説明

引戸の施工方法、及び引戸ユニット

【課題】床面近傍から天井面近傍までの高さを有する引戸のデザイン性を簡易な構成で高め得る引戸の施工方法、及び引戸ユニットを提供する。
【解決手段】引戸ユニット10は、天井面1aに固定具24で取付けられる取付用の横向片21に、係合片22を垂設して成る天井レール20と、前記天井レールの係合片が挿入されるスライドガイド用の凹溝12aを上端に形成するとともに、床レール30に走行自在に係合する戸車13を下端に設けた引戸11と、施工時に前記天井レールを前記引戸に仮保持させる仮保持手段12a,22とを備え、前記引戸は、前記凹溝に、前記天井レールが挿入されて、該天井レールを前記仮保持手段によって仮保持した状態で、前記戸車が前記床レールに係合されるとともに起立され、その状態で前記天井レールを前記天井面に固着させて、施工される構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸の施工方法、及び引戸ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の内壁に形成された開口を閉塞するための扉として、該内壁の開口側周端面に沿って設けられた枠部材にスライド自在に嵌め込まれた引戸が知られている。
このような引戸は、上枠となる鴨居及び下枠となる敷居にそれぞれ凹設された凹溝に、引戸の上下端部に突設された突条部を嵌め込んだものが汎用されている。
上記のような引戸では、凹溝や突条部の加工に手間が掛かるといった問題があり、そのような問題を解決するために、下記特許文献1では、木製引き戸の建付け構造が提案されている。
【0003】
この特許文献1に記載の木製引き戸の建付け構造は、木製鴨居と敷居と、両者の間に移動可能に建て付けられた木製引き戸とよりなり、上記木製鴨居には、上記木製引き戸の移動方向に沿って設けられたガイドレールを固定し、一方上記木製引き戸には上記木製鴨居と対面する上部に、上記ガイドレールを挿入する溝部を設けると共に該溝部の両端には上記ガイドレールを遊嵌する凹部を有する案内板を設けた構成とされている。
上記ガイドレールは、上片と垂下片とを有した断面逆L形状とされ、該上片が木製鴨居に固定され、該垂下片が上記木製引き戸の上部の溝部及び凹部に挿入される構成とされている。
また、木製引き戸を建て付ける際には、木製引き戸の溝部及び凹部を、木製鴨居のガイドレールに差し込み、木製引き戸の上部がガイドレールによって支承された状態とし、一方木製引き戸の下部は、敷居の溝に配置して、建て付ける構成とされている。
【特許文献1】特開平10−280783号公報(図4参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1に記載の木製引き戸の建付け構造では、木製鴨居に固定状態とされたガイドレールに対して、木製引き戸の溝部及び凹部を差し込んで建て付ける構成とされている。従って、木製引き戸を建て付ける際に、ガイドレールを木製引き戸の溝部及び凹部に、十分にのみ込ませるためののみ込み代(嵌め込み代)を大きく設ける必要があった。すなわち、垂下片を木製引き戸の溝部及び凹部にのみ込ませ、木製引き戸の下部の下戸車を、敷居の溝に係合させるための間隙(クリアランス)を、ガイドレールの垂下片の下端部と溝部及び凹部の底面部との間、及び、ガイドレールの上片及び木製鴨居の下面と木製引き戸の上端面との間に、大きく設ける必要があった。このように木製鴨居の下面と木製引き戸の上端面との間に、間隙を大きく設けた場合は、木製鴨居または木製鴨居が固設された内壁等と、木製引き戸との間の連続性が失われ、意匠性が阻害されることから更なる改善が望まれていた。
【0005】
ところで、引戸をスライド移動させて開放した際の開放空間を大きくとって、デザイン性を高めるために、その高さが床面近傍から天井面近傍までの高さとされた引戸がある。このような引戸は、部屋への入口扉として利用されるのみならず、部屋の間仕切りのためのスクリーンウォール(間仕切り開閉壁)や、収納空間を閉塞するための収納扉として利用されている。
このような、天井面近傍までの高さとされた引戸では、特に、前述したような木製引戸の建付けでは、天井面と、引戸との間に隙間が大きく形成されると、そのデザイン性が阻害されるという問題があった。
また、このような引戸は、天井面から下がった位置の内壁に開設された開口を閉塞する引戸よりも高さ方向が大きくなることから、引戸が不意に外れてしまった場合等に対する対策も望まれる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、床面近傍から天井面近傍までの高さを有する引戸のデザイン性を簡易な構成で高め得る引戸の施工方法、及び引戸ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る引戸の施工方法は、引戸の上端に形成したスライドガイド用の凹溝に、天井レールを挿入して仮保持させた状態で、前記引戸の下端に設けた戸車を床レールに走行自在に係合させて、該引戸を起立させ、その状態で前記天井レールを天井面に固着させて、前記引戸を施工することを特徴とする。
【0008】
本発明の前記引戸の施工方法においては、前記天井レールを前記天井面に固着させる際に、前記引戸を前記床レール及び前記天井レールに沿ってスライドさせることによって、前記天井レールの固着すべき箇所が前記引戸によって隠されないように固着すべき箇所を順次露出させ、その露出した固着すべき箇所を固定具によって前記天井面に順次固着させるようにしてもよい。
【0009】
また、前記目的を達成するために、本発明に係る引戸ユニットは、天井面に固定具で取付けられる取付用の横向片に、係合片を垂設して成る天井レールと、前記天井レールの係合片が挿入されるスライドガイド用の凹溝を上端に形成するとともに、床レールに走行自在に係合する戸車を下端に設けた引戸と、施工時に前記天井レールを前記引戸に仮保持させる仮保持手段とを備え、前記引戸は、前記凹溝に、前記天井レールが挿入されて、該天井レールを前記仮保持手段によって仮保持した状態で、前記戸車が前記床レールに係合されるとともに起立され、その状態で前記天井レールを前記天井面に固着させて、施工される構成とされていることを特徴とする。
【0010】
本発明の前記引戸ユニットにおいては、前記天井レールの横向片を、前記引戸が施工された状態で、側面視において、前記引戸から突出しない構成としてもよい。
また、本発明の前記引戸ユニットにおいては、前記天井レールの係合片の両外側面、或いは前記凹溝の両内側面のいずれか一方に、他方の両側面と摺接する突部を更に形成するようにしてもよい。
また、本発明の前記引戸ユニットにおいては、前記引戸の凹溝の内側面に、スライド方向に沿って係合凹溝を更に凹設し、前記天井レールの係合片に、前記係合凹溝内をスライド自在とされた係合突部を形成するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る前記引戸の施工方法によれば、スライドガイド用の前記凹溝に前記天井レールを挿入して仮保持させた状態で、前記引戸の下端に設けた戸車を床レールに走行自在に係合させて、該引戸を起立させ、その状態で該天井レールを天井面に固着させる構成としているので、天井あるいは内壁開口に、従来のような凹溝を形成した鴨居等を取付ける必要がなく、また、天井側に予め引戸をスライド支持するための加工等を施す必要がない。
また、天井側に加工等を予め施す必要がないことから、リフォームの際や間仕切りとして新たに引戸式のスクリーンウォール等を施工する際にも容易に施工できる。
【0012】
さらに、従来の引戸のように、天井あるいは鴨居に設けられた天井レール(ガイドレール)に対して、引戸を嵌め込む建付け構造では、天井面あるいは鴨居下面と引戸の上端面との間に、天井レールを引戸の凹溝内に、十分にのみ込ませるとともに、戸車を床レールに走行自在に係合させるための間隙を、比較的大きく設ける必要があるが、本発明ではそのような間隙を小さくできる。すなわち、本発明では、施工の際に、スライドガイド用の前記凹溝に前記天井レールを挿入して仮保持させた状態で、少なくとも引戸の下部の戸車を床レールに走行自在に係合させて起立させられる間隙を設ければよく、この起立状態で、天井レールを天井面に固着するようにしている。従って、前述したような特許文献1に記載の建付け構造と異なり、本発明では、前記天井レールを前記凹溝に、のみ込ませて嵌め込むために必要な遊び代が不要となる。これにより、従来のものと比べて天井面と引戸の上端面との間を近接させることができ、外観に優れたものとなる。また、天井面と引戸の上端面との間を近接させることができるので、施工する部屋空間の気密性を高めることができる。
【0013】
さらにまた、天井面と引戸の上端面との間を近接させることで、引戸が不意に外れるようなことも低減できる。すなわち、前述した従来の引戸では、引戸の上部及び下部を鴨居のガイドレール及び敷居の溝に嵌め込むために、天井レールの垂下片の下端部と溝部及び凹部の底面部との間、及び、天井あるいは鴨居と引戸上端との間に、間隙(遊び)を大きく設ける必要があり、開閉時等の際に不意に引戸が外れてしまう恐れがあるが、本発明によれば、前記したように天井面と引戸の上端面との間を近接させることができるので、そのような遊びを比較的小さく設定できる。従って、不意に引戸が外れるようなことを低減できる。
【0014】
本発明に係る前記引戸の施工方法において、前記天井レールを前記天井面に固着させる際に、前記引戸を前記床レール及び前記天井レールに沿ってスライドさせることによって、前記天井レールの固着すべき箇所が前記引戸によって隠されないように固着すべき箇所を順次露出させ、その露出した固着箇所を固定具によって前記天井面に順次固着させるようにすれば、デザイン性を阻害することなく施工性を高めることができる。
すなわち、従来のように天井レールを天井あるいは鴨居に先に固定する場合は、天井レールの固着は比較的容易ではあるが、上述のように、引戸の上端面と、天井面との間に間隙が比較的大きく形成されてしまう。一方、本発明によれば、そのような間隙を前記したように小さくできるとともに、引戸をスライドさせて固着すべき箇所を順次露出させて、順次固着するようにしているので、天井面への天井レールの固着すべき箇所が、側面視において引戸から突出していないような場合にも、ネジ、釘等の固定具によって、天井レールを天井面に容易に固着させることができる。また、このような方法によれば、天井レールの取付代が小さい場合にも容易に固定できる。よって、天井レールの取付代を小さくできるので、デザイン性を阻害することなく施工できる。
【0015】
本発明に係る前記引戸ユニットは、天井面に固定具で取付けられる取付用の横向片に、係合片を垂設して成る天井レールと、前記天井レールの係合片が挿入されるスライドガイド用の凹溝を上端に形成するとともに、床レールに走行自在に係合する戸車を下端に設けた引戸と、施工時に前記天井レールを前記引戸に仮保持させる仮保持手段とを備え、前記引戸は、前記凹溝に、前記天井レールが挿入されて、該天井レールを前記仮保持手段によって仮保持した状態で、前記戸車が前記床レールに係合されるとともに起立され、その状態で前記天井レールを前記天井面に固着させて、施工される構成とされている。従って、前記した本発明に係る引戸の施工方法と同様、天井面と引戸の上端面との間の間隙を比較的小さく設定でき、よって、デザイン性に優れた引戸ユニットとなる。
【0016】
また、本発明に係る前記引戸ユニットにおいて、前記天井レールの横向片を、前記引戸が施工された状態で、側面視において、前記引戸から突出しない構成とすれば、引戸が存在する箇所では、天井レールの横向片が引戸から手前側及び/又は背面側に向けて突出せず、よって、デザイン性に優れたものとなる。
尚、この場合は、引戸の存在しない箇所の天井レールの横向片を、例えば、ネジ、釘等の固定具で固着させ、引戸をスライドさせて、順次、横向片を天井面に対して固着するようにしてもよい。
【0017】
また、本発明の前記引戸ユニットにおいて、前記天井レールの係合片の両外側面、或いは前記凹溝の両内側面のいずれか一方に、他方の両側面と摺接する突部を更に形成するようにすれば、施工時に天井レールの係合片を凹溝に挿入して仮保持する際に、いずれかの両側面に設けられた前記突部の作用により、天井レールの係合片が凹溝内で略挟持状態となり、仮保持力が高まる。従って施工時に、天井レールが引戸の凹溝から不意に外れるようなことを低減できる。また、スライドさせる際に、その突部と他方の両側面とが擦り合う構成となるので、このような突部を設けないものと比べて接触抵抗が小さくなり、スムーズにスライドさせることができる。また、引戸をスライドさせる際のガタツキ防止にもなる。
【0018】
また、本発明の前記引戸ユニットにおいて、前記引戸の凹溝の内側面に、スライド方向に沿って係合凹溝を更に凹設し、前記天井レールの係合片に、前記係合凹溝内をスライド自在とされた係合突部を形成するようにすれば、施工時に天井レールの係合片を凹溝に挿入して仮保持する際に、凹溝に形成された係合凹溝に係合突部が係合して引っ掛かるので、施工時の仮保持力をさらに高めることができる。従って、施工時に天井レールが引戸の凹溝から不意に外れるようなことをより効果的に防止できる。また、施工後の使用時に、床レールから引戸の戸車が外れた場合にも係合凹溝と係合突部とが引っ掛かり、引戸が外れて倒れるようなことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の最良の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る引戸の施工方法を説明するための説明図であり、(a)は、引戸の凹溝に、天井レールを仮保持させた状態を示す概略部分縦断面図、(b)は、引戸の戸車を床レールに係合させ、引戸を起立させた状態を示す図3(a)におけるX−X線矢視概略縦断面図、図2は、同実施形態を説明するための図3(a)におけるX−X線矢視概略縦断面図、図3(a),(b)は、いずれも同実施形態を説明するための概略正面図である。
図4(a)は、本実施形態に係る引戸ユニットの引戸の納まり状態を説明するための概略背面図、(b)は、同実施形態に係る引戸ユニットの引戸の納まり状態を説明するための概略横断面図、(c)は、引戸の納まり状態の別例を説明するための概略横断面図である。
尚、以下の各実施形態の説明において示す手前側及び背面側は、内壁に対面する側を引戸の背面側、その逆側を引戸の手前側とし、引戸に対面する側を内壁の手前側、その逆側を内壁の背面側としている。
【0020】
本実施形態に係る引戸ユニット10は、引戸11と、天井1の天井面1aに取付けられる天井レール20と、床2の床面2aに取付けられる床レール30とを有している。
また、本実施形態では、図4(b)に示すように、内壁3に床面2aから天井面1aまで開設された開口oを閉塞する2枚の両引き(引き分け)の引戸11,11を例示しており、戸袋や袖壁等に両引戸を納めず、内壁3に沿って納められるいわゆるアウトセット型の引戸ユニット10を例示している。
このような引戸ユニット10としては、部屋への入口扉として利用されるのみならず、部屋の間仕切りのためのスクリーンウォール(間仕切り開閉壁)や、収納空間を閉塞するための収納扉として利用可能である。
【0021】
引戸11は、上端にスライド方向に沿って全体に亙って凹設され、上方に向けて開口した凹溝部材収容溝11cと、該凹溝部材収容溝11cに嵌め込まれた凹溝部材12と、下端の適所にスライド方向に沿って複数個(図例では2個)設けられた戸車13とを有した下荷重式の引戸である。引戸11としては、例えば、アルミ型材や木材等からなるフレーム内に、ガラスパネルや樹脂パネルを嵌め込んだ引戸や、木材あるいは金属材等の一枚板からなる引戸等としてもよい。
凹溝部材12は、樹脂材等からなり、スライド方向に沿って全体に亙って凹設され、上方に向けて開口したスライドガイド用の凹溝12aを有している。
【0022】
天井レール20は、断面視略L字状のアルミ型材を、上下反転させた形状とされ、天井面1aに取付けられる略水平とされた横向片21と、該横向片21から垂設された係合片22とを有している。尚、図では、天井レール20の厚みを比較的厚く図示しているが、実際には、1mm〜5mm程度である。
横向片21には、長手方向(引戸のスライド方向と同方向)に沿って、間隔を空けて適所に後記する固定ネジ24が挿通され、そのネジ頭部を係止保持する挿通孔21aが開設されている。また、横向片21は、引戸ユニット10が施工された状態では、側面視において、引戸11から突出しないよう、その幅が設定されている。すなわち、図2に示すように、側面視して、横向片21の手前側(紙面右方側)端面と、引戸11の手前側(紙面右方側)面11bとが略同平面域となるよう引戸11の厚みに合わせて、その幅を設定している。あるいは、横向片21の手前側端面が内方(係合片22の存在する方向)に向けて控えた位置となるよう、その幅を設定するようにしてもよい。このように天井レール20の横向片21を、引戸ユニット10が施工された状態で、側面視して、引戸11から突出しない構成としているので、引戸11が存在する箇所では、天井レール20の横向片21が引戸11から手前側及び/又は背面側に向けて突出せず、デザイン性に優れたものとなる。
【0023】
係合片22は、上記凹溝12aの深さ及び後記する隙間g1に合わせて、その長さが適宜設定されている。引戸ユニット10が後記するように施工された状態では、引戸11の凹溝12aが係合片22に沿ってガイドされて引戸11がスライドされる構成とされている。
また、この係合片22が、施工時に、引戸11の凹溝12aに挿入されて仮保持され、これら引戸11の凹溝12a及び天井レール20の係合片22が引戸11に天井レール20を仮保持させるための仮保持手段を構成する。従って、施工時に天井レール20が引戸11から不意に外れないよう、天井レール20の長さに合わせて、係合片22の長さ及び凹溝2aの深さや幅が適宜設定されている。
【0024】
床レール30は、その上端面30aに、スライド方向に沿って全体に亙って凹設され、引戸11の戸車13が走行自在に係合する戸車ガイド溝31を有している。この床レール30は、本実施形態では、アルミ型材等からなり、厚み(例えば、3mmから10mm程度)が比較的薄く、床面2aに直付けする直付けタイプの床レール30としている。
このような直付けタイプの床レール30を用いることにより、リフォームの際や間仕切りとして新たに引戸ユニットを施工する際にも床に加工等を施す必要がなく、容易に施工できる。
【0025】
次に、前記のように各部材が構成された引戸ユニット10の施工方法について図1乃至図3に基づいて説明する。
床2の床面2aに床レール30をネジ止め等によって固定し、図1(a)に示すように、引戸11の上端に設けられた凹溝部材12の凹溝12aに、天井レール20の係合片22を挿入し、天井レール20を引戸11に仮保持させる。
次いで、天井レール20を引戸11に仮保持させたまま、引戸11をやや手前側に向けて傾けた状態で、図1(b)に示すように、引戸11の下端に設けた戸車13を、床レール30の戸車ガイド溝31に係合させて、引戸11を起立させる。この状態で、図3(a)に示すように、引戸11が存在しない部位の天井レール20の横向片21を固定ネジ24によって、天井面1aに固着させる。
この際、図2に示すように、横向片21を固着する天井1の天井裏側には、桟木4が設けられている。
【0026】
上記のように引戸11が存在しない部位の天井レール20の横向片21を天井面1aに固着させた後、図3(b)に示すように、床レール30、及び、一部が固着されるとともに、一部が仮保持状態とされた天井レール20に沿って、引戸11をスライドさせ、横向片21の固着していない部位を露出させて、その露出した横向片21を固定ネジ24によって、天井面1aに固着させる。すなわち、引戸11を床レール30及び天井レール20に沿ってスライドさせることによって、天井レール20の横向片(固着すべき箇所)21が引戸11によって隠されないように横向片21を順次露出させて、その露出した横向片21を固定ネジ24によって天井面1aに順次固着させる構成としている。
このように施工された引戸11は、その下端が戸車13を係合させた戸車ガイド溝31によって規制されるとともに、その上端が凹溝12aに挿入された天井レール20の係合片22によって規制される。
尚、図3において、符合25及び32は、それぞれ天井レール20及び床レール30の両端部に固設され、引戸11の戸尻端面の上下端部が当接する引戸ストッパーである。
【0027】
前記のように施工された引戸ユニット10では、図2に示すように、天井レール20の横向片21の下面と、引戸11の上端面11aとの間の隙間g1が、引戸11を天井レール20及び床レール30から取外すための取外し代を形成しないよう小さく設定されている。
この取外し代は、前述したような従来の引戸において、引戸上端の溝部に鴨居のガイドレールの垂下片をのみ込ませて、引戸下端の戸車を敷居の溝から取外す際に必要な遊び代、すなわち、引き戸を取外す際に必要な遊び代を指し、本実施形態に係る引戸ユニット10においては、このような遊び代を設けない構成としている。
すなわち、本実施形態では、天井レール20の横向片21の下面と引戸11の上端面11aとの間、及び天井面1aと引戸11の上端面11aとの間には、前記したように施工する際に、天井レール20を引戸11の凹溝12aに挿入して仮保持させたまま、引戸11をやや手前側に向けて傾けた状態で、引戸11の下端の戸車13を床レール30の戸車ガイド溝31に係合させて、起立させる際に少なくとも必要な隙間g1及びg2を形成している。
これにより、引戸11の上端面11aと、天井面1aとの隙間g2を小さくでき、デザイン性に優れた引戸ユニット10となる。
【0028】
また、前記のように施工された引戸ユニット10は、図4(a)に示すように、背面側から見た際には、天井面1aと引戸11の上端面11aとの間に形成される隙間g2が小さいので、開口o(図4(b)参照)を閉塞している状態では、天井レール20が目立たず、すっきりとした外観となる。さらに、本実施形態のように、アウトセット納めとすることによって、内壁3の開口oを形成する開口部両側面3a,3aには、枠部材等を設ける必要がなく、すっきりとした外観となる。
【0029】
以上のように本実施形態に係る引戸の施工方法によれば、スライドガイド用の凹溝12aに天井レール20の係合片22を挿入して仮保持させた状態で、引戸11の下端に設けた戸車13を床レール30の戸車ガイド溝31に走行自在に係合させて、引戸11を起立させ、その状態で天井レール20の横向片21を天井面1aに固着させる構成としているので、天井あるいは内壁開口に、従来のような凹溝を形成した鴨居等を取付ける必要がなく、また、天井側に予め引戸をスライド支持するための加工等を施す必要がない。
また、天井側に加工等を予め施す必要がないことから、リフォームの際や間仕切りとして新たに引戸式のスクリーンウォール等を施工する際にも容易に施工できる。
【0030】
さらに、従来の引戸のように、天井あるいは鴨居に設けられた天井レール(ガイドレール)に対して、引戸を嵌め込む建付け構造では、天井面あるいは鴨居下面と引戸の上端面との間に、天井レールを引戸の凹溝内に、十分にのみ込ませるとともに、戸車を床レールに走行自在に係合させるための間隙を、比較的大きく設ける必要があるが、本実施形態に係る引戸の施工方法ではそのような間隙を小さくできる。すなわち、本実施形態では、施工の際に、引戸11のスライドガイド用の凹溝12aに、天井レール20の係合片22を挿入して仮保持させた状態で、少なくとも引戸11の下部の戸車13を床レール30の戸車ガイド溝31に走行自在に係合させて起立させられる隙間g1及びg2を設ければよく、この起立状態で、天井レール20の横向片21を天井面1aに固着するようにしている。従って、前述したような特許文献1に記載の建付け構造と異なり、本実施形態では、天井レール20の係合片22を引戸11の凹溝12aに、のみ込ませて嵌め込むために必要な遊び代が不要となる。これにより、従来のものと比べて天井面1aと引戸11の上端面11aとの間を近接させることができ、外観に優れたものとなる。また、天井面1aと引戸11の上端面11aとの間を近接させることができるので、施工する部屋空間の気密性を高めることができる。
【0031】
さらにまた、天井面1aと引戸11の上端面11aとの間を近接させることで、引戸11が不意に外れるようなことも低減できる。すなわち、前述した従来の引戸では、引戸の上部及び下部を鴨居のガイドレール及び敷居の溝に嵌め込むために、天井レールの垂下片の下端部と溝部及び凹部の底面部との間、及び、天井あるいは鴨居と引戸上端との間に、間隙(遊び)を大きく設ける必要があり、開閉時等の際に不意に引戸が外れてしまう恐れがあるが、本実施形態によれば、前記したように天井面1aと引戸11の上端面11aとの間を近接させることができるので、そのような遊びを比較的小さく設定できる。従って、不意に引戸が外れるようなことを低減できる。
【0032】
また、本実施形態に係る引戸の施工方法によれば、天井レール20を天井面1aに固着させる際に、引戸11を床レール30及び天井レール20に沿ってスライドさせることによって、天井レール20の横向片21を順次露出させ、その露出した横向片21を固定ネジ24によって天井面1aに順次固着させるようにしているので、デザイン性を阻害することなく施工性を高めることができる。
すなわち、従来のように天井レールを天井あるいは鴨居に先に固定する場合は、天井レールの固着は比較的容易ではあるが、上述のように、引戸の上端面と、天井面との間に間隙が比較的大きく形成されてしまう。一方、本実施形態に係る引戸の施工方法によれば、そのような間隙を前記したように小さくできるとともに、引戸11をスライドさせて天井レール20の横向片21を順次露出させて、順次固着するようにしているので、天井レール20の横向片21が、側面視して引戸11から突出していないような場合にも、固定ネジ24によって、天井レール20を天井面1aに容易に固着させることができる。また、このような方法によれば、天井レール20の横向片(取付代)21が小さい場合にも固定できる。よって、天井レール20の取付代を小さくできるので、デザイン性を阻害することなく施工できる。
【0033】
尚、本実施形態では、天井レール20を断面視略L字状を上下反転させた形状としているが、これに限られず、断面視略T字状の天井レールとしてもよい。また、本実施形態では、天井レール20の横向片21及び係合片22は、スライド方向に沿って長尺とされたものを例示しているが、これに限られず、スライド方向に沿って長尺とされた係合片22に対して、短尺の横向片21を、スライド方向に沿って間隔を空けて複数箇所に設けるような構成としてもよい。あるいは、横向片21及び係合片22をいずれも短尺のものとし、天井レールをL字型金具で構成して、スライド方向に沿って間隔を空けて複数箇所に設けるような構成としてもよい。また、天井レール20は、アルミ型材からなるものに限られず、他の金属材、樹脂材等で構成してもよい。
【0034】
また、本実施形態では、内壁3に床面2aから天井面1aまで開設された開口oを閉塞する2枚の両引きの引戸11,11を例示しているが、これに限られず、図4(c)に示すように、内壁3に開設された開口oAを閉塞する1枚の引戸11からなる片引きの引戸ユニット10Aとしてもよい。この場合は、床レール30Aの長さ及び図示していない天井レールの長さを適宜、設定すればよい。あるいは、それぞれ2本の床レール及び天井レールを並設して、引き違いの引戸ユニットとしてもよい。
さらに、それぞれ2本の床レール及び天井レールを並設して、間仕切りとして4枚立の引き違いの引戸ユニットとしてもよく、あるいは、より多くの床レール及び天井レール、引戸からなる引戸ユニットとしてもよい。
【0035】
さらにまた、本実施形態では、天井レール20の横向片21を天井面1aに固着させるための固定具として、固定ネジ24を例示しているが、これに限られず、釘等の固定止具でもよく、あるいは、接着剤等で固着するようにしてもよい。
また、本実施形態では、引戸11の戸車13が、引戸11の下端面から突出した状態のままで、床レール30の戸車ガイド溝31に、戸車13を係合させる構成としているが、引戸11に対して出没自在とされた戸車で構成し、施工時には、戸車を没入させた状態で、施工するようにしてもよい。これによれば、戸車13を床レール30の戸車ガイド溝31に係合させる際に、引戸11を起立させた状態のままで行えるので、横向片21の下面と引戸11の上端面11aとの間、及び天井面1aと引戸11の上端面11aとの間の隙間g1及びg2を、より一層、小さくできる。
さらに、本実施形態では、床2に対して直付けする直付けタイプの床レール30を例示しているが、引戸11の戸車13が走行自在に係合するものであれば、どのような床レールとしてもよい。
さらにまた、本実施形態では、施工時に、引戸11に天井レール20を仮保持させるための仮保持手段として、引戸11の凹溝12a及び天井レール20の係合片22を例示しているが、その仮保持力を高めるために、引戸11の上端部と天井レール20の横向片21とが磁力によって吸着するように、引戸11の上端面11a及び/又は天井レール20の横向片21に、永久磁石や磁性体等を埋設するようにしてもよい。
【0036】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図5(a)、(b)に基づいて説明する。
図5(a)は、第2実施形態に係る引戸ユニットを示し、図1(a)に対応させた図である。
尚、第1実施形態との相違点は、主に引戸の凹溝の構成であり、同様の構成については、同一符合を付し、説明を省略する。
【0037】
本実施形態に係る引戸ユニット10Bの引戸11Aでは、図5(a)に示すように、引戸11Aの上端に形成された凹溝部材収容溝11cに嵌め込まれた凹溝部材12Aの構成が前記第1実施形態の凹溝部材12と異なる。
この凹溝部材12Aは、凹溝12Aaの両内側面12Abに、スライド方向に沿って全体に亙って突設されたガイドリブ12Acを有している。このガイドリブ12Acは、本実施形態では、両内側面12Abのそれぞれに、上下の離間した位置に2本設けられており、凹溝12Aa内に挿入された天井レール20の係合片22と摺接する構成とされている。このようなガイドリブ12Acによって、凹溝12Aa内に挿入された天井レール20の係合片22は、施工時に仮止め状態となり、このガイドリブ12Acも係合片22及び凹溝12Aaとともに仮保持手段として機能する。
【0038】
前記のように、凹溝部材12Aの凹溝12Aaに、ガイドリブ12Acを設けることで、前記第1実施形態で説明したように引戸ユニット10Bを施工する際、天井レール20の係合片22を凹溝12Aaに挿入して仮保持する際に、そのガイドリブ12Acの作用により、天井レール20の係合片22が凹溝12Aa内で略挟持状態となり、仮保持力が高まる。従って施工時に、天井レール20が引戸11Aの凹溝12Aaから不意に外れるようなことを低減できる。また、スライドさせる際に、そのガイドリブ12Acと係合片22の両外側面とが擦り合う構成となるので、このようなガイドリブ12Acを設けないものと比べて接触抵抗が小さくなり、スムーズに引戸11Aをスライドさせることができる。また、引戸11Aをスライドさせる際のガタツキ防止にもなる。
【0039】
尚、本実施形態では、凹溝12Aaの両内側面12Abに、ガイドリブ12Acを設けた態様を例示しているが、それに代えて、天井レール20の係合片22の両外側面に、ガイドリブを設けるようにしてもよい。
また、上記ガイドリブに代えて、天井レール20の係合片22の両外側面、或いは凹溝12Aaの両内側面12Abのいずれか一方に、他方の両側面と摺接する複数個のガイド突起をスライド方向に沿って設けるようにしてもよい。
あるいは、水平面域で回転自在とされたローラを凹溝12Aaの両内側面12Abから僅かに突出するように、スライド方向に沿って複数個埋設するような構成としてもよい。この場合にも天井レール20の係合片22に各ローラを当接させることで、施工時には、係合片22を挟持でき、また、使用時には、ローラの回転によって、よりスムーズに引戸11Aをスライドさせることができる。
【0040】
図5(b)は、第3実施形態に係る引戸ユニットを示し、図1(a)に対応させた図である。
尚、第1実施形態との相違点は、主に引戸の凹溝の構成、及び天井レールの構成であり、同様の構成については、同一符合を付し、説明を省略する。
【0041】
本実施形態に係る引戸ユニット10Cでは、図5(b)に示すように、引戸11Bの上端に形成された凹溝部材収容溝11cに嵌め込まれた凹溝部材12Bの構成及び天井レール20Aの構成が前記第1実施形態の凹溝部材12及び天井レール20と異なる。
天井レール20Aは、前記第1実施形態と同様の横向片21と、その横向片21から垂設された係合片22と、その係合片22の下端部から水平方向(手前側)に向けて突設された係合リブ23とを有している。この係合リブ23は、係合片22の下端部にスライド方向に沿って全体に亙って設けられている。
凹溝部材12Bは、前記第2実施形態と同様、その凹溝12Baの両内側面12Bbには、スライド方向に沿って全体に亙ってガイドリブ12Bcが突設されている。また、本実施形態では、さらに凹溝12Baの一方の内側面12Bbの下端部には、天井レール20Aの係合リブ23がスライド自在に係合する係合凹溝12Bdがスライド方向に沿って全体に亙って凹設されている。この係合凹溝12Bdによって、凹溝12Ba内に挿入された天井レール20の係合片22の下端部の係合リブ23は、施工時に仮止め状態となり、これら係合リブ23及び係合凹溝12Bdも係合片22及び凹溝12Baとともに仮保持手段として機能する。
【0042】
前記構成とされた引戸ユニット10Cでは、施工時には、引戸11Bの一方の端部から天井レール20Aを凹溝12Baに挿入することで、天井レール20Aを仮保持状態とでき、この状態で、前記第1実施形態と同様にして施工できる。
前記構成とされた本実施形態に係る引戸ユニット10Cでは、前記第2実施形態と同様、ガイドリブ12Bcの作用により、天井レール20Aの係合片22が凹溝12Ba内で略挟持状態となり、仮保持力が高められるとともに、さらに、凹溝12Baの内側面12Bbに凹設された係合凹溝12Bdに、天井レール20Aの係合リブ23を係合させることで、係合リブ23が、係合凹溝12Bdに引っ掛かり、施工時の仮保持力をさらに高めることができる。従って、施工時に天井レール20Aが引戸11Bの凹溝12Baから不意に外れるようなことをより効果的に防止できる。また、施工後の使用時に、床レール30(図1乃至図4参照)から引戸11Bの戸車(図1乃至図4参照)が外れた場合にも係合凹溝12Bdと係合リブ23とが引っ掛かり、引戸11Bが外れて倒れるようなことを防止できる。また、前記第2実施形態と同様、スライドさせる際に、ガイドリブ12Bcと係合片22の両外側面とが擦り合う構成となるので、このようなガイドリブ12Bcを設けないものと比べて接触抵抗が小さくなり、スムーズに引戸11Bをスライドさせることができる。また、引戸11Bをスライドさせる際のガタツキ防止にもなる。
【0043】
尚、天井レール20Aに設けられた係合リブ23は、前記した構成に限られず、凹溝12Baの係合凹溝12Bdにスライド自在に係合する係合突起をスライド方向に沿って係合片22の下端部に複数個設けるようにしてもよい。また、本実施形態では、凹溝12Baの一方の内側面12Bbに係合凹溝12Bdを凹設した態様を例示しているが、両内側面12Bb,12Bbにそれぞれ係合凹溝12Bdを凹設し、それに合わせて、天井レール20Aの係合片22の下端部から手前側及び背面側に向けて係合リブあるいは複数個の係合突起を突設させるような態様としてもよい。
また、本実施形態では、係合片22の下端部に係合リブ23を設けた構成としているが、係合片22の中段部に係合リブあるいは係合突起を設けるような構成としてもよい。この場合は、その係合リブあるいは係合突起に合わせて、凹溝12Baの係合凹溝を凹設すればよい。
さらに、本実施形態では、前記第2実施形態と同様のガイドリブ12Bcを凹溝12Baの両内側面12Bbに突設した態様を例示しているが、これらガイドリブ12Bcを設けない態様としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る引戸の施工方法の一実施形態を説明するための説明図であり、(a)は、引戸の凹溝に、天井レールを仮保持させた状態を示す概略部分縦断面図、(b)は、引戸の戸車を床レールに係合させ、引戸を起立させた状態を示す図3(a)におけるX−X線矢視概略縦断面図である。
【図2】同実施形態を説明するための図3(a)におけるX−X線矢視概略縦断面図である。
【図3】(a),(b)は、いずれも同実施形態を説明するための概略正面図である。
【図4】(a)は、同実施形態に係る引戸ユニットの引戸の納まり状態を説明するための概略背面図、(b)は、同実施形態に係る引戸ユニットの引戸の納まり状態を説明するための概略横断面図、(c)は、引戸の納まり状態の別例を説明するための概略横断面図である。
【図5】(a),(b)は、いずれも本発明に係る引戸ユニットの実施形態の他例を示すための図1(a)に対応させた説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1a 天井面
10,10A,10B,10C 引戸ユニット
11,11A,11B 引戸
12a,12Aa,12Ba 凹溝(仮保持手段)
12Ab 内側面(凹溝)
12Ac ガイドリブ(凹溝の突部、仮保持手段)
12Bd 係合凹溝(仮保持手段)
13 戸車
20,20A 天井レール
21 横向片
22 係合片(仮保持手段)
23 係合リブ(係合突部、仮保持手段)
24 固定ネジ(固定具)
30,30A 床レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸の上端に形成したスライドガイド用の凹溝に、天井レールを挿入して仮保持させた状態で、前記引戸の下端に設けた戸車を床レールに走行自在に係合させて、該引戸を起立させ、その状態で前記天井レールを天井面に固着させて、前記引戸を施工することを特徴とする引戸の施工方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記天井レールを前記天井面に固着させる際には、前記引戸を前記床レール及び前記天井レールに沿ってスライドさせることによって、前記天井レールの固着すべき箇所が前記引戸によって隠されないように固着すべき箇所を順次露出させ、その露出した固着すべき箇所を固定具によって前記天井面に順次固着させることを特徴とする引戸の施工方法。
【請求項3】
天井面に固定具で取付けられる取付用の横向片に、係合片を垂設して成る天井レールと、
前記天井レールの係合片が挿入されるスライドガイド用の凹溝を上端に形成するとともに、床レールに走行自在に係合する戸車を下端に設けた引戸と、施工時に前記天井レールを前記引戸に仮保持させる仮保持手段とを備え、
前記引戸は、前記凹溝に、前記天井レールが挿入されて、該天井レールを前記仮保持手段によって仮保持した状態で、前記戸車が前記床レールに係合されるとともに起立され、その状態で前記天井レールを前記天井面に固着させて、施工される構成とされていることを特徴とする引戸ユニット。
【請求項4】
請求項3において、
前記天井レールの横向片は、前記引戸が施工された状態では、側面視において、前記引戸から突出しない構成とされていることを特徴とする引戸ユニット。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記天井レールの係合片の両外側面、或いは前記凹溝の両内側面のいずれか一方には、他方の両側面と摺接する突部が更に形成されていることを特徴とする引戸ユニット。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1項において、
前記引戸の凹溝の内側面には、スライド方向に沿って係合凹溝が更に凹設されており、
前記天井レールの係合片には、前記係合凹溝内をスライド自在とされた係合突部が形成されていることを特徴とする引戸ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−102863(P2009−102863A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274881(P2007−274881)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】