説明

建設機械のアームレスト装置

【課題】アームレストの高さ位置の固定に関わる締結具の緩みを防止することができるとともに、万一、締結具の締付不足等が原因で締結具が緩んでいるとしても、アームレストが落下するのを防止することができる建設機械のアームレスト装置を提供する。
【解決手段】肘を置くアームレスト20aが高さ調節可能に構成される建設機械のアームレスト装置20であって、アームレスト20aを支持する内支柱21と、内支柱21を上下方向に移動自在に支持する外支柱22と、外支柱22に対する内支柱21の相対位置を固定する締結具30と、締結具30を緩める方向への内支柱21と外支柱22との相対移動を止めて締結具30が緩むのを防止する緩み防止手段50と、締結具30が緩んでいる状態(非固定時)にあるとき、外支柱22に対する内支柱21の上下方向の相対移動を止めてアームレスト20aが落下するのを防止する落下防止手段55とを備えるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肘を置くアームレストが高さ調節可能に構成される建設機械のアームレスト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来のアームレスト装置として、例えば特許文献1にて提案されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−331199号公報
【0004】
図17に示されるように、特許文献1に係るアームレスト装置100は、コンソールボックス101の背面側に付設されている。このアームレスト装置100は、アームレスト102を支持する支柱103を備えている。この支柱103は、断面が矩形状で上下方向に円弧状に延びる形状とされ、コンソールボックス101の背面に取り付けられた筒状のガイド104によって上下方向に移動自在とされている。
【0005】
支柱103の背面には、当該支柱103の上下方向の移動量に応じて所定ピッチで半円状の複数の溝103aが設けられている。
ガイド104には、支柱103を保持するための所要のピン105,106が固設されている。ピン105は、支柱103の前面に当接するように、ピン106は、溝103aと係止するように、それぞれ配置されている。
ガイド104の背面上部には、固定螺子107が螺着されている。固定螺子107の先端は、支柱103の背面に接当されている。
【0006】
アームレスト102の高さを調節するときには、固定螺子107を緩め、ピン106と溝103aとの係止状態を解除し、支柱103を少し傾けて長手方向に移動させ、適当な位置でピン106と溝103aとを係止させる。その後、固定螺子107を締めて、係止状態を保持する。
【0007】
ところで、このアームレスト装置100においては、固定螺子107の緩みを防止する手段が施されていない。このため、固定螺子107の締付不足や振動等が原因で、固定螺子107が緩む恐れがある。固定螺子107が緩むと、ピン106と溝103aとの係止状態が解除され、支柱103が少し傾くと、アームレスト102が落下する恐れがあるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、アームレストの高さ位置の固定に関わる締結具の緩みを防止することができるとともに、万一、締結具の締付不足等が原因で締結具が緩んでいるとしても、アームレストが落下するのを防止することができる建設機械のアームレスト装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、第1発明による建設機械のアームレスト装置は、
肘を置くアームレストが高さ調節可能に構成される建設機械のアームレスト装置であって、
前記アームレストを支持する第1の支柱と、
前記第1の支柱を上下方向に移動自在に支持する第2の支柱と、
前記第2の支柱に対する前記第1の支柱の相対位置を固定する締結具と、
上下方向に沿って前記第1の支柱および第2の支柱の一方に固定された丸棒と、前記第1の支柱および第2の支柱の他方における前記丸棒に対向する位置に設けられ、前記丸棒に当接した状態で相対的に上下方向に移動可能な溝部とにより構成される緩み防止手段と、
前記締結具の非固定時に、前記第2の支柱に対する前記第1の支柱の上下方向の相対移動を停止して前記アームレストが落下するのを防止する落下防止手段と、
を備えることを特徴とするものである。
【0010】
第1発明において、
前記第1の支柱および第2の支柱はそれぞれ四角筒状の支柱であり、
前記第2の支柱の内部に前記第1の支柱が挿入され、
前記第2の支柱の一側板部には、前記第1の支柱の上下方向の移動量に応じた長さの長孔が設けられ、
前記第1の支柱の一側板部には、前記長孔に対応する第1の挿通孔が設けられ、
前記第1の支柱の一側板部には、前記第1の挿通孔に対応する雌螺子部を有するナット部材が固着され、
前記第1の支柱の他側板部には、前記雌螺子部に対応する第2の挿通孔が設けられ、
前記締結具は、前記長孔と前記第1の挿通孔とを通して前記雌螺子部にねじ込まれる雄螺子部を有する螺子軸を備えてなり、
前記落下防止手段は、
前記第2の支柱の他側板部に前記第1の支柱の上下方向の移動量に応じて所定ピッチで設けられる複数の係止孔と、
前記雄螺子部と同一軸線上に形成され、前記第2の挿通孔を通して前記複数の係止孔の中から選択される1つの係止孔に突入可能な係止軸部と、
により構成されるものであるとすることができる(第2発明)。
【0011】
第1発明において、
前記第1の支柱および第2の支柱はそれぞれ四角筒状の支柱であり、
前記第2の支柱の内部に前記第1の支柱が挿入され、
前記第2の支柱の一側板部には、挿通孔が設けられ、
前記第1の支柱の一側板部には、当該第1の支柱の上下方向の移動量に応じて所定ピッチで設けられる複数の係止孔と、前記係止孔間にその係止孔の内径寸法より幅寸法を小さくしたストレート孔とからなる長孔が設けられ、
前記第1の支柱の内部には、前記挿通孔に対応する雌螺子部を有するナット部材および回り止めプレートが上下方向に移動自在に組み込まれ、
前記締結具は、前記挿通孔と前記長孔とを通して前記雌螺子部にねじ込まれる雄螺子部を有する螺子軸を備えてなり、
前記落下防止手段は、
前記第1の支柱の一側板部に設けられた前記複数の係止孔と、
前記雄螺子部と同一軸線上に形成され、前記挿通孔を通して前記複数の係止孔の中から選択される1つの係止孔と係合可能な係止軸部と、
により構成されるものであるとすることができる(第3発明)。
【0012】
第3発明において、
前記係止軸部を前記係止孔に押し込む方向に移動させる付勢力を前記螺子軸に作用させるスプリングが設けられるのが好ましい(第4発明)。
【0013】
第1発明において、
前記第1の支柱および第2の支柱はそれぞれ四角筒状の支柱であり、
前記第2の支柱の内部に前記第1の支柱が挿入され、
前記第2の支柱の一側板部には、前記第1の支柱の上下方向の移動量に応じて所定ピッチで設けられる複数の係止孔と、前記係止孔間にその係止孔の内径寸法より幅寸法を小さくしたストレート孔とからなる長孔が設けられ、
前記第1の支柱の一側板部には、前記長孔に対応する挿通孔が設けられ、
前記第1の支柱の内部には、前記挿通孔に対応する雌螺子部を有するナット部材がその第1の支柱の一側板部と他側板部との間で移動自在に組み込まれ、
前記締結具は、前記長孔と前記挿通孔とを通して前記雌螺子部にねじ込まれる雄螺子部を有する螺子軸を備えてなり、
前記落下防止手段は、
前記第2の支柱の一側板部に設けられた前記複数の係止孔と、
前記雄螺子部と同一軸線上に形成され、前記複数の係止孔の中から選択される1つの係止孔と係合可能な係止軸部と、
により構成されるものであるとすることができる(第5発明)。
【0014】
第5発明において、
前記係止軸部を前記係止孔に押し込む方向に移動させる付勢力を前記螺子軸に作用させるスプリングが設けられるのが好ましい(第6発明)。
【0015】
第1発明において、
前記第1の支柱および第2の支柱はそれぞれ四角筒状の支柱であり、
前記第2の支柱の内部に前記第1の支柱が挿入され、
前記第2の支柱の側板部には、挿通孔が設けられ、
前記落下防止手段は、
前記第1の支柱の側板部に前記第1の支柱の上下方向の移動量に応じて所定ピッチで前記挿通孔に対応するように設けられる複数の係止孔と、
前記挿通孔を通して前記複数の係止孔の中から選択される1つの係止孔と係合可能なプランジャと、
により構成されるものであるとすることができる(第7発明)。
【0016】
第7発明において
前記プランジャを前記係止孔に押し込む方向に移動させる付勢力を当該プランジャに作用させるスプリングが設けられるのが好ましい(第8発明)。
【発明の効果】
【0017】
第1発明に係る建設機械のアームレスト装置においては、アームレストを支持する第1の支柱が第2の支柱によって上下方向に移動自在に支持されている。第2の支柱に対する第1の支柱の相対位置は、締結具によって固定される。締結具は、アームレストの高さ位置の固定に関わるものである。
第1の支柱および第2の支柱のうちの一方に固定された丸棒と、第1の支柱および第2の支柱のうちの他方に設けられた溝部とが当接されることにより、締結具を緩める方向への第1の支柱と第2の支柱との相対移動が止められる。これにより、簡易な構成で締結具が緩むのを確実に防止することができる。
万一、締結具の締付不足等が原因で締結具が緩んでいる状態にあるときでも、第2の支柱に対する第1の支柱の上下方向の相対移動が落下防止手段によって止められる。これにより、アームレストが落下するのを防止することができる。
第1発明に係る建設機械のアームレスト装置によれば、アームレストの高さ位置の固定に関わる締結具の緩みを防止することができる。また、万一、締結具の締付不足等が原因で締結具が緩んでいるとしても、アームレストが落下するのを防止することができる。
【0018】
第2発明に係る建設機械のアームレスト装置においては、締結具の螺子軸に雄螺子部と同一軸線上に形成される係止軸部が、第1の支柱に設けられた第2の挿通孔と、第2の支柱に設けられた複数の係止孔の中から選択される1つの係止孔とを通してその選択された係止孔から突出される。これにより、締結具の締付不足等が原因で締結具が緩んでいるとしても、アームレストが落下するのを簡易な構成で確実に防止することができる。
【0019】
第3発明に係る建設機械のアームレスト装置においては、締結具の螺子軸に雄螺子部と同一軸線上に形成される係止軸部が、第1の支柱に設けられた複数の係止孔の中から選択される1つの係止孔と係合される。これにより、締結具の締付不足等が原因で締結具が緩んでいるとしても、アームレストが落下するのを簡易な構成で確実に防止することができる。
【0020】
第4発明に係る建設機械のアームレスト装置においては、係止軸部を係止孔に押し込む方向に移動させる付勢力を締結具の螺子軸に作用させるスプリングが設けられる。こうして、係止軸部が係止孔に向けて押し勝手に付勢されることにより、係止軸部の係止孔への挿入動作をより容易に行うことができる。
また、スプリングの付勢力に抗して係止孔から係止軸部を引き離すように締結具を引っ張らない限り、つまり明確な意思を持って係合解除操作を行わない限り、係止軸部と係止孔との係合状態が解除されない。このため、締結具に対して多少の振動や衝撃が加わったり、締結具に不意に接触したりしても、係止軸部と係止孔との係合状態を安定的に保つことができる。
【0021】
第5発明に係る建設機械のアームレスト装置においては、締結具の螺子軸に雄螺子部と同一軸線上に形成される係止軸部が、第2の支柱に設けられた複数の係止孔の中から選択される1つの係止孔と係合される。これにより、締結具の締付不足等が原因で締結具が緩んでいるとしても、アームレストが落下するのを簡易な構成で確実に防止することができる。
【0022】
第6発明に係る建設機械のアームレスト装置においては、係止軸部を係止孔に押し込む方向に移動させる付勢力を締結具の螺子軸に作用させるスプリングが設けられる。こうして、係止軸部が係止孔に向けて押し勝手に付勢されることにより、係止軸部の係止孔への挿入動作をより容易に行うことができる。
また、スプリングの付勢力に抗して係止孔から係止軸部を引き離すように締結具を引っ張らない限り、つまり明確な意思を持って係合解除操作を行わない限り、係止軸部と係止孔との係合状態が解除されない。このため、締結具に対して多少の振動や衝撃が加わったり、締結具に不意に接触したりしても、係止軸部と係止孔との係合状態を安定的に保つことができる。
【0023】
第7発明に係る建設機械のアームレスト装置においては、プランジャが、第2の支柱に設けられた挿通孔を通して、第1の支柱に設けられた複数の係止孔の中から選択される1つの係止孔と係合される。これにより、締結具の締付不足等が原因で締結具が緩んでいるとしても、アームレストが落下するのを簡易な構成で確実に防止することができる。
【0024】
第8発明に係る建設機械のアームレスト装置においては、プランジャを係止孔に押し込む方向に移動させる付勢力を当該プランジャに作用させるスプリングが設けられる。こうして、プランジャが係止孔に向けて押し勝手に付勢されることにより、プランジャの係止孔への挿入動作をより容易に行うことができる。
また、スプリングの付勢力に抗して係止孔からプランジャを引き離すようにプランジャを引っ張らない限り、つまり明確な意思を持って係合解除操作を行わない限り、プランジャと係止孔との係合状態が解除されない。このため、プランジャに対して多少の振動や衝撃が加わったり、プランジャに不意に接触したりしても、係止軸部と係止孔との係合状態を安定的に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るアームレスト装置を具備する油圧ショベルの全体斜視図
【図2】運転席ユニットの全体斜視図
【図3】コンソールの全体斜視図
【図4】第1の実施形態に係るアームレスト装置の要部縦断面図(a)、(a)のA−A線断面図(b)、(a)のB−B線断面図(c)および(a)のC矢視図(d)
【図5】図4(a)のD部拡大図
【図6】図4(a)のE−E線断面図
【図7】第1の実施形態のアームレスト装置のアームレスト高さ調節動作の説明図で、係止解除状態を表す要部縦断面図(a)および(a)のF−F線断面図(b)
【図8】第2の実施形態に係るアームレスト装置の要部縦断面図(a)、(a)のG−G線断面図(b)、(a)のH−H線断面図(c)および(a)のI矢視図(d)
【図9】図8(a)のJ部拡大図
【図10】第2の実施形態のアームレスト装置のアームレスト高さ調節動作の説明図で、係止状態を表す要部縦断面図(a)、(a)のK−K線断面図(b)、係止解除状態を表す要部縦断面図(c)および(c)のL−L線断面図(d)
【図11】第3の実施形態に係るアームレスト装置の要部縦断面図(a)、(a)のM−M線断面図(b)および(a)のN−N線断面図(c)
【図12】図11のO部拡大図
【図13】第3の実施形態のアームレスト装置のアームレスト高さ調節動作の説明図で、係止状態を表す要部縦断面図(a)、(a)のP−P線断面図(b)、係止解除状態を表す要部縦断面図(c)および(c)のQ−Q線断面図(d)
【図14】本発明の第4の実施形態に係るアームレスト装置の要部の左側面図(a)および背面図(b)
【図15】図14(b)のR−R線断面図(a)、(a)のS−S線断面図(b)および(a)T−T線断面図(c)
【図16】第4の実施形態のアームレスト装置のアームレスト高さ調節動作の説明図で、係止状態を表す要部縦断面図(a)、(a)のU−U線断面図(b)、係止解除状態を表す要部縦断面図(c)および(c)のV−V線断面図(d)
【図17】従来技術の説明図
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明による建設機械のアームレスト装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、油圧ショベルの運転席ユニットに配備されるコンソールに組み付けのアームレスト装置に本発明が適用された例である。しかし、これに限定されるものではなく、油圧ショベル以外の例えばブルドーザやホイールローダ等を含む建設機械に装備されるアームレスト装置にも本発明が適用されるのは言うまでもない。また、以下の説明において、前後左右方向は、特段の断りがない限り、運転席(オペレータシート)に着座したオペレータを基準とする前後左右方向に一致させている。
【0027】
〔第1の実施形態〕
<油圧ショベルの概略説明:図1参照>
図1に示される油圧ショベル1は、履帯式走行装置2aを具備する下部走行体2を備えている。
下部走行体2上には、上部旋回体3が旋回自在に設置されている。
上部旋回体3の前部中央部分には、ブーム4、アーム5およびバケット6が互いに回動自在に連結されてなる作業機7が屈曲起伏自在に取り付けられている。
上部旋回体3の前部左側部分には、運転室を構成するキャブ8が設置されている。
上部旋回体3の後部には、最後部に搭載されるカウンタウェイト9との間においてエンジンフード10等のカバー類で区画形成されるエンジンルーム11が設けられている。
【0028】
<運転席ユニットの概略説明:図2参照>
図2に示されるように、キャブ8内の床部材12上には、運転席ユニット13が設置されている。
運転席ユニット13は、床部材12上に固定される台座14を備えている。この台座14上には、サスペンション装置15を介してオペレータシート16が前後方向に移動調節可能に取り付けられている。オペレータシート16の左右両側には、それぞれコンソール17,17´が配設されている。
左右のコンソール17,17´は、本体部分を構成するコンソール筐体18,18´に、作業機の操作レバー19,19´やアームレスト装置20,20´などが一纏めに配設されて構成されている。
左右のコンソール17,17´に配設されるアームレスト装置20,20´は、基本的に同構造のものである。代表として、左側のコンソール17に配設されるアームレスト装置20について以下に説明する。
【0029】
<アームレスト装置の概略説明:図3参照>
図3に示されるように、アームレスト装置20は、肘を置くアームレスト20aが高さ調節可能に構成されるものである。
アームレスト装置20は、アームレスト20aを支持する四角筒状の内支柱21を備えている。この内支柱21は、コンソール筐体18に立設される四角筒状の外支柱22の内部に挿入されている。外支柱22は、内支柱21を上下方向に移動自在に支持している。
【0030】
<内支柱の説明:図4(a)、図5参照>
図4(a)に示されるように、内支柱21の頂部には、アームレスト20aを上下方向に回動可能に支持するアームレスト支承部23が形成されている。
内支柱21の下部には、外支柱22の後側板部22aに沿って下方に真っ直ぐに延びる脚部24が形成されている。
図5に示されるように、内支柱21の上下方向中間部における後側板部21aには、丸形状の第1の挿通孔25が設けられている。
内支柱21の後側板部21aの内面には、第1の挿通孔25に対応する雌螺子部26aを有するナット部材26が固着されている。
内支柱21の前側板部21bには、ナット部材26の雌螺子部26aに対応する丸形状の第2の挿通孔27が設けられている。
【0031】
<外支柱の説明:図4(d)、図5、図7(b)参照>
図5および図7(b)に示されるように、外支柱22の後側板部22aには、内支柱21の上下方向の移動量に応じた長さの長孔28が設けられている。この長孔28は、角丸長方形状で、内支柱21の後側板部21aに設けられた第1の挿通孔25に対応可能に配置されている。
図4(d)および図5に示されるように、外支柱22の前側板部22bには、内支柱21の上下方向の移動量に応じて上下方向に所定ピッチで4つの係止孔29,・・,29が設けられている。これら係止孔29,・・,29は、いずれも丸形状で、内支柱21の前側板部21bに設けられた第2の挿通孔27に対応可能に配置されている。
【0032】
<締結具の説明:図5参照>
図5に示されるように、内支柱21と外支柱22とは、締結具30によって締結されている。これにより、外支柱22に対する内支柱21の相対位置が固定される。
締結具30は、螺子軸30aの基端部にノブ30bが設けられて構成されている。螺子軸30aは、ノブ30b側から先端側に向かって同一軸線上に順に形成される第1軸部31、第1雄螺子部32、第2軸部33、第2雄螺子部34および第3軸部35をそれぞれ有している。
第1軸部31は、その端面の外周部が外支柱22の長孔28の周縁に接触可能な径寸法に設定されている。
第1雄螺子部32は、外支柱22の長孔28と内支柱21の第1の挿通孔25とを通して、内支柱21に固着されているナット部材26の雌螺子部26aにねじ込まれる。
第2軸部33は、第1雄螺子部32よりも小径で、第1雄螺子部32と第2雄螺子部34とを繋ぐ中間軸の役目をする。
第2雄螺子部34は、第1雄螺子部32と同径かつ同ピッチで、第1雄螺子部32がナット部材26から外れたときに、締結具30が離脱しないようにナット部材26に引っ掛かるストッパとして機能する。
第3軸部35は、内支柱21における第2の挿通孔27と、外支柱22における4つの係止孔29の中から選択される1つの係止孔29とを通してその選択された係止孔29から所定の突出量で突出可能な形状寸法に設定されている。
【0033】
<高さ調整機構の概略説明:図6参照>
図6に示されるように、外支柱22の内部には、高さ調整機構40が組み込まれている。この高さ調整機構40は、外支柱22に対する内支柱21の相対的な位置を段階的に調整することでアームレスト20aの高さ位置を段階的に調整する機構である。この高さ調整機構40は、デテントバネ41と、プレート部材42とを備えている。
【0034】
<デテントバネの説明:図6参照>
デテントバネ41は、内支柱21の底板部21eに固定されている。このデテントバネ41は、上面板部41aの両側部から下方に延びる2本の脚板部41b,41bを有する逆Uの字形状に折り曲げ形成されてなるものである。各脚板部41bの下端部には、内向きに山状に折り曲げられてなる係合山部43が形成されている。このデテントバネ41においては、2本の脚板部41b,41bを外側に押し広げる方向に弾性変形させた状態で、プレート部材42の側面部を両側から挟み込むことができるようになっている。
【0035】
<プレート部材の説明:図6参照>
プレート部材42は、外支柱22の後側板部22aの内面にブロック部材44を介して立ち上がり状に取り付けられている。このプレート部材42は、ボルト45の締付によってブロック部材44に固定される取付板部42aから上方に延びてデテントバネ41の2本の脚板部41b,41bの間に差し込まれる差し込み板部42bを有してなるものである。差し込み板部42bの両側部には、デテントバネ41の左右一組の係合山部43,43が嵌り込む左右一組の係合谷部46,46が内支柱21の上下方向の移動量に応じて上下方向に所定ピッチで4組設けられている。
【0036】
<高さ調整機構の機能説明:図6参照>
この高さ調整機構40においては、デテントバネ41の係合山部43,43とプレート部材42の係合谷部46,46との係合位置を変えることにより、外支柱22に対する内支柱21の相対的な位置を段階的に調整することができ、アームレスト20aの高さ位置を4段階に調整することができる。また、デテントバネ41の係合山部43,43がプレート部材42の係合谷部46,46に係合することで、これらを高さ検知部として機能させて、左右を同じ高さに合わせやすくすることができる。また、左右対称に係合谷部46,46を形成することで、アームレスト20aを上下に移動させるために必要な力のかけかたを均等に設定することができる。
【0037】
<緩み防止手段の説明:図4(a)(b)(c)参照>
さらに、外支柱22の内部には、図4(a)に示されるように、緩み防止手段50が組み込まれている。この緩み防止手段50は、締結具30を緩める方向への内支柱21と外支柱22との相対移動を止めて締結具30が緩むのを防止するものである。
この緩み防止手段50は、図4(c)に示されるように、丸棒51と反力受けプレート52とを備えて構成されている。
丸棒51は、外支柱22の後側板部22aの内面に上下方向に沿って固着されている。なお、この丸棒51においては、内支柱21の上下方向の移動量に対応するため、その長さ寸法が、外支柱22に設けられた4つの係止孔29,・・,29の配置領域の上下方向の距離よりも長くされている。また、丸棒51の高さ方向に配置に関し、丸棒51は、4つの係止孔29,・・,29の最下段の係止孔29よりも下側に位置されている。
反力受けプレート52は、丸棒51に対向する位置に配され、内支柱21の脚部24の下端部に固着されている。この反力受けプレート52には、溝部52aが形成されている。この溝部52aは、丸棒51を両側から挟むように当接する一対の当接面を有するV字形状に形成されている。そして、内支柱21が上下方向に移動する際には、反力受けプレート52が溝部52aの一対の当接面を丸棒51の外周面に当接させた状態で外支柱22に対して相対的に上下方向に移動可能とされている。
ところで、アームレスト20aに左右方向の荷重F(図4(b)参照)が加わると、内支柱21と外支柱22との間の左右方向のクリアランスの範囲内で、内支柱21が外支柱22に対し締結具30の螺子軸30aを中心として左右方向に回動する。この内支柱21の左右方向の回動により、締結具30が緩む恐れがある。
緩み防止手段50においては、内支柱21の上下方向の移動可能範囲の任意の位置で、反力受けプレート52の溝部52aが丸棒51に当接され、内支柱21の左右方向の回動を阻止するための反力が確保されるようになっている。このため、締結具30を緩める方向、言い換えれば締結具30の雄螺子部32に対してナット部材26を緩める方向、すなわち後側から見て締結具30の螺子軸30aを中心として時計回り(右回り)の方向へ、内支柱21を外支柱22に対して回動させるのを止めることができ、締結具30が緩むのを確実に防止することができる。
なお、丸棒51を外支柱22に固着する態様の他に、外支柱22の所要部位に対して絞り加工を施して、丸棒51に相当する凸部を形成する態様もあり得る。また、丸棒51と反力受けプレートの取付位置を逆にすることもできる。
【0038】
<落下防止手段の説明:図5参照>
万一、締結具30の締付不足等が原因で締結具30が緩んでいる状態にあるときでも、アームレスト20aの落下を防止する落下防止手段55が設けられている。この落下防止手段55は、外支柱22に設けられる4つの係止孔29,・・,29と、締結具30の螺子軸30aに設けられる第3軸部35とにより構成されている。
この落下防止手段55においては、締結具30の第3軸部35が、内支柱21の第2の挿通孔27と4つの係止孔29,・・,29の中から選択される1つの係止孔29とを通してその選択された係止孔29から所定の突出量で突出されている。このため、締結具30が多少緩んでいる状態にあるときでも、また締結具30の緩みが更に進行したとしても、係止孔29と第3軸部35とが係止状態にある限り、内支柱21と外支柱22とが第3軸部35によって互いに引っ掛かった状態になり、外支柱22に対する内支柱21の上下方向の相対移動が止められる。これにより、アームレスト20aが落下するのを確実に防止することができる。
【0039】
<高さ調整機構と落下防止手段の関係説明:図4(d)、図6参照>
図4(d)に示される4つの係止孔29,・・,29の上下方向のピッチと図6に示される4組の係合谷部46,46;・・;46,46の上下方向のピッチとは、一致されている。このため、高さ調整機構40によって外支柱22に対する内支柱21の相対的な位置を4段階に調整する際、外支柱22に設けられる4つの係止孔29,・・,29のうちの調整段階毎に対応する1つの係止孔29と、内支柱21の第2の挿通孔27との高さ位置を自動的に一致させることができる。したがって、その高さ調整後において、選択された係止孔29に第3軸部35を突入させる係止操作を容易に行うことができる。
【0040】
<アームレストの高さ調節動作の説明:図5、図6、図7(a)参照>
アームレスト20aの高さを調節するときには、図7(a)に示されるように、係止孔29から第3軸部35が抜けるまで締結具30を緩める。このとき、たとえ第1雄螺子部32がナット部材26から外れるまで締結具30が緩められたとしても、第2雄螺子部34がナット部材26に引っ掛かるため、締結具30の脱落を防止することができる。
次いで、アームレスト20aまたは締結具30のノブ30bを持って内支柱21を外支柱22に対し上下方向に移動させ、アームレスト20aを好みの高さ位置に調整する。この際、高さ調整機構40(図6参照)により、アームレスト20aを4段階の高さ位置に容易に調整することができる。なお、デテントバネ41がプレート部材42を挟み込む付勢力によって、締結具30を締め付ける前の段階でも、アームレスト20aの自然落下を防止することができ、アームレスト20aを好みの高さ位置に保持することができる。
そして、アームレスト20aの好みの高さ位置が定まったら、第1雄螺子部32をナット部材26の雌螺子部にねじ込むようにして締結具30を締め付けて、外支柱22に対する内支柱21の相対位置を固定する。このとき、締結具30の第3軸部35は、図5に示されるように、内支柱21の第2の挿通孔27を通して外支柱の4つの係止孔29,・・,29の中から選択された1つの係止孔29に突入される。
【0041】
<第1の実施形態の作用効果の説明:図4(a)参照>
第1の実施形態のアームレスト装置20においては、締結具30を緩める方向への内支柱21と外支柱22との相対移動が緩み防止手段50によって止められる。これにより、締結具30が緩むのを防止することができる。また、万一、締結具30の締付不足等が原因で締結具30が緩んでいる状態(非固定時)にあるときでも、外支柱22に対する内支柱21の上下方向の相対移動が落下防止手段55によって止められる。これにより、アームレスト20aが落下するのを防止することができる。
【0042】
〔第2の実施形態〕
図8には、本発明の第2の実施形態に係るアームレスト装置の要部縦断面図(a)、(a)のG−G線断面図(b)、(a)のH−H線断面図(c)および(a)のI矢視図(d)がそれぞれ示されている。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同一または同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては、第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
【0043】
<内支柱の説明:図8(a)(d)、図9、図10(b)参照>
図8(a)に示されるように、内支柱21の上下方向中間部における後側板部21aには、当該内支柱21の上下方向の移動量に応じた長さの長孔56が設けられている。さらに、図10(b)に示されるように、内支柱21の後側板部21aには、当該内支柱21の上下方向の移動量に応じて上下方向に所定ピッチで4つの丸形状の係止孔57,・・,57が長孔56と一体的に設けられている。なお、この長孔56において、互いに隣り合う係止孔57,57の間は直線状のストレート孔58とされている。ストレート孔58の左右方向の幅寸法は、係止孔57の内径寸法よりも小さくされている。
図9に示されるように、内支柱21の内部には、長孔56に対応する雌螺子部59aを有するナット部材59が上下方向に移動自在に配されている。
内支柱21の後側板部21aの内面には、ナットガイドプレート60が固着されている。このナットガイドプレート60は、上下方向に延びるスリット部60aを有している。
図8(d)に示されるように、スリット部60aにナット部材59が嵌め込まれることで、ナット部材59が上下方向に案内される。
【0044】
<回り止めプレートの説明:図8(d)、図9参照>
図9に示されるように、内支柱21の後側板部21aの内面とナットガイドプレート60との間には、回り止めプレート61が組み込まれている。
図8(d)に示されるように、回り止めプレート61は、内支柱21の左側板部21cおよび右側板部21dにそれぞれ近接可能な四角板状部材で構成されている。
図9に示されるように、回り止めプレート61には、ナット部材59の雌螺子部59aよりも十分に大きな径の丸孔61aがその雌螺子部59aと同軸線上に位置するように設けられている。ナット部材59と回り止めプレート61とは固着され、両者は一体となってナットガイドプレート60の案内にて上下方向に移動自在とされている。
そして、内支柱21の上下方向の移動範囲における任意の位置において、ナット部材59に対する締結具30の締付・締付解除操作時に、回り止めプレート61の左側部および右側部がそれぞれ内支柱21の左側板部21cおよび右側板部21dにそれぞれ当接して、締結具30の回動操作力に抗する反力を確保するようにされている。こうして、ナット部材59が締結具30と共に回るのを防ぐことができ、ナット部材59に対する締結具30の締付・締付解除操作を確実に行うことができる。
なお、回り止めプレート61の上下方向の移動がスムーズに行われるようにするため、回り止めプレート61に対して適宜の面取り処理が施されている。
【0045】
<外支柱の説明:図9参照>
外支柱22の後側板部22aには、内支柱21の長孔56に対応するように丸形状の挿通孔62が設けられている。
【0046】
<締結具の説明:図9、図10(a)(b)参照>
内支柱21と外支柱22とは、締結具30によって締結されている。これにより、外支柱22に対する内支柱21の相対位置が固定される。
締結具30は、螺子軸30aの基端部にノブ30bが設けられて構成されている。螺子軸30aは、ノブ30b側から先端側に向かって同一軸線上に順に形成される第1軸部65、第2軸部66、雄螺子部67および第3軸部68をそれぞれ有している。
第1軸部65は、その端面の外周部が外支柱22の挿通孔62の周縁に接触可能な径寸法に設定されている。
第2軸部66は、外支柱22の挿通孔62を通して内支柱21の4つの係止孔57,・・,57の中から選択される1つの係止孔57と係合可能で、第1軸部65と雄螺子部67とを繋ぐ中間軸の役目をする。なお、第2軸部66の外径寸法は、内支柱21の長孔56におけるストレート孔58の幅寸法よりも大きいため、第2軸部66はストレート孔58を通過することができない(図10(b)参照)。
雄螺子部67は、外支柱22の挿通孔62と内支柱21の長孔56とを通してナット部材59の雌螺子部59aにねじ込まれる。なお、雄螺子部67の外径寸法は、内支柱21の長孔56におけるストレート孔58の幅寸法よりも小さいため、雄螺子部67はストレート孔58を通過することができる(図10(d)参照)。
第3軸部68は、雄螺子部67よりも小径で、ナット部材59の雌螺子部59a内に配され、この雌螺子部59aへの雄螺子部67のねじ込み操作の際のガイド軸の役目をする。
【0047】
<締結具の付勢手段の説明:図9参照>
締結具30における螺子軸30aの第1軸部65の外周には、圧縮コイル型のスプリング69が装着されている。スプリング69の前端は、第1軸部65の前端部に設けられた外向きのフランジ65aに当接されている。スプリング69の後端は、スプリング69を覆うスプリングカバー70の内向きのフランジ70aに当接されている。スプリングカバー70は、外支柱22の後側板部22aの外面に固定さている。
このスプリング69は、締結具30の第2軸部66を外支柱22の挿通孔62を通して内支柱21の係止孔57に押し込む方向に移動させる付勢力を螺子軸30aに作用させる役目をする。
【0048】
<落下防止手段の説明:図9、図10(b)参照>
万一、締結具30の締付不足等が原因で締結具30が緩んでいる状態(非固定時)にあるときでも、アームレスト20aの落下を防止する落下防止手段55Aが設けられている。この落下防止手段55Aは、内支柱21に設けられる4つの係止孔57,・・・,57と、締結具30の螺子軸30aに設けられる第2軸部66とにより構成されている。
この落下防止手段55Aにおいては、締結具30の第2軸部66が内支柱21に設けられた4つの係止孔57,・・・,57の中から選択される1つの係止孔57と係合される。第2軸部66の外径寸法は、内支柱21の長孔56におけるストレート孔58の幅寸法よりも大きいため、第2軸部66はストレート孔58を通過することができない(図10(b)参照)。このため、締結具30が多少緩んでいる状態にあるときでも、また締結具30の緩みが更に進行して雄螺子部67がナット部材59から外れたとしても、内支柱21と外支柱22とが第2軸部66によって互いに引っ掛かった状態になり、外支柱22に対する内支柱21の上下方向の相対移動が止められる。これにより、アームレスト20aが落下するのを確実に防止することができる。
【0049】
<高さ調整機構と落下防止手段の関係説明:図6、図10(b)参照>
図10(b)に示される4つの係止孔57,・・,57の上下方向のピッチと図6に示される4組の係合谷部46,46;・・;46,46の上下方向のピッチとは、一致されている。このため、高さ調整機構40によって外支柱22に対する内支柱21の相対的な位置を4段階に調整する際、内支柱21に設けられる4つの係止孔57,・・,57のうちの調整段階毎に対応する1つの係止孔57と、外支柱22の挿通孔62との高さ位置を自動的に一致させることができる。したがって、その高さ調整後において、選択された係止孔57に第2軸部66を突入させる係止操作を容易に行うことができる。
【0050】
<アームレストの高さ調節動作の説明:図10(a)〜(d)参照>
アームレスト20aの高さを調節するときには、図10(a)に示されるように、ナット部材59から雄螺子部67が外れるまで締結具30を緩める。このとき、たとえ雄螺子部67がナット部材59から外れるまで締結具30が緩められたとしても、同図(b)に示されるように、締結具30の第2軸部66が4つの係止孔57,・・,57のいずれか1つの係止孔57と係合されている状態が保持されるので、内支柱21と外支柱22とが第2軸部66によって互いに引っ掛かった状態になり、外支柱22に対する内支柱21の上下方向の相対移動が止められ、アームレスト20aが落下するようなことはない。
次いで、アームレスト20aの現在の高さ位置を保持するように持った状態で、同図(c)に示されるように、スプリング69の付勢力に抗して第2軸部66が係止孔57から抜けるまで締結具30を引っ張り、更にスプリング69が全縮状態になるまで締結具を引っ張る。すると、同図(d)に示されるように、螺子軸30aの雄螺子部67が内支柱21の長孔56の位置に配される。雄螺子部67は長孔56におけるストレート孔58を通過することができるため、内支柱21を上下方向に移動させることが可能な状態となる。
次いで、スプリング69が全縮状態になるまで引っ張った締結具30のその状態を保ったまま、アームレスト20aを持って内支柱21を外支柱22に対し上下方向に移動させ、アームレスト20aを好みの高さ位置に調整する。この際、高さ調整機構40(図6参照)により、アームレスト20aを4段階の高さ位置に容易に調整することができる。なお、デテントバネ41がプレート部材42を挟み込む付勢力によって、締結具30を締め付ける前の段階でも、アームレスト20aの自然落下を防止することができ、アームレスト20aを好みの高さ位置に保持することができる。
次いで、アームレスト20aの好みの高さ位置が定まったら、引っ張り続けていた締結具30を離す。すると、スプリング69の付勢力により、締結具30の第2軸部66が外支柱22の挿通孔62を通して内支柱21の4つの係止孔57,・・,57の中から選択された1つの係止孔57に突入され、雄螺子部67がナット部材59の雌螺子部59aに押し当てられる。
そして、雄螺子部59を雌螺子部59aにねじ込むようにして締結具30を締め付けて、外支柱22に対する内支柱21の相対位置を固定する。
【0051】
<第2の実施形態の作用効果の説明:図9参照>
第2の実施形態のアームレスト装置20Aによっても、第1の実施形態のアームレスト装置20と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、第2の実施形態のアームレスト装置20Aにおいては、第2軸部66を係止孔57に押し込む方向に移動させる付勢力を締結具30の螺子軸30aに作用させるスプリング69が設けられる。こうして、第2軸部66が係止孔57に向けて押し勝手に付勢されることにより、第2軸部66の係止孔57への挿入動作をより容易に行うことができる。また、スプリング69の付勢力に抗して係止孔57から第2軸部66を引き離すように締結具30を引っ張らない限り、つまり明確な意思を持って係合解除操作を行わない限り、第2軸部66と係止孔57との係合状態が解除されない。このため、締結具30に対して多少の振動や衝撃が加わったり、締結具30に不意に接触したりしても、第2軸部66と係止孔57との係合状態を安定的に保つことができる。
【0052】
〔第3の実施形態〕
図11には、本発明の第3の実施形態に係るアームレスト装置の要部縦断面図(a)、(a)のM−M線断面図(b)および(a)のN−N線断面図(c)がそれぞれ示されている。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同一または同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては、第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
【0053】
<内支柱の説明:図11(a)参照>
内支柱21の上下方向中間部における後側板部21aには、丸形状の挿通孔71が設けられている。
内支柱21の内部には、ナット部材72が前後方向に移動自在に配されている。
内支柱21の後側板部21aの内面には、ナットガイドシリンダ73が固着されている。
【0054】
<ナット部材の説明:図12参照>
図12に示されるように、ナット部材72は、内支柱21の後側板部21a側から前側板部21b側に向かって同一軸線上に順に形成される小径円筒部と大径円筒部との境界を示す段付き面72aを有している。
ナット部材72の中心部には、後端位置から前端側に向かって所定の長さ寸法で、内支柱21の挿通孔71に対応する雌螺子部72bが形成されている。さらに、ナット部材72の中心部には、雌螺子部72bから前端位置に亘って、雌螺子部72bの内径寸法よりも大きな内径寸法で雌螺子部72bと同軸を成す中空部72cが形成されている。
ナット部材72における大径円筒部の外周面には、回り止めプレート部72dが一体的に設けられている。
【0055】
<回り止めプレート部の説明:図11(b)参照>
図11(b)に示されるように、回り止めプレート部72dは、内支柱21の左側板部21cおよび右側板部21dにそれぞれ近接可能な四角板状部材で構成されている。そして、ナット部材72に対する締結具30の締付・締付解除操作時に、回り止めプレート部72dの左側部および右側部がそれぞれ内支柱21の左側板部21cおよび右側板部21dにそれぞれ当接して、締結具30の回動操作力に抗する反力を確保するようにされている。こうして、ナット部材72が締結具30と共に回るのを防ぐことができ、ナット部材72に対する締結具30の締付・締付解除操作を確実に行うことができる。
【0056】
<ナットガイドシリンダの説明:図12参照>
ナットガイドシリンダ73は、ナット部材72の小径円筒部が嵌合される中空部73aを有している。この中空部73aにナット部材72の小径円筒部が嵌め込まれることで、ナット部材72が前後方向に案内される。
ナットガイドシリンダ73の前端面とナット部材72の段付き面72aとは突き当て可能とされている。これにより、ナットガイドシリンダ73は、ナット部材72の後側への移動を所定位置で止めるストッパとしても役目も兼ねる。
なお、ナットガイドシリンダ73の前部における上半分が大きく切り欠かれているのは、内支柱21の前側の所定位置に形成された開口部21fを通してナット部材72をナットガイドシリンダ73に組み込む際の組込作業を容易にするためである。
【0057】
<外支柱の説明:図13(b)参照>
外支柱22の後側板部22aには、内支柱21の上下方向の移動量に応じた長さの長孔74が設けられている。さらに、外支柱22の後側板部22aには、内支柱21の上下方向の移動量に応じて上下方向に所定ピッチで4つの丸形状の係止孔75,・・,75が長孔74と一体的に設けられている。なお、この長孔74において、互いに隣り合う係止孔75,75の間は直線状のストレート孔76とされている。ストレート孔76の左右方向の幅寸法は、係止孔75の内径寸法よりも小さくされている。
【0058】
<締結具の説明:図12、図13(b)(d)参照>
図12に示されるように、内支柱21と外支柱22とは、締結具30によって締結されている。これにより、外支柱22に対する内支柱21の相対位置が固定される。
締結具30は、螺子軸30aの基端部にノブ30bが設けられて構成されている。螺子軸30aは、ノブ30b側から先端側に向かって同一軸線上に順に形成される第1軸部77、第2軸部78、第1雄螺子部79、第3軸部80および第2雄螺子部81をそれぞれ有している。
第1軸部77は、その端面の外周部が外支柱22の長孔74の周縁に接触可能な径寸法に設定されている。
第2軸部78は、外支柱22の4つの係止孔75,・・,75の中から選択される1つの係止孔75と係合可能で、第1軸部77と第1雄螺子部79とを繋ぐ中間軸の役目をする。なお、第2軸部78の外径寸法は、外支柱22の長孔74におけるストレート孔76の幅寸法よりも大きいため、第2軸部78はストレート孔76を通過することができない(図13(b)参照)。
第1雄螺子部79は、外支柱22の長孔74と内支柱21の挿通孔71とを通してナット部材72の雌螺子部72bにねじ込まれる。なお、第1雄螺子部79の外径寸法は、外支柱22の長孔74におけるストレート孔76の幅寸法よりも小さいため、第1雄螺子部79はストレート孔76を通過することができる(図13(d)参照)。
第3軸部80は、第1雄螺子部79よりも小径で、第1雄螺子部79と第2雄螺子部81とを繋ぐ中間軸の役目をする。
第2雄螺子部81は、第1雄螺子部79と同径かつ同ピッチで、第1雄螺子部79がナット部材72から外れたときに、締結具30が離脱しないようにナット部材72に引っ掛かるストッパとして機能する。
【0059】
<締結具の付勢手段の説明:図12参照>
ナット部材72の外周には、ナットガイドシリンダ73を介して圧縮コイル型のスプリング82が装着されている。スプリング82の前端は、回り止めプレート部72dに当接されている。スプリング82の後端は、内支柱21の後側板部21aの内面に当接されている。
このスプリング82は、締結具30の第2軸部78を外支柱22の係止孔75に押し込む方向に移動させる付勢力をナット部材72を介して螺子軸30aに作用させる役目をする。
【0060】
<落下防止手段の説明:図12、図13(b)参照>
万一、締結具30の締付不足等が原因で締結具が緩んでいる状態(非固定時)にあるときでも、アームレスト20aの落下を防止する落下防止手段55Bが設けられている。この落下防止手段55Bは、外支柱22に設けられる4つの係止孔75,・・,75と、締結具30の螺子軸30aに設けられる第2軸部78とにより構成されている。
この落下防止手段55Bにおいては、締結具30の第2軸部78が外支柱22に設けられた4つの係止孔75,・・,75の中から選択される1つの係止孔75と係合される。第2軸部78の外径寸法は、外支柱22の長孔74におけるストレート孔76の幅寸法よりも大きいため、第2軸部78はストレート孔76を通過することができない(図13(b)参照)。このため、締結具30が多少緩んでいる状態にあるときでも、内支柱21と外支柱22とが第2軸部78によって互いに引っ掛かった状態になり、外支柱22に対する内支柱21の上下方向の相対移動が止められる。これにより、アームレスト20aが落下するのを確実に防止することができる。
【0061】
<高さ調整機構と落下防止手段の関係説明:図6、図13(b)参照>
図13(b)に示される4つの係止孔75,・・,75の上下方向のピッチと図6に示される4組の係合谷部46,46;・・;46,46の上下方向のピッチとは、一致されている。このため、高さ調整機構40によって外支柱22に対する内支柱21の相対的な位置を4段階に調整する際、外支柱22に設けられる4つの係止孔75,・・,75のうちの調整段階毎に対応する1つの係止孔75と、内支柱21の挿通孔71との高さ位置を自動的に一致させることができる。したがって、その高さ調整後において、選択された係止孔75に螺子軸の第2軸部78を突入させる係止操作を容易に行うことができる。
【0062】
<アームレストの高さ調節動作の説明:図13(a)〜(d)参照>
アームレスト20aの高さを調節するときには、締結具30を十分に緩める。このとき、締結具30の第2軸部78は、スプリング82によってナット部材72を介して外支柱22の係止孔75に押し込まれるように付勢されているので、たとえ図13(a)に示されるように、第1雄螺子部79がナット部材72から外れるまで締結具30が緩められたとしても、締結具30の第2軸部78が4つの係止孔75,・・,75のいずれか1つの係止孔75と係合されている状態が保持される。このため、内支柱21と外支柱22とが第2軸部78によって互いに引っ掛かった状態になり、外支柱22に対する内支柱21の上下方向の相対移動が止められ、アームレスト20aが落下するようなことはない。
次いで、アームレスト20aの現在の高さ位置を保持するように持った状態で、図13(c)に示されるように、スプリング82の付勢力に抗してナット部材72の段付き面72aがナットガイドシリンダ73の前端面に当接するまで締結具30を引っ張る。すると、第2軸部78が係止孔75から抜け、更に第1雄螺子部79が外支柱22の長孔74の位置に配される。図13(d)に示されるように、第1雄螺子部79は長孔74におけるストレート孔76を通過することができるため、内支柱21を上下方向に移動させることが可能な状態となる。
次いで、ナット部材72の段付き面72aがナットガイドシリンダ73の前端面に当接するまで引っ張った締結具30のその状態を保ったまま、アームレスト20aまたは締結具30のノブ30bを持って内支柱21を外支柱22に対し上下方向に移動させ、アームレスト20aを好みの高さ位置に調整する。この際、高さ調整機構40(図6参照)により、アームレスト20aを4段階の高さ位置に容易に調整することができる。なお、デテントバネ41がプレート部材42を挟み込む付勢力によって、締結具30を締め付ける前の段階でも、アームレスト20aの自然落下を防止することができ、アームレスト20aを好みの高さ位置に保持することができる。
次いで、アームレスト20aの好みの高さ位置が定まったら、引っ張り続けていた締結具30を離す。すると、スプリング82の付勢力により、締結具30の第2軸部78が外支柱22の4つの係止孔75,・・,75の中から選択された1つの係止孔75に突入される。
そして、第1雄螺子部79をナット部材72の雌螺子部72bにねじ込むようにして締結具30を締め付けて、外支柱22に対する内支柱21の相対位置を固定する。
【0063】
<第3の実施形態の作用効果の説明:図12参照>
第3の実施形態のアームレスト装置20Bによっても、第1の実施形態のアームレスト装置20と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、第3の実施形態のアームレスト装置20Bにおいては、第2軸部78を係止孔75に押し込む方向に移動させる付勢力をナット部材72を介して締結具30の螺子軸30aに作用させるスプリング82が設けられる。こうして、第2軸部78が係止孔75に向けて押し勝手に付勢されることにより、第2軸部78の係止孔75への挿入動作をより容易に行うことができる。また、スプリング82の付勢力に抗して係止孔75から第2軸部78を引き離すように締結具30を引っ張らない限り、つまり明確な意思を持って係合解除操作を行わない限り、第2軸部78と係止孔75との係合状態が解除されない。このため、締結具30に対して多少の振動や衝撃が加わったり、締結具30に不意に接触したりしても、第2軸部78と係止孔75との係合状態を安定的に保つことができる。
【0064】
〔第4の実施形態〕
図14には、本発明の第4の実施形態に係るアームレスト装置の要部の左側面図(a)および背面図(b)がそれぞれ示されている。また、図15には、図14(b)のR−R線断面図(a)、(a)のS−S線断面図(b)および(a)のT−T線断面図(c)がそれぞれ示されている。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同一または同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては、第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
【0065】
<内支柱の説明:図15(a)参照>
図15(a)に示されるように、内支柱21の上下方向中間部における後側板部21aには、丸形状の挿通孔83が設けられている。
内支柱21の後側板部21aの内面には、挿通孔83に対応する雌螺子部84aを有するナット部材84が固着されている。
内支柱21の上下方向中間部における左側板部21cには、当該内支柱21の上下方向の移動量に応じて上下方向に所定ピッチで丸形状の4つの係止孔85,・・,85が設けられている。
【0066】
<外支柱の説明:図14(b)、図15(a)、図16(a)参照>
図14(b)および図15(a)に示されるように、外支柱22の後側板部22aには、内支柱21の上下方向の移動量に応じた長さの長孔86が設けられている。この長孔86は、角丸長方形状で、内支柱21の後側板部21aに設けられた挿通孔83に対応可能に配置されている。
図16(a)に示されるように、外支柱22の左側板部22cには、内支柱21の4つの係止孔85,・・,85の中から選択された1つの係止孔85に対応するように丸形状の挿通孔87が設けられている。
【0067】
<締結具の説明:図15(a)参照>
内支柱21と外支柱22とは、締結具30によって締結されている。これにより、外支柱22に対する内支柱21の相対位置が固定される。
締結具30は、螺子軸30aの基端部にノブ30bが設けられて構成されている。螺子軸30aは、ノブ30b側から先端側に向かって同一軸線上に順に形成される軸部88および雄螺子部89をそれぞれ有している。
軸部88は、その端面の外周部が外支柱22の長孔86の周縁に接触可能な径寸法に設定されている。
雄螺子部89は、外支柱22の長孔86と内支柱21の挿通孔83とを通して、内支柱21に固着されているナット部材84の雌螺子部84aにねじ込まれる。
【0068】
<プランジャ装置の説明:図14(a)(b)、16(a)参照>
図14(a)(b)に示されるように、外支柱22には、プランジャ装置90が付設されている。
図16(a)に示されるように、プランジャ装置90は、外支柱22の左側板部22cの外面に挿通孔87と同心を成して固着されるナット部材91にねじ込まれるケーシング部92を備えている。
ケーシング部92の内部には、プランジャ93が組み込まれている。
プランジャ93は、外支柱22の挿通孔87を通して、4つの係止孔85,・・,85の中から選択される1つの係止孔85と係合可能とされている。
プランジャ93の基端部には、外向きに張り出すようにフランジ部93aが形成されている。
プランジャ93の基端面には、連結軸94が一体的に設けられている。この連結軸94の基端部には、ケーシング部92の後側に位置するようにツマミ95が取り付けられている。このツマミ95を持って係止孔85に対するプランジャ93の抜き差し操作が行われる。
【0069】
<プランジャの付勢手段の説明:図16(a)(b)参照>
ケーシング部92の内部には、連結軸94の外周に装着される圧縮コイル型のスプリング96が組み込まれている。
スプリング96の前端は、プランジャ93のフランジ部93aに当接されている。スプリング96の後端は、ケーシング部92の後端面部に当接されている。
スプリング96は、プランジャ93を内支柱21の係止孔85に押し込む方向に移動させる付勢力を当該プランジャ93に作用させる役目をする。
【0070】
<落下防止手段の説明:図16(a)(b)参照>
万一、締結具30の締付不足等が原因で締結具30が緩んでいる状態(非固定時)にあるときでも、アームレスト20aの落下を防止する落下防止手段55Cが設けられている。この落下防止手段55Cは、内支柱21に設けられる4つの係止孔85,・・,85と、プランジャ93とにより構成されている。
この落下防止手段55Cにおいては、プランジャ93が、外支柱22の挿通孔87と4つの係止孔85,・・,85の中から選択される1つの係止孔85とを通してその選択された係止孔85から突出されている。このため、締結具30が緩んでいる状態にあるときでも、内支柱21と外支柱22とがプランジャ93によって互いに引っ掛かった状態になり、外支柱22に対する内支柱21の上下方向の相対移動が止められる。これにより、アームレスト20aが落下するのを確実に防止することができる。
【0071】
<高さ調整機構と落下防止手段の関係説明:図6、図16(a)(b)参照>
図16(a)(b)に示される4つの係止孔85,・・,85の上下方向のピッチと図6に示される4組の係合谷部46,46;・・;46,46の上下方向のピッチとは、一致されている。このため、高さ調整機構40によって外支柱22に対する内支柱21の相対的な位置を4段階に調整する際、外支柱22に設けられる4つの係止孔85,・・,85のうちの調整段階毎に対応する1つの係止孔85と、内支柱21の挿通孔87との高さ位置を自動的に一致させることができる。したがって、その高さ調整後において、選択された係止孔85にプランジャ93を突入させる係止操作を容易に行うことができる。
【0072】
<アームレストの高さ調節動作の説明:図4(a)、図16(a)〜(d)参照>
アームレスト20aの高さを調節するときには、締結具30を十分に緩める。このとき、プランジャ93は、スプリング96によって内支柱21の係止孔85に押し込まれるように付勢されているので、図16(a)に示されるように、プランジャ93が4つの係止孔85,・・,85のいずれか1つの係止孔85と係合されている状態が保持される。
次いで、アームレスト20aの現在の高さ位置を保持するようにアームレスト20aまたは締結具30のノブ30bを持った状態で、図16(c)に示されるように、スプリング96の付勢力に抗してプランジャ93が係止孔85から抜けるまでツマミ95を持って引っ張り、更にスプリング96が全縮状態になるまでプランジャ93を引っ張る。すると、プランジャ93と係止孔85との係合状態が解除され、内支柱21を上下方向に移動させることが可能な状態となる。
次いで、スプリング96が全縮状態になるまで引っ張ったプランジャ93のその状態を保ったまま、アームレスト20aまたは締結具30のノブ30bを持って内支柱21を外支柱22に対し上下方向に移動させ、アームレスト20aを好みの高さ位置に調整する。この際、高さ調整機構40(図6参照)により、アームレスト20aを4段階の高さ位置に容易に調整することができる。なお、デテントバネ41がプレート部材42を挟み込む付勢力によって、締結具30を締め付ける前の段階でも、アームレスト20aの自然落下を防止することができ、アームレスト20aを好みの高さ位置に保持することができる。
次いで、アームレスト20aの好みの高さ位置が定まったら、引っ張り続けていたツマミ95を離す。すると、スプリング96の付勢力により、プランジャ93が外支柱22の挿通孔87を通して内支柱21の4つの係止孔85,・・,85の中から選択された1つの係止孔85に突入される。
そして、締結具30の雄螺子部89をナット部材84の雌螺子部84aにねじ込むようにして締結具30を締め付けて、外支柱22に対する内支柱21の相対位置を固定する。
【0073】
<第4の実施形態の作用効果の説明:図16参照>
第4の実施形態のアームレスト装置20Cによっても、第1の実施形態のアームレスト装置20と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、第4の実施形態のアームレスト装置20Cにおいては、外支柱22に外付けのプランジャ装置90によってアームレスト20aの落下防止手段55Cが構成されている。このため、既存のアームレスト装置にも適用可能であるという利点がある。
【0074】
以上、本発明の建設機械のアームレスト装置について、複数の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、各実施形態に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の建設機械のアームレスト装置は、アームレストの高さ位置の固定に関わる締結具の緩みを防止することができるとともに、万一、締結具の締付不足等が原因で締結具が緩んでいるとしても、アームレストが落下するのを防止することができるという特性を有していることから、油圧ショベルやブルドーザ、ホイールローダ等の建設機械用のアームレスト装置の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 油圧ショベル(建設機械)
20 アームレスト装置(第1の実施形態)
20A アームレスト装置(第2の実施形態)
20B アームレスト装置(第3の実施形態)
20C アームレスト装置(第4の実施形態)
20a アームレスト
21 内支柱(第1の支柱)
22 外支柱(第2の支柱)
25 第1の挿通孔
26 ナット部材
27 第2の挿通孔
28 長孔
29 係止孔
30 締結具
35 第3軸部(係止軸部)
50 緩み防止手段
51 丸棒
52 反力受けプレート
52a 溝部
55 落下防止手段(第1の実施形態)
55A 落下防止手段(第2の実施形態)
55B 落下防止手段(第3の実施形態)
55C 落下防止手段(第4の実施形態)
56 長孔
57 係止孔
59 ナット部材
62 挿通孔
66 第2軸部(係止軸部)
69 スプリング
71 挿通孔
72 ナット部材
74 長孔
75 係止孔
78 第2軸部(係止軸部)
82 スプリング
83 挿通孔
84 ナット部材
85 係止孔
86 長孔
93 プランジャ
96 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肘を置くアームレストが高さ調節可能に構成される建設機械のアームレスト装置であって、
前記アームレストを支持する第1の支柱と、
前記第1の支柱を上下方向に移動自在に支持する第2の支柱と、
前記第2の支柱に対する前記第1の支柱の相対位置を固定する締結具と、
上下方向に沿って前記第1の支柱および第2の支柱の一方に固定された丸棒と、前記第1の支柱および第2の支柱の他方における前記丸棒に対向する位置に設けられ、前記丸棒に当接した状態で相対的に上下方向に移動可能な溝部とにより構成される緩み防止手段と、
前記締結具の非固定時に、前記第2の支柱に対する前記第1の支柱の上下方向の相対移動を停止して前記アームレストが落下するのを防止する落下防止手段と、
を備えることを特徴とする建設機械のアームレスト装置。
【請求項2】
前記第1の支柱および第2の支柱はそれぞれ四角筒状の支柱であり、
前記第2の支柱の内部に前記第1の支柱が挿入され、
前記第2の支柱の一側板部には、前記第1の支柱の上下方向の移動量に応じた長さの長孔が設けられ、
前記第1の支柱の一側板部には、前記長孔に対応する第1の挿通孔が設けられ、
前記第1の支柱の一側板部には、前記第1の挿通孔に対応する雌螺子部を有するナット部材が固着され、
前記第1の支柱の他側板部には、前記雌螺子部に対応する第2の挿通孔が設けられ、
前記締結具は、前記長孔と前記第1の挿通孔とを通して前記雌螺子部にねじ込まれる雄螺子部を有する螺子軸を備えてなり、
前記落下防止手段は、
前記第2の支柱の他側板部に前記第1の支柱の上下方向の移動量に応じて所定ピッチで設けられる複数の係止孔と、
前記雄螺子部と同一軸線上に形成され、前記第2の挿通孔を通して前記複数の係止孔の中から選択される1つの係止孔に突入可能な係止軸部と、
により構成されるものである請求項1に記載の建設機械のアームレスト装置。
【請求項3】
前記第1の支柱および第2の支柱はそれぞれ四角筒状の支柱であり、
前記第2の支柱の内部に前記第1の支柱が挿入され、
前記第2の支柱の一側板部には、挿通孔が設けられ、
前記第1の支柱の一側板部には、当該第1の支柱の上下方向の移動量に応じて所定ピッチで設けられる複数の係止孔と、前記係止孔間にその係止孔の内径寸法より幅寸法を小さくしたストレート孔とからなる長孔が設けられ、
前記第1の支柱の内部には、前記挿通孔に対応する雌螺子部を有するナット部材および回り止めプレートが上下方向に移動自在に組み込まれ、
前記締結具は、前記挿通孔と前記長孔とを通して前記雌螺子部にねじ込まれる雄螺子部を有する螺子軸を備えてなり、
前記落下防止手段は、
前記第1の支柱の一側板部に設けられた前記複数の係止孔と、
前記雄螺子部と同一軸線上に形成され、前記挿通孔を通して前記複数の係止孔の中から選択される1つの係止孔と係合可能な係止軸部と、
により構成されるものである請求項1に記載の建設機械のアームレスト装置。
【請求項4】
前記係止軸部を前記係止孔に押し込む方向に移動させる付勢力を前記螺子軸に作用させるスプリングが設けられる請求項3に記載の建設機械のアームレスト装置。
【請求項5】
前記第1の支柱および第2の支柱はそれぞれ四角筒状の支柱であり、
前記第2の支柱の内部に前記第1の支柱が挿入され、
前記第2の支柱の一側板部には、前記第1の支柱の上下方向の移動量に応じて所定ピッチで設けられる複数の係止孔と、前記係止孔間にその係止孔の内径寸法より幅寸法を小さくしたストレート孔とからなる長孔が設けられ、
前記第1の支柱の一側板部には、前記長孔に対応する挿通孔が設けられ、
前記第1の支柱の内部には、前記挿通孔に対応する雌螺子部を有するナット部材がその第1の支柱の一側板部と他側板部との間で移動自在に組み込まれ、
前記締結具は、前記長孔と前記挿通孔とを通して前記雌螺子部にねじ込まれる雄螺子部を有する螺子軸を備えてなり、
前記落下防止手段は、
前記第2の支柱の一側板部に設けられた前記複数の係止孔と、
前記雄螺子部と同一軸線上に形成され、前記複数の係止孔の中から選択される1つの係止孔と係合可能な係止軸部と、
により構成されるものである請求項1に記載の建設機械のアームレスト装置。
【請求項6】
前記係止軸部を前記係止孔に押し込む方向に移動させる付勢力を前記螺子軸に作用させるスプリングが設けられる請求項5に記載の建設機械のアームレスト装置。
【請求項7】
前記第1の支柱および第2の支柱はそれぞれ四角筒状の支柱であり、
前記第2の支柱の内部に前記第1の支柱が挿入され、
前記第2の支柱の側板部には、挿通孔が設けられ、
前記落下防止手段は、
前記第1の支柱の側板部に前記第1の支柱の上下方向の移動量に応じて所定ピッチで前記挿通孔に対応するように設けられる複数の係止孔と、
前記挿通孔を通して前記複数の係止孔の中から選択される1つの係止孔と係合可能なプランジャと、
により構成されるものである請求項1に記載の建設機械のアームレスト装置。
【請求項8】
前記プランジャを前記係止孔に押し込む方向に移動させる付勢力を当該プランジャに作用させるスプリングが設けられる請求項7に記載の建設機械のアームレスト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−200473(P2012−200473A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69265(P2011−69265)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】