説明

弾性表面波素子

【課題】圧電体膜と下地層との剥離を回避するとともに、放熱性を向上させ、かつ弾性表面波の高い伝播速度を確保することが可能な弾性表面波素子を提供する。
【解決手段】弾性表面波素子としてのSAWフィルター1は、窒化アルミニウム単結晶からなるAlN基板11と、AlN基板11の一方の主面上に接触するように形成された1対の櫛形形状を有する電極である入力側電極21および出力側電極22と、入力側電極21に接続された入力側配線23と、出力側電極22に接続された出力側配線25とを備えている。そして、AlN基板11の転位密度は9×10cm−2以下となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波素子に関し、より具体的には損失の低減を達成することが可能な弾性表面波素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弾性表面波素子は、圧電材料の表面を伝播する表面波を利用したデバイスであり、表面に形成された一対の櫛形の電極を備えている。そして、一方の電極に信号が入力されると、他方の電極から特定の周波数の信号を出力する機能を有する。そのため、弾性表面波素子は、たとえば通信用フィルターや共振子などとして使用することができる。
【0003】
弾性表面波素子の構造としては、たとえば、シリコンやサファイアからなる基板と、当該基板上に形成された窒化アルミニウム(AlN)からなる圧電体膜と、圧電体膜上に形成された電極とを備えたものが提案されている(たとえば特許文献1および2参照)。また、位相速度を向上させる目的で、半導体基板上にダイヤモンド膜を形成し、さらにダイヤモンド膜上に圧電体膜としてAlN膜を積層する構造が提案されている(たとえば特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平5−243895号公報
【特許文献2】特開平6−61774号公報
【特許文献3】特開平1−233819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように圧電体膜としてAlN膜を採用することにより、弾性表面波の高い伝播速度を確保することができる。しかしながら、基板上や基板上のダイヤモンド膜上にAlNからなる圧電体膜を形成する上記従来の構成では、圧電体膜と、基板やダイヤモンド膜などの下地層との結晶構造の違いに起因して、圧電体膜と下地層との間に応力が発生し、圧電体膜と下地層とが剥離するという問題がある。また、圧電体膜と下地層との界面や基板とダイヤモンド膜との界面において熱抵抗が高くなり、放熱性が不十分となるおそれがある。近年、高周波の弾性表面波を処理する必要がある場合も多く、このような場合、特に放熱性が問題となる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、圧電体膜と下地層との剥離を回避するとともに、放熱性を向上させ、かつ弾性表面波の高い伝播速度を確保することが可能な弾性表面波素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従った弾性表面波素子は、窒化アルミニウム単結晶からなる基板と、基板上に形成された電極とを備えている。そして、当該基板の転位密度は9×10cm−2以下である。
【0007】
上述のように、圧電材料としてAlNを採用した従来の弾性表面波素子は、サファイア基板などの下地層上にAlN膜を形成した構成を有していた。これは、下地層を採用することなくAlNからなる基板上に電極を形成する構成では、弾性表面波の伝播損失が大きいという問題があったためである。これに対し、本発明者は、AlNからなる基板(AlN基板)上に電極を形成した弾性表面波素子の伝播損失について詳細な検討を行なった。その結果、以下のような結果が得られ、本発明に想到した。
【0008】
すなわち、AlN基板上に電極を形成した弾性表面波素子の伝播損失は、AlN基板の転位密度の低下に伴って急激に減少する。そして、転位密度が9×10cm−2以下では伝播損失の減少は飽和し、十分に低い伝播損失が得られる。つまり、AlNからなる基板上に電極を形成する構成でも、転位密度を9×10cm−2以下とすることにより、伝播損失を十分に抑制可能であることが明らかとなった。
【0009】
本発明の表面弾性波素子においては、転位密度が9×10cm−2以下に抑制されたAlN基板が採用されるため、サファイア基板などの下地層を用いることなく弾性表面波の高い伝播速度を確保することができる。さらに、下地層を用いることなくAlN基板上に電極が配置されるため、圧電体膜と下地層との剥離の問題を回避するとともに、下地層と当該下地層に接触する層との間における熱抵抗に起因した放熱性の低下を回避することができる。その結果、本発明の表面弾性波素子によれば、圧電体膜と下地層との剥離を回避するとともに、放熱性を向上させ、かつ弾性表面波の高い伝播速度を確保することが可能な弾性表面波素子を提供することができる。
【0010】
ここで、本願明細書、特許請求の範囲および要約書において、転位密度とはEPD(Etch Pit Density;エッチピット密度)法により測定される転位密度をいう。このEPD法によるAlN基板の転位密度の測定は、たとえば以下のように実施することができる。まず、水酸化カリウム(KOH)と水酸化ナトリウム(NaOH)とを質量比1:1で混合した温度250℃の融液中にAlNからなる基板を30分間浸漬してエッチングする。そして、当該基板を洗浄した後、顕微鏡を用いて基板の主面(主表面)に発生したエッチピットの個数を調査し、単位面積あたりのエッチピットの個数を算出する。
【0011】
上記弾性表面波素子において好ましくは、基板の主面と基板を構成する窒化アルミニウム単結晶の(0002)面とのなす角は5°以下である。
【0012】
AlN基板の主面と(0002)面とのなす角が5°を超えると表面弾性波の伝播における損失が大きくなることが、本発明者の検討により明らかとなった。したがって、上記構成により、弾性表面波素子の損失を低減することができる。
【0013】
上記弾性表面波素子において好ましくは、上記基板の厚さは10μm以上である。これにより、AlN基板を自立基板として取り扱うことが容易となり、弾性表面波素子の製造および製造後の素子の取り扱いが容易となる。また、上記基板の厚さを100μm以上とすることにより、基板の取り扱いが一層容易となる。
【0014】
上記弾性表面波素子においては、窒化アルミニウム単結晶からなり、上記基板と電極との間に基板に接触して形成されたエピタキシャル膜をさらに備えていてもよい。
【0015】
AlN基板上に、窒化アルミニウム単結晶からなるエピタキシャル膜(AlNエピタキシャル膜)を形成し、AlNエピタキシャル膜上に電極を配置することにより、電極に接触するAlN単結晶の転位密度を容易に減少させることができる。また、AlN基板とAlNエピタキシャル膜は、同種材料の基板と当該基板に対してエピタキシャル成長した膜であるため、サファイアなどの基板上に異種材料であるAlN膜を形成する場合に比べて両者の密着性が高く、かつ界面における熱抵抗の上昇を抑制することができる。
【0016】
上記弾性表面波素子において好ましくは、上記エピタキシャル膜の厚さは1μm以上である。これにより、均質なエピタキシャル膜を形成することが容易となるとともに、たとえば弾性表面波素子が通信用フィルターとして用いられる場合、通信用信号の波長に比べてエピタキシャル膜の厚さが大きくなるため、伝播損失を一層抑制することができる。
【0017】
上記弾性表面波素子において好ましくは、上記エピタキシャル膜の基板とは反対側の主面とエピタキシャル膜を構成する窒化アルミニウム単結晶の(0002)面とのなす角は5°以下である。
【0018】
AlNエピタキシャル膜の基板とは反対側の主面と(0002)面とのなす角が5°を超えると表面弾性波の伝播における損失が大きくなることが、本発明者の検討により確認された。したがって、上記構成により、弾性表面波素子の損失を低減することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上の説明から明らかなように、本発明の表面弾性波素子によれば、圧電体膜と下地層との剥離を回避するとともに、放熱性を向上させ、かつ弾性表面波の高い伝播速度を確保することが可能な弾性表面波素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0021】
(実施の形態1)
まず、本発明の一実施の形態である実施の形態1について説明する。図1は、実施の形態1における表面弾性波素子としてのSAW(Surface Acoustic Wave)フィルターの構成を示す概略図である。
【0022】
図1を参照して、実施の形態1におけるSAWフィルター1は、窒化アルミニウム単結晶からなるAlN基板11と、AlN基板11の一方の主面上に接触するように形成された1対の櫛形形状を有する電極である入力側電極21および出力側電極22と、入力側電極21に接続された入力側配線23と、出力側電極22に接続された出力側配線25とを備えている。そして、AlN基板11の転位密度は9×10cm−2以下となっている。
【0023】
次に、実施の形態1におけるSAWフィルター1の動作について説明する。図1を参照して、入力側配線23から入力側電極21に入力信号である交流電圧が印加されると、圧電効果によりAlN基板11の主面(表面)に弾性表面波が生じ、出力側電極22に伝達される。このとき、入力側電極21および出力側電極22は図1に示すように櫛形形状を有しているため、入力側電極21から出力側電極22に向かう方向において、AlN基板11の主面のうち電極が形成された領域は所定の周期(電極周期)で存在する。そのため、入力信号により発生した弾性表面波は、その波長が電極周期に一致する場合最も強く励振され、電極周期とのずれが大きいほど減衰する。その結果、電極周期に近い波長の信号のみが出力側電極22および出力側配線25を介して出力される。
【0024】
上記SAWフィルター1においては、転位密度が9×10cm−2以下に抑制されたAlN基板11が採用されるため、サファイア基板などの下地層を用いることなく弾性表面波の高い伝播速度を確保することが可能となっている。さらに、AlN基板11上に直接入力側電極21および出力側電極22が形成され、サファイア基板など下地層が用いられていないため、圧電体膜と下地層との剥離の問題を回避するとともに、下地層と当該下地層に接触する層との間における熱抵抗に起因した放熱性の低下が回避されている。その結果、本実施の形態におけるのSAWフィルター1は、圧電体膜と下地層との剥離を回避するとともに、放熱性を向上させ、かつ弾性表面波の高い伝播速度を確保することが可能なSAWフィルター1となっている。
【0025】
さらに、AlN自立基板上に直接電極が形成された本実施の形態におけるSAWフィルター1は、サファイアなどの基板上にAlNからなる圧電体膜を形成した従来の弾性表面波素子に比べて高い周波帯域(具体的にはUHF波)まで動作可能となっている。また、AlN単結晶の熱伝導率は30W/cm・Kと高いため、SAWフィルター1は高周波帯域で動作した場合でも放熱効率が高く、冷却が容易である。さらに、SAWフィルター1は、従来の弾性表面波素子に比べて耐熱性にも優れ、より高温での動作が可能となっている。また、SAWフィルター1によれば、サファイアなどの基板上にAlNからなる圧電体膜を形成する工程が省略できるため、製造プロセスを簡略化することが可能である。さらに、SAWフィルター1においては、入力側電極21および出力側電極22が形成されるAlN基板11の表面粗さを小さく、たとえば表面粗さRaを1μm以下にまで抑制することが可能であるため、入力側電極21および出力側電極22の剥離を抑制することができる。
【0026】
また、SAWフィルター1においては、入力側電極21および出力側電極22が形成されたAlN基板11の主面と窒化アルミニウム単結晶の(0002)面とのなす角は、5°以下であることが好ましい。これにより、表面弾性波の伝播における損失が低減され、低損失なSAWフィルター1を得ることができる。
【0027】
さらに、SAWフィルター1においては、AlN基板11の厚さは10μm以上であることが好ましい。これにより、AlN基板11を自立基板として取り扱うことが容易となり、SAWフィルター1の製造および製造後の取り扱いが容易となる。
【0028】
次に、実施の形態1におけるSAWフィルター1の製造方法について説明する。図2は、実施の形態1におけるSAWフィルターの製造方法の概略を示すフローチャートである。また、図3〜図6は、実施の形態1におけるSAWフィルターの製造方法を説明するための概略断面図である。
【0029】
図2を参照して、実施の形態1におけるSAWフィルター1の製造方法では、まず、工程(S10)としてAlN単結晶成長工程が実施される。この工程(S10)では、SiC(炭化珪素)などの異種基板上にAlN単結晶を成長させることにより、AlN単結晶の厚膜が作製される。具体的には、図3を参照して、直径1インチ以上4インチ以下、たとえば2インチ、面方位(0002)、オフ角0°以上15°以下、たとえば3.5°、ポリタイプ6HのSiC単結晶基板91上に、昇華法によりAlN単結晶厚膜92を成長させる。AlN単結晶厚膜92の厚さは、たとえば20mm程度とすることができる。AlN単結晶厚膜92の成長は、成長温度を1700℃以上2100℃以下、たとえば1900℃程度、成長を実施する容器内の圧力を30kPa以上90kPa以下、たとえば50kPa程度とし、当該容器内に流入する窒素の流量を50sccm以上900sccm以下、たとえば500sccm程度とする条件下で実施することができる。ここで、AlN単結晶厚膜92の転位密度を低減し、9×10cm−2以下とするためには、たとえばAlN単結晶厚膜92の成長の途中で温度を上げることにより、原子の移動を促進することが好ましい。これにより、転位等の欠陥の発生を抑制することができる。
【0030】
次に、工程(S20)としてAlN単結晶自立化工程が実施される。この工程(S20)では、工程(S10)において作製されたAlN単結晶の厚膜をスライスすることにより、自立した基板として取り扱い可能なAlN単結晶からなる基板であるAlN単結晶自立基板が作製される。具体的には、図4を参照して、たとえばワイヤーソー加工機を用いて、SiC単結晶基板91上に形成されたAlN単結晶厚膜92を当該AlN単結晶厚膜92の主面に沿った面でスライスすることにより、たとえば直径2インチ、厚さ1mmのAlN単結晶自立基板としてのAlN基板11が複数枚作製される。その後、AlN基板11に対しては研削加工が実施され、たとえば主面の面方位が(0002)面に対して5°以下の範囲に分布するように、すなわちAlN基板11の主面と窒化アルミニウム単結晶の(0002)面とのなす角が5°以下となるように調整される。さらに、AlN基板11の両側の主面に対して機械研磨および化学研磨が実施され、表面粗さRaが300nm以下、たとえば5nmとされる。この機械研磨および化学研磨が実施された状態で、AlN基板11の厚さは、たとえば400μm程度となる。
【0031】
次に、工程(S30)として電極形成工程が実施される。この工程(S30)では、AlN基板11の一方の主面上に櫛形の電極が形成される。具体的には、図5を参照して、工程(S20)において作製されたAlN基板11の一方の主面上に、導電体であるAlの膜(Al膜)が形成される。Al膜の形成は、たとえばスパッタリングにより実施することができる。また、Al膜の厚さは、100nm以上10μm以下、たとえば500nm程度とすることができる。その後、当該Al膜上にレジストが塗布されてレジスト膜が形成された後、露光および現像が実施されることにより、所望の入力側電極21および出力側電極22の形状に対応する領域以外の領域に開口が形成される。そして、開口が形成されたレジスト膜をマスクとして用いて、たとえばウェットエッチングを実施することにより、図5に示すように入力側電極21と出力側電極22とからなる対が複数個形成される。入力側電極21および出力側電極22における櫛形電極の電極間隔は、入力される信号の周波数および出力すべき信号の周波数に応じて適宜決定することができるが、0.1μm以上550μm以下、たとえば5.5μmとすることができる。
【0032】
次に、工程(S40)としてチップ化工程が実施される。この工程(S40)では、図6を参照して、入力側電極21と出力側電極22とからなる対が複数個形成されたAlN基板11が厚さ方向に切断されることにより、1対の入力側電極21および出力側電極22を含む複数のチップに分離される。AlN基板11の切断は、たとえばNd:YAG(Yittrium・Aluminium・Garnet)レーザ(ネオジウム・ヤグレーザ)を用いて実施することができる。ここで、図6における分離後の各チップの断面は、図1における線分VI−VIに沿う断面に相当する。
【0033】
その後、図1を参照して、工程(S40)において作製されたチップに対して入力側配線23および出力側配線25が形成されることにより、実施の形態1におけるSAWフィルター1が完成する。
【0034】
(実施の形態2)
次に、本発明の他の実施の形態である実施の形態2について説明する。図7は、実施の形態2における表面弾性波素子としてのSAWフィルターの構成を示す概略図である。
【0035】
図7を参照して、実施の形態2におけるSAWフィルター1は、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様に動作するとともに同様の効果を奏する。しかし、実施の形態2におけるSAWフィルター1は、AlN基板11と入力側電極21および出力側電極22との間にAlNエピタキシャル膜12が配置されている点において、実施の形態1の場合とは異なっている。
【0036】
すなわち、実施の形態2におけるSAWフィルター1においては、AlN基板11と入力側電極21および出力側電極22との間に、AlN基板11の一方の主面上にエピタキシャル成長した窒化アルミニウム単結晶からなるAlNエピタキシャル膜12が形成されている。そして、当該AlNエピタキシャル膜12上に接触して、入力側電極21および出力側電極22が形成されている。なお、実施の形態2におけるSAWフィルター1は、弾性表面波がAlNエピタキシャル膜12の主面において生じ、AlNエピタキシャル膜12を伝播する点を除いて、実施の形態1の場合と同様に動作する。
【0037】
実施の形態2におけるSAWフィルター1においては、AlN基板11上にAlNエピタキシャル膜12を形成し、AlNエピタキシャル膜12上に接触して入力側電極21および出力側電極22を配置することにより、入力側電極21および出力側電極22に接触するAlN単結晶の転位密度を減少させることが容易となっている。また、AlN基板11とAlNエピタキシャル膜12は、同種材料の基板と当該基板に対してエピタキシャル成長した膜であるため、サファイアなどの基板上に異種材料であるAlN膜を形成する場合に比べて両者の密着性が高く、かつ界面における熱抵抗の上昇が抑制されている。
【0038】
また、本実施の形態におけるSAWフィルター1においては、AlNエピタキシャル膜12の厚さは1μm以上であることが好ましい。
【0039】
これにより、均質なAlNエピタキシャル膜12を形成することが容易になるとともに、SAWフィルター1が通信用フィルターとして用いられる場合、通信用信号の波長に比べてAlNエピタキシャル膜12の厚さが大きくなるため、伝播損失を一層抑制することができる。
【0040】
さらに、本実施の形態におけるSAWフィルター1においては、AlNエピタキシャル膜12のAlN基板11とは反対側の主面と窒化アルミニウム単結晶の(0002)面とのなす角は、5°以下であることが好ましい。これにより、SAWフィルター1における弾性表面波の伝播損失を低減することができる。
【0041】
次に、実施の形態2におけるSAWフィルター1の製造方法について説明する。図8は、実施の形態2におけるSAWフィルターの製造方法の概略を示すフローチャートである。また、図9〜図12は、実施の形態2におけるSAWフィルターの製造方法を説明するための概略断面図である。
【0042】
図8および図2を参照して、実施の形態2におけるSAWフィルター1の製造方法は、基本的には実施の形態1の場合と同様に実施される。しかし、実施の形態2においては、AlN基板11上にAlNエピタキシャル膜12が形成される点において、実施の形態1とは異なっている。
【0043】
すなわち、図9を参照して、実施の形態2におけるSAWフィルター1に製造方法においては、工程(S10)が実施の形態1の場合と同様に実施される。この工程(S10)では、たとえば直径2インチ、面方位(0002)、オフ角0°、ポリタイプ6HのSiC単結晶基板91上に、昇華法により厚さ10mmのAlN単結晶厚膜92を成長させる。AlN単結晶厚膜92の成長は、たとえば成長温度1800℃程度、成長を実施する容器内の圧力を40kPa程度とし、当該容器内に流入する窒素の流量を400sccm程度とする条件下で実施することができる。
【0044】
次に、工程(S15)としてエピタキシャル成長工程が実施される。この工程(S15)では、図9を参照して、工程(S10)においてSiC単結晶基板91上に形成されたAlN単結晶厚膜92の主面上に、昇華法によるエピタキシャル成長により、AlN単結晶からなるAlNエピタキシャル膜12が形成される。AlNエピタキシャル膜12は、成長温度を1800℃以上2200℃以下、たとえば2100℃、成長を実施する容器内の圧力を30kPa以上90kPa以下、たとえば30kPa程度とし、当該容器内に流入する窒素の流量を50sccm以上900sccm以下、たとえば200sccm程度とする条件下で実施することができる。また、AlNエピタキシャル膜12の厚さは、1μm以上500μm以下、たとえば100μm程度とすることができる。ここで、AlNエピタキシャル膜12の転位密度を低減し、9×10cm−2以下とするためには、たとえばAlNエピタキシャル膜12の成長の途中で温度を上げることにより、原子の移動を促進することが好ましい。これにより、転位等の欠陥の発生を抑制することができる。
【0045】
次に、工程(S20)としてAlN単結晶自立化工程が実施される。この工程(S20)では、図10を参照して、工程(S15)において主面上にAlNエピタキシャル膜が形成されたAlN単結晶の厚膜をスライスすることにより、自立した基板として取り扱い可能なAlNエピタキシャル成長膜付きAlN単結晶自立基板が作製される。具体的には、図10を参照して、たとえばワイヤーソー加工機を用いて、AlN単結晶厚膜92を当該AlN単結晶厚膜92の主面に沿った面でスライスすることにより、たとえば直径2インチ、厚さ0.5mmの、AlNエピタキシャル膜12付きAlN基板11が作製される。
【0046】
その後、AlNエピタキシャル膜12付きAlN基板11の両側の主面(AlN基板11とは反対側のAlNエピタキシャル膜12の主面、およびAlNエピタキシャル膜12とは反対側のAlN基板11の主面)に対して研削加工が実施され、たとえばAlN基板11とは反対側のAlNエピタキシャル膜12の主面の面方位が、(0002)面に対して5°以下の範囲に分布するように調整される。さらに、AlNエピタキシャル膜12付きAlN基板11の両側の主面に対して機械研磨および化学研磨が実施され、たとえば表面粗さRaが0.3nmとされる。この機械研磨および化学研磨が実施された状態で、AlNエピタキシャル膜12付きAlN基板11の厚さは、たとえば400μm程度となる。
【0047】
次に、工程(S30)として電極形成工程が実施される。この工程(S30)では、図11を参照して、AlNエピタキシャル膜12の主面上に、たとえば厚さ300nmのAl膜がスパッタリングにより形成される。その後、当該Al膜上にレジストが塗布されてレジスト膜が形成された後、露光および現像が実施されることにより、所望の入力側電極21および出力側電極22の形状に対応する領域以外の領域に開口が形成される。そして、開口が形成されたレジスト膜をマスクとして用いて、たとえばウェットエッチングを実施することにより、図11に示すように入力側電極21と出力側電極22とからなる対が複数個形成される。入力側電極21および出力側電極22における櫛形電極の電極間隔は、たとえば0.19μmとすることができる。
【0048】
次に、工程(S40)としてチップ化工程が実施される。この工程(S40)では、図12を参照して、入力側電極21と出力側電極22とからなる対が複数個形成されたAlNエピタキシャル膜12付きAlN基板11が、1対の入力側電極21および出力側電極22を含む複数のチップに分割される。AlNエピタキシャル膜12付きAlN基板11の複数のチップへの分割は、たとえばNd:YAGレーザを用いて深さ100μmの溝を形成した後、ブレーキング加工を行なうことにより実施することができる。
【0049】
その後、図7を参照して、工程(S40)において作製されたチップに対して入力側配線23および出力側配線25が形成されることにより、実施の形態2におけるSAWフィルター1が完成する。
【実施例1】
【0050】
以下、本発明の実施例1について説明する。上記実施の形態1と同様の構成を有するSAWフィルターを作製し、(1)動作特性、(2)高温での動作、(3)面方位と損失との関係、および(4)転位密度と損失との関係、を調査する実験を行なった。実験の手順および結果は以下の通りである。
【0051】
(1)動作特性
まず、上記実施の形態1と同様の方法で素子(SAWフィルター)を作製した。工程(S10)においては、直径2インチ、面方位(0002)、オフ角3.5°、ポリタイプ6HのSiC基板上に、昇華法により厚さ20mmのAlN単結晶厚膜を形成した。成長温度は約1900℃、成長を実施する容器内の圧力は50kPaとし、当該容器内に窒素を500sccmの流量で流入させた。工程(S20)では、ワイヤーソー加工機を用いて厚さ1mmのAlN基板を作製し、主面の面方位が(0002)面に対して0.1°以下の範囲で分布するように主面を研削加工した。さらに、両側の主面に機械研磨および化学研磨を施し、表面粗さRaを5nm、厚さを400μmとした。
【0052】
工程(S30)では、AlN基板上に約500nmの厚さのAl膜を形成し、フォトリソグラフィープロセスにより、レジストからなるマスクを形成した後、ウェットエッチングを実施することによりAl膜の一部を除去して、Alからなる入力側電極および出力側電極を形成した。櫛形電極の電極間隔は5.5μmとした。そして、工程(S40)では、Nd:YAGレーザを用いてAlN基板を切断し、実験用の素子を得た。
【0053】
そして、得られた素子の性能を、ネットワークアナライザーを用いて評価した。入力する帯域周波数を0.95GHz〜1.05GHz、出力する周波数を1GHzとした場合、挿入損失は0.3dBであった。このことから、本発明の表面弾性波素子は、十分に小さい挿入損失を達成していることが確認された。
【0054】
また、素子を恒温槽に装入し、素子の温度を約500℃まで上昇させ、動作の可否を調査したところ、正常に動作した。このことから、本発明の弾性表面波素子は、高温での動作が可能であることが確認された。
【0055】
さらに、弾性表面波の伝播速度を測定したところ、約5500m/secという高い値が得られた。このことから、本発明の弾性表面波素子は、高い伝播速度を達成していることが確認された。
【0056】
以上の実験結果より、AlN自立基板上に直接電極が形成された本発明の弾性表面波素子は、サファイアなどの基板上にAlNからなる圧電体膜を形成した従来の弾性表面波素子に比べて、製造プロセスを簡略化しつつ、圧電体膜の剥離を回避するとともに、損失の低減、高温での動作、高い伝播速度を達成可能であることが分かった。
【0057】
(2)高温での動作
上記(1)と同様のプロセスで作製した素子を100個準備し、恒温槽に投入した。そして、素子の温度を0℃から800℃まで上昇させ、50℃毎に素子の動作の可否を確認した。なお、素子の作製に使用したAlN基板の転位密度は1.2×10cm−2であった。
【0058】
図13は、素子の加熱温度(素子温度)と加熱した100個の素子のうち正常に動作した素子の割合(動作割合)との関係を示す図である。図13を参照して、素子温度が500℃以下の温度範囲では全ての素子が正常に動作する一方、素子温度が500℃を超える550℃以上では動作割合が低下することが分かった。このことから、本発明の弾性表面波素子は500℃という高温まで正常に動作することが確認された。
【0059】
(3)面方位と損失との関係
上記(1)と同様のプロセスで、主面が(0002)面に対してなす角が0°〜10°である21種類(0.5°毎)のAlN基板を用いて素子を作製した。AlN基板の転位密度は1.1×10cm−2であった。そして、各素子の損失(挿入損失)を測定し、AlN基板の主面が(0002)面に対してなす角(面方位分布)と挿入損失との関係を調査した。
【0060】
図14は、面方位分布と挿入損失との関係を示す図である。図14を参照して、面方位分布が5°以下の範囲においては挿入損失が0.1dBであるのに対し、面方位分布が5°を超える5.5°以上では挿入損失が増加していくことが分かった。このことから、AlN基板上に直接電極を形成した本発明の表面弾性波素子においては、AlN基板の面方位分布は5°以下、すなわちAlN基板の主面とAlN基板を構成する窒化アルミニウム単結晶の(0002)面とのなす角は5°以下であることが好ましいことが確認された。
【0061】
(4)転位密度と損失との関係
上記(1)と同様のプロセスで、転位密度が1×10cm−2〜9×10cm−2のAlN基板を用いて素子を作製した。そして、各素子の損失(挿入損失)を測定し、AlN基板の転位密度と挿入損失との関係を調査した。
【0062】
図15は、AlN基板の転位密度と素子の挿入損失との関係を示す図である。図15を参照して、転位密度が9×10cm−2以下の範囲においては挿入損失が0.1dBであるのに対し、転位密度が9×10cm−2を超える1×10cm−2以上では挿入損失が増加していくことが分かった。このことから、AlN基板上に直接電極を形成した本発明の表面弾性波素子においては、AlN基板の転位密度は9×10cm−2以下であることが好ましいことが確認された。
【実施例2】
【0063】
以下、本発明の実施例2について説明する。上記実施の形態2と同様の構成を有するSAWフィルターを作製し、(1)動作特性、(2)高温での動作、(3)面方位と損失との関係、および(4)転位密度と損失との関係、を調査する実験を行なった。実験の手順および結果は以下の通りである。
【0064】
(1)動作特性
まず、上記実施の形態2と同様の方法で素子(SAWフィルター)を作製した。工程(S10)においては、直径2インチ、面方位(0002)、オフ角0°、ポリタイプ6HのSiC基板上に、昇華法により厚さ10mmのAlN単結晶厚膜を形成した。成長温度は約1800℃、成長を実施する容器内の圧力は40kPaとし、当該容器内に窒素を400sccmの流量で流入させた。工程(S15)では、昇華法によるエピタキシャル成長により、厚さ100μmのAlNエピタキシャル膜を成長させた。成長温度は約2100℃、成長を実施する容器内の圧力は30kPaとし、当該容器内に窒素を200sccmの流量で流入させた。
【0065】
ここで、上記手順により2枚のAlNエピタキシャル膜付きAlN単結晶厚膜を作製し、うち1枚を用いてAlNエピタキシャル膜の転位密度をEPD法により調査した。EPD法による転位密度の調査は、以下のように行なった。まず、KOHとNaOHとを質量比1:1で混合した温度250℃の融液中に、SiC基板上に形成されたAlNエピタキシャル膜付きAlN単結晶厚膜を30分間浸漬してエッチングした。そして、洗浄を実施した後、顕微鏡を用いてAlNエピタキシャル膜の主面に発生したエッチピットの個数を調査し、単位面積あたりのエッチピットの個数を算出した。その結果、転位密度は3×10cm−2という低い値であることが分かった。このことから、AlN単結晶厚膜上には転位密度が抑制された高品質なAlNエピタキシャル膜が形成されていることが確認された。
【0066】
工程(S20)では、ワイヤーソー加工機を用いて厚さ0.5mmのAlNエピタキシャル膜付きAlN基板を作製し、AlNエピタキシャル膜の主面の面方位が(0002)面に対して0.1°以下の範囲で分布するように主面を研削加工した。さらに、両側の主面に機械研磨および化学研磨を施し、表面粗さRaを0.3nm、厚さ400μmとした。
【0067】
工程(S30)では、AlNエピタキシャル膜上に約300nmの厚さのAl膜を形成し、フォトリソグラフィープロセスにより、レジストからなるマスクを形成した後、ウェットエッチングを実施することによりAl膜の一部を除去して、Alからなる入力側電極および出力側電極を形成した。櫛形電極の電極間隔は0.19μmとした。そして、工程(S40)では、Nd:YAGレーザを用いてAlNエピタキシャル膜付きAlN基板に深さ100μmの溝を形成し、さらにブレーキング加工によりAlNエピタキシャル膜付きAlN基板を分割し、実験用の素子を得た。
【0068】
そして、得られた素子の性能を、ネットワークアナライザーを用いて評価した。入力する帯域周波数を30.95GHz〜31.05GHz、出力する周波数を30GHzとした場合、挿入損失は0.1dBであった。このことから、本発明の表面弾性波素子は、十分に小さい挿入損失を達成していることが確認された。
【0069】
また、素子を恒温槽に装入し、素子の温度を約500℃まで上昇させ、動作の可否を調査したところ、正常に動作した。このことから、本発明の弾性表面波素子は、高温での動作が可能であることが確認された。また、AlN基板上にAlNエピタキシャル膜を形成した場合でも、AlN基板上に直接電極を形成した実施例1の場合と同等の弾性表面波の伝播速度が維持されることを確認した。
【0070】
以上の実験結果より、AlN自立基板上にAlNエピタキシャル膜を成長させた上で、当該AlNエピタキシャル膜の表面に電極を形成した本発明の弾性表面波素子は、サファイアなどの基板上にAlNからなる圧電体膜を形成した従来の弾性表面波素子に比べて、製造プロセスを簡略化しつつ、圧電体膜の剥離を回避するとともに、高温での動作、高い伝播速度を達成可能であることが分かった。さらに、AlN自立基板上に直接電極を形成する場合に比べて、転位密度の低減による挿入損失の抑制を達成可能であることが分かった。
【0071】
(2)高温での動作
上記(1)と同様のプロセスで作製した素子を100個準備し、恒温槽に投入した。そして、素子の温度を0℃から800℃まで上昇させ、50℃毎に素子の動作の可否を確認した。なお、AlNエピタキシャル膜の主面の面方位が(0002)面に対してなす角は1°以下、AlNエピタキシャル膜の転位密度は1.2×10cm−2とした。
【0072】
図16は、素子の加熱温度(素子温度)と加熱した100個の素子のうち正常に動作した素子の割合(動作割合)との関係を示す図である。図16を参照して、素子温度が500℃以下の温度範囲では全ての素子が正常に動作する一方、素子温度が500℃を超える550℃以上では動作割合が低下することが分かった。このことから、本発明の弾性表面波素子は500℃という高温まで正常に動作することが確認された。
【0073】
(3)面方位と損失との関係
上記(1)と同様のプロセスで、主面が(0002)面に対してなす角が0°〜10°である21種類(0.5°毎)のAlNエピタキシャル膜付きAlN基板を用いて素子を作製した。AlNエピタキシャル膜の転位密度は1.2×10cm−2とした。そして、各素子の損失(挿入損失)を測定し、AlNエピタキシャル膜の主面が(0002)面に対してなす角(面方位分布)と挿入損失との関係を調査した。
【0074】
図17は、面方位分布と挿入損失との関係を示す図である。図17を参照して、面方位分布が5°以下の範囲においては挿入損失が0.1dBであるのに対し、面方位分布が5°を超える5.5°以上では挿入損失が増加していくことが分かった。このことから、AlN自立基板上にAlNエピタキシャル膜を成長させた上で、当該AlNエピタキシャル膜の表面に電極を形成した本発明の表面弾性波素子においては、AlNエピタキシャル膜の面方位分布は5°以下、すなわちAlNエピタキシャル膜の主面とAlNエピタキシャル膜を構成する窒化アルミニウム単結晶の(0002)面とのなす角は5°以下であることが好ましいことが確認された。
【0075】
(4)転位密度と損失との関係
上記(1)と同様のプロセスで、AlNエピタキシャル膜の転位密度が1×10cm−2〜9×10cm−2であるAlNエピタキシャル膜付きAlN基板を用いて素子を作製した。AlNエピタキシャル膜の主面の(0002)面に対する面方位分布は0.5°とした。そして、各素子の損失(挿入損失)を測定し、AlNエピタキシャル膜の転位密度と挿入損失との関係を調査した。
【0076】
図18は、AlNエピタキシャル膜の転位密度と素子の挿入損失との関係を示す図である。図18を参照して、転位密度が9×10cm−2以下の範囲においては挿入損失が0.1dBであるのに対し、転位密度が9×10cm−2を超える1×10cm−2以上では挿入損失が増加していくことが分かった。このことから、AlN自立基板上にAlNエピタキシャル膜を成長させた上で、当該AlNエピタキシャル膜の表面に電極を形成した本発明の表面弾性波素子においては、AlNエピタキシャル膜の転位密度は9×10cm−2以下であることが好ましいことが確認された。
【0077】
上記実施の形態および実施例においては、弾性表面波素子の一例としてSAWフィルターについて説明したが、本発明の弾性表面波素子はこれに限られず、たとえば共振子などのデバイス(SAWデバイス)に採用することができる。
【0078】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の弾性表面波素子は、損失の低減を達成することが求められる弾性表面波素子に、特に有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施の形態1におけるSAWフィルターの構成を示す概略図である。
【図2】実施の形態1におけるSAWフィルターの製造方法の概略を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態1におけるSAWフィルターの製造方法を説明するための概略断面図である。
【図4】実施の形態1におけるSAWフィルターの製造方法を説明するための概略断面図である。
【図5】実施の形態1におけるSAWフィルターの製造方法を説明するための概略断面図である。
【図6】実施の形態1におけるSAWフィルターの製造方法を説明するための概略断面図である。
【図7】実施の形態2におけるSAWフィルターの構成を示す概略図である。
【図8】実施の形態2におけるSAWフィルターの製造方法の概略を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態2におけるSAWフィルターの製造方法を説明するための概略断面図である。
【図10】実施の形態2におけるSAWフィルターの製造方法を説明するための概略断面図である。
【図11】実施の形態2におけるSAWフィルターの製造方法を説明するための概略断面図である。
【図12】実施の形態2におけるSAWフィルターの製造方法を説明するための概略断面図である。
【図13】素子の加熱温度と加熱した素子のうち正常に動作した素子の割合との関係を示す図である。
【図14】面方位分布と挿入損失との関係を示す図である。
【図15】AlN基板の転位密度と素子の挿入損失との関係を示す図である。
【図16】素子の加熱温度と加熱した素子のうち正常に動作した素子の割合との関係を示す図である。
【図17】面方位分布と挿入損失との関係を示す図である。
【図18】AlNエピタキシャル膜の転位密度と素子の挿入損失との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
1 SAWフィルター、11 AlN基板、12 AlNエピタキシャル膜、21 入力側電極、22 出力側電極、23 入力側配線、25 出力側配線、91 SiC単結晶基板、92 AlN単結晶厚膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化アルミニウム単結晶からなる基板と、
前記基板上に形成された電極とを備え、
前記基板の転位密度は9×10cm−2以下である、弾性表面波素子。
【請求項2】
前記基板の主面と前記基板を構成する窒化アルミニウム単結晶の(0002)面とのなす角は5°以下である、請求項1に記載の弾性表面波素子。
【請求項3】
前記基板の厚さは10μm以上である、請求項1または2に記載の弾性表面波素子。
【請求項4】
窒化アルミニウム単結晶からなり、前記基板と前記電極との間に前記基板に接触して形成されたエピタキシャル膜をさらに備えた、請求項1〜3のいずれか1項に記載の弾性表面波素子。
【請求項5】
前記エピタキシャル膜の厚さは1μm以上である、請求項4に記載の弾性表面波素子。
【請求項6】
前記エピタキシャル膜の前記基板とは反対側の主面と前記エピタキシャル膜を構成する窒化アルミニウム単結晶の(0002)面とのなす角は5°以下である、請求項4または5に記載の弾性表面波素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−68097(P2010−68097A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230871(P2008−230871)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】