説明

強固に装着されるトラックローラを備えるボギーアンダキャリッジ・デザイン

【課題】リアドライブスプロケットに近いまたは隣接する強固に装着されるローラを有することができるアンダキャリッジを提供すること。
【解決手段】その他のローラおよびボギーは弾力的に懸架され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンダキャリッジボギー(undercarriage bogie)のためのトラックローラに関し、より詳細には、強固に装着されるトラックローラに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、米国特許第7,025,429号に例示されるように(図6参照)、衝撃を吸収するためにおよび重量配分を改善するために、アンダキャリッジトラックローラおよびボギーにサスペンション要素を設ける。この手法は、ドライブスプロケットに隣接するトラックローラにまで達する場合、ドライブスプロケットの損傷および回避可能な磨耗を引き起こす可能性がある。また、荷重状態下では、リアドライブスプロケットは、クローラを前方方向に推進するためにトラックを引っ張り、それによりトラックが引っ張られた状態になり、本質的に、ドライブスプロケットに最も近いローラに高価なサスペンションを設ける必要性が排除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,025,429号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書で開示されるのは、リアドライブスプロケットに近いまたは隣接する強固に装着されるローラを有することができるアンダキャリッジである。その他のローラおよびボギーは弾力的に懸架され得る。比較して、強固に装着されるローラは、とりわけ、トラック全体の車両重量配分を改善し、アンダキャリッジの部品の数を減少させ、破片がドライブスプロケットの歯領域に入らないようにする防止力を向上させ、ファイナルドライブに対する地上荷重および衝撃荷重を低減する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本発明を使用することができる車両を示す図である。
【図2】フレーム、および、本発明を使用するアンダキャリッジの一部を示す側面図である。
【図3】フレームに対して回転しないアンダキャリッジの一部を示す側面図である。
【図4】フレームに対して回転する図3のアンダキャリッジの部分を示す側面図である。
【図5】アンダキャリッジを示す側面図である。
【図6】米国特許第7,025,429号に開示される従来技術のアンダキャリッジを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は作業車を示しており、ここでは本発明が使用され得る。示されるドーザ10は、キャップ20、本体30、主フレーム40、および、トラックフレーム組立体100を有する。
【0007】
図2は、トラックフレーム組立体100の一部、さらには、主フレーム40の一部、および、ギアボックス(図示せず)を介して主フレーム40に強固に取り付けられるリアスプロケットドライブ50の側面図を示している。示されるように、アンダキャリッジ100は、第1の静止した部分200aおよび第2の可動部分200bを有するトラックフレーム組立体200と、枢動箇所211のところで可動部分200bに枢動可能に取り付けられるアイドラボギーアーム(idler bogie arm)210と、216のところでアイドラボギーアーム210の第1の端部210aに回転可能に取り付けられるアイドラ215と、アイドラボギーアーム210の第2の端部210bに取り付けられる第1の弾性パッド212と、枢動軸213のところでアイドラボギーアーム210の第2の端部210bに枢動可能に取り付けられる第1の小型ボギーアーム214と、を有していてよい。さらに、枢動シャフト221のところでその第1の端部220aが静止部分200aに枢動可能に取り付けられている第1のローラボギーアーム(roller bogie arm)220と、第1のローラボギーアーム220の第2の端部220bに取り付けられる第2の弾性パッド222と、枢動軸223のところで第1のローラボギーアーム220の第2の端部220bに枢動可能に取り付けられる第2の小型ボギーアーム224と、が示されている。この図示はさらに、枢動シャフト231のところで第1の端部230aが静止部分200aに枢動可能に取り付けられる第2のローラボギーアーム230と、第2のローラボギーアーム230の第2の端部230bに取り付けられる第3の弾性パッド232と、枢動シャフト233のところで第2のローラボギーアーム230に枢動可能に取り付けられる第3の小型ボギーアーム234と、をさらに含む。2つのローラ217が、従来の方式で小型ボギーアーム214、224および234の各々に回転可能に取り付けられて、それらのそれぞれの軸215’を中心に回転してよい。弾性コネクタ212、222および232がエラストマー材料で作られてよく、これらは、従来の方式で、説明したアイドラボギーアーム210ならびに第1のローラボギーアーム220および第2のローラボギーアーム230さらには静止部分に取り付けられてよい。弾性静止パッド212’、222’および232’が同様に静止部分200aに取り付けられてよく、これらの静止パッド212’、222’および232’は、第2の端部210b、220bおよび230bが静止部分200aに接近するように移動するときに、それらがそれぞれ対合する弾性パッド212、222および232との接触が最大となるように位置決めされてよい。また、これらの弾性パッド212’、222’および232’もエラストマー材料で作られてよい。示されるように、固定されたローラ300が、固定されたローラ回転軸301のところでトラックフレーム200に回転可能に取り付けられ、ここでは、固定されたローラ回転軸301はトラックフレーム200に対して堅固に配置される。図5に示されるように、アンダキャリッジ100はトラック101をさらに有する。車両10のもう一方の側のトラックフレーム200は示されるトラックフレーム200に等しい反転物であることから、これらの図にはトラックフレーム組立体200が1つのみ示されていることに留意されたい。
【0008】
図2、3および4に示されるように、トラックフレーム200および主フレーム40が枢動シャフト201を介して枢動可能に連結されてよい。示されるように、ドライブスプロケット50がファイナルドライブ(図示せず)および従来のハウジング構造(詳細には図示せず)を介して主フレーム40に回転可能に連結されていてよく、ドライブスプロケット50は、主フレーム40に対して固定された位置を有する軸51を中心に回転することができる。トラックフレーム200が支持バー(図示せず)に摺動可能に連結されてよい。支持バー(図示せず)は、トラックフレーム200の間の中間位置で主フレーム40に枢動可能に連結されてよく、枢動シャフト210を中心として各トラックフレーム200の回転の角度範囲を最大で例えば±3°の角度範囲に制限することができる。
【0009】
車両が地面の不規則な領域を移動するとき、ローラボギーアーム220、230さらにはアイドラボギーアーム210は、地形および車両10の重量の要求に応じてそれらのそれぞれの軸221、231および211の上で枢動することができる。さらに、車両10の重量がトラックチェーン110を湾曲させて地面の形状に適合させるときに、不規則性に対応できるように、取り付けられたローラ217がそれらのそれぞれの軸218を中心に回転し、小型ボギーアーム214、224、234がそれらのそれぞれの軸213、223、233を中心に枢動する。
【0010】
図2に示されるように、固定されたローラ300は、トラックフレーム200に対して強固に固定された軸301を有していてよいことから、地面の形状に対応できるようにトラックフレーム200に対して曲げられ得ない。さらに、固定されたローラ300がドライブスプロケット50に実施可能な限り接近して配置され得る。固定されたローラ300がドライブスプロケット50に近接していることにより、固定されたローラ300は、大量の破片がドライブスプロケットに到達するのを防止することが可能になる。なぜなら、固定されたローラがドライブスプロケット50に接触する前にそのような破片を粉砕して排除しやすくなるためである。固定されたローラ300はまた、ドライブスプロケット50によって受けられる重量および衝撃荷重の大きさを軽減することができる。というのは、固定されたローラ300が、ドライブスプロケット50に近接していることによりその位置においていかなる荷重もその大部分を受けることができるからである。
【0011】
図2に示されるように、枢動シャフト201の軸およびドライブスプロケットの回転軸51は、地面からほぼ等距離になるように、すなわちY1≒Y2になるように配置されてよい。このような配置構成により、固定されたローラ300とドライブスプロケット50との間の距離を最小にすることが可能となり、上述したように重量配分が改善される。
【0012】
図4は、主フレームに対して3°の最大角度位置にある、すなわち、固定されたローラ300の外側半径R1とドライブスプロケット50の外側半径R2との間の距離を減少させる方向の3°の角度位置にある、トラックフレームを示している(注:図2および3は、主フレームに対して0°の角度位置にあるトラックフレームを示している。図2はR1およびR2を示している)。本発明のこの例示の実施形態では、固定されたローラ300とドライブスプロケット50との間で干渉しないように示される最大角度位置にあるR1とR2との間の、図4に示される最小距離Xminは、3から6センチメートルの範囲内にあってよい。したがって、トラックフレーム200、主フレーム40およびドライブスプロケット50は、3°の最大角度位置においてD1とD2との間の距離が3から6センチメートルの間となるように、設計され得る。このような設計により、0°の角度位置においてR1とR2との間で実施可能な最小距離が得られる。
【0013】
上述したように、また、図3に示されるように、固定されたローラの回転軸301は、トラックフレーム200が枢動シャフト201を中心に主フレーム40に対して回転するときは常に、ドライブスプロケットの回転軸51に対して移動することができる。上で説明したように、この例示の実施形態では、トラックフレーム200と主フレーム40の間の回転運動は、例えば±3°の所定の角度範囲で制限され得る。したがって、固定されたローラ300をドライブスプロケット50に実施可能な限り接近させて配置するために、固定されたローラ300は、主フレーム40とトラックフレーム110との間の相対角度が固定されたローラ300とドライブスプロケット50との間の距離を減少させる方向で最大(例えば、3°)となるときに、ドライブスプロケット50の運動に干渉するのを回避するように配置され得る。この例示の実施形態では、固定されたローラ300の外径D1とドライブスプロケット50の外径D2との間の実質的な最小距離Dminは、主フレーム40とトラックフレーム200との間の相対角度が3°の最大値であるときに3から6センチメートルの間とすることができる。したがって、トラックフレーム200と主フレーム40との間の相対角度が図4の角度Cの約0°であると仮定すると、図4の実質的な最小距離Dminは、(a2+b2−(2ab)×Cos(C−3°))1/2−(D1+D2)/2に等しくてよい。未定のすべての角度および長さは、正弦法則および/または余弦法則を使用して決定され得る。この例示の実施形態以外の構成の場合の実質的な最小距離が、0°より大きいまたは小さい任意の値の最大角度において0センチメートルより大きい値を含む、より大きい任意の範囲であってよいことに留意されたい。
【0014】
好適な実施形態を説明してきたが、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく種々の修正形態が作られ得ることは明白である。
【符号の説明】
【0015】
10 ドーザ
20 キャップ
30 本体
40 主フレーム
50 リアスプロケットドライブ
51 回転軸
100、200 トラックフレーム組立体
101 トラック
110 トラックチェーン
200a 第1の静止した部分
200b 第2の可動部分
201、221 枢動シャフト
210 アイドラボギーアーム
210a アイドラボギーアームの第1の端部
210b アイドラボギーアームの第2の端部
211、231 軸
212、222、232 弾性コネクタ
212’、222’、232’ 弾性静止パッド
213、223、233 軸
214 第1の小型ボギーアーム
215 アイドラ
215’ 軸
217 ローラ
218 軸
220 第1のローラボギーアーム
220a 第1のローラボギーアームの第1の端部
220b 第1のローラボギーアームの第2の端部
222、232 弾性パッド
223 枢動軸
224 第2の小型ボギーアーム
230 第2のローラボギーアーム
230a 第2のローラボギーアームの第1の端部
230b 第2のローラボギーアームの第2の端部
231、233 枢動シャフト
234 第3の小型ボギーアーム
300 固定されたローラ
301 固定されたローラ回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックフレームと、
前記トラックフレームに枢動可能に取り付けられるアイドラボギーアームと、
前記アイドラボギーに回転可能に取り付けられるアイドラと、
前記トラックフレームに枢動可能に取り付けられるローラボギーアームと、
前記ボギーアームに枢動可能に取り付けられるローラボギーと、
前記ローラボギーに回転可能に取り付けられるローラと、
ドライブスプロケットと、
前記トラックフレームに強固に装着された軸に回転可能に取り付けられる、前記ドライブスプロケットに隣接する固定されたトラックローラと
を有するアンダキャリッジ。
【請求項2】
主フレーム枢動シャフトを有する主フレームをさらに有し、前記主フレーム枢動シャフトの上で、前記トラックフレームが前記主フレームに対して枢動し、前記主フレーム枢動シャフトが軸を有する、請求項1に記載のアンダキャリッジ。
【請求項3】
前記ドライブスプロケットがドライブスプロケット回転軸を有し、前記ドライブスプロケット回転軸および前記主フレーム枢動シャフトの軸が前記トラックフレーム組立体の底部からほぼ等しい垂直距離のところにある、請求項2に記載のアンダキャリッジ。
【請求項4】
前記トラックフレームが前記主フレームに対して枢動するときの最大角度が約3°である、請求項3に記載のアンダキャリッジ。
【請求項5】
前記固定されたトラックローラの外径と前記ドライブスプロケットの外径をさらに有し、前記固定されたトラックローラの前記外径と前記ドライブスプロケットの前記外径との間の距離が、前記トラックフレームと前記主フレームとの間の最大相対角度において3センチメートルから6センチメートルの範囲内にある、請求項3に記載のアンダキャリッジ。
【請求項6】
リア枢動シャフトを有する主フレームと、
前記リア枢動シャフトのところにおいて前記主フレームに枢動可能に取り付けられるトラックフレームであって、前記トラックフレームが所定の回転限界を有する、トラックフレームと、
前記トラックフレームに枢動可能に取り付けられるアイドラボギーアームと、
前記アイドラボギーアームの第1の端部に回転可能に取り付けられるアイドラと、
前記トラックフレームに枢動可能に取り付けられるローラボギーと、
前記ローラボギーアームに枢動可能に取り付けられる小型ボギーと、
前記小型ボギーに回転可能に取り付けられるトラックローラと、
トラックと、
回転軸を有し、前記主フレームに回転可能に取り付けられるリアドライブスプロケットと、
前記リアドライブスプロケットに隣接する、前記トラックフレームに強固に装着されるリアトラックローラであって、前記リアトラックローラが前記トラックフレームに対して固定される回転軸を有し、前記リアトラックローラが、前記トラックフレームが前記リアトラックローラと前記リアドライブスプロケットとの間の距離を減少させる方向において所定の回転限界まで回転されたときに無視できる程度の距離だけ前記リアドライブスプロケットから離れる、リアトラックローラと
を有するアンダキャリッジを有する作業車。
【請求項7】
前記回転軸および前記リア枢動軸が、前記リアトラックローラおよび前記リアドライブスプロケットの両方が前記トラックチェーンに物理的に接触するトラック組立体の一方の側において、前記トラックチェーンからほぼ等しい垂直距離のところにある、請求項3に記載の作業車。
【請求項8】
前記無視できる程度の距離が3ミリメートルから6ミリメートルの範囲を含む、請求項3に記載の作業車。
【請求項9】
前記所定の回転限界が±3度以下の角度範囲である、請求項3に記載の作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−232732(P2012−232732A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−100660(P2012−100660)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【出願人】(591005165)ディーア・アンド・カンパニー (109)
【氏名又は名称原語表記】DEERE AND COMPANY