に略完全に平行をなす非常に精密な溝14と固定要素8と上側縁部18、19とが形成されることを示す図である。製作公差は±0.02mmもの低さとなりうる。しかし、実際には、このような公差を達成することは非常に困難である。その理由は、チェーンと床面との間における摩擦が不十分であり、床パネルが製作時に送り方向に対して垂直な水平方向に移動又は転向する(以下では水平方向の転向と呼ぶ)ためである。特にベルトとチェーンとが平行でない場合は、ベルトとチェーンと更にまた使用される工具と圧力シュー(図示せず)とが床パネルに対して無制御の水平方向の側圧を創出し、固定システムの上記の部分が図4cに示すように完全に平行には形成されなくなる。パネルの1つの部分における床パネルの上側部分18、19と固定面11、12との間の距離L1、L2が、同じパネルの別の部分における対応する距離L3、L4より例えば0.1〜0.2mmだけ小さくなりうる。 固定がきつくなりすぎるか又は緩くなりすぎる可能性がある。実10及び実溝9も水平方向に変動しうる。しかし、固定システムは、実の先端と溝の内側部分との間に間隙を有して形成され、こうした間隙を用いて上記の製作公差が補償されるため、図1aに示すような公差10′、9′はいかなる問題も引き起こさない。
【0025】
水平方向の転向に関連ある問題を解決するために、幾つかの方法が用いられてきた。最もよく用いられる方法は、チェーンの案内を向上させることにより型出し装置をより安定化させるものである。チェーンと床パネルとの間において高い摩擦を維持するためにクリーナ装置を用いチェーンも清浄化されている。水平方向の転向を防ぐために、パネルの裏側の特殊な溝と協働するスチールルーラー(steal ruler)等の、図4aに示すような特殊な案内装置GDが用いられてきた。このようなルーラーと溝とは調節困難であり、製作時に摩耗と熱とを創出すると共に、平衡層が溝により分離されると安定性の問題を創出しうる。
【0026】
しかし、型出し装置を改良するためにこうした努力を重ねても、問題は解決されなかった。逆に、水平方向の移動の問題は年を追って増加した。1つの理由は、生産速度が増加し、そのことがより強い側圧を創出するためである。より小さい寸法、深い表面エンボス加工及び光沢のある表面を有する床パネルが開発され、これがチェーンと床表面との摩擦を低下させると共に、無制御の水平方向の大幅な転向の危険性を高めている。
【0027】
導入されたその他の方法も水平方向の転向を軽減するために工具設計と工具位置とを用いるという原理に基づくものである。これを図5及び6に示す。
【0028】
図5a〜5eに、耐摩耗性上表面層を有する床パネルを製作する従来式の工具設置ソリューションを示す。床パネルは、縁部の型出し時に矢印の送り方向FDに移動する。型出しラインの第1段階が図5aに、そして最終段階が図5eに示されている。床パネル1、1′の断面は、図ではフライス盤の玉軸受チェーン70上において上表面層31を下にして配置されている。従来式の加工設備により、ボード1、1′は、複数の独立回転する切削工具構成を通って高精度で搬送される。切削工具は一般に約200〜250mmの工具直径を有し、ボードの水平面HPに対して任意の工具角TAに設定されうる。工具は幾つかの柱の両側に取り付けられる。図3a及び3bに示すように、工具間距離TDは約0.5mであり、柱間距離CDは約1mである。各工具60〜64、60′〜63′は、専ら接合縁部の限られた部分を除去するために用いられ、最終的な接合面を成形するものもある。幾つかの工具は、床パネル1、1′の送り方向FDに型出しラインの両側に沿って配置される。このようにするのは、十分な製作公差を得るためである。通例として、工具の個数が増えると、各工具により除去される材料の量が少なくなると共に、各工具が創出する、床パネルを無制御の態様で移動させうる力が小さくなるため、製作公差の向上がもたらされる。通常の製作モードは、4〜6対の対向する工具を長尺側を切削加工する第1の機械において使用し、続いて同様の機械がパネル上に短尺側の固定システムを切削加工するというものである。
【0029】
水平固定面18、19、11、12は、4つの独立した工具62、62′及び63、63′を用いて加工される。各側の第3(図5c)及び第4(図5d)の工具ステーション間における水平方向の転向は、図4cに示すように平行ではない水平固定面18、19、11、12を創出する。
【0030】
従来、床パネルにおいて機械的固定システムを製作する場合は、図5aに示すような荒削り工具60、60′又は図5cに示すような精密切削工具62、62′が、1つの独立した出し位置において床パネル1、1′の送り方向FDの片側と反対側とに対向する対として配置される。対をなす工具の一方が固定要素側1を加工し、他方の工具は固定溝側1′を加工する。荒削り工具60、60′は耐摩耗性表面層の大部分の高研摩性材料を除去して、耐摩耗性表面層の切削も行なう工具62、62′を除く後続の工具の寿命と切削品質とを向上させる。工具の切れ刃はダイヤモンドによって構成されるが、たとえそうであっても、こうした工具の運転時間は限られており、高研摩性の上層を切削加工する場合は通常5000〜20000メートル以下である。このため、表面層を切削加工する工具、即ち図5aに示すような荒削り工具60、60′及び図5cに示すような精密切削工具62、62′は、製作時に段階的に切れ刃に対して平行に移動Mさせて真新しい工具切れ刃を切削加工位置に配置することができる直線状の切れ刃を有して構成される。
【0031】
このような水平工具角TAでの水平回転と段階的な垂直方向の調節Mとが図6a〜6cに示されている。図6aは、床パネル1の上表面層31を成形する精密切削工具62のチップ除去面71の図である。ボードが耐摩耗性上表面層を有する場合には、精密切削工具は、ボードの心材、例えば高密度繊維板(HDF)を切削加工する場合と比べてはるかに急速に摩り減ってしまう。その結果として、工具62上において図6bに示すような切削面の摩損部分72が生じて、これがパネルの上縁部分のいわゆるチッピング73を引き起こし、即ち小さな欠けが生じ、縁部が粗くなると共にプリントの素地の小さい白色部分が見えてしまいかねない。図6cに、精密切削工具62を垂直方向Mに1ミリメートルの十分の幾らかずつ小刻みに移動させて、工具62の真新しい切れ刃部分71が上表面31に当接して正位置に配置されるようにする方法を示す。同様の原理が荒削り工具に用いられ、機械を運転しながら工具の段階的な移動を行なってライン運転時間の損失が防がれる。
【0032】
図5aの荒削り工具60、60′は一般に垂直面VPから且つ最終的な上側縁部18、19から約0.5mmの距離EDを置いて配置される。後続の全ての工具は、精密切削工具62、62′を除いて、特にこれらの工具を段階的に移動させることはできないため、耐摩耗性表面層31に切り込む危険性を回避すると共に、以って工具が急速に摩耗するのを防ぐために、いずれも自身の切歯が上側縁部の表面層に対して安全な距離に保たれるように設計される。
【0033】
型出し機の内側における水平方向の転向は、大体において工具がパネルに対して無制御の側圧を創出することに関連する。このような側圧は、工具が異なる工具角、異なる回転数(送り方向又は送り方向とは逆の方向)で作用する場合又は異なる量の材料又は異なる組成の材料(心材、表面層)を除去する場合に生じうる。
【0034】
幾つかの理由により第1及び最終の切削加工位置ではその他の工具位置と比べてボード1、1′は一般に不安定であり、水平方向の転向の危険性が高い。例えば、ボードは限られた長さにわたってチェーンとベルトとによって把持されるだけであり、入口/出口の装置がボードを軽く押しうる。
【0035】
従って、協働水平固定面11、12、18、19の加工は、一般に中間の工具位置において互いに関連して配置される。これらの面は、図5cの精密切削工具62、62′と図5dの固定溝切削工具63′と固定要素切削工具63とによって成形される。図5cの精密切削工具62、62′は一般に常に、図5bに示す実及び実溝を成形する工具の後に配置される。これは、精密切削工具が材料の除去を開始する時点で材料の大部分がすでに前の工具60、60′、61、61′により除去されているため、大きな利点となる。精密切削工具62、62′は、非常に限られた量の心材材料と耐摩耗性表面層31の最後の部分とを除去するだけでよい。このことは、切削力と床パネルに対する水平方向の圧力とを低下させることにより、厳密な加工公差を得ることを可能にする。
【0036】
荒削り工具60、60′と精密切削工具62、62′とは、上述したように、常に両者間に幾つかの工具位置を挟んで分離される。このことが、荒削り工具60、60′と精密切削工具62、62′との間において実質的な無制御の水平方向の転向を引き起こし、こうした転向は約0.2mmになりうる。従って、縁部の欠け、化粧紙の目に見える白線及び心材の露出等の品質問題を防ぐために、荒削り工具は最終表面縁部から一般に少なくとも0.5mmの安全距離に配置されなければならない。
【0037】
固定溝14及び固定要素8の固定面は、固定角LAと等しいか又はそれより大きい工具角TAを有する回転工具構成63、63′を用いて成形される。固定角Aを有する固定面を成形する回転工具構成は、固定角Aより小さい工具角TAで作用することができない。これは、固定システムの設計及び製作において考慮されなければならない重要な制約事項である。
【0038】
図5b及び5dの水平及び垂直固定用工具61、61′、63、63′はいずれも、同じ軸上に取り付けられる2つの互いに調節可能な工具本体TB1及びTB2によって構成される回転工具構成の例である。このような工具を以下ではコンビ工具と呼ぶ。これらのコンビ工具は、相互間に固定相対距離を有する2つの対向する切削面によって構成される形状、例えば溝を成形する場合に必要とされる。工具を研ぐと、工具の材料の一部が除去され、対向縁部間の相対距離が変化する。従って、2つの本体は、過大な寸法に調節され、然る後に正しい相対寸法に研ぎ出されうる。これらのコンビ工具の好ましい効果は、同じ位置で同じ工具を用いて型出しするため、2つの工具本体によって成形される2つの型出し面間の精度が非常に正確になることである。このようなコンビ工具61、61′を用いて、図5bに示すような実の1対の垂直固定面間における公差を向上させることができる。しかし、コンビ工具は、1対の水平固定面の製作には用いられない。
【0039】
1つの理由は、固定溝側の上側縁部が、図5c及び5dに示すような固定溝内の固定面を成形する工具本体63′の工具角とは異なる工具角を有する工具本体62′を用いて成形されなければならないためである。コンビ工具の工具本体は、同じ軸に固定されるため、常に同じ工具角で作用する。また他の理由は、上側縁部を成形する一方の工具本体62は水平に作用しなければならず、且つ段階的に垂直方向に調節可能でなければならないためである。このような調節は、固定要素の固定面を成形するために用いられるその他の工具本体TB1及びTB2の位置も変化させるため、コンビ工具63、63′を段階的に垂直方向に調節することはできない。従って、2つの工具本体を同じ軸上に有するコンビ工具は、2つの大きな制約事項を有する。いずれの工具本体TB1、TB2も同じ工具角で作用しなければならず、また同時に同じ方向に移動させなければならない。
【0040】
機械的固定システムを加工する際の主要な問題は、総製作費を別にすれば、十分な製作公差を得ること、即ち適正な形状の接合部を得ること及びそれを費用効果的な製作モードで行なうことである。従って、床パネルの製造において、水平固定公差を更に大幅に低い水準に、より費用効果的且つ容易な方法で減少させることが大いに望ましい。
【0041】
[発明の概要及び目的]
本発明の主要な目的は、機械的固定システムの加工時、特に水平固定を達成するために用いられる機械的固定システム部分の加工時における床パネルの水平方向の転向(回転)に関連ある問題の解決策を提供することにある。
【0042】
特定の目的は、床パネル、特に貼り合せフローリングと同様の耐摩耗性上表面層を有する床パネルの製作時における水平方向の転向を阻止又は解消すること及び/又はこのような水平方向の転向の悪影響を減少させることにある。
【0043】
本発明の1つの例示的な実施形態のまた他の目的は、工具交換を少なくすることによって型出しラインのダウン時間を減少させて工具運転時間を増やすことにより製作費を低く保つことにある。
【0044】
水平固定面を成形する工具を組み合わせて、2つの対向する柱側を有する1本の柱の同じ側の1つの工具構成にする製作方法を基本とする第1の原理により、目的が達成され、且つ問題が解決された。これにより、この工具構成では工具間における実質的に全ての水平方向の転向(回転)を解消することができる。しかし、この種の加工は、耐摩耗性表面層を成形する工具に多大な摩耗を生じしめ、製作中の段階的な調節によってこうした工具の寿命を延ばすことができない。このため、第1の上側縁部において床パネルの耐摩耗性上表面層の少なくとも一部分を予備加工して、表面層の特性を変化させるようにする予備加工段階が導入される。
【0045】
問題は、少なくとも固定要素側の組合せ工具セットは、同じ工具軸を互いに個別に調節することができる少なくとも2つの工具本体を駆動する回転工具構成である第2の原理により解決された。このような回転工具構成は、実質的に垂直な工具角で、又は少なくとも固定面の固定角と等しいか又はそれより大きい工具角でのみ作用しうる。しかし、この種の加工は、耐摩耗性表面層を成形する工具に多大な摩耗を生じしめ、製作中の段階的な調節によってこうした工具の寿命を延ばすことができない。その代わりに、表面層の特性を変化させる予備加工段階が導入される。
【0046】
従って、問題は、表面層の中間予備加工段階を行なった後に水平固定面を成形する第3の原理により解決された。材料を除去するか又は材料特性を変化させるこうした中間予備加工は、幾つかの方法を用いて、そして更には上表面層の最終的な縁部に非常に接近し、精密切削工具に近接する位置に配置される従来の荒削り工具を用いて行なうことができる。しかし、中間予備加工は、好ましくは、耐摩耗表面層の一部分として垂直面を超えて内方に形成される畝状部が除去されるように行なわれる。この特殊な種類の中間予備加工により、本質的に垂直方向に作用する回転工具構成の多大な摩耗を防ぐと共に、中間予備加工用工具と回転工具構成との間における水平方向の転向(回転)を防ぐことが可能になる。
【0047】
これらの3つの全ての原理を個別に用いて、機械的固定システムの加工を向上させることができる。しかし、最良の結果は、これらの原理を組み合わせた場合に達成される。
【0048】
本発明の第1の態様に従って、第1の縁部において第1の工具構成を用いて、床パネルの対向縁部において機械的固定システムを製作する方法を提供する。床パネルは、耐摩耗性上表面層と、心材と、当該パネルを同様の他のパネルと水平方向に固定するための第1及び第2の縁部上の機械的固定システムとを有する。機械的固定システムは、パネルの第1の縁部における第1対の固定面と、反対側の第2の縁部における第2対の固定面とを含む。第1対の固定面は、第1の上側縁部と固定要素とを含む。第2対の固定面は、第2の上側縁部と固定溝とを含む。床パネルは、自身の第1の縁部を第1の工具構成に相対させて送り方向に移動させられる。第1の工具構成は、2つの対向する柱側を有する1本の柱の同じ側に配置される第1及び第2の工具本体を含む。この方法は、
・第1の上側縁部において床パネルの耐摩耗性上表面層の少なくとも一部分を予備加工して、表面層の特性を変化させるようにする段階と、
・第1及び第2の工具本体により、第1対の固定面の少なくとも一部分を成形する段階と、を含む。
【0049】
この方法は、2つの工具本体を1本の柱の同じ側に有する工具構成を用いるため、固定溝側における公差の本質的な向上をもたらす。固定溝側又は溝側の対状固定面の少なくとも一方も同時にパネルの反対側の同じ種類の工具によって成形される場合は、更なる向上が達成されうる。
【0050】
従って、第1の態様の例示的な実施形態は、第1の工具構成を第1の縁部に、そして第2の工具構成を第2の反対側縁部に用いて、床パネルの対向する縁部に機械的固定システムを製作する方法を提供するものである。床パネルは、耐摩耗性上表面層と、心材と、パネルを同様のその他のパネルと水平方向に固定するための第1及び第2の縁部上の機械的固定システムとを有する。機械的固定システムは、第1の縁部における第1対の固定面と反対側の第2の縁部における第2対の固定面とを含む。第1対の固定面は、第1の上側縁部と固定要素とを含む。第2対の固定面は、第2の上側縁部と固定溝とを含む。床パネルは、自身の第1の縁部を第1の工具構成に相対させ、そして自身の第2の縁部を第2の工具構成に相対させて送り方向に移動させられる。第1及び第2の工具構成は、各柱が2つの対向する柱側を有する1本の柱の同じ側で床パネルに係合する第1及び第2の両工具本体を含む。この方法は、
・第2の工具構成により第2対の固定面の少なくとも一方の面の少なくとも一部分を成形する段階を含む。この段階を、この成形段階に先立って行なわれる下記の段階と組み合わせることもできる:
・第2の上側縁部において床パネルの耐摩耗性上表面層の少なくとも一部分を予備加工して、表面層の特性を変化させるようにする段階。
【0051】
第1及び第2の工具構成は、好ましくは、送り方向に対して横切る方向に互いに本質的に対向して配置されることとする。工具構成は、好ましくは、チェーンの同じ側の柱間の平均距離より大きく送り方向に沿って移動(変位)しないこととする。ただし、最良の結果は、工具構成が送り方向に対して垂直に互いに完全に対向して配置される場合に得られ、これは第1及び第2の縁部の固定面の成形が同時に開始し且つ終了することを意味する。
【0052】
この第1の態様は、2つの理由によって、製作時における床パネルの転向が協働水平固定面間の相対距離を変化させることはないという利点をもたらす。第1に、これらの固定面は、1本の柱の同じ側において送り方向に互いに接近して又は好ましくは同じ位置に配置される第1及び第2の工具本体により成形され、これによって工具本体間における転向は解消される。第2に、第1及び第2の工具構成も送り方向に対して横切る方向に本質的に互いに対向して配置され、これによって工具構成間における転向が解消される。中間予備加工段階であると共に第1の工具構成及び/又は第2の工具構成に近接して行なわれる第2の予備加工段階は、回転工具構成を相当な寿命で使用することを可能にする。
【0053】
第2の予備加工用工具と回転工具構成との間における水平方向の転向は0.05mm以下もの微小となり、これにより、第2の予備加工用工具を用いて、例えば第1の予備加工用工具の後に残る0.5mmの表面を除去すればよくなるため、いかなる品質問題も生じることなしにほぼ全ての耐摩耗層を除去することが可能になる。こうした工具により垂直面の内側の表張りの一部分を除去することもできる。
【0054】
第1の態様の例示的な実施形態によれば、この方法は更にまた、
・中間段階において耐摩耗性上表面層の畝状部の一部分を除去する段階を含む。
【0055】
このような予備加工は、回転工具構成の寿命を大幅に延ばす。寿命は、従来の製作方法を用いる従来の工具の場合より本質的に長くなりうる。
【0056】
畝状部は、従来の回転工具、又は工具本体上において送り方向に沿って配置される幾つかの歯を含む非回転掻き取り工具構成を用いることにより除去されうる。
【0057】
水平方向の転向に関連ある製作公差は、1本の柱の片側において互いに可能な限り接近して互いに上下又は前後に並んで配置される工具本体を用いて第1及び/又は第2対の水平面が成形される場合にも減じることができる。工具本体は、2つの回転工具構成又は2つの掻き取り工具構成、或いは1つの回転工具構成と1つの掻き取り工具構成とを含むことができる。
【0058】
本発明の第2の態様によれば、床パネルに機械的固定システムを製作する工具構成が用いられる。床パネルは、耐摩耗性表面層と、心材と、床パネルを同様のその他のパネルと水平方向に固定するための第1及び第2の縁部上の機械的固定システムとを有する。更に、機械固定システムは、パネルの第1の縁部における第1対の固定面と、反対側の第2の縁部における第2対の固定面とを含み、第1対の固定面は第1の上側縁部と固定要素とを含み、第2対の固定面は第2の上側縁部と固定溝とを含む。工具構成は第1の工具構成68を含み、この第1の工具構成は第1及び第2の工具本体を含む。第1の工具構成は、2つの対向する柱側を有する1本の柱の同じ側に配置される。この工具構成は、第1の上側縁部において床パネルの耐摩耗性上表面層の少なくとも一部分を予備加工して、表面層の特性を変化させるようにする手段を含む。第1及び第2の工具本体は、第1対の固定面の少なくとも一部分を成形する手段を含む。水平方向の転向は、本質的に下側チェーンが本質的に床パネルの垂直方向の案内のためだけに用いられる製作方法及び装置によっても阻止されうる。水平方向の案内は、公知の方法とは対照的に、上側ベルト又はチェーンによって達成される。
【0059】
本発明の第3の態様に従って、床パネルの対向する縁部に機械的固定システムを製作する装置であって、下側チェーンと上側ベルト又はチェーンと対向する縁部を成形する幾つかの工具構成とを含む装置を提供する。床パネルは、下側チェーン又は上側ベルト又はチェーンにより、自身の表側化粧面を下側チェーンに接触させて送り方向に移動させられる。下側チェーンは、下側案内装置により垂直方向及び水平方向に案内される。上側ベルト又はチェーンは、上側案内装置により水平方向に案内されると共に、床パネルを垂直方向に下側チェーンの方へと押圧するように構成される。案内装置は、2つの工具構成間における直線的な送り方向からの水平方向の転向が、上側ベルト又はチェーンにおいて下側チェーンの対応する転向と本質的に等しいか又はそれより小さくなるように構成される。
【0060】
水平方向の案内が本質的に上側チェーン又はベルトによって得られる製作装置により、いくつかの利点が達成されうる。ベルト又はチェーンと接触する床パネルの裏側は、高摩擦を創出しうる表面を有して形成されうる。ベルト又は上側チェーンも高摩擦面を有しうる。このような表面は、裏側に多少のエンボシングを施されても、床パネルの品質にいかなる悪影響も及ぼすことなしに創出されうる。上側ベルト又はチェーンと床パネルとの間の非常に強い結合が、下側チェーンと接触する化粧面側の表面構造とは無関係に得られうる。この装置は更にまた、いかなる追加の案内溝も必要とされず、且つパネル又は固定システムの大きさが変更されても案内部品を別々に調節する必要がないという利点も提供する。
【0061】
第1、第2及び第3の態様を単独で又は組み合わせて用いて、製作時における床パネルの水平方向の転向を阻止又は解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1a】従来技術において公知の機械的固定システムを示す床パネルの断面図及び表面層の拡大図である。
【図1b】従来技術において公知の機械的固定システムを示す床パネルの断面図及び表面層の拡大図である。
【図2a】従来技術において公知の様々な種類の機械的固定システムを示す図である。
【図2b】従来技術において公知の様々な種類の機械的固定システムを示す図である。
【図2c】従来技術において公知の様々な種類の機械的固定システムを示す図である。
【図3a】従来技術において公知の、耐摩耗性上表面層を有する床パネルを製作する従来式型出しラインの側面図及び上面図である。
【図3b】従来技術において公知の、耐摩耗性上表面層を有する床パネルを製作する従来式型出しラインの側面図及び上面図である。
【図4a】従来技術において公知の床パネルの短尺側と従来式型出し装置との側断面図と、加工後の床パネルの全体上面図及び短尺側の側面図とである。
【図4b】従来技術において公知の床パネルの短尺側と従来式型出し装置との側断面図と、加工後の床パネルの全体上面図及び短尺側の側面図とである。
【図4c】従来技術において公知の床パネルの短尺側と従来式型出し装置との側断面図と、加工後の床パネルの全体上面図及び短尺側の側面図とである。
【図5a】従来技術において公知の、床パネルに機械的固定システムを製作する製造段階を示す図である。
【図5b】従来技術において公知の、床パネルに機械的固定システムを製作する製造段階を示す図である。
【図5c】従来技術において公知の、床パネルに機械的固定システムを製作する製造段階を示す図である。
【図5d】従来技術において公知の、床パネルに機械的固定システムを製作する製造段階を示す図である。
【図5e】従来技術において公知の、床パネルに機械的固定システムを製作する製造段階を示す図である。
【図6a】従来技術において公知の、工具の運転時間を延ばすための段階的な移動を示す、貼り合せ層を切削する工具の断面図である。
【図6b】従来技術において公知の、工具の運転時間を延ばすための段階的な移動を示す、貼り合せ層を切削する工具の断面図である。
【図6c】従来技術において公知の、工具の運転時間を延ばすための段階的な移動を示す、貼り合せ層を切削する工具の断面図である。
【図7a】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図7b】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図7c】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図8a】本発明による、図7a〜7cに示す工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側面図及び上面図を示す、様々な型出しラインの部分の側面図及び上面図である。
【図8b】本発明による、図7a〜7cに示す工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側面図及び上面図を示す、様々な型出しラインの部分の側面図及び上面図である。
【図8c】本発明による、図7a〜7cに示す工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側面図及び上面図を示す、様々な型出しラインの部分の側面図及び上面図である。
【図9a】本発明による予備加工段階の例示的な実施形態の断面図である。
【図9b】本発明による予備加工段階の例示的な実施形態の断面図である。
【図9c】本発明による予備加工段階の例示的な実施形態の断面図である。
【図9d】本発明による予備加工段階の例示的な実施形態の断面図である。
【図10a】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図10b】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図10c】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図10d】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図10e】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図11a】本発明に従って改良された製造段階の例示的な実施形態により製作される床パネルの全体を示す側面図及び上面図である。
【図11b】本発明に従って改良された製造段階の例示的な実施形態により製作される床パネルの全体を示す側面図及び上面図である。
【図11c】本発明に従って改良された製造段階の例示的な実施形態により製作される床パネルの全体を示す側面図及び上面図である。
【図12a】本発明によるコンビ工具設置ソリューションの背景をなすメカニズムを説明する床パネルの溝側の側断面図及びコンビ工具設置ソリューションの旋回方向を説明する側断面図である。
【図12b】本発明によるコンビ工具設置ソリューションの背景をなすメカニズムを説明する床パネルの溝側の側断面図及びコンビ工具設置ソリューションの旋回方向を説明する側断面図である。
【図12c】本発明によるコンビ工具設置ソリューションの背景をなすメカニズムを説明する床パネルの溝側の側断面図及びコンビ工具設置ソリューションの旋回方向を説明する側断面図である。
【図12d】本発明によるコンビ工具設置ソリューションの背景をなすメカニズムを説明する床パネルの溝側の側断面図及びコンビ工具設置ソリューションの旋回方向を説明する側断面図である。
【図12e】本発明によるコンビ工具設置ソリューションの背景をなすメカニズムを説明する床パネルの溝側の側断面図及びコンビ工具設置ソリューションの旋回方向を説明する側断面図である。
【図13a】本発明による予備加工段階を取り入れた工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側面図及び上面図である。
【図13b】本発明による予備加工段階を取り入れた工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側面図及び上面図である。
【図14a】本発明による工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側断面図である。
【図14b】本発明による工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側断面図である。
【図14c】本発明による工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側断面図である。
【図14d】本発明による工具設置ソリューションの例示的な実施形態の側断面図である。
【図15a】本発明による予備加工段階の例示的な実施形態の側断面図である。
【図15b】本発明による予備加工段階の例示的な実施形態の側断面図である。
【図15c】本発明による予備加工段階の例示的な実施形態の側断面図である。
【図16a】本発明による工具設置ソリューションの例示的な実施形態により製作可能になる様々な設計の機械的固定システムの側断面図である。
【図16b】本発明による工具設置ソリューションの例示的な実施形態により製作可能になる様々な設計の機械的固定システムの側断面図である。
【図16c】本発明による工具設置ソリューションの例示的な実施形態により製作可能になる様々な設計の機械的固定システムの側断面図である。
【図16d】本発明による工具設置ソリューションの例示的な実施形態により製作可能になる様々な設計の機械的固定システムの側断面図である。
【図17a】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図17b】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図17c】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図17d】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図17e】本発明による、床パネルを機械的に固定する改良型固定システムを製作する方法の例示的な実施形態を取り入れた製造段階を示す断面図である。
【図18a】本発明による、コンビ工具に代わる選択肢の工具設置ソリューションであって、予備加工段階を取り入れた工具設置ソリューションの例示的な実施形態を示す側面図である。
【図18b】本発明による、コンビ工具に代わる選択肢の工具設置ソリューションであって、予備加工段階を取り入れた工具設置ソリューションの例示的な実施形態を示す側面図である。
【図19a】本発明によるコンビ工具とその切削面の断面図である。
【図19b】本発明によるコンビ工具とその切削面の断面図である。
【図19c】本発明によるコンビ工具とその切削面の断面図である。
【図20a】本発明によるコンビ工具と位置変更方法との例示的な実施形態を示す断面図である。
【図20b】本発明によるコンビ工具と位置変更方法との例示的な実施形態を示す断面図である。
【図20c】本発明によるコンビ工具と位置変更方法との例示的な実施形態を示す断面図である。
【図20d】本発明によるコンビ工具と位置変更方法との例示的な実施形態を示す断面図である。
【図20e】本発明によるコンビ工具と位置変更方法との例示的な実施形態を示す断面図である。
【図20f】本発明によるコンビ工具と位置変更方法との例示的な実施形態を示す断面図である。
【図21a】床パネルの短尺側と、床パネルの対向する縁部に改良型機械的固定システムを製作する装置の例示的な実施形態とを示す側断面図である。
【図21b】床パネルの短尺側と、床パネルの対向する縁部に改良型機械的固定システムを製作する装置の例示的な実施形態とを示す側断面図である。
【図22a】床パネルの短尺側と、床パネルの対向する縁部に機械的固定システムを製作する装置の例示的な実施形態とを示す側断面図である。
【図22b】床パネルの短尺側と、床パネルの対向する縁部に機械的固定システムを製作する装置の例示的な実施形態とを示す側断面図である。
【図23a】本発明による、コンビ工具に代わる掻き取り工具構成の例示的な実施形態を示す図である。
【図23b】本発明による、コンビ工具に代わる掻き取り工具構成の例示的な実施形態を示す図である。
【0063】
[実施形態の詳細な説明]
図7a〜7cは、本発明による、床パネルに改良型機械的固定システムを製作する工具設置ソリューションの例示的な実施形態を示す型出しラインの図である。固定要素側1の水平固定面は、第1段階において、図7aに示す垂直面VPに隣接する心材と表面との大部分を除去する予備切削装置60により予備加工される。従来の型出しでは、予備切削装置60を垂直面VPから約0.5mmの距離EDを置いて配置するのが普通である。図7bに、本発明の型出しラインに組み込むことができる例示的な実施形態に従った中間予備加工段階の工具設置ソリューションが示されており、この中間予備加工段階において、図7aに示す第1の予備加工段階の後に残った少なくとも大部分の耐摩耗性表面層が除去される。このような成形は、非常に精密であると共に、非常に少量の材料を除去するため、非常に小さい力で行うことができ、この中間予備加工用工具構成は、固定面を成形する次の工具に非常に接近して配置されうる。工具の維持管理のために、予備切削工具60、60′及び中間予備加工用工具構成67は、切れ刃に対して平行な方向Mに段階的に移動させることができ、このことが工具の寿命を大幅に延ばす。図7cは、本発明の型出しラインに組み込むことができる例示的な実施形態に従った成形段階の工具設置ソリューションである。固定要素側1の水平固定面は、回転工具構成、即ち2つの工具本体を含むコンビ工具(COMBI tool)を用いて成形される。この工具設置ソリューション68において、第1の工具本体TB1は床パネル1の第1の上側縁部19を成形し、第2の工具本体TB2は固定要素8を成形する。これにより、固定面の中間位置が、製作時におけるパネルの水平方向の回転(転向)とは無関係に、常に適正であることが約束される。コンビ工具は、この実施形態では、床面に対して90度の工具角TAを有すると共に、90度の固定角LAを有する固定要素側1の固定面を成形する(図20a〜20cも参照)。このコンビ工具を段階的に移動させることはできない。しかし、中間予備加工段階の後に最終的に残った非常に小さい表面層部分のみを除去することになるため、第1の工具本体TB1の寿命は、従来の工具設置ソリューションの場合と同程度の長さか、又はそれより大幅に長くなりうる。
【0064】
図7cは、同じ柱に互いに垂直方向に上下に並んで配置される第1TB1及び第2TB2の工具本体を有する工具構成68′を、固定溝側1′の水平固定面を成形するために好適に用いることができることを示している。この場合は、精密切削工具TB1を段階的に垂直方向に移動させることができるため、中間予備加工段階は不要である。しかし、中間予備加工段階を用いて、精密切削工具TB1、例えば図7bにおいて固定要素側1として示したものと同じ精密切削工具の寿命を更に延ばすことが有利である。
【0065】
図8a〜8cは、本発明に従って床パネルに改良型機械的固定システムを製作するための工具設置ソリューションの例示的な実施形態を示す型出しラインの図7a〜7cとは異なる図である。図8aは、固定要素側1の側面図である。中間予備加工用工具構成67が第1の柱81に、そしてコンビ工具68が第2の柱80の隣接する側に配置される。その結果として、工具は互いに非常に接近し、水平方向の転向(回転)が限定的又は皆無となる。一方の軸中心から他方の軸中心までの測定値である工具距離TDを最も大きい工具の直径より小さくして、水平方向の転向の制限において最良の結果を得ることができる。これは、現在使用されている従来式工具の場合に240mm未満の距離TDに相当し、これに対して現在の型出し機で一般に用いられている距離TDは400〜500mmである。工具を互いに垂直方向に部分的に重複させると、工具距離TDを更に一段と小さくすることができる。図8bは、固定溝側1′の側面図である。上側縁部と固定溝の固定面とを成形する第1TB1及び第2TB2の工具本体が示されている。工具本体は、互いに垂直方向に上下に並んで配置される。その結果として、図11a〜cに示すように、水平方向の転向が発生しても、対をなす水平固定面間の相対距離が変化することはない。図8cは、型出しラインの上面図であって、3本の柱80、80′、81且つ3つの柱側に配置される4つの回転工具構成を用いて高品質の水平固定面を成形し得ることを示している。協働水平固定面11及び19と12及び18とを成形する2つの工具構成68、68′が互いに対向してチェーンの各側において送り方向に対して垂直な線LPに沿って本質的に整合して配置されると有利である。協働固定面の成形は、このような工具構成においては、同時に開始し且つ終了して、協働水平面の相対位置に対する水平方向の転向の影響が完全に解消されうる。
【0066】
図9a〜9dに、本発明による予備加工段階と中間予備加工段階との例示的な実施形態を示す。図9aにおいて、1つの実施形態として、熱は表面層の特性を変化させ、例えば耐摩耗性上表面層を軟化させるように影響を及ぼす。高研摩性粒子、例えば酸化アルミニウムが母材に十分に固着されていない場合は、耐摩耗性上表面層の昇温により上表面層の耐摩耗性は低下する。型出し機において1つの工具ステーションに集められる接合面の最終的な型出しの直前又は更には型出し機において型出しラインが始まる前に、熱を例えばIR(赤外放射)により導入することができる。また他の実施形態として、レーザーは、効率的であるだけでなく精密切削工具に極めて近接して表面層に到達しうるため、同じく加熱手段として用いることができる。加熱は、レーザー、赤外線電球又は熱風を用いる以外に、高温スライドシュー、マイクロ波及びその他の公知の加熱技術又はこれらを組み合わせた方法等の、当業者が認識しているその他の方法を用いて行うことができる。更にまた、切削ではなしに加熱のためだけにレーザーを用いることにより、非常に正確な摩耗の低下が約束され、以って精密切削工具の寿命が延びる。本発明によるさらに別の予備加工段階のさらに他の例示的な実施形態は、床パネルの上表面層の少なくとも複数部分に潤滑剤、例えばワックスを添加することである。これもまた表面層の特性を変化させる。加熱又は潤滑は、本質的に耐摩耗性上表面層の畝状部の一部分において行なわれる。図9bに、本発明によるまた別の予備加工段階の更に他の例示的な実施形態を示す。耐摩耗性上表面化粧層31の一部分が掻き取り工具を用いて除去され、その結果として、表面層の特性が完全に変化する。図9cに、本質的に図1bにも示される垂直面VPに配置される予備加工用工具構成67を用いた予備加工段階を示す。図9dには、垂直面VPの内側の耐摩耗層の一部分を除去すると共に表面層31上に畝状部76を形成させるように配置される予備加工用工具構成67を示す。
【0067】
図10a〜10eは、本発明に従って、型出しラインに中間予備加工段階を取り入れた、対向する両縁部において床パネルに改良型機械的固定システムを製作する工具設置ソリューションの例示的な実施形態を示す型出しラインである。床パネルにおける機械的固定システムの型出し精度の向上が固定要素側と固定溝側との両方において得られると共に、その型出しに用いられる工具の長寿命化が達成される。図10a〜10bは、図5a〜5bに対応しており、よって改めて説明は行わない。図10cは、中間予備加工が中間予備加工用工具構成67、67′を用いて固定要素側1と固定溝側1′とにおいて行なわれる工具設置ソリューションを示す図である。図10dは、固定要素側1のコンビ工具68と固定溝側1′の第1TB1及び第2TB2の工具本体を有する工具構成とを示す図である。例えば固定面と固定溝の一部分とが第2の工具本体TB2により成形されて、除去される材料の量が最小限に抑えられる。これにより工具の寿命が延びる。この第2の工具本体TB2は、同じ柱側に且つ回転する第1の工具本体TB1の上に配置されうる幾分単純な掻き取り工具として設計されてもよい。厳密な公差が必要とされない固定溝の残りの部分は、図10eに示すようなまた他の工具63′により成形することができる。
【0068】
本発明の例示的な実施形態に従った予備加工段階と主に垂直面上で作用するコンビ工具とを用いる工具設置ソリューションは、並外れた工具寿命をもたらしうる。従来技術の精密切削工具は、予備加工を用いない場合は、工具を段階的に移動させることが必要になるまでの動作距離が大体10000〜20000メートルであるが、工具構成68、68′は、工具の砥ぎ直しが必要になるまでに500000メートルを超える動作距離にわたって動作させることができる。これは、見返りとして、型出しラインの工具交換のためのダウン時間において実質的な利益をもたらすと共に、新しい工具の再装着時に作業員が間違いを犯す危険性に対しても顕著な効果をもたらす。垂直面の切込み加工では、工具寿命よりももっと有益な効果がある。水平面上で作用する従来の精密切削工具は、図1の垂直方向の接触面18、19にうねりを創出する。これは、例えば先行技術文献である国際公開WO2006/117229A1又は欧州特許出願公開EP1851020A1に記載されている公知の現象である。上述の精密切削工具は、歯の切れ刃が完全に図1の接触面18、19に対して平行な垂直面に沿って移動し、以って切削時のうねりが起こり得ないため、この問題が解消される。この技術は、例えば代替のレーザー技術よりはるかに費用対効果が高い。
【0069】
図11aは、本発明による上記の製作方法であり、たとえ実質的な水平方向の転向(回転)が起きたとしても、互いに同じ相対水平距離L1、L2、L3及びL4に配置される水平固定面を、対向する側部において床パネルの全長にわたって形成させることが可能になることを示す図である。例えば0.2mmの転向が実10と実溝9とに生じたとして、既に説明したように、これが固定品質に影響を及ぼすことはない。水平方向の転向は、上側縁部が短尺縁部5a、5bに対して完全に垂直にはならないように、上側縁部の形状を変化させる。この逸脱は、短尺縁部が成形されると消滅する。なぜなら上側縁部は一般に短尺縁部の型出しに用いられるプッシャのベースとして用いられるためである。この種の公差は、水平方向の転向が湾曲した形状の水平固定面をもたらす場合でさえ、中間距離Lが同じである限り、容易に解消し得る。一部の公差は短尺縁部の加工時に解消される。例えば0.1mmの残存公差はバナナ形の形状をもたらすが、この形状は、固定要素と固定溝とが自動的に床パネルを互いに押し付けて直線状にする丸形の案内面を有して形成されるため、設置時に容易に自動的に真っ直ぐにされうる。当然ながらパネルを互いに軽く押し付けることもできる。たとえ完璧な加工が行なわれる場合でも、全てのパネルは若干バナナ形の形状を呈する。図11cは、本発明の例示的な実施形態に従った図10dに示す工具設置ソリューションを、実のストリップとストリップの外側部分とが例えば第3の工具本体TB3によるか、又はコンビ工具68の歯68aの一部分により成形されるように設計することができることを示している。このような加工は、水平方向の転向が垂直固定手段に及ぼす効果も必要に応じて解消する。この工具構成を用いて、厳密に嵌合する隣接面を有する固定システムを成形することができ、製作公差を補償するための隙間は不要になる。これにより、しっかり固定される防湿性の固定システムを形成させることが可能になる。
【0070】
図12a〜12eに、図7c、8a又は10dに示すコンビ工具設置ソリューション68の背景をなすメカニズムを説明する切削力の方向を示す。従来技術の精密切削工具は、図12aに示す方向Py、Px及びPyに切削力を向ける。外方に向く力は裏側に支持体を有さない脆性の表面層に対する応力を創出するため、Pyの力は上述のマイクロチッピングを創出する明らかな危険要因である。図12bに、本発明による成形段階の工具設置ソリューションの例示的な実施形態が示されており、精密切削工具68のディスク96は主に垂直面上で作用すると共にボードの送り方向に回転し、即ち作用する歯がボードと同じ方向である送り方向FDに移動する。このため、表面層のマイクロチッピングを創出する力PxもPyも生じない。従って、工具68は、表面層においてPyの力が存在する場合に必要とされるほど鋭利でなくてよい。もし工具68を反対方向に動作させると、その結果として有意なPyの力が創出され、その結果として工具の動作速度と寿命とが大幅に低下する。
【0071】
図12bの特定の工具設置ソリューション68の寿命を延長させる第2のメカニズムは、図12cの精密切削工具の工具本体96の工具チップ92の摩耗特性である。工具68の外側チップ部分Ccは、最初に高研摩性表面層に当たって材料を除去する部分である。Ccの手前に配置されるまた別の部分の切れ刃Ddは、心材30のみに切り込む。しかし、工具の先端Ccは、摩り減ってしまうと図1の縁部18、19から若干離間し、以って代わりに先端Ccの真新しい切れ刃部分が高研摩性表面層に切り込む。この部分が摩り減ってしまうと、更に新たな真新しい切れ刃部分が切り込み、工具は舌先から次第に摩り減っていって、最終的にチップは部分Eeまで摩損する。よって、工具の寿命を最大限に延ばす1つの方法は、工具チップ部分CcからEeまでの距離を増加させることである。工具を手動で段階的に移動させる必要がある従来の精密切削工具と比べると、工具により垂直面上で作業を行なうこの動作モードでは、一旦切れ刃が摩り減ってしまうと、自動的に真新しい切れ刃が高研摩性材料内へと配置される。
【0072】
回転工具構成68′の旋回方向は、固定溝側1において図12bのコンビ工具68と同じ原理を用いる場合は、固定要素側1′では送り方向FDとは逆向きであることとする。この回転方向により、切削力を表面層において確実に内方に心材の方へと向けることができ、このことは上記のように非常に重要である。2つの例示的な実施形態が図12d及び12eに示されており、水平固定における固定角を大きくするためには工具角を大きくする必要があることがわかる。図12eの固定システムのように突出する実が無い場合は、この方法を水平固定において90度の固定角で用いることも可能である。
【0073】
図12bの回転式精密切削部分96が完全に垂直面上で動作せずに若干角度を有する場合は、これによって精密切削工具の工具摩耗メカニズムが変化する。このことは、見返りとして、ある一定の材料、例えば工具の鋭利さに極めて敏感である非常に脆弱な表面における工具の寿命に好ましい影響を及ぼしうる。傾斜のない純粋な垂直面上で回転する場合は、図12cのCcとEeとの間において舌先の外側の最も鋭利な部分が高研摩性表面層を除去する。1つの工具歯の動きが図12dの上面図に示されており、工具が新しい場合は、表面層の全ての除去は位置Aにおいて行なわれる。チップの真新しい切れ刃部分は、位置AとCとの間において既に切削加工された表面層縁部畝状部に沿って摺動する。工具が摩耗すると、点Aが点Bに近づく方向に移動していき、工具が摩り減ってしまった時点で、上述したように、最終的にこの点で終わる。工具が切削を開始する最初の点は、工具が摩耗しても依然として点Aである。材料が摩耗した切れ刃に敏感な(影響を受けやすい)場合は、たとえ次に到来する歯の真新しい切れ刃部分がこの縁部部分の一部を除去するとしても、ある程度のマイクロチッピングが引き起こされうる。図12eに、工具の角度による表面層畝状部における歯の動きを示す。工具の歯は、ボードにおいて工具線TLに従って図12eの点Aから点Bまで次第にボードの内方に移動していくため、歯は角度をなして図12cの工具切れ刃部分Ccから部分Eeまで切れ刃全体に沿って切削する。点BからCまでは、歯はもはやボードと接触を持たない。
【0074】
図12bの回転式精密切削工具96が掻き取り工具構成に置き換えられると共に、例えば回転式工具構成95又は掻き取り工具構成と組み合わされる場合は、掻き取り工具構成96は好ましくは傾斜角をなして作用して、力を内方に心材内に向かって導くこととする。
【0075】
回転式工具が例えば実側において上から作用する場合は、力をPyの方向に導くために、旋回方向を送り方向とは逆向きにすることが必要である。
【0076】
図13a〜13bに、本発明による、予備加工段階を導入した型出しラインの例示的な実施形態の側面図及び上面図を示す。
【0077】
図13a〜13bに、固定要素側又は固定溝側のいずれかにおいて隣接する縁部を水平方向に固定する協働面の少なくとも一部分を成形する第2の工具Aaを有する工具設置ソリューション68を示す。この例示的な工具設置ソリューション68は、柱80の一方の側89に設けられるが、柱80の他方の側88において、即ち第1の工具Bbと共に作用する。一例として、この工具設置ソリューションは、第1の回転工具構成と第2の掻き取り工具構成とを含むか、又は回転工具構成が掻き取り工具構成、レーザー、小型エンドミル又は材料を除去することができる何らかのその他の工具であってもよい。予備加工段階により摩耗が大幅に減じられるため、1つの工具本体により両方の協働面を型出しすることさえ可能である。当業者が認識するように、それでもなおその工具本体の1つの部分において段階的な移動を実施することが好ましく、その理由は、たとえ摩耗が予備加工段階により減じられても、ほとんどの場合はその精密切削工具部分が高研摩性表面層の小部分を切削し、よって心材のみを型出しする残りの工具設置ソリューション部分より急速に摩り減ってしまいうるためである。2本の柱が互いに接近している場合は、第2の工具Aaも、例えば第2の柱81に取り付けられるが、柱80の同じ側88において作用しうる。
【0078】
固定要素側と固定溝側とにおいて若干異なる工具設置ソリューションを用いてもよいが、それらはいずれも、本発明の例示的な実施形態に従って型出し機において隣接する縁部を水平方向に固定する協働面の少なくとも一部分を加工するという共通の加工原理に基づく。好ましくは、予備加工の原理も取り入れられる。当業者が認識するように、本発明の実施形態に従った予備加工の原理は、耐摩耗性上表面層を有さない床パネルの製作にも用いることができ、予備加工された表面に工具設置ソリューションを作用させることによって工具設置ソリューションの寿命を延ばす。
【0079】
図14a〜14dに、本発明による工具構成の例示的な実施形態を示す。図14aには、固定溝側1′の縁部の上側部分18を成形する工具68′は、表面層に対して90度の工具角で垂直方向に作用することが示されている。機能は、コンビ工具68において固定要素側1の縁部19の上側部分に作用する第1の工具本体TB1の場合と同じである。図14bに、固定溝側1′の工具構成68′の第2の工具本体TB2は90度未満の工具角TAで作用しうることが示されている。この場合は、工具角TAは固定角LAに等しい(図20a及び20dも参照)。コンビ工具68は、この実施形態では、同じ工具角を有する。図14c及び14dに、同じ軸上に配置される第1及び第2の工具本体TB1、TB2を有するコンビ工具68′を用いて、固定溝側1′において水平固定面12、18を成形しうることが示されている。工具角TAは、固定溝内の固定面12の固定角LAと実10の形状とに適合せしめられなければならない。実の突出部分が限られている場合は、最大80度以上の固定面を成形することができる。図14dから、実を有さない固定システムと更にまた図2bに示すような固定システムとがいずれも90度の工具角で成形されうることが示されている。この固定システムは、切削力を内方に心材の方へと向けることによって耐摩耗性表面層のチッピングを防ぐために、好ましくは送り方向とは逆向きに回転する工具構成を用いて成形されることとする。
【0080】
図15a〜15cに、本発明による、回転工具構成を用いた耐摩耗性表面層31の、図9dのような予備加工段階の例示的な実施形態を示す。図15aに、最終的な接合縁部19から安全距離ED、例えば0.5mmに配置された荒削り工具60が示されており、EDが荒削り工具60と精密切削工具62との間における床パネル1の水平方向の移動よって小さくなり、以って最終的な床パネルにおいて白色化粧紙に小さな面取り部が露出しても、その結果として白線が生じることが防がれる。予備加工用工具61は、精密切削工具62と一緒に配置されるため、接合縁部19に接近して配置することができ、その結果として予備加工用工具61と精密切削工具62との間における水平方向の移動は実質的に皆無となる。これは、型出しラインの入口に配置される荒削り工具60とは対照的に、これらの2つの工具が好ましくは機械の安定した中間部に配置されるためである。更に、これらの工具は非常に小さい距離を置いて分離され、いずれの工具も非常に限られた量の材料を除去して、非常に限られた側圧を創出する。
【0081】
予備加工用工具61は、好ましくは、精密切削工具62に対して、これらの工具の最終的な結果が表張り35に残る小さな面取り部76となるが、これらの工具の最終的な結果が白線を創出する化粧紙35の面取り部となるほど深くはならないように配置される。以下で微小面取り部と呼ばれるこの面取り部は、滑らかな感触の縁部の畝状部を創出し、そうでない場合に貼り合せ床(ラミネート床)が非常に鋭い縁部を有してしまうという共通の問題を解消する。鋭い縁部は、手に切り傷を負いかねない設置業者にとって、そして床の上を歩くときに靴下を損傷してしまうことがある顧客にとっても問題である。
【0082】
微小面取り部は更にまた、精密切削工具62の寿命を最大限に延ばす。しかし、例えば微小面取り部が目立ちかねない暗色の装飾においては、希望に応じて微小面取り部76を防ぐために予備加工用工具61を若干外方に離して配置することができ、それでもなお精密切削工具の許容可能な寿命が得られることを強調しておくこととする。予備加工用工具61を最終的な接合縁部19から約0.1mm外側に配置することにより、精密切削工具が除去しなければならない耐摩耗性表面材料の量は、0.5mmの耐摩耗性材料を残存させる荒削り工具のみを用いる場合と比べて大幅に減じられる。
【0083】
図16a〜16dに、本発明による工具設置ソリューションにより製作されうる機械的固定システムの設計を示す。図16a及び図16cには、実及び実溝側において完全に補完的な表面を有する従来技術による機械的固定システムが示されている。しかし、このようなシステムは、製作不能であることが実証された。上側接触面が多くの場合に小さすぎて、ボードがボードを互いに押し付ける力を受けたときに上側接触面に損傷を生じうる。これは、汚物及び水分を固定システム内に侵入させる隙間の創出を招きうる。更にまた、上部化粧面の隆起を引き起こすこともあり、床の固定が不十分になってしまう。上表面は、例えば7mm以下の非常に薄いボードの場合又は面取り部を有するボードの場合、又は、図16b及び図16dに示すような大きい接着剤ポケット79や例えば密封装置が設けられる産業用間隙79を作る必要がある場合小さくなる。この問題の解決策は、固定用形状部のまた他の場所により大きい接触部、例えば固定用ストリップ上に突出部を設けて、これを実の下側において凹部に設けられる補完的な面と嵌合させることにより、ボードを互いに押し付ける力を吸収することである。突出部の内側下方接触面と実の補完的な面との間に間隙を設けて製作公差を吸収して、この接触がボードの上側接触面を分離させないことを確実にする。しかし、固定溝側において凹部と上側接触面との両方を型出しする工具と固定要素側における二重エンジン設備とを組み合わせて、以って同じ位置で全ての重要な水平面を型出しすることが解決策となる。これにより、完璧な嵌合が得られ、内方に向けられる力の大部分が凹部で吸収されて、以って上側接触面が保護される。実際には、製作時に型出しラインの工具設置ソリューション間における床パネル1、1′間の垂直方向及び水平方向のいずれの移動も吸収するために、図16b及び図16dの産業用間隙79が機械的固定システムに挿入された。例えば、図16dの間隙79を排除し、従来の工具設置ソリューションを用いると、18、19及び46、46を切削加工する工具間において多少の移動が生じ、このため、面46が面56を押出すと上側接触面18、19間において隙間が創出されると共に目に見える隙間が生じる。隙間があれば押圧はなくなる。
【0084】
本発明を用いると、両方の面19及び46又は18及び56を1つ又は2つの工具を用いて同じ型出し位置で製作することが可能になる。従って、これにより、これらの面の相対位置における公差が解消され、押出しが起こらない傾向が生じる。このため、図16b及び16dの間隙79を排除することが可能となる。これにより、ボードが互いに押し付けられるときに水平方向の力に対して接合部において付加的な強度が生じる。例えばMDF等の軟質の心材の場合又は上側垂直接触面が例えば深い面取り部により縮小される場合又は大きな間隙が実の上に必要とされる場合に、この間隙なしという特徴を用いることが極めて有利となりうる。
【0085】
図17a〜17eに、1つの接触面43、53が内方に向けられた力に対する垂直固定面だけではなしに水平固定面も構成する、本発明による固定システム用工具設置ソリューションの例示的な実施形態を示す。当業者が認識するように、ここでは1つの接触面のみが示されているが、1つを超える接触面がある場合でも、記載の原理は当然ながら等しく重要である。
【0086】
図17aに、工具が耐摩耗性材料の大部分を除去している様子を示す。
【0087】
図17bに、工具が心材の大部分を除去して、後続の工具により除去される材料の量を減少させている様子を示す。
【0088】
図17cに、図17dにおいて精密切削工具が除去することになる残存耐摩耗性材料の大部分を除去する予備加工用工具設置ソリューションを示す。図17cの予備加工用工具設置ソリューションは、図17dの精密切削工具に近接して配置されると共に、型出しラインにおいて精密切削工具に近接する中間部に配置される。
【0089】
図17dは、溝側用の工具設置ソリューションの2つの選択肢を示す。選択肢1(Alt.1)は、回転式工具構成を示し、この設備では面43は図17eに示す次の段階で型出しされなければならない。図17eは、図17dの工具設置ソリューションから離間して配置される工具設置ソリューションであり、特に床パネルが送りチェーン上において必ずしも十分に把持されない外側位置にあるため、床パネルの水平方向の移動が起こる。この移動は水平方向の嵌合の変動を生じしめる。嵌合が緩くなりすぎると、設置後にきしみ音が生じる可能性があり、嵌合がきつくなりすぎると、設置がより困難になる。
【0090】
選択肢2(Alt.2)は、回転工具構成68と組み合わされる掻き取り工具68″を有するものである。この設備を図17dにおいて用いると、全ての垂直面及び水平面が同じ位置で型出しされる。これは本発明が促進する重要な原理であり、この原理は、垂直固定面と水平固定面との両方を構成する面を有する固定システムの場合に極めて有利である。当業者が認識するように、その他の例示的な機械的固定システム、例えば図1のような従来式ストリップ固定システムも適用可能であり、下側の垂直固定面46、56が排除されると共に、傾斜した固定面11、12が垂直及び水平の両方向の固定面となる。
【0091】
図18a〜18bは、本発明による予備加工段階を取り入れたコンビ工具に代わる選択肢の例示的な実施形態を示す型出しラインである。2つのエンジン83、84により、一方の工具84は上から切り込み、他方の工具83は下から切り込む。これらの工具は機械の同じ柱80に且つ柱80の同じ側88に配置されるため、コンビ工具68を用いた場合と同じ効果が得られる。このため、工具の角度は固定面の角度により制限される。工具83及び84は、柱80上において若干離間して配置されうると共に、いずれもボードの同じ側から例えば溝側1において作用して、工具83が工具84より大きく且つこのエンジンが角度を有する場合は固定要素上に傾斜した固定面が得られる。以前は、耐摩耗性表面層に切り込む工具は水平面上で動作することを強いられたため、その他の工具が実溝に侵入することを妨げ、こうしたことは不可能であった。これらの工具のいずれか一方又は両方を掻き取り工具構成に交換することができ、そうすると、全種類の形状、例えば固定要素上の90度の固定面を型出しすることが可能になる。型出し精度にとって非常に重要なのは、各工具本体による加工点は互いに接近していなければならないということである。これは、幾つかの非常に小さい回転式工具を使用して、以って小さい工具直径により互いに接近可能にすること、即ち1本の柱上において柱の同じ側に取り付けられる大きい工具を用いる場合と技術的に同等にすることによっても達成することができる。幾つかの小型の工具を用いる場合は、材料の大部分を除去する1つ又は複数の大型回転工具を用いると共に、前後に並んで取り付けられる1組の非常に小型のモータを用いて真に最後の材料を除去して最終的な固定面を創出することが好ましい。これらのモータは、例えば各工具軸TD間に40mm以下の距離を置いて配置することができる。
【0092】
図19a〜19cに、本発明による、下から切り込む工具構成の例示的な実施形態の精密切削工具チップ93、94を示す。上表面層が非常に硬質の粒子又は大粒の粒子によって構成される場合は、工具チップが非常に大きい応力を受けうるため、特に例えば工具チップ94が図19bに示すように90度の角を有する場合には角が破損する。工具チップが90度より鋭利である可能性もある。工具チップの刃が破損すると、鈍くなった初期切れ刃(initial cutting edge)が創出され、この切れ刃が床板の最終的な縁部に係合しうる。これは、見返りとして、チッピングを創出しうる。
【0093】
この問題の解決策は、チップ93を図19aのようなくさび形にすることである。これにより、初期係合位置が最終的な縁部部分ではなくなり、その代わりに工具の回転につれて徐々に内方に移動していく。角欠けが起こった場合でも、フランジの残りの部分は依然として鋭利なままであり、フランジの係合点が回転時に内方に移動していくため、チッピングは削り取られて、鋭利な最終的な刃部分が得られる。
【0094】
図20a〜20fに、本発明によるコンビ工具68の例示的な実施形態とその位置を変更するとを示す。コンビ工具68は、軸、即ち自身の軸のまわりで回転して切削することにより作用する。コンビ工具の軸を異なる角度に傾けることにより、機械的固定システムの異なる切削面角度を創出することができる。軸の位置は、上表面層31に対して実質的に平行になる位置と回転ディスクの表面が固定面11の固定角LA1−LA2と等しくなるように配置される位置との間において変動させることができる。これは、切歯を調節して異なる工具角で固定面を型出しすることができることを意味する。90度の垂直な固定角と60度の固定角との2つの異なる例が図20a及び20dに示されている。図20c及び20fには、回転ディスク面の対応する工具角TAを調節して、これらの固定面を型出しする方法が示されている。固定要素側の工具設置ソリューションは、固定システムの形状によって若干変動しうる。
【0095】
図21a及び21bは、本発明による、下側チェーン70と上側ベルト又はチェーン70aと対向する縁部を成形する幾つかの工具構成とを含む、床パネルの対向する縁部に機械的固定システムを製作する装置の例示的な実施形態である。床パネル1は、自身の表側化粧面を下側チェーンに接触させて、下側チェーン70又は上側ベルト又はチェーン70aにより送り方向に移動させられる。下側チェーンは、下側案内装置70cにより垂直方向及び水平方向に案内される。上側ベルト又はチェーンは、上側案内装置70bにより水平方向に案内されると共に、床パネルを垂直方向に下側チェーンの方へと押圧するように構成される。案内装置70c及び70bは、2つの工具構成間における直線的な送り方向からの水平方向の逸脱が本質的に上側ベルト又はチェーンにおいては下側チェーンの対応する逸脱と等しいか又はそれより小さくなるように構成される。図21aは、1つ又は複数の上側ベルト70aにより送り方向に沿って主に直線的な水平方向に案内される床パネル1を示す。図21bは、同じ案内が上側チェーン70aによって行い得ることを示している。
【0096】
図22aは、一方の上側ベルト70aのみが水平案内装置70bを有する実施形態を示す。他方のベルト70a′は従来式のベルトである。図22bは、下側チェーン又はベルト70dと協働する上側チェーン70a又はベルトを従来式チェーン/ベルト装置間に設けて加工時にパネルを水平方向に案内し得ることを示している。
【0097】
水平方向の案内が実質的に上側チェーン又はベルトによって得られる製造装置の場合に、幾つかの利点が達成されうる。ベルト又はチェーンと接触する床パネルの裏側は、高摩擦を創出しうる表面を有して形成することができる。ベルト又は上側チェーンも高摩擦面を有することができる。このような表面は、裏側に多少のエンボシングを施されても、床パネルの品質にいかなる悪影響も及ぼすことなしに創出することができる。下側チェーンと接触する化粧側の表面構造とは無関係に、上側ベルト又はチェーンと床パネルとの間の非常に強い接続を得ることができる。この装置は更にまた、いかなる追加の案内溝も必要とされず、且つパネル又は固定システムの大きさが変更されても案内部品を別々に調節する必要がないという利点を提供する。床板の厚さの相違は、例えば可撓性チェーンプレートを有する上側チェーンにより補償することができる。チェーン又はベルト全体を垂直方向に取外し可能にすることもできる。
【0098】
図23aに、本発明による工具構成68の例示的な実施形態を示す。ここでは、この工具構成は、複数のまた他の削り取り部分の各々と固定システムが形成される床パネルの縁部とに対してある特定の位置において送り方向FDに沿って配置される複数の削り取り部分106a〜dを含む掻き取り装置機構68の例示的な実施形態である。この掻き取り工具構成68は、固定歯を有し、各歯105a〜dは、以下ではチップ106と呼びホルダ107a〜d上に取り付けられる削り取り部分106a〜d、例えば切削面を含む。一般的な歯105は、例えばねじ103を用いて固定具に固定される。好ましくは、例えば2〜8個以上の複数の歯、即ちチップホルダ107が同じ固定具100に固定されうる。歯を固定する例示的な方法は、固定具100上のバー102上に各歯を配置することによる。各固定具100は、固定具100全体を型出しラインに固定するために用いられるねじ穴101を有する。チップホルダ107a〜d上の各チップ106a〜dは、固定具100上において、連続する各チップ106が水平方向もしくは垂直方向又は水平方向と垂直方向との両方向に異なる位置を有するように配置される。この掻き取り工具構成を用いると、粉塵及び削屑は、例えば各チップにおける単純な集塵ノズルにより容易に処理される。
【0099】
同じ大きさを有する異なるチップホルダ105a〜dを固定具100に取り付ける方法を示す。チップ106a〜dは、これにより、チップ線を辿る。本発明によるまた他の例示的な実施形態は、歯を垂直方向及び/又は水平方向に偏倚させるものである。第1の歯105aは、例えば第2の「長め」の歯105bより「短め」の寸法を有するといった具合にすることができる。このようにすると、第1の歯105aは、除去対象の材料に当たる程度の「短さ」で材料の表面に切り込み、第2の歯105bは次にチップ106bから更に離れた次の材料層を除去しなければならず、よって「長め」であることが必要になる。このようにすると、固定具100上のチップは、横から見ると、「最短」の第1の歯105aを始点とすると共に「最長」の最後尾105dを終点とする漸増スロープを有することになる。
【0100】
図23bに、本発明に従って製作公差を解消する方法の例示的な実施形態を示す。ここには、一例として掻き取り工具構成68が示されている。即ち、掻き取り工具構成は送り方向の2つの対向する工具ステーションだけではなしに上側工具本体TB1に加えて下側工具本体TB2をも有すると共に、これらの工具本体が互いに近接する位置で作用して同じ段階で協働固定面19、11;12、18を加工し、公差が減じられるため、公差を解消しうる。どのような固定システムを製作するかによって、チップの形状が成形され、固定具上に歯をどのように配置するかは、材料の型出しを上から行なうか下から行なうかによる。
【0101】
当業者には、添付の特許請求の範囲に記載する本発明の範囲から逸脱することなしに、本発明に様々な改変及び変更を加えうることが理解されよう。
【図1a−1b】
【図2a−2c】
【図3a−3b】
【図4a−4c】
【図5a−5e】
【図6a−6c】
【図7a−7c】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床パネル(1′、1)に第1の工具構成(68)を用いて製作する方法であって、
前記床パネル(1′、1)が、耐摩耗性上表面層(31)と、心材(30)と、自らと同様の他のパネルとを水平方向に固定するための第1(1)及び第2(1′)の縁部上の機械的固定システム(43、46、11、19;53、56、12、18)とを備え、
前記機械的固定システムが、パネルの前記第1の縁部(1)の第1対の固定面、および反対側の前記第2の縁部(1′)の第2対の固定面を有し、前記第1対の固定面が第1の上側縁部(19)と固定要素(8)とを有し、前記第2対の固定面が第2の上側縁部(18)と固定溝(14)とを有しており、
前記方法は、
前記床パネルの第1の縁部(1)を第1の工具構成(68)に相対させて前記床パネルを送り方向(FD)に移動させる段階であって、前記第1の工具構成(68)は、2つの対向する柱側(88、89)を有する第1の柱(80)の同じ側(88)に配置される第1及び第2の工具本体(TB1、TB2)を含んでいる、段階と、
前記第1の上側縁部(19)において前記床パネル(1)の前記耐摩耗性上表面層(31b)の少なくとも一部分を予備加工して、前記表面層の特性を変化させるようにする段階と、
前記第1(TB1)及び第2(TB2)の工具本体により、前記第1対の固定面(19、8)の少なくとも一部分を成形する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記床パネル(1′)の第2の縁部(18)を第2の工具構成(68′)に相対させて前記床パネル(1′)を送り方向(FD)に移動させる段階であって、前記第2の工具構成(68′)は、2つの対向する柱側(88、89)を有する第2の柱(88)の同じ側に配置される第1及び第2の工具本体(TB1、TB2)を含んでいる、段階と、
前記第2の工具構成(68′)により前記第2対の固定面(18、14)の少なくとも一方の面の少なくとも一部分を成形する段階と、
を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2対の固定面(18、14)の少なくとも一方の面の少なくとも一部分を成形する前に、前記第2の上側縁部(18)において前記床パネル(1′)の前記耐摩耗性上表面層(31b)の少なくとも一部分を予備加工して、前記表面層の特性を変化させるようにする段階を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記工具構成(68)は、第1の工具ディスク(95)を有する前記第1の工具本体(TB1)と第2の工具ディスク(96)を有する前記第2の工具本体(TB2)とを含む回転工具構成であり、前記第1及び第2の工具ディスクは1本の回転軸(87)により駆動され、前記ディスクは互いに調節可能である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の工具本体(TB1)は第1の工具ディスク(95)を含み、前記第2の工具本体(TB2)は第2の工具ディスク(96)を含み、前記第1の工具ディスク(83)は第1の回転軸(86)により、そして前記第2の工具ディスク(84)は第2の回転軸(87)により駆動され、前記第1(86)及び第2(87)の回転軸は前記柱(80)の同じ側(88)に取り付けられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記工具構成(68)は、少なくとも前記第1の工具ディスク(95)表面を前記工具構成の垂直な工具角(TA1)に対して実質的に平行又は前記固定面(11)の固定角(LA)に対して平行にするか、又は前記工具構成の前記垂直な工具角(TA1)と前記固定面(11)の前記固定角(LA)との間の任意のある角度に対して実質的に平行にして加工を行なう、請求項4〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記工具構成(68)は、第1の固定具を有する前記第1の工具本体(TB1)と第2の固定具を有する前記第2の工具本体(TB2)とを含むブローチ工具構成であり、前記固定具は、チップ(106)を有する少なくとも1つのホルダ(107)を有し、前記工具構成は、前記ホルダ(107)上においてある一定の角度及び位置に固定される削り取り面を有する前記少なくとも1つのチップにより前記固定面を成形する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記床パネル(1′、1)の前記上側縁部(18、19)において前記床パネルの前記耐摩耗性上表面層(31b)の少なくとも一部分を予備加工する段階は、前記耐摩耗性上表面層(31)の前記上側縁部(18、19)の畝状部(76)の一部分を除去する段階を含む、請求項1〜7の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項9】
前記耐摩耗性上表面層(31)の前記上側縁部(18、19)において前記畝状部(76)の前記一部分を除去する段階は、前記上表面層の最終的な縁部に近接する位置(ED)且つ前記精密切削工具(60)に近接する位置(TD)に配置される従来式荒削り工具(67)を用いて行なわれる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記床パネル(1′、1)の前記上側縁部(18、19)において前記床パネルの前記耐摩耗性上表面層(31)の少なくとも一部分を予備加工する段階は、
前記耐摩耗性上表面層(31)の前記上側縁部(18、19)の畝状部(76)の一部分を除去する段階を含む中間予備加工段階と、
前記中間予備加工段階に先立つ第1の予備加工段階であって、前記第1の縁部(1)において前記床パネルの前記上表面層(31)の少なくとも一部分を第1の予備加工工具(60)により除去する段階を含む第1の予備加工段階と、である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記床パネル(1′、1)の前記上側縁部(18、19)において前記床パネルの前記耐摩耗性上表面層(31)の少なくとも一部分を予備加工する段階は、前記耐摩耗性上表面層(31)の畝状部(76)の一部分を潤滑及び/又は加熱による軟化(67)により軟化させる段階を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記潤滑(67)は、ワックスによる潤滑を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記加熱(67)は、レーザー又は赤外線電球又は熱風又は高温スライドシュー又はマイクロ波による加熱を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記耐摩耗性上表面層(31)の除去対象の前記畝状部(76)は、前記上表面層(31)より薄い厚さを有する縁部部分である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記耐摩耗性上表面層(31)は、積層板又は木質繊維混入板のものである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
床パネル(1′、1)に機械的固定システムを製作する工具構成であって、
前記床パネル(1′、1)が、耐摩耗性上表面層(31)と、心材(30)と、自身と同様のその他のパネルとを水平方向に固定するための第1(1)及び第2(1′)の縁部上の機械的固定システム(43、46、11、19;53、56、12、18)とを備え、
前記機械的固定システムが、パネルの前記第1の縁部(1)の第1対の固定面、および反対側の前記第2の縁部(1′)の第2対の固定面を有し、前記第1対の固定面が第1の上側縁部(19)と固定要素(8)とを有し、前記第2対の固定面が第2の上側縁部(18)と固定溝(14)とを有しているものにおいて、
前記床パネル(1)は、自身の前記第1の縁部(19)を第1の工具構成(68)に相対させて送り方向(FD)に移動され、前記第1の工具構成(68)は、
第1(TB1)及び第2(TB2)の工具本体を含むと共に、前記第1の工具構成(68)は2つの対向する柱側(88、89)を有する第1の柱(80)の同じ側88に配置され、
前記第1の上側縁部(19)において前記床パネル(1′、1)の前記耐摩耗性上表面層(31b)の少なくとも一部分を予備加工して、前記表面層の特性を変化させるようにする手段を含み、
前記第1(TB1)及び第2(TB2)の工具本体は、前記第1対の固定面(19、8)の少なくとも一部分を成形する手段を含む
ことを特徴とする工具構成。
【請求項17】
前記床パネル(1′)は、自身の前記第2の縁部(18)を第2の工具構成(68′)に相対させて送り方向(FD)に移動され、前記第2の工具構成(68′)は、2つの対向する柱側(88、89)を有する第2の柱(88)の同じ側に配置される第1及び第2の工具本体(TB1、TB2)を含み、
前記第2の工具構成(68′)は、前記第2対の固定面(18、14)の少なくとも一方の少なくとも一部分を成形する手段を含む、
請求項16に記載の工具構成。
【請求項18】
前記第2対の固定面(18、14)の少なくとも一方の面の少なくとも一部分を成形する前に、前記第2の上側縁部(18)において前記床パネル(1)の前記耐摩耗性上表面層(31b)の少なくとも一部分を予備加工して、前記表面層の特性を変化させるようにする手段を更に含む、
請求項16〜17のいずれか一項に記載の工具構成。
【請求項19】
前記工具構成(68)は、第1の工具ディスク(95)を有する前記第1の工具本体(TB1)と第2の工具ディスク(96)を有する前記第2の工具本体(TB2)と、前記第1及び第2の工具ディスクを1本の回転軸(87)により駆動する手段と、ディスクを互いに調節する手段とを含む回転工具構成である、
請求項16〜18のいずれか一項に記載の工具構成。
【請求項20】
前記工具構成(68)は、第1の工具ディスク(95)を有する前記第1の工具本体(TB1)と第2の工具ディスク(96)を有する前記第2の工具本体(TB2)と、第1の回転軸(87)により前記第1の工具ディスク(83)を、そして前記柱(80)の同じ側(88)に取り付けられる第2の回転軸(88)により前記第2の工具ディスク(84)を駆動する手段とを含む、請求項16〜18のいずれか一項に記載の工具構成。
【請求項21】
前記工具構成(68)は、少なくとも前記第1の工具ディスク(95)表面を前記工具構成の垂直な工具角に対して実質的に平行又は前記固定面(11)の固定角(LA)に対して実質的に平行にするか、又は前記工具ディスク(95)表面を前記回転工具構成の前記垂直な工具角と前記固定面(11)の前記固定角(LA)との間の任意のある角度に対して実質的に平行にして加工を行なう手段を含む、請求項19〜20のいずれか一項に記載の工具構成。
【請求項22】
前記工具構成(68)は、第1の固定具を有する前記第1の工具本体(TB1)と第2の固定具を有する前記第2の工具本体(TB2)とを含むブローチ工具構成であり、前記固定具は、前記ホルダ(107)上においてある一定の角度及び位置に固定される削り取り面を含むチップ(106)を有する少なくとも1つのホルダ(107)を有し、型出し面は前記固定面を成形するようになされる、請求項16〜18のいずれか一項に記載の工具構成。
【請求項23】
前記予備加工手段は、前記耐摩耗性上表面層(31)の前記上側縁部(18、19)の畝状部(76)の一部分を除去する手段を含む、請求項16〜22のいずれか一項に記載の工具構成。
【請求項24】
前記畝状部(76)の一部分を除去する手段は、前記表面層の最終的な縁部に近接する位置(ED)且つ前記精密切削工具(60)に近接する位置(TD)に配置される従来式荒削り工具(67)である、請求項23に記載の工具構成。
【請求項25】
前記予備加工手段は、
前記耐摩耗性上表面層(31)の前記上側縁部(18、19)の畝状部(76)の一部分を除去する手段を含む中間予備加工手段と、
前記中間予備加工手段の前に配置される第1の予備加工手段であって、
前記第1の縁部(1)において前記床パネルの前記表面層(31)の少なくとも一部分を取り除く手段を含む第1の予備加工用工具(60)を含む第1の予備加工手段と、である、
請求項16〜24のいずれか一項に記載の工具構成。
【請求項26】
前記予備加工手段は、前記耐摩耗性上表面層(31)の畝状部(76)の一部分を潤滑により軟化させる手段及び/又は加熱により軟化させる手段(67)を含む、請求項16〜22のいずれか一項に記載の工具構成。
【請求項27】
前記軟化手段は、レーザー及び/又は赤外線電球及び/又は熱風ファン及び/又は高温スライドシュー及び/又はマイクロ波加熱炉及び/又はワックス装置を含む、請求項26に記載の工具構成。
【請求項28】
床パネル(1、1′)の対向する縁部(18、19)に機械的固定システムを製作する装置であって、
下側チェーン(70)と、上側ベルト又はチェーン(70b)と、前記対向する縁部を成形する幾つかの工具構成(60)とを含み、前記床パネル(1、1′)が、自身の表側化粧面(31)を前記下側チェーンに接触させて、前記下側チェーン又は前記上側ベルト又はチェーンにより送り方向(FD)に移動され、前記下側チェーンは下側案内装置(70c)により垂直方向及び水平方向に案内されるものにおいて、
前記上側ベルト又はチェーンは、上側案内装置(70b)により水平方向に案内されると共に、前記床パネルを垂直方向に前記下側チェーンの方へと押圧するように構成され、前記案内装置(70b、70c)は、2つの工具構成間における直線的な送り方向からの水平方向の逸脱が前記上側ベルト又はチェーンにおいては前記下側チェーンの対応する逸脱と実質的に等しくなるか又はそれより小さくなるように構成されることを特徴とする装置。
【請求項1】
床パネル(1′、1)に第1の工具構成(68)を用いて製作する方法であって、
前記床パネル(1′、1)が、耐摩耗性上表面層(31)と、心材(30)と、自らと同様の他のパネルとを水平方向に固定するための第1(1)及び第2(1′)の縁部上の機械的固定システム(43、46、11、19;53、56、12、18)とを備え、
前記機械的固定システムが、パネルの前記第1の縁部(1)の第1対の固定面、および反対側の前記第2の縁部(1′)の第2対の固定面を有し、前記第1対の固定面が第1の上側縁部(19)と固定要素(8)とを有し、前記第2対の固定面が第2の上側縁部(18)と固定溝(14)とを有しており、
前記方法は、
前記床パネルの第1の縁部(1)を第1の工具構成(68)に相対させて前記床パネルを送り方向(FD)に移動させる段階であって、前記第1の工具構成(68)は、2つの対向する柱側(88、89)を有する第1の柱(80)の同じ側(88)に配置される第1及び第2の工具本体(TB1、TB2)を含んでいる、段階と、
前記第1の上側縁部(19)において前記床パネル(1)の前記耐摩耗性上表面層(31b)の少なくとも一部分を予備加工して、前記表面層の特性を変化させるようにする段階と、
前記第1(TB1)及び第2(TB2)の工具本体により、前記第1対の固定面(19、8)の少なくとも一部分を成形する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記床パネル(1′)の第2の縁部(18)を第2の工具構成(68′)に相対させて前記床パネル(1′)を送り方向(FD)に移動させる段階であって、前記第2の工具構成(68′)は、2つの対向する柱側(88、89)を有する第2の柱(88)の同じ側に配置される第1及び第2の工具本体(TB1、TB2)を含んでいる、段階と、
前記第2の工具構成(68′)により前記第2対の固定面(18、14)の少なくとも一方の面の少なくとも一部分を成形する段階と、
を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2対の固定面(18、14)の少なくとも一方の面の少なくとも一部分を成形する前に、前記第2の上側縁部(18)において前記床パネル(1′)の前記耐摩耗性上表面層(31b)の少なくとも一部分を予備加工して、前記表面層の特性を変化させるようにする段階を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記工具構成(68)は、第1の工具ディスク(95)を有する前記第1の工具本体(TB1)と第2の工具ディスク(96)を有する前記第2の工具本体(TB2)とを含む回転工具構成であり、前記第1及び第2の工具ディスクは1本の回転軸(87)により駆動され、前記ディスクは互いに調節可能である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の工具本体(TB1)は第1の工具ディスク(95)を含み、前記第2の工具本体(TB2)は第2の工具ディスク(96)を含み、前記第1の工具ディスク(83)は第1の回転軸(86)により、そして前記第2の工具ディスク(84)は第2の回転軸(87)により駆動され、前記第1(86)及び第2(87)の回転軸は前記柱(80)の同じ側(88)に取り付けられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記工具構成(68)は、少なくとも前記第1の工具ディスク(95)表面を前記工具構成の垂直な工具角(TA1)に対して実質的に平行又は前記固定面(11)の固定角(LA)に対して平行にするか、又は前記工具構成の前記垂直な工具角(TA1)と前記固定面(11)の前記固定角(LA)との間の任意のある角度に対して実質的に平行にして加工を行なう、請求項4〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記工具構成(68)は、第1の固定具を有する前記第1の工具本体(TB1)と第2の固定具を有する前記第2の工具本体(TB2)とを含むブローチ工具構成であり、前記固定具は、チップ(106)を有する少なくとも1つのホルダ(107)を有し、前記工具構成は、前記ホルダ(107)上においてある一定の角度及び位置に固定される削り取り面を有する前記少なくとも1つのチップにより前記固定面を成形する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記床パネル(1′、1)の前記上側縁部(18、19)において前記床パネルの前記耐摩耗性上表面層(31b)の少なくとも一部分を予備加工する段階は、前記耐摩耗性上表面層(31)の前記上側縁部(18、19)の畝状部(76)の一部分を除去する段階を含む、請求項1〜7の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項9】
前記耐摩耗性上表面層(31)の前記上側縁部(18、19)において前記畝状部(76)の前記一部分を除去する段階は、前記上表面層の最終的な縁部に近接する位置(ED)且つ前記精密切削工具(60)に近接する位置(TD)に配置される従来式荒削り工具(67)を用いて行なわれる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記床パネル(1′、1)の前記上側縁部(18、19)において前記床パネルの前記耐摩耗性上表面層(31)の少なくとも一部分を予備加工する段階は、
前記耐摩耗性上表面層(31)の前記上側縁部(18、19)の畝状部(76)の一部分を除去する段階を含む中間予備加工段階と、
前記中間予備加工段階に先立つ第1の予備加工段階であって、前記第1の縁部(1)において前記床パネルの前記上表面層(31)の少なくとも一部分を第1の予備加工工具(60)により除去する段階を含む第1の予備加工段階と、である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記床パネル(1′、1)の前記上側縁部(18、19)において前記床パネルの前記耐摩耗性上表面層(31)の少なくとも一部分を予備加工する段階は、前記耐摩耗性上表面層(31)の畝状部(76)の一部分を潤滑及び/又は加熱による軟化(67)により軟化させる段階を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記潤滑(67)は、ワックスによる潤滑を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記加熱(67)は、レーザー又は赤外線電球又は熱風又は高温スライドシュー又はマイクロ波による加熱を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記耐摩耗性上表面層(31)の除去対象の前記畝状部(76)は、前記上表面層(31)より薄い厚さを有する縁部部分である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記耐摩耗性上表面層(31)は、積層板又は木質繊維混入板のものである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
床パネル(1′、1)に機械的固定システムを製作する工具構成であって、
前記床パネル(1′、1)が、耐摩耗性上表面層(31)と、心材(30)と、自身と同様のその他のパネルとを水平方向に固定するための第1(1)及び第2(1′)の縁部上の機械的固定システム(43、46、11、19;53、56、12、18)とを備え、
前記機械的固定システムが、パネルの前記第1の縁部(1)の第1対の固定面、および反対側の前記第2の縁部(1′)の第2対の固定面を有し、前記第1対の固定面が第1の上側縁部(19)と固定要素(8)とを有し、前記第2対の固定面が第2の上側縁部(18)と固定溝(14)とを有しているものにおいて、
前記床パネル(1)は、自身の前記第1の縁部(19)を第1の工具構成(68)に相対させて送り方向(FD)に移動され、前記第1の工具構成(68)は、
第1(TB1)及び第2(TB2)の工具本体を含むと共に、前記第1の工具構成(68)は2つの対向する柱側(88、89)を有する第1の柱(80)の同じ側88に配置され、
前記第1の上側縁部(19)において前記床パネル(1′、1)の前記耐摩耗性上表面層(31b)の少なくとも一部分を予備加工して、前記表面層の特性を変化させるようにする手段を含み、
前記第1(TB1)及び第2(TB2)の工具本体は、前記第1対の固定面(19、8)の少なくとも一部分を成形する手段を含む
ことを特徴とする工具構成。
【請求項17】
前記床パネル(1′)は、自身の前記第2の縁部(18)を第2の工具構成(68′)に相対させて送り方向(FD)に移動され、前記第2の工具構成(68′)は、2つの対向する柱側(88、89)を有する第2の柱(88)の同じ側に配置される第1及び第2の工具本体(TB1、TB2)を含み、
前記第2の工具構成(68′)は、前記第2対の固定面(18、14)の少なくとも一方の少なくとも一部分を成形する手段を含む、
請求項16に記載の工具構成。
【請求項18】
前記第2対の固定面(18、14)の少なくとも一方の面の少なくとも一部分を成形する前に、前記第2の上側縁部(18)において前記床パネル(1)の前記耐摩耗性上表面層(31b)の少なくとも一部分を予備加工して、前記表面層の特性を変化させるようにする手段を更に含む、
請求項16〜17のいずれか一項に記載の工具構成。
【請求項19】
前記工具構成(68)は、第1の工具ディスク(95)を有する前記第1の工具本体(TB1)と第2の工具ディスク(96)を有する前記第2の工具本体(TB2)と、前記第1及び第2の工具ディスクを1本の回転軸(87)により駆動する手段と、ディスクを互いに調節する手段とを含む回転工具構成である、
請求項16〜18のいずれか一項に記載の工具構成。
【請求項20】
前記工具構成(68)は、第1の工具ディスク(95)を有する前記第1の工具本体(TB1)と第2の工具ディスク(96)を有する前記第2の工具本体(TB2)と、第1の回転軸(87)により前記第1の工具ディスク(83)を、そして前記柱(80)の同じ側(88)に取り付けられる第2の回転軸(88)により前記第2の工具ディスク(84)を駆動する手段とを含む、請求項16〜18のいずれか一項に記載の工具構成。
【請求項21】
前記工具構成(68)は、少なくとも前記第1の工具ディスク(95)表面を前記工具構成の垂直な工具角に対して実質的に平行又は前記固定面(11)の固定角(LA)に対して実質的に平行にするか、又は前記工具ディスク(95)表面を前記回転工具構成の前記垂直な工具角と前記固定面(11)の前記固定角(LA)との間の任意のある角度に対して実質的に平行にして加工を行なう手段を含む、請求項19〜20のいずれか一項に記載の工具構成。
【請求項22】
前記工具構成(68)は、第1の固定具を有する前記第1の工具本体(TB1)と第2の固定具を有する前記第2の工具本体(TB2)とを含むブローチ工具構成であり、前記固定具は、前記ホルダ(107)上においてある一定の角度及び位置に固定される削り取り面を含むチップ(106)を有する少なくとも1つのホルダ(107)を有し、型出し面は前記固定面を成形するようになされる、請求項16〜18のいずれか一項に記載の工具構成。
【請求項23】
前記予備加工手段は、前記耐摩耗性上表面層(31)の前記上側縁部(18、19)の畝状部(76)の一部分を除去する手段を含む、請求項16〜22のいずれか一項に記載の工具構成。
【請求項24】
前記畝状部(76)の一部分を除去する手段は、前記表面層の最終的な縁部に近接する位置(ED)且つ前記精密切削工具(60)に近接する位置(TD)に配置される従来式荒削り工具(67)である、請求項23に記載の工具構成。
【請求項25】
前記予備加工手段は、
前記耐摩耗性上表面層(31)の前記上側縁部(18、19)の畝状部(76)の一部分を除去する手段を含む中間予備加工手段と、
前記中間予備加工手段の前に配置される第1の予備加工手段であって、
前記第1の縁部(1)において前記床パネルの前記表面層(31)の少なくとも一部分を取り除く手段を含む第1の予備加工用工具(60)を含む第1の予備加工手段と、である、
請求項16〜24のいずれか一項に記載の工具構成。
【請求項26】
前記予備加工手段は、前記耐摩耗性上表面層(31)の畝状部(76)の一部分を潤滑により軟化させる手段及び/又は加熱により軟化させる手段(67)を含む、請求項16〜22のいずれか一項に記載の工具構成。
【請求項27】
前記軟化手段は、レーザー及び/又は赤外線電球及び/又は熱風ファン及び/又は高温スライドシュー及び/又はマイクロ波加熱炉及び/又はワックス装置を含む、請求項26に記載の工具構成。
【請求項28】
床パネル(1、1′)の対向する縁部(18、19)に機械的固定システムを製作する装置であって、
下側チェーン(70)と、上側ベルト又はチェーン(70b)と、前記対向する縁部を成形する幾つかの工具構成(60)とを含み、前記床パネル(1、1′)が、自身の表側化粧面(31)を前記下側チェーンに接触させて、前記下側チェーン又は前記上側ベルト又はチェーンにより送り方向(FD)に移動され、前記下側チェーンは下側案内装置(70c)により垂直方向及び水平方向に案内されるものにおいて、
前記上側ベルト又はチェーンは、上側案内装置(70b)により水平方向に案内されると共に、前記床パネルを垂直方向に前記下側チェーンの方へと押圧するように構成され、前記案内装置(70b、70c)は、2つの工具構成間における直線的な送り方向からの水平方向の逸脱が前記上側ベルト又はチェーンにおいては前記下側チェーンの対応する逸脱と実質的に等しくなるか又はそれより小さくなるように構成されることを特徴とする装置。
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10a−10e】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図12e】
【図13a】
【図13b】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図16a−16d】
【図17a−17e】
【図18a】
【図18b】
【図19a】
【図19b】
【図19c】
【図20a】
【図20b】
【図20c】
【図20d】
【図20e】
【図20f】
【図21a】
【図21b】
【図22a】
【図22b】
【図23a】
【図23b】
【図8b】
【図8c】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10a−10e】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図12e】
【図13a】
【図13b】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図16a−16d】
【図17a−17e】
【図18a】
【図18b】
【図19a】
【図19b】
【図19c】
【図20a】
【図20b】
【図20c】
【図20d】
【図20e】
【図20f】
【図21a】
【図21b】
【図22a】
【図22b】
【図23a】
【図23b】
【公表番号】特表2013−500879(P2013−500879A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522780(P2012−522780)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050796
【国際公開番号】WO2011/014113
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(504033441)ベーリンゲ、イノベイション、アクチボラグ (17)
【氏名又は名称原語表記】VAELINGE INNOVATION AB
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050796
【国際公開番号】WO2011/014113
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(504033441)ベーリンゲ、イノベイション、アクチボラグ (17)
【氏名又は名称原語表記】VAELINGE INNOVATION AB
【Fターム(参考)】
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