説明

建設機械の圧縮空気利用装置

【課題】エアホーン、及び清掃用エアノズルの圧縮空気利用機器を適宜使用することができる建設機械の圧縮空気利用装置を提供することを目的とする。
【解決手段】エアホーン17、及び清掃用エアノズル18の圧縮空気利用機器を使用することができる建設機械の圧縮空気利用装置において、前記エアホーン17に作動用の圧縮空気を蓄積する第1のタンク21と、前記第1のタンク21内に圧縮空気を供給する第1の圧縮機23とそのモータ24と、前記清掃用エアノズル18に作動用の圧縮空気を蓄積する第2のタンク29と、前記第2のタンク29内に圧縮空気を供給する第2の圧縮機31とそのモータ32と、前記第2のタンク29と前記第1のタンク21とを連結する供給管35に設けた逆止弁36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の圧縮空気利用装置に係り、更に詳しくは、エアホーン、及び清掃用エアノズルの圧縮空気利用機器を使用することができる建設機械の圧縮空気利用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の建設機械においては、空気圧で作動するエアホーン等の空気圧作動機器を備えているが、その空気圧作動機器を作動させるための圧力空気を蓄積する空気圧タンクを、建設機械の構成部分の一部、例えば旋回フレームに形成したものがある。また、この空気圧タンクに、例えば、掘削用バケットを洗浄するエアノズル等の空気圧作動機器を連結することにより、エアノズル等の空気圧作動機器を利用可能とするものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−353168号公報(段落0017)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
油圧ショベル等の建設機械においては、機械の稼働中に発生する埃や、粉塵等により、エンジンのエアクリーナ等の吸気側の機器の目詰まりによるエンジンの性能低下や、放熱機器の目詰まりによる放熱性能の低下に伴うオーバヒートや、運転室内の埃付着による運転環境の悪化等の悪影響を受けることがある。
【0005】
これらの悪影響の要因を取り除くために、定期的な清掃作業が必要である。この清掃作業のために、既設されているエアホーンの空気圧を利用して、エアノズルを用いたエア清掃を可能にしたいとの要求がある。この場合、既設されているエアホーンの空気圧低下によるエアホーンの不作動を抑えつつ、エアノズルを用いたエア清掃を可能にしなければならない。
【0006】
既設の1つのエアタンク内の空気圧を、エアホーンの作動用、及びエアノズルによる清掃用として用いる場合、エアホーンの作動のための空気圧を優先的に
確保しておかなければならないため、エアノズルによる清掃時期が制限されてしまうという憾みがある。
【0007】
本発明は、エアホーン、及び清掃用エアノズルの圧縮空気利用機器を適宜使用することができる建設機械の圧縮空気利用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、エアホーン、及び清掃用エアノズルの圧縮空気利用機器を使用することができる建設機械の圧縮空気利用装置において、前記エアホーンに作動用の圧縮空気を蓄積する第1のタンクと、前記第1のタンク内に圧縮空気を供給する第1の圧縮機とその駆動用のモータと、前記清掃用エアノズルに作動用の圧縮空気を蓄積する第2のタンクと、前記第2のタンク内に圧縮空気を供給する第2の圧縮機とその駆動用のモータと、前記第2のタンクと前記第1のタンクとを連結する供給管と、前記供給管に、前記第2のタンクから前記第1のタンクへの圧縮空気の流入を許容するように設けた逆止弁とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記第1のタンクに、設定圧P1で接点を閉じる第1の圧力スイッチと、前記第2のタンクに、前記設定圧P1より小さい設定圧P2で接点を閉じる第2の圧力スイッチとを更に設け、前記第1の圧縮機のモータ、及び前記第2の圧縮機のモータは、前記第1及び第2の圧力スイッチの閉じにより、それぞれ電源に非接続となるように電気的に接続されていることを特徴とする。
【0010】
更に、第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記逆止弁は、第2の圧力スイッチの設定圧P2より小さい設定圧に設定されていることを特徴とする。
【0011】
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、前記第2のタンクに、第3のタンクを更に連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、エアホーン、及び清掃用エアノズルの圧縮空気利用機器を適宜使用することができるので、エアホーンの作動が可能であると共に、定期的なエア清掃が可能となり、建設機械稼働中に発生する埃や、粉塵等により、エンジンのエアクリーナ等の吸気側の機器の目詰まりによるエンジンの性能低下や、放熱機器の目詰まりによる放熱性能の低下に伴うオーバヒートや、運転室内の埃付着による運転環境の悪化等の悪影響を改善することができる。その結果、建設機械の信頼性が更に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の建設機械の圧縮空気利用装置の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1及び図2は、本発明の建設機械の圧縮空気利用装置の一実施の形態を備えた建設機械を示すのもで、図1は、本発明の建設機械の圧縮空気利用装置の一実施の形態を備えた建設機械の正面図、図2は図1に示す本発明の建設機械の圧縮空気利用装置の一実施の形態を備えた建設機械をII−II矢視から見た前面図である。
【0014】
図1及び図2において、1は油圧ショベル等の建設機械であり、この例としては大型の油圧ショベルを示してある。2はその走行フレーム、3は走行フレームの左右両側に装設した無限軌道式走行装置、4は走行フレーム2の上部に旋回可能に搭載された旋回フレーム、5はこの旋回フレーム4上の前方部に上下方向に回動可能に(俯仰動可能に)取り付けられた多関節型のフロント装置、6は旋回フレーム4上の左側前方部に配設された運転室、7はこの運転室5の下方に配設され制御盤(図示せず)等を収納する運転室ベッド、8は旋回フレーム4上に配設され各種機器を収納する機械室、9は旋回フレーム4上に設けられ操作者及び作業者が通行可能な通路、10は旋回フレーム4上の後方部に取り付けられたカウンタウエイトである。
【0015】
前述したフロント装置5は、基端部が旋回フレーム4に回動可能に接続されたブーム11と、このブーム11の先端部に回動可能に接続されたアーム12と、このアーム12の先端に回動可能に接続されたバケット13とを備えており、ブーム11、アーム12、及びバケット13は、それぞれブーム用油圧シリンダ14、アーム用油圧シリンダ15、及びバケット用油圧シリンダ16により動作する。
【0016】
前述した運転室ベッド7の前面には、エアホーン17が設けられている。このエアホーン17及び清掃用エアノズル等の圧縮空気利用機器を操作する本発明の建設機械の圧縮空気利用装置の一実施の形態を、図3を用いて説明する。
図3は、本発明の建設機械の圧縮空気利用装置の一実施の形態を示す構成図で、この図3において、図1及び図2に示す符号と同符号のものは同一部分である。
この実施の形態において、圧縮空気利用機器として、エアホーン17及び清掃用エアノズル18を備えている。エアホーン17には、運転室6内に設置したスイッチ19、リレー回路19A、電源26とが接続されており、スイッチ19の操作により圧縮空気を取込み、警報音を発する。清掃用エアノズル18は、例えば、エンジンのエアクリーナ等の吸気側の機器の目詰まり除去、放熱機器の目詰まり除去、運転室内の埃除去等に使用される。
【0017】
エアホーン17は、供給管20によって第1のタンク21に連結されている。第1のタンク21には、供給管22によって第1の圧縮機23が連結されている。この第1の圧縮機23は、モータ24によって駆動される。モータ24はリレー回路25を介して電源26に電気的に接続されている。
【0018】
リレー回路25は、第1のタンク21内の圧力により作動する第1の圧力スイッチ27が閉じることにより、モータ24と電源26との接続を非接続するように作動する。第1の圧力スイッチ27は、第1のタンク21内の圧力が設定圧P1に達すると、その接点を閉じる。
【0019】
清掃用エアノズル18は、供給管28によって第2のタンク29に連結されている。第2のタンク29には、供給管30によって第2の圧縮機31が連結されている。この第2の圧縮機31は、モータ32によって駆動される。モータ32はリレー回路33を介して電源26に電気的に接続されている。
【0020】
リレー回路33は、第2のタンク21内の圧力により作動する第2の圧力スイッチ34が閉じることにより、モータ32と電源26との接続を非接続するように作動する。第2の圧力スイッチ34は、第2のタンク29内の圧力が設定圧P2に達すると、その接点を閉じる。第2の圧力スイッチ34の設定圧P2は、前述した第1の圧力スイッチ27の設定圧P1よりも小さく設定されている。
【0021】
第2のタンク29は、また、供給管35によって第1のタンク21にも連結されている。このため、第2のタンク29内の圧縮空気は、清掃用エアノズル18に供給可能であるとともに、第1のタンク21にも補充供給可能となっている。
【0022】
第1のタンク21と第2のタンク29とを連結する供給管35には、第1のタンク21内の圧縮空気が第2のタンク29内に逆流するのを抑えるとともに、第2のタンク29内の圧縮空気が第1のタンク21に流入するのを許容するための逆止弁36が設けられている。この逆止弁36は、第2のタンク29の設定圧P2より小さい設定圧P3に設定されている。これにより、例えば、第1の圧力スイッチ27、第1の圧縮機23が故障して、第1のタンク21内の圧力が、設定圧P3より低下すると、逆止弁36が開き、第2のタンク29の圧縮空気を第1のタンク21内に補充供給する。
【0023】
前述した第1のタンク21、第1の圧縮機23、モータ24、及び第2のタンク29、第2の圧縮機31、モータ32は、図1に示す運転室ベッド7に設置されている。また、清掃用エアノズル18の供給管28も、図1に示す運転室ベッド7に設置したリールに巻き取られている。清掃用エアノズル18は、図1に示す機械室8の近傍に設置されている。
【0024】
次に、上述した本発明の建設機械の圧縮空気利用装置の一実施の形態の動作を図1及び図2を用いて説明する。
まず、モータ24により第1の第1の圧縮機23が駆動されると、第1の圧縮機23は圧縮空気を供給管22を通して第1のタンク21内に供給する。圧縮空気は第1のタンク21内に蓄積される。第1のタンク21内に蓄積された圧縮空気の圧力が設定圧P1を超えると、第1の圧力スイッチ27が閉じ作動し、リレー回路25を介してモータ24への電源供給を遮断する。これにより、モータ24が停止し、第1のタンク21内の圧力が設定圧P1に維持される。
【0025】
エアホーン17の使用により、第1のタンク21内の圧力が設定圧P1より低下すると、第1の圧力スイッチ27が開作動し、リレー回路25を介してモータ24に電源供給するので、モータ24が作動し、第1の圧縮機23は圧縮空気を供給管22を通して第1のタンク21内に供給する。
【0026】
上述の動作の繰り返しにより、第1のタンク21内には、設定圧P1に維持されるように、圧縮空気が補充供給される。
【0027】
次に、モータ32により第2の圧縮機31が駆動されると、第2の圧縮機31は圧縮空気を供給管30を通して第2のタンク29内に供給する。圧縮空気は第2のタンク29内に蓄積される。第2のタンク29内に蓄積された圧縮空気の圧力が設定圧P2を超えると、第2の圧力スイッチ34が閉じ作動し、リレー回路33を介してモータ32への電源供給を遮断する。これにより、モータ32が停止し、第2のタンク29内の圧力が設定圧P2に維持される。
【0028】
これにより、清掃用エアノズル18によって、例えば、エンジンのエアクリーナ等の吸気側の機器の目詰まり除去、放熱機器の目詰まり除去、運転室内の埃除去等の定期的な清掃が可能である。エアホーン17の使用により、第2のタンク29内の圧力が設定圧P2より低下すると、第2の圧力スイッチ34が開作動し、リレー回路33を介してモータ32に電源供給するので、モータ32が作動し、第2の圧縮機31は圧縮空気を供給管30を通して第2のタンク29内に供給する。
【0029】
上述の動作の繰り返しにより、第2のタンク29内には、設定圧P2に維持されるように、圧縮エアが補充供給される。
【0030】
上述したように、本発明においては、エアホーン17、及び清掃用エアノズル18は、それぞれ第1のタンク21、及び第2のタンク29内の圧縮空気によりそれぞれ作動可能である。また、例えば、第1の圧力スイッチ27、リレー回路25、モータ24のいずれかが故障した場合、第1の圧縮機23によって、第1のタンク21内に圧縮空気を供給することができなくなるが、この場合、第2のタンク29内の圧縮空気が、供給管35、逆止弁36を通して第2のタンク29内に供給補充することができるので、エアホーン17を使用することが可能になる。
【0031】
上述したように、本発明の一実施の形態によれば、エアホーン、及び清掃用エアノズルの圧縮空気利用機器を適宜使用することができるので、エアホーンの作動が可能であると共に、定期的なエア清掃が可能となり、建設機械稼働中に発生する埃や、粉塵等により、エンジンのエアクリーナ等の吸気側の機器の目詰まりによるエンジンの性能低下や、放熱機器の目詰まりによる放熱性能の低下に伴うオーバヒートや、運転室内の埃付着による運転環境の悪化等の悪影響を改善することができる。その結果、建設機械の信頼性が更に向上する。
【0032】
図4は、本発明の建設機械の圧縮空気利用装置の他の実施の形態を示す構成図で、この図4において、図3に示す符号と同符号のものは同一部分である。
この実施の形態は、圧縮空気利用機器としての清掃用エアノズル18からの噴出量を調整するために、供給管28に減圧弁37を設けたものである。
【0033】
この実施の形態においても、前述した本発明の一実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0034】
図5は、本発明の建設機械の圧縮空気利用装置の更に他の実施の形態を示す構成図で、この図5において、図3及び図4に示す符号と同符号のものは同一部分である。
この実施の形態は、圧縮空気の容量不足を補うために、供給管28に供給管38を介して第3の予備用のタンク39を増設したものである。
【0035】
この実施の形態においても、前述した本発明の一実施の形態と同様な効果を得ることができるとともに、圧縮エアの容量不足を補うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の建設機械の圧縮空気利用装置の一実施の形態を備えた建設機械の正面図である。
【図2】図1に示す本発明の建設機械の圧縮空気利用装置の一実施の形態を備えた建設機械をII−II矢視から見た前面図である。
【図3】本発明の建設機械の圧縮空気利用装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図4】本発明の建設機械の圧縮空気利用装置の他の実施の形態を示す構成図である。
【図5】本発明の建設機械の圧縮空気利用装置の更に他の実施の形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0037】
17 エアホーン
18 清掃用エアノズル
21 第1のタンク
23 第1の圧縮機23
24 モータ
25 リレー回路
26 電源
27 第1の圧力スイッチ
29 第2のタンク
31 第2の圧縮機
32 モータ
33 リレー回路
34 第2の圧力スイッチ
36 逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアホーン、及び清掃用エアノズルの圧縮空気利用機器を使用することができる建設機械の圧縮空気利用装置において、
前記エアホーンに作動用の圧縮空気を蓄積する第1のタンクと、
前記第1のタンク内に圧縮空気を供給する第1の圧縮機とその駆動用のモータと、
前記清掃用エアノズルに作動用の圧縮空気を蓄積する第2のタンクと、
前記第2のタンク内に圧縮空気を供給する第2の圧縮機とその駆動用のモータと、
前記第2のタンクと前記第1のタンクとを連結する供給管と、
前記供給管に、前記第2のタンクから前記第1のタンクへの圧縮空気の流入を許容するように設けた逆止弁とを備えた
ことを特徴とする建設機械の圧縮空気利用装置。
【請求項2】
請求項1記載の建設機械の圧縮空気利用装置において、
前記第1のタンクに、設定圧P1で接点を閉じる第1の圧力スイッチと、前記第2のタンクに、前記設定圧P1より小さい設定圧P2で接点を閉じる第2の圧力スイッチとを更に設け、前記第1の圧縮機のモータ、及び前記第2の圧縮機のモータは、前記第1及び第2の圧力スイッチの閉じにより、それぞれ電源に非接続となるように電気的に接続されている
ことを特徴とする建設機械の圧縮空気利用装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の建設機械の圧縮空気利用装置において、
前記逆止弁は、第2の圧力スイッチの設定圧P2より小さい設定圧に設定されている
ことを特徴とする建設機械の圧縮空気利用装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の建設機械の圧縮空気利用装置において、
前記第2のタンクに、第3のタンクを更に連結した
ことを特徴とする建設機械の圧縮空気利用装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate