説明

建設機械のモニター装置

【課題】モニター装置を大型化することなく、表示画面部の視認性を向上させて操作作業の効率をアップさせる。
【解決手段】モニター装置13をキャビン8内に設けて成る建設機械1のモニター装置13において、前記モニター装置13の表示画面部16はフレキシブルなアーム17によって支持されていると共に、該アーム17と前記表示画面部16との間には、簡易構造のボールジョイント19が介設され、該表示画面部16を任意な角度及び位置に調整できるように設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械のモニター装置に関するものであり、特に、キャビン内にモニター装置が設けられた建設機械のモニター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、此種建設機械は、下部走行体上に上部走行体が旋回可能に搭載され、該上部走行体の前方中央部にブームが俯仰動可能に設けられている。又、該ブームの先端部にアームが上下動可能に枢着されているとともに、該アームの先端部にバケットが上下動可能に取り付けられている。
【0003】
更に、上部走行体の前方一側部にキャビンが設置されていると共に、該キャビンの後方にエンジン室が設けられている。そして、キャビン内に運転室が設けられ、該運転室の側方近傍に操作レバーが配置されている。又、運転室の前方近傍にはモニター装置及び走行レバーが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭58−207423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構造のモニター装置は、運転室近傍にて所定の角度及び位置に固定して設置されている。このため、オペレータは体格、姿勢又は作業操作内容等により、前記表示画面部の目視が困難になることがある。かかる場合には、表示画面部の視認性が低下して、作業操作性及び作業効率が悪化するという問題がある。
【0005】
上記問題を解消するには、例えばモニター装置の表示画面部を大型化することが考えられるが、この場合はキャビン内のスペースが狭小であるため、所要の作業空間が確保されなくなる。
【0006】
又、モニター装置の表示画面部をモータ駆動により可動式にすることも考えられるが、この場合は構造が複雑になり製作コストが高価になる。
【0007】
そこで、構造がシンプルで大型化することなく、表示画面部の視認性を向上させて操作作業性をアップさせるために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、キャビン内にモニター装置が設けられた建設機械のモニター装置において、該モニター装置の表示画面部はフレキシブルなアームによって支持されていると共に、該アームの上端部に前記表示画面部が回動可能に結合され、該表示画面部を任意な角度及び位置に調整できるように構成したことを特徴とする建設機械のモニター装置を提供する。
【0009】
この構成によれば、モニター装置の表示画面部は、フレキシブルなアームによって回動可能に支持されているので、該表示画面部を任意な角度及び位置に調整することができる。依って、オペレータの体格や姿勢等に応じて、前記表示画面部を最も見やすい設置環境に自由に設定変更することができる。
【0010】
請求項2記載の発明では、上記アームは帯状の金属板を螺旋状に形成したフレキシブル
チューブにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の建設機械のモニター装置を提供する。
【0011】
この構成によれば、上記アームは、帯状の金属板を螺旋状に形成したフレキシブルチューブにより構成されているので、所要の自己支持性及び湾曲自在な可撓性の双方を有する。従って、アームは表示画面部を安定的に支持して任意の角度調整及び位置調整が可能になる。
【0012】
請求項3記載の発明は、上記アームは中空状に形成され、且つ、該アーム内に表示画面部用のワイヤハーネスが挿通されていることを特徴とする請求項1又は2記載の建設機械のモニター装置を提供する。
【0013】
この構成によれば、表示画面部に接続されるワイヤハーネスは、中空状のアーム内に挿通して収納されるので、該ワイヤハーネスは外部から見ることはできない。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明では、モニター装置の表示画面部は、オペレータの体格、姿勢又は作業操作内容等に応じた角度及び位置に任意に変更調整できる。従って、前記表示画面部を見やすい設置環境に自由かつ容易に設定でき、以て、作業操作性及び作業効率を向上させることができる。又、モニター装置の表示画面部は大型化することがなく、且つ、駆動モータも不要であり、構造の簡素化が図られる。
【0015】
請求項2記載の発明では、表示画面部を支持するアームは、湾曲自在な可撓性及び自己支持性を有するので、請求項1記載の発明の効果に加えて、表示画面部の重量が大きい場合でも、該表示画面部をアームにより安定して支持できると共に、表示画面部の角度調整及び位置調整を一層簡便に行うことができる。
【0016】
請求項3記載の発明では、表示画面部用のワイヤハーネスは、外部に露出しないようにアーム内に収納したので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、ワイヤハーネスを外力から保護でき、且つ、モニター装置の外観上の見栄えが向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、モニター装置を大型化することなく、表示画面部の視認性を向上させて作業効率をアップさせるという目的を達成するために、キャビン内にモニター装置が設けられた建設機械のモニター装置において、該モニター装置の表示画面部はフレキシブルなアームによって支持されていると共に、該アームの上端部に前記表示画面部が回動可能に結合され、該表示画面部を任意な角度及び位置に調整できるように構成したことによって実現した。
【実施例】
【0018】
以下、本発明に係る好適な一実施例を図1乃至図4に従って説明する。本実施例は、油圧ショベルのモニター装置に適用したものであるが、本発明は油圧ショベル以外の建設機械のモニター装置にも適用可能である。
【0019】
図1は本実施例に係る建設機械としての油圧ショベル1を示す側面図である。同図において、下部走行体2上には上部旋回体3が旋回フレーム4を介して旋回可能に搭載されている。又、上部旋回体3の前方中央部にはブーム5が俯仰動可能に設けられていると共に、該ブーム5の先端部にはアーム6が上下回動可能に枢着されている。更に、アーム6の先端部にはバケット7が上下回動可能に取り付けられている。
【0020】
又、上部旋回体3の前方一側部にはキャビン8が搭載されている。図2はキャビン8内を示す斜視図である。同図に示すように、キャビン8内には運転席10が設置され、該運転席10の左右両側には左操作レバー11及び右操作レバー12が設置されている。
【0021】
更に、運転席10の前方にはモニター装置13及び走行レバー14が設置されている。モニター装置13にはコントローラ(図示せず)が内蔵され、該コントローラは、各種機器類やセンサ等より入力される表示用データを画面表示可能な画像、文字又は記号に変換するデータ変換処理機能を有している。
【0022】
図3はモニター装置13を示す斜視図である。同図に示すように、モニター装置13は、コントローラが内蔵された装置本体部15と、該コントローラにより変換処理された情報に基づき各種データ、例えば、機器類の作業状況などを表示する表示画面部16と、該表示画面部16を支持するフレキシブルな中空状のアーム17と、該アーム17内に挿通されたワイヤハーネス18とから成る。該ワイヤハーネス18は、表示画面部16と装置本体部15とを電気的に接続している。
【0023】
上記表示画面部16は液晶ディスプレー等により形成されている。更に、上記アーム17は、帯状の金属板を螺旋状に多数連結して成るフレキシブルチューブにより形成され、該アーム17の下端部は前記装置本体部15に連結固定されている。
【0024】
上記アーム17は、表示画面部16の重量に十分対応可能な自己支持性及び湾曲自在な可撓性を有し、左右軸及び前後軸の回りに回動して、任意な3次元的な空間位置に自由に移動できるように構成されている。
【0025】
更に、表示画面部16は簡易構造のボールジョイント(球面継手)19を介して、アーム17の上端部に回動可能に連結されている。図4は表示画面部16とアーム17との連結部の具体例を示す。
【0026】
同図に示すように、アーム17の上端部には球体20が回動自在に設けられていると共に、表示画面部16の下側中央部に球体保持部21が固定され、該球体保持部21は球体20を回動可能に保持している。
【0027】
依って、表示画面部16はアーム17上端部に対して前後軸、左右軸及び上下軸(X軸、Y軸及びZ軸)の回りに自由に回動できるように連結支持されている。斯くして、モニター装置13の表示画面部16は、直交3軸方向、即ち、前後軸方向、左右軸方向及び上下軸方向に対する傾斜角及び設定位置を任意に変更調整できるように構成されている。
【0028】
以上の如く本発明によると、モニター装置13の表示画面部16は、ボールジョイント19を介してフレキシブルなアーム17によって支持したので、3次元空間にて任意な角度及び位置に前記表示画面部16を移動させることができる。その結果、オペレータは体格、姿勢又は作業操作内容等に応じて、表示画面部16の角度及び位置を適宜調整することにより、表示画面部16を一層見やすい設置環境に変更することができる。
【0029】
斯くして、モニター装置13の表示画面部16を大型化しなくとも、表示画面部16の視認性が向上して、操作レバー11,12を効率良く操作することができる。又、表示画面部16の角度及び位置を調整する際、オペレータは、アーム17又は表示画面部16を手で任意方向に自由に可動させることができるので、表示画面部16の角度調整及び位置調整を簡便かつ迅速に行うことができる。
【0030】
又、実施例によれば、モニター装置13の表示画面部16を支持するアーム17は、金
属製のフレキシブルチューブにより構成されている。このため、アーム17は所要の自己支持性能及び湾曲自在な可撓性能を有している。従って、表示画面部16の重量が大きい場合でも、アーム17は該表示画面部16を安定して支持できる。更に、表示画面部16を可動するための駆動モータが不要であるため、構造の簡素化が図られる。
【0031】
又、表示画面部16と装置本体部15を接続するワイヤハーネス18は、アーム17内に挿通して収納されているので、ワイヤハーネス18を不測の外力から保護できるだけでなく、該ワイヤハーネス18は外部から見えずモニター装置13の外観上の見栄えが向上する。
【0032】
上記実施例では、表示画面部16は、ボールジョイントを介してアーム17に回動可能に連結したが、ボールジョイントに代えて他の回動連結手段を採択することもできる。
【0033】
尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施例を示し、建設機械としての油圧ショベルの側面図。
【図2】一実施例に係るキャビン内を示す斜視図。
【図3】一実施例に係るモニター装置を示す斜視図。
【図4】一実施例に係るモニター装置の表示画面部とアームとを連結する部分を示す要部断面図。
【符号の説明】
【0035】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 上部旋回体
8 キャビン
10 運転席
13 モニター装置
15 装置本体部
16 表示画面部
17 アーム
18 ワイヤハーネス
19 ボールジョイント(球面継手)
20 球体
21 球体保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビン内にモニター装置が設けられた建設機械のモニター装置において、該モニター装置の表示画面部はフレキシブルなアームによって支持されていると共に、該アームの上端部に前記表示画面部が回動可能に結合され、該表示画面部を任意な角度及び位置に調整できるように構成したことを特徴とする建設機械のモニター装置。
【請求項2】
上記アームは、帯状の金属板を螺旋状に形成したフレキシブルチューブにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の建設機械のモニター装置。
【請求項3】
上記アームは中空状に形成され、且つ、該アーム内に表示画面部用のワイヤハーネスが挿通されていることを特徴とする請求項1又は2記載の建設機械のモニター装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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