説明

建設機械

【課題】 電動装置から延びるケーブルに設けられたケーブル側コネクタと、電気機器に設けられた機器側コネクタとの間を確実に接続する。
【解決手段】 旋回フレーム5に固定された電動モータ34から延びる第1のケーブル46にケーブル側コネクタ46Aを設ける。旋回フレーム5に防振マウント38を介して支持された第1の電気機器36の箱体37にはコネクタ取付突起39を突設し、このコネクタ取付突起39に第1の機器側コネクタ40を設ける。そして、第1のケーブル46のケーブル側コネクタ46Aを、第1の機器側コネクタ40に接続すると共に、第1のケーブル46の端部を第1のクランプ部材50によって箱体37に固定する。これにより、第1のケーブル46とケーブル側コネクタ46Aとに伝わる振動が一致し、ケーブル側コネクタ46Aと第1の機器側コネクタ40とを確実に接続することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、ホイールローダ等の建設機械に関し、特に、旋回装置用電動モータ、油圧ポンプ用電動モータ等の電動装置を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回輪を介して旋回可能に搭載された上部旋回体とにより車体が構成され、上部旋回体の前部側には、掘削作業等を行う作業装置が設けられている。
【0003】
ここで、下部走行体と上部旋回体との間には、上部旋回体を旋回させる旋回装置が設けられ、この旋回装置を構成する旋回モータとして、油圧モータと電動モータ(電動装置)とを併用する構成となった、いわゆるハイブリッド型の旋回装置が提案されている。一方、建設機械に用いられる油圧ポンプとして、エンジンによって駆動されると共に電動モータによって駆動されるハイブリッド型の油圧ポンプも提案されている。
【0004】
ところで、旋回モータに用いられる電動モータには、当該電動モータに供給される駆動電流を直流と交流とに変換するインバータ回路等の電気部品を収容した電気機器や、電動モータを駆動するための電気エネルギを蓄えるキャパシタ等の電気部品を収容した電気機器が、ケーブルを介して接続されている。この場合、電動モータに接続されたケーブルの端部にはケーブル側コネクタが設けられ、このケーブル側コネクタを、電気機器に設けられた機器側コネクタに接続することにより、電気機器に収容された電気部品と電動モータとを電気的に接続することができる。
【0005】
ところで、油圧ショベルは、掘削作業時等において車体が激しく振動するため、上述したケーブル側コネクタと機器側コネクタとを接続したとしても、ケーブルに電気的に接続された接続端子(コンタクト)にケーブルから振動が伝わることにより、接続端子同士の接触面に微摺動に伴う腐食(フレッティングコロージョン)が生じ、接触不良や焼損等の不具合が発生する虞れがある。
【0006】
一方、ハイブリッド式ショベルにおいては、通常、車体に搭載されるコントローラや蓄電装置といった電気機器を振動から保護するため、これらの電気機器を防振マウントを介して車体に支持する構成が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかし、電気機器を振動から保護するために、電気機器を防振部材を介して車体に取付けた場合には、電動モータに伝わる振動と電気機器に伝わる振動とが異なるため、電動モータから延びるケーブルに設けたケーブル側コネクタの接続端子に、電動モータの振動と電気機器の振動との差に起因する過大な外力が作用してしまい、ケーブル側コネクタの接続端子と機器側コネクタの接続端子との間で接触不良が発生し易くなる。
【0008】
これに対し、ケーブルが挿入されるコネクタボディ内に複数の突起を設け、この突起とケーブルとの間に生じる摩擦力によってコネクタボディに対してケーブルを確実に固定する構成となったコネクタが提案されている。このように、コネクタボディにケーブルを固定したコネクタにおいては、ケーブルを介して接続端子に伝わる振動を抑制することができるので、ケーブル側コネクタの接続端子と機器側コネクタの接続端子との接触不良を低減することができる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−270555号公報
【特許文献2】特開平3−145079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、油圧ショベルに搭載された電動モータに接続される動力ケーブル等のケーブルは、大きな電流が流れるために大径であり、剛性も高い。このため、油圧ショベルが振動を発生すると、この振動がケーブルを通じてケーブル側コネクタの接続端子に伝わり易く、ケーブル側コネクタの接続端子と機器側コネクタの接続端子との間で接触不良や焼損等の不具合が生じてしまうという問題がある。
【0011】
一方、振動に対するコネクタの強度を高めるため、大径なケーブルに応じてコネクタの外形形状を大型化した場合には、コネクタの占有スペースが増大することにより、電動モータと電気機器との間にケーブルを配策するときの作業性が低下してしまうという問題がある。
【0012】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、車体に搭載された電動装置から延びるケーブルに設けられたケーブル側コネクタと、防振部材を介して支持された電気機器に設けられた機器側コネクタとの間を確実に接続し、上述のような不具合の発生を防止することができる建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため本発明は、自走可能な車体と、該車体に搭載された電動装置と、箱体内に該電動装置と接続される電気部品を収容し防振部材を用いて前記車体に支持された電気機器と、前記電動装置と前記電気機器との間を接続するケーブルとを備えてなる建設機械に適用される。
【0014】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記電気機器の箱体には、その外面側に位置して当該箱体よりも小さな外形形状をもって突出するコネクタ取付突起を設け、前記コネクタ取付突起には、前記ケーブルの電気機器側の端部に設けられたケーブル側コネクタが接続される機器側コネクタを設け、前記電気機器の箱体外面には、前記コネクタ取付突起の近傍に位置して前記ケーブルの電気機器側の端部を固定するクランプ部材を設けたことにある。
【0015】
請求項2の発明は、前記電気機器の箱体は上面、下面および側面によって囲まれた立体構造体とし、前記電気機器の箱体は、その下面を下にして前記車体上に設けられ、前記コネクタ取付突起は前記箱体の少なくとも上面または側面に取付け、前記ケーブルの前記ケーブル側コネクタの近傍部位は、前記コネクタ取付突起が設けられた前記箱体の上面または側面のうち前記コネクタ取付突起が取付けられた部位を除いた残余の部位に配置する構成とし、前記クランプ部材は、前記コネクタ取付突起が設けられた前記箱体の上面または側面のうち前記残余の部位に取付ける構成としたことにある。
【0016】
請求項3の発明は、前記電気機器の箱体は上面、下面、前面、後面、左側面および右側面によって囲まれた立体構造体とし、前記コネクタ取付突起は上面、前面、後面、左側面および右側面によって囲まれた立体構造体とし、前記電気機器の箱体は、その下面を下にして前記車体上に設けられ、前記コネクタ取付突起は、前記箱体の各面のうち下面を除くいずれかの面に設けられ、前記コネクタ取付突起の各面のうち前記箱体における前記コネクタ取付突起の設置面と直交する面には前記機器側コネクタを設け、前記コネクタ取付突起は、前記機器側コネクタが設けられる面の前側にスペースが形成されるように前記箱体の後面側に片寄せて配置し、前記ケーブルの前記ケーブル側コネクタの近傍部位は、前記コネクタ取付突起の前記機器側コネクタが設けられる面の前方側に位置して前記箱体における前記コネクタ取付突起の設置面上に配置する構成とし、前記クランプ部材は、前記箱体における前記コネクタ取付突起の設置面上であって前記コネクタ取付突起の前記機器側コネクタが設けられる面の前方側に取付ける構成としたことにある。
【0017】
請求項4の発明は、前記箱体における前記コネクタ取付突起が設けられる面にはクランプ固定部を設け、前記クランプ部材は前記クランプ固定部に取付ける構成としたことにある。
【0018】
請求項5の発明は、前記箱体には、前記コネクタ取付突起に設けられた前記機器側コネクタおよび当該機器側コネクタに接続された前記ケーブル側コネクタを覆うカバーを設ける構成としたことにある。
【0019】
請求項6の発明は、前記電気機器は、前記電動装置と第1のケーブルを用いて接続された第1の電気機器と、前記第1の電気機器と第2のケーブルを用いて接続された第2の電気機器とにより構成し、前記第1の電気機器の箱体にはインバータ回路を収容し、前記第2の電気機器の箱体には電気エネルギを蓄えるキャパシタを収容する構成としたことにある。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、電気機器の箱体に設けたコネクタ取付突起に機器側コネクタを取付け、電動装置から延びるケーブルに設けたケーブル側コネクタを機器側コネクタに接続した状態で、ケーブルの電気機器側の端部を、クランプ部材を用いて箱体に固定することができる。これにより、ケーブルの端部とケーブル側コネクタとの両方を電気機器の箱体に固定することができるので、電動装置からケーブルに伝わる振動、並びにケーブルに生じる振動と、電気機器から機器側コネクタを通じてケーブル側コネクタに伝わる振動とを一致させることができる。この結果、車体に搭載された電動装置に伝わる振動と、防振部材を介して車体に支持された電気機器に伝わる振動とが異なる場合でも、ケーブル側コネクタの接続端子に過大な外力が伝わるのを抑えることができ、機械稼働時にケーブル側コネクタと機器側コネクタとの接続端子同士の接触面に微摺動に伴う腐食(フレッティングコロージョン)の発生を抑制することができ、接触不良や焼損等の不具合が発生するのを防止することができる。
【0021】
しかも、ケーブル側コネクタの接続端子に振動による過大な外力が伝わるのを抑えることができるので、ケーブル側コネクタおよび機器側コネクタを大型化する必要がない。この結果、これら各コネクタの占有スペースを小さくすることができ、各ケーブルを配策するときの作業性を高めることができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、コネクタ取付突起が取付けられた箱体の上面または側面のうちコネクタ取付突起が取付けられた部位を除いた残余の部位に、ケーブルのうちケーブル側コネクタの近傍部位を配置することにより、前記残余の部位に取付けたクランプ部材を用いてケーブルを確実に固定することができる。
【0023】
請求項3の発明によれば、箱体に取付けられたコネクタ取付突起のうち機器側コネクタが設けられる面の前側にスペースを確保することができる。従って、コネクタ取付突起の機器側コネクタにケーブル側コネクタを接続したときに、このケーブル側コネクタを、箱体におけるコネクタ取付突起の設置面内に納めることができる。これにより、機器側コネクタに接続されたケーブル側コネクタが、箱体におけるコネクタ取付突起の設置面から外部に突出するのを抑えることができ、電気機器の周囲に配置された機器類とケーブル側コネクタとが干渉するのを防止できる。
【0024】
しかも、コネクタ取付突起の各面のうち箱体におけるコネクタ取付突起の設置面と直交する面に機器側コネクタを取付けることにより、機器側コネクタに対してケーブル側コネクタを水平方向から接続することができる。この結果、雨水や結露等による水分がケーブルを伝ってケーブル側コネクタと機器側コネクタとの接続部に侵入するのを抑え、これら各コネクタを保護することができる。
【0025】
請求項4の発明によれば、箱体のうちコネクタ取付突起が設けられる面に設けたクランプ固定具にクランプ部材を取付け、このクランプ部材によって、ケーブル側コネクタが設けられたケーブルの端部をクランプすることにより、電気機器の箱体に対してケーブルを確実に固定することができる。
【0026】
請求項5の発明によれば、箱体に設けたカバーによって機器側コネクタとケーブル側コネクタとを覆うことにより、例えば電動装置や電気機器に対する保守、点検作業を行うときに、作業者が誤って機器側コネクタとケーブル側コネクタとの接続部を踏付けるのを防止することができる。これにより、機器側コネクタとケーブル側コネクタとを保護し、不用意な破損を防止し、両者を長期に亘って確実に接続しておくことができる。
【0027】
請求項6の発明によれば、第1のケーブルに設けたケーブル側コネクタと第1の電気機器に設けた機器側コネクタとの間を確実に接続すると共に、第2のケーブルに設けた一方のケーブル側コネクタと第1の電気機器に設けた機器側コネクタとの間、第2のケーブルに設けた他方のケーブル側コネクタと第2の電気機器に設けた機器側コネクタとの間を確実に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】上部旋回体を前側ドアと後側ドアとを取外した状態で示す斜視図である。
【図3】旋回フレーム上にエンジン、旋回装置、第1,第2の電気機器等を取付けた状態を示す平面図である。
【図4】旋回フレーム上に旋回装置、第1,第2の電気機器、前仕切板を取付けた状態を示す斜視図である。
【図5】図4中の前仕切板を省略し、第2の電気機器からカバーを取外した状態を示す分解斜視図である。
【図6】第1の電気機器と床板とを示す分解斜視図である。
【図7】旋回フレームに対する第1の電気機器の取付け状態を図3中の矢示VII−VII方向からみた断面図である。
【図8】旋回装置に用いられる電動モータと、第1,第2の電気機器との接続関係を示すブロック図である。
【図9】本発明の第1の変形例を示す図5と同様な斜視図である。
【図10】本発明の第2の変形例による第1の電気機器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図10を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施の形態においては、電動装置として、旋回装置に用いられる電動モータを例に挙げて説明する。
【0030】
図中、1は建設機械の代表例としての油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより車体が構成されている。そして、上部旋回体3の前部側には作業装置4が俯仰動可能に設けられ、この作業装置4によって土砂の掘削作業等を行うものである。
【0031】
5は上部旋回体3のベースとなる旋回フレームで、該旋回フレーム5は、図3に示すように、厚肉な平板状に形成され前,後方向に延びた底板6と、該底板6上に立設され左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びた左縦板7及び右縦板8と、左縦板7から左側方に張出して設けられた左張出しビーム9と、右縦板8から右側方に張出して設けられた右張出しビーム10と、各左張出しビーム9の先端側に固着され前,後方向に延びた左サイドフレーム11と、各右張出しビーム10の先端側に固着され前,後方向に延びた右サイドフレーム12とにより大略構成され、強固な支持構造体をなしている。
【0032】
ここで、底板6の前,後方向の中間部位には、左,右の縦板7,8間に位置して後述の旋回装置31が設けられている。一方、左,右の縦板7,8の前端側には作業装置4が取付けられ、左,右の縦板7,8の後端側には後述のカウンタウエイト20が取付けられる構成となっている。
【0033】
13はカウンタウエイト20の前側に位置して旋回フレーム5の後部側に配設された原動機としてのエンジンで、該エンジン13は、旋回フレーム5の左,右の縦板7,8上を左,右方向に延びる横置き状態に配置されている。そして、エンジン13の左端側には、冷却ファン13Aが取付けられ、エンジン13の右端側には、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータに作動用の圧油を供給する油圧ポンプ14が取付けられている。
【0034】
15はエンジン13の左側に位置して旋回フレーム5上に搭載された熱交換器で、該熱交換器15は、支持枠体16および該支持枠体16に支持されたラジエータ17、オイルクーラ18等からなる1つのユニットとして形成され、旋回フレーム5に着脱可能に取付けられるものである。
【0035】
ここで、熱交換器15の支持枠体16は、後述する前仕切カバー25とユーティリティ室29を挟んで対面する前仕切板16Aと、カウンタウエイト20の前側に設けられた後仕切板16Bと、これら前仕切板16Aと後仕切板16Bの上端側を連結する連結板16Cとにより大略構成されている。そして、支持枠体16は、エンジン冷却水を冷却するラジエータ17、作動油を冷却するオイルクーラ18等を支持している。
【0036】
19は旋回フレーム5の前部左側に設けられたキャブを示し、該キャブ19は運転室を画成するものである。20は旋回フレーム5の後端側に設けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト20は作業装置4との重量バランスをとるものである。21は旋回フレーム5の前部右側に設けられた作動油タンクで、該作動油タンク21は各種の油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜するものである。
【0037】
次に、22はカウンタウエイト20の前側に位置して旋回フレーム5上に設けられた建屋カバーを示し、該建屋カバー22は、旋回フレーム5上に搭載されるエンジン13、油圧ポンプ14、熱交換器15等を覆うものである。ここで、建屋カバー22は、上面板23、ボンネット24、熱交換器15の支持枠体16、後述の前仕切カバー25、左前側ドア26、左後側ドア27等を含んで構成されている。
【0038】
そして、建屋カバー22の上側は、上面板23とボンネット24とによって仕切られ、建屋カバー22の左側は、左前側ドア26と左後側ドア27とによって仕切られ、建屋カバー22の右側は、右側ドア(図示せず)によって仕切られている。また、建屋カバー22の前側は、作動油タンク21と前仕切カバー25とによって仕切られ、建屋カバー22の後側は、熱交換器15の支持枠体16を構成する後仕切板16Bとカウンタウエイト20とによって仕切られる構成となっている。
【0039】
25はキャブ19と熱交換器15との間に設けられた前仕切カバーで、該前仕切カバー25は、建屋カバー22の一部を構成するものである。ここで、前仕切カバー25は、熱交換器15の支持枠体16(前仕切板16A)と前,後方向で間隔をもって対面し、建屋カバー22の左前側を仕切るものである。
【0040】
26は前仕切カバー25に開,閉可能に取付けられた左前側ドアを示し、該左前側ドア26は、ヒンジ部材を介して前仕切カバー25に回動可能に支持されている。そして、左前側ドア26は、前仕切カバー25の位置を中心として前,後方向に回動することにより、後述のユーティリティ室29を開,閉するものである。
【0041】
27は左前側ドア26の後側に設けられた左後側ドアで、該左後側ドア27は、熱交換器15の支持枠体16を構成する後仕切板16Bにヒンジ部材を介して回動可能に支持されている。そして、左後側ドア27は、後仕切板16Bの位置を中心として前,後方向に回動することにより、後述の熱交換器前室28Bを開,閉するものである。
【0042】
28は建屋カバー22内に形成された機械室で、該機械室28は、建屋カバー22を構成する上面板23、ボンネット24、左前側ドア26、左後側ドア27および右側ドア(図示せず)と、カウンタウエイト20と、作動油タンク21とによって画成されている。この機械室28は、熱交換器15を挟んで隣接するエンジン室28Aと熱交換器前室28Bとからなっている。
【0043】
即ち、28Aはエンジン13、油圧ポンプ14等が収容されたエンジン室で、該エンジン室28Aは、建屋カバー22の上面板23、ボンネット24および右側ドア(図示せず)と、熱交換器15の支持枠体16と、カウンタウエイト20と、作動油タンク21とによって画成されている。
【0044】
一方、28Bは熱交換器15を挟んでエンジン室28Aとは反対側に形成された熱交換器前室を示している。この熱交換器前室28Bは、建屋カバー22を構成する上面板23および左後側ドア27と、熱交換器15とによって画成され、左後側ドア27によって開,閉される構成となっている。また、熱交換器前室28B内には、後述する第2の電気機器42が設けられている。
【0045】
29は機械室28と共に建屋カバー22内に形成されたユーティリティ室で、該ユーティリティ室29は、建屋カバー22を構成する上面板23および左前側ドア26と、熱交換器15の支持枠体16を構成する前仕切板16Aとによって画成されている。ここで、ユーティリティ室29内には、エンジン13に吸込まれる吸気を清浄化するエアクリーナ30が配置されている。また、ユーティリティ室29の下側は後述の床板35によって閉塞され、該床板35上には後述する第1の電気機器36が取付けられている。
【0046】
次に、31は旋回フレーム5に搭載された旋回装置を示している。この旋回装置31は、旋回フレーム5を構成する左,右の縦板7,8間に位置して底板6の中央部に立設されている。ここで、旋回装置31は、下部走行体2上に支持された上部旋回体3を旋回させるもので、油圧モータ32と、後述の電動モータ34と、減速機33とにより大略構成され、油圧モータ32と電動モータ34とが協働して上部旋回体3を旋回駆動する、いわゆるハイブリッド型の旋回装置となっている。
【0047】
34は電動装置としての交流型の電動モータを示し、該電動モータ34は、油圧モータ32と共に旋回装置31の回転源を構成するものである。ここで、電動モータ34は、図4および図5に示すように、旋回装置31を構成する減速機33の上端部に取付けられ、減速機33は、旋回フレーム5の底板6に対し、防振部材等を介材させることなく、ボルト等を用いて直接的に取付けられている。また、電動モータ34の上端側には油圧モータ32が取付けられている。
【0048】
次に、ユーティリティ室29内に配置された本実施の形態による主要部である床板35、第1の電気機器36、防振マウント38、第2の電気機器42、第1,第2のケーブル46,47、第1,第2のクランプ部材50,51等について説明する。
【0049】
35はユーティリティ室29の下側を閉塞する床板で、図6および図7に示すように、床板35は全体として矩形な枠状に形成されている。そして、床板35は、旋回フレーム5に着脱可能に取付けられると共に、後述する第1の電気機器36が取付けられるものである。
【0050】
ここで、図6に示すように、床板35は、第1の電気機器36が取付けられる平板状の取付面部35Aと、該取付面部35Aの外周縁から上向きに折曲げられた外枠部35Bと、取付面部35Aを複数のエリアに仕切るように取付面部35Aの上面と外枠部35Bとに固着された複数本のリブ35Cとにより大略構成されている。また、取付面部35Aには、床板35を旋回フレーム5に対して着脱するときの作業孔35D、床板35の下方に配置されるコントロールバルブを着脱したり目視するための大径孔35E等が設けられている。さらに、取付面部35Aの4個の角隅部には、それぞれボルト挿通孔35Fが設けられ、これら各ボルト挿通孔35Fに挿通したボルト35Gを旋回フレーム5に締結することにより、床板35が旋回フレーム5に着脱可能に取付けられている。
【0051】
一方、取付面部35Aの中央部には、前,後方向および左,右方向に間隔をもって4個のマウント取付孔35Hが設けられ、これら各マウント取付孔35Hには、後述する防振マウント38のボルト38Dが挿通される。また、各マウント取付孔35Hの近傍部位には、小さな四角形状をなす廻止め孔35Jがそれぞれ設けられ、これら各廻止め孔35Jには、後述する防振マウント38の廻止め突起38Eが係合する構成となっている。
【0052】
次に、36はユーティリティ室29内に配設された第1の電気機器を示し、該第1の電気機器36は、後述する第1のケーブル46を用いて電動モータ34に接続されるものである。ここで、第1の電気機器36は、後述の箱体37を備え、該箱体37内には、電動モータ34に供給される駆動電流を直流電流から交流電流に変換するためのインバータ回路、および昇圧、降圧用のチョッパ回路等の電気部品(図示せず)が収容されている。
【0053】
37は第1の電気機器36の外殻をなす箱体で、該箱体37は、図6等に示すように、水平方向に延びる上面37Aおよび下面37Bと、上面37Aに対してほぼ垂直となった前面37C、後面37D、左側面37Eおよび右側面37Fとによって囲まれた直方体の立体構造体として形成されている。ここで、箱体37の内側には冷却水通路(図示せず)が設けられ、箱体37内に収容された電気部品から発生する熱を、冷却水通路を流れる冷却水によって冷却する構成となっている。また、箱体37の上面37A上には、後述のコネクタ取付突起39が一体に設けられている。
【0054】
38は第1の電気機器36を構成する箱体37と床板35との間に設けられた防振部材としての複数の防振マウントを示し、該各防振マウント38は、第1の電気機器36を旋回フレーム5に対して防振状態で支持することにより、上部旋回体3の大きな振動が第1の電気機器36に伝わるのを抑えるものである。
【0055】
ここで、図6および図7に示すように、防振マウント38は、第1の電気機器36を構成する箱体37の下面37Bに取付けられる平板状の機器側取付部38Aと、床板35に取付けられる円板状の床板側取付部38Bと、機器側取付部38Aと床板側取付部38Bとの間に設けられたゴム等の弾性体38Cと、床板側取付部38Bの中心部に突設されたボルト38Dと、床板側取付部38Bの外周縁部に設けられ、床板側取付部38Bからボルト38Dに沿って直角に折曲げられた廻止め突起38Eとにより大略構成されている。
【0056】
そして、防振マウント38の機器側取付部38Aをボルト38Fを用いて箱体37の下面37Bに取付けると共に、防振マウント38のボルト38Dを床板35のマウント取付孔35Hに挿通してナットを締結することにより、床板35上に各防振マウント38を介して第1の電気機器36を防振状態で支持することができる。このとき、防振マウント38の床板側取付部38Bに設けられた廻止め突起38Eを、床板35に設けた廻止め孔35Jに係合させることにより、防振マウント38が振動によってボルト38Dを中心として回転するのを防止し、組立性を向上すると共に防振マウント38が緩むのを阻止することができる構成となっている。
【0057】
次に、箱体37に設けられるコネクタ取付突起39について説明する。ここで、本実施の形態では、箱体37の上面37Aにコネクタ取付突起39を設けた場合を例示するが、本発明はこれに限らず、例えば前面37C、後面37D、左側面37E、右側面37Fにコネクタ取付突起39を設ける構成としてもよい。
【0058】
39は箱体37の上面37A上に突設されたコネクタ取付突起を示し、該コネクタ取付突起39は、箱体37よりも前,後方向の長さ寸法が小さな外形形状を有する直方体の立体構造体として形成されている。即ち、コネクタ取付突起39は、箱体37の上面37Aと対面し水平方向に延びる上面39Aと、該上面39Aに対してほぼ垂直となった前面39B、後面39C、左側面39Dおよび右側面39Eとによって囲まれた直方体状に形成されている。なお、コネクタ取付突起39は下面側が開口部となって箱体37の内部と連通しており、この開口部を通じて箱体37内にケーブルが挿通されるものである。
【0059】
この場合、コネクタ取付突起39は、箱体37の上面37Aのうち後面37D側に片寄せた部位に配置されており、コネクタ取付突起39の前面39Bは、箱体37の前面37Cよりも後側(後面37D側)に引っ込んでいる。これにより、箱体37の上面37Aは、コネクタ取付突起39が設けられた取付部位37A1と、このコネクタ取付突起39が設けられた取付部位37A1を除いた、コネクタ取付突起39の前面39Bの前方に位置する残余の部位37A2とからなっている。
【0060】
40,41はコネクタ取付突起39の前面39Bに並んで設けられた第1,第2の機器側コネクタを示し、これら第1,第2の機器側コネクタ40,41は、箱体37内に収容されたインバータ回路等の電気部品に接続されている。そして、第1の機器側コネクタ40には後述のケーブル側コネクタ46Aが接続され、第2の機器側コネクタ41には後述のケーブル側コネクタ47Aが接続される構成となっている。
【0061】
次に、熱交換器前室28B内に収容された第2の電気機器42について説明する。
【0062】
即ち、42は熱交換器前室28B内に配置された第2の電気機器を示し、該第2の電気機器42は、後述する第2のケーブル47を用いて第1の電気機器36に接続されるものである。ここで、第2の電気機器42は、箱体43と、該箱体43内に収容され電動モータ34を駆動する電気エネルギを蓄えるため、キャパシタまたはバッテリ等の蓄電器を含む電気部品(図示せず)とにより大略構成されている。第2の電気機器42内のキャパシタは、電動モータ34の制動時に該電動モータ34によって発生された回生エネルギを電気エネルギとして充電すると共に、この電気エネルギを電動モータ34に向けて放電するものである。なお、第2の電気機器42は、複数個のキャパシタを接続することにより構成されている。
【0063】
一方、箱体43は、図5に示すように、上面43A、下面、前面43B、後面、左側面43C、右側面によって囲まれた前,後方向に延びる直方体の立体構造体として形成され、防振マウント(図示せず)を介して旋回フレーム5に防振状態で支持されている。また、箱体43の内側には冷却水通路(図示せず)が設けられ、箱体43内に収容された電気部品から発生する熱を、冷却水通路を流れる冷却水によって冷却する構成となっている。
【0064】
次に、箱体43に設けられるコネクタ取付突起44について説明する。ここで、本実施の形態では、箱体43の上面43Aにコネクタ取付突起44を設けた場合を例示するが、本発明はこれに限らず、例えば前面43B、後面、左側面43C、右側面にコネクタ取付突起44を設ける構成としてもよい。
【0065】
44は箱体43の上面43A上に突設されたコネクタ取付突起を示し、該コネクタ取付突起44は、上面44A、前面44B、後面44C、左側面44Dおよび右側面とによって囲まれ、箱体43よりも前,後方向の長さ寸法が小さな外形形状を有する直方体の立体構造体として形成されている。なお、コネクタ取付突起44は下面側が開口部となって箱体43の内部に連通しており、この開口部を通じて箱体43内にケーブルが挿通されるものである。
【0066】
この場合、コネクタ取付突起44は、箱体43の上面43Aのうち後面側に片寄せた部位に配置されており、コネクタ取付突起44の前面44Bは、箱体43の前面43Bよりも後側に引っ込んでいる。これにより、箱体43の上面43Aは、コネクタ取付突起44が設けられた取付部位43A1と、このコネクタ取付突起44が設けられた取付部位43A1を除いた、コネクタ取付突起44の前面44Bの前方に位置する残余の部位43A2とからなっている。
【0067】
45はコネクタ取付突起44の前面44Bに設けられた第3の機器側コネクタを示し、この第3の機器側コネクタ45は、箱体43内に収容された電気部品に接続されている。そして、第3の機器側コネクタ45には後述のケーブル側コネクタ47Bが接続されるものである。
【0068】
次に、46は電動モータ34と第1の電気機器36との間を電気的に接続する第1のケーブルを示している。この第1のケーブル46のうち第1の電気機器36側の端部には、内部に接続端子(図示せず)が配設されたケーブル側コネクタ46Aが設けられている。そして、第1のケーブル46のケーブル側コネクタ46Aは、第1の電気機器36のコネクタ取付突起39に取付けられた第1の機器側コネクタ40に接続される構成となっている。この場合、ケーブル側コネクタ46Aと、第1のケーブル46のうちケーブル側コネクタ46Aの近傍部位は、上方からみて第1の電気機器36を構成する箱体37の上面37A(残余の部位37A2)内に納まっている。
【0069】
47は第1の電気機器36と第2の電気機器42との間を電気的に接続する第2のケーブルを示している。この第2のケーブル47の両端部には、内部に接続端子(図示せず)が配設されたケーブル側コネクタ47A,47Bが設けられている。そして、一端側のケーブル側コネクタ47Aは、第1の電気機器36のコネクタ取付突起39に取付けられた第2の機器側コネクタ41に接続され、他端側のケーブル側コネクタ47Bは、第2の電気機器42のコネクタ取付突起44に取付けられた第3の機器側コネクタ45に接続される構成となっている。
【0070】
この場合、ケーブル側コネクタ47Aと、第2のケーブル47のうちケーブル側コネクタ47Aの近傍部位は、上方からみて第1の電気機器36を構成する箱体37の上面37A内に納まり、ケーブル側コネクタ47Bと、第2のケーブル47のうちケーブル側コネクタ47Bの近傍部位は、上方からみて第2の電気機器42を構成する箱体43の上面43A内に納まるものである。
【0071】
従って、図8に示すように、電動モータ34と第1の電気機器36との間は第1のケーブル46を介して電気的に接続され、第1の電気機器36と第2の電気機器42との間は第2のケーブル47を介して電気的に接続されている。これにより、旋回装置31を作動させるときには、第2の電気機器42から放電された電気エネルギが第1の電気機器36を介して交流電流として電動モータ34に供給され、該電動モータ34を回転駆動する。一方、旋回装置31を制動させるときには、電動モータ34の慣性回転によって発生した回生エネルギが第2の電気機器42に蓄えられる構成となっている。
【0072】
次に、48,49は第1の電気機器36の箱体37に設けられたクランプ固定部としての2個の取付座を示し、該各取付座48,49は、後述する第1,第2のクランプ部材50,51を固定するものである。ここで、各取付座48,49は、例えば六角ナットにより構成され、箱体37を構成する上面37Aのうち残余の部位37A2上に溶接等の手段を用いて固着されている。
【0073】
50はコネクタ取付突起39の近傍に位置して第1の電気機器36の箱体37に設けられた第1のクランプ部材を示している。ここで、第1のクランプ部材50は、第1のケーブル46のケーブル側コネクタ46Aの近傍部位、例えばケーブル側コネクタ46Aが設けられた端部をクランプした状態で、箱体37の上面37Aに設けられた取付座48にボルト50Aを用いて締結されている。
【0074】
このように、ケーブル側コネクタ46Aを第1の電気機器36の箱体37上に設けられたコネクタ取付突起39に接続した上で、さらに第1のケーブル46の端部を第1の電気機器36の箱体37に固定することにより、第1のケーブル46の端部に伝わる振動とケーブル側コネクタ46Aに伝わる振動とを一致させ、ケーブル側コネクタ46Aの接続端子に過大な外力が伝わるのを抑えることができる構成となっている。
【0075】
51はコネクタ取付突起39の近傍に位置して第1の電気機器36の箱体37に設けられた第2のクランプ部材を示し、該第2のクランプ部材51は、第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47Aの近傍部位、例えばケーブル側コネクタ47Aが設けられた一端部をクランプした状態で、箱体37の上面37Aに設けられた取付座49にボルト51Aを用いて締結されている。
【0076】
52はコネクタ取付突起44の近傍に位置して第2の電気機器42の箱体43に設けられた第3のクランプ部材を示し、該第3のクランプ部材52は、第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47Bの近傍部位、例えばケーブル側コネクタ47Bが設けられた他端部をクランプした状態で、箱体43の上面43Aにボルト52Aを用いて締結されている。
【0077】
このように、ケーブル側コネクタ47Aを第1の電気機器36の箱体37上に設けられたコネクタ取付突起39に接続した上で、さらに第2のケーブル47の一端部を第1の電気機器36の箱体37に固定することにより、第2のケーブル47に生じる振動、並びに第2のケーブル47の一端部に伝わる振動とケーブル側コネクタ47Aとに伝わる振動とを一致させることができる。一方、ケーブル側コネクタ47Bを第2の電気機器42の箱体43上に設けられたコネクタ取付突起44に接続した上で、さらに第2のケーブル47の他端部を第2の電気機器42の箱体43に固定することにより、第2のケーブル47に生じる振動、並びに第2のケーブル47の他端部に伝わる振動とケーブル側コネクタ47Bとに伝わる振動とを一致させることができる。
【0078】
これにより、機械稼働時に第1の電気機器36に伝わる振動と第2の電気機器42に伝わる振動とが異なる場合でも、ケーブル側コネクタ47Aの接続端子やケーブル側コネクタ47Bの接続端子に過大な外力が伝わるのを抑えることができる構成となっている。
【0079】
53は第2の電気機器42の箱体43に取付けられたカバーを示している。このカバー53は、断面L字型に折曲げられた板体からなり、第2の電気機器42を構成する箱体43とコネクタ取付突起44とに複数のボルト53Aを用いて固定されている。そして、カバー53は、コネクタ取付突起44に取付けられた第3の機器側コネクタ45と、該第3の機器側コネクタ45に接続された第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47Bとを覆っている。
【0080】
これにより、熱交換器15に対する保守、点検作業を行うときに、第3の機器側コネクタ45や第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47Bを、作業者が不用意に踏付けてしまうのを、カバー53によって阻止することができる構成となっている。
【0081】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1は、下部走行体2によって作業現場まで自走し、旋回装置31によって上部旋回体3を旋回させつつ、作業装置4を用いて土砂の掘削作業を行う。
【0082】
この場合、油圧ショベル1の作動時には旋回フレーム5が大きく振動するため、この旋回フレーム5に直接的に取付けられた旋回装置31も、旋回フレーム5と一緒に大きく振動する。
【0083】
一方、ユーティリティ室29内に配置された第1の電気機器36は、ユーティリティ室29の下側を閉塞する床板35に防振マウント38を介して支持されているため、第1の電気機器36に伝わる振動は旋回装置31に伝わる振動よりも小さい。また、熱交換器前室28B内に配置された第2の電気機器42も、防振マウント(図示せず)を介して旋回フレーム5に支持されているため、第2の電気機器42に伝わる振動は旋回装置31に伝わる振動よりも小さい。このように、油圧ショベル1の作動時においては、旋回装置31に伝わる振動と、第1の電気機器36および第2の電気機器42に伝わる振動とが互いに異なる。
【0084】
これに対し、本実施の形態においては、第1の電気機器36を構成する箱体37の上面37Aにコネクタ取付突起39を突設し、このコネクタ取付突起39の前面39Aに第1の機器側コネクタ40と第2の機器側コネクタ41とを設けている。また、第2の電気機器42を構成する箱体43の上面43Aにコネクタ取付突起44を突設し、このコネクタ取付突起44の前面44Aに第3の機器側コネクタ45を設けている。
【0085】
そして、旋回装置31の電動モータ34と第1の電気機器36との間を第1のケーブル46を用いて接続するときには、第1のケーブル46に設けられたケーブル側コネクタ46Aを、第1の機器側コネクタ40に接続すると共に、第1のケーブル46のうちケーブル側コネクタ46Aが設けられた端部を、箱体37の上面37Aに配設した第1のクランプ部材50によって固定する構成としている。
【0086】
このように、第1のケーブル46のうちケーブル側コネクタ46Aが設けられた端部と、ケーブル側コネクタ46Aとの両方を、第1の電気機器36の箱体37に固定することにより、第1のケーブル46とケーブル側コネクタ46Aとに伝わる振動とを一致させることができる。従って、電動モータ34に伝わる振動と第1の電気機器36に伝わる振動とが異なる場合でも、ケーブル側コネクタ46Aの接続端子に過大な外力が伝わるのを抑えることができる。この結果、ケーブル側コネクタ46Aと第1の機器側コネクタ40の接続端子同士の接触面に生じる微摺動を抑制して、これに伴う腐食(フレッティングコロージョン)や接触不良や焼損等の不具合が発生するのを防止し、電動モータ34と第1の電動機器36との間を第1のケーブル46を用いて安定的に接続することができる。
【0087】
一方、第1の電気機器36と第2の電気機器42との間を第2のケーブル47を用いて接続するときには、第2のケーブル47の一端部に設けられたケーブル側コネクタ47Aを、コネクタ取付突起39に設けられた第2の機器側コネクタ41に接続すると共に、第2のケーブル47の一端部を、箱体37の上面37Aに配設した第2のクランプ部材51によって固定する。また、第2のケーブル47の他端部に設けられたケーブル側コネクタ47Bを、コネクタ取付突起44に設けられた第3の機器側コネクタ45に接続すると共に、第2のケーブル47の他端部を、箱体43の上面43Aに配設した第3のクランプ部材52によって固定する構成としている。
【0088】
これにより、第2のケーブル47のうちケーブル側コネクタ47Aが設けられた一端部とケーブル側コネクタ47Aとの両方を、第1の電気機器36の箱体37に固定することができ、第2のケーブル47とケーブル側コネクタ47Aとに伝わる振動とを一致させることができる。また、第2のケーブル47のうちケーブル側コネクタ47Bが設けられた他端部とケーブル側コネクタ47Bとの両方を、第2の電気機器42の箱体43に固定することができ、第2のケーブル47とケーブル側コネクタ47Bとに伝わる振動とを一致させることができる。
【0089】
従って、本実施の形態によれば、第1の電気機器36に伝わる振動と第2の電気機器42に伝わる振動とが異なる場合でも、第2のケーブル47に設けたケーブル側コネクタ47A,47Bの接続端子に過大な外力が伝わるのを抑えることができる。この結果、ケーブル側コネクタ47Aと第2の機器側コネクタ41、およびケーブル側コネクタ47Bと第3の機器側コネクタ45の接続端子同士の接触面に生じる微摺動を抑制して、これに伴う腐食(フレッティングコロージョン)や接触不良や焼損等の不具合が発生するのを防止し、第1の電動機器36と第2の電動機器42との間を第2のケーブル47を用いて安定的に接続することができる。
【0090】
一方、本実施の形態によれば、第1のケーブル46に設けたケーブル側コネクタ46Aの接続端子に過大な外力が伝わるのを抑えることができるので、ケーブル側コネクタ46Aおよび第1の機器側コネクタ40を大型化する必要がない。また、第2のケーブル47に設けたケーブル側コネクタ47A,47Bの接続端子に過大な外力が伝わるのを抑えることができるので、ケーブル側コネクタ47A,47B、および第2,第3の機器側コネクタ41,45を大型化する必要がない。
【0091】
この結果、これらケーブル側コネクタ46A,47A,47B、第1,第2,第3の機器側コネクタ40,41,45の占有スペースを小さくすることができ、電動モータ34と第1の電動機器36との間、および第1の電動機器36と第2の電動機器42との間に第1,第2のケーブル46,47を配策するときの作業性を高めることができる。
【0092】
また、第1の電気機器36の箱体37に設けたコネクタ取付突起39の前面39Bを、箱体37の前面37Cよりも後面37D側に片寄せることにより、第1の機器側コネクタ40に接続される第1のケーブル46のケーブル側コネクタ46Aと、第2の機器側コネクタ41に接続される第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47Aとを、箱体37の上面37Aのうちコネクタ取付突起39の取付部位37A1を除いた残余の部位37A2内に納めることができる。一方、第2の電気機器42の箱体43に設けたコネクタ取付突起44の前面44Bを、箱体43の前面43Bよりも後面側に片寄せることにより、第3の機器側コネクタ45に接続される第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47Bを、箱体43の上面43Aのうちコネクタ取付突起44の取付部位43A1を除いた残余の部位43A2内に納めることができる。
【0093】
これにより、第1のケーブル46のケーブル側コネクタ46Aと第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47Aとが箱体37の上面37Aから外部に突出するのを抑えることができる。一方、第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47Bについても、該ケーブル側コネクタ47Bが箱体43の上面43Aから外部に突出するのを抑えることができる。この結果、各ケーブル側コネクタ46A,47A,47Bが、第1,第2の電気機器36,42の周囲に配置された機器類と干渉するのを確実に防止することができる。
【0094】
さらに、第1の電気機器36のコネクタ取付突起39を直方体の立体構造体として形成し、このコネクタ取付突起39の前面39Bに第1,第2の機器側コネクタ40,41を取付けることにより、第1の機器側コネクタ40に対して第1のケーブル46のケーブル側コネクタ46Aを水平方向から接続することができ、第2の機器側コネクタ41に対して第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47Aを水平方向から接続することができる。また、第2の電気機器42のコネクタ取付突起44を直方体の立体構造体として形成し、このコネクタ取付突起44の前面44Bに第3の機器側コネクタ45を取付けることにより、第3の機器側コネクタ45に対して第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47Bを水平方向から接続することができる。
【0095】
この結果、雨水や結露等による水分が第1,第2のケーブル46,47に付着したとしても、水分が温度変化に伴う内外の気圧差等により第1のケーブル46を伝ってケーブル側コネクタ46A内部に吸込まれてケーブル側コネクタ46Aと第1の機器側コネクタ40との接続部に侵入することを抑えることができる。また、水分が第2のケーブル47を伝ってケーブル側コネクタ47Aと第2の機器側コネクタ41との接続部、ケーブル側コネクタ47Bと第3の機器側コネクタ45との接続部に侵入するのを抑えることができる。
【0096】
さらに、第2の電気機器42を構成する箱体43にカバー53を取付けることにより、第3の機器側コネクタ45と、該第3の機器側コネクタ45に接続された第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47Bとをカバー53によって覆うことができる。この結果、熱交換器前室28Bを通じて熱交換器15に対する保守、点検作業を行うときに、第3の機器側コネクタ45や第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47Bを、作業者が不用意に踏付けてしまうのを阻止することができ、これらを保護することができる。
【0097】
なお、上述した実施の形態では、第2の電気機器42を構成する箱体43に、第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47Bと第3の機器側コネクタ45と覆うカバー53を設けた場合を例示している。
【0098】
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図9に示す第1の変形例のように、第1の電気機器36を構成する箱体37にカバー54を設け、このカバー54によって、第1のケーブル46のケーブル側コネクタ46A、第2のケーブル47のケーブル側コネクタ47A、第1,第2の機器側コネクタ40,41を覆う構成としてもよい。
【0099】
また、上述した実施の形態では、第1の電気機器36を構成する箱体37の上面37Aに、クランプ固定部として、六角ナットからなる取付座48,49を取付けた場合を例示している。
【0100】
しかし、本発明はこれに限らず、例えば図10に示す第2の変形例のように、クランプ固定部としてボルト孔(雌ねじ孔)55,56を穿設し、これら各ボルト孔55,56に螺合するボルトを用いてクランプ部材を固定する構成としてもよい。
【0101】
さらに、上述した実施の形態では、車体に搭載される電動装置として、ハイブリッド型の旋回装置31に用いられる電動モータ34を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば原動機としての電動式油圧ポンプ、またはハイブリッド型の原動機としてエンジン13と併用される油圧ポンプ用電動モータにも適用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
34 電動モータ(電動装置)
36 第1の電気機器
37,43 箱体
37A,39A,43A,44A 上面
37B 下面
37C,39B,43B,44B 前面
37D,39C,44C 後面
37E,39D,43C,44D 左側面
37F,39E 右側面
37A1,43A1 取付部位
37A2,43A2 残余の部位
38 防振マウント(防振部材)
39,44 コネクタ取付突起
40 第1の機器側コネクタ
41 第2の機器側コネクタ
42 第2の電気機器
45 第3の機器側コネクタ
46 第1のケーブル
46A,47A,47B ケーブル側コネクタ
47 第2のケーブル
48,49 取付座(クランプ固定部)
50 第1のクランプ部材
51 第2のクランプ部材
52 第3のクランプ部材
53,54 カバー
55,56 ボルト孔(クランプ固定部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な車体と、該車体に搭載された電動装置と、箱体内に該電動装置と接続される電気部品を収容し防振部材を用いて前記車体に支持された電気機器と、前記電動装置と前記電気機器との間を接続するケーブルとを備えてなる建設機械において、
前記電気機器の箱体には、その外面側に位置して当該箱体よりも小さな外形形状をもって突出するコネクタ取付突起を設け、
前記コネクタ取付突起には、前記ケーブルの電気機器側の端部に設けられたケーブル側コネクタが接続される機器側コネクタを設け、
前記電気機器の箱体外面には、前記コネクタ取付突起の近傍に位置して前記ケーブルの電気機器側の端部を固定するクランプ部材を設ける構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記電気機器の箱体は上面、下面および側面によって囲まれた立体構造体とし、
前記電気機器の箱体は、その下面を下にして前記車体上に設けられ、
前記コネクタ取付突起は前記箱体の少なくとも上面または側面に取付け、
前記ケーブルの前記ケーブル側コネクタの近傍部位は、前記コネクタ取付突起が設けられた前記箱体の上面または側面のうち前記コネクタ取付突起が取付けられた部位を除いた残余の部位に配置する構成とし、
前記クランプ部材は、前記コネクタ取付突起が設けられた前記箱体の上面または側面のうち前記残余の部位に取付ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記電気機器の箱体は上面、下面、前面、後面、左側面および右側面によって囲まれた立体構造体とし、
前記コネクタ取付突起は上面、前面、後面、左側面および右側面によって囲まれた立体構造体とし、
前記電気機器の箱体は、その下面を下にして前記車体上に設けられ、
前記コネクタ取付突起は、前記箱体の各面のうち下面を除くいずれかの面に設けられ、
前記コネクタ取付突起の各面のうち前記箱体における前記コネクタ取付突起の設置面と直交する面には前記機器側コネクタを設け、
前記コネクタ取付突起は、前記機器側コネクタが設けられる面の前側にスペースが形成されるように前記箱体の後面側に片寄せて配置し、
前記ケーブルの前記ケーブル側コネクタの近傍部位は、前記コネクタ取付突起の前記機器側コネクタが設けられる面の前方側に位置して前記箱体における前記コネクタ取付突起の設置面上に配置する構成とし、
前記クランプ部材は、前記箱体における前記コネクタ取付突起の設置面上であって前記コネクタ取付突起の前記機器側コネクタが設けられる面の前方側に取付ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項4】
前記箱体における前記コネクタ取付突起が設けられる面にはクランプ固定部を設け、前記クランプ部材は前記クランプ固定部に取付ける構成としてなる請求項2または3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記箱体には、前記コネクタ取付突起に設けられた前記機器側コネクタおよび当該機器側コネクタに接続された前記ケーブル側コネクタを覆うカバーを設ける構成としてなる請求項1,2,3または4に記載の建設機械。
【請求項6】
前記電気機器は、前記電動装置と第1のケーブルを用いて接続された第1の電気機器と、前記第1の電気機器と第2のケーブルを用いて接続された第2の電気機器とにより構成し、
前記第1の電気機器の箱体にはインバータ回路を収容し、前記第2の電気機器の箱体には電気エネルギを蓄えるキャパシタを収容する構成としてなる請求項1,2,3,4または5に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−241326(P2012−241326A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109423(P2011−109423)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】