説明

建設機械

【課題】 大量の油漏れが発生した場合に、漏れ油が外部に排出されるのを抑える。
【解決手段】 上部旋回体9の下側に位置してポスト7に設けられる中間デッキ21を、作業フロア27と、この作業フロア27の下側に位置する油受け部材33とにより構成する。このため、上部旋回体9が大量の油漏れを生じた場合でも、この上部旋回体9からの漏れ油は、作業フロア27を構成する各分割フロア28,29,30,31の油抜き孔28A,29A,30A,31Aを通過し、油受け部材33を構成する各分割油受け34,35,36,37によって保持することができる。従って、大量の漏れ油が油圧ショベル1の周囲に排出されるのを抑えることができ、作業現場の周囲の環境を良好に保つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に関し、特に上,下方向に延びるポストの上端側に旋回体が設けられた高所作業用の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成されている。
【0003】
また、例えば港湾等において輸送船の船倉に積み込まれた物資を陸揚げするために用いられる高所作業用の油圧ショベルは、下部走行体上に上,下方向に延びる円筒状のポストが設けられ、このポストの上端側に上部旋回体が旋回可能に搭載される構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2007−197183号公報
【0005】
この高所作業用の油圧ショベルは、ポストによってキャブの地上高さを大きくすることにより、キャブ内の作業者が、船倉内を上方から広範囲に目視しつつ、この船倉内に積み込まれた物資を作業装置によって陸揚げすることができる構成となっている。
【0006】
ここで、高所作業用の油圧ショベルでは、通常、上部旋回体の下側となるポストの上,下方向の途中部位に中間デッキが設けられている。この中間デッキは、上部旋回体に対する点検作業を行う作業者の足場となるもので、上部旋回体の下側を全体的に覆うようにポストの外側へと大きく張出して設けられている。そして、作業者は中間デッキ上を歩きながら、例えばエンジンのオイルパンに残留した廃油を空き缶等の容器内に排出するといった点検作業を行うようになっている。
【0007】
ところで、油圧ショベルは、油圧モータ、油圧シリンダ等の多数の油圧機器を備えているため、これらの油圧機器に供給される作動油が何らかの原因で外部に漏れることにより、作業現場の周囲の環境を汚染してしまう虞れがある。このため、上部旋回体の下面側に取付けられるアンダカバーに油溜まりを設け、この油溜まり内に油圧機器からの漏れ油を保持することにより、漏れ油が外部に排出されるのを防止できる構成となった油圧ショベルが提案されている(特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献2】特開2004−17928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述した特許文献2による従来技術では、上部旋回体の下面側に取付けられるアンダカバーに油溜まりを設けるものであるため、この油溜まり内に保持できる漏れ油の容量が少ない。
【0010】
このため、例えば油圧配管の破損等によって大量の油が漏れた場合には、この漏れ油の大部分が外部に排出されてしまうという問題がある。特に、高所作業用の油圧ショベルは、上述したように港湾での荷役作業に用いられることが多いため、この高所作業用の油圧ショベルが大量の油漏れを生じた場合には、漏れ油が直接的に海、河川に流込むことにより、環境汚染を引き起こすという問題がある。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、大量の油漏れが発生した場合でも、漏れ油が外部に排出されるのを抑えることができるようにした建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するため本発明は、上,下方向に延びるポストと、該ポストの上端側に旋回可能に取付けられた旋回体と、該旋回体よりも下側に位置して前記ポストの長さ方向の途中部位に設けられた中間デッキとを備えてなる建設機械に適用される。
【0013】
そして、請求項1の発明の特徴は、前記中間デッキは、前記旋回体の点検作業を行うときの足場を形成し前記旋回体から漏れた漏れ油を通過させる油抜き孔を有する作業フロアと、該作業フロアよりも下側に位置し前記漏れ油を受ける油受け部材とにより構成したことにある。
【0014】
請求項2の発明は、前記油受け部材は、前記作業フロアを下側から覆う底部と、該底部の周縁部から上方に立上がる周壁部とにより構成し、前記底部には前記漏れ油を外部に排出する排油口を設ける構成としたことにある。
【0015】
請求項3の発明は、前記ポストの外周側には径方向に延びる複数本の支持梁を着脱可能に取付け、前記作業フロアは、前記複数本の支持梁のうち隣合う2本の支持梁によって支持された複数個の分割フロアを組合せてなるフロア組合せ体により構成し、前記油受け部材は、前記複数本の支持梁のうち隣合う2本の支持梁によって前記分割フロアの下側に支持された複数個の分割油受けを組合せてなる油受け組合せ体により構成したことにある。
【0016】
請求項4の発明は、前記各支持梁は、上,下方向に延びるウェブ板と、該ウェブ板の上,下両端側に設けられた上,下のフランジ板とにより断面H型に形成し、前記分割フロアは前記各支持梁の上フランジ板に取付け、前記分割油受けは前記各支持梁の下フランジ板に取付ける構成としたことにある。
【0017】
請求項5の発明は、前記油受け部材は前記ポストに固着して設け、前記作業フロアは該油受け部材の上面側に載置される複数個の分割フロアを組合せてなるフロア組合せ体により構成したことにある。
【0018】
請求項6の発明は、前記各分割フロアの上面は、前記油受け部材の上端部よりも上方に位置する構成としたことにある。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、旋回体の下側に設けられる中間デッキを、油抜き孔を有する作業フロアと、この作業フロアよりも下側に位置する油受け部材とにより構成したので、作業者は、作業フロアを歩行しながら旋回体に対する点検作業を行うことができる。一方、例えば建設機械に搭載された油圧管路の破損等によって旋回体から大量の油が漏れた場合には、この漏れ油は作業フロアの油抜き孔を通過した後、油受け部材によって捕捉され、この油受け部材によって保持される。
【0020】
従って、大量の漏れ油が建設機械の周囲に排出されるのを抑えることができ、作業現場の周囲の環境を良好に保つことができる。また、作業フロア上に漏れ油が滞留することがないので、作業フロアを足場として旋回体の点検作業を安全に行うことができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、旋回体から漏れた大量の漏れ油は、油受け部材内に貯溜された後、油受け部材の底部に設けられた排油口を通じて外部に排出される。従って、排油口に排油ホース等を接続することにより、大量の漏れ油を排油ホースによって所望の回収場所に導くことができ、漏れ油を回収するときの作業性を高めることができる。
【0022】
請求項3の発明によれば、ポストの外周側に複数本の支持梁を取付け、これら各支持梁のうち隣合う2本の支持梁によって分割フロアを支持することにより、複数個の分割フロアを組合せたフロア組合せ体からなる作業フロアを構成することができる。また、隣合う2本の支持梁によって分割フロアの下側に分割油受けを支持することにより、複数個の分割油受けを組合せた油受け組合せ体からなる油受け部材を構成することができる。このように、作業フロアを複数個の分割フロアを組合せて構成し、油受け部材を複数個の分割油受けを組合せて構成するとにより、作業フロアと油受け部材を作業現場に輸送するときの作業性と、作業現場において作業フロアと油受け部材を組立てるときの作業性を高めることができる。
【0023】
請求項4の発明によれば、支持梁をウェブ板と、上,下のフランジ板とによって断面H型に形成したので、隣合う2個の支持梁の上フランジ板に分割フロアを取付けると共に、下フランジ板に分割油受けを取付けることにより、各分割フロアと各分割油受けとの上,下方向の位置合わせを確実に行うことができる。
【0024】
請求項5の発明によれば、油受け部材をポストに固着し、この油受け部材の上面側に複数個の分割フロアを載置することにより、複数個の分割フロアを組合せたフロア組合せ体からなる作業フロアを構成することができる。この場合、作業フロアは、ポストに固着された油受け部材上に複数個の分割フロアを載置するだけで構成することができるので、作業現場において作業フロアを組立てるときの作業性を高めることができる。
【0025】
請求項6の発明によれば、各分割フロアの上面が、油受け部材の上端部よりも上方に位置することにより、旋回体からの漏れ油を油受け部材によって保持した状態においても、作業フロアの上面が漏れ油に浸かってしまうことがない。これにより、漏れ油を油受け部材によって保持した状態においても、作業者は、作業フロアを足場として旋回体に対する点検作業等を安全に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態について、高所作業用の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
まず、図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は高所作業用の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、後述の下部走行体2、ポスト7、上部旋回体9、作業装置19、中間デッキ21等により構成されている。そして、油圧ショベル1は、例えば港湾等において輸送船の船倉に積み込まれた物資(いずれも図示せず)を陸揚げする荷役作業等に用いられるものである。
【0028】
2は自走可能なクローラ式の下部走行体で、該下部走行体2は、トラックフレーム3と、該トラックフレーム3のサイドフレーム3A(左側のみ図示)に設けられた駆動輪4及び遊動輪5と、これら駆動輪4と遊動輪5とに巻回された履帯6とにより大略構成されている。そして、駆動輪4によって履帯6を周回させることにより、作業現場を下部走行体2が走行する構成となっている。
【0029】
7はトラックフレーム3の上面側に立設されたポストで、該ポスト7は、後述する上部旋回体9を下部走行体2上の高い位置で支持するものである。ここで、ポスト7は、長尺な円筒部7Aと、該円筒部7Aの下端部に環状に設けられたフランジ部7Bとにより大略構成されている。
【0030】
そして、ポスト7のフランジ部7Bを、複数本のボルト(図示せず)を用いて下部走行体2のトラックフレーム3に固定することにより、ポスト7の円筒部7Aはトラックフレーム3から鉛直上向きに延びている。また、ポスト7(円筒部7A)の上端部には、旋回輪8を介して後述の上部旋回体9が取付けられ、ポスト7の上,下方向の途中部位には、後述の中間デッキ21が取付けられる構成となっている。
【0031】
9はポスト7の上端部に旋回輪8を介して旋回可能に取付けられた上部旋回体で、該上部旋回体9は、図1及び図2に示すように、旋回輪8上に取付けられたベースとなる旋回フレーム10と、該旋回フレーム10の前部左側に設けられ運転室を画成するキャブ11と、旋回フレーム10の後端側に設けられ後述の作業装置19との重量バランスをとるカウンタウエイト12と、該カウンタウエイト12の前側に位置して旋回フレーム10上に設けられた建屋カバー13と、キャブ11と建屋カバー13との間に配置された作動油タンク14とにより大略構成されている。
【0032】
ここで、建屋カバー13内には、エンジン15が左,右方向に延びる横置き状態で配置され、該エンジン15の左側には油圧ポンプ16が配置されている。そして、油圧ポンプ16は、エンジン15によって駆動されることにより、作動油タンク14に貯溜された作動油を、コントロールバルブ、油圧管路等(いずれも図示せず)を通じて油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータへと吐出するものである。
【0033】
17は上部旋回体9の左側方に配設された左上足場、18は上部旋回体9の右側方に配設された右上足場で、これら左上足場17及び右上足場18は、ポスト7の上端部に取付けられた上部旋回体9に対する点検、保守作業を行うときに、作業者が歩行するものである。
【0034】
そして、左上足場17は、例えば旋回フレーム10の左側面に取付けられ、旋回フレーム10に沿って前,後方向に延びている。一方、右上足場18は、例えば旋回フレーム10の右側面に取付けられ、旋回フレーム10に沿って前,後方向に延びている。また、左上足場17の前,後方向の中間部には、左上足場17と後述の中間デッキ21との間を昇降するための上階段17Aが設けられ、右上足場18の前,後方向の中間部には、右上足場18と中間デッキ21との間を昇降するための上階段18Aが設けられている。
【0035】
19は上部旋回体9の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置で、該作業装置19は、基端側が旋回フレーム10に俯仰動可能に取付けられたブーム19A、該ブーム19Aの先端側に回動可能に取付けられたアーム、該アームの先端側に回動可能に取付けられたリフティングマグネット等の作業具(いずれも図示せず)等により構成されている。そして、作業装置19は、例えば港湾等において輸送船の船倉に積み込まれた物資を陸揚げする荷役作業等を行うものである。
【0036】
21は上部旋回体9よりも下側に位置してポスト7の長さ方向(上,下方向)の途中部位に設けられた中間デッキで、該中間デッキ21は、図3ないし図8に示すように、上部旋回体9の点検作業を行うときの足場を形成する後述の作業フロア27と、上部旋回体9から大量の油が漏れたときにこの漏れ油を受ける後述の油受け部材33とにより大略構成されている。
【0037】
22はポスト7の長さ方向の途中部位に全周に亘って環状に設けられた環状板で、該環状板22は、後述の短尺支持梁23及び長尺支持梁24を取付けるベースとなるものである。ここで、環状板22は、図6及び図7等に示すように、ポスト7よりも大きな外径寸法を有し、内周側がポスト7に挿嵌された環状の平板により形成されている。また、環状板22には、周方向に間隔をもって複数個のボルト挿通孔22A,22A,…が穿設されている。
【0038】
そして、環状板22は、その内周側をポスト7に挿嵌した状態で当該ポスト7の外周面に溶接等の手段を用いて固着されることにより、ポスト7の外周側から全周に亘って鍔状に張出している。この場合、図4等に示すように、環状板22の下面とポスト7との間には複数枚のリブ22B,22B,…が配設され、これら各リブ22Bによって環状板22が補強されている。
【0039】
23,23,…は環状板22を介してポスト7の外周側に着脱可能に取付けられた複数本(例えば9本)の短尺支持梁を示し、24,24は同じく環状板22を介してポスト7の外周側に着脱可能に取付けられた2本の長尺支持梁を示している。この場合、図7に示すように、各短尺支持梁23は、ポスト7から前方、左斜め前方、左側方、左斜め後方、右側方、右斜め前方、右斜め後方へと放射状に張出し、各長尺支持梁24は、短尺支持梁23よりも長尺に形成され、ポスト7を中心として該ポスト7から後方へと放射状に張出す構成となっている。そして、これら短尺支持梁23と長尺支持梁24とは、後述の作業フロア27と油受け部材33とを支持するものである。
【0040】
ここで、各短尺支持梁23は、図4ないし図6に示すように、例えばH型の断面形状をなすH型鋼等を用いて形成され、上,下方向に延びるウェブ板23Aと、該ウェブ板23Aの上端側に設けられ水平方向に延びた上フランジ板23Bと、ウェブ板23Aの下端側に設けられ上フランジ板23Bと対面しつつ水平方向に延びた下フランジ板23Cとにより構成されている。また、上フランジ板23Bには、後述の前分割フロア28等を取付けるための複数個のボルト挿通孔23Dが長さ方向に間隔をもって穿設され、下フランジ板23Cには、後述の前分割油受け34等を取付けるための複数個のボルト挿通孔23Eが長さ方向に間隔をもって穿設されている。さらに、下フランジ板23Cの先端側の下面には、ブラケット23Fが下向きに突設されている(図4参照)。
【0041】
そして、短尺支持梁23の下フランジ板23Cと環状板22のボルト挿通孔22Aとに複数本のボルト25を挿通し、これら各ボルト25にナット25Aを螺着することにより、各短尺支持梁23の基端側が環状板22に固定されている。また、下フランジ板23Cの下面に突設されたブラケット23Fには、支え棒26の上端側がピン結合され、該支え棒26の下端側は、図1に示すポスト7のフランジ部7Bにピン結合されている。このように、各短尺支持梁23は、その基端側が環状板22を介してポスト7に着脱可能に取付けられると共に、その先端側が支え棒26によって下側から支えられた状態で、ポスト7から前方、左斜め前方、左側方、左斜め後方、右側方、右斜め前方、右斜め後方へと放射状に張出す構成となっている。
【0042】
一方、2本の長尺支持梁24も、各短尺支持梁23と同様に、H型鋼等を用いて形成され、上,下方向に延びるウェブ板(図示せず)と、該ウェブ板の上端側に設けられた上フランジ板24Aと、ウェブ板の下端側に設けられた下フランジ板(図示せず)とにより構成されている。また、図7等に示すように、長尺支持梁24の上フランジ板24Aには、後述の後分割フロア31を取付けるための複数個のボルト挿通孔24Bが長さ方向に間隔をもって穿設され、長尺支持梁24の下フランジ板には、後述の後分割油受け37を取付けるための複数個のボルト挿通孔(図示せず)が長さ方向に間隔をもって穿設されている。
【0043】
そして、各長尺支持梁24は、短尺支持梁23と同様に、その基端側が環状板22を介してポスト7に着脱可能に取付けられると共に、その先端側が支え棒26によって下側から支えられた状態で、ポスト7から後方へと放射状に張出す構成となっている。
【0044】
27は各短尺支持梁23と各長尺支持梁24とによって支持された作業フロアで、該作業フロア27は、後述の油受け部材33と共に中間デッキ21を構成し、上部旋回体9に対して下側から点検作業を行うときの足場を形成するものである。ここで、作業フロア27と油受け部材33とは、図2に示すように、上部旋回体9をほぼ全体に亘って下側から覆うため、上部旋回体9の下面形状に合致するように前,後方向に延びる多角形状に形成されている。
【0045】
そして、作業フロア27は、図3及び図8に示すように、後述の前分割フロア28と、第1の斜め後分割フロア29と、第2の斜め後分割フロア30と、後分割フロア31とを組合せてなるフロア組合せ体として構成されている。
【0046】
28,28,…はポスト7の前方、左側方、右側方を取囲んで配置された複数個(例えば6個)の前分割フロアで、これら各前分割フロア28は、ポスト7の前方、左斜め前方、左側方、右斜め前方、右側方に張出した7本の短尺支持梁23によって支持されるものである。
【0047】
ここで、図4ないし図6に示すように、前分割フロア28は、例えばエキスパンドメタル等を用いて四角形状(台形状)をなす平板状に形成され、ほぼ全面に亘って格子状の油抜き孔28Aが形成されている。また、前分割フロア28の側端部には、短尺支持梁23の上フランジ板23Bに穿設されたボルト挿通孔23Dに対応する複数個のボルト挿通孔28Bが穿設されている。さらに、前分割フロア28の外周側の端部には、作業者の移動範囲を規制する手摺り28Cが立設されている。
【0048】
そして、各前分割フロア28は、7本の短尺支持梁23のうち隣合う2本の短尺支持梁23の上フランジ板23B上に配置され、ボルト挿通孔28Bと短尺支持梁23のボルト挿通孔23Dとに挿通したボルト32にナット32Aを螺着することにより、隣合う2本の短尺支持梁23の上フランジ板23Bに着脱可能に取付けられる構成となっている。
【0049】
29,29は前分割フロア28の後側に配置された左,右の第1の斜め後分割フロアで、左側の第1の斜め後分割フロア29は、ポスト7の左側方と左斜め後方に張出した2本の短尺支持梁23によって支持され、右側の第1の斜め後分割フロア29は、ポスト7の右側方と右斜め後方に張出した2本の短尺支持梁23によって支持されるものである。
【0050】
ここで、第1の斜め後分割フロア29は、五角形状をなす平板状に形成され、ほぼ全面に亘って格子状の油抜き孔29Aが形成されている。また、前分割フロア28とほぼ同様に、第1の斜め後分割フロア29の側端部には、短尺支持梁23(上フランジ板23B)の各ボルト挿通孔23Dに対応する複数個のボルト挿通孔29Bが穿設され、第1の斜め後分割フロア29の外周側の端部には手摺り29Cが立設されている。
【0051】
そして、左側の第1の斜め後分割フロア29は、ポスト7の左側方と左斜め後方とに張出した隣合う2本の短尺支持梁23の上フランジ板23Bに、ボルト及びナットを用いて着脱可能に取付けられ、右側の第1の斜め後分割フロア29は、ポスト7の右側方と右斜め後方とに張出した隣合う2本の短尺支持梁23の上フランジ板23Bに、ボルト及びナットを用いて着脱可能に取付けられる構成となっている。
【0052】
30,30は各第1の斜め後分割フロア29の後側に配置された左,右の第2の斜め後分割フロアで、左側の第2の斜め後分割フロア30は、ポスト7の左斜め後方に張出した短尺支持梁23とポスト7の後方に張出した長尺支持梁24とによって支持され、右側の第2の斜め後分割フロア30は、ポスト7の右斜め後方に張出した短尺支持梁23とポスト7の後方に張出した長尺支持梁24とによって支持されるものである。
【0053】
ここで、第2の斜め後分割フロア30は、四角形状をなす平板状に形成され、ほぼ全面に亘って格子状の油抜き孔30Aが形成されている。また、第2の斜め後分割フロア30の側端部には、短尺支持梁23(上フランジ板23B)の各ボルト挿通孔23D、及び長尺支持梁24(上フランジ板24A)の各ボルト挿通孔24Bに対応する複数個のボルト挿通孔30Bが穿設され、第2の斜め後分割フロア30の外周側の端部には手摺り30Cが立設されている。
【0054】
そして、左側の第2の斜め後分割フロア30は、ポスト7の左斜め後方に張出した短尺支持梁23の上フランジ板23Bと長尺支持梁24の上フランジ板24Aとに、ボルト及びナットを用いて着脱可能に取付けられ、右側の第2の斜め後分割フロア30は、ポスト7の右斜め後方に張出した短尺支持梁23の上フランジ板23Bと長尺支持梁24の上フランジ板24Aとに、ボルト及びナットを用いて着脱可能に取付けられる構成となっている。
【0055】
31は左,右の第2の斜め後分割フロア30,30間に配置された1個の後分割フロアで、該後分割フロア31は、ポスト7の後方に張出した2本の長尺支持梁24によって支持されるものである。
【0056】
ここで、後分割フロア31は、四角形状(台形状)をなす平板状に形成され、ほぼ全面に亘って格子状の油抜き孔31Aが形成されている。また、後分割フロア31の側端部には、長尺支持梁24(上フランジ板24A)の各ボルト挿通孔24Bに対応する複数個のボルト挿通孔31Bが穿設され、後分割フロア31の外周側の端部には手摺り31Cが立設されている。そして、後分割フロア31は、2本の長尺支持梁24の上フランジ板24Aに、ボルト及びナットを用いて着脱可能に取付けられる構成となっている。
【0057】
このように、作業フロア27は、6個の前分割フロア28と、2個の第1の斜め後分割フロア29と、2個の第2の斜め後分割フロア30と、1個の後分割フロア31とを組合せてなるフロア組合せ体として構成され、図2及び図3に示すように、上部旋回体9をほぼ全体に亘って下側から覆った状態で前,後方向に延びる多角形状に形成されている。そして、この作業フロア27の下側には後述の油受け部材33が設けられる構成となっている。
【0058】
33は作業フロア27よりも下側に位置して各短尺支持梁23と各長尺支持梁24とによって支持された油受け部材で、該油受け部材33は、上部旋回体9から油漏れが発生したときに、この漏れ油を受けるものである。ここで、油受け部材33は、作業フロア27と同様に、上部旋回体9の下面形状に合致するように前,後方向に延びる多角形状に形成され、作業フロア27の下方に重り合った状態で配置されている。
【0059】
そして、油受け部材33は、図4ないし図8に示すように、後述の前分割油受け34と、第1の斜め後分割油受け35と、第2の斜め後分割油受け36と、後分割油受け37とを組合せてなる油受け組合せ体として構成されている。
【0060】
34,34,…は各前分割フロア28の下側に配置された複数個(例えば6個)の前分割油受けで、これら各前分割油受け34は、ポスト7の前方、左斜め前方、左側方、右斜め前方、右側方に張出した7本の短尺支持梁23によって支持されるものである。
【0061】
ここで、図4ないし図7に示すように、前分割油受け34は、例えば鋼板材等を用いて形成され、前分割フロア28を下側から覆う四角形状(台形状)の底部34Aと、該底部34Aの周縁部から上方に立上がる周壁部34Bとにより構成されている。また、底部34Aには、漏れ油を外部に排出するためのパイプ状の排油口34Cが設けられ、底部34Aの側端部には、短尺支持梁23(下フランジ板23C)のボルト挿通孔23Eに対応する複数個のボルト挿通孔34Dが穿設されている。
【0062】
そして、各前分割油受け34は、7本の短尺支持梁23のうち隣合う2本の短尺支持梁23の下フランジ板23C上に配置され、ボルト挿通孔34Dと短尺支持梁23のボルト挿通孔23Eとに挿通したボルト38にナット38Aを螺着することにより、隣合う2本の短尺支持梁23の下フランジ板23Cに着脱可能に取付けられ、前分割フロア28の下側に固定される構成となっている。
【0063】
35,35は第1の斜め後分割フロア29の下側に配置された左,右の第1の斜め後分割油受けで、左側の第1の斜め後分割油受け35は、ポスト7の左側方と左斜め後方に張出した2本の短尺支持梁23によって支持され、右側の第1の斜め後分割油受け35は、ポスト7の右側方と右斜め後方に張出した2本の短尺支持梁23によって支持されるものである。
【0064】
ここで、第1の斜め後分割油受け35は、第1の斜め後分割フロア29を下側から覆う五角形状の底部35Aと、該底部35Aの周縁部から上方に立上がる周壁部35Bとにより構成されている。また、底部35Aにはパイプ状の排油口35Cが設けられ、底部35Aの側端部には、短尺支持梁23(下フランジ板23C)のボルト挿通孔23Eに対応する複数個のボルト挿通孔35Dが穿設されている。
【0065】
そして、左側の第1の斜め後分割油受け35は、ポスト7の左側方と左斜め後方とに張出した2本の短尺支持梁23の下フランジ板23Cに、ボルト及びナットを用いて着脱可能に取付けられ、左側の第1の斜め後分割フロア29の下側に配設される構成となっている。一方、右側の第1の斜め後分割油受け35は、ポスト7の右側方と右斜め後方とに張出した隣合う2本の短尺支持梁23の下フランジ板23Cに、ボルト及びナットを用いて着脱可能に取付けられ、右側の第1の斜め後分割フロア29の下側に固定される構成となっている。
【0066】
36,36は第2の斜め後分割フロア30の下側に配置された左,右の第2の斜め後分割油受けで、左側の第2の斜め後分割油受け36は、ポスト7の左斜め後方に張出した短尺支持梁23と長尺支持梁24とによって支持され、右側の第2の斜め後分割油受け36は、ポスト7の右斜め後方に張出した短尺支持梁23と長尺支持梁24とによって支持されるものである。
【0067】
ここで、第2の斜め後分割油受け36は、第2の斜め後分割フロア30を下側から覆う四角形状の底部36Aと、該底部36Aの周縁部から上方に立上がる周壁部36Bとにより構成されている。また、底部36Aにはパイプ状の排油口36Cが設けられ、底部36Aの側端部には、短尺支持梁23(下フランジ板23C)のボルト挿通孔23Eと長尺支持梁24の下フランジ板に形成されたボルト挿通孔(いずれも図示せず)とに対応する複数個のボルト挿通孔36Dが穿設されている。
【0068】
そして、左側の第2の斜め後分割油受け36は、ポスト7の左斜め後方に張出した短尺支持梁23の下フランジ板23Cと長尺支持梁24の下フランジ板(図示せず)にボルト及びナットを用いて着脱可能に取付けられ、左側の第2の斜め後分割フロア30の下側に固定される構成となっている。一方、右側の第2の斜め後分割油受け36は、ポスト7の右斜め後方に張出した短尺支持梁23の下フランジ板23Cと長尺支持梁24の下フランジ板(図示せず)にボルト及びナットを用いて着脱可能に取付けられ、右側の第2の斜め後分割フロア30の下側に固定される構成となっている。
【0069】
37は後分割フロア31の下側に配置された後分割油受けで、該後分割油受け37は、ポスト7の後方に張出した2本の長尺支持梁24によって支持されるものである。ここで、後分割油受け37は、後分割フロア31を下側から覆う四角形状(台形状)の底部37Aと、該底部37Aの周縁部から上方に立上がる周壁部37Bとにより構成されている。また、底部37Aにはパイプ状の排油口37Cが設けられ、底部37Aの側端部には、長尺支持梁24の下フランジ板に形成されたボルト挿通孔(いずれも図示せず)に対応する複数個のボルト挿通孔37Dが穿設されている。
【0070】
そして、後分割油受け37は、長尺支持梁24の下フランジ板(図示せず)にボルト及びナットを用いて着脱可能に取付けられ、後分割フロア31の下側に固定される構成となっている。
【0071】
このように、油受け部材33は、6個の前分割油受け34と、2個の第1の斜め後分割油受け35と、2個の第2の斜め後分割油受け36と、1個の後分割油受け37とを組み合せてなる油受け組合せ体として構成され、作業フロア27と同様に、上部旋回体9の下面形状に合致するように前,後方向に延びる多角形状に形成されている。
【0072】
これにより、例えば油圧ショベル1に搭載された油圧配管の破損等によって上部旋回体9から大量の油が漏れた場合に、この漏れ油は、作業フロア27を構成する各分割フロア28,29,30,31の油抜き孔28A,29A,30A,31Aを通過し、油受け部材33を構成する各分割油受け34,35,36,37に保持される構成となっている。
【0073】
この場合、図4等に示すように、油受け部材33は作業フロア27の下側に重り合った状態に配置され、作業フロア27の上面は油受け部材33の上端部よりも上方に位置している。これにより、上部旋回体9からの漏れ油を油受け部材33によって保持した状態においても、作業フロア27の上面が漏れ油に浸かってしまうことがなく、作業者は、作業フロア27を足場として上部旋回体9に対する点検作業等を安全に行うことができる構成となっている。
【0074】
また、図4等に示すように、前分割油受け34の排油口34Cには排油ホース39が接続され、前分割油受け34に貯溜された漏れ油を、排油ホース39によって所望の排油場所へと排出することができる構成となっている。そして、他の分割油受け35,36,37の排油口35C,36C,37Cにも、これと同様な排油ホース39が接続される構成となっている。
【0075】
40,40は中間デッキ21に設けられた左,右の下階段で、これら左,右の下階段40は、例えばポスト7から左,右の側方に張出した短尺支持梁23に上端側が固定され、この短尺支持梁23から後方へと斜め下向きに延びている。そして、左,右の下階段40は、中間デッキ21と地上との間を作業者が昇降するときの足場を構成するものである。
【0076】
本実施の形態による高所作業用の油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、作業者は、地上から下階段40を利用して中間デッキ21の作業フロア27に上り、この作業フロア27を歩行しながら上部旋回体9内に配置された搭載機器の点検作業を行う。また、作業者は、作業フロア27から上階段17Aを利用して左上足場17に上り、この左上足場17、右上足場18を歩行しながら上部旋回体9内に配置された搭載機器の点検作業を行う。
【0077】
そして、点検作業が終了した後、キャブ11内に乗込んだ作業者が操作レバー等(図示せず)を操作し、上部旋回体9を旋回させつつ作業装置19を俯仰動させることにより、例えば港湾、河川等において輸送船の船倉に積込まれた物資の陸揚げ作業等を行うことができる。この場合、上部旋回体9は、下部走行体2上に立設されたポスト7上に設けられているので、キャブ11内の作業者は、船倉内を高い位置から広範囲に目視することができ、作業装置19を用いた物資の陸揚げ作業等を円滑に行うことができる。
【0078】
ここで、何らかの原因によって油圧ショベル1に搭載された油圧管路(図示せず)が破損した場合には、上部旋回体9から大量の油が漏れて下方に落下するようになる。この場合、本実施の形態による油圧ショベル1は、上部旋回体9の下側に設けられる中間デッキ21を、作業フロア27と、該作業フロア27の下側に位置する油受け部材33とにより構成している。
【0079】
このため、上部旋回体9からの漏れ油は、作業フロア27を構成する各分割フロア28,29,30,31の油抜き孔28A,29A,30A,31Aを通過し、油受け部材33を構成する各分割油受け34,35,36,37によって保持される。従って、大量の漏れ油が油圧ショベル1の周囲に排出されるのを抑えることができ、作業現場の周囲の環境を良好に保つことができる。
【0080】
そして、油受け部材33を構成する各分割油受け34,35,36,37の排油口34C,35C,36C,37Cには、それぞれ排油ホース39が接続されているので、油受け部材33に貯溜された漏れ油を排油ホース39によって、例えばドラム缶等の所望の排油場所へと導くことができる。これにより、漏れ油を回収するときの作業性を高めることができる。
【0081】
しかも、油受け部材33は作業フロア27よりも下側に配置されているので、油受け部材33内に漏れ油を保持した場合でも、作業フロア27上に漏れ油が滞留することがない。このため、作業フロア27を足場として油漏れの原因箇所に対する点検、修理を行う場合に、この点検作業等を安全に行うことができる。
【0082】
また、本実施の形態によれば、作業フロア27を複数の分割フロア28,29,30,31を組合せてなるフロア組合せ体により構成し、油受け部材33を複数の分割油受け34,35,36,37を組合せてなる油受け組合せ体により構成し、ポスト7の外周側に着脱可能に取付けた複数本の支持梁23,24によって、各分割フロア28,29,30,31と各分割油受け34,35,36,37とを支持する構成としている。これにより、作業フロア27と油受け部材33を作業現場に輸送するときの作業性と、作業現場において作業フロア27と油受け部材33を組立てるときの作業性を高めることができる。
【0083】
次に、図9ないし図11は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、油受け部材をポストの外周面に固着して設け、この油受け部材の上面側に載置される複数個の分割フロアを組合せたフロア組合せ体によって作業フロアを構成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0084】
図中、41は本実施の形態による中間デッキを示し、この中間デッキ41は、上述した第1の実施の形態による中間デッキ21に代えて本実施の形態に適用したものである。そして、中間デッキ41は、ポスト7の長さ方向の途中部位に配設され、後述の油受け部材42と、作業フロア45とにより大略構成されている。
【0085】
42は中間デッキ41のベースとなる油受け部材で、該油受け部材42は、後述の作業フロア45を支持すると共に、ポスト7の上端側に設けられた上部旋回体(図示せず)が油漏れを生じたときに、この漏れ油を受けるものである。ここで、図10に示すように、油受け部材42は厚肉な鋼板等を用いて形成され、上部旋回体(図示せず)をほぼ全体に亘って下側から覆う多角形状の底板42Aと、該底板42Aの周縁部から上方に向けて立上がる周壁板42Bとにより構成されている。また、底板42Aの中央部には、ポスト7の外周側に挿通されるポスト挿通孔42Cが形成されている。さらに、周壁板42Bの外側面には、後述の作業フロア45上を歩行する作業者の移動範囲を規制するための手摺り(図示せず)が立設されている。
【0086】
そして、油受け部材42は、ポスト挿通孔42Cをポスト7の外周側に挿通した状態で、ポスト挿通孔42Cとポスト7の外周面との間に全周溶接を施すことにより、ポスト7の長さ方向の途中部位に固着されている。また、底板42Aの下面とポスト7の下端側との間には、周方向に間隔をもって複数本の板状の補強梁43,43,…が設けられ、これら各補強梁43によって、ポスト7に対する油受け部材42の取付け強度を高める構成となっている。
【0087】
また、油受け部材42の底板42Aには、油受け部材42によって保持した漏れ油を外部に排出するための1個のパイプ状の排油口42Dが設けられている。そして、排油口42Dには排油ホース44が接続され、該排油ホース44によって漏れ油を所望の排出場所へと導くことができる構成となっている。
【0088】
45は油受け部材42上に配置された作業フロアで、該作業フロア45は、上部旋回体に対して下側から点検作業を行うときの足場を形成するものである。そして、作業フロア45は、後述の前分割フロア46と、斜め後分割フロア47と、後分割フロア48とを組合せてなるフロア組合せ体として構成されている。
【0089】
46,46,…はポスト7の前方、左側方、右側方を取囲んで配置された複数個(例えば6個)の前分割フロアで、これら各前分割フロア46は、例えばエキスパンドメタル等を用いて四角形状(台形状)をなす平板状に形成され、ほぼ全面に亘って格子状の油抜き孔46Aが形成されている。また、前分割フロア46の下面には、長さ方向に間隔をもって複数枚(例えば3枚)の板状のスペーサ46Bが下向きに突設されている。
【0090】
そして、図11に示すように、各前分割フロア46は、ポスト7に固着された油受け部材42の底板42A上に載置され、ポスト7の外周面と油受け部材42の周壁板42Bとによって長さ方向(ポスト7の径方向)に位置決めされるものである。
【0091】
この場合、前分割フロア46の下面にはスペーサ46Bが設けられているので、作業者の踏み面となる前分割フロア46の上面46Cは、油受け部材42を構成する周壁板42Bの上端部42Eよりも高さ寸法Hだけ上方に位置している。これにより、上部旋回体からの漏れ油を油受け部材42によって保持した状態においても、前分割フロア46の上面46Cが漏れ油に浸かるのを防止できる構成となっている。
【0092】
47,47は前分割フロア46の後側に配置された左,右の斜め後分割フロアで、これら斜め後分割フロア47も、エキスパンドメタル等を用いて四角形状をなす平板状に形成され、ほぼ全面に亘って格子状の油抜き孔47Aが形成されている。また、斜め後分割フロア47の下面にも、前分割フロア46のスペーサ46Bと同様な複数枚のスペーサ(図示せず)が突設されている。
【0093】
48は左,右の斜め後分割フロア47,47間に配置された1個の後分割フロアで、この後分割フロア48も、エキスパンドメタル等を用いて四角形状(台形状)をなす平板状に形成され、ほぼ全面に亘って格子状の油抜き孔48Aが形成されている。また、後分割フロア48の下面にも、前分割フロア46のスペーサ46Bと同様な複数枚のスペーサ(図示せず)が突設されている。
【0094】
そして、各斜め後分割フロア47、後分割フロア48は、油受け部材42の底板42A上に載置され、作業者の踏み面となる斜め後分割フロア47の上面47B、後分割フロア48の上面48Bは、各前分割フロア46の上面46Cとほぼ同一平面を形成し、油受け部材42を構成する周壁板42Bの上端部42Eよりも上方に位置している。
【0095】
従って、上部旋回体からの漏れ油を油受け部材42によって保持した状態においても、各分割フロア46,47,48の上面46C,47B,48Bが漏れ油に浸かってしまうことがなく、作業者は、各分割フロア46,47,48によって構成される作業フロア45を足場として上部旋回体に対する点検作業等を安全に行うことができる構成となっている。
【0096】
本実施の形態による中間デッキ41は上述の如き構成を有するもので、その基本的作動については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
【0097】
然るに、本実施の形態によれば、油受け部材42をポスト7の外周面に固着し、この油受け部材42の底板42A上に複数個の分割フロア46,47,48を載置するだけで、油受け部材42上に作業フロア45を形成することができる。このため、作業現場において作業フロア45を組立てるときの作業性を一層高めることができる。
【0098】
また、各分割フロア46,47,48の上面46C,47B,48Bを、油受け部材42を構成する周壁板42Bの上端部42Eよりも上方に突出させる構成としたので、上部旋回体からの漏れ油を油受け部材42によって保持した状態においても、各分割フロア46,47,48の上面46C,47B,48Bが漏れ油に浸かってしまうことがない。これにより、漏れ油を油受け部材42によって保持した状態においても、作業者は、作業フロア45を足場として、油漏れの原因箇所等に対する点検作業等を安全に行うことができる。
【0099】
なお、上述した第1の実施の形態では、断面H型の短尺支持梁23及び長尺支持梁24を用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば四角形の断面形状を有する角パイプ等を用いて支持梁を形成してもよい。
【0100】
また、上述した第2の実施の形態では、油受け部材42をポスト7の外周面に固着した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばポスト7に鍔状のフランジ部を設け、このフランジ部に油受け部材を固着する構成としてもよい。
【0101】
さらに、上述した実施の形態では、自走可能な下部走行体2上に立設したポスト7に上部旋回体9を取付けた高所作業用の油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば台船の甲板上に立設されたポストに旋回体を取付けた浚渫作業用の油圧ショベルや、地面上に立設されたポストに旋回体が取付けられた定置式の油圧クレーン等のポストを有する建設機械に広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1の実施の形態による高所作業用の油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】油圧ショベルを上方からみた平面図である。
【図3】ポスト、中間デッキ等を図1中の矢示III―III方向からみた断面図である。
【図4】支持梁、作業フロア、油受け部材を図3中の矢示IV―IV方向からみた拡大断面図である。
【図5】支持梁、作業フロア、油受け部材を図3中の矢示V―V方向からみた拡大断面図である。
【図6】短尺支持梁、分割フロア、分割油受けを示す分解斜視図である。
【図7】ポスト、支持梁、分割油受けを上方からみた分解図である。
【図8】ポスト、支持梁、分割油受け、分割フロアを上方からみた分解図である。
【図9】第2の実施の形態による中間デッキを示す斜視図である。
【図10】油受け部材、分割フロア等を示す分解斜視図である。
【図11】油受け部材、分割フロア等を図9中の矢示XI―XI方向からみた拡大断面図である。
【符号の説明】
【0103】
1 油圧ショベル
7 ポスト
9 上部旋回体
19 作業装置
21,41 中間デッキ
23 短尺支持梁
23A ウェブ板
23B,24A 上フランジ板
23C 下フランジ板
24 長尺支持梁
27,45 作業フロア
28,46 前分割フロア
28A,29A,30A,31A,46A,47A,48A 油抜き孔
29 第1の斜め後分割フロア
30 第2の斜め後分割フロア
31,48 後分割フロア
33,42 油受け部材
34 前分割油受け
35 第1の斜め後分割油受け
36 第2の斜め後分割油受け
37 後分割油受け
34C,35C,36C,37C,42D 排油口
47 斜め後分割フロア
46C,47B,48B 上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上,下方向に延びるポストと、該ポストの上端側に旋回可能に取付けられた旋回体と、該旋回体よりも下側に位置して前記ポストの長さ方向の途中部位に設けられた中間デッキとを備えてなる建設機械において、
前記中間デッキは、前記旋回体の点検作業を行うときの足場を形成し前記旋回体から漏れた漏れ油を通過させる油抜き孔を有する作業フロアと、該作業フロアよりも下側に位置し前記漏れ油を受ける油受け部材とにより構成したことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記油受け部材は、前記作業フロアを下側から覆う底部と、該底部の周縁部から上方に立上がる周壁部とにより構成し、前記底部には前記漏れ油を外部に排出する排油口を設ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記ポストの外周側には径方向に延びる複数本の支持梁を着脱可能に取付け、
前記作業フロアは、前記複数本の支持梁のうち隣合う2本の支持梁によって支持された複数個の分割フロアを組合せてなるフロア組合せ体により構成し、
前記油受け部材は、前記複数本の支持梁のうち隣合う2本の支持梁によって前記分割フロアの下側に支持された複数個の分割油受けを組合せてなる油受け組合せ体により構成してなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記各支持梁は、上,下方向に延びるウェブ板と、該ウェブ板の上,下両端側に設けられた上,下のフランジ板とにより断面H型に形成し、
前記分割フロアは前記各支持梁の上フランジ板に取付け、前記分割油受けは前記各支持梁の下フランジ板に取付ける構成としてなる請求項3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記油受け部材は前記ポストに固着して設け、
前記作業フロアは該油受け部材の上面側に載置される複数個の分割フロアを組合せてなるフロア組合せ体により構成してなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項6】
前記各分割フロアの上面は、前記油受け部材の上端部よりも上方に位置する構成としてなる請求項5に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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