説明

建設機械の走行及び旋回装置

【課題】左側走行ペダルと右側走行ペダルの何れか一方により主制御弁を同じ方向に制御し、何れか他方は、反対方向に制御するようにして正確な前・後進及び旋回が容易に行われるようにした建設機械の走行及び旋回装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、作動油により駆動する左側駆動モータ及び右側駆動モータと、左側駆動モータ及び右側駆動モータの運動を制御する左側主制御弁及び右側主制御弁と、左側主制御弁及び右側主制御弁の作動状態を調節する左側ペダル及び右側ペダルとを含んでなり、左側ペダル及び右側ペダルの何れか一方は、左側駆動モータ及び右側駆動モータを同じ方向に作動させ、建設機械が前後進可能のようにし、左側ペダルと右側ペダルの何れか他方は、左側駆動モータ及び右側駆動モータを反対方向に作動させ、建設機械が旋回可能となるようにすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の走行及び旋回装置に関するものであり、さらに詳細には、左側ペダルと右側ペダルの何れか一方を操作すると、前・後進の走行が行われ、何れか他方を操作すると、旋回が行われるようにした、建設機械の走行及び旋回装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、従来技術による建設機械の走行及び旋回装置は、左右側のペダル、左右側の主制御弁(main control valve)、及び左右側の駆動モータを含んでなる。
【0003】
作動油が供給されると、駆動モータにより建設機械が駆動する。駆動モータに供給される作動油は、主制御弁によりコントロールされる。左右側のペダルを操作すると、主制御弁の作動状態が調節される。
【0004】
従来の建設機械を走行運転する場合、左右ペダルをそれぞれ操作するため、運転者は、必ず左右のペダルを同時に操作しなければならなかった。そのため、運転者は、操作の不便さを感じると共に、集中してペダルの操作をしなければ、走行方向を所望の方向にすることができなかった。しかも、事故の発生の可能性もあった。
【0005】
つまり、従来の建設機械は、前進走行、旋回走行、あるいは後進走行をする場合は、必ず左右ペダルの両方を同時に作動しなければならず、左右ペダルの操作角度に応じて走行方向が変わるので、走行する間に左右ペダルを操作し続けなければならないという問題点もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前述した問題点を解決するために案出されたもので、左側走行ペダルと右側走行ペダルの何れか一方により主制御弁を同じ方向に制御し、何れか他方は、反対方向に制御するようにして正確な前・後進及び旋回が容易に行われるようにすることにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、建設機械の走行及び旋回装置において、作動油により駆動する左側駆動モータ及び右側駆動モータと、左側駆動モータ及び右側駆動モータの運動を制御する左側主制御弁及び右側主制御弁と、左側主制御弁及び右側主制御弁の作動状態を調節する左側ペダル及び右側ペダルとを含んでなり、左側ペダルと右側ペダルの何れか一方は、前記左側主制御弁のスプールの左側と右側主制御弁のスプールの左側とに同時に圧力を印加したり、左側主制御のスプールの右側と右側主制御弁のスプールの右側とに同時に圧力を印加し、建設機械が前・後進可能となるようにし、左側ペダルと右側ペダルの何れか他方は、左側主制御弁のスプールの左側と、右側主制御弁のスプールの右側に同時に圧力を印加したり、左側主制御のスプールの右側と右側主制御弁のスプールの左側に同時に圧力を印加し、建設機械が旋回可能となるようにすることを特徴する、建設機械の走行及び旋回装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
前記した本発明によれば、第一に、前進あるいは後進する場合、右側や左側のペダルのうち何れか一方の操作のみで確実な前進及び後進への移動が可能になり、運転者の疲労感を解消できる。第二に、前進及び後進の際、正確な建設機械の移動が可能になるので、より安全に建設機械を移動させることができる。最後に、左右側方向への旋回をする場合、右側ペダルや左側ペダルの何れか一方の操作のみで確実な旋回ができ、建設機械の旋回移動が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来の建設機械の油圧回路図である。
【図2】本発明の一実施例による建設機械の油圧回路図である。
【図3】図2に示した建設機械の左側ペダル及び右側ペダルに対する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施例について添付図面を参照として説明する。この過程で、図に示す線の太さや構成要素のサイズなどは、説明の明瞭性と便宜性のため、誇張して図示することも可能である。
【0011】
また、後述する用語などは、本発明における機能を考慮したうえで正義した用語として、これらは使用者や運用者の意図または慣例によって異なる。したがって、このような用語に対する正義は、本明細書全体の内容を基に下されるべきである。
【0012】
さらに、下記の実施例は、本発明の権利範囲を限定するものではなく、本発明の請求範囲に提示された構成要素の例示的な事項に過ぎず、本発明の明細書全般に亘った技術思想に含まれ、請求範囲の構成要素において均等物として交換可能な構成要素を含む実施例は、本発明の権利範囲に含まれる。
【0013】
図1は、従来の建設機械の油圧回路図であり、図2は、本発明の一実施例による建設機械の油圧回路図であり、図3は、図2に示した建設機械の左側ペダル及び右側ペダルに対する斜視図である。
【0014】
本発明の望ましい実施例による建設機械の走行及び旋回装置は、作動油により駆動する左側駆動モータ10及び右側駆動モータ11と、前記左側駆動モータ10及び右側駆動モータ11の運動を制御する左側主制御弁20及び右側主制御弁21と、前記左側主制御弁20及び右側主制御弁21の作動状態を調節する左側ペダル30及び右側ペダル31とを含んでなり、前記左側ペダル30及び右側ペダル31の何れか一方は、前記左側主制御弁20のスプールの左側と、前記右側主制御弁21のスプールの左側に同時に圧力を印加したり、前記左側主制御20のスプールの右側と前記右側主制御弁21のスプールの右側に同時に圧力を印加し、建設機械が前後進可能となるようにすると共に、前記左側ペダル30と右側ペダル31の何れか他方は、前記左側主制御弁20のスプールの左側と、前記右側主制御弁21のスプールの右側に同時に圧力を印加したり、前記左側主制御弁20のスプールの右側と前記右側主制御弁21のスプールの左側に同時に圧力を印加し、建設機械が旋回可能となるようにする。
【0015】
図2に示すように、本発明の建設機械の走行及び旋回装置は、左側駆動モータ10及び右側駆動モータ11、左側主制御弁20及び右側主制御弁21、左側ペダル30及び右側ペダル31を含んでなる。
【0016】
建設機械の左右側に設けられた左側駆動モータ10及び右側駆動モータ11が駆動することによって建設機械の走行及び旋回が可能になる。左側駆動モータ10及び右側駆動モータ11は作動油により駆動され、作動油の流入出のために左側駆動モータ10及び右側駆動モータ11に流路が連結される。
【0017】
図2に示すように、前記左側駆動モータ10及び右側駆動モータ11と、左側主制御弁20及び右側主制御弁21の間には油圧ラインが連結され、左側主制御弁20及び右側主制御弁21により左側駆動モータ10及び右側駆動モータ11が制御される。左側主制御弁20及び右側主制御弁21は、ポンプから供給される作動油の方向、圧力、及び流量を制御する。
【0018】
運転者が建設機械の左側ペダル30や右側ペダル31を操作すると、左側主制御弁20及び右側主制御弁21は、運転者が操作する通りに左側駆動モータ10及び右側駆動モータ11を駆動する。
【0019】
従来の建設機械の場合、図1に示すように、左側駆動モータ10は、左側ペダル30により操作され、右側駆動モータ11は、右側ペダル31により個別的にそれぞれ操作されるようになっているため、運転者は、前・後進や旋回の際に左側ペダル30と右側ペダル31の両方を操作しなければならなかった。
【0020】
しかし、本発明による建設機械は、前記問題点を改善するために、左側ペダル30や右側ペダル31の何れか一方に左側駆動モータ10及び右側駆動モータ11を同時に制御することができるように油圧回路を構成しており、また何れか他方のペダルは、左側駆動モータ10及び右側駆動モータ11を互いに反対方向に動くように油圧回路を構成する。
【0021】
図2に示すように油圧回路を構成すると、走行及び旋回の運転が一方のペダルだけで制御でき、無限軌道装着の車両や建設機械の運転がさらに容易となる。
【0022】
つまり、右側ペダル31を中立位置から前方に位置させたり、後方に位置させる場合、左側主制御弁20のスプールの左側と右側主制御弁21のスプールの左側に同時に圧力が印加されるか、または左側主制御弁20のスプールの右側と右側主制御弁21のスプールの右側に同時に圧力が印加されるので、左側駆動モータ10や右側駆動モータ11が同じ方向に同時に回転し、建設機械が前後進可能になる。
【0023】
また、左側ペダル30を中立位置から前方に位置させたり、後方に位置させる場合、左側主制御弁20のスプールの左側と右側主制御弁21のスプールの右側に同時に圧力が印加されるか、または左側主制御弁20のスプールの右側と右側主制御弁21のスプールの左側に同時に圧力が印加されるので、左側駆動モータ10や右側駆動モータ11が同じ方向に同時に回転し、建設機械が旋回可能になる。
【0024】
左側ペダル30と右側ペダル31の詳細については、走行前進及び後進の場合、左側ペダル30や右側ペダル31の何れか一方のみを中立位置に対して前方に位置させると前進が、後方に位置させると後進が可能になる。
【0025】
また、旋回の場合、左側ペダル30や右側ペダル31の前記走行前進及び後進用ペダルの他に、他方のペダルを中立位置に対して後方に位置させると、左側軌道は後方に、右側軌道は前方に移動する左旋回が可能になり、ペダルを中立位置に対して前方に位置させると、右旋回が可能になる。
【0026】
図3に示すように、左側ペダル30及び右側ペダル31と共に左側レバー40及び右側レバー41を設置し、ペダルの代わりにレバーを操作し、同じ作動を行うようにしてもよい。
【0027】
図2と図3は、右側ペダル31により直進及び後進の走行が制御され、左側ペダル30により旋回が制御される場合を例示している。もちろん、左側ペダル30により直進及び後進の走行が制御され、右側ペダル31により旋回が制御されるように回路を具現してもよい。
【0028】
図3に示す右側ペダル31や右側レバー41の操作で左右の無限軌道を同じ方向に同時に制御するように油圧回路を構成すれば、右側ペダル31を中立位置に対して前方に位置させると、建設機械が前進し、反対に右側ペダル31を後方に位置させると、建設機械は後進可能になる。
【0029】
また、図3に示す左側ペダル30や左側レバー40の操作で左右の無限軌道を反対方向に同時に制御するように油圧回路を構成すれば、左側ペダル30を中立位置に対して前方に位置させると、建設機械は右旋回し、反対に左側ペダル30を後方に位置させると、左旋回することになる。
【0030】
本発明の望ましい実施例による建設機械の走行及び旋回装置において、前記左側ペダル30と右側ペダル31の操作距離によって、作動油の圧力が制御され、走行及び旋回速度が調節可能になる。
【0031】
図3に示す右側ペダル31や右側レバー41の操作により左右無限軌道を同じ方向に同時に制御するように油圧回路を構成すれば、右側ペダル31の前後進に従って建設機械の前後進が可能になる。この場合、右側ペダル31や右側レバー41の操作距離に応じて作動油の圧力を制御し、前後進の速度を調節できる。
【0032】
また、図3に示す左側ペダル30や左側レバー40の操作により左右無限軌道を反対方向に同時に制御するように油圧回路を構成すれば、左側ペダル30の前後進に従って建設機械の右旋回及び左旋回が可能になる。この場合、左側ペダル30や左側レバー40の操作距離に応じて作動油の圧力を制御し、旋回速度を調節できる。
【符号の説明】
【0033】
10 左側駆動モータ
11 右側駆動モータ
20 左側主制御弁
21 右側主制御弁
30 左側ペダル
31 右側ペダル
40 左側レバー
41 右側レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の走行及び旋回装置において、
作動油により駆動する左側駆動モータ及び右側駆動モータと、
前記左側駆動モータ及び右側駆動モータの運動を制御する左側主制御弁及び右側主制御弁と、
前記左側主制御弁及び右側主制御弁の作動状態を調節する左側ペダル及び右側ペダルとを含んでなり、
前記左側ペダル及び右側ペダルの何れか一方は、前記左側主制御弁のスプールの左側と、前記右側主制御弁のスプールの左側とに、同時に圧力を印加したり、前記左側主制御のスプールの右側と前記右側主制御弁のスプールの右側とに、同時に圧力を印加し、建設機械が前後進可能となるようにし、
前記左側ペダルと右側ペダルの何れか他方は、前記左側主制御弁のスプールの左側と、前記右側主制御弁のスプールの右側とに、同時に圧力を印加したり、前記左側主制御のスプールの右側と前記右側主制御弁のスプールの左側とに、同時に圧力を印加し、建設機械が旋回可能となるようにすることを特徴とする、建設機械の走行及び旋回装置。
【請求項2】
前記左側ペダルと右側ペダルの操作距離に応じて作動油の圧力が制御され、走行及び旋回の速度が調節可能であることを特徴とする、請求項1に記載の建設機械の走行及び旋回装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−106267(P2011−106267A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258457(P2010−258457)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(502032378)ボルボ コンストラクション イクイップメント アーベー (156)
【Fターム(参考)】