説明

建設機械のサイドミラー装置

【課題】簡単な構成で、サイドミラーを張り出し位置と引き込み位置との間にて容易に移動させることができる建設機械のサイドミラー装置を提供する。
【解決手段】建設機械のサイドミラー装置は、一端部にサイドミラーを装着したステー21と、このステー21の他端部21bを回動可能且つ上下動可能に保持するステーホルダ22と、ステーホルダ22内にてステー21の他端部21bに取り付けられ、その外周縁に2つのガイド溝を有するガイド部材227と、ステーホルダ22内に設けられ、一方のガイド溝に嵌合した状態でステー21の他端部21bの軸線回りの回動を規制し、ステー21を上方へ移動させるとその嵌合が解除されるガイド爪220と、ガイド部材227をガイド爪220の方向への下向きに付勢する圧縮コイルばね229とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械に設けられているサイドミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば油圧ショベルなどの建設機械においては、運転室内の作業者が建設機械の後方を視認するために、その上部旋回体の前部片側にサイドミラーが取り付けられている。
このような建設機械で使用されるサイドミラーは、視認性を高めるため、上部旋回体の外側へ比較的大きく張り出されている。このため、当該建設機械を輸送用車両に搭載して運搬する際、前記サイドミラーが当該輸送用車両の車幅よりも外側に突出してしまうことがある。このような状態にて建設機械が運搬されれば、輸送用車両の走行中、サイドミラーが電柱や家屋などに接触し、当該サイドミラーのみならず立設物を破損したりするおそれがある。それ故、係る不具合を防止するためにサイドミラーは可動式となっており、建設機械の運搬中には輸送用車両の車幅内に収まるべく引き込み可能である。
【0003】
具体的には、サイドミラーはステーに取り付けられ、当該ステーが支持部材を介して運転室の外面に取り付けられている。そして、当該ステーは、支持部材に対してナットにより締め付けて固定され、当該ナットを緩めることによりサイドミラーを作業時の張出し位置と引き込み位置との間にて可動させることができる。このようなナットによる固定形式の場合、サイドミラーの位置変更に手間取る不具合がある。また、建設機械の作業中や運搬中にナットが緩むとサイドミラーが所定の位置で固定されず、以下のような問題が生じる。例えば、不整地などで作業を行っている際にナットが緩めば、サイドミラーが張り出し位置からずれてしまい、建設機械の作業に支障をきたすおそれがある。また、サイドミラーを引き込み位置に引き込んだ状態で建設機械を運搬している際にナットが緩めば、サイドミラーが引き込み位置から張り出し位置に動き、前述した電柱や家屋などと接触するおそれがある。
【0004】
そこで、従来技術として、ステーの支持部材にノブ付きの係止ピンを取り付け、当該係止ピンの挿抜操作により、支持部材に対するステーの固定及びその解除を行い、サイドミラーの位置変更を容易にかつ確実に行うことを目的とした建設機械用サイドミラー支持装置が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−290030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示する従来公知の建設機械用サイドミラー支持装置は、上述した通り、ノブ付き係止ピンの挿入によりサイドミラーを張り出し位置または引き込み位置に固定し、これに対し、当該ノブ付き係止ピンを引き抜くことによりサイドミラーの固定を解除して、引き込み位置または張り出し位置にサイドミラーを移動させることができ、移動後にノブ付き係止ピンの再挿入により、その位置で固定できるものである。
【0006】
しかしながら、特許文献1の建設機械用サイドミラー支持装置は、ノブ付き係止ピンおよびそれに伴う係止ピンの挿抜機構を付加的に備える必要があり、機構が複雑になっている。このため、部品点数の増加や組み立て作業効率の低下を招き、結果的に製造コストの増加といった問題がある。
本発明は、上記の問題を解決するために提案されたものであり、所定位置でのサイドミラーの固定及びその固定の解除を簡便な機構で容易にかつ確実に行うことができる建設機械のサイドミラー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の本発明の建設機械のサイドミラー装置は、建設機械に装備されたサイドミラー装置であって、サイドミラーを支持する一方、前記建設機械から側方に張り出した張り出し位置及び前記建設機械側の引き込み位置の何れかに選択して位置付け可能な支持手段を備える建設機械のサイドミラー装置において、前記支持手段は、前記サイドミラーが取り付けられた一端部を有するとともに鉛直な他端部を有するステーと、前記建設機械に固定して設けられ、前記ステーの前記他端部を受け入れ、前記サイドミラーを前記張り出し位置と前記引き込み位置との間にて移動させるべく前記他端部をその軸線回りに回動自在に支持するとともに、前記ステーの上下方向の移動を許容するステーホルダと、前記ステーの前記他端部に取り付けられ、前記ステーホルダ内にて前記他端部と一体に回動且つ上下動する回動部材と、前記回動部材にその周方向に離間し且つ前記サイドミラーの前記張り出し位置及び前記引き込み位置に対応して設けられた2つの被嵌合部と、前記ステーホルダ内に設けられ、前記ステーを介して前記回動部材が上下動されることで前記被嵌合部の一方に対する嵌合又は嵌合解除がなされ、前記被嵌合部との嵌合状態にあるときには前記回動部材の回動を拘束し、前記被嵌合部に対応した前記張り出し位置又は前記引き込み位置にて前記サイドミラーを保持する拘束部と、前記ステーホルダ内に配置され、前記被嵌合部に対して前記拘束部が嵌合する上下方向に前記回動部材を介して前記ステーを付勢し、前記拘束部の前記嵌合状態を維持する付勢部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の本発明の建設機械のサイドミラー装置は、請求項1に記載の建設機械のサイドミラー装置において、前記被嵌合部は、前記回動部材の外周縁を切り欠いて形成した溝であり、前記拘束部は、前記溝に嵌合可能な爪であることを特徴とする。
請求項3の本発明の建設機械のサイドミラー装置は、請求項1又は2に記載の建設機械のサイドミラー装置において、前記支持手段は、前記ステーホルダ内に設けられ、前記拘束部の嵌合状態が解除される際、前記ステーの上下ストロークを前記回動部材との当接により規制するストッパを更に備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4の本発明の建設機械のサイドミラー装置は、請求項3に記載の建設機械のサイドミラー装置において、前記付勢部材は、前記ステーの他端部を囲む圧縮コイルばねからなり、前記ストッパは前記圧縮コイルばねと同心的に配置された円筒形状をなしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1乃至請求項4に記載の本発明によれば、ステーの他端部に一体的に取り付けられた回動部材の回動の拘束を、ステー自体をステーの他端部の軸線方向に移動することで解除できるため、別機構を付加しなくても、サイドミラーを張り出し位置及び引き込み位置の何れかに選択して位置付けすることが、容易に、且つ、確実に行うことができる。
請求項2に記載の本発明によれば、更に、回動部材において被嵌合部を溝とし、拘束部を前記溝に嵌合可能な爪としており、回動部材の回動の拘束に係る構造が複雑化せず、故障防止に寄与するとともに組立作業の効率が向上する。
【0011】
請求項3に記載の本発明によれば、更に、ステーホルダ内にストッパを備えているので、ステーが必要以上に、ステーホルダ内に押し込まれる、あるいはステーホルダ内から引き抜かれることが防止される。これにより、サイドミラー装置の故障を防止し、寿命を延ばすことができる。
請求項4に記載の本発明によれば、更に、付勢部材を圧縮コイルばねとし、ストッパを圧縮コイルばねと同心的に配設される円筒形状としているので、ばねの座屈を抑制し、サイドミラー装置の故障を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第一実施例)
以下、本発明に係る建設機械のサイドミラー装置の実施の形態を図面を参照して説明する。
本発明が適用される建設機械としては特に限定はされないが、例えば、図1に示す油圧ショベルに適用した場合を例に説明する。
【0013】
図1の油圧ショベル1は下部走行体11を備え、この下部走行体11上には上部旋回体12が旋回可能に設けられている。上部旋回体12には、その前部左側に運転室13が設けられている。そして、上部旋回体12は、運転室13の内部から作業者が後方を視認するためのサイドミラー装置14、15を備え、これらサイドミラー装置14,15は油圧ショベルの昇降用手すり16,17にそれぞれ配置されている。昇降用手すり16は、運転室13の左側面のドアの縁に沿って配設され、これに対し、昇降用手すり17は上部旋回体12の右側に配設されている。
【0014】
図2は図1におけるA部分の拡大図、すなわち、サイドミラー装置14を示している。サイドミラー装置14は、サイドミラー14mと、このサイドミラー14mを昇降用手すり16に支持させる支持アセンブリ14aとからなり、支持アセンブリ14aは、その一端部にサイドミラー14mを取り付けたステー21と、このステー21の他端部を昇降用手すり16に保持するステーホルダ22とを備えている。
【0015】
より詳しくは、ステー21は、下向きの略U字形状をなす金属製のパイプであって、その一端部21aはサイドミラー14mに取付具3を介して結合されている。この取付具3は、一端部21aに回動可能に外嵌された中空の筒状体31を備え、この筒状体31からはその径方向外側にアーム32が突設されている。一方、サイドミラー14mの背面には台座33が取り付けられ、この台座33から一対のブラケット34が突設されている。これらブラケット34はその間にアーム32の先端を受け入れ、そして、水平なヒンジピン35を介してアーム32に連結されている。このような取付具3によれば、ステー21の一端部21aの回りに筒状体31を介して、サイドミラー14mを水平方向に旋回させることで、サイドミラー14mにおける左右方向の傾き角を調整でき、そして、ヒンジ35を中心としてサイドミラー14mを上下方向に回動させることで、サイドミラー14mの上下方向の傾き角を調整できる。さらに、ステー21の一端部21aにその下端にキャップ4が嵌合されており、このキャップ4はステー21内への土砂や雨水等の侵入を防止する。
【0016】
一方、ステーホルダ22は、昇降用手すり16、すなわち、この昇降用手すり16から水平に突設したブラケット221に取り付けられており、このブラケット221は昇降用手すり16に溶接されている。
ステーホルダ22は、アッパ部材224と、ロア部材225とを有している。アッパ部材224は、その一部がブラケット221に上側からオーバーラップし、当該オーバーラップ部分において一対のボルト223によりブラケット221に固定されている。一方、ロア部材225はアッパ部材224の下側にてブラケット221に隣接して配置されている。
【0017】
ステーホルダ22の内部構造を図3に示す。図3から明らかなように、ステーホルダ22はその内部に円筒状のホルダ室22aを有し、このホルダ室22aはアッパ部材224とロア部材225との間に形成されている。また、アッパ部材224及びロア部材225にはホルダ室22aを避けた位置にねじ孔224c及び貫通孔225cがそれぞれ一対ずつ形成され、組みをなす1つずつのねじ孔224c及び貫通孔225cは互いに同軸にして上下方向に延びている。それ故、締結ボルト226が対応する貫通孔225cを通じてねじ孔224cにそれぞれねじ込まれることで、ロア部材225は一対の締結ボルト226を介してアッパ部材224に結合されている。なお、一対の締結ボルト226の配置、すなわち、一対の貫通孔225cの配置は図4を参照すれば明らかとなる。
【0018】
図3に示されるように、アッパ部材224の上壁には貫通孔224aが穿設されており、この貫通孔224aはステー21の他端部21bが挿通可能な内径を有し、ホルダ室22aに連通している。
一方、ロア部材225の下壁には、貫通孔224aよりも小径の貫通孔225bが穿設されており、この貫通孔225bは貫通孔224aと同軸上に位置付けられ、ホルダ室22aに連通している。
【0019】
前述したホルダ室22a内には、アッパ部材224の貫通孔224aを通じてステー21の他端部21bが配置されており、この他端部21bはその下端にねじ部21cを有する。このねじ部21cは、ステー21の外径よりも小径であって、ステー21の他端部21bに段差を形成する。なお、ねじ部21cはステー21にねじ込むことで取り付けられている。そして、ねじ部21cには円盤状のガイド部材227及びナット228が取り付けられており、このナット228は上述の段差との間にてガイド部材227を挟み込むことで他端部21bに締結固定し、これにより、ガイド部材227は他端部21bと一体に回動可能である。
【0020】
ねじ部21cの下端はナット228から突出し、ロア部材225の貫通孔225bに遊びを存して挿入されている。なお、図3では作図上の都合から、ナット228がロア部材225の下壁から浮き上がった状態で示されているが、通常、ナット228はステー21等の自重により、ロア部材225の下壁に当接した状態にある。
ガイド部材227は、金属製であり、その直径は、ステー21の外径よりも大径であるものの、前記ホルダ室22aの内径よりも小径である。それ故、ガイド部材227の外周がホルダ室22aの内周壁に接触するようなことはない。そして、図4に示すように、ガイド部材227は、その中心にステー21のねじ部21cが挿通される貫通孔271aを有するとともに、その外周縁には、2個のガイド溝227a,227bが切り欠いて形成され、これらガイド溝227a,227bはガイド部材227の周方向に90度の間隔をあけて配置されている。
【0021】
ガイド溝227a,227bの一方には板状のガイド爪220が嵌合されており、このガイド爪220は、前述したホルダ室22aの内周壁からホルダ室22aの中央に向けて突出している。より詳しくは、ガイド爪220は、ホルダ室22aの内周壁を形成するロア部材225の内周面に嵌合して取り付けられている。
ガイド爪220はホルダ室22aの周方向でみて基準位置に配置されており、この基準位置について、以下に説明する。本発明においては、ガイド爪220が前述したガイド部材227のガイド溝227a,227bの一方に嵌合されることで、ガイド部材227を介してステー21の回動角位置、すなわち、サイドミラー14mの位置が決定される。具体的には、図4に示すようにガイド爪220がガイド溝227b内に嵌合されているとき、サイドミラー14mは運転室13の前方の引き込み位置に位置付けられ、これに対し、ガイド爪220がガイド溝227a内に嵌合されているとき、サイドミラー14mは運転室13の側方に大きく張り出した張り出し位置に位置付けられる。
【0022】
ここで、運転室13の上方よりみたときの概略構成を表す図5に示すように、サイドミラー14mが運転室13の側方に張り出した位置を張り出し位置とし、この張り出し位置からサイドミラー14mが運転室13側へ移動された位置、例えば二点鎖線で表されるような位置を引き込み位置とする。
なお、ガイド爪220の基準位置は、任意に決定して構わないが、本実施例においては、図4に示すように、ホルダ室22aの周方向でみて貫通孔225c、225cの略中間に設定されている。また、ガイド爪220は、ガイド部材227のガイド溝227aまたは227bと適切に嵌合可能な突出長さを有する一方、ガイド部材227の厚さ寸法より長くホルダ室22aの軸線方向に延びている。この実施例の場合、ガイド爪220は、図3でみてロア部材225の上面から下壁まで延びている。
【0023】
更に、ホルダ室22a内には、ガイド部材227とアッパ部材224の上壁との間に圧縮コイルばね229が配置されており、この圧縮コイルばね229はステー21の他端部21bを取り囲んでいる。圧縮コイルばね229はガイド部材227を介してステー21を下方、つまり、図3でみて矢印B方向に付勢し、ガイド溝227aまたは227bに対するガイド爪220の嵌合状態を保持する。
【0024】
ここで、例えば、ガイド部材227のガイド溝227a内にガイド爪220が嵌合していて、サイドミラー14mが張り出し位置に位置付けられているとき、ステー21における他端部21bの軸線回りの回動はガイド爪220により阻止されるので、サイドミラー14mは張り出し位置に安定して保持された状態となる。
上述の状態から、圧縮コイルばね229の付勢力に抗してステー21がガイド部材227を伴い矢印C方向に引き上げられると、ガイド部材227のガイド溝227aに対するガイド爪220の嵌合が解除されることから、ステー21はその他端部21bの軸線回りに回動することができる。よって、ステー21を引き上げた状態で、ステー21を介してサイドミラー14mを張り出し位置から引き込み位置に移動させ、そして、ステー21の引き上げを解除すれば、ステー21は自重及び圧縮コイルばね229の付勢力を受けて下降し(矢印B方向)、この場合には、ガイド部材227のガイド溝227b内にガイド爪220が嵌合し、ステー21、つまり、サイドミラー14mは引き込み位置に固定的に保持される。
【0025】
なお、本実施例においては、ブラケット221とステーホルダ22のロア部材225とを別部材としているが、ロア部材225とブラケット221と一体とし、ステーホルダ22を昇降用手すり16に直接的に固定してもよいし、さらには、ブラケット221の有無に拘わらず、ステーホルダ22を運転室13の外面に固定してもよい。
本発明は上述した第一実施例に制約されるものではなく、種々の変形が可能であり、図6〜図9を参照し、第二〜第五実施例のサイドミラー装置について以下に説明する。なお、第二〜第五実施例を説明するにあたり、第一実施例や既に説明した実施例と同一の機能を発揮する部材及び部位には同一の参照符号を付して、これらの説明は省略し、相違する点のみを説明する。
(第二実施例)
図6は第二実施例を示す。
【0026】
第二実施例のステーホルダ23は、第一実施例のロア部材225に代えて板状ロア部材235を備えている。
このロア部材235は4本のボルト236によりアッパ部材224に結合され、これらボルト236はホルダ室22aの周方向に等間隔を存して配置されている。
ロア部材235には、アッパ部材224の貫通孔224aと対向する位置に貫通孔235aが穿設され、この貫通孔235aは貫通孔224aと同一の内径を有する。それ故、貫通孔235aは貫通孔224aと同様にステー21の他端部21bを挿通させることができる。
【0027】
第二実施例の場合、ガイド部材227は、その中央にステー21と同径の貫通孔が穿設されており、当該貫通孔にステー21が挿通される。そして、ガイド部材227は、ステー21のねじ部21cよりも上方においてステー21の他端部21bの外周面に溶接されている。そして、圧縮コイルばね229がガイド部材227とロア部材235との間に配置され、圧縮コイルばね229はガイド部材227を介してステー21を矢印C方向に付勢している。すなわち、ガイド部材227は第一実施例の場合とは異なり、アッパ部材224、つまり、ホルダ室22aの天井面に向けて付勢されている。
【0028】
一方、ガイド爪220はロア部材235ではなく、ホルダ室22aを形成するアッパ部材224の内周面に設けられ、ガイド部材227のガイド溝227aまたは227bに嵌合されている。
図6から明らかなように、ステー21の他端部21bはロア部材235の貫通孔235aを通じてステーホルダ23の下方に突出し、他端部21bのねじ部21cにワッシャ230及びナット228が取り付けられており、ワッシャ230はロア部材235とナット228との間に挟み込まれるように位置付けられ、貫通孔235aの内径よりも大の外径を有する。
【0029】
それ故、ステー21が圧縮コイルばね229により上方(矢印C方向)に付勢されているとき、ガイド部材227がホルダ室22aの天井壁に当接するか、または、ワッシャ230がロア部材235の下面に当接した状態となり、そして、この状態にて、ガイド部材227のガイド溝227aまたは227bにガイド爪220が嵌合している。
第二実施例によれば、ステー21が圧縮コイルばね229の付勢力に抗して下方、つまり、矢印B方向へ押し込まれることにより、ガイド部材227のガイド溝227aまたは227bに対するガイド爪220の嵌合が解除される。これにより、サイドミラー14mは,第一実施例の場合と同様に、ステー21を介して張り出し位置と引き込み位置との間にて移動可能である。
【0030】
本実施例の場合、前述したようにサイドミラー14mが張り出し位置と引き込み位置との間にて移動されるとき、ステー21がステーホルダ22内へ押し込まれることから、ロア部材235にかかる下方への押圧力は第一実施例に比べて強くなる。しかながら、ロア部材235は4本のボルト236によりアッパ部材224に結合されているので、前記押圧力を安定して受け止めることができる。
(第三実施例)
図7の第三実施例は、第一実施例と対比したとき、ホルダ室22a内に配置されたストッパ251を更に備えている点のみで異なる。
【0031】
ストッパ251は、樹脂製の中空筒状部材であって、圧縮コイルばね229よりも若干大きな内径を有するとともに、ガイド部材227と略同一の外径を有する。そして、ストッパ251はホルダ室22aの天井壁に固定された状態で、ガイド部材227に向けて延び、圧縮コイルばね229を部分的に囲んでいる。ストッパ251は、ストッパ251とガイド部材227との間に前述したガイド爪220の嵌合解除に要求されるスペースを確保する一方、圧縮コイルばね229の座屈を防止するのに十分な長さを有する。
【0032】
第三実施例によれば、作業者がステー21を矢印C方向に持ち上げた際、ガイド部材227がストッパ251に当接し、ステー21が必要以上にステーホルダ22から上方に引き抜かれるのを防止する。これにより、ロア部材225の貫通孔225bからステー21のねじ部21cが不所望に抜け出すことはない。また、また、ストッパ251は、圧縮コイルばね229の圧縮量をも制限するばかりでなく、圧縮コイルばね229を外側から囲んでいることで、圧縮コイルばね229の座屈を確実に防止できる。その結果、サイドミラー装置の故障防止、長寿命化を図ることができる。
(第四実施例)
図8の第四実施例は、第二実施例にも第三実施例のストッパ251と同様な機能を発揮するストッパ261を付加したものであって、このストッパ261はロア部材235に固定され、ステー21の押し下げストロークを規制する。
(第五実施例)
図9の第五実施例の場合、ガイド部材227は、その外周縁の半周に亘り、例えば7個のガイド溝227c〜227iを有し、これらガイド溝はガイド部材227の周方向に等間隔を存して配置されている。
【0033】
このような第五実施例の場合、ガイド爪220がガイド溝227c内に嵌合されたとき、例えば、サイドミラー14mが張り出し位置に位置付けられるとすると、ガイド爪220がガイド溝227i内に嵌合されたときには、サイドミラー14mが運転室の前面ガラスとほぼ平行となる位置まで引き込まれて位置付けされることになる。本実施例においては、張り出し位置から引き込み位置までの範囲を広げられるとともに、これら張り出し位置と引き込み位置との間にて、サイドミラー14mの位置を更に5段階に細かく調節することができる。なお、ガイド溝の数は任意に決定して構わない。
【0034】
更にまた、上述した第一〜第五実施例は運転室13側のサイドミラー装置14のみならず、上部旋回体12の右側のサイドミラー装置15に対しても同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】建設機械としての油圧ショベルを示す斜視図である。
【図2】図1における円A内を拡大し、第一実施例に係るサイドミラー装置を示した斜視図である。
【図3】図2のサイドミラー装置のステーホルダを示す断面図である。
【図4】図3のガイド部材を示す平面図である。
【図5】運転室を上方からみたときの概略構成を示す平面図である。
【図6】第二実施例に係るサイドミラー装置のステーホルダを示す断面図である。
【図7】第三実施例に係るサイドミラー装置のステーホルダを示す断面図である。
【図8】第四実施例に係るサイドミラー装置のステーホルダを示す断面図である。
【図9】第五実施例に係るサイドミラー装置のガイド部材の平面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 油圧ショベル(建設機械)
3 取付具
11 下部走行体
12 上部旋回体
13 運転室
14a 支持アセンブリ
14m サイドミラー
14,15 サイドミラー装置
16,17 昇降用手すり
21 ステー
22 ステーホルダ
220 ガイド爪
221 ブラケット
224 アッパ部材
225 ロア部材
227 ガイド部材
227a,b ガイド溝
229 圧縮コイルばね
251 ストッパ
261 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械に装備されたサイドミラー装置であって、サイドミラーを支持する一方、前記建設機械から側方に張り出した張り出し位置及び前記建設機械側の引き込み位置の何れかに選択して位置付け可能な支持手段を備える建設機械のサイドミラー装置において、
前記支持手段は、
前記サイドミラーが取り付けられた一端部を有するとともに鉛直な他端部を有するステーと、
前記建設機械に固定して設けられ、前記ステーの前記他端部を受け入れ、前記サイドミラーを前記張り出し位置と前記引き込み位置との間にて移動させるべく前記他端部をその軸線回りに回動自在に支持するとともに、前記ステーの上下方向の移動を許容するステーホルダと、
前記ステーの前記他端部に取り付けられ、前記ステーホルダ内にて前記他端部と一体に回動且つ上下動する回動部材と、
前記回動部材にその周方向に離間し且つ前記サイドミラーの前記張り出し位置及び前記引き込み位置に対応して設けられた2つの被嵌合部と、
前記ステーホルダ内に設けられ、前記ステーを介して前記回動部材が上下動されることで前記被嵌合部の一方に対する嵌合又は嵌合解除がなされ、前記被嵌合部との嵌合状態にあるときには前記回動部材の回動を拘束し、前記被嵌合部に対応した前記張り出し位置又は前記引き込み位置にて前記サイドミラーを保持する拘束部と、
前記ステーホルダ内に配置され、前記被嵌合部に対して前記拘束部が嵌合する上下方向に前記回動部材を介して前記ステーを付勢し、前記拘束部の前記嵌合状態を維持する付勢部材と
を備えたことを特徴とする建設機械のサイドミラー装置。
【請求項2】
前記被嵌合部は、前記回動部材の外周縁を切り欠いて形成した溝であり、
前記拘束部は、前記溝に嵌合可能な爪であることを特徴とする請求項1に記載の建設機械のサイドミラー装置。
【請求項3】
前記支持手段は、前記ステーホルダ内に設けられ、前記拘束部の嵌合状態が解除される際、前記ステーの上下ストロークを前記回動部材との当接により規制するストッパを更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の建設機械のサイドミラー装置。
【請求項4】
前記付勢部材は、前記ステーの他端部を囲む圧縮コイルばねからなり、
前記ストッパは前記圧縮コイルばねと同心的に配置された円筒形状をなしていることを特徴とする請求項3に記載の建設機械のサイドミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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