説明

建設機械用作業腕及びその製造方法

平面用薄板材(28,29)と角隅用厚板材(30)、厚板材(31)とを互い違いに突合わせ溶接することにより、板厚が部分的に異なる幅広板状体(27)を形成する。そして、この幅広板状体(27)を左,右の角隅用厚板材(30,30)の位置で曲げ加工し、横断面がU字形状をなすU字形部材(32)をプレス成形する。また、U字形部材(32)とは別体の板状部材(33)を、薄板材(34)の左,右両側に厚板材(35,35)を突合わせ溶接することにより形成する。そして、この板状部材(33)をU字形部材(32)の下側にレーザ溶接等の手段を用いて接合することにより、横断面が四角形状をなしアームの主要部となる角筒体を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、例えば土砂等の掘削作業を行う油圧ショベル等に好適に用いられる建設機械用作業腕及びその製造方法に関する。
【背景技術】
一般に、建設機械としての油圧ショベルは、自走可能な走行体と、この走行体上に旋回可能に搭載された旋回体と、この旋回体の前部側に俯仰動可能に設けられたブーム、アームおよびフロントアタッチメント(例えば、バケット)等のフロント部分からなる作業装置とにより構成されている。
そして、このような(フロント部分)作業装置を構成するブーム、アーム等の作業腕は、例えば上板、下板、左側板および右側板からなる4枚の鋼板を互いに接合することにより横断面が四角形状をなす角筒体として形成されるものである(例えば、特開平11−21939号公報等)。
この種の従来技術による建設機械の作業腕は、その剛性を高めると共に軽量化を図るために、上板の左,右両側部位を厚肉部とし、その中間部位を薄肉部として形成している。また、下板も左,右両側部位を厚肉部とし、その中間部位を薄肉部として形成している。そして、上板と下板の左,右両側部(厚肉部)に対して左側板,右側板を突合わせ溶接することにより角筒体を構成し、角筒体の軽量化を図りつつ、高い剛性も得るようにしている。
また、他の従来技術では、角筒体として形成される建設機械の作業腕を、合計4つの角隅部(コーナ部)を形成する4つのコーナ部材と、これらのコーナ部材間を互いに連結する合計4枚の平板とにより構成したものも知られている(例えば、特開2001−20311号公報等)。
そして、この場合には角筒体として形成される作業腕の角隅部に応力集中等が発生するのを抑えるため、そのコーナ部を形成する4つのコーナ部材を、予め曲面部(丸み)を有する断面L字状に湾曲させておく。次に、各コーナ部材に対して前記平板を溶接し、全体として断面四角形状の前記角筒体を形成する構成としている。
ところで、上述した第1の従来技術では、上板と下板の左,右両側部位を厚肉部として形成し、これらの厚肉部に対して左,右の側板を突合わせ溶接する構成としている。このため、例えば上板、下板および側板の全体を板厚の厚い鋼板を用いて形成する必要がなく、作業腕の軽量化を図ることができると共に、ある程度の剛性も確保できるという利点がある。
しかし、この場合には、上板と下板の左,右両側に位置する厚肉部に対して左,右の側板を突合わせ溶接するときに、例えば上板と下板の間に左,右の側板を挟み込みつつ、両者の接合部位を正確に位置合わせして溶接作業を行う必要がある。このため、溶接時に用いる位置合わせ治具が複雑な形状となってしまう。そして、この場合には、例えば3次元の溶接施工が要求されるため、溶接作業に多大な労力と時間を費やすという問題がある。
特に、溶接部に深い溶込みが得られるレーザ溶接等の高エネルギ密度溶接を前述した3次元の溶接施工に用いる場合には、下記のような問題がある。即ち、上板,下板と左,右の側板との接合面には、3次元の溶接施工が行われるため、接合面にギャップが発生し易い。そして、例えば0.5mm以上のギャップが接合面に発生したときには、この接合面の近傍部位がレーザの照射範囲から外れてしまい、十分な接合強度を得ることが難しくなる。
また、前記角筒体の角隅部は、上板、下板の厚肉部と左,右の側板との接合部(即ち、溶接部)により形成されている。このため、これらの角隅部に位置する溶接部には、残留応力や応力集中等が発生し易く、作業腕としての剛性を必ずしも十分には確保することができないという問題がある。
一方、第2の従来技術の場合には、角筒体として形成される作業腕の角隅部を断面L字状に湾曲させてなるコーナ部材により構成しているため、残留応力や応力集中等の影響を低減できるという利点がある。
しかし、この場合は、合計4つのコーナ部材と各コーナ部材間を互いに連結する4枚の平板とを、板厚がほぼ等しい鋼板により形成している。このため、作業腕の軽量化と剛性の確保という相反する2つの課題を共に解決することができない。そして、剛性を確保するために厚い鋼板を用いたときには、作業腕全体の重量が重くなるという問題がある。
また、軽量化を図るために薄い鋼板を用いてコーナ部材と平板とを形成した場合には、コーナ部材と平板とを互いに突合わせて溶接するときに、例えば3次元の溶接施工により両者の接合部位を正確に位置合わせして溶接作業を行う必要が生じる。このために、接合部位の位置合わせに多大な労力と時間を費やすという問題がある。
【発明の開示】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、板厚が異なる複数の板材を用いて横断面が四角形状をなす角筒体を形成することにより、作業腕の軽量化と剛性の確保という相反する2つの課題を共に解決することができるようにした建設機械用作業腕及びその製造方法を提供することある。
また、本発明の他の目的は、3次元の溶接施工よりも接合部の位置決め作業が簡単な2次元の溶接施工を採用することができ、溶接時の作業性を向上できると共に、接合部の強度を十分に確保できるようにした建設機械用作業腕及びその製造方法を提供することある。
上述した課題を解決するために、本発明による建設機械用作業腕は、建設機械のフロント部分を構成するため複数の板材を互いに接合することにより横断面が四角形状をなす角筒体として形成されるものである。
そして、本発明が採用する構成の特徴は、前記複数の板材を、前記角筒体の平面部を形成する平坦な形状の平面用薄板材と、この平面用薄板材よりも大きな板厚で平坦な形状を有し前記角筒体の角隅部を形成するため前記平面用薄板材に予め接合した状態で曲げ加工される角隅用厚板材とを含む構成としたことことにある。
このように構成することにより、平面用薄板材と角隅用厚板材とをそれぞれ板厚が異なる鋼板等を用いて形成でき、作業腕の素材として汎用性が高い板材を採用することができる。また、角隅用厚板材は、曲げ加工する前の段階で平坦な形状を有している。そして、このように平坦な形状の角隅用厚板材は、その幅方向端面を平面用薄板材の端面に突合わせるだけで該薄板材に対する位置合わせ作業を簡単に行うことができ、例えば2次元の溶接施工により平面用薄板材と角隅用厚板材とを容易に接合することができる。これにより、従来技術で述べたような3次元の溶接施工を不要にでき、板材の接合部位を溶接の前に位置合わせするときの位置合わせ作業を簡略化することができる。そして、前記角筒体の角隅部を形成する角隅用厚板材の板厚を大きくし、前記角筒体の平面部を形成する平面用薄板材の板厚を薄くすることが可能となり、作業腕としての剛性を確保しつつ全体の軽量化を図ることができる。
即ち、本発明者等は、建設機械用作業腕に要求される構造解析を行った結果、前記角筒体の角隅部側では剛性を確保する上で板厚を大きくすることが必要であるが、これらの角隅部間に位置する平面部側は、各角隅部側よりも荷重分担が低いことが知見された。
このため、前記角筒体の平面部を形成する平面用薄板材の板厚を薄くすることにより、作業腕全体の重量を軽減することができる。そして、前記角筒体の角隅部を形成する角隅用厚板材は、板厚を大きくすることにより作業腕全体の剛性を高めることができる。これにより、平面用薄板材と角隅用厚板材からなる角筒体は、例えば土砂等の掘削作業時に作業腕が受ける掘削反力等を、十分な強度をもって受承することができ、作業腕としての剛性を確保することができる。
また、本発明によると、角隅用厚板材と平面用薄板材とは、その幅方向で互いに突合わせて溶接することにより板厚が部分的に異なる幅広板状体を形成し、この幅広板状体は、角筒体の一部を形成するため前記角隅用厚板材の位置で曲げ加工されることにより横断面がU字形状をなす部材を構成している。
この場合には、角隅用厚板材と平面用薄板材とを突合わせ溶接して形成される幅広板状体を、例えばプレス成形等の手段を用いて前記角隅用厚板材の位置で曲げ加工することにより、幅広板状体から横断面がU字形状をなす部材をプレス成形することができ、このU字形部材によって横断面が四角形状をなす角筒体の主要部を形成することができる。
また、本発明によると、平面用薄板材と角隅用厚板材とは、板厚方向の一側がほぼ同一面上に位置し板厚方向の他側が凹凸面形状をなすように互いに突合わせて溶接する構成としている。
これにより、前記板厚方向の一側面を前記角筒体の外側面として用いるようにすれば、平面用薄板材と角隅用厚板材との板厚差による凹凸面が角筒体の外側面に露出することはなくなり、角筒体の外側面を均一な面として形成することができる。
一方、本発明によると、平面用薄板材と角隅用厚板材とは、板厚方向の一側が凹凸面形状をなし板厚方向の他側がほぼ同一面上に位置するように互いに突合わせて溶接する構成としている。
この場合には、前記板厚方向の一側が外側面となるように角隅用厚板材を曲げ加工することにより、曲げ加工に伴って平面用薄板材と角隅用厚板材との溶接部に発生する引張り応力を低く抑えることができ、溶接部からクラックが発生するのを防止できる。また、この場合には、平面用薄板材と角隅用厚板材との板厚差による凹凸面を角筒体の外側面に露出させることによって、角筒体を頑丈な構造に形成していることを強調するように、凹凸面によるデザイン性を角筒体の外側面に与えることができ、建設機械用作業腕としての商品価値を高めることができる。
一方、本発明によると、平面用薄板材と角隅用厚板材とは、板厚方向の一側と他側とがそれぞれ凹凸面形状をなすように互いに突合わせて溶接する構成としている。
そして、この場合にも平面用薄板材と角隅用厚板材との板厚差による凹凸面を角筒体の外側面に露出させ、凹凸面によるデザイン性を角筒体の外側面に与えることができ、建設機械用作業腕としての商品価値を高めることができる。
また、本発明によると、角筒体を構成する平面用薄板材と角隅用厚板材の長手方向端部には、フロント部分のボス取付部となるボス用厚板材を予め接合して設け、このボス用厚板材は、前記角隅用厚板材と一緒に曲げ加工する構成としている。
この場合には、フロント部分のボス取付部となるボス用厚板材を、平面用薄板材と角隅用厚板材の長手方向端部に予め接合して設けた状態で、このボス用厚板材を角隅用厚板材と一緒に曲げ加工することができ、曲げ加工時の工程数を減らし、作業性を高めることができる。
また、本発明によると、ボス用厚板材は角隅用厚板材と同等の板厚をもって形成する構成としている。これにより、ボス用厚板材と角隅用厚板材とを一緒に曲げ加工するときに、両者の応力分布、荷重分担等を均等化することができる。
一方、本発明は、建設機械のフロント部分を構成するため複数の板材を互いに接合することにより横断面が四角形状をなす角筒体として形成される建設機械用作業腕の製造方法において、前記角筒体を板厚が異なる前記複数の板材を用いて形成するため、これらの板材を幅方向で互いに突合わせて溶接し板厚が部分的に異なる幅広板状体を形成する第1の溶接工程と、前記角筒体の角隅部を形成するため前記幅広板状体の厚板部分に曲げ加工を施し、前記幅広板状体を横断面がU字形状をなすU字形部材に塑性変形させる曲げ加工工程と、前記U字形部材の開口側を別体の板状部材で閉塞して横断面が四角形状の前記角筒体を形成するため、前記板状部材を前記U字形部材の開口側に溶接して設ける第2の溶接工程とからなるものである。
このような製造方法を採用することにより、第1の溶接工程では、板厚が部分的に異なる幅広板状体を、板厚が異なる複数の板材を幅方向で互いに突合わせ溶接して形成でき、このときの溶接作業を例えば2次元の溶接施工として行うことができる。そして、その後の曲げ加工工程では、前記幅広板状体の厚板部分に曲げ加工を施すことにより、前記幅広板状体を横断面がU字形状をなすU字形部材として形成することができる。また、その後の第2の溶接工程では、別体の板状部材を前記U字形部材の開口側に溶接することにより、前記U字形部材の開口側を板状部材で閉塞でき、作業腕を横断面が四角形状をなす角筒体として形成することができる。
また、本発明によると、第1の溶接工程では、幅広板状体の長手方向端部にフロント部分のボス取付部となるボス用厚板材を溶接して設け、曲げ加工工程では、このボス用厚板材を前記幅広板状体と一緒に曲げ加工して横断面がU字形状をなすU字形部材を形成している。
これにより、フロント部分のボス取付部となるボス用厚板材を、幅広板状体の長手方向端部に予め接合して設けた状態で、このボス用厚板材を幅広板状体と一緒に曲げ加工することができ、曲げ加工時の工程数を減らし、作業性を高めることができる。また、幅広板状体の長手方向端部にボス用厚板材を接合することにより、前記幅広板状体(板厚が異なる板材間)の接合強度を高めた状態で曲げ加工を行うことが可能となり、例えば曲げ加工に伴う負荷が、幅広板状体の薄板部分に悪影響を及ぼすのを抑えることができる。
さらに、本発明によると、第1の溶接工程では、深い溶込みが得られる高エネルギ密度溶接を施すようにしている。この場合には、例えば板厚の異なる複数の板材からなる幅広板状体の接合強度を、深い溶込みが得られる高エネルギ密度溶接により高めることができ、曲げ加工時の負荷に対しても十分な接合強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施の形態に適用される油圧ショベルを示す正面図である。
図2は、図1中のアームを単体として示す拡大正面図である。
図3は、図2に示すアームの素材となる幅広板状体およびボス用厚板材の平面図である。
図4は、図3中の幅広板状体を斜め上方からみた斜視図である。
図5は、幅広板状体を図3中の矢示V−V方向からみた拡大断面図である。
図6は、図5の幅広板状体をU字形状に曲げ加工した状態を示す断面図である。
図7は、U字形部材に板状部材を接合する前の状態を示す断面図である。
図8は、U字形部材に板状部材を接合して角筒体を形成した状態を示す断面図である。
図9は、U字形部材に板状部材を接合する前の状態を示す分解斜視図である。
図10は、ボス取付部の素材であるボス用厚板材に板状部材を接合する前の状態を示す分解斜視図である。
図11は、図10中のボス用厚板材とは別のボス取付部を構成するボス用厚板材を示す平面図である。
図12は、図11中のボス用厚板材を曲げ加工してボス取付部を形成した状態を示す斜視図である。
図13は、第2の実施の形態で用いる幅広板状体およびボス用厚板材の平面図である。
図14は、図13の幅広板状体を曲げ加工したU字形部材に板状部材を接合する前の状態を示す分解斜視図である。
図15は、第3の実施の形態による板状部材をU字形部材に接合する前の状態を示す断面図である。
図16は、図15中のU字形部材に板状部材を接合して角筒体を形成した状態を示す断面図である。
図17は、第4の実施の形態によるU字形部材に板状部材を接合して角筒体を形成した状態を示す断面図である。
図18は、第5の実施の形態による角筒体の素材である幅広板状体を示す斜視図である。
図19は、幅広板状体を図18中の矢示XIX−XIX方向からみた断面図である。
図20は、図19中の幅広板状体をU字形状に曲げ加工した後に板状部材を接合する状態を示す断面図である。
図21は、図20中のU字形部材に板状部材を接合して角筒体を形成した状態を示す断面図である。
図22は、第6の実施の形態によるU字形部材に板状部材を接合して角筒体を形成した状態を示す断面図である。
図23は、第7の実施の形態によるU字形部材に板状部材を接合して角筒体を形成した状態を示す断面図である。
図24は、第8の実施の形態による角筒体の素材である幅広板状体を示す斜視図である。
図25は、幅広板状体を図24中の矢示XXX−XXX方向からみた断面図である。
図26は、図25中の幅広板状体をU字形状に曲げ加工した後に板状部材を接合する状態を示す断面図である。
図27は、図26中に示すU字形部材の要部拡大図である。
図28は、図26中のU字形部材と板状部材とにより角筒体を形成した状態を示す断面図である。
図29は、第9の実施の形態による角筒体をU字形部材と板状部材とにより形成した状態を示す断面図である。
図30は、図29中のU字形部材を曲げ加工する前の幅広板状体を示す図5と同様位置での断面図である。
図31は、第10の実施の形態による角筒体をU字形部材と板状部材とにより形成した状態を示す断面図である。
図32は、図31中のU字形部材を曲げ加工する前の幅広板状体を示す図5と同様位置での断面図である。
図33は、図32中の幅広板状体をU字形状に曲げ加工した後に板状部材を接合する状態を示す断面図である。
図34は、図33中に示すU字形部材の要部拡大図である。
図35は、本発明の変形例による油圧ショベルを示す正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態による建設機械用作業腕及びその製造方法を、オフセットブーム式の作業装置を備えた油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図12は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は建設機械としての油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能となった装軌式の走行体2と、この走行体2上に旋回可能に搭載された旋回体3と、後述の作業装置11等により構成されている。
この場合、旋回体3は、旋回フレーム4と、この旋回フレーム4上に設けられたキャブ5、外装カバー6、カウンタウエイト7等とにより構成されている。そして、キャブ5は、オペレータが乗降する操作運転用の建屋を構成し、その内部に運転室を画成している。また、外装カバー6は、カウンタウエイト7と共にエンジン、油圧ポンプ(いずれも図示せず)等が内部に収容される機械室を画成するものである。
8は走行体2の前側に設けられた排土板装置で、この排土板装置8は、走行体2に対して上,下に昇降可能に設けられ、例えば地均し作業、排土作業等を行うものである。
11は旋回体3の前部側に俯仰動可能に設けられたフロント部分となるオフセットブーム式の作業装置で、この作業装置11は、旋回フレーム4に俯仰動可能に取付けられたロアブーム12と、このロアブーム12の先端部に左,右方向に揺動可能に取付けられたアッパブーム13と、このアッパブーム13の先端部に左,右方向に揺動可能に取付けられたアームステー14と、このアームステー14に俯仰動可能に取付けられた後述のアーム21と、このアーム21の先端部に回動可能に取付けられたフロントアタッチメントとしてのバケット15とにより構成されている。
ここで、作業装置11のロアブーム12、アッパブーム13およびアーム21は、建設機械用の作業腕を構成するものである。また、オフセットブーム式の作業装置11にあっては、ロアブーム12の先端部とアームステー14との間にリンクロッド(図示せず)が左,右方向に回動可能に連結して設けられている。
そして、このリンクロッドは、ロアブーム12、アッパブーム13、アームステー14と共に平行リンクを構成し、この平行リンクによりアーム21(アームステー14)は、ロアブーム12に対して常に平行な状態に保持されるものである。
また、旋回フレーム4とロアブーム12との間には、ブームシリンダ16が設けられ、アームステー14とアーム21との間には、アームシリンダ17が設けられている。そして、アーム21とバケット15との間には、リンク18,19を介してフロントアタッチメント用のバケットシリンダ20が設けられている。
また、ロアブーム12とアッパブーム13との間には、オフセットシリンダ(図示せず)が設けられ、例えば側溝堀り作業等を行うときには、このオフセットシリンダを伸縮させることにより、アーム21は前記平行リンクを介してロアブーム12に対し左,右に平行移動されるものである。
21は建設機械用の作業腕を構成する作業装置11のアームで、このアーム21は、図2ないし図12に示す如くその長手方向に延びる角筒体22と、角筒体22の長手方向一側に設けられ2個のボス部23A,23Bが接合されたボス取付部23と、角筒体22の長手方向他側に設けられ1個のボス部24Aが接合された他のボス取付部24と、後述のシリンダブラケット26等とにより構成されている。
ここで、アーム21の主要部を構成する角筒体22は、図8に示すように横断面が四角形状をなす筒体として形成されている。即ち、角筒体22は、その上側に位置し左,右に離間した角隅部22A,22Aと、各角隅部22A間に位置した上側の平面部22Bと、下側に位置し左,右に離間した他の角隅部22C,22Cと、各角隅部22C間に位置した下側の平面部22Dと、角隅部22A,22C間に位置した左,右の平面部22E,22Eとにより構成されている。
そして、角筒体22の角隅部22Aは、後述の角隅用厚板材30を用いて形成され、上側の平面部22Bは、後述の平面用薄板材28を用いて形成される。また、下側の角隅部22Cは、後述の厚板材31等により形成され、下側の平面部22Dは、後述の薄板材34等により形成され、左,右の平面部22Eは、後述の平面用薄板材29を用いて形成されるものである。
また、アーム21の一側に位置するボス取付部23には、図1中に示すリンク18がボス部23Aにピン結合され、バケット15がボス部23Bに回動可能にピン結合されるものである。また、アーム21の他側に位置するボス取付部24は、図1中に示すアームステー14にボス部24Aを介して回動可能にピン結合されるものである。
25は角筒体22の他側をボス取付部24と共に閉塞する蓋板、26は角筒体22の他側に蓋板25を介して設けられたシリンダブラケットを示している。ここで、このシリンダブラケット26は、図1、図2に示す如く略扇形状をなすブラケット板として形成され、2個のピン穴26A,26Bが穿設されている。
また、シリンダブラケット26のピン穴26Aには、図1に示すアームシリンダ17のロッド側端部が回動可能にピン結合され、ピン穴26Bにはバケットシリンダ20のボトム側端部が回動可能にピン結合されるものである。
27は角筒体22の素材となる幅広板状体で、この幅広板状体27は、図3ないし図5に示す如くその長手方向に延びる薄板部分としての平面用薄板材28,29,29と、厚板部分としての角隅用厚板材30,30、厚板材31,31とを、互い違いとなるようにその幅方向で突合わせ溶接することにより構成されている。そして、これらの突合わせ溶接は、例えばレーザ溶接等の深い溶込みが得られる高エネルギ密度溶接により行われている。
ここで、幅広板状体27の幅方向中央部に位置する平面用薄板材28は、長手方向に細長く延びる平坦な形状の薄鋼板を用いて形成されている。また、平面用薄板材28の幅方向(左,右方向)両側に接合された左,右の角隅用厚板材30,30も、平面用薄板材28と同様に長手方向に細長く延びる鋼板を用いて形成されている。
そして、平面用薄板材28,29と角隅用厚板材30、厚板材31とは、図4、図5に示す如く板厚方向の一側(上側面)がほぼ同一面上に位置し、板厚方向の他側(下側面)が凹凸面形状をなすように、それぞれの幅方向端部を互いに突合わせて溶接されている。
また、幅広板状体27の角隅用厚板材30,30は、平面用薄板材28よりも厚い板厚を有し、図3、図4中に点線で示す折曲げ線30Aの位置で凸湾曲状に曲げ加工される曲げ板材を構成する。そして、角隅用厚板材30は、図6中に示す如く断面L字状に曲面部(丸み)をもって湾曲されることにより、図8に示す角筒体22の角隅部22Aを形成するものである。
また、図3、図4に示す如く左,右の角隅用厚板材30,30の幅方向外側に接合された左,右の平面用薄板材29,29は、角隅用厚板材30に沿って長手方向に延び略台形の平面形状を有した薄鋼板により形成されている。そして、平面用薄板材29の幅方向外側に接合された左,右の厚板材31,31は、平面用薄板材29の外側面に沿って長手方向に細長く延びる厚鋼板により形成されている。
この場合、平面用薄板材28,29は、例えば3〜6mm、好ましくは3.2mm程度の板厚を有する鋼板を用いて形成される。また、角隅用厚板材30,厚板材31は、平面用薄板材28,29の2倍程度の板厚(例えば、6〜12mm程度)を有する鋼板を用いて形成されている。
そして、これらの薄板材28,29および厚板材30,31からなる幅広板状体27は、図3に示す如く長手方向一側の端面がボス取付部23(後述のボス用厚板材37)に対する接合端27Aとなり、長手方向他側の端面は、図2に示す蓋板25に対する接合端27Bとなっている。
また、幅広板状体27の長手方向他側には、接合端27Bの幅方向両側から厚板材31の他側端面に向けて平面用薄板材29,29の端部を斜めにカットして形成された傾斜端27C,27Cが設けられている。そして、これらの傾斜端27Cには、図2、図12に示すボス取付部24が高エネルギ密度溶接等の手段を用いて接合されるものである。
32は幅広板状体27を曲げ加工することにより形成されたU字形部材で、該U字形部材32は、幅広板状体27の各厚板材30を図3中に点線で示す折曲げ線30Aの位置で凸湾曲状に曲げ加工することにより、図6に示す如く横断面がU字形状をなすように塑性変形して形成されたものである。
このときに、左,右の角隅用厚板材30,30は、曲げ加工に伴って図6中に示す如く断面L字状に湾曲され、図8に示す角筒体22の角隅部22A,22Aを形成するものである。また、中央の平面用薄板材28は、角筒体22の上側に位置する平面部22Bを形成している。
また、左,右の平面用薄板材29,29は、角筒体22の左,右の平面部22E,22Eを形成することになる。そして、左,右の厚板材31,31間には、図7に示すようにU字形部材32の下側に位置する開口32Aが形成され、この開口32Aは、後述の板状部材33により閉塞されるものである。
33はU字形部材32と共に角筒体22を構成する板状部材で、この板状部材33は、図7ないし図9に示す如く中央の薄板材34と、薄板材34の幅方向両側に高エネルギ密度溶接等の手段を用いて接合された左,右の厚板材35,35とにより構成されている。
この場合、板状部材33は、図9に示す如くU字形部材32の厚板材31にほぼ対応した長さをもって形成され、その幅寸法は図7に示す如く、左,右の厚板材31,31間の離間寸法に対応している。そして、板状部材33は、図7に示すU字形部材32の開口32A内(厚板材31,31間)に挿嵌され、高エネルギ密度溶接等の手段を用いた接合部36,36により厚板材31,31間に固着されるものである。
これにより、U字形部材32の開口32Aは、下側から板状部材33を用いて閉塞され、図8に示す如く横断面が四角形状をなす角筒体22が形成される。そして、角筒体22の下側に位置する左,右の角隅部22C,22Cは、U字形部材32の厚板材31と板状部材33の厚板材35との接合部36近傍部により形成され、角筒体22の下側に位置する平面部22Dは、板状部材33の下面により形成されるものである。
なお、板状部材33の薄板材34は、前述した幅広板状体27の平面用薄板材28,29とほぼ同様の板厚に形成され、厚板材35は、幅広板状体27の厚板材30,31と同様の板厚をもって形成されるものである。
37はボス取付部23の素材となるボス用厚板材で、ボス用厚板材37は、幅広板状体27の角隅用厚板材30、厚板材31と同様の板厚をもって図3に示す如く形成されている。また、ボス用厚板材37には、図2に示す筒状のボス部23Aが溶接により取付けられる2個の取付穴37A,37Aと、図2に示す筒状のボス部23Bが溶接により取付けられる半円形状をなした2個の取付溝37B,37Bとが設けられている。
そして、このボス用厚板材37は、図3中に点線で示す折曲げ線37C,37Cの位置で図10に示す如く曲げ加工され、前述したU字形部材32とほぼ同様に横断面がU字形状をなす部材として形成されるものである。
38はボス用厚板材37と共にボス取付部23を構成する板状部材で、この板状部材38は、前述した角筒体22の板状部材33とほぼ同様に、図10に示す如く中央の薄板材38Aと、左,右の厚板材38B,38Bとにより構成されている。しかし、この場合の板状部材38は、ボス用厚板材37に対応して短尺に形成され、ボス用厚板材37の下側開口を閉塞するようにボス用厚板材37に接合されるものである。
そして、ボス取付部23は、ボス用厚板材37と板状部材38とを接合することにより横断面が四角形状をなす短尺の角筒として形成される。その後に、このボス取付部23は、図2に示す接合端27Aの位置で角筒体22の長手方向一側に接合されるものである。
39はボス取付部24の素材となる他のボス用厚板材で、このボス用厚板材39は、幅広板状体27の厚板材30,31と同様の板厚をもって図11に示す如く形成されている。また、ボス用厚板材39には、図2に示す筒状のボス部24Aが溶接により取付けられる略半円形状をなした2個の取付溝39A,39Aが設けられている。
この場合、ボス用厚板材39は、図11中に点線で示す折曲げ線39B,39Bの位置で図12に示す如く上向きに折曲げるように曲げ加工され、横断面がU字形状をなすボス取付部24を形成するものである。そして、ボス取付部24は、図2に示す傾斜端27Cの位置で角筒体22の長手方向他側に接合されるものである。
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その作業腕となるアーム21の製造方法について説明する。
まず、アーム21の主要部となる角筒体22を製造する工程では、図3、図4に示す如く中央部の平面用薄板材28と、その左,右両側の角隅用厚板材30,30と、その外側の平面用薄板材29,29と、さらに外側の厚板材31,31とを、それぞれの幅方向でレーザ溶接等の手段を用いて突合わせ溶接し、板厚が部分的に異なる幅広板状体27を形成する(第1の溶接工程)。
次に、このように形成した幅広板状体27を、プレス機械の金型(図示せず)等を用いて曲げ加工し、図6、図9に示す如く横断面がU字形状をなすU字形部材32に塑性変形させる(曲げ加工工程)。この場合、幅広板状体27は、左,右の角隅用厚板材30,30が図6中に示す如く断面L字状に湾曲され、U字形部材32としてプレス成形される。
また、U字形部材32とは別体の板状部材33を、図7に示すように薄板材34の左,右両側に厚板材35,35を突合わせ溶接することにより形成する。そして、U字形部材32の下側に位置する開口32Aを板状部材33で閉塞するように、この板状部材33をU字形部材32の開口32A側にレーザ溶接等の手段を用いて接合する(第2の溶接工程)。
これにより、U字形部材32と板状部材33とから横断面が四角形状をなす角筒体22を、図8に示す如く形成する。そして、角筒体22の上側に位置する角隅部22Aを、角隅用厚板材30により形成でき、上側の平面部22Bを、平面用薄板材28により形成できる。
また、角筒体22の下側に位置する角隅部22Cを、厚板材31,35間の接合部36近傍によって形成でき、下側の平面部22Dを、板状部材33(薄板材34)の下面側によって形成できる。そして、角筒体22の左,右両側に位置する平面部22Eを、厚板材30,31間の平面用薄板材29によって形成することができる。
次に、ボス取付部23の製造工程では、まず、ボス取付部23の素材となるボス用厚板材37に、図3に示す如く円形穴からなる2個の取付穴37A,37Aと、半円形状をなす個の取付溝37B,37Bとを、プレス成形等の手段を用いて穿設する。
そして、このボス用厚板材37を、図3中に点線で示す折曲げ線37C,37Cの位置で曲げ加工し、これによってボス用厚板材37を、図10に示す如く横断面がU字形状をなす部材としてプレス成形する。
また、ボス用厚板材37とは別体の板状部材38を、図10に示す如く薄板材38Aの左,右両側に厚板材38B,38Bを突合わせ溶接することにより形成する。そして、この板状部材38を、ボス用厚板材37の下側開口を閉塞するようにレーザ溶接等により接合する。
これにより、横断面が四角形状をなすボス取付部23を、ボス用厚板材37と板状部材38とを用いて短尺の角筒として形成する。そして、このように形成したボス取付部23を、図2に示す接合端27Aの位置で角筒体22の長手方向一側にレーザ溶接等により接合する。
一方、ボス取付部24の製造工程では、まず、ボス取付部24の素材となるボス用厚板材39に、図11に示す如く略半円形状をなす2個の取付溝39A,39Aをプレス成形等の手段を用いて穿設する。
そして、このボス用厚板材39を、図11中に点線で示す折曲げ線39B,39Bの位置で曲げ加工し、これによってボス用厚板材39を、図12に示す如く横断面がU字形状をなす部材としてプレス成形する。次に、このように形成したボス取付部24を、図2に示す傾斜端27Cの位置で角筒体22の長手方向他側にレーザ溶接等の手段を用いて接合する。
また、角筒体22の長手方向他側には、図2に示す接合端27Bの位置で蓋板25をレーザ溶接等の手段を用いて接合し、この蓋板25によって角筒体22の他側端部を閉塞する。
そして、この蓋板25の外側には、角筒体22の他側上面に向けて延びるようにシリンダブラケット26を溶接して設ける。これにより、作業腕としてのアーム21を図2に示す如く製造することができる。
また、図1に示す作業装置11の他の作業腕となるロアブーム12、アッパブーム13についても、アーム21と同様にそれぞれ角筒体として形成できるものである。
次に、このようなオフセットブーム式の作業装置11が設けられた油圧ショベル1は、走行体2を走行駆動することにより前進または後進することができる。また、旋回体3を走行体2上で旋回駆動することにより、作業装置11の方向を適宜に変えることができる。
そして、土砂等の掘削作業を行うときには、ブームシリンダ16、アームシリンダ17およびバケットシリンダ20を伸縮させることにより、作業装置11のロアブーム12、アーム21およびバケット15を作動させ、このバケット15によって掘削作業を行なうことができる。
また、オフセットブーム式の作業装置11は、オフセットシリンダ(図示せず)を伸縮させることによりロアブーム12に対してアッパブーム13を左,右に回動することができ、アーム21をロアブーム12に対し左,右に平行移動させた状態で、例えば側溝堀り作業等を容易に行うことができる。
さらに、図1に示すように作業装置11のロアブーム12を上方に大きく仰動し、アーム21およびバケット15をロアブーム12側に折り畳むように回動した状態では、作業装置11全体を旋回体3の旋回半径内に収めることができ、狭い作業現場でも周囲の障害物等に接触することなく、土砂等の掘削作業を円滑に行うことができる。
かくして、本実施の形態によれば、アーム21の主要部となる角筒体22を製造するときに、図3、図4に示す如く中央部の平面用薄板材28、その左,右両側の角隅用厚板材30,30、その外側の平面用薄板材29,29及びその外側の厚板材31,31をレーザ溶接等の手段を用いて突合わせ溶接することにより、板厚が部分的に異なる幅広板状体27を形成する。次に、この幅広板状体27を左,右の角隅用厚板材30,30の位置で断面L字状に曲げ加工することにより、図6、図9に示す如く横断面がU字形状をなすU字形部材32を形成する構成としている。
また、U字形部材32とは別体の板状部材33を、図7に示すように薄板材34の左,右両側に厚板材35,35を突合わせ溶接することにより形成する。次に、板状部材33を用いてU字形部材32の下側に位置する開口32Aを閉塞するように、この板状部材33をU字形部材32の開口32A側にレーザ溶接等の手段を用いて接合し、図8に示す如く横断面が四角形状をなす角筒体22を形成する構成としている。
この結果、アーム21の主要部となる角筒体22は、その上側の角隅部22Aを、角隅用厚板材30により形成でき、上側の平面部22Bを、平面用薄板材28により形成できる。また、角筒体22の下側に位置する角隅部22Cを、厚板材31,35間の接合部36近傍により形成でき、下側の平面部22Dを、板状部材33(薄板材34)の下面側により形成できる。さらに、角筒体22の左,右両側に位置する平面部22Eを、厚板材30,31間の平面用薄板材29によって形成することができる。
即ち、本発明者等が行った作業腕(例えば、アーム21)に要求される構造解析によれば、角筒体22の角隅部22A,22C側では剛性を確保する上で板厚を大きくすることが必要である。しかし、これらの角隅部22A,22C間に位置する平面部22B,22D,22E側は、各角隅部22A,22C側よりも荷重分担が低い。このために、平面部22B,22D,22E側は、板厚を必ずしも大きくする必要がないことが知見されたものである。
そこで、本実施の形態にあっては、角筒体22の平面部22B,22D,22E側を薄板材28,29,34を用いて形成し、アーム21全体の重量を軽減する構成としている。また、角筒体22の角隅部22A,22Cは、角隅用厚板材30と厚板材31,35とを用いて形成する構成としている。
これにより、アーム21全体の剛性を高めることができ、例えば土砂等の掘削作業時にバケット15側からアーム21が受ける掘削反力等を、十分な強度をもって受承することができる。また、薄板材28,29,34と厚板材30,31,35のように、板厚が異なる鋼板等を用いてアーム21の角筒体22を形成でき、アーム21の素材として汎用性が高い板材を採用することができる。
また、角筒体22の素材となる幅広板状体27は、U字形部材32として曲げ加工を行う前の段階で、薄板材28,29と厚板材30,31とを互い違いに突合わせ溶接することにより形成でき、このときの溶接作業を、例えば2次元の溶接施工として行うことができる。
この場合、例えば図3に示す平面用薄板材28、左,右の角隅用厚板材30,30、左,右の平面用薄板材29,29および左,右の厚板材31,31は、板厚方向の一側面(図5に示す上側の面)を下側に向けるように反転した状態で定盤上に並べるように配置すればよい。
これにより、これらの板材28,30,29,31を定盤の表面による同一平面上に配置した状態で、突合わせ溶接を簡単に行うことができ、2次元の溶接施工が可能となる。このような2次元の溶接施工を採用することにより、従来技術で述べた3次元の溶接施工よりも接合部の位置決め作業を大幅に簡略化することができる。しかも、2次元の溶接施工により溶接時の作業性を向上でき、接合部の強度を十分に確保することができる。
また、深い溶込みが得られるレーザ溶接等の高エネルギ密度溶接を用いることにより、幅広板状体27の薄板材28,29と厚板材30,31との溶接部位における接合強度を高めることができ、例えば片側からの溶接施工で裏側に貫通する完全溶接が可能となる。
これにより、レーザ溶接等の高エネルギ密度溶接は、アーク溶接等による部分溶込み、バッキング付の完全溶込みに比較しても、溶接部の疲労寿命を向上することができる。また、アーク溶接に較べて5倍程度の高速溶接が可能であり、入熱量を低く抑えることができる。この結果、高エネルギ密度溶接を用いることにより、特に板厚が10mm以下の薄板材28,29等に溶接後の変形が生じたりするのを抑制できる。また、曲げ加工時に発生する引張り荷重等の負荷に対しても十分な接合強度を確保することができる。
また、幅広板状体27を曲げ加工してU字形部材32を形成するときには、平面用薄板材28,29と角隅用厚板材30との板厚差による凹凸面が図6に示すようにU字形部材32の外側面に露出することはない。このため、U字形部材32の外側面、即ち角筒体22の外側面を凹凸のない均一な面として形成することができる。
また、図7、図9に示すように板状部材33をU字形部材32の開口32A側にレーザ溶接等の手段で接合し、図8に示す角筒体22を形成する場合でも、ほぼ90°の曲げ角をもってプレス成形されたU字形部材32に対し、その開口32A側を閉塞するように板状部材33を位置合わせするだけでよい。
このため、U字形部材32と板状部材33との位置合わせ作業を、図9に示すU字形部材32の長手方向に対しても容易に行うことができ、溶接時の作業性を向上できる。そして、高エネルギ密度溶接を用いた完全溶接により、接合部の強度を十分に確保することができる。
従って、本実施の形態によれば、互いに板厚が異なる平面用薄板材28,29と角隅用厚板材30、厚板材31等とを用いて幅広板状体27およびU字形部材32を形成し、板状部材33をU字形部材32の開口32A側に組合せて接合するだけで、横断面が四角形状をなす角筒体22を形成することができる。これにより、作業腕となるアーム21の軽量化を図ることができると共に、その剛性も十分に確保することができる。
また、例えば2次元の溶接施工により平面用薄板材28,29と角隅用厚板材30、厚板材31とからなる幅広板状体27を形成することができ、3次元の溶接施工に比較して接合部の位置決め作業を大幅に簡略化できると共に、溶接時の作業性を向上でき、接合部の強度を十分に確保することができる。
次に、図13および図14は本発明の第2の実施の形態を示している。ここで、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
然るに、本実施の形態の特徴は、平面用薄板材28,29と角隅用厚板材30、厚板材31とからなる幅広板状体27の長手方向端部(接合端27Aと傾斜端27C,27C)にボス用厚板材41,42,42を溶接して設け、その後にボス用厚板材41を幅広板状体27と一緒に曲げ加工する構成としたことにある。
ここで、ボス用厚板材41は、第1の実施の形態で述べたボス用厚板材37とほぼ同様に形成され、円形穴からなる2個の取付穴41A,41Aと、半円形状をなした2個の取付溝41B,41Bとを有している。そして、ボス用厚板材41は、図13中に点線で示す折曲げ線41C,41Cの位置で曲げ加工され、図2に例示したボス取付部23を構成するものである。
しかし、この場合のボス用厚板材41は、例えばレーザ溶接等の高エネルギ密度溶接により幅広板状体27の接合端27Aに予め接合され、その後に図14に示す如く幅広板状体27と一緒に曲げ加工され、後述のU字形部材43が成形されるものである。
また、他のボス用厚板材42,42は、図2に例示したボス取付部24を構成するため、第1の実施の形態で述べたボス用厚板材39に替えて用いられるものである。そして、ボス用厚板材42は、幅広板状体27の厚板材30,31と同様の板厚をもって図13に示す如く略三角形状に形成されている。
また、ボス用厚板材42には、図2に例示したボス部24Aが溶接により取付けられる略半円形状をなした取付溝42Aが設けられている。そして、これらのボス用厚板材42は、図13に示す傾斜端27Cの位置で幅広板状体27の長手方向他側にレーザ溶接等の手段で接合されるものである。
43は幅広板状体27と厚板材41,42を一緒に曲げ加工することにより成形されたU字形部材で、このU字形部材43は、第1の実施の形態で述べたU字形部材32とほぼ同様に形成され、アーム21の主要部となる角筒体22を後述の板状部材44と共に構成するものである。
しかし、この場合のU字形部材43は、ボス用厚板材41,42,42が予め接合された状態の幅広板状体27を、図14に示す如く横断面がU字形状をなすようにプレス加工することにより形成され、ボス用厚板材41,42は、U字形部材43の一部を構成しているものである。
44は本実施の形態で採用した板状部材で、この板状部材44は、第1の実施の形態で述べた板状部材33とほぼ同様に形成され、中央の薄板材45と、薄板材45の幅方向両側にレーザ溶接等の手段を用いて接合された左,右の厚板材46,46とにより構成されている。
この場合、板状部材44は、図14に示す如くU字形部材43の厚板材31と厚板材41,42とにほぼ対応した長さをもって形成され、その幅寸法は、左,右の厚板材31,31間の離間寸法に対応している。また、板状部材44は、U字形部材43の下側開口内(厚板材31,31間)に挿嵌され、レーザ溶接等の手段を用いて厚板材31,31間に固着されるものである。
これにより、U字形部材43の下側開口は、板状部材44を用いて閉塞され、第1の実施の形態で述べた角筒体22と同様に横断面が四角形状をなす角筒体として形成されるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様に、互いに板厚が異なる薄板材28,29と厚板材30,31等とを用いて幅広板状体27およびU字形部材43を形成することができ、作業腕となるアーム21の軽量化を図ることができると共に、その剛性も十分に確保することができる。
特に、本実施の形態によれば、薄板材28,29と厚板材30,31とからなる幅広板状体27の長手方向端部にボス用厚板材41,42,42を溶接して設け、その後にボス用厚板材41を幅広板状体27と一緒に曲げ加工してU字形部材43を形成する構成としている。
これにより、ボス取付部23となるボス用厚板材41を幅広板状体27と一緒に曲げ加工することができ、曲げ加工時の工程数を減らし、作業性を高めることができる。
また、幅広板状体27の長手方向端部にボス用厚板材41,42を接合することにより、例えば曲げ加工に伴う引張り荷重、圧縮荷重等の負荷が、幅広板状体27の薄板材28,29に悪影響を及ぼすのを抑えることができ、ボス用厚板材41,42を薄板材28,29に対する補強材として用いることができる。また、ボス用厚板材41を角隅用厚板材30等と同等の板厚をもって形成することにより、両者を一緒に曲げ加工するときの応力分布、荷重分担等を均等化することができる。
次に、図15および図16は本発明の第3の実施の形態を示している。ここで、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
然るに、本実施の形態の特徴は、U字形部材32の開口32A側を、板状部材51を用いて閉塞する構成としたことにある。
ここで、板状部材51は、第1の実施の形態で述べた板状部材33とほぼ同様に、中央の薄板材52と左,右の厚板材53,53とにより構成されている。しかし、この場合の板状部材51は、前記板状部材33よりも幅寸法が大きく形成され、左,右の厚板材53,53は、その上面がU字形部材32(厚板材31,31)の下面に当接した状態で接合部54,54により接合されている。
そして、これらの接合部54は、板状部材51の厚板材53をU字形部材32の下面側で厚板材31にレーザ溶接等の手段で接合し、両者を深い溶込みをもって固着させる。これにより、U字形部材32の開口32Aは、板状部材51を用いて閉塞され、第1の実施の形態で述べた角筒体22と同様に横断面が四角形状をなす角筒体22′として形成されるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、この場合には、角筒体22′の上側に位置する角隅部22A′を角隅用厚板材30により形成でき、上側の平面部22B′を平面用薄板材28により形成できる。
また、角筒体22′の下側に位置する角隅部22C′を、厚板材31,53間の接合部54近傍によって形成でき、下側の平面部22D′を板状部材51(薄板材52)の下面側によって形成できる。一方、角筒体22′の左,右両側に位置する平面部22E′を、厚板材30,31間の薄板材29によって形成することができる。
次に、図17は本発明の第4の実施の形態を示している。ここで、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
然るに、本実施の形態の特徴は、アーム21の主要部を構成する角筒体61を、平面用薄板材62,63,63および角隅用厚板材64,64からなるU字形部材65と、U字形部材65の下側開口を閉塞する板状部材66とを用いて構成したことにある。
ここで、平面用薄板材62,63,63と角隅用厚板材64,64とは、第1の実施の形態で述べた幅広板状体27とほぼ同様に、その幅方向で予め突合わせ溶接され、角隅用厚板材64,64の位置で曲げ加工されることによりU字形部材65としてプレス成形されるものである。
また、板状部材66は、角隅用厚板材64と同様の板厚をもった単一の鋼板により前記板状部材33よりも大なる幅寸法をもって形成され、板状部材66の左,右両側部位は、その上面がU字形部材65(薄板材63,63)の下面に当接した状態で接合部67,67により接合されている。
そして、これらの接合部67は、板状部材66の両側部位をU字形部材65の下面側で薄板材63にレーザ溶接等の手段で接合し、両者を深い溶込みをもって固着させる。これにより、U字形部材65の下側開口は、板状部材66を用いて閉塞され、第1の実施の形態で述べた角筒体22と同様に横断面が四角形状をなす角筒体61として形成されるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、この場合には、角筒体61の上側に位置する角隅部61Aを角隅用厚板材64により形成でき、上側の平面部61Bを平面用薄板材62により形成できる。
また、角筒体61の下側に位置する角隅部61Cを、薄板材63と板状部材66との間の接合部67近傍によって形成でき、下側の平面部61Dを板状部材66の下面側によって形成できる。一方、角筒体61の左,右両側に位置する平面部61Eを平面用薄板材63によって形成することができる。
次に、図18ないし図21は本発明の第5の実施の形態を示している。ここで、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
然るに、本実施の形態の特徴は、図20、図21に示す如くアーム21の主要部を構成する角筒体71を、角隅用厚板材72および左,右の平面用薄板材73,73からなるU字形部材74と、U字形部材74の下側開口を閉塞する板状部材75とを用いて構成したことにある。
ここで、U字形部材74の素材となる幅広板状体74′は、第1の実施の形態で述べた幅広板状体27とほぼ同様に、角隅用厚板材72と平面用薄板材73,73とを図18、図19に示す如く、その幅方向で突合わせ溶接することにより形成される。そして、この場合の幅広板状体74′は、角隅用厚板材72を図18中に点線で示す折曲げ線72A,72Aの位置でU字形状に曲げ加工することにより、図20に示すようにU字形部材74としてプレス成形されるものである。
また、板状部材75は、第1の実施の形態で述べた板状部材33と同様に、中央の薄板材76と左,右の厚板材77,77とにより構成されている。しかし、この場合の板状部材75は、前記板状部材33よりも幅寸法が大きく形成され、左,右の厚板材77,77は、その上面がU字形部材74(薄板材73,73)の下面に当接した状態で接合部78,78により接合されている。
そして、これらの接合部78は、板状部材75の厚板材77をU字形部材74の下面側で薄板材73にレーザ溶接等の手段で接合し、両者を深い溶込みをもって固着させる。これにより、U字形部材74の下側開口は、板状部材75を用いて閉塞され、第1の実施の形態で述べた角筒体22と同様に横断面が四角形状をなす角筒体71として形成されるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、この場合には、角筒体71の上側に位置する角隅部71Aを、角隅用厚板材72の左,右両側部位により形成でき、上側の平面部71Bを、角隅用厚板材72の幅方向中間部により形成することができる。
また、角筒体71の下側に位置する角隅部71Cを、薄板材73と板状部材75(厚板材77)との間の接合部78近傍によって形成でき、下側の平面部71Dを板状部材75(薄板材76)の下面側によって形成できる。一方、角筒体71の左,右両側に位置する平面部71Eを、平面用薄板材としての薄板材73によって形成することができる。
次に、図22は本発明の第6の実施の形態を示している。ここで、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
然るに、本実施の形態の特徴は、アーム21の主要部を構成する角筒体81を、角隅用厚板材82、厚板材83,83および左,右の平面用薄板材84,84からなるU字形部材85と、U字形部材85の下側開口を閉塞する板状部材86とを用いて構成したことにある。
ここで、角隅用厚板材82、厚板材83,83と平面用薄板材84,84とは、図18、図19に示す第5の実施の形態で述べた幅広板状体74′とほぼ同様に、その幅方向で予め突合わせ溶接され、その後に角隅用厚板材82の左,右両側部位をU字形状に曲げ加工することによりU字形部材85としてプレス成形されるものである。
また、板状部材86は、第1の実施の形態で述べた板状部材33と同様に、中央の薄板材87と左,右の厚板材88,88とにより構成されている。しかし、この場合の板状部材86は、前記板状部材33よりも幅寸法が大きく形成され、左,右の厚板材88,88は、その上面がU字形部材85(厚板材83,83)の下面に当接した状態で接合部89,89により接合されている。
そして、これらの接合部89は、板状部材86の厚板材88をU字形部材85の下面側で厚板材83にレーザ溶接等の手段で接合し、両者を深い溶込みをもって固着させる。これにより、U字形部材85の下側開口は、板状部材86を用いて閉塞され、第1の実施の形態で述べた角筒体22と同様に横断面が四角形状をなす角筒体81として形成されるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、この場合には、角筒体81の上側に位置する角隅部81Aを、角隅用厚板材82の左,右両側部位により形成でき、上側の平面部81Bを、厚板材82の幅方向中間部により形成することができる。
また、角筒体81の下側に位置する角隅部81Cを、厚板材83と板状部材86(厚板材88)との間の接合部89近傍によって形成でき、下側の平面部81Dを板状部材86(薄板材87)の下面側によって形成できる。一方、角筒体81の左,右両側に位置する平面部81Eを、平面用薄板材84によって形成することができる。
次に、図23は本発明の第7の実施の形態を示している。ここで、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
然るに、本実施の形態の特徴は、アーム21の主要部を構成する角筒体91を、平面用薄板材92,93,93および角隅用厚板材94,94からなるU字形部材95と、U字形部材95の上側開口を閉塞する板状部材96とを用いて構成したことにある。
即ち、本実施の形態にあっては、U字形部材95が板状部材96の下側に配置される。そして、板状部材96は、図23に示す如く断面U字形状をなし上側が開口したU字形部材95を上方から施蓋するように、後述の接合部97,97を介してU字形部材95に固着されている。
ここで、平面用薄板材92,93,93と角隅用厚板材94,94とは、第1の実施の形態で述べた幅広板状体27とほぼ同様に、その幅方向で予め突合わせ溶接され、角隅用厚板材94を平面用薄板材93が上向きとなるように曲げ加工することによりU字形部材95としてプレス成形されるものである。
また、板状部材96は、角隅用厚板材94と同様の板厚をもった単一の鋼板により前記板状部材33よりも大なる幅寸法をもって形成され、板状部材96の左,右両側部位は、その下面がU字形部材95(平面用薄板材93,93)の上側端面に当接した状態で接合部97,97により接合されている。
そして、これらの接合部97は、板状部材96の左,右両側部位をU字形部材95の上端側で薄板材93にレーザ溶接等の手段で接合し、両者を深い溶込みをもって固着させる。これにより、U字形部材95の上側開口は、板状部材96を用いて閉塞され、第1の実施の形態で述べた角筒体22とほぼ同様に横断面が四角形状をなす角筒体91として形成されるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。この場合、角筒体91の上側に位置する角隅部91Aを、平面用薄板材93と板状部材96との間の接合部97近傍によって形成でき、上側の平面部91Bを板状部材96の上面側によって形成することができる。
また、角筒体91の下側に位置する角隅部91Cを、角隅用厚板材94により形成でき、下側の平面部91Dを、平面用薄板材92により形成できる。一方、角筒体91の左,右両側に位置する平面部91Eを、平面用薄板材93により形成することができる。
次に、図24ないし図28は本発明の第8の実施の形態を示している。ここで、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
然るに、本実施の形態の特徴は、平面用薄板材と角隅用厚板材とは、板厚方向の一側が凹凸面形状をなし他側がほぼ同一面上に位置するように互いに突合わせて溶接する構成としたことにある。
図中、101は本実施の形態で採用した角筒体で、この角筒体101は、第1の実施の形態で述べた角筒体22とほぼ同様に形成されている。ここで、角筒体101は、図28に示すように上側に位置して左,右に離間した角隅部101A,101Aと、各角隅部101A間に位置した上側の平面部101Bと、下側に位置して左,右に離間した他の角隅部101C,101Cと、各角隅部101C間に位置した下側の平面部101Dと、角隅部101A,101C間に位置した左,右の平面部101E,101Eとにより構成されている。
102は角筒体101の素材となる幅広板状体で、この幅広板状体102は、第1の実施の形態で述べた幅広板状体27とほぼ同様に形成されている。ここで、幅広板状体102は、図24、図25に示す如く平面用薄板材103,104,104と、角隅用厚板材105,105、厚板材106,106とを互い違いとなるように、その幅方向で突合わせ溶接することにより構成されている。そして、これらの突合わせ溶接は、例えばレーザ溶接等の深い溶込みが得られる高エネルギ密度溶接により行われている。
しかし、この場合の平面用薄板材103,104と角隅用厚板材105、厚板材106とは、図24、図25に示す如く板厚方向の一側(上側面)が凹凸面形状をなし、板厚方向の他側(下側面)がほぼ同一面上に位置するように互いに突合わせて溶接され、これによって幅広板状体102を形成している。
107は幅広板状体102を曲げ加工することにより形成されたU字形部材で、このU字形部材107は、幅広板状体102の各角隅用厚板材105を図24中に点線で示す折曲げ線105A,105Aの位置で凸湾曲状に曲げ加工することにより、図26、図27に示す如く横断面がU字形状をなすように塑性変形して形成されたものである。
このときに、左,右の角隅用厚板材105,105は、曲げ加工に伴って図26中に示す如く断面L字状に湾曲され、図28に示す角筒体101の角隅部101A,101Aを形成するものである。また、中央の平面用薄板材103は、角筒体101の上側に位置する平面部101Bを形成している。
また、左,右の平面用薄板材104,104は、角筒体101の左,右の平面部101E,101Eを形成することになる。そして、左,右の厚板材106,106間には、図26に示すようにU字形部材107の下側に位置する開口107Aが形成され、この開口107Aは、後述の板状部材108により閉塞されるものである。
また、U字形部材107の外側面には、平面用薄板材103,104,104と角隅用厚板材105,105との板厚差により凹凸面107B,107C,107Cが形成されている。しかし、U字形部材107の内側面は、ほぼ均一な面として形成されている。
108はU字形部材107と共に角筒体101を構成する板状部材で、この板状部材108は、図26に示す如く中央の薄板材109と、薄板材109の幅方向両側に高エネルギ密度溶接等の手段を用いて接合された左,右の厚板材110,110とにより構成されている。
この場合、中央の薄板材109と左,右の厚板材110,110とは、図26に示す如く下側面が凹凸面形状をなし、上側面がほぼ同一面上に位置するように互いに突合わせて溶接され、これによって板状部材108を形成している。
そして、板状部材108は、U字形部材107の開口107A側(厚板材106,106の下端)に衝合され、高エネルギ密度溶接等の手段を用いた接合部111,111により図28に示す如く厚板材106,106に固着されるものである。
これにより、U字形部材107の開口107Aは、下側から板状部材108を用いて閉塞され、図28に示す如く横断面が四角形状をなす角筒体101が形成される。そして、角筒体101の下側に位置する左,右の角隅部101C,101Cは、U字形部材107の厚板材106と板状部材108の厚板材110との接合部111近傍部により形成され、角筒体101の下側に位置する平面部101Dは、板状部材108の下面により形成されるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、幅広板状体102を形成するときに、平面用薄板材103,104と角隅用厚板材105、厚板材106とは、図24、図25に示す如く上側面が凹凸面形状をなし、下側面がほぼ同一面上に位置するように突合せ溶接されている。
このため、幅広板状体102の角隅用厚板材105、105を、凸湾曲状に曲げ加工して図27に示すU字形部材107を形成するときに、平面用薄板材103と角隅用厚板材105との溶接部112に引張り荷重等が作用するのを抑えることができ、例えば溶接部112から溶接部112にクラック等が発生するの防止できる。
即ち、U字形部材107の外側面(凹凸面107B側)には角隅用厚板材105を曲げ加工するときに、引張り荷重が図27中の矢示A方向に発生し、U字形部材107の内側面には矢示B方向に圧縮荷重が発生する傾向がある。しかし、この場合の平面用薄板材103と角隅用厚板材105とは、外側面が凹凸面107Bとなり、内側面が均一な面となっている。
これにより、平面用薄板材103と角隅用厚板材105との間の溶接部112には、矢示A方向の引張り応力が作用することはほとんどなく、引張り応力の影響で溶接部112の強度が低下するのを抑えることができる。また、平面用薄板材103と角隅用厚板材105との間の溶接部112には、矢示B方向の圧縮応力が作用するが、この圧縮応力が溶接部112に悪影響を与えることはない。即ち、この圧縮応力は、図27中の矢示B方向に作用し、矢示A方向のように溶接部112を引き離す方向には作用しないため、この圧縮応力が溶接部112に悪影響を与えることはない。
この結果、溶接部112が破断されるのを抑え、溶接部112に十分な強度を確保することができる。そして、U字形部材107の溶接部112は、第1の実施の形態で述べたU字形部材32等に比較して残留引張り応力等を確実に低減することができ、耐クラック性、疲労寿命等を大幅に向上することができる。
また、この場合のU字形部材107は、平面用薄板材103,104と角隅用厚板材105との板厚差による凹凸面107B,107Cを角筒体101の外側面に露出させるように形成できる。これによって、角筒体101の外側面には、凹凸面107B,107Cによるデザイン性を与え、角筒体101を頑丈な構造に形成していることを強調できると共に、建設機械用作業腕としての商品価値を高めることができる。
次に、図29および図30は本発明の第9の実施の形態を示している。ここで、本実施の形態では前述した第8の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
然るに、本実施の形態の特徴は、角筒体121の素材となる幅広板状体122を、図30に示す如く角隅用厚板材123等を用いて構成し、この角隅用厚板材123の幅方向両側には、面取り加工等を施すことにより傾斜面123A,123Bを形成したことにある。
ここで、幅広板状体122は、第8の実施の形態で述べた幅広板状体102とほぼ同様に、平面用薄板材103,104,104と、角隅用厚板材123,123、厚板材124,124とを互い違いとなるように、その幅方向で突合わせ溶接することにより構成されている。
しかし、この場合の幅広板状体122は、角隅用厚板材123の幅方向両側に傾斜面123A,123Bを形成した点で異なっている。また、幅広板状体122の厚板材124,124にも、その幅方向一側に面取り加工等を施すことにより傾斜面124A,124Aが形成されている。
そして、この場合の幅広板状体122も角隅用厚板材123が曲げ加工されることにより、横断面がU字形状をなすU字形部材125としてプレス成形されるものである。また、U字形部材125の下側開口125Aは、図29に示す如く板状部材126を用いて閉塞されるものである。
この場合、板状部材126は、第8の実施の形態で述べた板状部材108とほぼ同様に、中央の薄板材109と、左,右の厚板材127,127とにより構成されている。しかし、板状部材126の厚板材127は、その幅方向一側に面取り加工等を施すことにより傾斜面127Aが形成されているものである。
そして、角筒体121(U字形部材125)の外側面には、平面用薄板材103,104,104と角隅用厚板材123,123との板厚差により凹凸面125B,125C,125Cが形成されている。また、角筒体121の内側面は、ほぼ均一な面として形成されているものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第8の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、この場合には、角筒体121の上側に位置する角隅部121Aを角隅用厚板材123により形成でき、上側の平面部121Bを平面用薄板材103により形成できる。
また、角筒体121の下側に位置する角隅部121Cを、厚板材124と板状部材126との間の接合部111近傍によって形成でき、下側の平面部121Dを板状部材126の下面側によって形成できる。そして、角筒体121の左,右両側に位置する平面部121Eを平面用薄板材104によって形成することができる。
しかし、本実施の形態では、角隅用厚板材123の幅方向両側に傾斜面123A,123Bを形成し、厚板材124,127にも傾斜面124A,127Aを形成している。このため、角筒体121(U字形部材125)の外側面に露出する凹凸面125B,125C等を、傾斜面123A,123B,124A,127Aにより滑らかな凹凸面として形成することができ、これによって、建設機械用作業腕としての商品価値を高めることができる。
次に、図31ないし図34は本発明の第10の実施の形態を示している。ここで、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
然るに、本実施の形態の特徴は、平面用薄板材と角隅用厚板材とは、板厚方向の一側と他側とがそれぞれ凹凸面形状をなすように互いに突合わせて溶接する構成としたことにある。
図中、131は本実施の形態で採用した角筒体で、この角筒体131は、第1の実施の形態で述べた角筒体22とほぼ同様に形成され、図31に示すように上側に位置して左,右に離間した角隅部131A,131Aと、各角隅部131A間に位置した上側の平面部131Bと、下側に位置して左,右に離間した他の角隅部131C,131Cと、各角隅部131C間に位置した下側の平面部131Dと、角隅部131A,131C間に位置した左,右の平面部131E,131Eとにより構成されている。
132は角筒体131の素材となる幅広板状体で、この幅広板状体132は、第1の実施の形態で述べた幅広板状体27とほぼ同様に形成されている。ここで、幅広板状体132は、図32に示す如く平面用薄板材133,134,134と、角隅用厚板材135,135、厚板材136,136とを互い違いとなるように、その幅方向で突合わせ溶接することにより構成されている。そして、これらの突合わせ溶接は、例えばレーザ溶接等の深い溶込みが得られる高エネルギ密度溶接により行われている。
しかし、この場合の平面用薄板材133,134と角隅用厚板材135、厚板材136とは、図32に示す如く板厚方向の一側,他側(上,下面側)がそれぞれ凹凸面形状をなすように板厚方向の中間部位で互いに突合わせて溶接され、これによって幅広板状体132を形成している。
137は幅広板状体132を溶接により形成するときに用いる治具としての載置台で、この載置台137の上面側には、図32に示すように平面用薄板材133,134と対応する位置に凸面137A,137B,137Bが形成され、これらの凸面137A,137B,137B間は、凹面137C,137C,137D,137Dとなっている。
そして、載置台137の凸面137A,137B上には、平面用薄板材133,134が載置され、凹面137C,137D上には、角隅用厚板材135,厚板材136がそれぞれ載置される。このときに平面用薄板材133,134は、図32に示す如く角隅用厚板材135,厚板材136に対して寸法t分だけ下側となる位置に配置されるものである。この場合の寸法tは、角隅用厚板材135,厚板材136の板厚Tに対して、例えば1/2(t=T/2)程度に設定するのがよい。
138は幅広板状体132を曲げ加工することにより形成されたU字形部材で、このU字形部材138は、幅広板状体132の各角隅用厚板材135を凸湾曲状に曲げ加工することにより、図33、図34に示す如く横断面がU字形状をなすように塑性変形して形成されたものである。
このときに、左,右の角隅用厚板材135,135は、曲げ加工に伴って図34中に示す如く断面L字状に湾曲され、図31に示す角筒体131の角隅部131A,131Aを形成するものである。また、中央の平面用薄板材133は、角筒体131の上側に位置する平面部131Bを形成している。
また、左,右の平面用薄板材134,134は、角筒体131の左,右の平面部131E,131Eを形成することになる。そして、左,右の厚板材136,136間には、図33に示すようにU字形部材138の下側に位置する開口138Aが形成され、この開口138Aは、後述の板状部材139により閉塞されるものである。
また、U字形部材138の外側面には、平面用薄板材133,134,134と角隅用厚板材135,135との板厚差により凹凸面138B,138C,138Cが形成されている。そして、U字形部材138の内側面には、ほぼ同様の凹凸面が形成されているものである。
139はU字形部材138と共に角筒体131を構成する板状部材で、この板状部材139は、図33に示す如く中央の薄板材140と、薄板材140の幅方向両側に高エネルギ密度溶接等の手段を用いて接合された左,右の厚板材141,141とにより構成されている。
この場合、中央の薄板材140と左,右の厚板材141とは、図33に示す如く下側面と上側面とが凹凸面形状をなすように板厚方向の中間部位で互いに突合わせて溶接され、これによって板状部材139を形成している。そして、板状部材139は、U字形部材138の開口138A側(厚板材136,136の下端)に衝合され、高エネルギ密度溶接等の手段を用いた接合部142,142により、図31に示す如く厚板材136,136に固着されるものである。
これにより、U字形部材138の開口138Aは、下側から板状部材139を用いて閉塞され、図31に示す如く横断面が四角形状をなす角筒体131が形成される。そして、角筒体131の下側に位置する左,右の角隅部131C,131Cは、U字形部材138の厚板材136と板状部材139の厚板材141との接合部142近傍部により形成され、角筒体131の下側に位置する平面部131Dは、板状部材139の下面により形成されるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、幅広板状体132を形成するときに、平面用薄板材133,134と角隅用厚板材135、厚板材136とは、図32に示す如く上,下の両側面が凹凸面形状をなすように突合せ溶接されている。
このため、幅広板状体132の角隅用厚板材135、135を、凸湾曲状に曲げ加工して図33に示すU字形部材138を形成するときに、平面用薄板材133と角隅用厚板材135との溶接部143に引張り荷重等が作用するのを抑えることができ、例えば溶接ビートの止端から溶接部143にクラック等が発生するの防止できる。
特に、図34に示すように平面用薄板材133と角隅用厚板材135との段差に相当する寸法tを、角隅用厚板材135の板厚Tに対して、例えば1/2(t=T/2)程度に設定した場合には、平面用薄板材133と角隅用厚板材135との間の溶接部143に矢示A方向の引張り応力が作用するのを小さく抑えることが可能となる。
これにより、平面用薄板材133と角隅用厚板材135との間の溶接部143には、矢示A方向の引張り応力が作用することはほとんどなく、引張り応力の影響で溶接部143の強度が低下するのを抑えることができる。また、平面用薄板材133と角隅用厚板材135との間の溶接部143には、矢示B方向の圧縮応力が作用するが、この圧縮応力が溶接部143に悪影響を与えることはない。
この結果、溶接部143が溶接ビートの止端から破断されるのを抑え、溶接部143に十分な強度を確保することができる。そして、U字形部材138の溶接部143は、第1の実施の形態で述べたU字形部材32等に比較して残留引張り応力等を確実に低減することができ、疲労寿命等を大幅に延ばすことができる。
また、本実施の形態で採用したU字形部材138からなる角筒体131も、前記第8の実施の形態とほぼ同様に凹凸面138B,138Cによるデザイン性を角筒体131の外側面に与えることができ、建設機械用作業腕としての商品価値を高めることができる。
なお、前記各実施の形態では、オフセットブーム式の作業装置11におけるアーム21を、例えば角筒体22,22′,61,71,81,91,101,121,131等からなる作業腕とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図1に示すロアブーム12、アッパブーム13についても前述の如き角筒体を用いて形成してもよいものである。
また、本発明の適用対象は、オフセットブーム式の作業装置11に限るものではなく、例えば図35に示す変形例のように一般に標準機と呼ばれる油圧ショベル151の作業装置161に適用してもよい。この場合、建設機械としての油圧ショベル151は、装軌式の走行体152、旋回体153および作業装置161等により構成されている。
そして、旋回体153は、旋回フレーム154、オペレータが乗降する操作運転用の建屋としてのキャブ155、外装カバーとしての建屋カバー156、カウンタウエイト157等とにより構成されている。
また、旋回体153の前部側に俯仰動可能に設けられたフロント部分となる作業装置161は、ブーム162、アーム163およびフロントアタッチメントとしてのバケット164等により構成されている。そして、旋回フレーム154とブーム162との間には、ブームシリンダ165が設けられ、ブーム162とアーム163との間には、アームシリンダ166が設けられている。また、アーム163とバケット164との間には、リンク167,168を介してフロントアタッチメント用のバケットシリンダ169が設けられている。
そして、この場合の作業腕となるブーム162またはアーム163についても、前述した各実施の形態による角筒体22,22′,61,71,81,91,101,121,131等とほぼ同様の角筒体を用いて構成することができるものである。
また、本発明は装軌式の油圧ショベルに限らず、例えばホイール式の油圧ショベルまたは浚渫船等に用いる作業装置(フロント部分)に適用してもよく、油圧クレーン等の建設機械にも広く適用できるものである。
一方、前記第7の実施の形態で述べた角筒体91は、前記第4の実施の形態で述べた図17に示す角筒体61を上,下に反転させた場合とほぼ同様の構成を有するものである。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば前記第1〜第3,第5,第6,第8〜第10の実施の形態で述べた角筒体22,22′,71,81,101,121,131についても、前記角筒体91と同様に上,下を反転させた形状に形成してもよいものである。
また、前記第8〜第10の実施の形態では、角筒体101(121,131)の外側面に板厚差による凹凸面107B、107C(125B,125C,138B,138C)を、意図的に形成する構成としている。しかし、本発明では、第1〜第7の実施の形態についても、角筒体22,22′,61,71,81,91の外側面に、第8〜第10の実施の形態と同様に凹凸面を形成する構成としてもよいものである。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】

【図29】

【図30】

【図31】

【図32】

【図33】

【図34】

【図35】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械のフロント部分を構成するため複数の板材を互いに接合することにより横断面が四角形状をなす角筒体として形成される建設機械用作業腕において、
前記複数の板材は、前記角筒体の平面部を形成する平坦な形状の平面用薄板材と、この平面用薄板材よりも大きな板厚で平坦な形状を有し前記角筒体の角隅部を形成するため前記平面用薄板材に予め接合した状態で曲げ加工される角隅用厚板材とを含む構成としたことを特徴とする建設機械用作業腕。
【請求項2】
前記角隅用厚板材と平面用薄板材とは、その幅方向で互いに突合わせて溶接することにより板厚が部分的に異なる幅広板状体を形成し、この幅広板状体は、前記角筒体の一部を形成するため前記角隅用厚板材の位置で曲げ加工されることにより横断面がU字形状をなす部材を構成してなる請求項1に記載の建設機械用作業腕。
【請求項3】
前記平面用薄板材と角隅用厚板材とは、板厚方向の一側がほぼ同一面上に位置し板厚方向の他側が凹凸面形状をなすように互いに突合わせて溶接する構成としてなる請求項1に記載の建設機械用作業腕。
【請求項4】
前記平面用薄板材と角隅用厚板材とは、板厚方向の一側が凹凸面形状をなし板厚方向の他側がほぼ同一面上に位置するように互いに突合わせて溶接する構成としてなる請求項1に記載の建設機械用作業腕。
【請求項5】
前記平面用薄板材と角隅用厚板材とは、板厚方向の一側と他側とがそれぞれ凹凸面形状をなすように互いに突合わせて溶接する構成としてなる請求項1に記載の建設機械用作業腕。
【請求項6】
前記角筒体を構成する前記平面用薄板材と角隅用厚板材の長手方向端部には、前記フロント部分のボス取付部となるボス用厚板材を予め接合して設け、このボス用厚板材は、前記角隅用厚板材と一緒に曲げ加工する構成としてなる請求項1に記載の建設機械用作業腕。
【請求項7】
前記ボス用厚板材は前記角隅用厚板材と同等の板厚をもって形成してなる請求項6に記載の建設機械用作業腕。
【請求項8】
建設機械のフロント部分を構成するため複数の板材を互いに接合することにより横断面が四角形状をなす角筒体として形成される建設機械用作業腕の製造方法において、
前記角筒体を板厚が異なる前記複数の板材を用いて形成するため、これらの板材を幅方向で互いに突合わせて溶接し板厚が部分的に異なる幅広板状体を形成する第1の溶接工程と、
前記角筒体の角隅部を形成するため前記幅広板状体の厚板部分に曲げ加工を施し、前記幅広板状体を横断面がU字形状をなすU字形部材に塑性変形させる曲げ加工工程と、
前記U字形部材の開口側を別体の板状部材で閉塞して横断面が四角形状の前記角筒体を形成するため、前記板状部材を前記U字形部材の開口側に溶接して設ける第2の溶接工程とからなる建設機械用作業腕の製造方法。
【請求項9】
前記第1の溶接工程では、前記幅広板状体の長手方向端部に前記フロント部分のボス取付部となるボス用厚板材を溶接して設け、前記曲げ加工工程では、このボス用厚板材を前記幅広板状体と一緒に曲げ加工して横断面がU字形状をなすU字形部材を形成してなる請求項8に記載の建設機械用作業腕の製造方法。
【請求項10】
前記第1の溶接工程では、深い溶込みが得られる高エネルギ密度溶接を施してなる請求項8に記載の建設機械用作業腕の製造方法。

【国際公開番号】WO2005/001211
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【発行日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511069(P2005−511069)
【国際出願番号】PCT/JP2004/009079
【国際出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】