説明

引戸枠

【課題】組み立てが簡単で、部品点数を少なくすることができる引戸枠を提供すること。
【解決手段】引戸枠1の上枠10の上面11の端部を突出させて、竪枠20の上面を覆う蓋部12を形成するとともに、この蓋部12に、竪枠20の上面を覆った状態で竪枠20から突出する折曲部13を設け、竪枠20の上面に、蓋部12及び折曲部13に合わせた切欠部21、22を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸枠に関し、特に、組み立てが簡単で、部品点数を少なくすることができる引戸枠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の引戸枠30を図6〜図7に示す。
この引戸枠30は、上枠32と、戸先側の竪枠33及び戸尻側の竪枠34と、戸袋入口を形成する方立31と、方立31と戸尻側の竪枠34とを連結する巾木としての下枠35とからなり、引戸扉が上吊り式の場合には上枠32の近傍に引戸扉の前後に配設した戸車を載置する走行用レール(図示省略)を配備し、床面レール式の場合には、戸先側の竪枠33及び戸尻側の竪枠34の下部に引戸扉の下面に配設した走行車輪を載置するレール形状の下枠(図示省略)を配備するようにしている。
【0003】
そして、通常、これら引戸枠30の各部材は、接合用ピースを用いてビス止めするようにされている。
図7は、戸先側の竪枠33と上枠32とを連結した状態を示す。
この竪枠33と上枠32との連結には、上枠32の内部底面に溶接止めした断面L字状の接合用ピース37のネジ穴に、ビス38を竪枠33の内面の下穴33aを貫通させて螺合し、連結固定するようにしている。
この際、竪枠33の上面は開放されており、引戸枠30を建造物の所定の位置に設置するとき、竪枠33の上部に当接する石膏ボード(図示省略)が、竪枠33の板厚と線接触するようになるため、石膏ボードが欠ける等の不具合が発生することとなり、これを防止するために、竪枠33の上面を形成する目的を兼ねて、断面略コ字状の補強材36をビス38と竪枠33の内面との間に挟み込むようにしている。
これによって、補強材36の上面36aが竪枠33の上面を形成することとなる。
【0004】
このように、従来の引戸枠30では、竪枠33と上枠32との連結の際、ビス止めの箇所が竪枠33の折り返し部33bの内部となって作業が煩雑になるとともに、接合用ピース37と補強材36とが必要となり部品点数が多くなるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の引戸枠の有する問題点に鑑み、組み立てが簡単で、部品点数を少なくすることができる引戸枠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の引戸枠は、引戸枠の上枠の上面端部を突出させて、竪枠上面を覆う蓋部を形成するとともに、該蓋部に、竪枠上面を覆った状態で竪枠から突出する折曲部を設け、竪枠上面に、前記蓋部及び折曲部に合わせた切欠部を形成したことを特徴とする。
【0007】
この場合において、折曲部に下穴を設け、竪枠側面に、蓋部が竪枠上面を覆った状態で折曲部を竪枠に沿って折り曲げたときに、前記下穴に該当する位置にネジ穴を設けることができる。
【0008】
また、竪枠側面に、蓋部が竪枠上面を覆った状態で折曲部を竪枠に沿って折り曲げ、さらに、折曲部を上枠方向に折り曲げることを許容する開口部を設けることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の引戸枠によれば、引戸枠の上枠の上面端部を突出させて、竪枠上面を覆う蓋部を形成するとともに、該蓋部に、竪枠上面を覆った状態で竪枠から突出する折曲部を設け、竪枠上面に、前記蓋部及び折曲部に合わせた切欠部を形成することにより、上枠の蓋部で竪枠の上面を形成し、折曲部を竪枠に沿って折り曲げることによって上枠と竪枠とを連結することができる。また、竪枠上面には、蓋部及び折曲部に合わせた切欠部が形成されているため、竪枠と上枠の位置決めが容易で組み立て作業を効率よく行うことができる。
【0010】
また、折曲部に下穴を設け、竪枠側面に、蓋部が竪枠上面を覆った状態で折曲部を竪枠に沿って折り曲げたときに、前記下穴に該当する位置にネジ穴を設けることにより、上枠と竪枠との連結をビス止めによって強固なものとすることができるとともに、ビスは竪枠の折り返し部の外側から取り付けるから、その作業を簡単に行うことができる。
【0011】
また、竪枠側面に、蓋部が竪枠上面を覆った状態で折曲部を竪枠に沿って折り曲げ、さらに、折曲部を上枠方向に折り曲げることを許容する開口部を設けることにより、ビス等の締結部材を用いることなく、上枠と竪枠との連結を強固なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の引戸装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。なお、従来装置と同様の構造については同一の符号、一連の符号を付し説明を省略する。
【実施例1】
【0013】
図1〜図3に、本発明の引戸枠の第1実施例を示す。
この引戸枠1は、上枠10と、戸先側の竪枠20及び戸尻側の竪枠4と、戸袋入口を形成する方立2と、方立2と戸尻側の竪枠4とを連結する巾木としての下枠3とからなり、引戸扉が上吊り式の場合には上枠近傍に引戸扉の前後に配設した戸車を載置する走行用レール(図示省略)を配備し、床面レール式の場合には、戸先側の竪枠20及び戸尻側竪枠4の下部に引戸扉の下面に配設した走行車輪を載置するレール形状の下枠(図示省略)を配備するようにしている。
【0014】
そして、この引戸枠1の上枠10の構造は、図2(a)に示すように、上面11の端部を他面の端部10aよりも突出させ、上枠10と竪枠20とを連結した状態で、竪枠20の上面となる蓋部12を形成するようにしている。
また、蓋部12は、竪枠20上面を覆った状態で竪枠20から突出する折曲部13を備えるようにしている。
【0015】
竪枠20は、その上面20aに、蓋部12及び折曲部13に合わせた切欠部21、22を形成するようにしている。
この切欠部21、22は、図2(b)、(c)に示すように、蓋部12が竪枠20の上部を覆った状態で、上枠10の上面11と竪枠20の上面20aが面一となるように、その切り欠き深さを上枠10の蓋部12の厚みと略等しい深さとなるようにしている。
【0016】
この引戸枠1の組み立ては、図3に示すように、上枠10の端部10aを竪枠20の内側側面に当接させながら、切欠部21、22に蓋部12及び折曲部13が位置するように配置する(図3(a)参照)。
【0017】
その後、適宜の工具を用いて、折曲部13を竪枠20の外側側面に沿って折り曲げる。
この際、折曲部13と上枠10の端部10aとで竪枠20を挟み込むようになるから、上枠10と竪枠20とを十分な強度で連結することができる。
【0018】
なお、上枠10と戸先側の竪枠20との連結以外の箇所においても、上記連結構造と同様の連結構造を用いて連結するようにしている。
【実施例2】
【0019】
図4に、本発明の引戸枠の第2実施例を示す。
この引戸枠1は、引戸枠1の折曲部13に下穴13aを設け、竪枠20の外側側面に、蓋部12が竪枠20の上面20aを覆った状態で折曲部13を竪枠20に沿って折り曲げたときに、下穴13aに該当する位置にネジ穴23を設けるようにしている。
【0020】
これによって、図4(b)、(c)に示すように、折曲部13を竪枠20の外側側面に沿って折り曲げた後に、下穴13aを貫通させてビス14を竪枠20の外側側面のネジ穴23に螺合することができ、上枠10と竪枠20との連結を強固なものとすることができる。
【0021】
なお、本実施例のその他の構成及び作用は、上記第1実施例の引戸枠と同様である。
【実施例3】
【0022】
図5に、本発明の引戸枠の第3実施例を示す。
この引戸枠1は、蓋部12が竪枠20の上部を覆った状態で、折曲部13を竪枠20に沿って折り曲げ、さらに、折曲部13を上枠10の方向に折り曲げることを許容する開口部24を竪枠20の外側側面に設けるようにしている。
【0023】
これによって、上枠10は、折曲部13が竪枠20の切欠部22と開口部24との間の外側側面を抱え込むようになるから、ビス等の締結部材を用いることなく、上枠10と竪枠20との連結を強固なものとすることができる。
【0024】
なお、本実施例のその他の構成及び作用は、上記第1実施例の引戸枠と同様である。
【0025】
以上、本発明の引戸枠について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の引戸枠は、組み立てが簡単で、部品点数を少なくすることができることから、組み立て作業において熟練者の少ない施工現場に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の引戸枠の第1実施例を示す正面図である。
【図2】同引戸枠の上枠と戸先側の竪枠の斜視図で、(a)は上枠の端部を、(b)は竪枠の上部を、(c)は上枠を竪枠の上面に配置した状態を、それぞれ示す。
【図3】同引戸枠の上枠と戸先側の竪枠との連結構造を示す斜視図で、(a)は上枠を竪枠の上面に配置した状態を、(b)は上枠の折曲部を竪枠の外側側面に沿って折り曲げた状態を、それぞれ示す。
【図4】本発明の引戸枠の第2実施例の引戸枠の上枠と戸先側の竪枠の連結構造を示す斜視図で、(a)は上枠を竪枠の上面に配置した状態を、(b)は上枠の折曲部を竪枠の外側側面に沿って折り曲げた状態を、(c)は折曲部と竪枠をビス止めした状態を、それぞれ示す。
【図5】本発明の引戸枠の第3実施例の引戸枠の上枠と戸先側の竪枠の連結構造を示す斜視図で、(a)は上枠を竪枠の上面に配置した状態を、(b)は上枠の折曲部を竪枠の外側側面に沿って折り曲げた状態を、(c)は折曲部をさらに折り曲げて竪枠の開口部に挿入した状態を、それぞれ示す。
【図6】従来の引戸枠を示す正面図である。
【図7】従来の引戸枠を示し、(a)は図6のX−X矢視図、(b)は(a)のY−Y断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 引戸枠
10 上枠
11 上面
12 蓋部
13 折曲部
13a 下穴
14 ビス
20 竪枠
20a 上面
21 切欠部
22 切欠部
23 ネジ穴
24 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸枠の上枠の上面端部を突出させて、竪枠上面を覆う蓋部を形成するとともに、該蓋部に、竪枠上面を覆った状態で竪枠から突出する折曲部を設け、竪枠上面に、前記蓋部及び折曲部に合わせた切欠部を形成したことを特徴とする引戸枠。
【請求項2】
折曲部に下穴を設け、竪枠側面に、蓋部が竪枠上面を覆った状態で折曲部を竪枠に沿って折り曲げたときに、前記下穴に該当する位置にネジ穴を設けたことを特徴とする請求項1記載の引戸枠。
【請求項3】
竪枠側面に、蓋部が竪枠上面を覆った状態で折曲部を竪枠に沿って折り曲げ、さらに、折曲部を上枠方向に折り曲げることを許容する開口部を設けたことを特徴とする請求項1記載の引戸枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−82047(P2008−82047A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264170(P2006−264170)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000229047)日本スピンドル製造株式会社 (328)
【Fターム(参考)】