説明

弾球遊技機及び玉センサ不正監視装置

【課題】電波センサや磁気シールド等のゴト対策部品を追加することなく、一入賞を複数入賞に見せ掛ける等の新手の電波ゴトに対する監視精度を高める。
【解決手段】玉センサ9がオフからオンに切換わるオンエッジの検知からオンからオフに切換わるオフエッジの検知までのオン時間を計時するオン時間計時手段と、オン時間計時手段で計時するオン時間が、予め設定し且つ想定される最小オン時間相当の比較基準値未満となるとき異常と判定するオン時間異常判定手段とを含む。一つのパチンコ玉が玉センサ9を貫通する際、正規にオンの期間にある玉センサ9に向けて、オフの状態を強制的に挿入する不正電波が照射された場合、一つの正規のオンの期間が細かく分断され、想定される最小オン時間相当の比較基準値ONminよりもオン時間が短くなることがあり、これを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀玉遊技機等、パチンコ玉を遊技盤に転動させて遊技をする弾球遊技機、及び、パチンコ玉の貫通に伴って検出状態となるオンと非検出状態となるオフとが切換わる貫通型の玉センサに対する不正を監視する玉センサ不正監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の弾球遊技機の玉センサは、特許文献1の段落0055及び図17等で知られているように、パチンコ玉を一つずつ貫通させる貫通穴の周囲に検出コイルを配置した貫通型の近接スイッチが専ら用いられる。
【0003】
その原理は、検出コイルに供給する高周波発振信号により貫通穴の周りに磁界を生じさせ、その中を金属製のパチンコ玉が通過することにより生じる渦電流に起因して回路のインピーダンスが変化することを利用し、このインピーダンスの変化により、パチンコ玉の非検出状態であるオフから、パチンコ玉の通過に伴い検出状態となるオンに切換え、パチンコ玉の通過後は再び非検出状態のオフに復帰させることにより、パチンコ玉の貫通の有無を検出している。したがって、原理的に電磁波に対して脆弱で、いわゆる電波ゴトと呼ばれる不正行為の標的に曝され易い。
【0004】
一般に、パチンコ玉を所定個数ずつ払出す賞玉等の払出側の玉センサに関しては、そのパチンコ玉の検出状態となるオンを外部からの不正電波により強制的に無いものに装うことにより不正に多くの払出しを受けるゴト行為に対する対策が有益である。この払出側の不正については、パチンコ玉を払出す球切り装置のオンオフと関連づけ、球切り装置をオンしたにも拘らず玉センサのオンがない場合に異常と判断する等のソフトウェア的対策が種々考えられている。
【0005】
一方、遊技盤の入賞口等に入ったパチンコ玉を検出する入賞側の玉センサに関しては、パチンコ玉の非検出状態であるオフにも拘らず外部からの不正電波により恰も検出状態にあるかのように強制的にオンを装うゴト行為に対する対策が有益である。この入賞側の不正については、玉センサの誤動作を引き起こす帯域の電波を検出する電波センサを設けたり、玉センサの周りに磁気シールドを設けたりするハードウェア的対策や、特許文献2のように所定期間内の入賞数が所定の設定値以上になると異常と判断したり、特許文献3のように各入賞口への入賞数の合計値から賞玉払出処理に回った玉数を引いた未処理玉数が所定以上の場合に異常と判断する等のソフトウェア的対策が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平6−36835号公報
【0007】
【特許文献2】特開平7−275440号公報
【0008】
【特許文献3】特開平11−333097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、入賞口等に入ったパチンコ玉を検出する入賞側の玉センサについての対策として、電波センサや磁気シールド等のハードウェアによるゴト対策部品を設ける場合、それだけコストアップとなるし、また、たとえこれらゴト対策部品を設けたとしても、外部電波の影響を完全には遮断し難く、効果には限界がある。
【0010】
また、特許文献2や3のようなソフトウェア的対策では、ある一定期間内或はある程度まとまった数の入賞玉数或は未処理玉数が過大となる等の不合理をもってエラーと判断するものであり、個々の玉センサにおける一つ一つのパチンコ玉の貫通に伴う不正を有効に監視できず、特に、一つのパチンコ玉の貫通途中に、正規にオンの期間にある玉センサに向けて極短時間だけオフの状態を強制的に挿入する電波を照射させることにより一入賞を二入賞以上の複数入賞に見せ掛ける新手の不正を検出し難く、さらに、貫通したパチンコ玉を再び遊技盤に放ち、入賞玉としては検出されないスルーゲートに対する通過玉に対しては全く効果がない。
【0011】
本発明の課題は、電波センサや磁気シールド等のゴト対策部品を追加することなく、一入賞を複数入賞に見せ掛ける等の新手の電波ゴトに対する監視精度を高めることができる弾球遊技機及び玉センサ不正監視装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
図2に例示するように、本発明にかかる弾球遊技機は、遊技盤2に、パチンコ玉の貫通に伴って検出状態となるオンと非検出状態となるオフとが切換わる貫通型の玉センサ9を設けた遊技部品82,6,Gを備えると共に、
図3に例示するように、前記玉センサ9の出力を入力して遊技制御を実行する制御装置CNを備えるものを前提とする。
【0013】
そして、前記制御装置CNは、
前記玉センサ9がオフからオンに切換わるオンエッジの検知からオンからオフに切換わるオフエッジの検知までのオン時間を計時するオン時間計時手段Tと、
前記オン時間計時手段Tで計時するオン時間が、予め設定し且つ想定される最小オン時間相当の比較基準値未満となるとき異常と判定するオン時間異常判定手段Xとを含む。
【0014】
また、前記制御装置CNは、
前記玉センサ9がオンからオフに切換わるオフエッジの検知からオフからオンに切換わるオンエッジの検知までのオフ時間を計時するオフ時間計時手段Fと、
前記オフ時間計時手段Fで計時するオフ時間が、予め設定し且つ想定される最小オフ時間相当の比較基準値未満となるとき異常と判定するオフ時間異常判定手段Yとを含むのが好ましい。
【0015】
図15に例示するように、以上の場合に、前記制御装置CNに備えるマイクロプロセッサーCPUのタイマー割込処理において、前記玉センサ9のオンオフが切換わるエッジの検知でリセットし(ステップ10)、前記玉センサ9のオンオフが切換わらないエッジの非検知でカウントアップするカウンタJを設け(ステップ5)、
このカウンタJを、前記玉センサ9の出力の計時に用いるのが好ましい。
【0016】
さらに、前記カウンタJのカウント値が所定の上限以上になるとカウントアップを停止させ、次のエッジの検知までカウント値を維持する仕様にしているのが好ましい(ステップ4)。
【0017】
また、最小オン時間相当又は最小オフ時間相当の前記比較基準値は、前記遊技盤2に対する実射試験で予め計測した玉センサ9毎の出力の実測値に基づいて玉センサ9毎に個別設定するのが、監視の精度をより一層向上する観点からは好ましい。
【0018】
一方、制御装置CNの処理負担を軽減する観点からは、前記比較基準値は、前記遊技盤2に対する実射試験で予め計測した玉センサ9毎の出力の実測値に基づいてそのうちの最小値を代表値として各玉センサ9に共通設定するのが好ましい。
【0019】
遊技盤にパチンコ玉を転動させて遊技を楽しむ弾球遊技機だけではなく、メダルの代わりにパチンコ玉を投入して入賞ラインを有効化し、後はスロットマシンの遊技を楽しむパロット等と呼ばれるゲーム機等にも適用できる。すなわち、その投入するパチンコ玉を検出する玉センサに対する不正監視にも有用であり、パチンコ玉の貫通に伴って検出状態となるオンと非検出状態となるオフとが切換わる貫通型の玉センサ9に対する不正を監視する玉センサ不正監視装置に広く適用できる。
【0020】
この場合、玉センサ不正監視装置は、
前記玉センサ9がオフからオンに切換わるオンエッジの検知からオンからオフに切換わるオフエッジの検知までのオン時間を計時するオン時間計時手段Tと、
前記オン時間計時手段Tで計時するオン時間が、予め設定し且つ想定される最小オン時間相当の比較基準値未満となるとき異常と判定するオン時間異常判定手段Xとを含む。
【0021】
また、玉センサ不正監視装置は、
前記玉センサ9がオフからオンに切換わるオンエッジの検知からオンからオフに切換わるオフエッジの検知までのオン時間を計時するオン時間計時手段Tと、
前記玉センサ9がオンからオフに切換わるオフエッジの検知からオフからオンに切換わるオンエッジの検知までのオフ時間を計時するオフ時間計時手段Fと、
前記オン時間計時手段Tで計時するオン時間が、予め設定し且つ想定される最小オン時間相当の比較基準値未満となるとき異常と判定するオン時間異常判定手段Xと、
前記オフ時間計時手段Fで計時するオフ時間が、予め設定し且つ想定される最小オフ時間相当の比較基準値未満となるとき異常と判定するオフ時間異常判定手段Yとを含む。
【発明の効果】
【0022】
一つのパチンコ玉が玉センサ9を貫通する途中、正規にオンの期間にある玉センサ9に向けてオフの状態を強制的に挿入する電波が不正に照射された場合、一つの正規のオンの期間が細かく分断され、想定される最小オン時間相当の比較基準値よりもオン時間が短くなることがある。この場合、オン時間計時手段Tで計時するオン時間が、予め設定し且つ想定される最小オン時間相当の比較基準値未満となり、オン時間異常判定手段Xにより異常と判定される。このため、一入賞を複数入賞に見せ掛ける等の新手の電波ゴトに対する監視精度を高めることができ、高セキュリティの弾球遊技機を提供できる。
【0023】
一つのパチンコ玉が玉センサ9を貫通する途中、正規にオンの期間にある玉センサ9に向けてオフの状態を強制的に挿入する電波が不正に照射された場合、一つの正規のオンの期間の途中に、想定される最小オフ時間相当の比較基準値よりも短いオフ時間が挿入されることがある。この場合、オフ時間計時手段Fで計時するオフ時間が、予め設定し且つ想定される最小オフ時間相当の比較基準値未満となり、オフ時間異常判定手段Yにより異常と判定される。このため、一入賞を複数入賞に見せ掛ける等の新手の電波ゴトに対する監視精度を一層高めることができ、より高セキュリティの弾球遊技機を提供できる。
【0024】
以上の場合に、制御装置CNに備えるマイクロプロセッサーCPUのタイマー割込処理において、玉センサ9のオンオフが切換わるエッジの検知でリセットし、玉センサ9のオンオフが切換わらないエッジの非検知でカウントアップするカウンタJを設け、このカウンタJを、玉センサ9の出力の計時に用いるものとすれば、制御装置CNにおけるソフトウェア上の構成だけで、しかも、そのソフトウェア上の処理負担を大幅に増大させることなく、所期の目的を達成できる。
【0025】
また、この場合に、カウンタJのカウント値が所定の上限以上になるとカウントアップを停止させ、次のエッジの検知までカウント値を維持する仕様にしておくと、特に、玉センサ9での非検出状態たるオフの期間が長く続いても、有限のカウンタJがカウントアップの上限に達したことで不用意に0にリセットされてしまう弊害がなく、ソフトウェア上で良好にオフ時間の計時及びその監視が行える。
【0026】
最小オン時間相当又は最小オフ時間相当の比較基準値は、遊技盤2に対する実射試験で予め計測した玉センサ9毎の出力の実測値に基づいて玉センサ9毎に個別設定する場合には、個々の玉センサ9を貫通するパチンコ玉の通過速度が比較的速い傾向にあるのか比較的遅い傾向にあるのか等、個々の特性に合わせた監視体制をとることができ、不正に対する監視の精度をより一層向上することができる。
【0027】
最小オン時間相当又は最小オフ時間相当の比較基準値は、遊技盤2に対する実射試験で予め計測した玉センサ9毎の出力の実測値に基づいてそのうちの最小値を代表値として各玉センサ9に共通設定する場合には、比較基準値の数を最小限に少なくでき、制御装置CNの処理負担を軽減することができる。
【0028】
前記オン時間計時手段Tと前記オン時間異常判定手段Xとを含む玉センサ不正監視装置によれば、一球を複数球に見せ掛ける等の新手の電波ゴトに対する監視精度を高めることができ、高セキュリティの玉センサ不正監視装置を提供できる。
【0029】
前記オン時間計時手段Tと前記オフ時間計時手段Fと前記オン時間異常判定手段Xと前記オフ時間異常判定手段Yとを含む玉センサ不正監視装置によれば、一球を複数球に見せ掛ける等の新手の電波ゴトに対する監視精度を一層高めることができ、より高セキュリティの玉センサ不正監視装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明にかかる弾球遊技機の正面図である。
【図2】図2は、同弾球遊技機の遊技盤の正面図である。
【図3】図3は、同弾球遊技機の制御装置のブロック図である。
【図4】図4は、玉センサの機能説明図である。
【図5】図5は、普通電動役物入賞玉センサの実射試験によるオン時間分布図である。
【図6】図6は、普通電動役物入賞玉センサの実射試験によるオフ時間分布図である。
【図7】図7は、特別電動役物入賞玉センサの実射試験によるオン時間分布図である。
【図8】図8は、特別電動役物入賞玉センサの実射試験によるオフ時間分布図である。
【図9】図9は、ゲート通過玉センサの実射試験によるオン時間分布図である。
【図10】図10は、ゲート通過玉センサの実射試験によるオフ時間分布図である。
【図11】図11は、実射試験による玉センサ毎の最小オン時間及び最小オフ時間をまとめたテーブルである。
【図12】図12は、制御装置のタイマー割込周期を考慮した玉センサ毎の最小オン時間相当及び最小オフ時間相当の比較基準値の実施例1にかかるテーブルである。
【図13】図13は、同じく比較基準値の実施例2にかかるテーブルである。
【図14】図14は、同じく比較基準値の実施例3にかかるテーブルである。
【図15】図15は、玉センサ不正監視装置を構築するソフトウェアのフローチャートである。
【図16】図16は、新手の電波ゴトに対する効果を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は本発明を適用するパチンコ遊技機1を示し、遊技枠10に本体11を開扉可能に支持している。本体11の前面上部には、丸窓12にガラス13を嵌めたフロント扉14を有し、その内方に遊技盤2を備える。フロント扉14の下には、パチンコ玉を受け止める上皿31、内方で溢れたパチンコ玉を受け止める下皿32、効果音等を出音する左右スピーカ33,34、遊技盤2に1分間について100個に近い数のパチンコ玉を連続的に打ち出し、回転操作角度によりパチンコ玉の打出し強さを調整できる発射ハンドル35を備える。36は、発射ハンドル35の回転操作中にパチンコ玉の打ち出しを一次休止するための発射停止ボタンである。フロント扉14の前面上部から右サイドにかけて、装飾やエラー報知等に用いるフロントランプ51〜55を備える。
【0032】
図2に示すように、遊技盤2には、次の1)〜10)の遊技部品を備える。
1)第1玉振分機構7A
該第1玉振分機構7Aは、遊技盤2のほぼ中心線上の上部に配置し、クラゲの装飾をあしらった丸みを帯びた玉ハウジング701の左右に、遊技盤2からパチンコ玉を受け入れる左玉入口70L及び右玉入口70Rを備える。内部には玉振分ステージ702を備え、内部に受け入れたパチンコ玉を、次記第2玉振分機構7Bに受け継がせることができる中玉出口703Cか、或は、このような受け継ぎは絶望的となる左玉出口703L及び右玉出口703Rの何れかから放出させる。
【0033】
2)第2玉振分機構7B
該第2玉振分機構7Bは、海底をイメージした装飾をあしらった玉ハウジング705の上部に、第1玉振分機構7Aの中玉出口703Cから放出されたパチンコ玉を、風車Kを主体とする玉流下制御機構7Cによる再振分を経て入玉させる上玉入口70Cを備える。内部にはいわゆるクルーンから成る第2玉振分ステージ706を備え、上玉入口70Cから受け入れたパチンコ玉を、後記第1始動口81へ100%に近い高率でほぼ入賞させることができる中央下方の特定玉出口70Vか、或は、第1始動口81への入賞は絶望的となる右下方の外れ玉出口70Fの何れかから放出させる。
【0034】
3)玉流下制御機構7C
該玉流下制御機構7Cは、風車Kとこれを取り囲む独特のゲージ配置をもつ多数の遊技釘30とを組合わせて構成しており、第1玉振分機構7Aの中玉出口703Cから放出されたパチンコ玉を、真下か、或は、左右何れかに振分け、第2玉振分機構7Bの上玉入口70Cへのパチンコ玉の受け継ぎを所定の確率で達成できるように制限している。
【0035】
4)第1始動口81
該第1始動口81は、第2玉振分機構7Bの特定玉出口70Vの直下に配置し、該特定玉出口70Vから放出されたパチンコ玉のみを入賞させる。この第1始動口81への入賞玉は、上から下にパチンコ玉を貫通させる貫通型の玉センサ9から成る入賞玉センサ9Cにより検出される。検出した入賞玉一個につき、所定数例えば10個のパチンコ玉を賞玉として払出すと共に、後記制御装置CNの主制御部MCで定義し且つ所定範囲内例えば0〜65535の範囲内で高速更新する特別図柄抽選用乱数庫(乱数カウンタ)から一つの特別図柄抽選用乱数を取得し、主制御部MCのRAMに格納する。
【0036】
この第1始動口81及び後記第2始動口82への入賞に基づく特別図柄抽選での当選確率すなわち大当たり確率は、通常時でも1に近い高い値例えば65532/65536に設定しており、殆どの場合に大当たりとなる。また、大当たり遊技後は、大当たり確率を通常時の65532/65536よりもさらに少し高い例えば65533/65536に高めると共に、後述の普通図柄抽選での当選確率を通常時の低い値例えば6/65522から遥かに高い値例えば65520/65522に高め、且つ、第2始動口82の一回の開動作についての最大開放時間を通常時の比較的短時間例えば0.2秒から比較的長時間例えば5.5秒に延長する開放延長による時短機能付き確率変動遊技に突入させる。この時短機能付き確率変動遊技は、所定の連続当選許容回数例えば30回を上限として繰り返される。
【0037】
5)スルーゲートG
該スルーゲートGは、遊技盤2の表面上を転動するパチンコ玉を上から下に一個ずつ通り抜けさせ、通り抜け後はパチンコ玉を再び遊技盤2の表面上に放つものであって、遊技盤2の略中心線を挟んで遊技者側から見て右領域の上方に配置している。このスルーゲートGへのパチンコ玉の通過は、上から下にパチンコ玉を貫通させる貫通型の玉センサ9から成るゲート通過玉センサ9Gにより検出される。検出した通過玉一個につき、主制御部MCで定義し且つ所定範囲内例えば0〜65521の範囲内で高速更新する普通図柄抽選用乱数庫(乱数カウンタ)から一つの普通図柄抽選用乱数を取得し、主制御部MCのRAMに格納する。
【0038】
6)大入賞口6
該大入賞口6は、特別図柄抽選に当選して大当たり遊技が行われる時に複数回について開動作されるものであって、遊技盤2の右領域におけるスルーゲートGの下方に配置している。その開動作時には、常時は直立姿勢の閉状態にある横に幅広の可動板60を下端を軸に前に倒して斜め上に口を開いた状態とし、遊技盤2の主に右領域に流下するパチンコ玉の入賞を容易に許す。この大入賞口6への入賞玉は、上から下にパチンコ玉を貫通させる貫通型の玉センサ9から成る特別電動役物入賞玉センサ9Sにより検出される。検出した入賞玉一個につき、所定数例えば6個のパチンコ玉を賞玉として払出す。
【0039】
この大入賞口6の一回の開動作(1ラウンド)毎に、特別電動役物入賞玉センサ9Sにより最初に検出された入賞玉により大入賞口6は一旦閉じられ、例えば1秒前後の所定インターバルを経て、再び大入賞口6は開動作され、所定上限ラウンド数例えば2ラウンドについて繰り返す。大入賞口6が一回開動作される1ラウンドの最大開放時間は、所定の長時間例えば30秒に定めているが、1ラウンド中に入賞が許容されるカウント数は1個であるため、多くの場合、最大開放時間の経過を待つことなく、おおむね1個の入賞により1ラウンドが終了する。
【0040】
したがって、一回の大当たり遊技で獲得できる賞玉は、1カウント×6賞玉×2ラウンド=12個と少なめとなる。ただし、大当たり遊技後は時短機能付き確率変動遊技に突入し、第2始動口82への入賞による特別図柄抽選で当選を得ることにより、大当たりを連続させることができる。なお、特別電動役物入賞玉センサ9Sでの最初の入賞玉の検出により大入賞口6は閉じるが、大きく口を開いた大入賞口6には、ほぼ同時に2以上のパチンコ玉が入る可能性も少なくなく、1ラウンドについての入賞玉数が2以上となることもある。
【0041】
7)第2始動口82
該第2始動口82は、普通図柄抽選で当選した場合に一回開動作されるものであって、部品としての構造は大入賞口6と同様である。遊技盤2の右領域における大入賞口6の下方に配置しており、その開動作時には、常時は直立姿勢の閉状態にある横に幅広の可動板80を下端を軸に前に倒して斜め上に口を開いた状態とし、遊技盤2の主に右領域に流下するパチンコ玉の入賞を容易に許す。この第2始動口82への入賞玉は、上から下にパチンコ玉を貫通させる貫通型の玉センサ9から成る普通電動役物入賞玉センサ9Nにより検出される。検出した入賞玉一個につき、第1始動口81への入賞時と同じく、所定数例えば6個のパチンコ玉を賞玉として払出すと共に、特別図柄抽選用乱数庫(乱数カウンタ)から一つの特別図柄抽選用乱数を取得して主制御部MCのRAMに格納する。
【0042】
この第2始動口82の開動作は、最大開放時間の経過か、又は、最大入賞数例えば10個の入賞玉を検出したことにより終了する。第2始動口82への入賞玉による特別図柄抽選でも、第1始動口81への入賞玉による特別図柄抽選と同様に、ほぼ毎回大当たりとなり、大当たり遊技時、第2始動口82の上方に配置した大入賞口6が開かれ、その下方にある第2始動口82の上部にはひさしが被さる形となり、第2始動口82自体へはパチンコ玉がやや入り難い状況となる。したがって、時短機能付き確率変動遊技時に最大開放時間が5.5秒あるとしても、多くの場合、最大入賞数を下回る適度な数の入賞数に止まるものとなる。
【0043】
8)左飾り入賞ユニット25
該左飾り入賞ユニット25は、遊技盤2の左領域下方に配置し、入賞玉一個につき、所定数例えば10個のパチンコ玉を賞玉として払出す一般入賞口41,42を備える。これら入賞口41,42への入賞玉は、それぞれ、上から下にパチンコ玉を貫通させる貫通型の玉センサ9から成る入賞玉センサ9U,9Lにより検出される。
【0044】
9)右飾り入賞兼表示ユニット26
該右飾り入賞兼表示ユニット26は、遊技盤2の右領域下方に配置し、入賞玉一個につき、所定数例えば10個のパチンコ玉を賞玉として払出す一般入賞口43を備える。この入賞口43への入賞玉は、上から下にパチンコ玉を貫通させる貫通型の玉センサ9から成る入賞玉センサ9Lにより検出される。
【0045】
また、この右飾り入賞兼表示ユニット26には、第1始動口81又は第2始動口82への入賞玉に基づく特別図柄抽選での大当たりの当否を導出させる7セグメントLEDから成る特別図柄表示装置SDを備える。第1始動口81又は第2始動口82への入賞時、所定の変動時間例えば0.5秒間〜1秒間についてのランダムな表示変動を経て、大当たり時は例えば「7」で、はずれ時は例えば「−」(バー)で各停止させ、大当たりの当否を導出する。大当たりの導出後は、大当たり遊技がされる。e1,e2,e3,e4は、特別図柄表示装置SDでの表示変動待ちのために所定保留上限数例えば4個を上限に有効に取得し且つ格納した特別図柄抽選用乱数の保留記憶数を点灯により表示させる特別図柄用保留表示器である。
【0046】
さらに、右飾り入賞兼表示ユニット26には、スルーゲートGへの玉通過に基づく普通図柄抽選での当否を導出させる緑ランプGLと赤ランプRLとから成る普通図柄表示装置NDを備える。スルーゲートGへのパチンコ玉の通過時、所定の変動時間例えば0.4秒間についての緑ランプGLと赤ランプRLとの交互点灯による表示変動を経て、当選時は例えば緑ランプGLの点灯で、はずれ時は例えば赤ランプRLの点灯で各停止させ、普通図柄抽選での当否を導出する。普通図柄抽選での当選導出後は、第2始動口82が所定の最大開放時間について開動作される。n1,n2,n3,n4は、特別図柄表示装置NDでの表示変動待ちのために所定保留上限数例えば4個を上限に有効に取得し且つ格納した普通図柄抽選用乱数の保留記憶数を点灯により表示させる普通図柄用保留表示器である。
【0047】
10)その他
略円形の遊技領域200を区画し且つ発射ハンドル35により打ち出すパチンコ玉を導くレール20,21、玉戻り防止片22、玉止め23、パチンコ玉の貫通を許容する玉センサ無しの飾りゲート24、上部左右の風車27,28、入賞を逃したパチンコ玉を排出する下部のアウト口29を備える。
【0048】
図3に、遊技盤2での遊技を制御する制御装置CNを示す。CPU、ROM、RAMから成るマイクロプロセッサーを具備する主制御部MC、第1周辺制御部SC1及び第2周辺制御部SC2を備える。主制御部MCには、I/OポートIN0を介して、第1始動口81の入賞玉センサ9C、第2始動口82の普通電動役物入賞玉センサ9S、大入賞口6の特別電動役物入賞玉センサ9S、スルーゲートGのゲート通過玉センサ9G、各一般入賞口41,42,43の入賞玉センサ9U,9L,9Rを入力している。主制御部MCから各周辺制御部SC1,SC2へは、中継基板CBを介して一方通行的にコマンドを送信している。周辺制御部SC1,SC2相互間は、双方向的にデータを送受信している。
【0049】
なお、各玉センサ9(9C,9N,9S,9G,9U,9L,9R)は、矩形のボディ91の厚み方向にパチンコ玉を貫通させる貫通穴90を備え、ボディ91に印等されたIN面を上にして配置され、上から下に垂直にパチンコ玉を貫通させるようにしている。これら玉センサ9には、例えば、OMRON社製の貫通型近接スイッチTL−PP153等が用いられる。
【0050】
主制御部MCのROMには、特別図柄抽選及び普通図柄抽選を含む遊技の主制御を担う遊技プログラムを格納しており、このROMの遊技プログラム上に次のア)〜エ)の各手段を構築し、ワーク領域として用いるRAMと協同してソフトウェア上において玉センサ不正監視装置を構成している。玉センサ9のうち、少なくとも、不正に対して影響の大きい、第2始動口82の普通電動役物入賞玉センサ9Nと、大入賞口6の特別電動役物入賞玉センサ9Sと、スルーゲートGのゲート通過玉センサ9Gとを監視の対象とし、少なくとも、これら3つの玉センサ9N,9S,9Gに対する不正監視装置を構成している。なお、全ての玉センサ9を監視の対象とし、全ての玉センサ9に対する不正監視装置を構成しても勿論よい。
【0051】
ア)オン時間計時手段T
該オン時間計時手段Tは、監視対象の玉センサ9(9N,9S,9G・・・)それぞれについて、パチンコ玉の非検出状態であるオフから検出状態となるオンに切換わるオンエッジの検知から、検出状態のオンから非検出状態のオフに切換わるオフエッジの検知までのオン時間を計時する。
【0052】
イ)オフ時間計時手段F
該オフ時間計時手段Fは、監視対象の玉センサ9(9N,9S,9G・・・)それぞれについて、パチンコ玉の検出状態であるオンから非検出状態となるオフに切換わるオフエッジの検知から、非検出状態のオフから検出状態のオンに切換わるオンエッジの検知までのオフ時間を計時する。
【0053】
ウ)オン時間異常判定手段X
該オン時間異常判定手段Xは、監視対象の玉センサ9(9N,9S,9G・・・)それぞれについて、オン時間計時手段Tで計時するオン時間が、予め設定し且つ想定される最小オン時間相当の比較基準値未満となるとき異常と判定する。
【0054】
エ)オフ時間異常判定手段Y
該オフ時間異常判定手段Yは、監視対象の玉センサ9(9N,9S,9G・・・)それぞれについて、オフ時間計時手段Fで計時するオフ時間が、予め設定し且つ想定される最小オフ時間相当の比較基準値未満となるとき異常と判定する。
【0055】
なお、主制御部MCからは、ドライバ回路DR0を介して、特別図柄表示装置SD、普通図柄表示装置ND、特別図柄用保留表示器e1〜e4、普通図柄用保留表示器n1〜n4、大入賞口6の可動板60を開閉させるソレノイド等による開閉用駆動部6D、第2始動口82の可動板80を開閉させる同じくソレノイド等による開閉用駆動部8Dを主に制御している。
【0056】
また、第1周辺制御部SC1からは、ドライバ回路DR1を介して、スピーカ33,34から出音する効果音を主に制御している。第2周辺制御部SC2からは、ドライバ回路DR2を介して、フロントランプ51〜55や遊技盤2に内蔵等した各種ランプ類の点灯表示態様を主に制御している。なお、図3では、パチンコ玉の発射関連、賞玉の払出関連及び電源関連の各回路は省略していると共に、遊技者利益に直接関係しない第1玉振分機構7Aや第2玉振分機構7B等に設ける演出用玉センサは省略して描いている。
【0057】
図4に示すように、玉センサ9すなわち入賞玉センサ9N,9S,9C,9U,9L,9R及びゲート通過玉センサ9Gは全て同一構成であり、貫通穴90を取り囲むように環状の検出コイル901を内蔵しており、基板92に実装するコルピッツ形やハートレー形等の発振回路902から検出コイル901に供給する高周波発振信号により、貫通穴90の周りに磁界を生じさせている。その中を金属製のパチンコ玉P1,P2が通過すると、電磁誘導作用に基づく渦電流により発振が一時的に停止される等、回路定数すなわち回路のインピーダンスが変化する。これを検波回路903にて検出してトランジスタ等のスイッチング回路904をオンオフさせ、出力回路905の端子93から検出出力信号を取り出す。なお、図4では、電源供給ラインを省略して描いている。
【0058】
検出出力信号は、パチンコ玉の貫通に伴い、パチンコ玉の非検出状態であるオフから、パチンコ玉の検出状態となるオンに切換えられ、パチンコ玉の貫通後は、再び非検出状態のオフに復帰される。なお、検出出力信号は、パチンコ玉の非検出状態であるオフがプラス5ボルト等のハイレベル信号で、パチンコ玉の検出状態であるオンが0ボルト等のローレベル信号であってもよいし、パチンコ玉の非検出状態であるオフが0ボルト等のローレベル信号で、パチンコ玉の検出状態であるオンがプラス5ボルト等のハイレベル信号であっても勿論よい。
【0059】
ある一つのパチンコ玉P1が貫通穴90の内部を移動していくとき、パチンコ玉P1が実線で示す検出状態となるオンの点をa、さらに移動してパチンコ玉P1が二点鎖線の想像線で示す非検出状態となるオフの点をbとしたとき、a点とb点との間の距離Lがパチンコ玉P1の検出範囲となるが、一般に、この検出範囲Lは、パチンコ玉の直径11mmに対して、4〜8mm程度と小さく、2個以上のパチンコ玉が数珠繋ぎ状に互いに密着して移動してきても、先行するパチンコ玉P1が非検出状態となるオフ点bに移動しても、後続のパチンコ玉P2は未だ検出状態となるオン点aには達しない。
【0060】
したがって、2個以上のパチンコ玉P1,P2が数珠繋ぎ状に互いに密着して玉センサ9を貫通しても、先行するパチンコ玉P1の検出状態となるオンと、後続するパチンコ玉P2の検出状態となるオンとの間には、必ず非検出状態となるオフが挿入されることになり、玉センサ9は、本来必ずパチンコ玉を一つずつ検出できるものである。
【0061】
図5は、遊技盤2に対する10時間の実射試験(遊技盤2に実際にパチンコ玉を10時間について打ち出した試験、以下同様)の結果、第2始動口82に入賞したパチンコ玉を該第2始動口82の内部に備える玉センサ9である普通電動役物入賞玉センサ9Nにより実際に検出したオン時間(ON時間)の度数分布図であり、1ミリ秒(1msec)刻みのON時間の区分毎に度数(パチンコ玉の数)を集計したものである。ここに、オン時間(ON時間)とは、普通電動役物入賞玉センサ9Nがパチンコ玉の非検出状態であるオフから検出状態となるオンに切換わるオンエッジの検知から、検出状態のオンから非検出状態のオフに切換わるオフエッジの検知までの時間である。
【0062】
第2始動口82に入賞したパチンコ玉の数すなわち普通電動役物入賞玉センサ9Nを貫通したパチンコ玉の数は全部で1595個となり、最も度数が多かったのは、35〜36msecの区分であり、296個のパチンコ玉について、その一つ一つのオン時間は35〜36msecであった。また、31〜39msecの範囲に属する度数の累計は、全体の約83%にあたる1329個に達し、8割を超えるパチンコ玉について、その一つ一つのオン時間は、比較的長い傾向となった。
【0063】
これは、第2始動口82が、その開動作時に横に幅広の可動板80を下端を軸に前に倒して斜め上に口を開いた状態でパチンコ玉を受け入れ、横に幅広の可動板80により、普通電動役物入賞玉センサ9Nを通過する直前のパチンコ玉の初速度が弱められる点、第2始動口82はその一回の開動作中に複数の入賞を許容し、2以上のパチンコ玉が互いに干渉等して、普通電動役物入賞玉センサ9Nの入口の縁をなめるように比較的ゆっくりと流入する点、図2に示すように第2始動口82の周辺に独特の遊技釘30のゲージ配置をもつ点等が主要因と考えられる。
【0064】
もっとも、ほぼダイレクトに普通電動役物入賞玉センサ9N又はその近傍に飛び込むパチンコ玉もあることから、25msec以下の比較的短いオン時間となる場合も多少なりともあり、16〜17msecの最も短いオン時間の区分に属する度数も1つだけあり、そのオン時間の最小値ONminは、16.2msecであった。
【0065】
図6は、遊技盤2に対する10時間の実射試験の結果、第2始動口82に対して比較的短期の所定期間内例えば1秒以内に連続入賞があった場合を抽出し、その1秒以内の連続入賞についての普通電動役物入賞玉センサ9Nにより実際に検出したオフ時間(OFF時間)の度数分布図であり、100ミリ秒(100msec)刻みのOFF時間の区分毎に度数(先行するパチンコ玉に後続するパチンコ玉の数)を集計したものである。
【0066】
比較的短期の所定期間内を抽出してOFF時間の分布を示しているのは、第2始動口82が開かなければずっとOFF時間が継続し、ゴト対策として考えるべきは、短期のOFF時間だからである。ここに、オフ時間(OFF時間)とは、普通電動役物入賞玉センサ9Nがパチンコ玉の検出状態であるオンから非検出状態となるオフに切換わるオフエッジの検知から、非検出状態のオフから検出状態のオンに切換わるオンエッジの検知までの時間である。
【0067】
第2始動口82は、時短機能付き確率変動遊技時、最大開放時間を5.5秒とした比較的長期間の開動作条件下でパチンコ玉を受け入れ、本来、連続的な入賞が期待できるものである。ただし、横に幅広の可動板80により普通電動役物入賞玉センサ9Nを通過する直前のパチンコ玉一つ一つの初速度が弱められる点、2以上のパチンコ玉が干渉等により間隔を空けて普通電動役物入賞玉センサ9Nに流入する点、図2に示すように第2始動口82の周辺に独特の遊技釘30のゲージ配置をもつ点、上部の大入賞口6の開動作により連続入賞の間隔が適度に広げられる点等が主要因となって、オフ時間の多くは100msec以上の比較的長いものとなった。
【0068】
もっとも、数珠繋ぎ状またはこれに近い状況で2以上のパチンコ玉が連続して普通電動役物入賞玉センサ9Nを通過することもあることから、100msec以下の比較的短いオフ時間となる場合も多少なりともあり、0〜100msecの最も短いオフ時間の区分に属する度数も4つだけあり、そのオフ時間の最小値OFFminは、38.5msecであった。
【0069】
図7は、遊技盤2に対する10時間の実射試験の結果、大入賞口6に入賞したパチンコ玉を該大入賞口6の内部に備える玉センサ9である特別電動役物入賞玉センサ9Sにより実際に検出したオン時間(ON時間)の度数分布図であり、1ミリ秒(1msec)刻みのON時間の区分毎に度数(パチンコ玉の数)を集計したものである。ここに、オン時間(ON時間)とは、特別電動役物入賞玉センサ9Sがパチンコ玉の非検出状態であるオフから検出状態となるオンに切換わるオンエッジの検知から、検出状態のオンから非検出状態のオフに切換わるオフエッジの検知までの時間である。
【0070】
大入賞口6に入賞したパチンコ玉の数すなわち特別電動役物入賞玉センサ9Sを貫通したパチンコ玉の数は全部で2546個となり、最も度数が多かったのは、28〜29msecの区分であり、659個のパチンコ玉について、その一つ一つのオン時間は28〜29msecであった。また、26〜31msecの範囲に属する度数の累計は、全体の約85%にあたる2152個に達し、8割を超えるパチンコ玉について、その一つ一つのオン時間は、第2始動口82の普通電動役物入賞玉センサ9Nのそれよりも短いが、比較的やや長い傾向となった。
【0071】
これは、大入賞口6が、その開動作時に横に幅広の可動板60を下端を軸に前に倒して斜め上に口を開いた状態でパチンコ玉を受け入れ、横に幅広の可動板60により、特別電動役物入賞玉センサ9Sを通過する直前のパチンコ玉の初速度が弱められる点、この一方で、大入賞口6はその一回の開動作中(1ラウンド)に2以上のパチンコ玉がたまたまほぼ同時に入賞することはあっても基本的に一個のパチンコ玉(1カウント)のみの入賞を許容し、2以上のパチンコ玉の干渉による減速等は第2始動口82の場合よりも少ない点、図2に示すように大入賞口6の周辺に独特の遊技釘30のゲージ配置をもつ点等が主要因と考えられる。
【0072】
もっとも、ほぼダイレクトに特別電動役物入賞玉センサ9S又はその近傍に飛び込むパチンコ玉もあることから、25msec以下の比較的短いオン時間となる場合も多少なりともあり、17〜18msecの最も短いオン時間の区分に属する度数も3つだけあり、そのオン時間の最小値ONminは、17.3msecであった。普通電動役物入賞玉センサ9NのONminが16.2msecであったのに対し、若干長くなったのは、大入賞口6の周辺の遊技釘30のゲージ配置等が、第2始動口82のそれと異なる点等が要因と考えられる。
【0073】
図8は、遊技盤2に対する10時間の実射試験の結果、大入賞口6に対して比較的短期の所定期間内例えば1秒以内に連続入賞があった場合を抽出し、その1秒以内の連続入賞についての特別電動役物入賞玉センサ9Sにより実際に検出したオフ時間(OFF時間)の度数分布図であり、100ミリ秒(100msec)刻みのOFF時間の区分毎に度数(先行するパチンコ玉に後続するパチンコ玉の数)を集計したものである。
【0074】
比較的短期の所定期間内を抽出してOFF時間の分布を示しているのは、第2始動口82の場合と同様、大入賞口6が開かなければずっとOFF時間が継続し、ゴト対策として考えるべきは、短期のOFF時間だからである。ここに、オフ時間(OFF時間)とは、特別電動役物入賞玉センサ9Sがパチンコ玉の検出状態であるオンから非検出状態となるオフに切換わるオフエッジの検知から、非検出状態のオフから検出状態のオンに切換わるオンエッジの検知までの時間である。
【0075】
大入賞口6は、その一回の開動作中(1ラウンド)に2以上のパチンコ玉がたまたまほぼ同時に入賞することはあっても基本的に一個のパチンコ玉(1カウント)のみの入賞を許容するものである。したがって、ラウンド間のインターバル時間に相当する1秒よりも短い期間を抽出した分布では、700〜1000msecの度数は0であり、1ラウンド中の最初の入賞玉により可動板60が垂直に復帰して大入賞口6が閉じられる際に大入賞口6の内部にある後続の入賞玉は、遅くとも700msec以内に検出される結果となった。
【0076】
大入賞口6については、100〜200msecの区分に属する度数が最も多い。第2始動口82の場合よりもやや短いオフ時間となったのは、最初の入賞玉により可動板60が直立姿勢に復帰して大入賞口6が閉じられる際に大入賞口6の内部にある後続の入賞玉が特別電動役物入賞玉センサ9Sに導かれる傾向にあること等が影響していると考えられる。0〜100msecの最も短いオフ時間の区分に属する度数も17あり、そのオフ時間の最小値OFFminは、29.8msecであった。
【0077】
図9は、遊技盤2に対する10時間の実射試験の結果、スルーゲートGを通過したパチンコ玉を該スルーゲートGに備える玉センサ9であるゲート通過玉センサ9Gにより実際に検出したオン時間(ON時間)の度数分布図であり、1ミリ秒(1msec)刻みのON時間の区分毎に度数(パチンコ玉の数)を集計したものである。ここに、オン時間(ON時間)とは、ゲート通過玉センサ9Gがパチンコ玉の非検出状態であるオフから検出状態となるオンに切換わるオンエッジの検知から、検出状態のオンから非検出状態のオフに切換わるオフエッジの検知までの時間である。
【0078】
スルーゲートGを通過したパチンコ玉の数すなわちゲート通過玉センサ9Gを貫通したパチンコ玉の数は全部で5005個となり、最も度数が多かったのは、20〜21msecの区分であり、866個のパチンコ玉について、その一つ一つのオン時間は20〜21msecであった。また、18〜24msecの範囲に属する度数の累計は、全体の約85%にあたる4264個に達し、8割を超えるパチンコ玉について、その一つ一つのオン時間は、比較的短い傾向となった。
【0079】
これは、スルーゲートGが、遊技盤2の表面上を転動するパチンコ玉を上から下に一個ずつ通り抜けさせ、通り抜け後はパチンコ玉を再び遊技盤2の表面上に放つものであり、スルーゲートGの上部に配置した遊技釘30により該スルーゲートGに流入するパチンコ玉の初速度が適度に弱められるとしても、ゲート通過玉センサ9Gの上から下に向けて比較的スムーズにパチンコ玉が貫通すると考えられるからである。
【0080】
9〜10msecの最も短いオン時間の区分に属する度数も2つだけあり、そのオン時間の最小値ONminは、9.3msecであった。
【0081】
図10は、遊技盤2に対する10時間の実射試験の結果、スルーゲートGに対して比較的短期の所定期間内例えば1秒以内に連続玉通過があった場合を抽出し、その1秒以内の連続玉通過についてのゲート通過玉センサ9Gにより実際に検出したオフ時間(OFF時間)の度数分布図であり、100ミリ秒(100msec)刻みのOFF時間の区分毎に度数(先行するパチンコ玉に後続するパチンコ玉の数)を集計したものである。
【0082】
比較的短期の所定期間内を抽出してOFF時間の分布を示しているのは、スルーゲートGをパチンコ玉が通過しなければずっとOFF時間が継続し、ゴト対策として考えるべきは、短期のOFF時間だからである。ここに、オフ時間(OFF時間)とは、ゲート通過玉センサ9Gがパチンコ玉の検出状態であるオンから非検出状態となるオフに切換わるオフエッジの検知から、非検出状態のオフから検出状態のオンに切換わるオンエッジの検知までの時間である。
【0083】
スルーゲートGは、常時パチンコ玉を受け入れてその通過を許容するものであり、連続的な玉通過は本来起こり易い。しかし、スルーゲートGの上部に配置した遊技釘30により該スルーゲートGに順に流入してくるパチンコ玉の間隔が適度に広げられる場合も多いと考えられ、このことから、連続的な通過玉を想定して1秒以内を抽出したオフ時間の分布では、600〜700msecをピークとし、そのオフ時間の多くは300msec以上の比較的長いものとなった。
【0084】
もっとも、数珠繋ぎ状またはこれに近い状況で2以上のパチンコ玉が連続してスルーゲートGに流入し、ゲート通過玉センサ9Gを連続的に貫通することもあることから、100msec以下の比較的短いオフ時間となる場合も少なくなく、0〜100msecの最も短いオフ時間の区分に属する度数も96あり、そのオフ時間の最小値OFFminは、22.3msecであった。
【0085】
図11は、以上の実射試験による玉センサ9N,9S,9G毎の最小オン時間ONmin及び最小オフ時間OFFminの各実測値をまとめたテーブルである。なお、他の玉センサ9、すなわち、第1始動口81の入賞玉センサ9C及び各一般入賞口41,42,43の入賞玉センサ9U,9L,9Rについては実測していないが、これら各玉センサ9C,9U,9L,9Rは、遊技盤2の表面に対して奥行方向内部に配置され、遊技盤2の奥に方向転換された初速度の小さいパチンコ玉を上から下に通過させるものであるため、最も短いものでも、スルーゲートGに対する最小オン時間ONmin=9.3msec及び最小オフ時間OFFmin=22.3msecを下回ることはないと考えられる。
【実施例1】
【0086】
図12は、制御装置CNの主制御部MCにおけるCPUの所定のタイマー割込周期を考慮し、且つ、図11の実射試験による実測値に基づいて定めた、玉センサ9N,9S,9G毎の最小オン時間相当及び最小オフ時間相当の比較基準値をまとめた実施例1にかかるテーブルである。その所定のタイマー割込周期は、例えば800マイクロ秒(μsec)=0.8msecである。
【0087】
普通電動役物入賞玉センサ9Nについての最小ON時間相当の比較基準値は20割込に定めており、0.8×20=16msecは、最小ON時間の実測値の16.2msecに最も近い下回り値であり、電波ゴトを疑い得る最適な評価値である。同最小OFF時間相当の比較基準値は48割込に定めており、0.8×48=38.4msecは、最小OFF時間の実測値の38.5msecに最も近い下回り値であり、電波ゴトを疑い得る最適な評価値である。
【0088】
特別電動役物入賞玉センサ9Sについての最小ON時間相当の比較基準値は21割込に定めており、0.8×21=16.8msecは、最小ON時間の実測値の17.3msecに最も近い下回り値であり、電波ゴトを疑い得る最適な評価値である。同最小OFF時間相当の比較基準値は37割込に定めており、0.8×37=29.6msecは、最小OFF時間の実測値の29.8msecに最も近い下回り値であり、電波ゴトを疑い得る最適な評価値である。
【0089】
ゲート通過玉センサ9Gについての最小ON時間相当の比較基準値は11割込に定めており、0.8×11=8.8msecは、最小ON時間の実測値の9.3msecに最も近い下回り値であり、電波ゴトを疑い得る最適な評価値である。同最小OFF時間相当の比較基準値は27割込に定めており、0.8×27=21.6msecは、最小OFF時間の実測値の22.3msecに最も近い下回り値であり、電波ゴトを疑い得る最適な評価値である。
【0090】
以上のようにタイマー割込の数で比較基準値を設定しているのは、主制御部MCのタイマー割込周期毎に監視対象の玉センサ9N,9S,9Gを含む全玉センサ9の各検出出力を読み取り、タイマー割込周期毎に、各玉センサ9それぞれについて、パチンコ玉の検出状態にあるオンか、パチンコ玉の非検出状態であるオフかを検出しているからである。
【0091】
また、監視対象の玉センサ9それぞれについては、主制御部MCのCPUのタイマー割込処理において、玉センサ9のオンオフが切換わるエッジの検知でリセットし、玉センサ9のオンオフが切換わらないエッジの非検知でカウントアップするカウンタJを、主制御部MCのRAMのワーク領域に定義し、このカウンタJを、監視対象の玉センサ9のオン時間及びオフ時間の計時に用いることとしている。このカウンタJは、普通電動役物入賞玉センサ9N用のもの(カウンタJ1)、特別電動役物入賞玉センサ9S用のもの(カウンタJ2)、ゲート通過玉センサ9G用のもの(カウンタJ3)というように、監視対象の玉センサ9毎に定義している。
【実施例2】
【0092】
図13は、各玉センサ9毎の最小オン時間相当及び最小オフ時間相当の比較基準値をまとめた実施例2にかかるテーブルであって、電波ゴトに対する不正の監視対象とする玉センサ9に、第1始動口81の入賞玉センサ9C及び各一般入賞口41,42,43の入賞玉センサ9U,9L,9Rをも加え、遊技者利益に直接関係する玉センサ9の全てについて不正を監視するようにしたものである。
【0093】
第1始動口81の入賞玉センサ9C及び各一般入賞口41,42,43の入賞玉センサ9U,9L,9Rについての実測値はないが、上述したとおりスルーゲートGに対する最小オン時間ONmin及び最小オフ時間OFFminを下回ることはないと考えられるため、スルーゲートGに対するものと同一とし、それぞれ、最小オン時間ONmin=11[割込]及び最小オフ時間OFFmin=27[割込]に設定している。
【実施例3】
【0094】
図14は、各玉センサ9毎の最小オン時間相当及び最小オフ時間相当の比較基準値をまとめた実施例3にかかるテーブルであって、遊技者利益に直接関係する玉センサ9の全てについて不正を監視するようにしていると共に、制御装置CNの処理負担を軽減する観点から、その比較基準値は、遊技盤2に対する実射試験で予め計測した玉センサ9毎の出力の実測値に基づいて、そのうちの最小値であるスルーゲートGに対するものを代表値として、各玉センサ9に共通設定している。すなわち、全ての玉センサ9について、最小オン時間ONmin=11[割込]及び最小オフ時間OFFmin=27[割込]に設定している。
【0095】
なお、監視対象の玉センサ9は、普通電動役物入賞玉センサ9N、特別電動役物入賞玉センサ9S、ゲート通過玉センサ9Gに限定し、これらについての最小オン時間相当及び最小オフ時間相当の比較基準値を、最小値であるスルーゲートGに対するものを代表値とし、最小オン時間ONmin=11[割込]及び最小オフ時間OFFmin=27[割込]に共通設定してもよい。
【0096】
図15は、主制御部MCのタイマー割込周期すなわち本例では800μsec毎に、監視対象の玉センサ9それぞれについて実行する玉センサ監視処理のサブルーチンであって、前記オン時間計時手段T、前記オフ時間計時手段F、前記オン時間異常判定手段X、前記オフ時間異常判定手段Yを含む玉センサ不正監視装置をソフトウェア上で構築したものである。
【0097】
このサブルーチンは、800μsec毎に、普通電動役物入賞玉センサ9Nについても、特別電動役物入賞玉センサ9Sについても、ゲート通過玉センサ9Gについても、さらに、監視対象に他の入賞玉センサ9C,9U,9L,9Rを含める場合は、これら各々の玉センサ9C,9U,9L,9R何れについても、必ず一回ずつ呼び出されて実行されるものである。
【0098】
以下、玉センサ9というときは、サブルーチンの呼び出しにかかる玉センサが、普通電動役物入賞玉センサ9Nなら該玉センサ9Nを、特別電動役物入賞玉センサ9Sなら該玉センサ9Sを、ゲート通過玉センサ9Gなら該玉センサ9Gを、入賞玉センサ9Cなら該玉センサ9Cを、入賞玉センサ9Uなら該玉センサ9Uを、入賞玉センサ9Lなら該玉センサ9Lを、入賞玉センサ9Rなら該玉センサ9Rを意味する。
【0099】
先ず、ステップ1で、主制御部MCのRAMのワーク領域に定義し且つ玉センサ9の検出出力の状態が格納される変数Aと変数Bにおいて、変数Bの方に、玉センサ9の検出出力の前回の状態が格納された変数Aの値(オフ(OFF)であった場合は0、オン(ON)であった場合は1)を退避し、ステップ2で、変数Aに、玉センサ9の検出出力の今回の状態、すなわちオフ(OFF)である場合は0、オン(ON)である場合は1を格納する。
【0100】
続いて、ステップ3で、変数Aと変数Bとのエクスクルーシブオアの演算をし、今回が1で前回が0か、今回が0で前回が1かのどちらかで、その演算結果が1となるか否か、すなわち検出出力のエッジを検知したか否かを判定する。なお、今回が1で前回も1か、今回が0で前回も0なら、その演算結果は0となり、エッジの検知はないことになる。
【0101】
演算結果が1でなく0であり、エッジの検知がない場合、ステップ4で、玉センサ9のオン時間又はオフ時間を計時するために定義したカウンタJのカウント値が所定の上限値以上か否か、例えば、2バイトの最高数値である65535に達したか否かを判定する。上限値以上でない場合は、ステップ5で、カウンタJのカウント値をプラス1してカウントアップし、サブルーチンを抜ける。これにより、玉センサ9のオン時間又はオフ時間が800μsecを1単位として計時されることになる。
【0102】
実際には、サブルーチンの呼び出しにかかる玉センサが、普通電動役物入賞玉センサ9Nなら該玉センサ9N用のカウンタJ1に、特別電動役物入賞玉センサ9Sなら該玉センサ9S用のカウンタJ2に、ゲート通過玉センサ9Gなら該玉センサ9G用のカウンタJ3に、入賞玉センサ9Cなら該玉センサ9C用のカウンタJ4に、入賞玉センサ9Uなら該玉センサ9U用のカウンタJ5に、入賞玉センサ9Lなら該玉センサ9L用のカウンタJ6に、入賞玉センサ9Rなら該玉センサ9R用のカウンタJ7に、それぞれのオン時間又はオフ時間が入ることになる。
【0103】
カウンタJが上限値以上、すなわち、800μsec×65535=約52.4秒以上とき、カウンタJのカウントアップは停止され、ステップ3により次のエッジが検知されるまでカウント値は65535に維持される。このため、オン時間又はオフ時間、とりわけオフ時間が長く続いても、有限のカウンタJが不用意に0にリセットされてしまう弊害がなく、ソフトウェア上で良好に計時及びその監視が行える。
【0104】
ステップ3で、変数Aと変数Bとのエクスクルーシブオアの演算結果が1で、エッジの検知がある場合、ステップ6で、今回の状態が格納された変数Aが1のオン(ON)か否かを判定し、NO判定すなわち1でなく0のオフ(OFF)の場合、オン(ON)が終わってオフ(OFF)エッジが検知されたことになり、カウンタJにはオン(ON)時間の計時結果が入っていることになる。そして、ステップ7で、カウンタJのオン(ON)時間が最小オン(ON)時間相当値であるONmin[割込]を下回るか否かを判定する。
【0105】
このステップ7での比較基準値となる最小オン(ON)時間相当値ONmin[割込]は、実施例1では、普通電動役物入賞玉センサ9Nについては20、特別電動役物入賞玉センサ9Sについては21、ゲート通過玉センサ9Gについては11である。また、実施例2では、普通電動役物入賞玉センサ9Nについては20、特別電動役物入賞玉センサ9Sについては21、ゲート通過玉センサ9G及びその他の入賞玉センサ9C,9U,9L,9Rについては11である。さらに、実施例3では、全ての玉センサ9N,9S,9G,9C,9U,9L,9Rについて11である。
【0106】
ステップ6で、今回の状態が格納された変数Aが1のオン(ON)である判定がされた場合、オフ(OFF)が終わってオン(ON)エッジが検知されたことになり、カウンタJにはオフ(OFF)時間の計時結果が入っていることになる。そして、ステップ8で、カウンタJのオフ(OFF)時間が最小オフ(OFF)時間相当値であるOFFmin[割込]を下回るか否かを判定する。
【0107】
このステップ8での比較基準値となる最小オフ(OFF)時間相当値OFFmin[割込]は、実施例1では、普通電動役物入賞玉センサ9Nについては48、特別電動役物入賞玉センサ9Sについては37、ゲート通過玉センサ9Gについては27である。また、実施例2では、普通電動役物入賞玉センサ9Nについては48、特別電動役物入賞玉センサ9Sについては37、ゲート通過玉センサ9G及びその他の入賞玉センサ9C,9U,9L,9Rについては27である。さらに、実施例3では、全ての玉センサ9N,9S,9G,9C,9U,9L,9Rについて27である。
【0108】
ステップ7で、カウンタJのオン(ON)時間が最小オン(ON)時間相当値であるONmin[割込]を下回るYESの判定(異常を検出した判定)がされた場合、又は、ステップ8で、カウンタJのオフ(OFF)時間が最小オフ(OFF)時間相当値であるOFFmin[割込]を下回るYESの判定(異常を検出した判定)がされた場合、ステップ9で、主制御部MCのRAMのワーク領域に定義する電波ゴト検知エラーフラグに1をセットしてONし、ステップ10で、カウンタJをリセットして0をセットし、サブルーチンを抜ける。
【0109】
この電波ゴト検知エラーフラグがONされると、このフラグONの情報が主制御部MCから第1周辺制御部SC1を経て第2周辺制御部SC2に送信され、フロントランプ51〜55のうち、エラー報知のために割り付けた特定のランプ、例えば上部右寄りの二つのランプ53,54(図1参照)を、特定態様例えば交互に点灯させる。こうして、店員に電波ゴトが疑い得ることを知らせ、不正行為が実際にあるか否かの確認作業等が行えるようにしている。
【0110】
電波ゴト検知エラーフラグのONのみで直ちに遊技機を異常停止等するのではなく、ランプの点灯による店員への注意喚起に止めているのは、誤検出も皆無ではないことを考慮し、遊技者に極力失礼のないようにする趣旨である。もっとも、電波ゴト検知エラーフラグのONにより、賞玉の払出しを停止させたり、玉の発射を停止させたりする等、もっと厳格なペナルティを課すものとしてもよい。
【0111】
ステップ7で、カウンタJのオン(ON)時間が最小オン(ON)時間相当値であるONmin[割込]を下回らないNOの判定(異常を検出しない判定)がされた場合、又は、ステップ8で、カウンタJのオフ(OFF)時間が最小オフ(OFF)時間相当値であるOFFmin[割込]を下回らないNOの判定(異常を検出しない判定)がされた場合、ステップ10で、カウンタJをリセットして0をセットし、サブルーチンを抜ける。
【0112】
図16に示すように、一つのパチンコ玉が玉センサ9を貫通する際、検出開始となる点aに到達後、検出終了となる点bに到達するまでの正規にオンの期間にある玉センサ9に向けて、オフの状態を強制的に挿入する不正電波が照射された場合、玉センサ9の検出出力の結果は、一つの正規のオンの期間が細かく分断され、想定される最小オン時間相当の比較基準値ONminよりもオン時間が短くなることがある。
【0113】
この場合、図15のステップ7でYESの異常判定がされ、ステップ9で電波ゴト検知エラーフラグがONされ、フロントランプ53,54でのエラー報知により、店員は適切な対応をとることができる。このため、一入賞を複数入賞に見せ掛ける等の新手の電波ゴトを極力見逃すことなく、不正に対する監視精度を高めることができる。
【0114】
また、同時に、図16に示すように、不正電波の照射により、玉センサ9の検出出力の結果は、一つの正規のオンの期間の途中に、想定される最小オフ時間相当の比較基準値OFFminよりも短いオフ時間が挿入されることがある。
【0115】
この場合、図15のステップ8でYESの異常判定がされ、ステップ9で電波ゴト検知エラーフラグがONされ、フロントランプ53,54でのエラー報知により、店員は適切な対応をとることができる。このため、一入賞を複数入賞に見せ掛ける等の新手の電波ゴトに対する監視精度を一層高めることができる。
【0116】
以上のものでは、パチンコ遊技機1への適用例を示したが、アレンジボール遊技機等の他の弾球遊技機にも同様に適用できる。また、弾球遊技機だけではなく、メダルの代わりにパチンコ玉を投入して入賞ラインを有効化し、後はスロットマシンの遊技を楽しむパロット等と呼ばれるゲーム機等にも適用でき、その投入するパチンコ玉を検出する貫通型の玉センサ9に対する不正を監視する玉センサ不正監視装置に広く適用できる。
【0117】
本発明では、玉センサ9がオフからオンに切換わるオンエッジの検知からオンからオフに切換わるオフエッジの検知までのオン時間を計時するオン時間計時手段Tと、オン時間計時手段Tで計時するオン時間が、予め設定し且つ想定される最小オン時間相当の比較基準値未満となるとき異常と判定するオン時間異常判定手段Xとを含むことを特徴とするが、玉センサ9がオンからオフに切換わるオフエッジの検知からオフからオンに切換わるオンエッジの検知までのオフ時間を計時するオフ時間計時手段Fと、オフ時間計時手段Fで計時するオフ時間が、予め設定し且つ想定される最小オフ時間相当の比較基準値未満となるとき異常と判定するオフ時間異常判定手段Yとを含むことを特徴とする別発明も成立し得る。
【産業上の利用可能性】
【0118】
主に、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第1項第7号のぱちんこ屋や同8号の営業にかかる店舗等での営業に供される弾球遊技機の産業分野において有用である。
【符号の説明】
【0119】
2;遊技盤
6;大入賞口
81;第1始動口
82;第2始動口
41〜43;一般入賞口
G;スルーゲート
9;玉センサ
9C;第1始動口の入賞玉センサ
9N;第2始動口の普通電動役物入賞玉センサ
9S;大入賞口の特別電動役物入賞玉センサ
9G;スルーゲートのゲート通過玉センサ
9U,9L,9R;一般入賞口の入賞玉センサ
J;カウンタ
T;オン時間計時手段
F;オフ時間計時手段
X;オン時間異常判定手段
Y;オフ時間異常判定手段
CN;制御装置
MC;主制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤に、パチンコ玉の貫通に伴って検出状態となるオンと非検出状態となるオフとが切換わる貫通型の玉センサを設けた遊技部品を備えると共に、
前記玉センサの出力を入力して遊技制御を実行する制御装置を備える弾球遊技機において、
前記制御装置は、
前記玉センサがオフからオンに切換わるオンエッジの検知からオンからオフに切換わるオフエッジの検知までのオン時間を計時するオン時間計時手段と、
前記オン時間計時手段で計時するオン時間が、予め設定し且つ想定される最小オン時間相当の比較基準値未満となるとき異常と判定するオン時間異常判定手段と
を含むことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記玉センサがオンからオフに切換わるオフエッジの検知からオフからオンに切換わるオンエッジの検知までのオフ時間を計時するオフ時間計時手段と、
前記オフ時間計時手段で計時するオフ時間が、予め設定し且つ想定される最小オフ時間相当の比較基準値未満となるとき異常と判定するオフ時間異常判定手段と
を含むことを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記制御装置に備えるマイクロプロセッサーのタイマー割込処理において、前記玉センサのオンオフが切換わるエッジの検知でリセットし、前記玉センサのオンオフが切換わらないエッジの非検知でカウントアップするカウンタを設け、
このカウンタを、前記玉センサの出力の計時に用いていることを特徴とする請求項1又は2記載の弾球遊技機。
【請求項4】
前記カウンタのカウント値が所定の上限以上になるとカウントアップを停止させ、次のエッジの検知までカウント値を維持する仕様にしていることを特徴とする請求項3記載の弾球遊技機。
【請求項5】
前記比較基準値は、前記遊技盤に対する実射試験で予め計測した玉センサ毎の出力の実測値に基づいて玉センサ毎に個別設定していることを特徴とする請求項1〜4何れか一項に記載の弾球遊技機。
【請求項6】
前記比較基準値は、前記遊技盤に対する実射試験で予め計測した玉センサ毎の出力の実測値に基づいてそのうちの最小値を代表値として各玉センサに共通設定していることを特徴とする請求項1〜4何れか一項に記載の弾球遊技機。
【請求項7】
パチンコ玉の貫通に伴って検出状態となるオンと非検出状態となるオフとが切換わる貫通型の玉センサに対する不正を監視する玉センサ不正監視装置において、
前記玉センサがオフからオンに切換わるオンエッジの検知からオンからオフに切換わるオフエッジの検知までのオン時間を計時するオン時間計時手段と、
前記オン時間計時手段で計時するオン時間が、予め設定し且つ想定される最小オン時間相当の比較基準値未満となるとき異常と判定するオン時間異常判定手段と
を含むことを特徴とする玉センサ不正監視装置。
【請求項8】
パチンコ玉の貫通に伴って検出状態となるオンと非検出状態となるオフとが切換わる貫通型の玉センサに対する不正を監視する玉センサ不正監視装置において、
前記玉センサがオフからオンに切換わるオンエッジの検知からオンからオフに切換わるオフエッジの検知までのオン時間を計時するオン時間計時手段と、
前記玉センサがオンからオフに切換わるオフエッジの検知からオフからオンに切換わるオンエッジの検知までのオフ時間を計時するオフ時間計時手段と、
前記オン時間計時手段で計時するオン時間が、予め設定し且つ想定される最小オン時間相当の比較基準値未満となるとき異常と判定するオン時間異常判定手段と、
前記オフ時間計時手段で計時するオフ時間が、予め設定し且つ想定される最小オフ時間相当の比較基準値未満となるとき異常と判定するオフ時間異常判定手段と
を含むことを特徴とする玉センサ不正監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−194102(P2011−194102A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65680(P2010−65680)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000169477)高砂電器産業株式会社 (294)
【Fターム(参考)】