説明

建設機械の荷重計測装置

【課題】建設機械が曲線状の経路を走行している際には、その際に計測した積荷の荷重の出力を無効する建設機械の荷重計測装置を提供する。
【解決手段】建設機械のボディに積載した積載荷重を、圧力センサによって前側サスペンションシリンダ、及び後側サスペンションシリンダのシリンダ圧を取込んで演算する処理装置を備えた建設機械の荷重計測装置において、建設機械の左右の後輪の速度をそれぞれ検出する後輪速度検出器8a,8bと、前記各後輪速度検出器からの速度差を検出する速度差検出器133と、前記速度差検出器からの各後輪の速度の差が予め設定した設定値以下に達した場合、前記処理装置で演算した積載荷重Wを最終の積載荷重として出力し、予め設定した設定値以上の場合には、前記処理装置で演算した積載荷重Wを最終の積載荷重の出力として無効する最終確認演算部130を有する最終積載荷重確認手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の荷重計測装置に係り、特に、ダンプトラックの荷重の計測精度を向上させるに好適な建設機械の荷重計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した建設機械の荷重計測において、通常の積荷走行中に、荷重の計測に適した状態を得られるかは、経路に依存するところが多い。例えば、地山の切り崩しによる採石現場に見られる山の上方で採石を積込んでそのまま斜面を下る場合などは、走行路に平坦な場所がないため、精度のよい荷重計測が行えないという問題があった。
【0003】
この点を改善するために、走行状態や地面の状態の影響が少ないタイミング、例えば、建設機械の放土の際に行う後進の間に、荷重を計測し、計測値を記録するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−43267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した建設機械の荷重計測においては、荷重計測データを早い段階で取り込むことがデータ管理上望まれている。このため、通常の積荷走行中に荷重を計測することが、有効である。
【0006】
しかしながら、建設機械が曲線状の積荷走行経路を走行している場合、建設機械の左右のバランスが崩れることがあるので、建設機械がこのような曲線状の経路を走行している際には、荷重計測を避ける必要がある。
【0007】
また、前述した特許文献1に記載の発明においても、建設機械の放土の際に行う後進の間の移動経路が、曲線状であることもあるので、このような場合にも、同様に荷重計測を控える必要があるが、このような計測環境に対する対応がなされていないのが現状である。
【0008】
本発明は、上述の事柄に基づいてなされたもので、その目的とするところは、建設機械が曲線状の経路を走行している際には、その際に計測した積荷の荷重の出力を無効する建設機械の荷重計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、建設機械のボディに積載した積載荷重を、圧力センサによって前側サスペンションシリンダ、及び後側サスペンションシリンダのシリンダ圧を取込んで演算する処理装置を備えた建設機械の荷重計測装置において、建設機械の左右の後輪の速度をそれぞれ検出する後輪速度検出器と、前記各後輪速度検出器からの速度差を検出する速度差検出器と、前記速度差検出器からの各後輪の速度の差が予め設定した設定値以下に達した場合、前記処理装置で演算した積載荷重Wを最終の積載荷重として出力し、予め設定した設定値以上の場合には、前記処理装置で演算した積載荷重Wを最終の積載荷重としての出力を無効する最終確認演算部を有する最終積載荷重確認手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、第2の発明は、請求項1に記載の建設機械の荷重計測装置において、車体の速度を検出する車体速度検出器と、前記処理装置からの積載荷重Wを一定の時間内で数回サンプリング計測する積載荷重Wの振れ幅計測部と、前記積載荷重Wの振れ幅計測部からの計測値の平均値を求め、この平均値に対し最大計測値と最初計測値の差が最小になったことを確認する積載荷重の最小振れ幅確認部とを更に備え、前記最終確認演算部は、前記車体速度検出器からの車体の速度が予め設定した設定値以上に達した場合(条件1)と,前記積載荷重の最小振れ幅確認部からの積載荷重が最小振れ幅内である場合(条件2)と,前記速度差検出器からの左右の後輪の速度の差が予め設定した設定値以下に達した場合(条件3)とが満たされた場合に、前記処理装置で演算した積載荷重Wを最終の積載荷重として出力し、前記条件が満たされていない場合に、前記処理装置で演算した積載荷重Wを最終の積載荷重としての出力を無効する最終確認演算部を有する最終確認演算部を有する最終積載荷重確認手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
更に、第3の発明は、第2の発明において、前記最終積載荷重確認手段における前記最終確認演算部は、前記車体速度検出器からの車体の速度を数回取込み、その平均値処理後、数秒間の速度変化が設定値以内であれば、条件1が満たされたとして扱う手順を更に備えたことを特徴とする。
【0012】
また、第4の発明は、第2の発明において、前記最終積載荷重確認手段における前記最終確認演算部は、前記速度差検出器からの後輪速度検出器からの各速度の差が前記設定値よりも小さい値で、数秒後に前述した条件1,2が満たされていれば、前記処理装置からの積載荷重Wを最終の積載荷重として出力する手順を更に備えたことを特徴とする。
【0013】
更に、第5の発明は、建設機械のボディに積載した積載荷重を、圧力センサによって前側サスペンションシリンダ、及び後側サスペンションシリンダのシリンダ圧を取込んで演算する処理装置を備えた建設機械の荷重計測装置において、建設機械の左右の前輪の操舵角度をそれぞれ検出する操舵角度検出器と、前記操舵角度検出器からの操舵角度が予め設定した設定値以上に達した場合、前記処理装置で演算した積載荷重Wを最終の積載荷重として出力し、予め設定した設定値以上の場合には、前記処理装置で演算した積載荷重Wを最終の積載荷重としての出力を無効する最終確認演算部を有する最終積載荷重確認手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、第6の発明は、第1乃至第5の発明のいずれかにおいて、前記建設機械は、ボディに積載した積載荷を移送するダンプトラックであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、建設機械が曲線状の経路を走行している際には、その際に計測した積荷の荷重の出力を無効するようにしたので、建設機械の走行中における積載荷重の計測の精度が向上する。その結果、建設機械の生産性の管理が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の荷重計測装置が適用される建設機械の一例であるダンプトラックの側面図である。
【図2】本発明の建設機械の荷重計測装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図3】本発明の建設機械の荷重計測装置の一実施の形態の機能構成図である。
【図4】本発明の建設機械の荷重計測装置の一実施の形態の処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の建設機械の荷重計測装置の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1乃至図4は、本発明の建設機械の荷重計測装置の実施の形態を示すもので、図1は本発明の荷重計測装置が適用される建設機械の一例であるダンプトラックの側面図、図2は本発明の建設機械の荷重計測装置の一実施の形態を示す構成図、図3は本発明の建設機械の荷重計測装置の一実施の形態の機能構成図、図4は本発明の建設機械の荷重計測装置の一実施の形態の処理フロー図である。
【0018】
本発明の荷重計測装置が適用されるダンプトラックは、図1に示すように、車体1と、車体1の前部に設けた運転室2と、車体1に保持され、積荷が積み込まれるボディ3と、このボディ3を一点鎖線で示すように上方向、下方向に回動させるボディ操作シリンダ4と、左右の前輪に配置され、車体1、ボディ3、及びボディ3に積み込まれた積荷を含む重量物を支持する前側の左右のサスペンションシリンダ5aと、左右の後輪に配置され、車体1、ボディ3、及びボディ3に積み込まれた積荷を含む重量物を支持する後側の左右サスペンションシリンダ5bとを備えている。
【0019】
各サスペンションシリンダ5a,5bには、積荷の荷重を計測する機器として、サスペンションシリンダ5a,5bのシリンダ圧力を計測するための圧カセンサ6a,6bがそれぞれ取り付けられている。車体1の運転室2内には、車体1の前後方向の傾斜角度を検出する傾斜センサ7が設けられている。左右の後輪には、左右の各後輪の回転速度を検出する後輪速度検出器8a,8bが設けられている。車体1には、車体1の速度を検出する車体速度検出器9が設けられている。これらのセンサからの計測信号は、後述する荷重の計算を行う荷重計測の処理装置へ送られる。
【0020】
次に、荷重計測を行う処理装置の構成、及び機能ブロックを図2及び図3を用いて説明する。
図2は、本発明の建設機械の荷重計測装置の一実施の形態に係る処理装置の構成を示す構成図、図3は、図2に示す本発明の建設機械の荷重計測装置の一実施の形態に係る処理装置の機能構成を示すブロック図であり、これらの図において、図1に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0021】
荷重計測装置の処理装置10には、図2に示すように、前側の左右のサスペンションシリンダ5a、及び後側の左右サスペンションシリンダ5bの各シリンダ圧力を計測するための圧カセンサ6a,6bからの検出信号と、左右の各後輪6の回転速度を検出する後輪速度検出器8a,8bからの検出信号と、車体1の速度を検出する車体速度検出器9からの検出信号とが入力される。
【0022】
処理装置10は、図2に示すように、演算を行う演算部11と、演算部11を駆動するタイマ12と、時刻を取得するための時計13と、各種処理(プログラム)を保存する読み込み専用のメモリ(ROM)14と、変数値や荷重計測の結果である荷重データを保存するランダムアクセスメモリ(RAM)15と、センサ入力や通信を行う入力インターフェース16と、演算部11の演算結果を表示装置や外部装置へ出力を行う出力インターフェース17とを有している。また、処理装置10は、出力インターフェース17を介して管理センター又は車体1の運転室内に設置した表示装置20に荷重量を表示することができる。
【0023】
RAM15には、図3に示す前側の左右のサスペンションシリンダ5a、及び後側の左右サスペンションシリンダ5bの各シリンダの断面積の値Dと、前側の左右のサスペンションシリンダ5a及び後側の左右サスペンションシリンダ5bによって支持されている車体1側の重量Gと、サスペンションシリンダ5a,5bに作用する全荷重Ptを傾斜センサ7からの車体1の傾斜角度θに基づいて傾斜が作用していない場合の全荷重Ptとして求めるための補正全荷重Pt特性Aと、前側のサスペンションシリンダ5aに作用する荷重PFと後側のサスペンションシリンダ5bに作用する荷重PRとのサスペンション荷重比Xt(Xt=PF/PR)を傾斜センサ7からの車体1の傾斜角度θに基づいて傾斜が作用していない場合の荷重比Xとして求めるための補正前後荷重比Xの特性Bと、補正前後荷重比Xに基づいて全荷重Ptの偏心積込補正比率Xaを求めるための全荷重Ptの補正比率の特性Cとを記憶している。
【0024】
次に、処理装置10における演算部11の処理機能の構成を、図3を用いて説明する。演算部11は、大略的にボディ3に積み込まれた積荷量(積載量)を演算する積載荷重演算手段110と、最終積載量を確認する最終積載量確認手段130とを備えている。
【0025】
積載荷重演算手段110は、前側の左右のサスペンションシリンダ5aの各シリンダ圧力を計測するための圧カセンサ6aからのシリンダ圧と予め記憶したシリンダ5aの断面積の値Dとをそれぞれ掛け算して前側の左右のサスペンションシリンダ5aにそれぞれ作用する荷重を演算する各掛算器111と、後側の左右のサスペンションシリンダ5bの各シリンダ圧力を計測するための圧カセンサ6bからのシリンダ圧と予め記憶したシリンダ5bの断面積の値Dとをそれぞれ掛け算して後側の左右のサスペンションシリンダ5bにそれぞれ作用する荷重を演算する各掛算器112と、各掛算器111からの前側の左右のサスペンションシリンダ5aの荷重を加算して前側のサスペンションシリンダ5aに作用する前側荷重PFを演算する加算器113と、各掛算器112からの後側の左右のサスペンションシリンダ5bに作用する後側荷重PRを演算する加算器114と、加算器113からの前側荷重PFと加算器114からの後側荷重PRとを加算してサスペンションシリンダ5a,5bの全荷重Ptaを演算する加算器115と、加算器115からのサスペンションシリンダ5a,5bの全荷重Ptaを傾斜センサ7からの傾斜角度θと予め記憶した補正全荷重Pt特性Aとに基づいて車体1が傾斜していない場合の補正全荷重Ptを演算する全荷重補正演算部116と、加算器113からの前側荷重PFと加算器114からの後側荷重PRとの前後荷重比Xt(Xt=PF/PR)を演算する除算器116と、除算器116からの前後荷重比Xtを傾斜センサ7からの傾斜角度θと予め記憶した補正前後荷重比Xの特性Bとに基づいて車体1が傾斜していない場合の補正前後荷重比Xを演算する前後荷重比補正演算部117と、前後荷重比補正演算部117からの補正前後荷重比Xと全荷重Ptの偏心積込補正比率の特性Cとに基づいて全荷重Ptの偏心積込補正比率Xaを演算する全荷重補正比率演算部118と、全荷重補正演算部116からの補正全荷重Ptに全荷重補正比率演算部118からの全荷重Ptの偏心積込補正比率Yを除算する除算器119と、除算器119からの全荷重Ptから前側の左右のサスペンションシリンダ5a及び後側の左右サスペンションシリンダ5bによって支持されている車体1側の重量Gを減算して積載荷重Wを演算する減算器120とを備えている。
【0026】
前述した最終積載荷重確認手段130は、積載荷重演算手段110からの積載荷重Wを一定の時間内で数回サンプリング計測する積載荷重Wの振れ幅計測部131と、積載荷重Wの振れ幅計測部131からの計測値の平均値を求め、この平均値に対し最大計測値と最初計測値の差が最小になったことを確認する積載荷重の最小振れ幅確認部132と、左右の各後輪の回転速度を検出する後輪速度検出器8a,8bからの各速度の差を演算する速度差検出器133と、車体速度検出器9からの車体1の速度が予め設定した設定値(例えば、数km/h)以上に達した場合、所謂、荷重計測可能な走行状態の場合(条件1)と,積載荷重の最小振れ幅確認部132からの積載荷重が最小振れ幅内である場合(条件2)と,速度差検出器133からの後輪速度検出器8a,8bからの各速度の差が予め設定した設定値以下に達した場合、所謂、曲線状の経路ではなく直線状の経路を走行していると判断できる場合(条件3)とが満たされた場合に、減算器120からの積載荷重Wを最終の積載荷重として出力し、条件が満たされない場合には、減算器120からの積載荷重Wを最終の積載荷重としての出力を無効する最終確認演算部(論理積演算部)134とを備えている。
【0027】
次に、上述した本発明の建設機械の荷重計測装置の一実施の形態の処理動作を、図2乃至図4を用いて説明する。
なお、図4は、本発明の建設機械の荷重計測装置の一実施の形態の処理フローを示す図である。
【0028】
図3に示す処理装置10における演算部11の積載荷重演算手段110における各掛算器111は、積載荷重演算手段110に取り込まれた圧カセンサ6aからの前側の左右のサスペンションシリンダ5aの各シリンダ圧力(図4の手順S1)と予め記憶したシリンダ5aの断面積の値Dとをそれぞれ掛け算して、前側の左右のサスペンションシリンダ5aにそれぞれ作用する荷重を演算する(図4の手順S2)。
【0029】
また、各掛算器112は、積載荷重演算手段110に取り込まれた後側の左右のサスペンションシリンダ5bの各シリンダ圧力を計測するための圧カセンサ6bからのシリンダ圧(図4の手順S1)と予め記憶したシリンダ5bの断面積の値Dとをそれぞれ掛け算して後側の左右のサスペンションシリンダ5bにそれぞれ作用する荷重を演算する(図4の手順S2)。
【0030】
加算器113は、各掛算器111からの前側の左右のサスペンションシリンダ5aの荷重を加算して前側のサスペンションシリンダ5aに作用する前側荷重PFを演算する。また、加算器114は、各掛算器112からの後側の左右のサスペンションシリンダ5bに作用する後側荷重PRを演算する。加算器115は、加算器113からの前側荷重PFと加算器114からの後側荷重PRとを加算してサスペンションシリンダ5a,5bの全荷重Ptaを演算する(図4の手順S3)。
【0031】
除算器116は、加算器113からの前側荷重PFと加算器114からの後側荷重PRとの前後荷重比Xt(Xt=PF/PR)を演算する(図4の手順S4)。
【0032】
全荷重補正演算部116は、加算器115からのサスペンションシリンダ5a,5bの全荷重Ptaを傾斜センサ7からの傾斜角度θ(図4の手順S5)と予め記憶した補正全荷重Pt特性Aとに基づいて車体1が傾斜していない場合の補正全荷重Ptを演算する(図4の手順S6)。
【0033】
前後荷重比補正演算部117は、除算器116からの前後荷重比Xtを傾斜センサ7からの傾斜角度θ(図4の手順S5)と予め記憶した補正前後荷重比Xの特性Bとに基づいて車体1が傾斜していない場合の補正前後荷重比Xを演算する(図4の手順S6)。
【0034】
全荷重補正比率演算部118は、前後荷重比補正演算部117からの補正前後荷重比Xと全荷重Ptの偏心積込補正比率の特性Cとに基づいて全荷重Ptの偏心積込補正比率Xaを演算する(図4の手順S6)。
【0035】
除算器119は、全荷重補正演算部116からの補正全荷重Ptに全荷重補正比率演算部118からの全荷重Ptの偏心積込補正比率Yを除算する(図4の手順S6)。減算器120は、除算器119からの全荷重Ptから前側の左右のサスペンションシリンダ5a及び後側の左右サスペンションシリンダ5bによって支持されている車体1側の重量Gを減算して積載荷重Wを演算する(図4の手順S6)。
【0036】
次に、最終積載荷重確認手段130における積載荷重Wの振れ幅計測部131は、積載荷重演算手段110からの積載荷重Wを一定の時間内で数回サンプリング計測する。積載荷重の最小振れ幅確認部132は、積載荷重Wの振れ幅計測部131からの計測値の平均値を求め、この平均値に対し最大計測値と最初計測値の差が最小になったことを確認する(図4の手順S7)。また、速度差検出器133は、左右の各後輪の回転速度を検出する後輪速度検出器8a,8bからの各速度(図4の手順S8)の差を演算する(図4の手順S9)。
【0037】
最終確認演算部134は、車体速度検出器9からの車体1の速度が予め設定した設定値(例えば、数km/h)以上に達した場合、所謂、荷重計測可能な走行状態の場合(条件1)と,積載荷重の最小振れ幅確認部132からの積載荷重が最小振れ幅内である場合(条件2)と,速度差検出器133からの後輪速度検出器8a,8bからの各速度の差が予め設定した設定値以下に達した場合、所謂、曲線状の経路ではなく直線状の経路を走行していると判断できる場合(条件3)とが満たされた場合(図4の手順S10)に、減算器120からの積載荷重Wを最終の積載量として出力する(図4の手順S11)。また、最終確認演算部134は、条件1乃至3が満たされない場合には、減算器120からの積載荷重Wを最終の積載荷重としての出力を無効する
上述した本発明の実施の形態によれば、建設機械が曲線状の経路を走行している際には、その際に計測した積載荷重の出力を無効にするので、建設機械の走行中における積載荷重の計測の精度が向上する。その結果、建設機械の生産性の管理が向上する。
【0038】
なお、上述の実施の形態においては、最終確認演算部134は、車体速度検出器9からの車体1の速度が予め設定した設定値(例えば、数km/h)以上に達した場合、所謂、荷重計測可能な走行状態の場合(条件1)と、積載荷重の最小振れ幅確認部132からの積載荷重が最小振れ幅内である場合(条件2)と、減算器132からの後輪速度検出器8a,8bからの各速度の差が予め設定した設定値以下に達した場合、所謂、曲線状の経路ではなく直線状の経路を走行していると判断できる場合(条件3)との条件が満たされた場合に、減算器120からの積載荷重Wを最終の積載荷重として出力するようにしたが、前述した条件3が満たされた場合に、最終確認演算部134は、減算器120からの積載荷重Wを最終の積載量として出力することも可能である。
【0039】
また、最終確認演算部134において、車体速度検出器9からの車体1の速度が予め設定した設定値(例えば、数km/h)以上に達した場合、所謂、荷重計測可能な走行状態の場合(条件1)として設定したが、車体速度を数回取込み、その平均値処理後、数秒間の速度変化が設定値以内であれば、条件1が満たされたとして扱うことも可能である。
【0040】
また、最終確認演算部134において、速度差検出器133からの後輪速度検出器8a,8bからの各速度の差が予め設定した設定値以上の場合、条件3を満たしていないとして、無効にしたが、無効後、後輪速度検出器8a,8bからの各速度の差が設定値よりも小さい値で、数秒後に前述した条件1,2が満たされていれば、減算器120からの積載荷重Wを最終の積載荷重として出力することも可能である。
【0041】
なお、上述の実施の形態においては、建設機械であるダンプトラッックが曲線状の経路を走行している状態を、後輪速度検出器8a,8bからの各速度の差から求めるようにしたが、建設機械の左右の前輪の操舵角度をそれぞれ検出する操舵角度検出器で求めることも可能である。
【0042】
この場合、最終積載荷重確認手段130における最終確認演算部134は、前記操舵角度検出器からの操舵角度が予め設定した設定値(例えば、直線状の経路走行時における操舵角)以上に達した場合、前記処理装置で演算した積載荷重Wを最終の積載荷重として出力し、予め設定した設定値と同じ場合には、前記処理装置で演算した積載荷重Wを最終の積載荷重としての出力を無効する手順を実行する。
【符号の説明】
【0043】
1 車体
2 運転室
3 ボディ
4 ボディ操作シリンダ4
5a 前側のサスペンションシリンダ
5b 後側のサスペンションシリンダ
6a 圧カセンサ
6b 圧カセンサ
8a 後輪速度検出器
8b 後輪速度検出器
9 車体速度検出器
10 荷重計測装置の処理装置
11 演算部
14 読み込み専用のメモリ(ROM)
15 ランダムアクセスメモリ(RAM)
110 積載荷重演算手段
130 最終積載量確認手段
134 最終確認演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械のボディに積載した積載荷重を、圧力センサによって前側サスペンションシリンダ、及び後側サスペンションシリンダのシリンダ圧を取込んで演算する処理装置を備えた建設機械の荷重計測装置において、
建設機械の左右の後輪の速度をそれぞれ検出する後輪速度検出器と、
前記各後輪速度検出器からの速度差を検出する速度差検出器と、
前記速度差検出器からの各後輪の速度の差が予め設定した設定値以下に達した場合、前記処理装置で演算した積載荷重Wを最終の積載荷重として出力し、予め設定した設定値以上の場合には、前記処理装置で演算した積載荷重Wを最終の積載荷重としての出力を無効する最終確認演算部を有する最終積載荷重確認手段とを備えた
ことを特徴とする建設機械の荷重計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械の荷重計測装置において、
車体の速度を検出する車体速度検出器と、
前記処理装置からの積載荷重Wを一定の時間内で数回サンプリング計測する積載荷重Wの振れ幅計測部と、
前記積載荷重Wの振れ幅計測部からの計測値の平均値を求め、この平均値に対し最大計測値と最初計測値の差が最小になったことを確認する積載荷重の最小振れ幅確認部とを更に備え、
前記最終確認演算部は、前記車体速度検出器からの車体の速度が予め設定した設定値以上に達した場合(条件1)と,前記積載荷重の最小振れ幅確認部からの積載荷重が最小振れ幅内である場合(条件2)と,前記速度差検出器からの左右の後輪の速度の差が予め設定した設定値以下に達した場合(条件3)とが満たされた場合に、前記処理装置で演算した積載荷重Wを最終の積載荷重として出力し、前記条件が満たされていない場合に、前記処理装置で演算した積載荷重Wを最終の積載荷重としての出力を無効する最終確認演算部を有する最終確認演算部を有する最終積載荷重確認手段とを備えた
ことを特徴とする建設機械の荷重計測装置。
【請求項3】
請求項2に記載の建設機械の荷重計測装置において、
前記最終積載荷重確認手段における前記最終確認演算部は、前記車体速度検出器からの車体の速度を数回取込み、その平均値処理後、数秒間の速度変化が設定値以内であれば、条件1が満たされたとして扱う手順を更に備えた
ことを特徴とする建設機械の荷重計測装置。
【請求項4】
請求項2に記載の建設機械の荷重計測装置において、
前記最終積載荷重確認手段における前記最終確認演算部は、前記速度差検出器からの後輪速度検出器からの各速度の差が前記設定値よりも小さい値で、数秒後に前述した条件1,2が満たされていれば、前記処理装置からの積載荷重Wを最終の積載荷重として出力する手順を更に備えた
ことを特徴とする建設機械の荷重計測装置。
【請求項5】
建設機械のボディに積載した積載荷重を、圧力センサによって前側サスペンションシリンダ、及び後側サスペンションシリンダのシリンダ圧を取込んで演算する処理装置を備えた建設機械の荷重計測装置において、
建設機械の左右の前輪の操舵角度をそれぞれ検出する操舵角度検出器と、
前記操舵角度検出器からの操舵角度が予め設定した設定値以上に達した場合、前記処理装置で演算した積載荷重Wを最終の積載荷重として出力し、予め設定した設定値以上の場合には、前記処理装置で演算した積載荷重Wを最終の積載荷重としての出力を無効する最終確認演算部を有する最終積載荷重確認手段とを備えた
ことを特徴とする建設機械の荷重計測装置。
【請求項6】
請求項1乃至6のいずれかに記載の建設機械の荷重計測装置において、
前記建設機械は、ボディに積載した積載荷を移送するダンプトラックである
ことを特徴とする建設機械の荷重計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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