説明

張出し架設機及び張出し架設方法

【課題】張出し架設機及び張出し架設方法を提供することにある。
【解決手段】柱頭部上に配置される張出し架設機であって、橋軸方向の着脱可能な後部が取り除かれて短尺とされた短尺張出し架設機ユニット2の後端部相互が背中合わせに接合されている複合張出し架設機17としている。短尺張出し架設機ユニット2の後端部相互が、ボルト・ナット16により分離可能に接合されている。転倒防止装置22が、各短尺張出し架設機ユニット2に渡って設けられている。柱頭部上に設置した前記の複合張出し架設機17を利用して、張出し部第1ブロック30を施工し、前記張出し部第1ブロック30完成後、短尺張出し架設機ユニット2の後端部相互の接合部を切り離し、各架設機ユニット2をそれぞれ離反するように橋軸方向の張出し方向に前進させ、各短尺張出し架設機ユニット2の後端部に、後部の残りの部材を組み立てる張出し架設工法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁の柱頭部から張出しブロックを施工するための複合張出し架設機およびその架設機を用いた張出し架設工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁の柱頭部施工において、これまで橋脚にブラケットを設け、そのブラケットを作業床としつつ、張出し第1ブロックの荷重を支持していた。張出し第1ブロックを施工することで、その上に橋軸方向左右2台の張出し架設機を載置することが出来る。
【0003】
しかし、この方法では、ブラケットの構築に多くの時間と労力を要する。
【0004】
また、従来の通常の張出し架設機40は、図10上に示すように、走行レール33の上に配置される走行車輪(移動装置)10を備えた長尺の水平材41があり、前記長尺の水平材41に下部が連結された間隔をおいて平行な前部斜材8と後部斜材42の2本の斜材と、各斜材41,42の端部に固定される1本の鉛直材6を備えており、その各斜材41,42および鉛直材6の上に橋軸方向に延長する水平な縦梁4が設置されており、側面から見ると平行四辺形の枠内に鉛直材6が設けられている形態をしている。
【0005】
これを2フレーム橋梁主桁のほぼウェブの上にそれぞれ配置し、横梁14で繋いで、橋軸方向から見て門型の形態をしている。
【0006】
前記のような張出し架設機40は、橋軸方向の長さが長いために、柱頭部上に直列に2台の張出し架設機40を設置することができない。
そこで、橋脚と橋軸方向に同じ幅で柱頭部を施工し、狭い範囲に2台の張出し架設機を設置するために、一方は主構を規定幅、他方を狭くして架設機を内部に入り組ませることが知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−218316号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、狭い柱頭部のうえに2台の主構が入り組み、作業スペースがより狭くなるという課題が残されている。また、主構幅を狭くした張出し架設機を前進させた後、規定の幅に戻さなければならないという問題がある。
本発明は前記の課題を有利に解消した張出し架設機及び張出し架設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明の複合張出し架設機においては、柱頭部上に配置される張出し架設機であって、橋軸方向の着脱可能な後部が取り除かれて短尺とされた短尺張出し架設機ユニットの後端部相互が背中合わせに接合されていることを特徴とする。
また、第2発明では、第1発明の複合張出し架設機において、短尺張出し架設機ユニット相互を切り離し、張出し方向に前進させるときに、各短尺張出し架設機ユニットが転倒しないようにするための転倒防止装置が、各短尺張出し架設機ユニットに渡って設けられていることを特徴とする。
また、第3発明の張出し架設方法においては、柱頭部上に設置した第1発明〜第2発明のいずれかの複合張出し架設機を利用して、張出し部第1ブロックを施工し、前記張出し部第1ブロック完成後、架設機ユニットの後端部相互の接合部を切り離し、各架設機ユニットをそれぞれ離反するように橋軸方向の張出し方向に前進させ、各短尺張出し架設機ユニットの後端部に、後部の残りの部材を組み立てることを特徴とする。
また、第4発明では、第3発明の張出し架設方法においては、短尺張出し架設機ユニット相互を切り離し、張出し方向に前進させるときに、各短尺張出し架設機ユニットが転倒しないように、各短尺張出し架設機ユニットに渡って転倒防止装置を設けたことを特徴とする。
第5発明では、第4発明の張出し架設方法において、各短尺張出し架設機ユニットに転倒防止受け筒を取り付け、その各転倒防止受け筒内に渡って挿通配置されている転倒防止材を備えた転倒防止装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によると、橋軸方向の着脱可能な後部が取り除かれて短尺とされた短尺張出し架設機ユニットの後端部相互が背中合わせに接合されているので、橋軸方向に短尺張出し架設機ユニットを2台直列に配置しても、柱頭部上に設置することができ、柱頭部上の作業スペースを従来の入れ組式よりも広く確保できる効果が得られる。
第2発明によると、短尺張出し架設機ユニット相互を切り離し、張出し方向に前進させるときに、各短尺張出し架設機ユニットが転倒しないようにするための転倒防止装置が、各短尺張出し架設機ユニットに渡って設けられているので、簡単な構造の転倒防止装置とすることができ、そのような簡単な構造の転倒防止装置を使用して、短尺張出し架設機ユニットを分離する場合に転倒することなく安定した姿勢で分離することができる効果が得られる。
また、第3発明によると、柱頭部上に設置した前記の複合張出し架設機を利用して、張出し部第1ブロックを施工し、前記張出し部第1ブロック完成後、架設機ユニットの後端部相互の接合部を切り離し、各架設機ユニットをそれぞれ離反するように橋軸方向の張出し方向に前進させ、各短尺張出し架設機ユニットの後端部に、後部の残りの部材を組み立てるので、架設機ユニットの後端部に残りの部材を組み付けることができる。
第4発明によると、短尺張出し架設機ユニット相互を切り離し、張出し方向に前進させるときに、各短尺張出し架設機ユニットが転倒しないように、各短尺張出し架設機ユニットに渡って転倒防止装置を設けたので、張出し方向に前進させて分離する場合に短尺張出し架設機ユニットを転倒させることがない等の効果が得られる。
第5発明によると、各短尺張出し架設機ユニットに転倒防止受け筒を取り付け、その各転倒防止受け筒内に渡って挿通配置されている転倒防止材を備えた転倒防止装置であるので、簡単な構造の転倒防止装置を使用して、短尺張出し架設機ユニットを分離する場合に転倒することなく安定した姿勢で分離することができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0011】
先ず、本発明の張出し架設機1と従来の張出し架設機40とを比較した図10および張出し架設機1を分離した図9を参照しながら説明すると、図10上には従来の張出し架設機40の側面図が示され、同図下には、本発明の張出し架設機1の一形態の側面図が示されている。
【0012】
本発明においては、張出し架設機1は、短尺とされた前部側の短尺張出し架設機ユニット2と、これに連結一体化可能な後部3とにより構成されている。
【0013】
すなわち、本発明において使用する張出し架設機1は、橋軸方向の長さが短くされた短尺張出し架設機ユニット2と、その後端部に組み付けることが可能な後部3とが、ボルト・ナット等の接合手段により、結合したり分離したり組み立て可能にされている。
【0014】
前記の短尺張出し架設機ユニット2は、下部に位置し、短尺とされた短尺前部水平材5の前部(張出し方向の前部)に前部鉛直材6の下部がボルト・ナット等により固定され、前記短尺前部水平材5の後端部に後部鉛直材7の下部がボルト・ナット等により固定され、前部鉛直材6と後部鉛直材7および前部斜材8とに渡って縦梁4が架設固定され、縦梁4と後部鉛直材7に、分離されて短尺とされた後部上方斜材9の両端部がボルト・ナット等により固定されて橋軸直角方向の一方のフレームが構成されている。短尺前部水平材5の下部には、走行車輪10を備えた走行駆動装置が設けられている。前記のフレームにおける縦梁4相互は、間隔をおいて橋軸直角方向に延長するように配置された横梁14が架設されて、橋軸方向から見て門型のフレーム構造の短尺張出し架設機ユニット2が構成されている。
【0015】
そして、図9に示すように、後部3が撤去された状態の短尺張出し架設機ユニット2の後端部の後部鉛直材7には、ボルト挿通孔(図11a参照)等の接合部が設けられている。
【0016】
前記のように、短尺張出し架設機ユニット2における水平材は前部と後部に分離可能な水平材とされ、短尺張出し架設機ユニット2側に位置する短尺前部水平材5と、短尺後部水平材11とに着脱可能に分離され、短尺前部水平材5の後端部と短尺後部水平材11の前端部とは、I形またはH形断面形状等である場合には、添板およびボルト・ナット等により、直列に接続可能にされている(図11b参照)。前記のように短尺とされた短尺水平材5,11相互は、通常のH形鋼あるいはI形鋼等の部材相互の接合と同様に、添板およびボルト・ナットを使用した摩擦接合を採用することができる。
【0017】
さらに、前記の短尺張出し架設機ユニット2では、柱頭部12上において、橋軸方向(左右)直列に2台の短尺張出し架設機ユニット2相互を背中合わせに接合するので、張出し方向前部側の前部鉛直材6の橋軸方向後方に間隔をおいて平行に、柱頭部12の延長上に位置し、間接的に柱頭部12上に乗るような間隔で、後部鉛直材7が短尺前部水平材5の後端部上に設けられ、前記の縦梁4を後部鉛直材7まで延長するような長尺な縦梁4とされ、後部鉛直材7に縦梁4の後端部が固定されている。
【0018】
また、短尺張出し架設機ユニット2における短尺前部水平材5は短くされて、後部鉛直材7の橋軸方向後面位置までとされている。
【0019】
後部の斜材は、上下に分離されてそれぞれ短尺とされ、短尺張出し架設機ユニット2側に位置する後部上方斜材9と、分離された後部下方斜材13とに分離されている。後部上方斜材9の下端部は後部鉛直材7の中間部に固定されている(図5、図10b、図12参照)。
なお、後部鉛直材7がH形鋼等の場合には、適宜補強リブが設けられる(図12参照)。
【0020】
前記の後部上方斜材9の下端部は、後部鉛直材7にボルト等により接合され、後部下方斜材13の下端部は、後部側短尺水平材11にボルト・ナット等により固定されている。
なお、前記の横梁14には、図示を省略の昇降装置により総ネジ異径PC鋼棒15が昇降可能に設けられている。
【0021】
前記の短尺張出し架設機ユニット2の後端部の後部鉛直材7同士を横向きのボルト・ナット16により連結一体化することにより、所定の断面形態の短尺の複合張出し架設機17とされている。
【0022】
前部鉛直材6および後部鉛直材7の各鉛直材の下部には、橋軸直角方向に間隔をおいて対向する鉛直材6,7に向かって突出するように転倒防止受け部材支持アーム18の基端部がボルト・ナット等により着脱可能に固定され、その支持アーム18の先端部に渡って、橋軸方向に延長するように転倒防止受け筒20からなる転倒防止受け部材19が取付けられている。
【0023】
橋軸方向の一方の張出し架設機ユニット2と、他方の張出し架設機ユニット2との各転倒防止受け筒20の内側にはスベリ支承材が設けられ、前記各転倒防止受け筒20に渡って、棒状または管状等の転倒防止材21が挿通配置され、前記各転倒防止受け筒20と転倒防止材21とは、相対的にスライド移動可能にされている。
【0024】
前記の形態においては、各鉛直材6,7に固定された支持アーム18と、転倒防止受け筒20と転倒防止材21とにより、転倒防止装置22が構成されている。
【0025】
なお、前記の転倒防止受け筒20に変えて、転倒防止材22を上限に拘束できる転倒防止受け部材19であればよく、必ずしも筒状である必要はない。例えば、転倒防止受け部材19と転倒防止材22とが係合可能な関係であれば各種の断面形態が可能になる。また、転倒防止受け筒20と転倒防止材21のいずれか一方に、ローラー、すべり材、またスベリ面を有する支承部材を設けて、スライド支承可能にするとよく、この場合、線タッチまたは面タッチでもよい。
例えば、図8(a)に示すように、矩形断面の鋼製転倒防止受け筒20における上下の各面板23〜24の内側および左右の各側面板25〜26の内側に鋼製等のすべり支承板27を固定し、前記鋼製転倒防止受け筒20に同心状に挿通された矩形断面の鋼製転倒防止材21をスライド可能に支承するようにしてもよい。
また、図8(b)に示すように、各側面板25,26に配置されるスベリ支承板27を、上面板23と下面板24側にスベリ支承板27〜27に寄せてそれぞれ配置してもよく、鋼製転倒防止材21としては、H形鋼等のH形断面形状であってもよい。
【0026】
転倒防止受け筒20の長さは、橋軸方向前後2本の鉛直材6,7の間隔より長くされ、転倒防止材21は、第1ブロック張出し部30へ左右の短尺張出し架設機ユニット2が前進した後に、転倒防止受け筒20から抜け出さない長さが必要である。
【0027】
前記の転倒防止材(例えば、H形鋼、鋼製角パイプなど)21は、固定されていなくてもよいが、左右の短尺張出し架設機ユニット2が離れてゆくと曲げモーメントが大きくなるので、分離して橋軸方向に少し離れたときすぐに、柱頭部12にアンカーされた鋼棒31の上端部を浮き上り防止材32を介して転倒防止材21に固定することで、転倒防止材21を拘束している。これにより、転倒防止材21に大きな曲げモーメントが作用しないようにされている。
【0028】
コンクリート製橋脚28にブラケット29aを介して作業足場29を設けて橋脚29を順次築造すると共に柱頭部12を構築する(図1参照)。
柱頭部12上に前記の複合張出し架設機17を設置するにあたっては、個々の短尺張出し架設機ユニット2を組み立てるようにして設置してもよく、複数のクレーンにより各短尺張出し架設機ユニット2を柱頭部12上に吊り上げて、後部鉛直材7相互をボルト・ナット16により結合して、複合張出し架設機17としてもよい(図2参照)。
【0029】
前記の複合張出し架設機17における個々の短尺張出し架設機ユニット2に支持させるように作業床36を、PC鋼棒15を備えた吊り下げ支持装置によりレベル調整可能に吊り下げ支持させる(図2参照)。
【0030】
前記のように、橋脚28直上の柱頭部12上に設置された複合張出し架設機17により作業床36を支持すると共に、図示省略の型枠等を支持して、柱頭部12から橋軸方向に張出す第1張出しブロック30を構築する(図3参照)。前記の第1張出しブロック30を構築した後、前記の作業床36は、撤去され、個々の短尺張出し架設機ユニット2に後部3を組み付けて張出し架設機1を構成した後、新たに、張出し架設機1用の作業床37(図4参照)が吊り下げ支持される。
なお、前記作業床36が、複数に分離可能な形態であれば、橋軸方向中央部付近の部分を撤去して、作業床36の橋軸方向の端部を移動される作業床37に転用するようにしてもよい。
【0031】
前記のようにして第1ブロック張出し部30を構築した後、その第1ブロック張出し部30上に走行用レール33を延長するように敷設する(図4参照)。なお、転倒防止装置22は、個々の短尺張出し架設機ユニット2に分離する直前までに設置し、支持アーム18および転倒防止受け部材19(20)を取り付けた後、転倒防止材21を配設すればよい。そして、各短尺張出し架設機ユニット2が橋軸方向に離反可能にするために、後部縦鉛直材7相互を結合しているボルト・ナット16(図3参照)を取り外し、短尺張出し架設機ユニット2を離反して移動可能にする。
【0032】
また、橋軸方向に順次、各短尺張出し架設機ユニット2が離れるに従い、柱頭部12にアンカーされた鋼棒31を設け、その鋼棒31の上端部に、転倒防止材21の上面に係合する浮上り防止材32の側部を挿通して、浮き上り防止材32の上面側から支承ナット等を前記鋼棒31に装着して、転倒防止材21に作用する曲げ力を鋼棒31により負担するようにして、短尺張出し架設機ユニット2の転倒を防止する。柱頭部中央に位置する浮上り防止材32および鋼棒31は、これを設置可能な間隔に各短尺張出し架設機ユニット2が離反した状態で設置する(図4参照)。
【0033】
前記の鋼棒31は、その下端部が柱頭部12にアンカーされるか、又は短尺張出し架設機ユニット2を橋軸方向に離反させるための走行用レール33を柱頭部12に図示省略のアンカーにより固定し、鋼棒31を前記走行用レール33に固定してもよい。
【0034】
各短尺張出し架設機ユニット2の後端部に、後部3の部品等を設置するに十分なほど、各短尺張出し架設機ユニット2の前進をさせた後、後部3を構成する所定の部材(後部側短尺水平材11、後部下方斜材13)を追加して組み付け、各転倒防止装置22を撤去する。
また、作業床37を、各張出し架設機1に吊り下げ支持させるように設置する。
【0035】
なお、前記の後部3には、柱頭部21上を走行する走行用車輪34を有する伸縮可能な脚部35および図示を省略するが、柱頭部12を含む橋体に反力をとるためのPC鋼棒およびナット等を備えたアンカー材等が設けられる。
【0036】
前記のように転倒防止装置22を撤去した後の状態で、新たに架設または築造された張出しブロック上に、順次、走行用レール33を橋軸方向に敷設し、張出し架設機1を前進させ、新たな張出しブロックを架設する工程を繰り返して橋梁を構築する。
【0037】
前記ように、本発明では、橋軸方向の着脱可能な後部が取り除かれて短尺とされた短尺張出し架設機ユニットの後端部相互が背中合わせに接合されているので、橋軸方向に短尺張出し架設機ユニットを2台直列に配置しても、柱頭部上に設置することができ、柱頭部上の作業スペースを従来の入れ組式よりも広く確保できる。
また、本発明では、短尺張出し架設機ユニットの後端部相互が、ボルト・ナットにより分離可能に接合されているので、短尺張出し架設機ユニットの後端部相互を容易に接合したり分離することができる。
また、本発明によると、短尺張出し架設機ユニット相互を切り離し、張出し方向に前進させるときに、各短尺張出し架設機ユニットが転倒しないようにするための転倒防止装置が、各短尺張出し架設機ユニットに渡って設けられているので、簡単な構造の転倒防止装置とすることができ、そのような簡単な構造の転倒防止装置を使用して、短尺張出し架設機ユニットを分離する場合に転倒することなく安定した姿勢で分離することができる。
また、本発明によると、柱頭部上に設置した前記の複合張出し架設機を利用して、張出し部第1ブロックを施工し、前記張出し部第1ブロック完成後、架設機ユニットの後端部相互の接合部を切り離し、各架設機ユニットをそれぞれ離反するように橋軸方向の張出し方向に前進させ、各短尺張出し架設機ユニットの後端部に、後部の残りの部材を組み立てるので、架設機ユニットの後端部に残りの部材を組み付けることができる。
また、本発明によると、短尺張出し架設機ユニット相互を切り離し、張出し方向に前進させるときに、各短尺張出し架設機ユニットが転倒しないように、各短尺張出し架設機ユニットに渡って転倒防止装置を設けたので、張出し方向に前進させて分離する場合に短尺張出し架設機ユニットを転倒させることがない。
また、本発明によると、各短尺張出し架設機ユニットに転倒防止受け筒を取り付け、その各転倒防止受け筒内に渡って挿通配置されている転倒防止材を備えた転倒防止装置であるので、簡単な構造の転倒防止装置を使用して、短尺張出し架設機ユニットを分離する場合に転倒することなく安定した姿勢で分離することができる効果が得られる。
【0038】
また、前記のように、短尺張出し架設機ユニットの後端部相互が、ボルト・ナットにより分離可能に接合されていると、短尺張出し架設機ユニットの後端部相互を容易に接合したり分離することができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の複合張出し架設機を柱頭部に設置するための工程を示すものであって、(a)は橋脚を完成させた状態の橋軸直角方向から見た側面図、(b)は(a)の正面図、(c)は柱頭部を施工した状態の橋軸直角方向から見た側面図、(d)は(c)の正面図である。
【図2】(a)は本発明の複合張出し架設機を柱頭部上に設置した状態の橋軸直角方向から見た側面図、(b)は(a)の正面図である。
【図3】(a)は本発明の複合梁出し架設機を柱頭部上に設置した状態の橋軸直角方向から見た側面図、(b)は(a)の正面図である。
【図4】(a)は本発明の複合梁出し架設機を転倒防止装置により転倒を防止しながら分離している状態の橋軸直角方向から見た側面図、(b)は(a)の正面図である。
【図5】(a)は分離された梁出し架設機ユニットの後端部に、後部の部材を組み付けて、それぞれ独立した張出し架設機とした状態の橋軸直角方向から見た側面図、(b)は(a)の正面図である。
【図6】転倒防止装置により、それぞれ独立した張出し架設機に分離した状態を示す橋軸直角方向から見た側面図である。
【図7】図6の正面図である。
【図8】(a)は転倒防止装置の一形態を示す拡大正面図であり、(b)は他の形態を示す拡大正面図である。
【図9】張出し架設機を構成する張出し架設機ユニットとその後部を分離して示す概略側面図である。
【図10】従来の張出し架設機と、本発明の張出し架設機とを比較するための説明図である。
【図11】(a)は本発明の複合張出し架設機における後部鉛直材相互の接合部の一例を示す横断平面図、(b)は短尺前部水平材と後部側短尺水平材との接合部の一例を示す側面図である。
【図12】本発明の張出し架設機における後部鉛直材と後部上方斜材と後部下方斜材との接合部の一例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 張出し架設機
2 張出し架設機ユニット
3 後部
4 縦梁
5 短尺前部水平材
6 前部鉛直材
7 後部鉛直材
8 前部斜材
9 後部上方斜材
10 走行車輪
11 後部側短尺水平材
12 柱頭部
13 後部下方斜材
14 横梁
15 PC鋼棒
16 ボルト・ナット
17 複合張出し架設機
18 支持アーム
19 転倒防止受け部材
20 転倒防止受け筒
21 転倒防止材
22 転倒防止装置
23 上面板
24 下面板
25 側面板
26 側面板
27 スベリ支承板
28 橋脚
29 ブラケット
29a ブラケット
30 第1ブロック張出し部
31 鋼棒
32 浮き上り防止材
33 走行用レール
34 走行用車輪
35 伸縮可能な脚部
36 作業床
37 作業床
40 通常の張出し架設機
41 水平材
42 後部斜材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱頭部上に配置される張出し架設機であって、橋軸方向の着脱可能な後部が取り除かれて短尺とされた短尺張出し架設機ユニットの後端部相互が背中合わせに接合されていることを特徴とする複合張出し架設機。
【請求項2】
短尺張出し架設機ユニット相互を切り離し、張出し方向に前進させるときに、各短尺張出し架設機ユニットが転倒しないようにするための転倒防止装置が、各短尺張出し架設機ユニットに渡って設けられていることを特徴とする請求項1に記載の複合張出し架設機。
【請求項3】
柱頭部上に設置した請求項1〜2のいずれかに記載の複合張出し架設機を利用して、張出し部第1ブロックを施工し、前記張出し部第1ブロック完成後、架設機ユニットの後端部相互の接合部を切り離し、各架設機ユニットをそれぞれ離反するように橋軸方向の張出し方向に前進させ、各短尺張出し架設機ユニットの後端部に、後部の残りの部材を組み立てることを特徴とする張出し架設工法。
【請求項4】
短尺張出し架設機ユニット相互を切り離し、張出し方向に前進させるときに、各短尺張出し架設機ユニットが転倒しないように、各短尺張出し架設機ユニットに渡って転倒防止装置を設けたことを特徴とする請求項3に記載の張出し架設工法。
【請求項5】
各短尺張出し架設機ユニットに転倒防止受け筒を取り付け、その各転倒防止受け筒内に渡って挿通配置されている転倒防止材を備えた転倒防止装置であることを特徴とする請求項4に記載の張出し架設工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−121145(P2009−121145A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296841(P2007−296841)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000103769)オリエンタル白石株式会社 (136)
【Fターム(参考)】