説明

建設機械用センサ装置

【課題】最も構造的に簡単な手段を用いて、建設機械のより信頼性の高い運転を容易にするセンサ装置を提供する。
【解決手段】サンプリング領域6又はサンプリング点から測定データを収集するよう配置されたセンサ5を備えた建設機械1用センサ装置2に関する。サンプリング領域6又はサンプリング点を照明する照明装置8が、センサ装置2に組込まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文部分に記載の建設機械用センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械用のこの種のセンサ装置は、慣例的に知られている。該装置から収集した測定データを使用して、建設機械の作業結果、特にこの作業結果の質について検査し、出来る限り最良な作業結果を得るために、測定データに従って建設機械の運転パラメータを設定している。
【0003】
従来のセンサ装置の欠点は、建設機械の作業環境のために極めて高レベルの応力を受けたり、汚れたりする点である。その結果、センサ装置のセンサが提供した測定データが、信頼できないことがある。信頼性が低い誤った測定データによって、建設機械の運転が損なわれることがあり、信頼性が低い測定データのために建設機械の運転パラメータが不正確に設定された場合、得られる作業結果が更に悪くなる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、最も構造的に簡単な手段を用いて、建設機械のより信頼性の高い運転を容易にするセンサ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴部分を有するセンサ装置によって解決される。本発明の有利な更なる技術成果については、従属請求項に記載される。
【0006】
本発明によるセンサ装置は、センサのサンプリング領域又はサンプリング点を照明する照明装置を、センサ装置に組込むことを特徴とする。この構成により様々な利点が生じる。センサが測定データを収集するサンプリング領域又はサンプリング点を照明することで、明暗差が増し、それにより測定データがより正確になる。建設機械を夜間に運転する、又は建造物内又はトンネル、即ち暗闇の中で運転する場合でも、照明によって、建設機械のオペレータはサンプリング領域又はサンプリング点の質や表面状態を確認可能になる。このようにして、オペレータは、作業結果の質や、サンプリング領域又はサンプリング点(以下では、纏めてサンプリングフィールドとする)が十分にきれいか否かを、目視で検査でき、その結果信頼できる測定データがセンサから期待できる。また、照明装置をセンサ装置に組込むことで、外部照明装置への配線を回避できる点や、照明の質が、外部照明要素が建設現場に(例えば、電柱に)存在するか否か、及び任意にどのような形態で存在するかに関係無くなる点でも有利である。更に、該サンプリングフィールドの質を検査するために、建設機械の既存の作業灯をサンプリングフィールドに位置合わせする必要が無くなり、その結果作業灯は、建設機械の作業領域を照明するという本来の目的に使用することができる。
【0007】
センサ装置のセンサは、例えば、機械式センサ又は非接触センサとしてもよい。また、複数のセンサをセンサ装置に設けることや、それらセンサにより共通のサンプリングフィールド又は異なるサンプリングフィールドを評価することも考えられる。
【0008】
例えば、センサは、光学式センサ、又は例えば誘導センサ、静電容量式センサ若しくは超音波センサ等の非光学式センサでもよい。この種の非光学式センサを用いても、本発明により提供される照明装置は、サンプリングフィールドの表面品質及び汚れレベルを目視で検査可能にするのに、有利である。しかしながら、照明装置によって得られるサンプリングフィールド内の光又は影のパターンをセンサによって検出し、該パターンを使用して測定データを収集することも考えられる。このために、照明装置は、例えば線又は格子といった構造化された光パターンを作成することもある。そうした光パターンの位置及び/又は変形に応じて、サンプリングフィールドの特性に関する、従って建設機械の作業結果の質に関する結論を得ることもある。
【0009】
照明装置は、可視光及び/又は赤外光を発光するように形成することができる。可視光には、建設機械のオペレータがサンプリングフィールドを容易に目視によって確認できるという利点がある。
【0010】
照明装置が、照明装置によって照明する領域を定める及び任意ではあるが変更できる光学系を有すると、好都合である。この照明装置は、反射体及び/又は光学レンズを含み、そうすることで、照明領域を何処にするのか、照明領域の大きさを何れ程にするかを定めるようにしてもよい。
【0011】
光学系が、照明装置によって照明される領域の位置及び/又は大きさを変更するために調整可能であると、特に好ましい。このようにすると、照明領域を、変化する運転条件、例えば、センサとサンプリングフィールド間の変化する距離に適合させることができる。
【0012】
本発明の一層有利な変形例は、照明装置の輝度が可変にされることであり、作業現場の照明が容易に最適化されるのと同時にエネルギ消費が最小限になる。
【0013】
センサで連続的に測定データを収集せず、むしろ、例えば、一定又は可変測定間隔に従い非連続的に測定データを収集するよう設定することも考えられる。この場合、照明装置を、センサで測定データを収集する間のみ発光するように設定して、それによりセンサが停止状態中にエネルギを節約できるようにすると、有利である。
【0014】
本発明の更なる変形例では、センサ装置は、サンプリングフィールドに位置合わせされたカメラを有する。このカメラによって、オペレータは、照明装置が照明したサンプリングフィールドを、該サンプリングフィールドまで移動することなく、目視により検査できる。
【0015】
照明装置が、センサの運転とは無関係に作動できると、また好都合である。この場合、照明装置のスイッチを入れて、例えば、センサのスイッチを入れずにサンプリングフィールドを目視により確認できる。
【0016】
また、本発明は、上記種類のセンサ装置を有する、例えば道路仕上げ機又は装入機といった建設機械にも関係する。
【0017】
以下では、本発明の有利な実施形態について、図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるセンサ装置を有する建設機械の実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
建設機械1は、道路仕上げ機、又は道路仕上げ機用装入機であってよい。しかしながら、例えばトンネルといった暗闇や暗所でも、或は内部が暗くなっているところで、そこから測定データを収集しようとする領域でも採用できる、別の建設機械でもよい。
【0020】
図示した実施形態では、センサ装置2は、建設機械1の構成要素4、例えば建設機械1の外壁又は内壁4に、伸縮アーム3によって取付けられている。或はまた、センサ装置2を、建設機械1の構成要素4に組込むことも考えられる。
【0021】
サンプリング領域6から測定データを収集するよう配置されているセンサ5を有するセンサ装置2が、概略的に示されている。センサ5のサンプリング角度又は捕捉角度は、破線7で示されている。
【0022】
センサ5は、機械式センサ又は非接触センサとしてもよい。例えば、建設機械1のスクリューコンベアに取り付けられた物体を検出する超音波センサ、高さを検出する超音波センサ又は長距離用の機械式プローブである。センサ5で収集した測定データを使用して、建設機械1上若しくはその中の状態、又は建設機械1によって達成された作業結果を表す。
【0023】
本発明によれば、照明装置8がセンサ装置2に組込まれている。照明装置8は、例えば、可視光を発する光源9を含んでいる。光源9はLEDまたはLEDアレイでもよい。更に、照明装置8は、光源9の前に配設される光学系10を有する。この光学系10は、反射体及び/又はレンズを含むことができる。該光学系を使用して、光源9が発した光を円錐状のビーム11に形成する。
【0024】
本明細書では、照明装置8の円錐ビーム11が、該ビームがなければ暗い作業面となる作業面12に当たり、照明により照明領域13が生成される。本実施形態では、照明装置8の光学系は、照明領域13がセンサ5のサンプリング領域6に正確に合致するように設定されている。光源9及び光学系10は、好適にはコントローラによって制御され、円錐ビーム11の輝度と該円錐ビーム11の広がりが可変になり、その結果、例えばセンサ装置2と作業面12との間の様々な距離に照明が適合できることになる。
【0025】
センサ5が作動していて、測定データを取得している場合、或はセンサ5の運転とは関係無く建設機械1のオペレータによって照明装置8を作動させている場合に、建設機械1の運転中、照明装置8は作業面12の領域13を照明することができる。
【0026】
図示した実施形態から始めて、本発明によるセンサ装置2を、様々に変更できる。例えば、複数のセンサ5を装置2に組込むことができる。更に、カメラをセンサ装置2に設け、カメラによって照明装置8が照明した領域13を捕捉することもできる。カメラが提供する画像を、建設機械1のオペレータ用のディスプレイ装置に表示することもできる。
【符号の説明】
【0027】
1 建設機械
2 センサ装置
5 センサ
6 サンプリング領域
8 照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプリング領域(6)又はサンプリング点から測定データを収集するよう配置されているセンサ(5)を備えた建設機械(1)用センサ装置(2)であって、前記サンプリング領域(6)又は前記サンプリング点を照明する照明装置(8)が前記センサ装置(2)に組込まれていることを特徴とするセンサ装置(2)。
【請求項2】
前記センサ(5)は、機械式センサ(5)又は非接触センサ(5)であることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記センサ(5)は、光学センサ、誘導センサ、静電容量式センサ又は超音波センサであることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記照明装置(8)は、可視光及び/又は赤外光(11)を発するよう構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記照明装置(8)は、該照明装置(8)によって照明する前記領域(13)を定める光学系(10)を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記光学系(10)は、前記照明装置(8)によって照明される前記領域(13)の位置及び/又は大きさを変化させるように設定できることを特徴とする請求項5に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記照明装置(8)の輝度が可変であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記センサ(5)が測定データを不連続に収集するよう設定され、前記照明装置(8)は前記センサ(5)が測定データを収集中にのみ発光するように設定されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記センサ装置(2)は、前記サンプリング領域(6)又は前記サンプリング点に対して位置合わせされたカメラを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記照明装置(8)は、前記センサ(5)の運転とは関係無く作動させられることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のセンサ装置(2)を有する建設機械(1)。
【請求項12】
前記建設機械(1)が道路仕上げ機又は装入機であることを特徴とする請求項11に記載の建設機械。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−67583(P2012−67583A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−164167(P2011−164167)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(596068349)ヨゼフ フェゲーレ アーゲー (35)
【Fターム(参考)】