説明

建築用開閉装置における開閉機の支持構造

【課題】駆動軸を備えた駆動部と、駆動部の軸芯方向一端部に連動連結されるブレーキ部とを備えてなる開閉機を躯体に支持する一方、シャッターカーテンが巻装される巻取りドラムの一端部に開閉機の他端側部位が内装されるシャッター装置において、開閉機の躯体への支持作業、開閉機のメンテナンスが容易になるように構成する。
【解決手段】開閉機4を、駆動軸15aに直交状に配される支持片11aを備えた右側支持ブラケット11を介して躯体Bに支持するにあたり、開閉機4は右側支持ブラケット11の貫通孔11bを貫通して支持されるものとし、ブレーキ部14を支持片11aの外面から外方に突出状に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の開口部に設けられる建築用開閉装置における開閉機の支持構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築用開閉装置のなかには、シャッターカーテンを開口部上方の躯体に設けたシャッターケースに内装される巻取りドラムに巻装する一方、巻取りドラムをシャッターケースに内装される開閉機に連動連結して、開閉機を正逆駆動することによりシャッターカーテンの開閉作動がなされるように構成したものがあるが、このような建築用開閉装置において、巻取りドラムの筒内に開閉機を内装することでシャッターケースのコンパクト化を図るようにしたものが知られている。このようなものとしては、巻取りドラムの一端部に開閉機の他端側部位を内装し、開閉機の他端側から突出する駆動軸と巻取りドラムとを連動連結して巻取りドラムの一端部を開閉機(躯体)に対して相対回転自在に支持するとともに、巻取りドラムの一端部から外部に露出する開閉機の一端部を一端側支持ブラケットに固定する一方、巻取りドラムの他端部を他端側支持ブラケットに回転自在に支持し、これら一対のブラケットおよび巻取りドラムにシャッターケースを組込み、該シャッターケースを躯体に固定されるガイドレールの上端部に固定することにより、開閉機を躯体側に固定する構成としたものが提唱されている。そしてこの場合に、開閉機の一端側支持ブラケットへの固定は、ブラケットの内側面(他端側面)に筒体の一端部を固定し、該筒体内に開閉機を遊嵌状に内嵌支持する構成として、該筒体内に収容される開閉機を、筒体とともに巻取りドラムの一端部に内装するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−9450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のものは、開閉機を筒体とともに巻取りドラムの筒内に内装する構成となっているので、筒体を内装する分、巻取りドラムの径を大径にしなければならず、コンパクト化が損なわれるという問題がある。さらに、開閉機は駆動軸が突出する側とは反対の一端側部位から殆どの部位が筒体に挿入される構成となっているため、開閉機をメンテナンスする場合では、開閉機を筒体から取外してから作業しなければならず、煩雑な作業が必要になって作業時間が長引くという問題がある。特に、開閉機は駆動軸が突出する側とは反対側となる一端部側にブレーキ部が設けられる構成となっているが、該ブレーキ部は調整や交換等のメンテナンスが必要となる場合が多く、メンテナンスの都度、開閉機を筒体から取外すような面倒な作業が必要となるため作業性の改善が望まれ、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、駆動軸を備えた駆動部と、駆動部の軸芯方向一端部に連動連結されるブレーキ部とを備えてなる開閉機を躯体側に支持する一方、シャッターカーテンが巻装される巻取りドラムの一端部に開閉機の他端側部位を内装して、巻取りドラムと開閉機とを連動連結するとともに、巻取りドラムを開閉機に対して相対回転自在に支持する構成として、開閉機の駆動に伴う巻取りドラムの回転でシャッターカーテンが躯体開口部を開閉するよう構成された建築用開閉装置において、前記開閉機を、駆動軸に直交状に配されるブラケットを介して躯体側に支持するにあたり、開閉機はブラケットに貫通状に支持されるものとし、ブレーキ部をブラケットの外面から外方に突出配設したことを特徴とする建築用開閉装置における開閉機の支持構造である。
請求項2の発明において、開閉機は、駆動部とブレーキ部との隣接部に外径側に突出するフランジ部が形成されるものとする一方、ブラケットはブレーキ部を貫通する貫通孔が開設されるものとし、開閉機は、ブレーキ部をブラケットの貫通孔に挿通し、フランジ部をブラケットの貫通孔の孔縁に固定したことを特徴とする請求項1に記載の建築用開閉装置における開閉機の支持構造である。
請求項3の発明において、開閉機は、駆動部の他端側に減速部が設けられるものとし、ブレーキ部側のフランジ部と減速部側の外径側部位とを複数の支持ロッドで連結したことを特徴とする請求項2に記載の建築用開閉装置における開閉機の支持構造である。
請求項4の発明において、開閉機が支持されるブラケットは、巻取りドラムとともにシャッターケースに内装されるものとし、ブラケットの外面の屋内外方向中間部に外方に向けて突出する連結部材を設ける一方、躯体に固定されシャッターカーテンの側縁部をガイドするガイドレールをシャッターケース内にまで延出して、前記連結部材をガイドレールの延出部に固定して開閉機を躯体側に支持させるとともに、開閉機のブラケットから外方に突出するブレーキ部を、ガイドレールの外端より外方に突出しないように配設したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の建築用開閉装置における開閉機の支持構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、巻取りドラム、さらには、シャッターケースのコンパクト化に寄与できるばかりでなく、開閉機のメンテナンス作業の作業性の改善、作業時間の短縮を図ることができる。
請求項2の発明とすることにより、簡単な構成で開閉機をブラケットに支持できる。
請求項3の発明とすることにより、開閉機を片持ち状の支持でありながら開閉機の他端側が垂下するような不具合を防止できる。
請求項4の発明とすることにより、ブラケットの躯体側への固定を簡単、かつ容易に行なうことができるうえ、ガイドレールへの荷重負荷を軽減できる。そのうえ、シャッターケースのコンパクト化を図れて汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1(A)、(B)はそれぞれシートシャッター装置の一部を切欠いた正面図、縦断面図である。
【図2】図1(A)におけるX−X断面図である。
【図3】図3(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ連結部材が固定された右側支持ブラケットの側面図、平面図、底面図、正面図である。
【図4】図4(A)、(B)、(C)はそれぞれ開閉機の側面図、正面図、側面図である。
【図5】開閉機に右側支持ブラケットが組込まれた正面図である。
【図6】図6(A)、(B)はそれぞれ図5の平面図、側面図である。
【図7】一部を切欠いた要部の一部断面正面図である。
【図8】一部を切欠いた要部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
つぎに、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
図面において、1は建築物(躯体B)に形成される開口部を開閉して建築物の内外を仕切るシートシャッター装置のシャッターカーテンであって、該シャッターカーテン1は、可撓性を有したシート材からなり、躯体Bに開設される開口部の上部に屋内側に向けて突出配設されたシャッターケース2に回転自在に内装された円筒状の巻取りドラム3に巻装されている。そして、巻取りドラム3の一端部の筒内には、後述するように、開閉機4が内装される状態で連動連結されており、巻取りドラム3に巻装されるシャッターカーテン1は、開閉機4の開閉駆動に基づいて巻取りドラム3から巻出されて開口部を閉鎖する全閉姿勢と、巻取りドラム3に巻取られて開口部を開放する全開姿勢とのあいだを姿勢変姿して開口部を開閉するが、このときシャッターカーテン1の左右両側縁部は、開口部の左右方向両側となる躯体Bにそれぞれ固定される左右一対のガイドレール5にそれぞれ移動案内されるように設定されており、これらの基本構成は何れも従来通りとなっている。
【0009】
前記シャッターカーテン1は、左右両側縁部の全長にわたって補強シート1aがそれぞれ一体化されており、各補強シート1aの左右方向外端縁部には、複数の係止片1bが上下方向に所定間隙を存する状態で設けられている。これら係止片1bは、後述するように、ガイドレール5に抜止め状に嵌合して、上下方向の移動案内を受けるように構成されている。また、シャッターカーテン1下端縁部の左右端部を除く部位には、シート材を折返すことで袋状部1cが形成されており、該袋状部1cにはボトムウエイト1dが内装されている。これによって、シャッターカーテン1の閉鎖作動の過程において、ボトムウエイト1dが錘として作用して閉鎖作動を円滑にするとともに、障害物との当接時にはボトムウエイト1dが緩衝部材として作用して衝撃吸収するように設定されている。
【0010】
また、開口部両側部に設けられる左右一対の長尺状のガイドレール5は、それぞれ開口部の左右両側に位置する躯体Bに固定される第一レール6と、該第一レール6の左右方向内方に積層状に設けられる第二レール7と、シャッターカーテン1の両側部に設けられた係止片1bを上下方向移動自在で、かつ、左右方向への抜止めがなされた状態で内嵌する第三レール8とを備えて構成されている。
前記ガイドレール5は床面とシャッターケース2までのあいだにおいてシャッターカーテン1を案内する構成であるが、本実施の形態の第一レール6は、シャッターケース2内に至る長さに延出した長尺体に形成されている。そして、第一レール6の左右方向内方の側片である左右方向内側片6aには屋内外方向中間部に位置して開口6bが形成されており、これによって、第一レール6は蟻溝状の凹部に形成されている。
【0011】
また、第二レール7は床面からシャッターケース2の下端部に至る長さを有した長尺体に形成されており、左右方向内方が開口する断面コ字状に形成されている。これら第一、第二レール6、7とは、第二レール7の溝底片7aを第一レール6の左右方向内側片6aに螺着することにより一体化されている。そして、第一、第二レール6、7は、屋外側片6c、7bを開口部の両側を構成する躯体Bの各屋内側面に突当てた状態とし、これらを螺着等の一体化手段を実施することにより躯体Bに固定されている。
【0012】
そして、第二レール7の凹溝7c内に、弾性変形可能な樹脂材で構成された第三レール8が設けられているが、前記第三レール8は床面からシャッターケース2の下端部に至る長さを有した長尺体に形成されており、左右方向内方にシャッターカーテン1の係止片1bを嵌合ガイドするガイド片8aが上下方向全長にわたって形成される一方、左右方向外方にボルト9の頭部9aを左右方向抜止め状に嵌合支持するボルト支持片8bが上下方向全長にわたって形成されている。このように構成された第三レール8は、ボルト支持片8bに複数のボルト9の頭部9aを嵌合し、これらボルト9の左右方向外方に向けて突出する各螺子部9bを、第二レール7の溝底片7aに上下方向所定間隙を存して開設された複数の貫通孔7d、および、第一レール6の開口6bにそれぞれ左右方向移動自在に遊嵌状に貫通し、該第一レール6の溝内に突出する螺子部9bの貫通端部にナット9cを螺合することにより、第二レール7から抜止めされた状態で組込まれている。さらに、第一レール6の蟻溝内に位置するボルト9の螺子部9bであって、第二レール7の溝底片7aとナット9cとのあいだに位置する螺子部9bの外周にはコイル弾機9dが介装されており、該コイル弾機9dの付勢力によりボルト頭部9aが左右方向外方に向けて付勢されるように構成されている。
これによって、第三レール8は、ボルト支持片8bが第二レール7の溝底片7aに弾圧する状態で支持されており、シャッターカーテン1に風圧などによる負荷が作用した場合に、前記負荷が所定の大きさの範囲内であれば、図2に示すように、第三レール8がボルト9とともに前後方向に揺動すること、さらには、コイル弾機9dの付勢力に抗して第三レール8がボルト9とともに左右方向内方に変位することに基づいて、係止片1bが第三レール8のガイド片8aから抜出すことなくシャッターカーテン1の変形が許容され、また、シャッターカーテン1に作用する負荷が所定の大きさUよりも大きい場合では、ガイド片8aの弾性変形に基づいて係止片1bが第三レール8から抜出して、シャッターカーテン1、第三レール8の保護が図れるように構成されている。
【0013】
さて、本実施の形態のシートシャッター装置は、シャッターケース2のコンパクト化を図るため、前述したように円筒状に形成される巻取りドラム3の一端側(図1において図面向かって右端側)の筒内に開閉機4が内装されており、開閉機4が内装された巻取りドラム3は、開口部上方に配設されるシャッターケース2内に配設される左右一対の支持ブラケット10、11に回転自在に支持されている。
つまり、巻取りドラム3は、後述するように、左端部(他端部)については、左側支持ブラケット10に回転自在に支持される回転支軸12に一体的に連結支持される一方、右端部(一端部)については右側支持ブラケット11に支持される開閉機4に相対回転自在に支持されるように構成されており、開閉機4の右側支持ブラケット11への支持構造、さらには、右側支持ブラケット11の躯体B側への支持構造に本発明が実施されている。
【0014】
まず、左、右側支持ブラケット10、11について説明するが、左、右側支持ブラケット10、11は左右勝手違いとなる関係で略同形状に形成されており、図3には右側支持ブラケット11の詳細が図示されている。前記各支持ブラケット10、11は巻取りドラム3の軸芯に直交する面となる略四角形状の支持片10a、11aを備えて構成されている。前記各支持片10a、11aは屋内側の上下のコーナー部が切欠かれており、中央部にはそれぞれ径の異なる貫通孔10b、11bが開設されている。さらに、これら支持片10a、11aの周回りの端縁にはそれぞれ左右方向内方に向けて折曲された補強片10c、11cがそれぞれ形成されている。
前記左側支持ブラケット10の貫通孔10b形成部位には、図7に示すように、軸受け12aが固定されており、該軸受け12aには、貫通孔10bを貫通する回転支軸12の他端部が軸承されている。そして、回転支軸12の左右方向内方に延出する一端部(右端部)に左側回転部材12bが一体的に外嵌固定されており、該左側回転部材12bの外周部を、巻取りドラム3に周回り方向複数形成される筒長方向に長い凹溝部3aの他端部に螺着することにより、回転支軸12と巻取りドラム3とが連動連結されて、巻取りドラム3の回転作動に連動して左側回転部材12bが回転支軸12とともに一体回転するよう構成されるとともに、巻取りドラム3他端部の左側支持ブラケット10に対する回転自在な支持がなされるように構成されている。
【0015】
一方、右側支持ブラケット11には開閉機4が支持され、該開閉機4を介して巻取りドラム3の一端部が右側支持ブラケット11に回転自在に支持される構成であるが、ここで開閉機4の構成について説明する。
前記開閉機4は、図4に示すように、電動モータからなる駆動部13、該駆動部13のモータ軸13aの一端部(図4において図面向かって右端部)に連動連結されるブレーキ部14、モータ軸13aの他端部に連動連結される駆動軸15aを有した減速部15とを備えて構成されている。
前記駆動部13は筒状のモータケーシング13bに内装されており、モータケーシング13bの他端縁(左端縁)には、ケーシング13bの外径より大径に形成され、第一フランジ部13cを兼用するフロントカバーが一体的に設けられており、該第一フランジ部13cの内径側部位に、減速部15を構成するケーシング15bが突当て状に一体化されている。そして、減速部15のケーシング15bの他端側面から他端側に向けて駆動軸15aが突出しており、該駆動軸15aの突出先端部に、前記回転支軸12に外嵌固定される左側回転部材12bと同様に構成された右側回転部材15cが外嵌固定されている。
【0016】
また、前記駆動部13のモータケーシング13bの一端縁(右端縁)であって、駆動部13とブレーキ部14との隣接部となる部位にはエンドカバー13dが一体的に固定されるが、該エンドカバー13dの外径側には、外径側に突出する第二フランジ部13e(本発明のフランジ部に相当する)が一体形成されている。ここで、前記第二フランジ部13eの外径は、右側支持ブラケット11の貫通孔11bの孔径より大径に設定されており、右側支持ブラケット11の貫通孔11bの孔径はブレーキ部14が遊嵌可能となるように設定されている。そして、エンドカバー13dを貫通して一端側に突出するモータ軸13aの突出端部に、ブレーキ部14(本実施の形態では電磁ブレーキ)が連動連結されている。前記ブレーキ部14は、軸芯方向に所定間隙を存する状態で並列してモータ軸13aに外嵌支持される第一、第二ブレーキディスク14a、14bにより構成されており、他端側に位置する第一ブレーキディスク14aはエンドカバー13dに一体的に固定される一方、第二ブレーキディスク14bはモータ軸13aに対して軸芯方向および回転方向の移動規制を受ける状態で一体化されている。
【0017】
このように構成された開閉機4は、駆動部13の駆動に伴いモータ軸13aが回転駆動することにより、減速部15の駆動軸15a(右側回転部材15c)が減速された状態で回転駆動するように設定されている。また、ブレーキ部14は、駆動部13の駆動に伴い第一、第二ブレーキディスク14a、14bが互いに離間してモータ軸13a(駆動軸15a)の回転を許容する制動解除状態となり、駆動部13の駆動停止に伴い第一、第二ブレーキディスク14a、14b同士が近接してモータ軸13a(駆動軸15a)の回転停止状態を保持する制動状態となるように構成されている。
【0018】
そして、開閉機4は、ブレーキ部14側から右側支持ブラケット11の貫通孔11bを遊嵌状に貫通し、第二フランジ部13eの一端側面(右側端面、外面)を支持片11aの他端側面(左側端面、内面)に突当てた状態とし、第二フランジ部13eを支持片11aの貫通孔11bの孔縁に対して螺子4aを用いて螺着することにより、開閉機4の右側支持ブラケット11への支持固定がなされるように構成されている。前記開閉機4の支持固定状態において、開閉機4のブレーキ部14(第一、第二ブレーキディスク部14a、14b)は、右側支持ブラケット11の支持片11aの外面から左右方向外方に突出して配設されている。また、支持片11aの外方に配設されるブレーキ部14は、第二ブレーキディスク部14bを貫通するモータ軸13aの一端部(右端部)に調整具14cが螺着されている。そして、ブレーキ部14のブレーキ力を調整する場合では、支持片11aの外方に配設される調整具14cの螺合状態を調整することにより、ブレーキ力を調整できるように構成されている。
【0019】
また、開閉機4の右側支持ブラケット11への支持状態は、開閉機4の一端側部位が片持ちされる状態となっている。そこで、開閉機4は、ブレーキ部14側のエンドカバー13d(第二フランジ部13e)側から周回り方向複数の支持ロッド(スルーボルト)4bを挿入し、これら支持ロッド4bの先端を、他端側である減速部15側の外径側部位となる第一フランジ部13cの外径部に螺着してエンドカバー13dと第一フランジ部13cとのあいだを連結している。これによって、開閉機4の他端側(第一フランジ部13c側)の荷重が一端側のエンドカバー13dにより受け止められることになり、開閉機4が右側支持ブラケット11に片持ち状に支持されるものでありながら、開閉機4の他端側部位が自重で垂下するような不具合を防止できるように構成されている。
【0020】
そして、右側支持ブラケット11に組込まれた開閉機4は、他端側部位を巻取りドラム3の一端側筒内に内装し、駆動軸15aに外嵌固定された右側回転部材15cの外周部を、巻取りドラム3に周回り方向複数形成される筒長方向に長い凹溝部3aの一端部に螺着することにより、開閉機4の駆動軸15aと巻取りドラム3とが連動連結されるように構成されている。これによって、巻取りドラム3は、開閉機4の駆動に伴う駆動軸15aの回転により、駆動軸15aとともに一体回転するように構成されるとともに、巻取りドラム3一端部が開閉機4に対して相対回転自在に支持されることにより、右側支持ブラケット11に回転自在に支持されるように構成されている。
【0021】
そして、巻取りドラム3の一端部に開閉機4が内装されるとともに、巻取りドラム3の左右両端部が回転支軸12および開閉機4を介して左、右側支持ブラケット10、11に回転自在に支持されて駆動ユニットとして組込まれた巻取りドラム3は、左、右側支持ブラケット10、11を、シャッターケース2配設位置にまで延出する第一レール6の屋内側片6dに固定することにより、躯体B側への支持がなされる構成となっている。このため、左、右側支持ブラケット10、11の各支持片10a、11aには、左右方向外面にそれぞれ第一レール6に固定するための連結部材16が溶着等の一体化手段を用いて一体的に固定されている。
【0022】
前記連結部材16は上下方向長尺状に形成されており、支持片10a、11aに固定されるブラケット固定片16aと、該ブラケット固定片16aから左右方向外方に向けてL字状に折曲形成され、第一レール6の屋内側片6dであって、第二レール7よりも上方に延出してシャッターケース2内に収容される部位に突当てられるレール固定片16bとを備えて構成されている。前記連結部材16は各支持片10a、11aの屋内外方向中間部に位置して固定されており、レール固定片16bと支持片10a、11aの屋外側端縁との対向間隔が第一レールの屋内外方向幅と同寸法に設定される一方、レール固定片16bの左右方向幅は第一レール6の左右方向幅と同寸法に設定されている。これによって、各支持片10a、11aのレール固定片16bよりも屋外側に形成されるスペースに、第一レール6のシャッターケース2内に至る延出部が丁度納まるように設定されている。
さらに、前述したように、開閉機4のブレーキ部14が右側支持ブラケット11の支持片11aを貫通して左右方向外方に突出しているが、該突出するブレーキ部14は、レール固定片16bの左右方向外端を越えて外方にはみ出すことがないように設定されている。
【0023】
一方、連結部材16のブラケット固定片16aは、支持片11aの屋外側に第一レール6配設用のスペースを確保するため、支持片11aに対し貫通孔10b、11bを跨ぐ状態で固定されることになるため上下二つに分割された形状となっている。そして、上ブラケット固定片16aの上端縁と下ブラケット固定片16aの下端縁とには、それぞれ左右方向外方に向けて折曲された補強片16cが形成されている。また、レール固定片16bの支持片10a、11a側部位には切欠き凹部16dが形成されており、これによって、支持片11aの貫通孔11bを貫通して左右方向外方に突出するブレーキ部14とレール固定片16bとが干渉しないように構成されている。
【0024】
さらに、前記連結部材16のレール固定片16bには、上下端部にそれぞれ左右方向長尺状の長孔16eと真円状の貫通孔16fとがそれぞれ開設されている。これに対し、レール固定片16bが固定される第一レール6の屋内側片6dの上端部には、長孔16eに対向する部位に位置して貫通孔6eが開設され、貫通孔16fに対向する部位に位置してフック6fが設けられている。
そして、駆動ユニットとなった巻取りドラム3は、左、右側支持ブラケット10、11に固定されている各連結部材16のレール固定片16bを、予め躯体Bに固定されている左右の第一レール6のシャッターケース2配設部まで延出する屋内側片6dに突当て、各レール固定片16bの上下一対の貫通孔16fを左右の第一レール6の上下一対のフック6fに係止させることで、ユニット化された巻取りドラム3を第一レール6(躯体B)に仮保持できるように構成されている。続いて、この仮保持状態において、レール固定片16bの上下一対の長孔16eと第一レール屋内側片6dの上下一対の貫通孔6eとにボルト16gを挿通して螺着することにより、ユニット化された巻取りドラム3を躯体B側部材であるガイドレール5に支持固定することができるように構成されている。
【0025】
この場合に、前記螺着作業は、仮保持状態で実施することができて作業性の向上が図れるが、開口部に対して正面から螺着作業することができて、さらなる作業性の向上が図れるように構成されている。
さらに、駆動ユニットとなった巻取りドラム3の第一レール6(ガイドレール5)への支持状態において、左、右側支持ブラケット10、11は各支持片10a、11aの屋内外方向中間部に連結部材16が設けられ、駆動ユニット(巻取りドラム3等)の荷重が作用する部位に近い箇所において第一レール6に支持されるので、駆動ユニットによる第一レール6に作用するモーメントが小さくなって第一レール6への負荷が軽減され、左、右側支持ブラケット10、11の屋内側部位が下方に傾くような不具合が防止され、安定した支持状態とすることができる。
尚、17は左、右側支持ブラケット10、11の第三レール8直上部に位置してそれぞれ設けられるガイド体であって、該ガイド体17は、巻取りドラム3と第三レール8とのあいだにおいてシャッターカーテン1の左右側縁部をガイドするように構成されている。また、シャッターカーテン1に大きな負荷が作用して、シャッターカーテン1の係止片1bが第三レール8のガイド片8aから抜け出した場合では、シャッターカーテン1を全開状態としてからガイド片17を介して閉鎖させることにより、係止片1bが第三レール8のガイド片8cに自動的に嵌合するように構成されている。
【0026】
一方、前記シャッターケース2は、巻取りドラム3の上部を覆う第一ケース部材18と、巻取りドラム3の前方部位、下方部位をそれぞれ覆う前面板19a、下面板19bを備えた第二ケース部材19と、第一、第二ケース部材18、19の左右端部に外嵌する左右一対の第三ケース部材20とにより構成されている。そして、シャッターケース2に内装されるべく、シャッターケース2配設部に延出する第一レール6は、各支持片10a、11aの屋外側端縁、および、連結部材16のレール固定片16bからはみ出すことがなく、また、支持片11aから外方に突出する開閉機4のブレーキ部14は、レール固定片16b、即ち、第一レール6配設位置から外方にはみ出すことがない。このため、シャッターケース2の左右幅を左右のガイドレール5の対向間隔に設定することができて、コンパクト化を図れるように構成されている。
【0027】
そして、シャッターケース2の第一、第二ケース部材18、19は、左、右側支持ブラケット10、11部位までを覆うように構成されており、これら第一、第二ケース部材18、19の左右端部に配される第三ケース部材20は、それぞれ所定の溝深さを有したキャップ状に形成されており、左側の第三ケース部材20は左側支持ブラケット10の左右方向外方に配設される第一レール6、回転支軸12の他端部、軸受け12aを覆い、右側の第三ケース部材20は右側支持ブラケット11の左右方向外方に配設される第一レール6、開閉機4のブレーキ部14を覆うように構成されている。そして、第一ケース部材18は、左、右側支持ブラケット10、11の上端縁に形成される補強片10c、11cに螺着固定され、第二ケース部材19は、第一ケース部材18の前端部と、左、右側支持ブラケット10、11の下端縁に形成される補強片10c、11cとに螺着固定されており、左右の第三ケース部材20は、第一、第二ケース部材18、19の左右端縁部に外嵌せしめ、下端部に設けた取付け片20aをガイドレール5(第一、第二レール6、7)の屋内側片6d、7eに突当てて螺着することにより固定されている。
因みに、シャッターケース2を組込む手順としては、巻取りドラム3を左、右側支持ブラケット10、11に組込んでユニット化したものを第一レール6の上端部(延出部)に固定してから組込むこともできるが、巻取りドラム3を左、右側支持ブラケット10、11に組込むとともに、予めシャッターケース2の第一、第二ケース部材18、19を左、右側支持ブラケット10、11に固定した状態のものを駆動ユニットとして第一レール6の上端部(延出部)に固定し、続いて第三ケース部材20を固定する手順とすることもでき、このようにした場合では、組込み作業が一層簡略化されて作業性が改善する。
【0028】
叙述の如く構成された本形態において、シートシャッター装置は、駆動軸15aを備えた駆動部13と、駆動部13の軸芯方向一端部に連動連結されるブレーキ部14とを備えてなる開閉機4を躯体B側に支持する一方、シャッターカーテン1が巻装される巻取りドラム3の一端部に開閉機4の他端側部位を内装して、巻取りドラム3と開閉機4とを連動連結するとともに、巻取りドラム3を開閉機4に対して相対回転自在に支持する構成として、開閉機4の駆動に伴う巻取りドラム3の回転でシャッターカーテン1が躯体Bの開口部を開閉するように構成されている。このものにおいて、開閉機4は、駆動軸15aに直交状に配される支持片11aを備えた右側支持ブラケット11を介して躯体B側に支持されるが、このとき、開閉機4は右側支持ブラケット11に開設された貫通孔11bを介して貫通状に支持されていて、開閉機4のブレーキ部14が、右側支持ブラケット11の支持片11aの外面から外方に向けて突出して配設されている。このため、従来のブラケットに筒体を設けて、該筒体内に支持された開閉機を巻取りドラムの筒内に内装するもののように、巻取りドラムの内径を筒体を内装する分大径にする必要がなく、巻取りドラム3の内径を開閉機4の外径を遊嵌可能な径に設定すればよいことになって、巻取りドラム3のコンパクト化、さらには、シャッターケース2のコンパクト化に寄与できる。
【0029】
さらに、開閉機4は右側支持ブラケット11に直接支持され、しかも、開閉機4のブレーキ部14は右側支持ブラケット11の外方に露出して設けられているので、開閉機4、特に頻繁に調整や交換等のメンテナンスが必要なブレーキ部14をメンテナンスする場合については、開閉機4を右側支持ブラケット11から取外すことなく、しかも、ブレーキ部14の正面から作業することができ、メンテナンス作業を無理な姿勢をすることなく、正確、かつ、迅速に作業性よく行なうことができて、作業時間の短縮を図ることができる。しかも、本実施の形態にあっては、シャッターケース2を左、右側支持ブラケット10、11の対向間を覆う第一、第二ケース体18、19の両端部に第三ケース体20を外嵌する構成としたので、開閉機4配設側の第三ケース部材20を取外すだけで開閉機4のブレーキ部14を外部に露出させることができ、メンテナンス作業の作業性の改善、作業時間の短縮を一層図ることができる。
【0030】
このように、本発明は、開閉機4のブレーキ部14を右側支持ブラケット11の外面から外方に突出させてメンテナンス性が向上するものであるが、このような構成にする場合に、開閉機4を構成する駆動部13のモータケーシング13bの一端部であって、駆動部13とブレーキ部14との隣接部となる部位に大径の第二フランジ部13eを形成する一方、右側支持ブラケット11の支持片11aに開閉機4のブレーキ部14が貫通する貫通孔11bを開設し、開閉機4側の大径の第二フランジ部13eを支持片11aの内面に突き当てて、第二フランジ部13eを支持片11aの貫通孔11bの孔縁に固定するようにして開閉機4を右側支持ブラケット11に支持固定する構成としたので、簡単な構成で開閉機4を支持させることができるうえ、開閉機4の巻取りドラム3に内装される部位を大径化させるような不具合もなくすことができる。
【0031】
さらに、このものにおいて、開閉機4は軸芯方向一端部が右側支持ブラケット11に支持される片持ち状態となっているが、第二フランジ部13eと、開閉機4の他端側となる減速部15側の外径側部位となる第一フランジ部13cとのあいだを、複数の支持ロッド4bで連結する構成としたので、片持ち状の支持でありながら開閉機4の他端側の荷重が第二フランジ部13eに作用することで、開閉機4の他端側が垂下してしまうような不具合を防止できる。
【0032】
また、このものにおいて、左側支持ブラケット10、および、開閉機4が支持される右側支持ブラケット11は、巻取りドラム3とともにシャッターケース2に内装されるが、この場合に、左、右側支持ブラケット10、11の外面の屋内外方向中間部に外方に向けて突出する連結部材16を設ける一方、躯体Bに固定され、シャッターカーテン1の側縁部をガイドするガイドレール5の第一レール6をシャッターケース2内にまで延出して、前記連結部材16を第一レール6の延出部に固定して開閉機4を躯体B側に支持させる構成となっている。この結果、左、右側支持ブラケット10、11の躯体B側(第一レール6)への固定作業を開口部の正面から行なうことができて固定作業が容易になるばかりでなく、左、右側支持ブラケット10、11の第一レール6への支持位置を巻取りドラム3支持部に近付けることができて、第一レール6に作用する負荷を軽減することができる。さらに、開閉機4のブレーキ部14は右側支持ブラケット11から外方に突出するが、該ブレーキ部14は、第一レール6の左右方向外端より外方に突出しないように配設されているので、シャッターケース2の左右幅をガイドレール5の対向間隔に相当する左右幅に設定することができて、コンパクト化を図ることができるうえ、意匠性に優れたものとなり、設置箇所が限定されることのない汎用性の高いシートシャッター装置とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、建築物の開口部、特に間口幅を充分に確保できないような開口部において利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 シャッターカーテン
1b 係止片
2 シャッターケース
3 巻取りドラム
4 開閉機
4b 支持ロッド
5 ガイドレール
6 第一レール
6d 屋内側片
7 第二レール
8 第三レール
9 ボルト
10 左側支持ブラケット
11 右側支持ブラケット
11a 支持片
11b 貫通孔
12 回転支軸
13 駆動部
14 ブレーキ部
14c 調整具
15 減速部
16 連結部材
16a ブラケット固定片
16b レール固定片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸を備えた駆動部と、駆動部の軸芯方向一端部に連動連結されるブレーキ部とを備えてなる開閉機を躯体側に支持する一方、シャッターカーテンが巻装される巻取りドラムの一端部に開閉機の他端側部位を内装して、巻取りドラムと開閉機とを連動連結するとともに、巻取りドラムを開閉機に対して相対回転自在に支持する構成として、開閉機の駆動に伴う巻取りドラムの回転でシャッターカーテンが躯体開口部を開閉するよう構成された建築用開閉装置において、前記開閉機を、駆動軸に直交状に配されるブラケットを介して躯体側に支持するにあたり、開閉機はブラケットに貫通状に支持されるものとし、ブレーキ部をブラケットの外面から外方に突出配設したことを特徴とする建築用開閉装置における開閉機の支持構造。
【請求項2】
開閉機は、駆動部とブレーキ部との隣接部に外径側に突出するフランジ部が形成されるものとする一方、ブラケットはブレーキ部を貫通する貫通孔が開設されるものとし、開閉機は、ブレーキ部をブラケットの貫通孔に挿通し、フランジ部をブラケットの貫通孔の孔縁に固定したことを特徴とする請求項1に記載の建築用開閉装置における開閉機の支持構造。
【請求項3】
開閉機は、駆動部の他端側に減速部が設けられるものとし、ブレーキ部側のフランジ部と減速部側の外径側部位とを複数の支持ロッドで連結したことを特徴とする請求項2に記載の建築用開閉装置における開閉機の支持構造。
【請求項4】
開閉機が支持されるブラケットは、巻取りドラムとともにシャッターケースに内装されるものとし、ブラケットの外面の屋内外方向中間部に外方に向けて突出する連結部材を設ける一方、躯体に固定されシャッターカーテンの側縁部をガイドするガイドレールをシャッターケース内にまで延出して、前記連結部材をガイドレールの延出部に固定して開閉機を躯体側に支持させるとともに、開閉機のブラケットから外方に突出するブレーキ部を、ガイドレールの外端より外方に突出しないように配設したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の建築用開閉装置における開閉機の支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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