説明

強カラーフロップ性効果顔料

【課題】改良された光学的性質をもち、特に強力カラーフロップをもち、非常に広範囲の応用において普遍的に用いることができる効果顔料を見出すこと。
【解決手段】カラーフロップがa、b色座標系(CIELAB L,a,b系)の4つの象限すべてにわたって生じる、一様な厚さを有する金属酸化物被覆SiO2フレークを含むカラーフロップ性の効果顔料に関し、また一様な厚さを有するSiO2フレークが金属酸化物で被覆されているというこの効果顔料の製造方法、さらにこの顔料を化粧品、塗料、コーティング、プラスチック、フィルムに、セキュリティ印刷、書類におけるセキュリティ特色および身元証明書、種子の着色、食品の着色、薬剤のコーティング、顔料組成物および乾燥製剤の製造に使用することに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフロップがa、b色座標系(CIELAB L,a,b系)の4つの象限すべてにわたって生ずる、一様な厚さを有する金属酸化物被覆SiO2フレークを含むカラーフロップ性効果顔料に関する。本発明はまた、一様な厚さを有するSiO2フレークが酸化金属で被覆されている効果顔料の製造方法ならびにこれらの顔料を化粧品、塗料、コーティング、プラスチック、フィルムに、セキュリティ印刷に、書類におけるセキュリティ特色(security feature)および身元証明書に、種子の着色に、食品の着色に、または薬剤のコーティングに、ならびに顔料組成物および乾燥製剤(dry preparation)の製造に使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
光沢すなわち効果顔料は広く使用されている。この種の顔料は、自動車塗料、あらゆる種類の装飾コーティングに、およびプラスチックの着色に、塗料および印刷インク、特にセキュリティ印刷用のインクに、および化粧品への応用において必要欠くべからざるものとなっている。これらの顔料を取り囲むマトリックス中で、これらの顔料がコーティングの表面に平行に整列して、内部光の複雑な干渉、反射および吸収を通じて、光学的効果を発揮するのが理想的である。鮮明な色、視角に依存する異なる色の間の変化いわゆるカラーフロップ、または変動する明度の印象は種々の応用にとって興味の焦点である。
【0003】
この種の顔料は、通常フレーク状の金属または非金属基材を金属酸化物または金属層で被覆することにより製造される。これらの顔料の大部分は金属または雲母、滑石などのフィロケイ酸塩またはガラスを含むフレーク状基材をベースにしている。
【0004】
その際のフィロケイ酸塩の欠点は、特に、基材の厚さが広範囲に変動して特定したようには調節できず、その結果、透明な基材の場合でさえも基材における光の透過及び反射が実質上制御不能な状態で起こり、それ故特定の様式で利用できないことである。
【0005】
WO93/08237はベルト技術によって比較的層厚の変動を小さくして製造され得るSiO2フレークをベースとする効果顔料を開示している。WO93/08237に記載されているSiO2フレークの厚さは、一般に200nmと2μmの間である。
【0006】
これまでに公開された顔料は所望の効果すべては達成できないので、その結果、広範囲の種々な用途で普遍的に使用でき、新規で興味ある色効果を発揮できる新規な顔料への絶えざる要求がある。特に、強いカラーフロップを発揮する効果顔料にかなり大きな関心がある。視角の関数として色がいろいろ変化することは日用品の装飾デザインにおいて重要性を増しつつあり、その結果、色変化が新規である顔料に対する絶えざる要求がある。今までに公開されたカラーフロップ顔料は近接した色領域でのみ色変化を示すものである。多くの色を含む色変化をする効果顔料は知られておらず、それ故これらの効果を発揮する効果顔料への大きな要求がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、改良された光学的性質をもつ、特に強カラーフロップをもつ、非常に広範囲の応用において普遍的に用いることができる効果顔料を見出すことであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、本発明の顔料によって達成される。したがって本発明は、カラーフロップがa、b色座標系(CIELAB L,a,b系)の4つの象限すべてにわたって生ずる、一様な層の厚さを有する金属酸化物被覆SiO2フレークを含むカラーフロップ性効果顔料に関する。
【0009】
本発明において本発明の顔料の色特性の評価は、CIELAB L,a,b系として知られているa、b色座標系にしたがって実施される。CIEL***表色系は最もよく知られ最も普及した表色系である。CIELABモデルにおいては、明度の等しいすべての色相が円形の平面上にあり、その平面状でaおよびb軸は互いに直交する位置にある。平面はこのようにしてaおよびb軸により各象限に分割される。正のa値は赤味であり、負のa値は緑の色合いであり、正のb値は黄味であり、負のb値は青味である。色をCIELABで定義するならば、aは赤/緑値を、bは黄/青値を表わす。高度に飽和した純粋な色相は色円の縁に位置する。飽和度は軸に向かって内側に移動すると低下して、ゼロになる(無色、グレイ)。補色は互いに反対側にある。
【0010】
本発明はまた、一様な層の厚さを有するSiO2フレークが金属酸化物で被覆されていることを特徴とする、これらの効果顔料の製造方法に関する。
【0011】
驚くべきことに本発明の効果顔料は、a、b色座標系の4つの象限全体に広がった、従来達成されたことのない色変化を発揮することが見出された。これらの新規な効果顔料の提供は、当業者に知られた応用の全領域におけるデザインにおいて、デザイナーが特別の色効果を導入することを可能にするものである。SiO2層とSiO2層につけられた金属酸化物とに対して選択された層厚に依存して、色曲線は異なった色で出発し、または止まることができる。たとえば、金属酸化物として酸化鉄を使用すると、この材料の吸収特性の結果として、異なる視角から見ると、吸収と干渉との追加的重ね合わせにより、またさらに大きい隠ぺい力によって特徴づけられる色曲線が観察される。更なる利点として、ここで明らかなのは、本発明の効果顔料が透明ないし半透明であることである。このことは、色が角度に依存する応用系の特別の色彩を特に調節するために、これらの顔料を他の透明な顔料ばかりでなく不透明な顔料とも混合するための特別広範囲な自由度を許すものである。顔料粒子の全厚が小であることのため、顔料粒子は要求の厳しいコーティング系を含めて、すべての用途に適するように思われるものとなっている。
【0012】
有利な性質により、本発明の効果顔料は非常に広範囲の種類の多くの応用分野に普遍的に適している。したがって、本発明はまた、これらの顔料を、化粧品、塗料、コーティング、プラスチック、フィルムに、セキュリティ印刷に、書類におけるセキュリティ特色および身元証明書に、種子の着色に、食品の着色に、または薬剤のコーティングに、ならびに顔料組成物および乾燥製剤の製造に使用することに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の顔料は、層厚が一様な、好ましくは国際出願WO93/08237にしたがって、水ガラス溶液の固化および加水分解により連続ベルト上で製造された合成SiO2フレークをベースとする。ここで、均一な層厚という用語は、層厚許容誤差が粒子の全乾燥層厚の3%から10%まで、好ましくは3%から5%までであるという意味に解釈する。フレーク状の二酸化ケイ素粒子は一般に非晶質形である。この種の合成フレークは、例えば雲母のような天然材料に対して、層厚を所望の効果に合わせて調節でき、また層厚許容誤差がせばめられるという利点を有する。層厚分布中の偏差が少し大きくなるだけでもカラーフロップ曲線の広がりが制限されて、a、b色座標系の4つの象限すべてでカラーフロップを観察することが不可能になるので、この利点は所望のカラーフロップにとって必要不可欠である。
【0014】
SiO2フレークの直径は、通常1μmと250μmの間、好ましくは2μmと100μmの間である。その厚さは520nmと560nmの間、好ましくは530nmと550nmの間である。フレーク状SiO2フレークの平均アスペクト比すなわち、ここでは平均直径に当る平均長測定値と平均厚測定値との比は、一般に5から200まで、好ましくは20から150まで、そして特に好ましくは30から120までである。
【0015】
本発明の顔料中の前記のSiO2フレークは、たとえば二酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、亜酸化物たとえばチタンの亜酸化物、および/または上記材料の混合物のような金属酸化物層で被覆されている。ここに挙げたリストは挙げなかった金属酸化物の使用を排除するものではない。特に好ましい金属酸化物は酸化鉄および/または二酸化チタンである。本発明において酸化鉄はヘマタイト(α−Fe23)の形態であることが好ましく、二酸化チタンはルチル変態であることが好ましい。金属酸化物層の厚さは15nmから40nmまで、好ましくは20nmから35nmまでである。金属酸化物およびその層厚の適当な選択によって、色曲線の出発点と終点を決めることができる。
【0016】
本発明のさらなる実施形態において、本発明の効果顔料はさらに外層として付加的な安定化有機コーティングを備えることができる。そのような被覆の例を挙げれば、例えば、EP0632109、US5759255、DE4317019、DE3929423、DE3235017、EP0492223、EP0342533、EP0268918、EP0141174、EP0764191、WO98/13426またはEP0465805があり、これらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。例えばオルガノシランまたは有機チタン酸エステルまたは有機ジルコン酸エステルの有機コーティングを含む効果顔料は、上述した光学特性に加えて、例えば湿気および光線のような屋外暴露の影響に対する安定性の増大を示すが、この安定性は工業的コーティングにとって、および自動車産業部門において特別の関心事である。安定化は付加的コーティングの無機成分によって改良することができる。全体として、付加的な安定化コーティングに対するそれぞれの比率は、本発明の効果顔料の光学特性が大きく影響されないように選択するべきである。
【0017】
また本発明は、一様な層の厚さを有するSiO2フレークが金属酸化物で被覆されているこれらの効果顔料の製造方法に関する。
【0018】
金属酸化物での被覆は湿式化学法および/またはCVDもしくはPVDプロセスによって実施することができる。
【0019】
効果顔料製造のための本発明の方法は、例えば次の公告に記載されている真珠光沢顔料の製造のために開発された公知の湿式化学コーティング技術を利用する湿式化学プロセスであるのが好ましい:
DE1467468、DE1959988、DE2009566、DE2214545、DE2215191、DE2244298、DE2313331、DE2522572、DE3137808、DE3137809、DE3151343、DE3151354、DE3151355、DE3211602、DE3235017。
【0020】
被覆のためには、SiO2フレークを水に懸濁して対応する無機金属化合物を添加し、酸または塩基の同時添加により調節し一定に維持した、各酸化金属の沈殿に必要なpHで沈殿させることにより金属酸化物で被覆する。次に被覆されたSiO2フレークは水性懸濁液から分離して乾燥し、場合によって焼成する。
【0021】
本発明において焼成温度は各場合に存在する金属酸化物の被覆に対して最適化できる。しかし一般的には、焼成温度は250℃と1000℃の間で、特に350℃と900℃の間である。
【0022】
金属酸化物層がTiO2を含んでいるのであれば、この層はUS3553001に記載されている方法を用いて適用するのが望ましい。この方法では、無機チタン塩の水溶液を、約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱したSiO2フレークの懸濁液にゆっくりと加え、同時に計量した塩基を加えて、pHを0.5から5、特に1.5から2.5で実質上一定に保つ。TiO2水和物の層の厚さが所望の厚さに達したらすぐに、チタン塩溶液と塩基の添加を止める。この方法は滴定プロセスとしても知られているもので、その特徴としては、チタン塩が過剰でなくて、常に水和TiO2で一様に被覆するために必要で、被覆すべきSiO2フレーク表面に付着し得る量だけ時間単位毎に供給することができる。それ故、この溶液は被覆すべき表面に沈着しなかった水和二酸化チタン粒子を含むことがない。
【0023】
原理的に、CVDまたはPVDコーティングプロセスもまた、本発明の顔料の製造に適している。本発明においては、全表面の均一被覆を確実にするために蒸着工程の間、SiO2フレークの動きを一様に保つことが必要である。
【0024】
加えてまた、本発明の方法において、有機コーティングも外層として追加して付着させることができる。この種のコーティングプロセスの例はとりわけ、EP0632109、US5759255、DE4317019、DE3929423、DE3235017、EP0492223、EP0342533、EP0268918、EP0141174、EP0764191、WO98/13426またはEP0465805に提示されている。有機コーティングの例および関連する利点は、すでに本発明の顔料の構造のところで述べた。有機コーティング適用の工程ステップは本発明の工程の他のステップをそのまま踏襲することができる。ここでのみ適用される物質は、顔料全体の中で0.1から5重量%、好ましくは0.5から3重量%の重量比率をもつ。
【0025】
本発明の効果顔料は種々な用途で使用することができる。したがって、本発明はまた、本発明の顔料を、化粧品、塗料、コーティング、プラスチック、フィルムに、セキュリティ印刷に、書類におけるセキュリティ特色および身元証明書に、種子の着色に、食品の着色に、または薬剤のコーティングに、ならびに顔料組成物および乾燥製剤の製造に使用することに関する。
【0026】
化粧品の場合本発明の効果顔料は、例えばマニキュア、カラーパウダー、口紅、またはアイシャドウ、石鹸、歯磨きペースト等々のような装飾的化粧品における製品および製剤に特に適している。本発明の効果顔料は、勿論、製剤中ですべての種類の化粧品原料および助剤と配合することもできる。これらに含まれるものは、とりわけ、油、脂肪、蝋、皮膜形成剤、保存剤、および応用特性を概して決定する助剤、例えば増粘剤のようなものおよびレオロジカル添加剤、例えばベントナイト、ヘクトライト、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ゼラチン、高分子量炭水化物、および/または表面活性助剤等々のようなものである。本発明の効果顔料を含む製剤は親油性、親水性または疎水性のタイプのものであってよい。不連続の水相および非水相を有する不均一な製剤の場合に、本発明の粒子は各場合に2相の一方にのみ存在してもよく、あるいはまたは両相に分布していてもよい。
【0027】
水性製剤のpHは1と14の間であることが可能であるが、好ましくは、2と11の間であり、特に5と8の間が好ましい。本発明の効果顔料の製剤中濃度に限度はない。用途によって、濃度は0.001%(リンス用製品、例えばシャワージェル)と99%(例えば特殊用途の光沢効果商品)の間であってよい。本発明の効果顔料は、さらに化粧品の活性成分とも配合できる。適当な活性成分は、例えば、昆虫忌避剤、UV A/BC防護フィルター(例えばOMC、B3、MBC)、老化防止活性成分、ビタミンおよびその誘導体(例えばビタミンA、C、Eその他)、自己日焼け剤(self−tanning agent)(例えば特にDHA、エリトルロース)、およびさらに他の化粧用活性成分、例えばビサボロール、LPO、エクトイン、エンブリカ、アラントイン、ビオフラボノイドおよびその誘導体である。
【0028】
効果顔料を塗料およびコーティングに使用するにあたって、当業者に知られているすべての領域の応用が可能であり、そのようなものの例を挙げれば、粉末コーティング、自動車塗料、印刷インクとしてグラビア、オフセット、スクリーンもしくはフレクソグラフ用のもの、および屋外用途におけるコーティングである。本発明における塗料およびコーティングは、例えば、放射線硬化、物理的乾燥、または化学的硬化でよい。印刷インクまたは液状コーティング材を製造するためには、たとえばアクリレート、メタクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ニトロセルロース、エチルセルロース、ポリアミド、ポリビニルブチレート、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、デンプン、またはポリビニルアルコール、アミノ樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニルまたはこれらの混合物をベースとする多種類のバインダーが、とりわけ水溶性グレードのものが適している。コーティングは、水または溶媒をベースとするコーティングで、コーティング成分の選択は当業者の通常の知識で可能である。粉末コーティングによく使われるポリマーバインダーは、たとえばポリエステル、エポキシド、ポリウレタン、アクリレート、またはこれらの混合物である。
【0029】
さらに、本発明の効果顔料は、フィルムおよびプラスチック、それから例えば農業用シート、赤外線反射フィルムおよびシート、ギフトフォイル、プラスチック容器ならびに当業者に知られているすべての用途のための成形品に使用できる。本発明の効果顔料の導入に適したプラスチックはすべての一般的なプラスチックで、例えば熱硬化性または熱可塑性プラスチックである。可能な応用および適当なプラスチック、加工法および添加剤は、例えばRD 472005またはR.Glausch、M.Kieser、R.Maisch、G.Pfaff、J.Weitzel、Perlglanzpigmente[Pearlescent Pigments]、Curt R.Vincentz Verlag、1996、83 ff.に示されており、その開示内容は本明細書に組み込まれる。
【0030】
さらに、本発明の効果顔料はセキュリティ印刷およびセキュリティ関連のフィーチャー例えば偽造防止カードおよび身元証明書例えば入場券、個人身分証明書、銀行券、小切手、小切手保証カード、およびその他の偽造防止書類に使用するのに適している。色がa、b色座標系の4つの象限すべてにわたって生じるという事実に起因して、本発明の顔料は明確に検出することができ、他のカラーフロップ顔料と識別できる。このことから、模倣者が効果顔料を使用して貴重品を偽造することが今までより困難になる。貴重品に使われているのが、単純な顔料かそれとも本発明の顔料かが直視による比較で簡単にわかるからである。効果顔料は、農業分野では種子および他の出発材料の着色用に、さらに食品部門において食品着色用に使用できる。本発明の効果顔料はまた、例えば錠剤または糖衣錠のような薬剤における着色被覆のために使用できる。
【0031】
上述の応用分野において本発明の効果顔料は、有機染料および/または顔料例えば透明および不透明な白色、着色および黒色顔料など、ならびにフレーク状の酸化鉄、有機顔料、ホログラフ顔料、LCPs(液晶ポリマー)ならびに雲母、ガラス、Al23、Fe23、SiO2等をベースにした在来の透明な、着色したおよび黒色の光沢顔料と混合して使用するのにもまた適する。本発明の効果顔料は市場で入手可能な顔料および充填材といかなる比でも混合可能である。
【0032】
名を挙げることができる充填材は、例えば天然および合成雲母、ナイロン粉末、純粋もしくは充填材入りのメラミン樹脂、滑石、ガラス、カオリン、酸化もしくは水酸化アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、BiOCl,硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭素、およびこれらの物質の物理的または化学的組み合わせである。充填材の粒子形状に関する制限はない。充填材は要求に合わせて、例えばフレーク状、球形または針状でもよい。
【0033】
さらに本発明の効果顔料は、1種または複数種の本発明の粒子、バインダーおよび場合によって1種または複数種の添加物を含む流動性顔料組成物および乾燥製剤の製造に適している。乾燥製剤という用語は、重量で0から8%、好ましくは重量で2から8%、特に重量で3から6%の水および/または溶媒または混合溶媒を含む製剤を意味すると解釈する。乾燥製剤は、好ましくはペレット、顆粒、チップ、ソーセージ状、または豆炭状の形状で、粒子サイズは0.2〜80mmである。乾燥製剤は、特に印刷インクおよび化粧品製剤の製造に使用される。
【0034】
上記のすべての特許出願、特許および刊行物の完全な開示内容は参照により本出願に組み込まれる。
【実施例】
【0035】
次の実施例は本発明をさらに詳細に説明することを意図するもので、本発明を限定するものではない。
【0036】
実施例1
Fe23/SiO2顔料
100gのSiO2フレーク(厚さ540nm)を2lの脱塩水中で75℃に加熱する。172mlのFeCl3溶液(20%のFe23に相当)を撹拌しつつ加える。反応混合物のpHは水酸化ナトリウム溶液(30%)の添加により3で一定に保つ。FeCl3溶液を加えた後、水酸化ナトリウム溶液(32%)を使用してpHを5に上げる。生成物を濾別して脱塩水で洗う。110℃で乾燥後、生成物を800℃で焼成する。
【0037】
このようにして製造した顔料は、塗料カードを90度から180度まで傾けると、図1(−●−)に示した色特性を発揮する。すなわち、a、b表色系の4つの象限のすべてがこの過程において通過されている。このように本発明の顔料は全体にわたってフロップを発揮する。
【0038】
比較例
WO93/08237によるFe23/SiO2顔料
100gのSiO2フレーク(厚さ445nm)を1lの脱塩水中で75℃に加熱する。237mlのFeCl3溶液(27.5%のFe23に相当)を撹拌しつつ加える。反応混合物のpHは水酸化ナトリウム溶液(30%)の添加により3で一定に保つ。FeCl3溶液を加えた後、水酸化ナトリウム溶液(30%)を使用してpH5に上げる。生成物を濾別して脱塩水で洗う。110℃で乾燥後、生成物を800℃で焼成する。
【0039】
このようにして製造した顔料は、塗料カードを90度から180度まで傾けると、図1(−◆−)に示した色特性を発揮する。すなわち、a、b表色系の2つの象限だけがこの過程において通過されている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のカラーフロップ性効果顔料と従来技術による顔料との、a、b表色系における色変化の比較を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフロップがa、b色座標系(CIELAB L,a,b系)の4つの象限すべてにわたって生ずることを特徴とする、一様な層の厚さを有する金属酸化物被覆SiO2フレークを含むカラーフロップ性効果顔料。
【請求項2】
一様な層の厚さを有するSiO2フレークの層厚の許容誤差が、粒子の全乾燥層厚の3%から10%までであることを特徴とする請求項1に記載の効果顔料。
【請求項3】
SiO2フレークの厚さが520nmから560nmまでであることを特徴とする請求項1または2に記載の効果顔料。
【請求項4】
SiO2フレークの直径が1μmと250μmの間であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項5】
金属酸化物が酸化鉄および/または二酸化チタンであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項6】
酸化鉄がヘマタイト形(α−Fe23)であり、二酸化チタンがルチル変態であることを特徴とする請求項5に記載の効果顔料。
【請求項7】
酸化金属層の厚さが15から40nmまでであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項8】
効果顔料に有機コーティングを追加して適用することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項9】
一様な層の厚さを有するSiO2フレークが金属酸化物で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の効果顔料の製造方法。
【請求項10】
SiO2フレーク厚さが520nmから560nmであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
酸化金属による被覆を酸化金属層の厚さが15nmと40nmの間になるように実施することを特徴とする請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
酸化金属による被覆を湿式化学法および/またはCVDもしくはPVDプロセスによって実施することを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
金属酸化物が酸化鉄および/または二酸化チタンであることを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の効果顔料の、化粧品、塗料、コーティング、プラスチック、フィルムに、セキュリティ印刷に、書類におけるセキュリティ特色および身元証明書に、種子の着色に、食品の着色に、または薬剤のコーティングに、ならびに顔料組成物および乾燥製剤の製造への使用。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−199959(P2006−199959A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−7263(P2006−7263)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】