説明

張力制御装置およびその制御方法、ならびに張力制御装置を備えた搬送装置

【課題】 材料と速度検出用ロールとの間のスリップにより発生する張力誤差と、緩やかな変化するロール巻径の変化分を区別して、かつ確実に補正を行うことができる最適な張力制御装置を提供する。
【解決手段】 基準ロール(2)・制御ロール(3)によって材料(1)を搬送する制御ロールを駆動する制御ロール電動機(10)を制御する制御ロール駆動装置(12)と、材料(1)の張力を設定値どおりに張力制御するために、制御ロール駆動装置(12)へのライン速度指令に加算する速度補正量を演算する張力制御部を構成する積分制御器(18)の出力により制御ロール径を補正する巻径補正処理部(40)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙、フィルム、金属など帯状の材料を張力制御装置およびその制御方法、ならびに張力制御装置を備えた搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の張力制御装置は、材料の張力偏差(張力設定値と張力検出値との偏差)をPI(比例積分)制御器により制御して張力一定制御を行うと共に、材料と速度検出用ロールとの間のスリップにより誤差が生じると、張力偏差信号を用いて巻径を補正している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3において、101は材料、102は巻出ロールであり、材料101にはライン速度検出用ロール103及び張力検出用ロール104が接触している。速度検出用ロール103には速度発電機105が、張力検出用ロール104には張力検出器106がそれぞれ接続されている。また、107は巻出ロール102を駆動する巻出モータであり、このモータ107には回転数検出用の速度発電機108が取付けられている。速度発電機108の出力であるモータ107の回転数Nは除算器109に入力されており、前記速度発電機105から入力されるライン速度Vを除算することにより、巻出ロール102の巻径Dが検出される。この巻径Dは、加算器110の一方の入力端子に入力される。
【0004】
一方、111は張力設定器であり、この設定器111による張力設定値T*は加算器112、113の各一方の入力端子に加えられている。なお、加算器112の他方の入力端子には、張力検出器106により検出された材料101の張力Tが入力されている。そして、加算器112から出力される張力偏差ΔT(=T*−T)はPI制御器114に加えられており、このPI制御器114の出力が加算器113の他方の入力端子に加えられ、加算器113の出力が張力Tとして後述する乗算器118の一方の入力端子に加えられている。
【0005】
張力偏差ΔTは比較器115にも入力され、この比較器115において張力偏差ΔTが設定値K以上になった場合、後続する比較リレー116に比較検出信号が送られるようになっている。117は比較リレー116の接点であり、比較リレー116の不動作時には加算器110の他方の入力端子への入力量がなく(入力「零」)、比較リレー116の動作時には巻径補正量ΔDが加算器110に入力されるように切り換え制御される。
【0006】
上記構成により、張力偏差ΔTが設定値K以上になると、加算器110の出力は巻径Dの検出値に巻径補正量ΔDを加えた(D+ΔD)に瞬時に切り換えられ、この出力が乗算器118で張力Tと乗算されて張力分トルクτTとして出力される。
このように、張力偏差信号を用いた巻径補正は行われるのである。
【特許文献1】特開平6−15336号公報(第2、3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の張力制御装置では、張力偏差を入力としたPI制御器の出力を用いた巻径の補正を切り換え動作により瞬時に入り切りするので、ラインの急加減速時に誤動作したり、近年の高速化、高精度化への要求(材料表面の傷など)に対応できなかったりという問題があった。また、PI制御での調節器で制御する場合は、ロールの磨耗による経年変化のような緩やかな巻径の変化分は、すべてPI調節器の積分で補正されてしまってPI調節器の張力偏差はほとんど0となるので、緩やかに生じるロール巻径の経年変化については巻径補正処理は全く動作しないという問題もあった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、材料と速度検出用ロールとの間のスリップにより発生する張力誤差と、緩やかな変化するロール巻径による張力誤差を区別し、かつ確実に補正を行うことができる最適な張力制御装置およびその制御方法、ならびに張力制御装置を備えた搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
材料と速度検出用ロールとの間のスリップの補正は、瞬時制御が必要であるので主に張力制御部の比例制御器で行い、ロール巻径の実際の変化は定常的に徐々に変化しているので張力制御部の積分制御器の出力で緩やかに補正することで行うことで、スリップによる張力誤差と、緩やかな変化するロール巻径による張力誤差を区別できるとの知見による。
【0009】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、基準ロール・制御ロールによって材料を搬送する前記制御ロールを駆動する制御ロール電動機を制御する制御ロール駆動装置と、前記材料の張力を設定値どおりに張力制御するために、前記制御ロール駆動装置へのライン速度指令に加算する速度補正量を演算する比例制御器と積分制御器からなる張力制御部を備えた張力制御装置において、前記積分制御器の出力により制御ロール径を補正する巻径補正処理部を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項2から5に記載の発明は、請求項1に記載の張力制御装置において、前記巻径補正処理部は、前記積分制御器の出力が所定値以上となる時間が所定時間継続したときに、前記制御ロール径への補正を行うようになっているものであり、前記積分制御器の出力を用いて前記制御ロール径を補正し、該補正処理は前記積分制御器の積分時間以上の時間をかけて補正処理を行うものであり、前記制御ロール径への補正処理実施後、前記積分制御器の出力が減少方向に推移しない場合は、前記速度補正量を材料特性から要求される補正制限値で制限するものであり、前記制御ロール径への補正処理実施後、前記積分制御器の出力が減少方向に推移する場合は、設定されている制御ロール径の値を前記積分制御器の出力分を加算して設定変更するものである。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から5の構成をすべて有するように構成したものである。
また、請求項7に記載の発明は、請求項4または6に記載の張力制御装置において、前記材料特性から要求される補正制限値は、前記材料のヤング率で決定され、請求項8に記載の発明は、請求項4または6に記載の張力制御装置において、前記速度補正量を材料特性から要求される補正制限値で制限して運転している間は、異常あるいは警報信号を出力することを特徴とするものである。
【0012】
上記問題を解決するため、本発明は、次のようにしたのである。
請求項9に記載の発明は、基準ロール・制御ロールによって材料を搬送する前記制御ロールを駆動する制御ロール電動機を制御する制御ロール駆動装置と、前記材料の張力を設定値どおりに張力制御するために、前記制御ロール駆動装置へのライン速度指令に加算する速度補正量を演算する比例制御器と積分制御器からなる張力制御部を備えた張力制御装置の制御方法において、前記積分制御器の出力が所定値以上となる時間が所定時間継続したときに、前記積分制御器の出力を用いて前記制御ロール径を補正し、該補正処理は前記積分制御器の積分時間以上の時間をかけて実施し、該補正処理実施後、前記積分制御器の出力が減少方向に推移しない場合は、前記速度補正量を材料特性から要求される補正制限値で制限し、前記積分制御器の出力が減少方向に推移する場合は、設定されている制御ロール径の値を前記積分制御器の出力分を加算して設定変更するという手順で処理するものである。
【0013】
さらに、請求項10に記載の発明は、基準ロール・制御ロールによって材料を搬送する搬送装置において、請求項1から6のいずれかに記載の張力制御装置を備えたことを特徴とし、請求項11に記載の発明は、基準ロール・制御ロールによって材料を搬送する搬送装置において、請求項9に記載の張力制御装置の制御方法を実施するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項に記載の発明によると、制御ロール径を張力制御器の積分項で補正することにより、ショックレス(緩やか)にかつ確実に補正できる。
特に、請求項7の発明によると、前記積分項の大きさにより異常と判断されると、速度補正出力を制限するので、材料の破損には至らない運転にでき、請求項8の発明によると、前記積分項の大きさにより異常と判断されると、異常あるいは警報信号を出力することが可能となるので、操業者がラインを安全停止することができ、不良製品の発生を少なくすることができる。
また、請求項10及び11に記載の発明によると、材料を安定して搬送が実現できるのでロールの異常速度が抑制され、材料表面の傷、破断を減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の張力制御装置を備えた搬送装置の構成図である。図1において、1は材料、2は基準ロール電動機4で駆動される基準ロールで、速度検出器5は基準ロール電動機4に結合されている。基準ロールへの速度指令は、基準ロール径設定器8の設定値(基準ロール径)とライン速度設定器9による設定値(ライン速度指令)により変換して求める。この変換は、ライン速度指令を円周率と基準ロール径で除算する処理からなる。7は基準ロール速度制御器で、基準ロールへの速度指令と速度検出器5が一致するように制御し、その出力により基準ロール駆動装置6を駆動し、基準ロール電動機4を速度制御する。
【0017】
3は制御ロール電動機10で駆動される制御ロールで、速度検出器11は制御ロール電動機10に結合されている。制御ロールへの速度指令は、制御ロール径設定器14の設定値(制御ロール径)、ライン速度設定器9による設定値(ライン速度指令)、後述する第2補正制限器23の速度補正出力により変換して求める。この変換は、ライン速度指令と速度補正出力の和を円周率と基準ロール径で除算する処理からなる。13は制御ロール速度制御器で、制御ロールへの速度指令と速度検出器11が一致するように制御し、その出力により制御ロール駆動装置12を駆動し、制御ロール電動機10を速度制御する。
【0018】
材料1の張力制御は、比例制御器17ならびに積分制御器18で行われ、張力設定器15による張力指令T*と張力検出器16で検出した張力Tが一致するように制御される。なお、積分制御器18の出力は、積分制限器19により積分制限値20で制限され、比例制御器17と積分制限器19の出力の加算値は、第1補正制限器21により第1補正制限値22で制限される。制限処理された張力制御の出力は、後述の第2補正制限器23へ入力される。
【0019】
巻径補正処理部40は、積分制御器18の積分量を監視する積分監視器26、出力リレーA27(励磁部及び接点部)、ロール径の補正処理が効果的であるか否かを判断する補正状態監視器28、出力リレーB29(励磁部及び第1の接点部)、出力リレーC30(励磁部及び接点部)、積分制御器18の出力を緩やかにロール径補正に使用するようにするロール径補正切換器31からなる。
速度補正出力の制限値の切換処理部50は、第1補正制限値22と第2補正制限値24を切り換える出力リレーB29(第2の接点部)と、前記切り換えた補正制限値を緩やかに切り換える補正制限値切換器25と最終的に速度補正量を出力する第2補正制限器23からなり、制限処理された張力制御の出力は、前述のように制御ロール3への速度指令に補正される。
なお、巻径補正処理部40と速度補正出力の制限値の切換処理部50の動作の詳細説明は後述する。
このような構成により、材料1は図内矢印方向のように基準ロール2から制御ロール3へ搬送される。
本発明が従来技術と異なる部分は、巻径補正処理部40と速度補正出力の制限値の切換処理部50とを備えた部分である。
【0020】
次に本発明の動作について説明する。
まず、巻径補正処理部40の巻径補正処理について、図2の処理フローチャートを用いて説明する。
はじめにステップ1で、積分監視器26は積分制御器18の値が積分制限値20以下であるかをチェックし、YESであれば、この処理から抜け、NOであれば、ステップ2に進む。
次にステップ2で、積分監視器26は積分制御器18の値が積分制限値20以上となった状態が所定時間継続しているかをチェックし、YESであれば、出力リレーAを励起して、ロール径を自動変更する処理を動作させ、ステップ3に進み、NOであれば、時間をカウントアップし、この巻径補正処理のはじめに戻る。
なお、ロール径の自動変更は、積分制御器18の出力を、ロール径補正切換器31により緩やかにロール径設定値に補正を行う処理である。
【0021】
次にステップ3で、ステップ2実施したロール径の自動変更処理が効果ありかどうかをチェックする。このチェックは積分制御器18の出力が減少しているか否かで判断する。積分制御器18の出力が減少していればステップ4に進み、減少していなければステップ5へ進む。
次にステップ4で、出力リレーCを励起して、ロール径設定値に現在補正しているロール径補正量を加算したロール径を新たなロール径設定値として更新し、同時に出力リレーAをOFFし、この処理から抜ける。
【0022】
次にステップ5で、出力リレーBを励起して、ロール径設定値に現在補正しているロール径補正量を加算したロール径を新たなロール径として更新し、速度補正出力に対する制限値を第1補正制限値22から第2補正制限値24を切り換え、同時に出力リレーAをOFFし、必要によりロール径異常もしくは警報信号を出力し、この処理から抜ける。なお、速度補正出力に対する制限値のスムーズな切り換え処理は後述する。
このように、積分制御器18の出力の大きさにより、ロール径設定値の自動変更処理を行うことができ、さらに実施したロール径の自動変更処理に効果がないか判断でき、効果がなければ、異常もしくは警報信号を出力させることが可能である。
【0023】
次に、速度補正出力の制限値の切換処理部50の動作について説明する。
第2補正制限器23は、第1補正制限器21の出力にさらに第2補正制限値24による制限をかけるようにして速度補正出力の制限値を切り換える動作で実現する構成としている。この制限処理は第1補正制限器21と第2補正制限値24で制限値を切り換えるように構成してもよい。
補正制御値切換器25は、第1補正制限値22から第2補正制限値24に滑らかに切り換えるためのものでラインに発生するショックを防止する。ここで第2補正制限値24は、材料特性で決定される値であり、(1)式に示すΔVで表される。
ΔV=T/(E*A) ・・・・(1)
なお、Tは張力(N)、Eは材料のヤング率(N/mm)、Aは材料の断面積(mm)である。
【0024】
ここで、第1補正制限値22と第2補正制限値24の差について、材料1が紙の場合を例にして簡単に説明する。
通常、紙におけるΔVは0.05〜0.1%程度であるが、積分制限値20や第1補正制限値22には10〜15%に設定されている。それは、理想状態であれば、積分制限値20や第1補正制限値22についても、(1)式で得られるΔVは0.05〜0.1%とすれば十分であるところ、材料1のパス長や張力時定数の大きさを考慮し、張力制御の応答を確保するためにオーバシュートを許容するため、(1)式で求まるΔVよりも大きな値を設定しているのである。
したがって、第2補正制限値24を(1)式で示されるΔVで制限するということは、スリップのない理想状態に近い運転であれば何ら問題なく運転継続でき、かつ材料の破損等には至らない値に速度補正出力を制限することを意味する。
【0025】
このように、巻径補正処理が異常と判断される場合には、制御ロール3への速度補正出力を緩やかに切り換え、しかも材料特性で決定される値以上にならないようにしているので、ロール径が正常に更新されたり、スリップが解消されたりして、巻径補正処理が正常に復帰して積分制御器18の出力が減少に転じても、ラインに急激な変化を与えないようにできるので、安定した張力制御が実現される。
【産業上の利用可能性】
【0026】
張力設定値15をダンサロール位置設定器に、張力検出器16をダンサロール位置検出器に置き換えることによって、全く同様に実施することができるので、ダンサロールを備えた張力制御を行う装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の張力制御装置を備えた搬送装置の構成図
【図2】本発明のロール径補正処理のフローチャート
【図3】従来の巻取・巻出機の張力制御装置の構成図
【符号の説明】
【0028】
1 材料
2 基準ロール
3 制御ロール
4 基準ロール電動機
5 速度検出器
6 基準ロール駆動装置
7 基準ロール速度制御器
8 基準ロール径設定器
9 ライン速度設定器
10 制御ロール電動機
11 速度検出器
12 制御ロール駆動装置
13 制御ロール速度制御器
14 制御ロール径設定器
15 張力設定器
16 張力検出器
17 比例制御器
18 積分制御器
19 積分制限器
20 積分制限値
21 第1補正制限器
22 第1補正制限値
23 第2補正制限器
24 第2補正制限値
25 補正制限値切換器
26 積分監視器
27 出力リレーA
28 補正状態監視器
29 出力リレーB
30 出力リレーC
31 ロール径補正切換器
40 巻径補正処理部
50 速度補正出力の制限値の切換処理部
101 材料
102 巻出ロール
103 ライン速度検出用ロール
104 張力検出用ロール
105 速度発電機
106 張力検出器
107 巻出モータ
108 速度発電機
109 除算器
110 加算器
111 張力設定器
112、113 加算器
114 PI制御器
115 比較器
116 比較リレー
117 比較リレー116の接点
118 乗算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準ロール・制御ロールによって材料を搬送する前記制御ロールを駆動する制御ロール電動機を制御する制御ロール駆動装置と、前記材料の張力を設定値どおりに張力制御するために、前記制御ロール駆動装置へのライン速度指令に加算する速度補正量を演算する比例制御器と積分制御器からなる張力制御部を備えた張力制御装置において、
前記積分制御器の出力により制御ロール径を補正する巻径補正処理部を備えたことを特徴とする張力制御装置。
【請求項2】
前記巻径補正処理部は、前記積分制御器の出力が所定値以上となる時間が所定時間継続したときに、前記制御ロール径への補正を行うようになっていることを特徴とする請求項1に記載の張力制御装置。
【請求項3】
前記巻径補正処理部は、前記積分制御器の出力を用いて前記制御ロール径を補正し、該補正処理は前記積分制御器の積分時間以上の時間をかけて補正処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の張力制御装置。
【請求項4】
前記制御ロール径への補正処理実施後、前記積分制御器の出力が減少方向に推移しない場合は、前記速度補正量を材料特性から要求される補正制限値で制限することを特徴とする請求項1に記載の張力制御装置。
【請求項5】
前記制御ロール径への補正処理実施後、前記積分制御器の出力が減少方向に推移する場合は、設定されている制御ロール径の値を前記積分制御器の出力分を加算して設定変更することを特徴とする請求項1に記載の張力制御装置。
【請求項6】
基準ロール・制御ロールによって材料を搬送する前記制御ロールを駆動する制御ロール電動機を制御する制御ロール駆動装置と、前記材料の張力を設定値どおりに張力制御するために、前記制御ロール駆動装置へのライン速度指令に加算する速度補正量を演算する比例制御器と積分制御器からなる張力制御部を備えた張力制御装置において、
前記積分制御器の出力により制御ロール径を補正する巻径補正処理部を備え、
前記巻径補正処理部は、前記積分制御器の出力が所定値以上となる時間が所定時間継続したときに、前記制御ロール径への補正し、
前記積分制御器の出力を用いて前記制御ロール径を補正し、
該補正処理は前記積分制御器の積分時間以上の時間をかけて実施し、
該補正処理実施後、前記積分制御器の出力が減少方向に推移しない場合は、前記速度補正量を材料特性から要求される補正制限値で制限し、前記積分制御器の出力が減少方向に推移する場合は、設定されている制御ロール径の値を前記積分制御器の出力分を加算して設定変更することを特徴とする張力制御装置。
【請求項7】
前記材料特性から要求される補正制限値は、前記材料のヤング率で決定されることを特徴とする請求項4または6に記載の張力制御装置。
【請求項8】
前記巻径補正処理部は、前記速度補正量を材料特性から要求される補正制限値で制限して運転している間は、異常あるいは警報信号を出力することを特徴とする請求項4または6に記載の張力制御装置。
【請求項9】
基準ロール・制御ロールによって材料を搬送する前記制御ロールを駆動する制御ロール電動機を制御する制御ロール駆動装置と、前記材料の張力を設定値どおりに張力制御するために、前記制御ロール駆動装置へのライン速度指令に加算する速度補正量を演算する比例制御器と積分制御器からなる張力制御部を備えた張力制御装置の制御方法において、
前記積分制御器の出力が所定値以上となる時間が所定時間継続したときに、前記積分制御器の出力を用いて前記制御ロール径を補正し、
該補正処理は前記積分制御器の積分時間以上の時間をかけて実施し、
該補正処理実施後、前記積分制御器の出力が減少方向に推移しない場合は、前記速度補正量を材料特性から要求される補正制限値で制限し、前記積分制御器の出力が減少方向に推移する場合は、設定されている制御ロール径の値を前記積分制御器の出力分を加算して設定変更することを特徴とする張力制御装置の制御方法。
【請求項10】
基準ロール・制御ロールによって材料を搬送する搬送装置において、
請求項1から6のいずれかに記載の張力制御装置を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項11】
基準ロール・制御ロールによって材料を搬送する搬送装置において、
請求項9に記載の張力制御装置の制御方法を実施する搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−208957(P2009−208957A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56725(P2008−56725)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】