説明

弁装置用の流動調節素子

【課題】微細にしかも高度に適合した流体の流量を達成することを可能にする弁装置用の流動調節素子を提供すること。
【解決手段】本発明の流動調節素子は、弁装置の実質的に長い流体通路(開口部)102内に設けられ、前記通路102の断面積よりも小さな断面積を有する実質的に長尺な部材(移動部材)104と、前記通路102に対して前記流動調節素子の自動的な動きを許しながら前記通路内に前記流動調節素子を保持するための保持手段と、前記通路内で前記流動調節素子にその位置を変えることを可能にする、ばね120のようなバイアス手段とからなり、常時前記通路102を通る流体に適合した低い流量を可能にし、前記通路に対する前記流動調節素子の自動的な動きが汚物ないしは堆積物のような粒状物質から通路を清浄化ないしは取り除き、さもなければ前記通路ないしはその下流の流路を塞ぎかねない粒子の浸入を妨げるようになっていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は流体の流れを調節する弁装置用の流動調節素子に関する。特に、本発明は、微細にしかも高度に適合した流体の流量を達成することを極度に実行可能にする技術に関するものである。この技術の利用は、低廉な製造及び保守コスト、改良された操作特性及び操作のための非常に弱い力を有する流体弁を製造する道筋を開くであろう。即ち、他の製造業者が改良しようと試みている頑固な問題の解決は、この技術が提供するものの一部に過ぎない。
【背景技術】
【0002】
従来の弁は、弁座及び流体の流れを調節する弁座を圧迫する可動性の弁部材を有する。作動装置は弁部材に直接作動し、弁部材の移動を起こす。大きな弁においては、弁部材を動かすに要する力は大きく、手動による作動は困難であるかまたは不可能であり、この場合には機械的な作動装置が必要である。本発明は、上記の不利の幾らかを少なくとも改良しようとするものである。本質的には、弁部材の少なくとも一部分は室内で圧力に曝される。室内の圧力を変化することによって、弁部材に加えられる最終的な力の方向は変えられる。
【0003】
特に、この明細書は、出願人の以前のオーストラリア特許出願第24554/92号明細書に記載した弁を改良した弁構造を詳細に説明する。
【0004】
従来のパイロット操作弁は、直動弁を調節するために強い力を供給することが可能でないか大きな力を消費しない状況において、直動弁に代わるように先ず設けられている。しかしながら、通常のパイロット操作弁は、欠点と制限とを有しており、弁製造業者が絶えず改良するための実行可能な方法を探している。
【0005】
これらの制限は、これらのパイロット操作弁のバイパス通路を通る高い流量が著しく下げられない限りなくなることはないであろう。しかしながら、これらの流量は、重大な流量適合問題に直面してしまうので、相対的に高い制限より下には下げられず、それによって状況を改善することは不可能であろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、微細でしかも高度に適合した流量を提供することができ、且つまた流体の通路を通過する流体から下流の通路を塞ぐかも知れない粒子を濾過することができる、流体の通路を得ることを可能にすることを目的としている。この流体の通路は、第一に超高流体抵抗性、第二に自己洗浄性、第3に濾過性(濾過器)という性質を有している。
【0007】
この超高流体抵抗性は、同時に通路の断面積を減少し及び通路の流れパス長と独立にその内壁の表面積を増大することができることによって達成される。即ち、通路の断面は、1つの長い形または一連の長い形を効果的に有するであろう。
【0008】
自己洗浄性は、通路を形成している壁に互いに相対的な動きを許すことにより、または相対的に動かすことにより、及び、通路を流れる流体の高い速度によって達成される。固体粒子及び粘着物は、壁の動き及び流体の流れによって振り離されて通路から押し出されることができる。このプロセスは、通路の抵抗に及ぼす粘着物及び固体粒子の効果を減少させる。
【0009】
濾過性は、通路の断面の幅よりも大きい有効直径を有する固定粒子が、明らかに通路に入らず、それらが沈澱できるようにされるかあるいは通路の入口から洗い流せるようにすることにより達成される。
【0010】
1つの一般的な形態において、この発明は:
第一の流体ポート、
第二の流体ポート、
流体が前記第一の流体ポートから前記第二の流体ポートに流動する隙間を規定する弁座、
前記弁座に関して、根底の位置と持上げた位置との間に移動できる弁部材、
前記弁部材によって少なくとも部分的に形成される調節室、
前記調節室と第一の流体ポートとの間を連絡する第一の通路、
前記調節室と第二の流体ポートとの間を連絡する第二の通路、及び、
流体の流動を可能にする前記第一及び第二の通路の少なくとも1つと結合し、それによって前記弁部材を根底の位置または持上げた位置の何れかに強制する調節弁、及び、
前記第一及び第二の通路を通る流体の流れを制限するため、及び、前記第一及び第二の通路ないしその下流の流路を詰まらせかねない粒子の浸入を防止するため、前記第一及び第二の通路の少なくとも1つに設けられた流動調節素子を有する弁装置であって、
前記流動調節素子は、
前記第一及び第二の通路の断面積よりも小さな断面積を有する実質的に長尺な部材と、
前記第一及び第二の通路内に前記長尺な部材を動けるように保持するための保持手段と、
前記調節弁が作動されるか前記弁装置中の流体の動きの影響下にあるときは何時でも、前記第一及び第二の通路の少なくとも一方に設けられた前記流動調節素子が自動的に動けるようにするバイアス手段とを有し、
前記流動調節素子が動くと、前記第一及び第二の通路はごみないし他の沈澱物のような粒状物質が取り除かれるようになっていることを特徴とする弁装置を提供する。
【0011】
好適には、前記保持手段が前記流動調節素子の末端に拡大した末端を含んでいる。
【0012】
1つの好適な形では、前記弁装置はフロート弁または浸水弁であり、前記調節弁は、前記第二の通路を通って伸びている縦に作動する作動部材、前記第二の通路を通る流体の通過を選択的に妨げるのに適した密封手段を有する前記作動部材の第一の末端、及び移動したときに前記密封手段を密閉または開くのに適した前記作動部材の第二の末端を含む。
【0013】
好適には、前記作動部材の第二の末端は、前記作動部材を前記密封手段に対して軸を横切る方向に駆動させるのに適しており、それによって前記第二の通路を通る前記流体の通過を選択的に可能にしたり妨げるようにすることができる。
【0014】
同様に好適には、前記作動部材の前記第二の末端は、前記密封手段を軸を前記作動部材を前記密封手段に対して軸方向に駆動させるに適しており、それによって前記通路を通る前記流体の通過を選択的に可能にしたり妨げるようにすることができる。
【0015】
好適には、前記作動部材が前記流動調節素子と一体に形成されている。
【0016】
好適には、前記作動部材の前記第二の末端は、重いおもりまたは軽いおもりを備えたフロートを備え、それによって前記作動部材の前記第二の末端の周囲の流体のレベルに応答できるように適合されている。
【0017】
好適には、前記調節弁は、直接または間接に流体の流れを制御するのに適合した第一及び第二の位置の間を動くことができる作動部材を含み、前記作動部材は強磁性または磁性の素材より形成されており、また、
【0018】
前記弁装置は、磁性または強磁性の素材より形成された制御手段を備え、前記作動部材と前記制御手段が互いに近付く場合には相互作用して前記作動部材の動きを制御するようにする。
【0019】
好適には、前記作動部材はハウジング内に備えられ、前記ハウジングの上部には、使用されていない間は前記調節手段を貯蔵するために更に調節手段貯蔵箇所が設けられている。
【0020】
さらに広範な形態において、本発明は:
弁装置の実質的に長い流体通路内に設けられるのに適した流動調節素子であって、
前記流動調節素子は、
前記通路の断面積よりも小さな断面積を有する実質的に長い素子と、
前記通路に対して前記流動調節素子の自動的な動きを許しながら前記通路内に前記流動調節素子を保持するための保持手段と、
前記通路内で前記流動調節素子にその位置を変えることを可能にする、ばねのようなバイアス手段とからなり、
前記通路を通る流体に適合した低い流量を可能にし、前記通路に対する前記流動調節素子の自動的な動きが汚物ないしは堆積物のような粒状物質から通路を清浄化ないしは取り除き、さもなければ前記通路ないしはその下流の流路を塞ぎかねない粒子の浸入を妨げるようになっていることを特徴とする、
流動調節素子を提供する。
【0021】
好適には、前記保持手段は前記流動調節素子の末端に拡大した末端を含んでいる。
【0022】
この発明を、非限定の実施態様及び図面によって説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図面の全体にわたって、特に断らない限り、同じ数字は、同様な部品を示すのに使用される。この発明の主要な原則は、出願人の以前の弁装置が示されている図1で説明される。図1に示す弁装置は、出願人の以前のオーストラリア特許出願第 24554/92号明細書に記載され、その明細書は参照としてここに含まれるものと考慮されるべきである。
【0024】
注意すべき重要な特徴は、ピストン(15)の断面積(A)は弁座のそれよりも大きいことである。
【0025】
図1は小さな弁が閉じられている場合、室(17)の圧力は供給圧力に達し、その故に、ピストンにかかる下向きの力(F=APμ)は上向きの力(f=aPμ)よりも大きいので、ピストンは弁座(14)を押し下げ、弁を閉じる。
ところで、室(17)における圧力は小さな弁(19)を開き、そして閉じることによって変化するために、この装置を通過する主な流速は、圧力の変化に応じて異なる。
【0026】
さらに詳細は、以下の詳細な記述から明らかになる。弁(10)は、流体の入口(12)、流体の出口(13)及び弁座(14)を規定するハウジング(11)を有する。弁部材(15)は、弁座(14)に対して略縦に移動し得るようにハウジング(11)の中を滑るように組立てられる。弁部材(15)は、弁座(14)と共に作動し、流体の入口(12)と流体の出口(13)との間の流体の流動を調節する。
【0027】
ハウジング(11)及び弁部材(15)の上部表面(16)は、一緒に、室(17)を規定する。第一の通路(18)は、室(17)を流体の出口(13)に連絡している。室(17)と流体の出口(13)との間の連絡は、調節弁(19)によって調節される。第二の通路(20)は弁部材(15)を貫通して、流体の入口(12)を室(17)と連絡している。調節弁(19)が開かれる場合、入口(12)から室(17)を経由して出口(13)に向かって流動が起こる。室の圧力(P)は、入口圧力(P)及び出口圧力(P)の中間にある。この第二の通路(20)は、第一の通路(18)がなすよりも流体の流動に遥かに大きな制限を提供すると仮定すると、調節弁(19)が開かれる場合、室(17)における圧力(P)は、流体の出口(13)における圧力(P)に実質的に等しい。しかしながら、調節弁(19)が閉じられる場合、圧力(P)は流体の入口(12)における圧力(P)に等しい。
【0028】
弁部材(15)の運動の方向を決定するために、弁部材の上部表面(16)は室の圧力(P)に曝される面積(A)を有するが、下部表面(21)は流体の入口圧力(P)に曝される第一の面積(A)及び流体の出口(P)に曝される第二の面積(A)を有する。
弁部材に加えられる最終的な力(R):
R=P+P−P
但し、A+A=A
【0029】
調節弁(19)が閉じられる場合、
=P
従って、
R=P+P−P
R=P[A−A−A]+P
R=A[P−P
しかしながら、P>P、従ってRは負であり、弁部材は弁座に対して下向きに強制される。弁が部分的に開かれている場合でさえも、面積(A)に加わる圧力は、面積(A)に加わる圧力よりも大きいことが判る。従って、調節弁(19)の閉鎖は、弁座(14)に対して弁部材(15)を閉鎖することになる。
【0030】
調節弁が開かれる場合、
=P
従って、
R=P+P−P
=P+P−P−P
R=A[P−P
しかし、P>P、従ってRは正であり、弁部材は弁座から離れて上向きに強制される。これは理想的な場合であって、実際には、室内における圧力(P)は流体の入口圧力(P)と流体の出口圧力(P)の間にあることが判る。
【0031】
弁が部分的に開かれている場合でさえも、面積(A)に加えられる圧力(P)は、流動が起こるとすれば、面積(A)に加えられた圧力(P)よりも常に大きいことも理解される。かくして、基本的に同じ方程式の適用及び開放から閉鎖または逆への調節弁(19)の移動は、弁部材(15)の同様な運動を起こす。流体の出口(13)を閉鎖すると流動は起こらず、どのような要素でも、
=P=P
そして、最終的な圧力は弁部材(15)に作用しない。スプリングは、所望により、弁部材を開いた位置または閉じた位置に動かすために設けられる。
【0032】
調節弁(19)は、第二の通路(20)に配置されてもよいことが理解されるであろう。この配置で、調節弁(19)を閉じる場合、室の圧力(P)は流体の出口圧力(P)に等しく、弁部材(15)は上昇して弁(10)を開ける。逆に、調節弁(19)を開く場合、室(17)における圧力(P)は高くなり、好適にPに近くなり、弁(10)は閉まる。
【0033】
図2は図1の弁装置の変形物である。図2において、通路は別の位置に備えられ、むしろピストン(15)を経て、同じ機能を達成する。小さな弁の1つを適当に調整することにより、この装置を通過する主な流速は別の弁によって調節されるので、ポート(11または12)のどちらの圧力が高いかは重要でない。
【0034】
図3は、上記の原理が応用される実際の装置の断面図であり、浮遊または浸水したフロート弁、この場合には水平に浮遊または浸水したフロート弁を用いるように修正される。
このフロート弁は、入口(32)と出口(33)とを有する本体(31)、及び弁座(36)と室(37)を形成するピストン(34)とキャップ(35)からなる開口部、で構成する入口(32)は、開口部(38)によって室(37)に連絡している。アーム(39)及びO−リング(40)は、おもり(41)と一緒になって小さな流動調節弁(42)を形成する。流動調節弁(42)は、その安定な位置からアーム(39)を動かすことによって開かれる。おもり(41)の使用は、この移動を起こす1つの方法である。図3は、アーム(39)上のおもり(41)の影響なしに、流動調節弁(42)が閉じたままであり、従って、室(37)内の圧力は、入口(32)の圧力と同程度の高さであり、ピストン(34)を弁座(36)の方に動かして本流を閉ざす。ある程度、流動調節弁(42)を開くことによって、室(37)内の圧力は十分に低くなり、ピストン(34)を弁座(36)から遠ざけ、流体を入口(32)から出口(33)に流動させる。
【0035】
図4は、この発明による浸水またはフロート弁の別な構成を示し、ここでは縦形の弁として構成されている。この場合、フロート(217)は弁(207)の周りに設けられている。密封手段としてのO−リング(206)とともに安全弁(212')を形成する作動部材(212)の操作は、フロート(217)の内表面との接触によって達成される。図4はまた、この発明の別の態様に係る縦の流動調節要素(204)を設けていることを示し、以下図6を参照して、これをさらに詳細に説明する。操作においては、フロート(217)が上昇すると、フロート(217)に付着されることにより、または適当なバイアス手段によって、作動部材(212)も上昇し、作動部材(212)の周りのO−リング(206)が動いて通路を流れる流体の流れを可能にし、従って弁を操作する。この型の構成の装置は、消音装置として使用することも可能である。
【0036】
図4に示された本発明の形態は、フロート弁として用いられ、安全弁の開閉以外は、以下に記載する図7のそれと同じ方法で作動し、図7に用いた磁気作動はフロート(217)によって置き換えられている。弁はタンク内に縦方向に据え付けられるので、フロート(217)のおもり(218)は作動部材(212)を押し下げ、安全弁を開く。
【0037】
(水よりも相当に軽い)おもり(218)は、フロート(217)の高さに沿ってどこかに据え付けられる。タンク内の流体レベルが十分に高くなり、おもり(218)をフロート(217)に沿って作動部材(212)から離れて上方に押し上げる場合、安全弁は閉じた位置に逆戻りして弁を閉じる。
【0038】
図5は、磁力を弁の操作を調節するのに用いる本発明のもう1つの態様を示す。矢印(61)の方向に動き得るスチールまたは他の磁気的に引き付けられる素材から形成されたピストン(60)は、その末端近くに磁石(62)を設置することによって調節され、従ってピストン(60)を作動させて弁を開きまたは閉じることができる。磁石はピストン(60)の磁気引力/斥力が起こらないような位置に移動され、次に弁の閉鎖/開放が行なわれる。スチールリングまたは他の適切な保持手段(64)が、磁力を「貯蔵する」ために設けられている。磁石の移動は、直接または適切な作動手段により達成される。この実施態様の修正及び変更は、この技術に熟達した技術者には容易に明らかであろう。
【0039】
図6では、パイロット作動性弁に関連した、この発明のもう1つの態様が示されている。入口(81)は、開口部(82)を経てチャンバ(83)に連絡している。開口部(82)は、軸方向に移動できる移動部材(84)で部分的に充たされた比較的大きな穴(85)によって形成される。穴(85)及び移動部材(84)の断面の差が、開口部(82)の実際の断面である。そのため、常時この開口部(82)を通る流体に適合した低い流量を達成することが可能になる。
【0040】
この明細書では流量調節部材として説明されている軸方向に動くことのできる移動部材(84)は、図6Bにおいては両端部に大きくされている保持部材を備えている。この保持部材は流量調節部材ないし同軸的に動くことのできる移動部材(84)を流路又は穴(85)内に保持するようになっており、それによって軸方向に動くことのできる移動部材(84)を流路又は穴(85)内において相対的に動くことができるようになっている。
【0041】
穴(85)に関する移動部材(84)の何れの方向の移動も、開口部(82)に堆積した微粒子物質が清掃されることを確実にする。開口部(82)を形成するために、穴(85)と共に移動部材(84)を使用することはまた、チャンバ(83)に入る粒子の大きさが十分に小さくて、安全弁(図6には図示せず)を容易に通過できることを保証するためである。本発明のこの特徴(すなわち、開口部(82)を形成するのに用いた構成)は、パイロット開口部及び安全弁の下流の閉塞を回避し、及び、非常に縮小した断面のパイロット開口部を有し得るようにするために、全ての型のパイロット作動性弁に用いられることができる。
【0042】
パイロット開口部の断面で、このような縮小が達成されることは、入口(81)とチャンバ(83)の間の必要な圧力低下が、パイロット開口部(82)及び安全弁(図6には図示せず)を常時通る非常に低い流体の流動で得られることを意味している。従って、開口部及び安全弁に関連した断面は、この場合、縮小される。安全弁の寸法のこの縮小は、特定の圧力の下で安全弁を作動する(開くまたは閉じる)のに要する力も減少されることを意味する。これは明らかに、安全弁を作動するため各種の簡単な機械的及び/または非常に低い動力供給技術を用いる方法を開くであろう。
【0043】
図7は、パイロット開口部(102)を経て室(103)と連絡する入口(101)を有するパイロット作動性弁を示す。パイロット開口部(102)は、軸方向に移動できる移動部材(104)で部分的に充たされた比較的大きな穴(105)によって形成される。穴(105)及び移動部材(104)の断面の差は、パイロット開口部(102)の実際の断面である。そのため、常時この開口部(102)を通る流体に適合した低い流量を達成することが可能になる。
【0044】
穴(105)に対して移動部材(104)の軸方向の移動は、パイロット開口部(102)に堆積した微粒子物質の汚れが取り除かれることを意味している。穴(105)と移動部材(104)とを用いてパイロット開口部(102)を形成することは、室(103)に入る粒子の大きさが小さく、調節弁(106)を容易に通過するに十分であることを意味している。本発明のこの特別な特徴(すなわち、パイロット開口部(102)を形成するのに用いられた構成)は、全ての型のパイロット作動性弁に用いられ、以下のことを達成する。
【0045】
第一に、これはパイロット開口及び/または流れに沿った安全弁の閉塞を回避する。
第二に、これは大幅に縮小した断面のパイロット開口部を有することを可能にする。
パイロット開口部の断面で、このような縮小が達成されることは、入口(101)と室(103)との間の必要な圧力低下が、パイロット開口部(102)及び調節弁(106)を通る非常に低い流体の流動で得られることを意味している。従って、開口部及び安全弁に関連した断面は、この場合、縮小することができる。安全弁の面積のこの縮小は、特定の圧力下で安全弁を作動する(開くまたは閉じる)のに要する力も減少されることを意味する。これは、明らかに、安全弁を作動するための各種の簡単な機械的及び/または非常に低い動力供給技術を用いる方法を開くであろう。そして、パイロット開口部(102)を通る流動の減少は、弁部材(107)が開放及び閉鎖のために移動する速度もまた低下することを意味する。
【0046】
図7は一般的家庭のシャワーコックまたは水道栓の本体(108)を示す。次の部品、即ち、前述したパイロット開口部(102)を構成する弁部材(107)、及び弁部材(107)が内部で密閉状態で軸方向に動くことのできる部材(109)の組立体で改装されたスプリング(110)は、部材(109)と弁部材(107)との間の摩擦を克服するためのものである。軟質磁性体で作られる部材(112)及び開口部(111)は、調節弁(106)を形成する。スプリング(113)は、開口部(111)を密閉するように軟質磁性体部材(112)を押し動かすためのものである。部材(114)は、家庭の水道栓用軸を僅かに修正した様式である。この修正は、軟質磁性体部材(112)及びスプリング(113)を収容するためである。部材(115)は、キャップ(116)とハンド(118)との間にはめ込まれた軟質磁性体のループである。永久磁石(117)は、ループ部材(115)または部材(122)の何れかに吸着されることができる。ハンド(118)は、弁の開放にプリセットするための部材(114)の軸方向位置を調整するために回転することができる。
【0047】
常磁性体(真鍮またはプラスチックなど)から作られた以下の部材(118、116、122及び114)を使用するのが最善であることを注意すべきである。
【0048】
弁は、図7では閉じた位置で示されており、磁石(117)は、ループ(115)に付着され、且つ部材(112)から十分に離れていて、スプリング(113)及び部材(112)に調節弁(106)を閉じさせ、従って、室(103)の圧力を入口圧力(101)に等しくなることを可能にし、そして、弁部材(107)は弁座の断面が、室(103)の壁の一部である弁部材(107)の表面の断面よりも小さいので、弁座(119)の方に押しつけられる。この状態では、部材(104)に作用する正味の水圧はない。磁石(117)がループ(115)から離れて部材(112)の方に押し出され、それを開口部(111)から離れて移動させ(すなわち、調節弁(106)を開き)、室(103)における圧力を低下させ、そして弁部材(107)を弁座(119)から離して移動させる場合、部材(114)の軸方向に予め設定された位置によって決定される速度で弁を通って流体は流動する。この間、入口(101)と室(103)との間の圧力の差により、部材(104)は部材(107)に対して押し上げられ、開口部(102)の如何なる固体物質の形成をも取り除き、スプリング(120)の圧縮を起こす。
【0049】
磁石(117)が部材(112)から離れて動かされる場合、弁は閉じた状態に戻り、部材(104)もスプリング(120)が圧縮されない最初の位置に戻される。
【0050】
磁石なしに弁は開かない事は、小児にも理想的に安全である。
【0051】
明らかに、非常に低い力である機械的な機構または電磁気によって、調節弁(106)を開けるには多くの方法がある。
【0052】
従って、開閉装置の各種の構成は、上記の開閉操作を改良する手段である。
各種の変更及び修正が可能なことは、この技術分野における技術者には理解されるであろう。かかる全ての変更及び修正は、上記した及び以下に請求される発明の範囲内にあることが考慮されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】公知の弁装置の模式的な断面図;
【図2】他の公知の弁装置の実施態様の1つの模式的な断面図;
【図3】この発明による水平の浮遊または浸水した弁装置の第一の実施態様の部分断面図;
【図4】この発明による垂直の浮遊または浸水の弁装置の第二の実施態様の部分断面図;
【図5】この発明のもう1つの局面であり、磁気調節手段を有し、流体の流動を予め据え付けた状態を示す。水道栓には標準的なシャワーコックに新たに改善を施すことができる;
【図6】流動調節、抵抗装置/清浄器を組み入れた、この発明の別の局面;
【図7】この発明の各種の形態を組み入れた、この発明の各種のこの発明の好適な実施態様の模式的な断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁装置の実質的に長い流体通路内に設けられるのに適した流動調節素子であって、
前記流動調節素子は、
前記通路の断面積よりも小さな断面積を有する実質的に長尺な部材と、
前記通路に対して前記流動調節素子の自動的な動きを許しながら前記通路内に前記流動調節素子を保持するための保持手段と、
前記通路内で前記流動調節素子にその位置を変えることを可能にする、ばねのようなバイアス手段とからなり、
常時前記通路を通る流体に適合した低い流量を可能にし、前記通路に対する前記流動調節素子の自動的な動きが汚物ないしは堆積物のような粒状物質から通路を清浄化ないしは取り除き、さもなければ前記通路ないしはその下流の流路を塞ぎかねない粒子の浸入を妨げるようになっていることを特徴とする流動調節素子。
【請求項2】
前記保持手段は前記流動調節素子の末端に拡大した末端を有している、請求項1に記載の流動調節素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−255714(P2007−255714A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133911(P2007−133911)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【分割の表示】特願平8−532863の分割
【原出願日】平成8年5月3日(1996.5.3)
【出願人】(507165671)マイクロフロー インターナショナル ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】