説明

弁棒カバー

【課題】本発明は産業用バルブの突設し出没する弁棒を被覆保護するカバーであり、突設した形態のカバーの長さが伸縮自在になることで本質安全性、視認性、長期保全性が得られる多段伸縮形弁棒カバーを提供する。
【解決手段】産業用バルブの操作ハンドル102の中心部から出没する弁棒101を被覆保護する弁棒カバー1においてカバー本体部2が、互いに内外接し移動する複数個の筒体の部材3〜5からなる多段伸縮構造の弁棒カバーである。最先端カバー5の上端面に蓋体7あるいは弁棒の登頂部と突き当たり接対する部材がありこれにより弁棒が伸張する時にはカバーを徐々に押し出し伸張させて、弁棒101がハンドル操作で短縮される時にはカバー本体も短縮することで常時最短長さの弁棒カバーとなる。さらに弁棒101の先端登頂部と蓋体7を機械ねじ17、コネクター、あるいはマグネット等により連結することで、弁棒が伸縮時には自動に連動してカバー本体長さも伸縮する方式と構造からなる弁棒カバーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用バルブの操作ハンドル中心部より出没自在に突設された弁棒を被覆保護する弁棒カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に産業用のバルブは、操作ハンドルの回動によりバルブの開閉具合に応じて操作ハンドルの中心部に突設された形態の弁棒が出没する構造であることが知られている。しかしこの突設した弁棒は周辺設備の一構成部品として認識されやすく次第に突出物としての危険性の認識が低下して、人あるいは車輌等がこの突設された弁棒に接触したり衝突することがかなりの頻度で発生している。
これらによるバルブ弁棒を、衝突などの物理的障害や破損してしまうことから保護し、人身への安全面を確保する目的から、このバルブ弁棒全体を被覆保護する形態であり、出突する弁棒の最大伸張に合わせて長さが固定された単一の筒体からなる弁棒カバーを用いることが行われている。
【0003】
またこの弁棒カバーは、金属製の弁棒を経年変化による腐蝕発錆などから養生保護する目的でも用いられるが、このカバー自体が周辺環境の影響で腐蝕することを防止するために各種の樹脂製などからなる非金属製のカバーもある。たとえば塩ビ製・アクリル製・ポリカーボネート製などの筒体の材質からなるものが用いられる。カバー本体の筒体を樹脂製・非金属製のカバーとすることで製作が容易になり、またこれと接触する可能性のある人間にも被害が出にくいものとされている。さらに透明性のある樹脂製からなる弁棒カバーは、カバー内部のバルブの開閉状態に応じた位置にある弁棒を外側から直接に視認することができるために用いられる場合がある。
例えば、特許文献1、特許文献2にはスピンドルをカバーする大きさの透明の筒体からなるカバー本体を備え、操作ハンドルをバルブに固定しているスリーブナットにこのカバー本体の基端部に取り付けた接続部をねじ止めにより固定し、カバー本体の上部開口部には蓋を圧入嵌着した構成とされるスピンドルカバーが開示されている。
【0004】
金属製からなる従来カバーは、長さが一定に固定された単一の筒体のものからなるがこの場合には外側からバルブの開閉状態の視認性を確保するために、カバー側面に内部の弁棒の位置が外側より視認できるスリット状の覗き窓があるものまたスリット状の覗き窓にバルブ弁棒の開度インジケータを設けて弁棒位置を外側より確認できるものなどが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−243554号 公報
【特許文献2】特開2009−275890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の金属製あるいは樹脂製のカバーはいずれも、カバー全体の長さがバルブ弁棒の最大伸張に合わせた一定長さの単一筒体からなるものである。これよりバルブ操作を閉位置にした状態で、弁棒が最も短縮しているにも関わらず、常時カバー自体は最大長の長さに固定された突出した形態であるため、こうした弁棒カバーはバルブが設置されたスペースを恒久的に占有してしまい通行、作業等の支障になることが多い。さらにはカバーに接触衝突してしまうことでカバー自体も変形、破損、脱落したり邪魔になり勝手に取り外されるなどするために、この常時突出したカバー自体の形態、長さが作業環境を悪化させる大きな障害要因になっていた。
【0007】
さらに従来のカバーは設置された環境内では設備の一部と認識されて目立たないことも多く、このため危険性の認識が次第に低下することを補うために安全のトラテープ、塗装などで視認性を向上させる安全対策がよく行われている。しかしそれでもなお、前記のように常に長大なままの形態のカバーの先端部は人あるいは物が接触、衝突するため重大な事故の要因となり、危険箇所を取り除くという本質安全対策としては従来の形態の弁棒カバーには限界があった。
【0008】
また従来のカバーで金属製、あるいは不透明な樹脂製からなる長さが一定の単一筒体のものでは、内部のバルブ弁棒の位置が全く見えないため、外側からは弁棒位置によるバルブ開閉状態が確認できない使用上の不便さがあった。このために金属製あるいは不透明な樹脂製のカバーでは弁棒位置が確認できるスリット窓を設けて、弁棒位置の指示計が窓部より視認できるようにしたものもある。しかしこれらでも遠隔場所からは弁棒位置の指示計を視認することは困難であり、またこのスリット窓より雨水等の侵入により内部弁棒あるいはカバー自体が発錆腐蝕したり、ゴミ、異物が侵入してこれらが内部の弁棒グリースに溜まり、バルブ自体の操作、動きを阻害することもあり、固定された長さの形態のカバーでは弁棒を視認するためのこれらの方法は望ましくない面があった。
【0009】
このため内部弁棒の長さ位置を視認する目的で全体が透明な樹脂製からなるカバーもあるが、長年の使用の内に環境雰囲気、温湿度の変化、バルブ流体の高温熱伝導、直射日光による紫外線などの影響でカバー材質が変形、変質し不透明化、変色するなど経年劣化を起こしたり、内外面の汚れ・埃の付着などにより本来の材質の透過性が失われて、内部の弁棒を外側から視認することが著しくできなくなるなどの長さが固定された透明カバーで弁棒を長年視認するには限界があった。また劣化して部分破損したカバーの破断部が人身に危害を及ぼしたり、カバー本体が不意に脱落するなど長大な形態の樹脂製カバーは長期使用の耐久面で問題があり、またバルブ整備時に弁棒カバー単体を取り外し内部を点検する際にも、カバー自体が破損しやすく保管しづらいなど取扱い上の不具合があった。
【0010】
本発明は、これらの実情から、長期間に亘ってバルブ弁棒を被覆保護する弁棒カバーであって、突設する形態のカバー本体部を伸縮自在な構造とすることで設置場所の省スペース化、人、車輌の衝突の回避による本質安全性向上、カバー自体の破損防止、経年変化によるバルブ弁棒の被覆保護の改善などが可能になる多段伸縮型の弁棒カバーである。また狭小場所あるいは高所など極めて人が立ち入りが困難な場所に設置されたバルブにあっても、離れた場所から弁棒の突出長さに合った長さにできる伸縮弁棒カバーの全長を外観上で視認ができることによりバルブの開閉状態の判別が容易に行える弁棒カバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するための本発明の弁棒カバーは、バルブ操作ハンドルの中心部より出没自在に突出する弁棒を被覆保護するものであって、複数個の内外形寸法が異なる大きさの筒体を組み合わせ重ねて挿入されてなる多段伸縮形のカバー本体と、これら各筒体が内外接し伸縮移動する部分には摺動材、摺動機械部品、あるいは封密材等が組み込まれ、カバー先端面には弁棒が伸張時に弁棒登頂部との接対する部材(蓋体または先端周設材)から構成され、これら本体カバー部の最基端部には、本カバーを装着するバルブのハンドル中心部との接続部が設けてなるものである。
【0012】
多段伸縮形のカバー本体部を構成する複数個の各筒体の端部は、両端口面で内側あるいは外側へ抜け止めとなる係合部などを設けて、複数個挿入された異なる内外形寸法の筒体が最大長さに伸縮しても抜け落ちないように形成されてなるものである。
【0013】
また本カバーが被覆するバルブ弁棒の先端登頂部と多段伸縮する弁棒カバー本体の先端面の接対する部材(蓋体または先端周設材)とがねじ等で締結されることによりバルブ弁棒と弁棒カバー本体が連動伸縮するように形成されてなるものである。
【0014】
これら複数個からなる各筒体カバー本体と先端の接対部材およびバルブへの接続部はすべてが金属製あるいはこれらの一部またはすべてが樹脂製からなるもの、またはこれらのすべて、あるいは一部が耐蝕性金属製によって形成されるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の伸縮形弁棒カバーは、主に産業用として各分野で用いられるバルブの突出する弁棒部を長期間に亘って安全に被覆保護し、弁棒部の遠隔場所からの視認性を確実に行う用途として提供するものである。これら産業用の多種類のバルブの中でも、とりわけ仕切弁における著しく突出する特徴的な弁棒部の保護用カバーとして利用できる。特に、大きなストロークで出没する仕切弁の弁棒の先端長さと同じ長さに合わせて、本発明の複数個の内外形寸法の異なる筒体を組み合わせ挿入した多段式の伸縮自在構造のカバー本体が伸縮することで、仕切弁の弁棒部の大幅な視認性の向上と、多数台の仕切弁が配置された設置場所内での大幅な省スペース化による設備環境改善上の効果が期待できる。すなわちカバー全体の長さがバルブ弁棒のハンドル操作時に手動または連動で最小限の長さに伸縮調整できるため、通路作業スペースの確保、多数の弁棒カバー突出部前面の通路部などでは最大限の省スペース化、本質安全の確保が可能となるものである。
【0016】
また、従来の常時一定長さのカバーでなく、本発明の伸縮する構造では弁棒の長さに合わせて突出するカバーの長さを適宜必要最小限の長さとすることができるため、この長大ままのカバーの危険な要因を根本から取り除くことによって安全を確保する本質安全思想、本質安全設計に基づいた産業用バルブの本質安全カバーとすることができ、人、あるいは車輌との衝突の危険を最大限未然に抑止することが行える本質安全性能に優れた弁棒カバーが提供できる。これらによりバルブ弁棒とカバー本体の両方の長期的な保全性・安全性を改善することができ、さらには産業上の資源の保護、職場作業環境の本質安全面の向上に大いに貢献できるものである。
【0017】
また、バルブの全開操作で弁棒が最大の長さとなる時、カバー本体も最大限に伸張し、逆にバルブの全閉操作で弁棒が最短の長さの時、弁棒カバーを最短の長さに収縮することができる。つまり常時バルブの操作開度に応じた弁棒の突出長さに合った最小限の弁棒カバー長さに調整することができるため、バルブ開閉状態を外部からでも視認し判読できる多段伸縮形の弁棒カバーとなる。
【0018】
バルブの開閉に応じて突出する弁棒の長さに合わせて伸縮されるカバー本体の長さが外観上見やすく視認性に優れたカバーの形態を有するため、狭所、高所、暗部の設置場所で容易に人が立ち入れないような遠隔場所からでもバルブの開閉状態を容易に観察できる。
【0019】
また上記の複数個の各筒体の内外接する部分には摺動材、摺動機械部品を組み込むことによってカバー本体に剛性と永続的な摺動性能を持たせ筒体同士のスムーズな伸縮を行なうことができる耐久性を有するものである。そしてさらに内外接する部分に封密材による密封性を持たせた構造にすることで、外部の埃、粉塵の侵入が防止できる。これらより外部の環境、雰囲気から内部の弁棒を遮断保護し長期に亘りバルブ、カバー本体の劣化を防止して、弁棒保護カバーの機能を長期的に維持することができる。
【0020】
これらカバー全体または一部を、長期の使用による腐食発錆を起こさない耐蝕性金属とすることで、環境の影響によるカバーの劣化を防止することができ長期使用の場合の保全性の向上が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】多段伸縮形弁棒カバーの全体構成を示す透視斜視図・・・・・全長伸張時
【図2】同、カバーの最短短縮時の透視斜視図
【図3】多段伸縮形弁棒カバーの使用状態を示す透視斜視図・・・・・全長伸張時
【図4】同、カバーの最短短縮時の使用状態を示す透視斜視図
【図5】各筒体の両端部に湾曲縁部が周設された状態を示す斜視図
【図6】各筒体の両端部の縁部に突起部が周設された状態を示す斜視図
【図7】各筒体の両端部の縁部に外れ止め縁部が周設された状態を示す斜視図
【図8】各筒体内外接部に摺動材を組み込む斜視図
【図9】各筒体内外接部に摺動機械部品を組み込む斜視図
【図10】各筒体内外接部にC輪形部品を組み込む斜視図
【図11】カバー先端部に先端内縁部を設け通風開口した実施例を示す斜視図
【図12】カバー先端縁部に先端突起部を周設した通風開口の実施例を示す斜視図
【図13】カバー先端縁部に先端網面部を設け通風開口とした実施例を示す斜視図
【図14】カバー先端縁部に先端格子部を設け通風開口とした実施例を示す斜視図
【図15】カバー先端縁部に先端桟状部を設け通風開口とした実施例を示す斜視図
【図16】カバー先端部がバルブ弁棒頭頂部と機械的連結した状態の斜視図
【図17】逆多段伸縮形弁棒カバーの使用状態を示す透視斜視図・・・全長伸張時
【図18】逆多段伸縮形カバーに緩衝材を取付けた最長伸張時の透視斜視図
【図19】同、カバーに緩衝材を取付けた最短短縮時の透視斜視図
【図20】同、カバーに緩衝材を取付けた使用状態を示す透視斜視図・・・最長伸張時
【図21】同、カバーに緩衝材を取付けた使用状態を示す透視斜視図・・・最短短縮時
【図22】多段伸縮形カバーの異なる内外形寸法の筒体による組み合せを示す斜視図
【図23】多段伸縮形カバーの先端部にR状蓋体を組み付けた一例の斜視図
【図24】蛇腹式伸縮弁棒カバーの全体構成を示す透視斜視図・・・全長伸張時
【図25】同、伸縮弁棒カバーの全体構成を示す透視斜視図・・・最短短縮時
【図26】同、伸縮弁棒カバーの使用状態を示す透視斜視図・・・全長伸張時
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の産業用バルブ、とりわけ仕切弁における多段伸縮形の弁棒カバーについて図面を参照して説明する。
(図1)、(図2)は本発明の弁棒カバーの全体構成の概略を示し、カバーの伸縮状態の一実施例の具体的な形態を示す。(図3)、(図4)は同弁棒カバーの使用状態であり(図3)はカバー最大伸長状態、(図4)はカバー短縮状態の一実施例を示している。ただし、本発明の多段伸縮形弁棒カバーはこれらの実施例にのみ限定されるものではなく、たとえば本実施例は断面が円形の筒体のもので説明するが、四角形などその他多角形の断面からなる筒体のものでも形成することができるものである。
【0023】
本発明の(図1)、(図2)に示す弁棒カバー1は筒体3と、これに内接する外形寸法を有する筒体4が挿入され、先端部に筒体4に内接する外形寸法を有する筒体5が相互に挿入され形成されることで多段に構成されて自在に伸縮する複合形カバー本体部2と、この最先端筒体5の前面開口部に蓋体7あるいは接対部材(先端周設材、以下に説明)が設けられ、さらに筒体3の基端部にバルブハンドル部に装着するための接続部6を設けて構成されてなるものである。これらからなる使用状態の一実施例(図3)、(図4)に示す多段伸縮形弁棒カバー1は、バルブの操作ハンドル102の回動操作によって操作ハンドルの中央部から出没するように突設された弁棒101の伸縮長さに合わせて弁棒カバー1を手操作で伸縮して合わせることで弁棒カバー1が弁棒101を常時最小長さで被覆保護できるようにするものである。
ここでいう接対部材(あるいは先端周設材)とは、本体カバーの最先端部の開口面に設ける部材のことを指し、伸張する弁棒の登頂面とこれらが接対することにより多段伸縮形弁棒カバーが伸張するための力を伝える働きをする部材のことをいう。実施例として(図11)、(図12)、(図13)、(図14)(図15)に示すものである。しかしながら先端部のこれら接対部材の形態は本実施例だけに限定するものではない。
【0024】
さらにこの弁棒カバー1の各内外接する筒体3〜5には、最大伸張時にこれらの各筒体が両端部で係合して外れ落ちることがないように、各両端開口縁部に内側湾曲縁部(図5)8さらに外側湾曲縁部(図5)9のストッパーとなる部材が周設されるように各筒体部が形成されている。
あるいは各筒体3〜5には各々が係合するための内側突起部(図6)10、外側突起部(図6)11が周設されたり、または外れ止めの鍔(つば)状の内側縁部(図7)12、あるいは外側縁部(図7)13が周設されてもよい。使用する各筒体の外形寸法に応じてこれらの形状を選択することが望ましい。いずれもこれらの筒体カバーが最も伸張した端でも各筒体同士が確実に係合して脱落することがないようにするものである。
【0025】
筒体3に内接し挿入された筒体4が重なる部分および筒体4に内接し挿入された筒体5が重なり合う部分には、各筒体に内接して設けられた摺動材(図8)14、機械的摺動部品(図9)15、あるいは封密材が設けられても良く、これらにより内外接するカバー筒体同士のスムーズな伸縮動作が永続して行え、さらにこれらにより各筒体の重なり合う外周部の隙間を最小限にすることで、多段に構成されて自在に伸縮するカバー本体部2の剛性と封密効果も得ることができ有効である。またこれら摺動材または封密材がなくてもこれら複数個の重なり挿入される筒体同士の内外形寸法の隙間、はめ合い代を加工調整することで伸縮自在のカバーを構成しても良い。
またこれらの摺動材、封密材は完全な筒形だけでなく、一部に切り欠きがあるC輪形部品(図10)16、またはいくつかの弧状からなる形状のものでも形成でき、これにより摺動材の組付けが容易になったり、製作材料コストの低減なども可能にすることができ望ましい。また各部品のいずれかあるいは全部に万一の雨水等の浸入後の通風乾燥、あるいは内部の結露の発生を防止するための通気孔を設けるように形成されてなるものもあり長期の保全面から有効である。
【0026】
また弁棒カバーで最先端カバー部の前面を封密する形の板状の蓋体がなく、代わりに突出伸張する弁棒の登頂部がカバー最先端部に突き当たりこれを伸張連動するための接対部材(先端周設材)である先端内縁部(図11)18を設けることは換気性の改善で有効である。またはこれは周設された先端突起部(図12)19、先端網面部(図13)20、先端格子部(図14)21、あるいは先端桟状部(図15)22のこれら形状からなる最先端部材で構成されるカバー本体としてもよく、これらでカバー内に通気性をもたせ、結露などによる弁棒の発錆腐蝕を未然に防止することができ有効である。
またカバーの先端全体部あるいは外周縁部にR付けをして丸みのある形状としたり(図23)24、球面体などにすることも人等の接触時の安全性を向上する上で望ましいものである。またこれら接対部材(先端周設材)はバルブ弁棒の登頂部と連結する構造とすることもできるものである。
【0027】
(図16)はカバー本体2の最先端部の蓋体7が、これを装着するバルブ弁棒101の登頂部と機械ねじ17で連接されるものである。さらにはコネクター等の機械的連結部品、接合材、鎖、線材などで連結するように形成されたりまたはマグネットにより磁力的に連結を行う構造などで形成されてもよい。しかし本発明の連結の手段はこれらだけに限定されるものではない。これらよりバルブ開閉時のハンドルの回動操作に応じてバルブ弁棒101の出没する長さに合わせてカバー本体2が連動して伸縮自在することができる。これにより多段伸縮形の弁棒カバーを手動操作によらず自動的に可変伸縮することが行えるようになり、手動でカバー本体2を短縮する操作の繁雑さとこの操作を失念することを防止することができ、常時の省スペース化とバルブ開閉状態をカバーの長さで常時確実に視認して判別が容易に行える多段伸縮形カバーとすることができる。
【0028】
これら複数個の筒体からなるカバー本体と先端の接対部材(先端周設材)およびバルブへの接続部はこれらのすべてまたは一部が金属製、あるいはこれらのすべてまたは一部が樹脂製からなる弁棒カバーとすることができる。さらにはこれらのすべてあるいは一部が耐蝕性のある金属製によって作製することも可能であり、これらにより長期的な耐候性、耐久性が得られて、腐食がなく良好なカバーの表面性が維持できるため、永続的に本体カバー同士の伸縮動作がスムーズに行えるようになり望ましい。
【0029】
多段伸縮形のカバー本体は内外形寸法の異なる筒体が交互に内外接することにより幾段の組み合わせにでも形成されることが可能である。これによりいかなる弁棒の長さ、大きさも多段式筒体の段数形状を増減調整することで容易に作製できたり、これを組み替え対応することができるようになる。
これより、カバー本体の最基端部より外形寸法の大きな筒体から順に外形寸法の小さな筒体が先端方向に内外接して用いられるもの(図3)、逆に基端部より外形寸法の小さな筒体から順に外形寸法の大きな筒体が先端方向に向けて内外接して伸縮カバーを構成する逆多段伸縮形のもの(図17)、あるいは大、小の外形寸法の筒体がその内外接を自在に組み合わせたものなどで形成してなる伸縮可能なカバー本体なども構成できる(図22)。しかし本発明の多段伸縮カバーの構成はこれだけに限定されるものではない。さらには、この逆多段伸縮形からなるカバーには、最先端部のカバー外周面に各種の緩衝材(図18)23ないし(図21)23などの外装を設けたり、安全トラテープ、蛍光発色帯、指定安全色などの各種の表示、塗装、化粧処理などを施すことでも弁棒カバーの安全性、視認性をさらに向上することができ望ましいものである。
【0030】
本発明のこれらのすべてまたは一部が金属製、あるいはすべてまたは一部が不透明な樹脂製のものでは内部が外側から視認できないことから、内部の弁棒の状態を目視で点検するために、カバー各段の筒体の側面の合致する位置にスリット窓あるいは開孔部を設け形成されるものもある。このスリット窓には透明製カバーを設けることも防塵の上から好ましい。またいずれの本カバー外周面部も、狭所、暗部、高所などの設置場所での視認性を向上させる蛍光色、安全色、トラマークなど各種の塗装を施すことによりカバー突出部の位置をさらに容易に視認可能なユニバーサルな外観の安全カバーとすることもできる。
【0031】
カバー本体の基端部には、装着するバルブのハンドル中心部に取り付けて固定するための接続部があるが、これはねじ込み式のもの、接続部にマグネットを装填してハンドル部から着脱が可能なもの、ボルトナットで締結が可能なフランジ状接続部からなるもの、押えボルトで接続するものがあるが、これらについて本発明はその手段を限定するものではない。
【0032】
前記からなる弁棒カバーであって、伸縮自在するカバー本体部が単一または複数の蛇腹の構造(図24)(図25)からなり形成されるものもあり、突出する長さが伸縮自在なことを特徴とする弁棒カバーとすることができる。本方式による蛇腹式弁棒カバーの使用状態の全体概略図(図26)を示す。
【符号の説明】
【0033】
1.弁棒カバー
2.カバー本体
3.カバー基端部
4.カバー中段部
5.カバー先端部
6.カバー本体とバルブハンドルの接続部
7.蓋体 あるいは 接対部材(先端周設材)
8.内側湾曲部
9.外側湾曲部
10.内側突起部
11.外側突起部
12.内側縁部
13.外側縁部
14.摺動材
15.摺動機械部品
16.封密材
17.先端連結ねじ
18.先端内縁材
19.先端突起材
20.先端網面材
21.先端格子材
22.先端桟材
23.緩衝材
24.先端R状蓋部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用のバルブのハンドル中心部より出没自在に突設された弁棒を被覆保護するバルブ用弁棒カバーであって、複数個の内外形寸法の異なる筒体が挿入組み合わされ内外接することからなり幾段の組み合わせにでも形成が可能であり、これにより多段形に形成されてかつ自在に伸縮するカバー本体部と、この各カバー筒体には両端開口縁部のいずれかまたは両端に各カバー同士が容易に抜け落ちないための湾曲縁部が周接され、またカバー本体部先端開口面には弁棒登頂部と接対する蓋体が設けられ、カバー本体の基端部にはハンドル中心部との接続部材がある構造により形成されてカバー本体が多段伸縮形であることを特徴とする弁棒カバー。
【請求項2】
請求項1からなる多段伸縮形のカバー本体において、このカバー本体基端部より外径の小さな筒体から順に外径の大きな筒体が複数個、先端方向に向けて内外接して多段伸縮カバー本体部が形成されることを特徴とする弁棒カバー。
【請求項3】
請求項1または2からなる弁棒カバー本体の各筒体の両端開口縁部のいずれかまたは両方に、これらの各筒体が端部で係合するための内側突起部、外側突起部を周設して形成され、あるいは外れ止めの鍔(つば)状の内側縁部材、外側縁部材を周設して形成されることを特徴とする弁棒カバー。
【請求項4】
請求項1、2、または3からなる多段伸縮自在形の弁棒カバーで、そのカバー本体の各筒体が内外接して伸縮する内側部分に摺動材、機械摺動部品、あるいは封密部材が組み込まれて形成されることを特徴とする弁棒カバー。
【請求項5】
請求項1、2、3または4からなる多段伸縮自在形の弁棒カバーで、そのカバー本体の最先端筒体部の開口部を封密する形の蓋体部がなく代わりに、出没する弁棒の先端登頂部がカバー最先端部と接対してこれを伸張させるための接対部材(先端周設材)が、この最先端部カバーの開口部に取り付けられて形成されることを特徴とする弁棒カバー。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれからなる多段伸縮自在形の弁棒カバーで、そのカバー本体の最先端筒体部の蓋体部、あるいは弁棒と接対する接対部材(先端周設材)とこのバルブ弁棒の先端登頂部が、ねじ、機械的連結部品、接合材、またはマグネットで磁力的に連結をする構造で形成されることを特徴とする弁棒カバー。
【請求項7】
請求項1と6からなるバルブ弁棒の出没する長さに合わせて伸縮自在な形態の弁棒カバーであって、伸縮するカバー本体部が単一あるいは複数の蛇腹式の構造から形成されることを特徴とする弁棒カバー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2011−153703(P2011−153703A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31784(P2010−31784)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(598047971)株式会社 東洋バルブ製造所 (1)
【Fターム(参考)】