説明

弁座リングリテーナを有する流量制御装置

装置の弁本体内に弁座リングを固定するためのリテーナを有する制御弁が開示される。該弁座リングは、該制御弁の該弁本体の流体流路のボアの中に配置され、該リテーナは、該弁本体の内面に付設されて該弁座リングを該ボア内に保持する。該リテーナは、該ボアの該内面に対して該弁座リングを保つように、該弁座リング上に締着されるボルトを受容するためにこれを貫通して螺刻された開口部、および/または該制御装置が閉じた位置にある場合、密閉を形成して漏出を防止するガスケットを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、流量制御装置に関し、より具体的には、このような流量制御装置の弁座と弁本体の内面との間に密閉を形成するように弁座リングを係合するための弁座リングリテーナに関する。
【背景技術】
【0002】
制御弁や調整器等の流量制御装置は、一般的に、管を通る流体の流動を制御するために使用される。制御弁等の典型的な流量制御装置は、入口と、出口と、入口と出口との間に延在する流体流路とを画定する弁本体とを含む。弁座リング内の弁座は、流体流路内にオリフィスおよび閉鎖面を画定するように、本体に連結され得る。弁体等の絞り要素は、弁座リングと相対的に移動可能で、オリフィスを通る流量を制御する。ある種の流量制御装置は、ケージ等、制御弁内の弁体の運動を誘導することができ、かつ入口と出口との間の流量を特徴付けることができる、内部構成部品を採用する。ケージは、概して、絞り要素を受容するような大きさである内部のボアを画定し、かつ、典型的に、流体流路が通過する少なくとも1つの通路を含む。絞り要素は、開いた位置と閉じた位置との間で移動可能で、ここで絞り要素は、弁座リングに相対して流量を調節または制御する。閉じた位置において、絞り要素は、典型的にはケージの遠位終端に位置する、弁座リング内の弁座に係合して、流体が弁を通って流動することを実質的に防止する。弁座、およびしたがって弁座リングは、絞り要素内に整合し、かつその同心で咬合して、流体の密閉または遮断を提供することが好ましいことが一般に理解される。
【0003】
従来の流量制御装置は、弁座リングを弁本体内に保持するため、および弁座リングを絞り要素に整合するための多様な方法を採用している。弁座リングを保持するためのこのような方法の1つは、弁座リングと弁本体との間に螺合を使用する。つまり、弁座リングの外面は、弁座リングが流体流路に沿って弁本体内の対応する螺刻された面に捻合され得るように、螺刻される場合がある。弁座リングと弁本体の内面との間の密閉を作るためには、組み立て中、弁座リングに相当量のトルクが印加されなければならない。必要なトルク量は、概して、ポートの直径(つまりオリフィスの直径)が大きくなるにつれて指数的に増加する。しかしながら、このような設計において弁座リングに印加される大きなトルクは、弁座リングの放射状の歪みにつながる可能性があり、これは弁本体と、弁座リングと、絞り要素との間の密閉を損なう場合があり、これにより弁の遮断能力を削減または劣化する。
【0004】
さらに、必要なトルクを捻合される弁座リングに印加し、条件を満たす密閉を提供することは困難であり得る。つまり、内部の流体流路と相対的な弁座リングの位置により、弁座リングへのアクセスが困難になる場合がある。加えて、典型的に、弁本体に捻合される弁座リングの組み立てには、特殊な道具が必要である。これらの困難性は、修理および/または交換のために捻合された弁座リングを取り外す場合にもあてはまる。弁座リングの修理および/または交換は、捻合される弁座リングと弁本体との間の比較的高い接触応力によりさらに複雑になる場合があり、弁座リングが設置された場合、弁本体での螺合を破損する場合がある。
【0005】
流量制御装置に従来の弁座リングを設置するための別の方法においては、弁座リングは弁本体に直接ボルトで固定されて、弁座リングを適所に固定し得る。つまり、弁座リングは、それを弁本体に固定するボルトを受容するように、弁座リングの外周周辺に貫通穴を設けて製造加工され得る。ボルトで固定される弁座リングは、典型的に、ボルトを受容するため、弁本体に複数のタッピングが必要である。弁座リングを付設しているボルトは張力状態にあるため、流量制御装置を製造加工するには、高強度の素材が必要である。一部の装置においては、高強度のボルト要件により、基準を満たす材料の選択は、米国インディアナ州ココモ市のSpecialty Metalsから販売されているニッケルベースの合金Inconel718等のより高価な材料に限定される。捻合される弁座リングと同様に、弁座リングを弁本体に保持するにはボルトに高トルクを印加することが必要で、弁本体内部の下方に存在するボルトに高トルクを印加することは困難な場合がある。また、ボルトに高トルクを印加することによって、弁座リングが歪む可能性を増加させる(つまり、弁座リングを実質的に非平面状および非軸上にする)場合があり、弁座リングと弁本体との間、または弁座リングと絞り要素との間の漏出を引き起こす場合がある。加えて、張力状態のボルトは、応力腐食割れの影響を受けやすい場合がある。
【0006】
他の実施例においては、弁座リングは弁本体の内壁に溶接され得る。溶接される弁座リングを有する制御弁は、製造加工および設置が高価である。多数の事例においては、弁座リングを機械加工する立て旋盤上で弁本体が転回されなければならないか、または弁本体を固定している間に弁座を機械加工する特殊な道具が必要である。いずれの製造方法も実施が高価で修理も非常に高価である。
【0007】
弁座リングを流量制御装置内に保持するための別の方法は、ケージまたは弁座リングリテーナ等のクランプ要素を提供して、弁座リングを適所に挟持することである。これらの従来のクランプ要素は、弁座リングをこのような様態で固定しない他の装置に比べて、相当の費用を流量制御装置に追加する可能性がある。さらに、弁座リング、クランプ要素および/または弁本体が様々な材料から製造加工される場合、弁本体とクランプ要素との間の熱膨張差は、流量制御装置の動作温度範囲を著しく制限する。加えて、弁本体の材料厚さの変化から生じる異なる温度領域は、さらに、温度膨張差を大きくする可能性がある。熱膨張差による漏出を防止する1つの典型的な解決策は、類似の熱膨張の係数を有する材料から弁本体、弁座リングおよびクランプ要素を製造加工することである。しかしながら、これは弁に相当なコストを追加することになり得る。
【0008】
さらに、挟持される弁座リングは、典型的に、弁座リングと弁本体との間にガスケットを必要としてその間の流体密閉を提供する。ガスケットの荷重力は、本体からボンネットへのボルト締めにより発生し、ボンネットからケージへ、ケージから弁座リングへと経由して伝達されて、ガスケットに荷重しなければならない。ガスケットで密閉を形成するために求められる必要な力は、本体からボンネットへのより大きいボルト、弁本体のウェブ内の追加の材料、および弁の入口および出口にさらに厚いフランジを必要とする可能性があり、これら全てが制御弁のコストを増加させる。
【0009】
大型の流量制御装置、例えば、直径が少なくとも6インチのポートサイズまたは弁座リングの断面積を有する制御弁においては、流量の容量を増加するために、ポートのサイズを最大限にすることが非常に重要である(つまり、弁の流動容量は、ポート面積の二乗に正比例する)ことが一般に理解される。所与の流量装置本体に対して増加された流動容積のためのより大型の弁座リングを適用するには、流量装置の開口部または頭部は、より大型の弁座を受容するように直径を大きくしなければならない場合があり、これによって、前述のボルト固定要件が増えることになる。
【0010】
ポートサイズを大きくする別の方法は、弁座リングの開口またはポートを最大限にすることに関する。ポート面積を最大にするには、弁座リングは、所与の弁のサイズに合わせて、弁座リングの外周周辺の材料を取り除いて、弁座リングが弁本体の頭部を通過できるようにする一方で、弁座リングの内側から材料を取り除いて、オリフィスの直径を大きくすることにより、「より薄く」作製され得る。弁座リングが薄くなるにつれて、弁座リングが上記の方法のいずれかを使用して弁本体に締着される場合、歪みに対する影響をより受けやすくなる場合がある。弁座リングの歪みは、流量制御装置の漏出の主要な原因であり、装置のトリム(例えば、高圧用とにおいて弁体または弁座の腐食を発生させる場合がある高速流)の破損につながる可能性がある。また、大型の弁座リングとそれぞれの/受容する本体との間に十分な密閉を作ることもより困難である。
【0011】
弁座リングを流量制御装置内に保持するための既存方法、ならびに装置の動作要件および範囲を考慮すると、可能性としてはコストを削減し、かつ特殊な道具または機械加工の工程の必要のない、流量制御装置がより容易に製造されることを可能にし、かつ必要な場合に弁座リングの修理や交換を容易にする、改善された弁座リング保持機構および方法の必要性が存在する。さらに、より大型の流量制御装置であっても、弁座リングの歪みおよびこれに伴う漏出問題を発生させることなく、弁座リングを装置の本体内に固定して保持する、改善された弁座リング保持機構の必要性が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】装置の本体内に弁座リングを固定する螺刻されたリテーナを有する流量制御装置の側面立面断面図である。
【0013】
【図2】図1の詳細部分の拡大断面図である。
【0014】
【図3A】リテーナを流量制御装置の弁本体に固定するための外向きに延在するタブを有する弁座リングリテーナの代替的な実施形態の上面図である。
【0015】
【図3B】弁座リングリテーナのタブを受容するように構成された流量制御装置の本体内に着座される図3Aの弁座リングリテーナの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明は本発明の多数の様々な実施形態の詳細な説明を示すものであるが、本発明の法的範囲は本特許の最後に示される請求項の語句により定義されることを理解されたい。詳細な説明は、あくまでも例としてのみ解釈されるものであって、あらゆる可能な実施形態を説明することは、不可能ではないにしろ実用的ではないため、本発明のあらゆる可能な実施形態は説明しない。現在の技術または本発明の特許出願日後に開発される技術のいずれを使用しても、多数の代替実施形態が実施され得るが、これらは依然として本発明を定義する請求項の範囲内である。例えば、本発明は、制御弁としての流量制御装置の状況において説明され得るが、当業者は、調整器等の弁座リングおよび絞り要素を使用する任意の流量制御装置であると理解する。
【0017】
また、ある用語が、「本明細書に使用される際、「__」という用語は本明細書において、…を意味すると定義される」という文または類似の文を使用して、本特許において明示的に定義されない限り、その用語の意味を、明示的または暗示的のいずれにおいても、その単純なまたは通常の意味を越えて限定する意図は存在しないものとし、また、当該用語は、(請求項の言葉を除いて)本特許の任意の項において記された任意の文に基づいた範囲において限定されると解釈されてはならないことを理解されたい。本特許の最後の請求項に記載された任意の用語が、本特許において単一の意味と一致した様態において参照される限り、それは、あくまでも読者を混乱させないように明確化を目的としてのみ行われたものであり、当該請求項の用語は、暗示ないしは別の方法によって、その単一の意味に限定されることを意図するものではない。最後に、請求項の要素がいずれの構造の詳細説明も伴わずに「手段」という用語および機能を列挙することにより定義されない限り、いずれの請求項の要素も35U.S.C.§112、第6段落の適用に基づいて解釈されることを意図しない。
【0018】
装置の弁本体内に弁座リングを固定するためのリテーナを有する流量制御装置が開示される。弁座リングは、流量制御装置の本体の流体流路のボア内に配置され、リテーナは、本体の内面に付設されてボア内に弁座リングを保持する。リテーナは、ボアの内面に対して弁座リングを保持するように弁座リングの上に締着されるボルトを受容するためにこれを貫通した螺刻された開口部、および/または制御装置が閉じた位置にある場合、密閉を形成して漏出を防止するガスケットを含む。リテーナを流量制御装置の弁本体内に接合するための連結機構の一実施形態においては、リテーナは、螺刻された外面を含み、弁本体のボアは、弁座リングが挿入された後、リテーナがボアに捻合されるように、対応する螺刻された内面を含む。連結機構の代替実施形態においては、リテーナと弁本体との間のバヨネット型接合は、リテーナの外向きに延在するタブおよび弁本体の内面の対応するL形状の陥凹部により提供される。タブは陥凹部に挿入され、リテーナは部分的に回転されるので、タブは陥凹部の突出部分により係合されて、リテーナを所定の位置に固定する。リテーナのこれらおよび他の実施形態は、以下で詳細が説明され、ならびに/または本開示に従う流量制御装置内で利用されるとして本発明者により検討される。
【0019】
図1および図2は、螺刻されたリテーナ14により適所に保たれる弁座リング12を備える制御弁10の形式における流量制御装置の第1の実施形態を示す。制御弁10は、入口20と、出口18と、入口20から出口18に延在する流体流路22とを画定する弁本体16を含む。弁座リング12は、弁本体16のボア24内に配置され、かつ流体流路22が通過するオリフィス26を画定する。弁座リング12は、ボア24内の肩部30上に載る底面を有する外向きに延在するフランジ28を含む。ガスケット32は、フランジ28と肩部30との間に配置され得、制御弁10が遮断または閉じた位置にある場合、弁座リング12の外部周辺の漏出を防止する密閉を形成する。代替として、フランジ28は、弁本体16との表面対表面の接触密閉を形成してもよい。
【0020】
ケージ34は、弁本体16に連結され、弁座リング12を係合する。ケージ34は、内部のボア36と、ケージ34を通って延在し、かつ流体流路22が通過する少なくとも1つの通路38とを画定する。図2に詳細が示されているように、絞り要素40は、ケージの内部のボア36に滑動可能に挿入するための大きさに決められた外面42を有する。ステム44は、絞り要素40に連結され、さらにアクチュエータ(図示せず)に連結される。アクチュエータは、軸46に沿ってステム44および付設された絞り要素40を往復運動させる。絞り要素40が閉じた位置にある場合、弁座リング12の接触面または弁座50を係合するように配向された弁座面48を有する絞り要素40が示されている。動作中、制御弁10が図1および図2に示された閉じた位置にある場合、絞り要素40の弁座面48は、弁座リング12の弁座50を密閉係合して、弁座リング12のオリフィス26、したがって、流体流路22を通る流体の流動を防止する。同時に、ガスケット32により形成される密閉は、流体が弁座リング12の外部周囲に流出し、出口18に向かって漏出することを防止する。制御弁10を開くことが所望される場合、アクチュエータは、ステム44および絞り要素40を上向きに移動させる。絞り要素40の外面42がケージ34の通路38を越えて移動すると、入口20からの流体は、通路38を通って、弁座リング12のオリフィス26を通って、および出口18を通って流動する。当業者は、制御弁10の流量容量は、絞り要素40の位置および流体が流動することができる通路38の数により規制されることを理解するであろう。
【0021】
上記のように、弁座リング12は、螺刻されたリテーナ14により弁本体16のボア24の適所に保たれる。螺刻されたリテーナ14は、円形で、弁座リング12の周囲に外側のフランジ28の上側に配置され、かつ弁本体16のボア24に受容されるように構成される。螺刻されたリテーナ14の上部の近傍に、外向きに延在する環状のフランジ60は、以下に詳細を説明するように、制御弁10の組み立て中に、螺刻されたリテーナ14のための掴持面を提供する。螺刻されたリテーナ14は、さらに、弁座リング12の外側フランジ28より上側の外径よりも大きい内径を有する内向きに延在する環状のリング62を含むので、螺刻されたリテーナ14は、図面のように弁座リング12の周囲に配置され得る。
【0022】
螺刻されたリテーナ14を弁本体16に固定するために、螺刻された内面64を含む弁本体16のボア24、および対応する螺刻された外面66を含む螺刻されたリテーナ14を備えた連結機構が提供される。螺刻された面64、66によって、螺刻されたリテーナ14は、弁本体16のボア24に捻合されることが可能で、螺刻された面64、66の間の係合により、軸46、ならびに絞り要素40およびステム44の移動と平行な方向の螺刻されたリテーナ14の移動を防止する。螺刻された面64,66は、螺刻されたリテーナ14がボア24に捻合され、弁座リング12の外側のフランジ28の上面が必ずしも螺刻されたリテーナ14の底面と係合していなくてもその中に保持されるように、構成される。
【0023】
環状のリング62は、弁座リング12を係合する係合機構の一部で、弁座リング12とボア24との間に密閉を形成して、弁座リング12を越えてオリフィス26の外側への流体の流動を防止する。弁座リング12に十分な力で下向きに荷重をかけて、ボア24の内面との密閉を形成するために、環状のリング62を貫通して放射状に離間した螺刻された複数の穴68が、弁座リング12の外側のフランジ28の上面と係合するように捻合して押し下げるボルト70を受容する。ボルト70は、締め付けられてガスケット32を圧縮するように荷重をかけ、弁座リング12とボア24の内面との間に流体が漏出することを防止する密閉を形成する。ボルト70の大きさ、ボルト70が製造加工される材料、ならびに穴68およびボルト70の数および場所は、弁座リング12が設置される特定の制御弁10の構成、および制御弁10が設置されるシステムの動作要件により決定付けられ得る。
【0024】
弁座リング12と螺刻されたリテーナ14の組み立ては、比較的簡単で、一般的に、特殊な道具または機械加工工程の使用を必要としない。ガスケット32および弁座リング12は、ガスケット32がボア24の肩部30上に載り、および弁座リング12の外側のフランジ28がガスケット32上に載る状態で、弁本体16のボア24に載設される。螺刻されたリテーナ14は、次に、リテーナ14の螺刻された外面66がボア24の螺刻された内面64と係合する状態で、弁本体16に挿入される。螺刻されたリテーナ14は、面64、66の間の摩擦がドライバー工具の使用を必要としない限り、手作業で設置され得る。どちらの場合も、螺刻されたリテーナ14を弁本体16に着座させるために必要なトルクは最小である。リテーナ14が適所に捻合されると、ボルト70の頭部の構成に応じて、スクリュードライバまたはアレンレンチ等の一般的な道具を使用して、ボルト70が弁座リング12の外側のフランジ28の上に締着される。
【0025】
図3Aおよび図3Bは、バヨネット型接合の形式における連結機構により、弁本体82のボアに固定され得る、代替の例示的な実施形態のリテーナ80を示す。リテーナ80は、上記の螺刻されたリテーナ14と同一の一般的な構成を有することができ、かつ弁座リング12の上部のフランジ28の上に締着されるボルト70を受容するためにこれを貫通した穴86を有する内向きに延在する環状のリング84を含むことができる。しかしながら、螺刻されたリテーナ14の環状のフランジ60および螺刻された外面66の代わりに、リテーナ80は、弁本体82のボアの近傍にある弁本体82の内面の対応するL形状の陥凹部90内に配置されて保持されるように構成される、放射状に離間した外向きに延在する複数のタブ88を有することができる。陥凹部90は、陥凹部90にタブ88を受容する開口部と、リテーナ80が部分的に回転された後、陥凹部90内にタブ88を固定する張り出したリップとを含む。
【0026】
リテーナ80を含む制御弁は、上記の制御弁10と類似の方式において組み立てられる。ガスケット32および弁座リング12は、ガスケット32がボア24の肩部30上に載り、かつ弁座リング12の外側のフランジ28がガスケット32上に載る状態で、弁本体82のボア24に載設される。リテーナ80は、次に、タブ88が弁本体82の対応するL形状の陥凹部90の開口に整合される状態で、弁本体82に挿入される。タブ88が陥凹部90の開口を通って配置されると、リテーナ80は、図3Bに示されるように右回り方向に回転されて、タブ88を陥凹部90のリップの下方に配置して、陥凹部90内にタブ88を保持し、軸46と平行方向におけるリテーナ80の実質的な運動を防止する。必要な場合は、制御弁の動作中、タブ80および/または陥凹部90は、陥凹部90内にタブ88を保持するように構成される戻り止めまたは他の係合機構(図示せず)をさらに含むことができる。螺刻されたリテーナ14を使用する場合と同様に、リテーナ80を弁本体82に着座させるために必要なトルクは最小である。リテーナ80が適所に回転されると、ボルト70は、ボルト70の頭部の構成に応じて、スクリュードライバまたはアレンレンチ等の一般的な道具を使用して、弁座リング12の外側のフランジ28の上に締着される。次に、制御弁のケージ34、絞り要素40およびボンネットが、弁本体82内/上に設置される。
【0027】
上記のような弁座リングの保持機構は、上記のようなこれまでに周知の機構に優る利点を提供する。捻合される弁座リングと比較すると、弁座リングと弁本体のボアとの間に密閉を形成するためにリテーナ14、80自体が締着されないため、リテーナ14、80および弁座リング12の設置および取り外し中、弁座リングリテーナ14、80に必要なトルク値は、捻合される弁座リングに必要なトルク値よりも低い。代わりに、弁座リングリテーナ14、80は、これらの適正な位置に回転される摩擦を越えるだけのトルクしか必要としない。弁座リング12上に締着されるボルト70にはこれより大きいトルクが働くが、ボルトを締着する場合、必要なトルクは、指定のトルクを加えるための標準の道具を使用して加えられ得る。ボルト70は、弁座リング12の外周周辺に力を一定に分散し、弁座リング12の放射状および/または平面状の歪みを最小にすることができるガスケット全体に直接荷重をかけることも可能である。
【0028】
捻合される弁座リングと比較すると、リテーナ14、80は、制御弁10の弁本体16を破損する危険性を軽減して、弁座リング12の取り外しおよび修理を容易にすることにもなる。リテーナ14、80は、弁本体16内で捻合される弁座と同一の程度まで締着されないため、リテーナ14、80と弁本体16との間の接触応力は、小さくなる。ボルト70が弁座リング12から緩められ、リテーナ14、80と弁本体16との間の対応する応力が軽減されると、リテーナ14、80は、要素の間の残りの摩擦に反して回転されて、弁本体16から取り外され得る。接触応力によってボルト70を緩めて外すことができない場合、リテーナ14、80の部分は、弁本体16を破損することなく切除され得、リテーナ14、80は弁本体16全体の修理を必要とすることなく交換され得る。
【0029】
弁のウェブに小さいねじ立てした穴を正確に機械加工することが必要な上記のボルトで固定される弁座リングとは対照的に、螺刻されたリテーナ14は、このような穴を機械加工する必要性を排除し、代わりに、弁本体16の著しく大きい直径のボア24に螺刻された内面64を機械加工する。直径が大きい螺刻は、大型の弁本体の内面に経済的に切削され得る。必要な場合、小径のボルト70を、環状のリング62、84の周辺に密な間隔で配置することができ、均一な弁座リングの荷重を提供し、これによって、ボルトを広い間隔で配置したことにより発生する場合がある、弁座リングの歪みおよび絞り要素と弁座リングとの間、および弁座リングとボアの内面との間の関連する漏出を最小限にする。環状リング62、84を貫通する追加の穴68、86を機械加工することは、弁本体16、82のウェブに同様の数および直径の穴を機械加工するよりもはるかに経済的に実施され得る。
【0030】
本明細書に開示された実施形態は、特定の流路を画定する具体的な入口および出口を有するように説明されるが、入口および出口は、本開示の範囲を逸脱することなく、逆にすることができることを理解されるであろう。本明細書に開示されたリテーナは、上昇流または下降流の構成を有する用途において、上記と同一の利点を提供するであろう。またさらに、本明細書に開示された弁座リングおよびリテーナは、いずれの種類の制御弁または他の制御弁にも適用され得る。リテーナおよびボルトは、上記のような大型のステム滑動弁、ボール弁およびバタフライ弁等、弁座リングの密閉および維持がこれまで障害であったような大型の制御弁で特に有用である。
【0031】
前述の説明は本発明の多数の様々な実施形態の詳細な説明を示すものであるが、本発明の法的範囲は本特許の最後に示される請求項の語句により定義されることを理解されたい。詳細な説明は、あくまでも例としてのみ解釈されるべきものであって、あらゆる可能な実施形態を説明することは、不可能ではないにしろ実用的ではないため、本発明のあらゆる可能な実施形態は説明するものではない。現在の技術または本発明の特許出願日後に開発される技術のいずれを使用しても、多数の代替実施形態が実施され得るが、これらは依然として本発明を定義する請求項の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御弁であって、
入口、出口、および前記入口から前記出口へと延在する流体流路を画定する本体と、
前記弁本体内に配置され、かつ前記流体流路がこれを通過するオリフィスを画定する弁座リングと、
前記弁座リングを係合して前記制御弁を通過する流量を制御するように構成される絞り要素と、
前記弁本体に連結され、かつ、前記弁座リングの表面と前記弁本体の対応する表面との間に密閉が形成されて、前記弁座リングを越えて前記弁座リングのオリフィスの外側への流動を防止するように、前記弁座リングを前記弁本体内の適所に保持するように前記弁座リングと係合するリテーナと、を備える、制御弁。
【請求項2】
前記リテーナは、前記弁座リングの周囲に配置されるように構成され、前記リテーナは、複数のこれを貫通した穴を有する内向きに延在するリングと、前記穴のうちの対応する1つを通って各々配置され、かつ前記弁座リングの表面を前記弁本体の前記対応する表面に押し付けて係合させて密閉を形成するように前記弁座リングを係合する複数のボルトとを備える、請求項1に記載の制御弁。
【請求項3】
前記弁本体は、螺刻された内面を備え、前記リテーナは、前記リテーナが前記弁本体に捻合されて前記弁座リングを前記弁本体内に保持するように、前記弁本体の前記螺刻された内面と噛合する螺刻された外面を備える、請求項1に記載の制御弁。
【請求項4】
前記弁座リングは、前記オリフィスを画定する内面を有する空洞状の円筒と、外向きに延在する環状のフランジとを備え、前記リテーナは、複数のこれを貫通する穴を有する内向きに延在する環状のリングを有する空洞状の円筒を備え、前記環状のリングは、前記弁座リングが前記弁本体内に配置され、かつ前記リテーナが前記弁本体により係合される場合、前記環状のフランジの近隣に配置され、前記制御弁は、前記穴のうちの対応する1つを通って各々配置され、かつ前記弁座リングの前記表面を前記弁本体の前記対応する表面に押し付けて係合させて前記密閉を形成するように前記環状のフランジの表面を係合する複数のボルトを備える、請求項1に記載の制御弁。
【請求項5】
前記弁本体の前記内面は、環状の肩部を画定し、前記環状のフランジは、前記弁本体の前記環状の肩部と前記リテーナの前記環状のリングとの間に配置される、請求項4に記載の制御弁。
【請求項6】
前記密閉を形成するように前記弁座リングの前記表面と前記弁本体の前記対応する表面との間に配置されるガスケットを備える、請求項1に記載の制御弁。
【請求項7】
前記リテーナは、複数の外向きに延在するタブを備え、前記弁本体は、前記リテーナの前記タブを受容し、かつ前記タブが配置される対応するL形状の陥凹部のリップの下に配置されるように前記リテーナが回転される場合、前記リテーナの軸方向の移動に対して前記リテーナを前記弁本体内に保持するように構成される複数の前記L形状の陥凹部を備える、請求項1に記載の制御弁。
【請求項8】
入口、出口、および前記入口から前記出口へ延在する流体流路を画定する本体と、前記弁本体内に配置され、かつ前記流体流路がこれを通過するオリフィスを画定する弁座リングと、絞り要素であって、前記絞り要素が閉じた位置に配置される場合、前記弁座リングと係合して前記オリフィスを通過する流体の流動を防止するように構成され、かつ開いた位置と前記閉じた位置との間で移動可能な、絞り要素とを有する制御弁のためのリテーナであって、
前記リテーナを前記制御弁の前記弁本体に接合する連結機構と、
前記弁座リングの表面と前記弁本体の対応する表面との間に密閉が形成されて前記弁座リングを越えて前記弁座リングのオリフィスの外側への流動を防止するように、前記弁座リングを前記弁本体内の適所に保持するように、前記弁座リングを係合する係合機構とを含む、リテーナ。
【請求項9】
前記弁本体は、螺刻された内面を備え、前記リテーナの前記連結機構は、前記リテーナが前記弁本体に捻合されて前記リテーナを前記弁本体に接合するように、前記弁本体の前記螺刻された内面と噛合する螺刻された外面を備える、請求項8に記載のリテーナ。
【請求項10】
前記リテーナは、前記弁座リングの周囲に配置されるように構成され、前記リテーナの前記係合機構は、複数のこれを貫通した穴を有する内向きに延在するリングと、前記穴の対応する1つを通って各々配置され、かつ前記弁座リングの前記表面を前記弁本体の前記対応する表面に押し付けて係合させて前記密閉を形成するように前記弁座リングを係合する複数のボルトと、を備える、請求項8に記載のリテーナ。
【請求項11】
前記弁座リングは、前記オリフィスを画定する内面を有する空洞状の円筒と、外向きに延在する環状のフランジとを備え、前記リテーナの前記係合機構は、複数のこれを貫通した穴を有する内向きに延在する環状のリングを有する空洞状の円筒であって、前記環状のリングは、前記弁座リングが前記弁本体内に配置され、かつ前記リテーナの前記連結機構が前記リテーナを前記弁本体に接合する場合、前記環状のフランジの近傍に配置される、空洞状の円筒と、前記穴のうちの対応する1つを通って各々配置され、弁座リングの前記表面を前記弁本体の前記対応する表面に押し付けて係合させて前記密閉を形成するように前記環状のフランジの表面を係合する複数のボルトとを備える、請求項8に記載の制御弁。
【請求項12】
前記弁本体は、複数のL形状の陥凹部を備え、前記リテーナの前記連結機構は、前記弁本体の対応するL形状の陥凹部に受容されるように構成される複数の外向きに延在するタブを備え、前記リテーナは、前記タブが配置される前記対応するL形状の陥凹部のリップの下に前記タブが配置されるように前記リテーナが回転される場合、軸方向の移動に対して前記弁本体内に保持される、請求項8に記載のリテーナ。
【請求項13】
制御弁であって、
入口、出口、および前記入口から前記出口へ延在する流体流路を画定する本体と、
前記弁本体内に配置され、かつ前記流体流路がこれを通過するオリフィスを画定する弁座リングと、
前記弁座リングを係合するように構成される絞り要素であって、前記絞り要素が閉じた位置に配置される場合前記オリフィスを通過する流体の流動を防止し、開いた位置と前記閉じた位置との間で移動可能な、絞り要素と、
リテーナとを備え、
前記リテーナは、
前記リテーナを前記弁本体に接合する連結機構と、
前記弁座リングの表面と前記弁本体の対応する表面との間に密閉が形成されて前記弁座リングを越えて前記弁座リングのオリフィスの外側への流体の流動を防止するように、前記弁座リングを前記弁本体内の適所に保持するための前記弁座リングを係合する係合機構とを備える、制御弁。
【請求項14】
前記弁本体は、螺刻された内面を備え、前記リテーナの前記連結機構は、前記リテーナが前記弁本体に捻合されて前記弁座リングを前記弁本体に保持するように、前記弁本体の前記螺刻された内面と噛合する螺刻された外面を備える、請求項13に記載の制御弁。
【請求項15】
前記リテーナは、前記弁座リングの周囲に配置されるように構成され、前記リテーナの前記係合機構は、複数のこれを貫通した穴を有する内向きに延在するリングと、前記穴のうちの対応する1つを通って各々配置され、かつ前記弁座リングの表面を前記弁本体の前記対応する表面に押し付けて係合させて前記密閉を形成するように前記弁座リングと係合する複数のボルトとを備える、請求項13に記載の制御弁。
【請求項16】
前記弁座リングは、前記オリフィスを画定する内面を有する空洞状の円筒と、外向きに延在する環状のフランジとを備え、前記リテーナの前記係合機構は、複数のこれを貫通した穴を有する内向きに延在する環状のリングを有する空洞状の円筒であって、前記環状のリングは、前記弁座リングが前記弁本体内に配置され、かつ前記リテーナが前記弁本体により係合される場合、前記環状のフランジの近位に配置される、空洞状の円筒と、前記穴のうちの対応する1つを通って各々配置され、かつ前記弁座リングの前記表面を前記弁本体の前記対応する表面に押し付けて係合させて前記密閉を形成するように前記環状のフランジの表面を係合する複数のボルトとを備える、請求項13に記載の制御弁。
【請求項17】
前記弁本体の前記内面は、環状の肩部を画定し、前記環状のフランジは、前記弁本体の前記環状の肩部と前記係合機構の前記環状のリングとの間に配置される、請求項16に記載の制御弁。
【請求項18】
前記密閉を形成するように前記弁座リングの前記表面と前記弁本体の前記対応する表面との間に配置されるガスケットを備える、請求項13に記載の制御弁。
【請求項19】
前記リテーナの前記連結機構は、複数の外向きに延在するタブを備え、前記弁本体は、前記リテーナの前記タブを受容するように、かつ前記タブが配置される前記対応するL形状の陥凹部のリップの下に前記タブが配置されるように前記リテーナが回転される場合、前記リテーナの軸方向の移動に対して前記リテーナを前記弁本体内に保持するように構成される複数のL形状の陥凹部を備える、請求項1に記載の制御弁。
【請求項20】
入口、出口、および前記入口から前記出口へ延在する流体流路を画定する本体と、オリフィスを画定する弁座リングと、前記弁座リングを係合して前記オリフィスを通過する流体の流動を防止するように構成される絞り要素と、弁座リングリテーナとを有する制御弁を組み立てるための方法であって、
前記弁座リングを前記流体流路に沿って前記弁本体のボアに挿入するステップと、
前記リテーナを前記弁本体に挿入し、前記弁座リングの近傍の前記リテーナの連結機構を用いて前記リテーナを前記弁本体に接合するステップと、
前記弁座リングを前記リテーナの係合機構に係合し、かつ前記弁座リングの表面と前記弁本体の対応する表面との間に密閉を形成して、弁座リングを越えて前記弁座リングのオリフィスの外側への流動を防止するステップと、を含む、方法。
【請求項21】
前記弁本体は、螺刻された内面を備え、前記リテーナの前記連結機構は、前記弁本体の前記螺刻された内面と噛合するように構成される螺刻された外面を備え、前記リテーナを前記弁本体に接合するステップは、前記螺刻された外面を前記螺刻された内面に噛合して、前記弁本体に前記リテーナを捻合するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記リテーナの前記係合機構は、複数のこれを貫通した穴を有する内向きに延在するリングと、前記穴のうちの対応する1つを通って各々配置される複数のボルトを備え、
前記リテーナを前記弁座リングの周囲に配置するステップと、
前記ボルトを前記弁座リングに捻合して係合し、前記弁座リングの前記表面を、前記弁本体の前記対応する面に押し付けて係合させて、前記密閉を形成するステップと、を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記弁座リングは、前記オリフィスを画定する内面を有する空洞状の円筒と、外向きに延在する環状のフランジとを備え、前記リテーナは、複数のこれを貫通する穴を有する内向きに延在する環状リングを有する空洞状の円筒と、前記穴のうちの対応する1つを通って各々配置される複数のボルトとを備え、前記弁座リングの前記環状のフランジに近隣に配置される前記リテーナの前記環状リングを備える前記弁座リングの周辺に前記リテーナを配置するステップと、前記ボルトを前記弁座リングの前記環状のフランジに捻合して係合し、前記弁座リングの前記環状のフランジの表面を前記弁本体の前記対応する表面に押し付けて係合させて、前記密閉を形成するステップと、を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記弁本体の前記内面は、環状の肩部を画定し、前記環状のフランジは、前記弁本体の前記環状の肩部と前記リテーナの前記環状のリングとの間に配置される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記リテーナの前記連結機構は、複数の外向きに延在するタブを備え、前記弁本体は、前記リテーナの前記タブを受容するように構成される複数のL形状の陥凹部を備え、前記リテーナを接合するステップは、
前記リテーナの前記タブを前記弁本体の前記対応するL形状の陥凹部に挿入するステップと、
前記タブが配置される前記対応するL形状の陥凹部のリップの下に前記タブが配置されるように前記リテーナを回転するステップと、を含む、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2011−503490(P2011−503490A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534139(P2010−534139)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/083214
【国際公開番号】WO2009/067366
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(591055436)フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー (183)
【Fターム(参考)】