説明

引手装置及びこれを備えたキャビネット

【課題】構造が簡単で堅牢でしかも引出しの組み立てが容易な引手装置を提供する。
【手段】引手装置5は、裏側に配置された支持体6と手前側に配置されたレバー7とから成っており、両者は鏡板3の左右略全長にわたって延びている。支持体6とレバー7とは、好適には、アルミ等の金属又は樹脂の押し出し加工品である。支持体6の前部には頭部23aを有する下向きの突条23が形成され、レバー7には、突条23が嵌まる溝条24が形成されている。突条23と溝条24とは、それらを軸方向にスライドさせることで嵌合している。突条23が支軸を兼用して溝条24が軸受けを兼用しており、レバー7を引くと、中間連動部材16と回動軸14とを介してラッチ爪8が本体から逃げる方向に回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、キャビネット等の家具におけるラッチ装置付きの引出しや扉に設ける引手装置、或いは建物におけるラッチ装置付き扉に設ける引手装置、及び、この引手装置を備えている家具に関するものである。ここに、扉には回動式(開き戸式)とスライド式との両方が含まれる。
【背景技術】
【0002】
家具(例えばキャビネットや机)の引出しや扉にはラッチ装置を設けていることが多く、このラッチ装置は、引手装置のレバー(引手)を引くとラッチ爪が本体の係合部から離脱するようになっている。ラッチ装置の構造は様々であるが、引出しや扉に対する取付け関係から見ると、レバーやこれが取り付く支持体等をユニット化して引出しや扉に取り付けるようにしたものと、引出しや扉にレバーの支持部(例えばブラケット)を溶接等によって設けたものとに大別されると言える。
【0003】
引手装置をユニット化すると、引出しや扉の組み立てが容易であると共に部材の加工誤差に基因した組み立て不良も無くせるという利点がある一方で、部材点数が多くなるためユニット自体の組み立てには手間がかかる傾向である点や、仕様が異なると部品も個別に製造せねばならないため融通性が悪いといった問題があった。
【0004】
他方、例えば引出しの引手装置について見ると、レバーを引出しにおける鏡板の横幅(間口寸法)よりも遥かに短い長さにして鏡板の左右中間部に配置する場合と、例えば特許文献1に記載されているように、レバーを鏡板の左右略全長にわたって延びる長さにすることがあり、特許文献1の形態を採用すると、鏡板の左右どの位置からもレバーを操作できるため引出し操作の操作性に優れており、また、両手をレバーに掛けることができるため、重量が重い引出しも容易に引き出せる利点がある。
【特許文献1】特開2004−89220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、レバーを回動自在に支持するための部材(ブラケット装置)は鏡板の裏面に固定されているが、この構成では、ブラケット装置の加工誤差や取付け位置の誤差が大きいと引出しの組み立てに支障を来す虞があった。また、レバーはブラケット装置に軸で連結されているため、部材点数が多くて部材管理及び組み立てに手間がかかりがちである点や、レバーは長尺であるにも拘わらず左右のブラケット装置で支持されているに過ぎないため、レバーの支持安定性が低くなる虞がある点に問題があった。
【0006】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明に係る引手装置は、「引出し又は扉のような可動体に固定された支持体と、前記支持体に回動自在に取付けられたレバーとを備えており、前記レバーは、当該レバーと前記支持体とのうちいずれか一方に設けた雄型係合部と他方に設けた雌型係合部との嵌め合わせによって回動自在に保持されており、かつ、前記レバーの回動によってラッチ装置のラッチ爪が係合解除するようになっている」という基本構成になっている。
【0008】
そして、請求項1の発明では、前記雄型係合部は、レバーの回動軸心と直交した面で切断した断面視において略円形に膨れた頭部を有する突条である一方、前記雌型係合部は前記突条の頭部が嵌まる溝条であり、突条と溝条とは、レバーと支持体とをレバーの回動軸心に沿った方向に相対動させることで嵌め合わされている。
【0009】
請求項2の発明では、請求項1の構成において、前記支持体とレバーとは金属又は樹脂を素材とした押し出し成形によって製造されており、更に、前記レバーには、ラッチ爪を係合解除方向に回動させるための押圧部が、回動軸心と直交した方向に張り出すように形成されている。
【0010】
本願発明は、引手装置か使用されている例として引出し付きのキャビネットを含んでいる。すなわちこのキャビネットは、請求項3のとおり、前向きに開口した本体とその内部に配置した引出しとを備えており、前記引出しの鏡板に請求項1又は2に記載した引手装置が取付けられており、引手装置の支持体とレバーとは鏡板の左右略全長にわたって延びている。
【0011】
なお、本願発明の引手装置においてレバーの回動によってラッチが解除される態様には、人がレバーに指を掛けて手前に引くことでラッチが解除される態様と、人がラッチ装置を手で押すことでラッチが解除される態様との両方を含んでいる。すなわち、レバーは引手になる場合と押手になる場合とがある。
【発明の効果】
【0012】
本願発明では、支持体とレバーとは、突条が回動軸を兼用して溝条が軸受けを兼用するため、レバーを回動自在と成すために他の部材は必要なく、このため、部材点数を抑制して構造を簡単化できると共に、引手装置の組み立て及び引出し等の可動体の組み立ても容易である。また、支持体を引出しや扉等の可動体に取り付けるものであり、レバーの支持強度に優れている。
【0013】
なお、レバーを支持体に回動自在に取り付ける手段として、レバーに軸部を設ける一方、支持体にはレバーの軸部が嵌まる二股状の受け部を設けて、受け部にこれを弾性変形させることでレバーの軸部を嵌め込むことが行われているが、この方法ではレバーの軸部が支持体の受け部から抜け易い問題があり、このため抜け止めを設ける必要がある。これに対して本願発明では、突条と溝条とはレバーの回動軸心に沿って方向から嵌め合わせるものであるため、レバーの使用に際して突条が溝条から抜けることはなく、簡単な構造でありながら嵌合状態を確保することができるのである。
【0014】
引出しにしても扉にしても様々の大きさのものがあり、このため引手装置も支持体とレバーとの長さが異なるものが多数種類必要になる。そして、請求項2のように支持体とレバーとを押し出し加工によって製造すると、支持体及びレバーの素材として長さの長い中間部材(数m、或いは10m以上)を製造しておき、この中間部材を引手装置の種類に応じた長さに切断することにより、任意の長さの引手装置に対応することができる。従って、請求項2のように構成すると、大きさが異なる複数種類の引手装置を製造するにおいて引手装置群全体としての製造コストを格段に低減できる。
【0015】
また、例えば引出しでは、ラッチ装置の配置態様としては、鏡板の左右両側に設けている場合と、鏡板の左右いずれか一方のみに設けている場合との3種類の態様がある。そして、請求項2のようにレバーを押し出し加工によって製造すると、所定長さに切断する前の中間部材の状態でラッチ爪を操作するための押圧部は全長にわたって長く伸びているため、ラッチ装置の配置態様に応じて押圧部をカットするか、或いは、押圧部がレバーの略全長にわたって延びた態様にしておくことにより、どのようなラッチ装置の配置態様にも対応することができる。この点も請求項2の優れた利点である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図5では第1実施形態を示しており、図5では第2実施形態を示している。まず、第1実施形態から説明する。
【0017】
(1).第1実施形態の概要
図1は家具の一例としての引出し式キャビネットの概略斜視図であり、このキャビネットは、前向きに開口した本体1と、3段の引出し2とを備えている。引出し2は、その前面を構成する金属板製(スチール製)の鏡板3と、鏡板3の背面から後ろ向きに延びる上向き開口の収納部4とを備えている。敢えて述べるまでもないが、収納部4は底板4aと左右側板4bと背板(図示せず)とから成っている。
【0018】
本願発明との直接の関連はないので図では省略しているが、引出し2は3段式等のサスペンションレールを介して本体1に前後動自在に支持されている。なお、重量物を収納するキャビネットの場合は、最下段の引出し2の鏡板3に転倒防止用のコロを設ける場合もある。
【0019】
鏡板3は、その中核を成す基板3aと、基板3aの側縁に設けた左右側片3bと、基板3aの下端に設けた底片(図示せず)とを有して全体として厚みを持った浅箱状に形成されており、その上面から引手装置5が露出している。引手装置5は、奥側に位置した支持体6と手前側に位置したレバー7とから成っており、レバー7に指を掛けて手前に倒すと、収納部4の外側に露出したラッチ爪8が本体1の係合部(図示せず)から離脱する。
【0020】
引手装置5の左右両端には樹脂製のエンドキャップ9を装着している。また、本実施形態の支持体6はカバー(或いは上エッジ)を兼用しており、鏡板3の上面から上方に大きく張り出した垂直壁状のカバー部10を有しており、レバー7の指掛け部11は、引出し2を本体1に押し込んだ状態で人が指を容易に掛けられるようにカバー部10よりもかなり低い高さになっている。
【0021】
本実施形態では、正面視で引出し2における鏡板3の左右両端部が本体1の側板部に重なっている。また、引手装置5は鏡板3の上面の略全長にわたって延びている。以下、図2以下の図面を参照して鏡板3、ラッチ装置、引手装置5の詳細を説明する。
【0022】
(2).鏡板・ラッチ装置
図2(A)はエンドキャップ9を分離した状態での端部の斜視図、図2(B)は引出し2の部分的な平面図、図2(C)は引手装置を構成する支持体6とレバー7との一部破断分離側面図、図3は後ろ側から見た要部斜視図、図4(A)は破断箇所を3段階に異ならせて描いた側断面図、図4(B)は図4(A)のB−B視断面図である。なお、図3ではエンドキャップ9は省略している。
【0023】
図3や図4に示すように、鏡板3は、その四周を囲う状態の裏板3dを備えており、裏板3dに背面視四角形の突部12が一体に固定されている。突部12の上面は鏡板3の上面と同じ高さになっている一方、突部12の左右側面は鏡板3の左右側面よりも内側に位置している。収納部4の前部は突部12を囲う状態で鏡板3に固定されている。ラッチ爪8の基部は鏡板3の内部に入り込んでおり、このため、鏡板3の裏板3dには、ラッチ爪8を露出させるためのラッチ穴13が空いている。
【0024】
本実施形態では、ラッチ爪8は正面視で鏡板3の左側のみに設けている(勿論、左右両側に設けたり、正面視で右側に設けたりすることは可能である。)。図3ではラッチ爪8を鏡板3の左端に寄せた状態に描いているが、これは作図上の便宜のためであり、実際には、図2(B)に示すようにラッチ爪8は収納部4の側に寄っている。
【0025】
図3や図4(A)に示すように、ラッチ爪8の基部には上下長手の回動軸14が相対回転不能に嵌合しており、この回動軸14は、鏡板3の裏板3dに固着(又は切り起こし形成)した複数段の水平軸支片15にて水平回転可能に支持されており、かつ、回動軸14の上端には、突部12の箇所まで延びる水平状の操作部14aを折り曲げ形成している。従って、操作部14aを後ろに押して回動軸14を平面視で時計回り方向に回転させると、ラッチ爪8は本体1の係合部から離脱する。
【0026】
ラッチ爪8は樹脂製であり、図3及び図4に示すように、ラッチ爪8の基部には、鏡板3の中央部に側に向けて水平状に延びると共に鏡板3における基板3aの裏面に当接する弾性片8aを一体に設けている。この弾性片8aのばね力により、ラッチ爪8は本体1の係合部に係合し勝手となる状態に付勢されている。なお、本実施形態のラッチ爪8は、本体1の係合部に係脱する係合部として係合穴8bを形成しているが、係合部として爪を設けてもよい。
【0027】
引手装置5におけるレバー7の回動は、突部12と鏡板3とで囲われた空所に配置された線材製の中間連動部材16を介して回動軸14に伝達される。中間連動軸16は、水平部16aと、水平部16aの一端に設けた上向き部16bと、水平部16aの他端に一体に設けた下向き部16cとから成っていて全体としてクランク状に形成されている。上向き部16bは鏡板3の中間の部の側に位置している一方、下向き部16cは回動軸14の作動部14aに裏側から重なるように配置されている。
【0028】
中間連動部材16の水平部16aは、突部12の内面に固着した垂直状ブラケ17に回転自在に軸支されている。この場合、中間連動部材16の水平部16aは、垂直状ブラケ17に形成した上向き軸受け穴18に上方から嵌まっている。垂直状ブラケ17は中間連動部材16の上向き部16bと下向き部16cとで挟まれるように左右に配置されており、このため中間連動部材16は左右ずれ不能に保持されている。本実施形態では、ラッチ爪8、回動軸14、中間連動部材16を主要部材(動く部材)としてラッチ装置が構成されている。
【0029】
(3).引手装置
引手装置5の支持体6とレバー7とは、共にアルミ又はアルミ合金のような金属を材料にした押し出し加工によって製造されている。そして、支持体6は、鏡板3の上方に突出したカバー部10は、突部12の上面の全体と背面の上部とに重なる断面L字状の肩部20と、カバー部10の下端から前向きに延びた補助水平部21とを備えており、補助水平部21は鏡板3の上片3eに形成した抱持部22に押さえられている。なお、鏡板3の上端部は上片3eと補強片3fとで2枚重ね状態になっている。
【0030】
引手装置5における支持体6のカバー19は、鏡板3の上面と間に間隔を空けた状態で手前に延びる前向き部10aを有しており、このためカバー部10は側面視において全体としてト字状に近い形態になっている。カバー部10における前向き部10aの上面は人の指を入れ易いように湾曲している。そして、支持体6における前向き部10aの前端に、下向きの突条23を一体に形成している。前記突条23は、略円形の頭部23aと、頭部23aとカバー部10の前向き部10aとを繋ぐ細幅の首部23bとから成っている。
【0031】
他方、レバー7は既述した指かけ部11を備えているが、この指掛け部11の下端に、前記支持体6における突条23の頭部23aを包む溝条24を有する溝部25が一体に形成されている。溝部25は当然ながら開口しているが、開口部の幅は突条23における首部23bの厚さよりも大きい寸法であり、このため、レバー7の回動が許容されている。溝部25の前部下端の外面は側面視で直角に近い形態になっているが、溝条と同心円状の円弧状に形成してもよい。
【0032】
レバー7の溝部25には、前記中間連動部材16の上向き部16bに手前側から当接する板状の押圧部26が一体に形成されている。既述のとおりレバー7は押し出し加工によって製造されるので、押し出し加工した状態では押圧部26は全長にわたって形成されており、押し出し加工後に、必要な箇所だけに残るように不要部分を切除している。この実施形態によると、レバー7を軽量にできると共に、鏡板3の上片3eと補強片3fとに空ける逃がし穴27の幅寸法を短くして鏡板3の強度低下を防止できる。ラッチ装置が鏡板3の左右両側に配置されている場合は、押圧部26は左右に2枚設けることになる。
【0033】
図2(C)に示すように、支持体6における肩部20の垂下片には、左右方向に沿って適当な間隔でビス穴28が空けられており、このビス穴28を介して皿ビス29を引出し2の突部12にねじ込むことにより、支持体6を鏡板3に固定している。支持体6は、補助水平部21が鏡板3の抱持部22で押さえられているため、前方からの外力が作用しても安定した状態に保持される。
【0034】
図2に示すように、エンドキャップ9は支持体6におけるカバー部とレバー7の溝状部25とに重なっており、皿ビス30で支持体6のカバー部10に締結されている。このためレバー7は左右抜け不能に保持されている。支持体6のカバー部10には、皿ビス30をねじ込むためのタップ穴31が空いている。なお、タップ穴31の下穴は、押し出し加工後にドリルで穿設することも可能であるが、押し出し加工によって予め形成しておくと手間が省ける。エンドキャップ9には、支持体6におけるカバー部10の裏面に重なる横向き張り出し部9aが形成されている。
【0035】
(4).まとめ
引手装置5を構成する支持体6とレバー7とは、両者を軸方向に相対動させて突条23を溝条24に嵌め込むというワンタッチ的な作業によって組み立てられる。そして、突条23が支軸の役割を果たして溝条24が軸受けの役割を果たすため、他には軸支用の部材は不要であり、このため構成か頗る簡単である。しかも、突条23と溝条24とは軸方向のスライドでしか嵌合しないため、例えばレバー7を強く引いてもレバー7が支持体6から外れるようなことは皆無であり、このため高い取付け強度が確保されている。
【0036】
また、本実施形態では、支持体6の補助水平部21が鏡板3の抱持部22で抱持されているため、支持体6における肩部20をビス29で突部12に締結するだけで、引手装置5は鏡板3に強固に固定される。この点、本実施形態の利点である。なお、突部12は鏡板3の一部とも言えるものであり、従って、実施形態の締結構造は、支持体6を鏡板3の裏面部材にビス29で締結すると言い換えてもよい。
【0037】
ところで、引出し2における鏡板3の前面は人目に触れるので塗装等の美粧処理を施す必要があるが、予め表面処理された化粧鋼板を使用すると加工の手間を抑制できる。しかし、基板3aの裏面にフラケット材を溶接すると熱によって表面の化粧層が損傷してしまう。これに対して本実施形態では、ラッチ装置を構成するブラケット類は裏板3c又は突部12に設けられていて溶接しても美観には影響せず、しかも引手装置5はビス止めされているためこれまた美観に影響することはない。この点、本実施形態の利点である。
【0038】
(5).第2実施形態
図5に示す第2実施形態では、引手装置5の支持体6は前向きに開口した引手穴を有する形態に形成しており、支持体6の下部にレバー7を取り付けている。但し、本実施形態では、第1実施形態とは逆に、レバー7に突条23を形成して支持体6に溝条24を形成している。肩部20を突部12に締結している点は第1実施形態と同じである。この実施形態のように支持体6に溝条24を形成した場合は、エンドキャップ9を固定するビスは支持体6の溝条24にねじ込むことも可能である。
【0039】
(6).その他
本願発明は上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば、支持体とレバーとの形態(断面形状)は用途に応じて任意に設定できる。また、ラッチ装置の構造も実施形態に限定されるものではなく、場合によっては、ラッチ爪の回動軸をレバーで直接に回動させることも可能である。また、ラッチ装置のラッチ爪は回動式には限らず、出没式であってもよい。水平回動式の扉に適用する場合は、一般には、縦長のラッチ杆をレバーで回動させることになるであろう。
【0040】
また、本願発明の引手装置を引出しに適用する場合、引手装置は必ずしも鏡板の左右全長にわたって延びる長さである必要はないのであり、鏡板3に形成した穴に嵌め込むといったことも可能である。また、本願発明において突条と溝条とはそれぞれ支持体及びレバーの全長又は略全長にわたって延びる長さである必然性はないのであり、例えば、突条と溝条とを支持体とレバーとの左右中間部と左右両端部との三箇所で嵌め合わせるというように、突条と溝条との長さ及び位置は任意に設定できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1実施形態に係るキャビネットの概略斜視図である。
【図2】(A)はエンドキャップを分離した状態での端部の斜視図、(B)は引出しの部分的な平面図、(C)は支持体とレバーとの一部破断分離側面図である。
【図3】引出しの要部を後ろ側から見た斜視図である。
【図4】(A)は側断面図、(B)は(A)のB−B視断面図である。
【図5】第2実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 キャビネットの本体
2 家具における可動体の一例としての引出し
3 鏡板
4 引出しの収納部
5 引手装置
6 引手装置の支持体
7 引手装置のレバー
8 ラッチ爪
14 回動軸
16 中間連動軸
23 突条
24 溝条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出し又は扉のような可動体に固定された支持体と、前記支持体に回動自在に取付けられたレバーとを備えており、前記レバーは、当該レバーと前記支持体とのうちいずれか一方に設けた雄型係合部と他方に設けた雌型係合部との嵌め合わせによって回動自在に保持されており、かつ、前記レバーの回動によってラッチ装置のラッチ爪が係合解除するようになっている、
という引手装置であって、
前記雄型係合部は、レバーの回動軸心と直交した面で切断した断面視において略円形に膨れた頭部を有する突条である一方、前記雌型係合部は前記突条の頭部が嵌まる溝条であり、突条と溝条とは、レバーと支持体とをレバーの回動軸心に沿った方向に相対動させることで嵌め合わされている、
引手装置。
【請求項2】
前記支持体とレバーとは金属又は樹脂を素材とした押し出し成形によって製造されており、更に、前記レバーには、ラッチ爪を係合解除方向に回動させるための押圧部が、回動軸心と直交した方向に張り出すように形成されている、
請求項1に記載した引手装置。
【請求項3】
前向きに開口した本体とその内部に配置した引出しとを備えており、前記引出しの鏡板に請求項1又は2に記載した引手装置が取付けられており、引手装置の支持体とレバーとは鏡板の左右略全長にわたって延びている、
キャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−133641(P2008−133641A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319700(P2006−319700)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】