説明

弾球遊技機

【課題】 確率変動遊技中や時間短縮遊技中に普通電動役物の作動起因である普通図柄の保留記憶がなくなる状況の発生を減少させ、特別図柄の変動表示を速やかに消化させること及び獲得球の減少を最小限に抑えること。
【解決手段】 電動役物166cが作動した状態では、傾動した電動役物166cが遊技球Pを受け止めると同時に特定入球口167へ導き、遊技球Pは遊技者が視認可能な遊技盤前面に隣接する状態に設けられた球取込通路168に導かれ、センターケース139のワープ通路171に合流し、ステージ172へと導かれる。遊技球Pは、球取込通路168で普通図柄始動スイッチ177に検出されることによって普通電動役物136が作動するので、第1種始動入賞口である普通電動役物136へ入賞する可能性が飛躍的に高まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機に関し、詳しくは遊技盤の画面上に図柄表示装置を備え、特定の図柄が表示されたとき遊技者に有利なゲームを提供する弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
俗称「フィーバー機(第1種弾球遊技機)」においては、発射された遊技球が作動口に入賞すると画面上で図柄を所定時間変動表示した後に静止表示(停止表示)し、この静止表示した図柄が予め定められた所定の図柄の組み合わせであればゲーム内容を遊技者に有利な状態としている。遊技者に有利な状態とする予め定められた図柄の組み合わせを表示するか否かは、遊技球が作動口に入賞したタイミングに起因して選択される乱数の値によって決定され、選択された乱数値が予め定められた値と一致すれば画面上に複数の図柄の組み合わせ、例えば「777」又は「333」等の所定の図柄の組み合わせを表示し遊技者に有利なゲーム内容となったことを報知すると共に、所謂「大当り」と称して大入賞口等を所定時間開放して遊技者に大量の遊技球を賞球として払い出している。また、このような弾球遊技機には、当たり図柄のうち予め定めた当たり図柄を確変当たり図柄として設定し、図柄表示装置に確変当たり図柄が揃うと、大当たり遊技終了時点から図柄表示装置での当たり図柄の導出率を通常よりも高確率とする確率変動機能や、図柄表示装置での図柄の変動時間を短縮する時間短縮機能を備えたものがある。
【0003】
従来、第1種遊技機において普通図柄始動ゲートは単なる通過口であり、遊技球通過により抽出される乱数の用途としては、特別図柄始動入賞口を構成する普通電動役物を開放する起因であり、一般的な第1種遊技機における普通電動役物の使用法としては、特別図柄始動入賞口を可動翼片を有する普通電動役物として構成し、可動翼片の開閉により始動入賞口への入賞率を変化させるために用いられている。
また、特許文献1に記載の通り、可動翼片が開放した姿勢になると、左右の翼片の下方に球受け可能に形成された球受片が球受け可能となり始動口入口に導き、可動翼片が閉鎖した姿勢になると、球受片が球受け可能な姿勢ではないため始動検出をされないまま通過してしまう構成が開示されている。
また、特許文献2に記載の通り、可動翼片が開放している時に入球すると第1入賞通路に導かれ、閉鎖している時に入球すると第2入賞通路に導く構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−197732号公報
【特許文献2】特開2001−252411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、確変遊技中や時短遊技中に普通電動役物の作動起因である普通図柄の保留記憶がなくなる状況が発生するおそれがあるし、確率変動遊技中や時間短縮遊技中の特別図柄の変動表示の消化が遅く、確変遊技中や時短遊技中に獲得球が減少するという問題がある。
そこで、本発明は、確変遊技中や時短遊技中に普通電動役物の作動起因である普通図柄の保留記憶がなくなる状況の発生を減少させ、確率変動遊技中や時間短縮遊技中の特別図柄の変動表示を速やかに消化させること及び確変遊技中や時短遊技中に獲得球の減少を最小限に抑えることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、
遊技盤面上に発射された遊技球の入球を検出する第1の検出装置(普通図柄始動スイッチ66a,177)と、
該第1の検出装置での遊技球の検出に基づいて駆動する第1の電動役物(普通電動役物36,136)と、
該第1の電動役物への遊技球の入球を検出する第2の検出装置(第1種始動口スイッチ36a,136a)と、
該第2の検出装置での遊技球の検出に基づいて駆動する第2の電動役物(大入賞口40,140)と、
を備える弾球遊技機において、
遊技盤面上に発射された遊技球の入球を検出する第3の検出装置(普通図柄始動スイッチ66a,166a)と、該第3の検出装置での遊技球の検出に基づいて駆動する第3の電動役物(電動役物66c,166c)と、
該第3の電動役物の駆動に従って遊技盤裏面側へと遊技球を取り込むための球取込通路(68,168)と、を備え、
前記球取込通路(68,168)に取り込まれた遊技球を前記第1の検出装置(普通図柄始動スイッチ66a,177)に誘導することによって、直接的に第1の電動役物(普通電動役物36,136)の駆動頻度を高めることを特徴とする弾球遊技機である。
【0007】
ここでいう入球を検出するとは、入賞口、通過口、通路などに遊技球が入ったことを検出することであり、遊技球の検出に基づく賞球の払い出しの有無は特に限定されない。
検出装置への入球に基づいて駆動するとは、検出装置への入球に起因して抽出された乱数に基づいて駆動する構成としても、乱数に基づいて立てられたフラグによって駆動する構成としても、単に検出したら駆動するように構成しても問題なく、検出装置への入球に基づいた起因で駆動する構成であれば、特に限定されない。また、第1〜第3の電動役物の駆動起因に変化を持たせるようにしても何ら差し支えない。
また、第1〜第3の電動役物は、駆動することにより駆動していない状態と比べて遊技盤面上に発射された遊技球を収集する能力が向上する構成であればよく、形状は特に限定されない。
さらに、第3の検出装置での検出及び/又は第3の電動役物の駆動を確率変動遊技中及び/又は変動時間短縮遊技中に限定するように構成しても何ら差し支えない。
【0008】
前記第3の検出装置(普通図柄始動スイッチ166a)に前記第1の検出装置(普通図柄始動スイッチ177)の機能を移すとともに、第3の電動役物(電動役物66c)を第3の検出装置(普通図柄始動スイッチ66a)の近傍に設けたことを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機である。実施形態1に対応する発明である。
【0009】
ここでいう第3の検出装置に第1の検出装置の機能を移すとは、第3の検出装置によって遊技球が検出された場合に、第3の電動役物を駆動することは当然であるが、第1の検出装置の検出に基づく第1の電動役物も駆動することを示すものである。このとき、第3の電動役物と第1の電動役物の駆動起因は異なっていても、同一であってもよく、特に限定されない。
また、請求項1では球取込通路に取り込まれた遊技球を前記第1の検出装置に誘導する構成を第1の検出装置に代わる第3の検出装置に誘導する構成としてもよい。
さらに、第1の検出装置の機能を移すことで、第1の検出装置が不要である場合には、遊技機から取り外しても何ら問題ない。
【0010】
前記球取込通路(168)へ取り込まれた遊技球を第1の電動役物(普通電動役物136)の近傍に誘導することを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機である。実施形態2に対応する発明である。
【0011】
ここでいう第1の電動役物の近傍とは、球取込通路の入口と第1の電動役物との距離よりも、球取込通路の出口と第1の電動役物との距離が小さくなればよいが、第1の電動役物よりも上側(上方向、左上方向、右上方向などを含む)で第1の電動役物の駆動時に入球する可能性があることが最低条件である。
また、第1の電動役物の近傍へと誘導する誘導部材が別途備えてあるのであれば、最終的に第1の電動役物の近傍へと誘導されるため、その誘導部材まで誘導する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、第3の検出装置への遊技球の入球に基づいて第3の電動役物の駆動により、第1の電動役物の作動起因である第1の検出装置に遊技球を誘導する構成とすることで、確率変動遊技中や変動時間短縮遊技中などの普通図柄の保留記憶がなくなる状況の発生を減少させて、直接的に第1の電動役物の駆動頻度を高めるとともに、第1の電動役物の駆動頻度を高めることで、間接的に第1の電動役物に入球した遊技球を検出する第2の検出装置の検出頻度を高め、確率変動遊技中や変動時間短縮遊技中に消費する獲得球の減少を最小限に抑えることができる。
また、第1の検出装置での検出について賞球の払い出しを行わない構成であるため、賞球ベースを大幅に高めることなく、遊戯施設への負担も最小限に抑えることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、第3の検出装置に第1の検出装置の機能を移すとともに、第3の電動役物を第3の検出装置の近傍に設けたことで、第1の検出装置への遊技球の流下経路を設計する必要がなく、近傍に設けられた第3の検出装置への流下経路を設計すればよいため、遊技盤面上の設計に対する自由度を高めることができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は請求項2の効果に加え、球取込通路へ取り込まれた遊技球を第1の電動役物の近傍に誘導するにより、第3の電動役物の駆動により第2の検出装置の検出頻度を高める効果を最大限に向上させることができる。また、第3の検出装置での検出及び/又は第3の電動役物の駆動を確率変動遊技中及び/又は変動時間短縮遊技中に限定するように構成すれば、通常確率遊技中には賞球ベースに影響を与えないため、遊戯施設への負担も最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を採用したパチンコ機10を示す外観斜視図である。
【図2】パチンコ機10の裏面図である。
【図3】実施形態1の遊技盤22の構成を示す正面図である。
【図4】実施形態1のパチンコ機10の電気的構成を示したブロック図である。
【図5】主制御装置30で実行されるメイン処理を示すフロチャートである。
【図6】(a)は、実施形態1の普通図柄始動ゲートユニットの電動役物が作動していない状態を表す正面図、(b)は同側面図、(c)は、電動役物が作動した状態を表す正面図、(d)は同側面図である。
【図7】実施形態1の普通図柄乱数抽出処理を示すフローチャートである。
【図8】実施形態1の普通図柄の保留記憶内容を示す表である。
【図9】実施形態1の変動情報選択処理を示すフローチャートである。
【図10】実施形態1の普通電動役物開放処理を示すフローチャートである。
【図11】実施形態2の遊技盤122の構成を示す正面図である。
【図12】(a)は、実施形態2の普通図柄始動ゲートユニットの電動役物が作動していない状態を表す正面図、(b)は同側面図である。
【図13】(a)は、実施形態2の普通図柄始動ゲートユニットの電動役物が作動した状態を表す正面図、(b)は同側面図である。
【図14】実施形態2のパチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図15】実施形態2の普通図柄乱数抽出処理を示すフローチャートである。
【図16】実施形態2の普通図柄の保留記憶内容を示す表である。
【図17】実施形態2の変動情報選択処理を示すフローチャートである。
【図18】実施形態2の普通電動役物開放処理を示すフローチャートである。
【図19】実施形態3の遊技盤222の構成を示す正面図である。
【図20】実施形態3のパチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図21】(a)は、実施形態3の普通図柄始動ゲートユニットの電動役物が作動していない状態を表す正面図、(b)は同側面図である。
【図22】(a)は、実施形態3の普通図柄始動ゲートユニットの電動役物が作動した状態を表す正面図、(b)は同側面図である。
【図23】実施形態3の電動役物開放処理を示すフローチャートである。
【図24】実施形態4の遊技盤322の構成を示す正面図である。
【図25】実施形態4のパチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図26】実施形態4の普通電動役物開放処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の好適な実施形態1〜4について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態1のパチンコ機10は、大きくは長方形の外枠11と前面枠12とからなり、外枠11の左隣に公知のプリペイドカードユニット13が設けられている。前面枠12は、左端上下のヒンジ14により外枠11に対し回動可能に取り付けられている。前面枠12の下方には上皿15が設けられ、この上皿15に貸出釦16、精算釦17及び残高表示部18が設けられている。プリペイドカードユニット13のカード口19にプリペイドカードを挿入すると、記憶された残高が残高表示部18に表示され、貸出釦16を押下すると球の貸出しが実行され上皿15の払い出し口より球が排出される。前面枠12には、窓状の金枠20が前面枠12に対して解放可能に取り付けられている。この金枠20には板ガラス21が二重に嵌め込まれている。板ガラス21の奥には遊技盤22が収納されている。上皿15の前面枠12下部には、下皿23が設けられ、下皿23の右側には発射ハンドル24が取り付けられている。この発射ハンドル24の外周には、図示しない回動リングが擁され、これを時計方向に回動すれば球を遊技盤22上に発射することができる。上皿15と下皿23とは連結されていて、上皿15が球で満杯状態になれば下皿23に球を誘導するよう構成されている。
【0017】
図2はパチンコ機10の裏面図であり、前述した遊技盤22を脱着可能に取り付ける機構盤26が前述した外枠11に収納されている。この機構盤26には、上方から、球タンク27、誘導樋28及び払出し装置29が設けられている。この構成により、遊技盤22上の入賞口に球の入賞があれば球タンク27から誘導樋28を介して所定個数の球を払出し装置29により前述した上皿15に排出することができる
また、機構盤26には主制御装置30及び賞球制御装置31が脱着可能に、遊技盤22には特別図柄表示装置32が、前面枠12左下部には発射制御装置33が、特別図柄表示装置32の左側に盤用外部接続端子51が、各々取り付けられている。尚、機構盤26を中心とした球の払い出し等に関する構造は従来の構成と同様なのでその詳細な説明は割愛する。
【0018】
次に図3を用いて実施形態1の遊技盤22について説明する。
図3に示すように遊技盤22には、中央に特別図柄表示装置32を構成するLCDパネルユニット(以下「LCD」とする。)32a、特別図柄保留記憶用LED48、センターケース(液晶枠飾り)39、LCD32aの下方に第1種始動口としての普通電動役物36、普通電動役物36に構成された普通図柄表示装置37及び普通図柄保留記憶用LED49、普通図柄表示装置37に表示される図柄の変動開始に用いられるLCD32aの左側に設けられた普通図柄始動ゲートユニット66、普通電動役物36下部の大入賞口40を備える大入賞装置、盤面最下部のアウト口41、その他の各種入賞口、風車及び図示しない遊技釘等が備えられている。本実施形態では普通図柄始動ゲートは、普通図柄始動ゲートユニット66として、普通図柄始動ゲート66dの上部近傍に電動役物66cが備えられた構成となっている。
この構成により、前述した発射ハンドル24を回動すれば発射制御装置33により駆動される発射モータ33aが駆動されて上皿15上の遊技球がガイドレールを介して遊技盤22上に発射される。発射された遊技球が各入賞口に入賞すれば遊技球は盤面裏面にセーフ球として取り込まれ、入賞しなければアウト口41を介してアウト球として同様に盤面裏面に取り込まれる。
【0019】
続いて前述したパチンコ機10の電気的構成を図4のブロック図を用いて説明する。パチンコ機10の電気回路は、図示するように、主として、前述した主制御装置30、賞球制御装置31、特別図柄表示装置32、発射制御装置33、ランプ制御装置34及び音制御装置35等から構成されている。尚、この回路図には、信号の受け渡しを行うための所謂中継基板及び電源回路等は記載していない。
【0020】
主制御装置30は、遊技制御プログラムを記憶したROM、演算等を行うCPU、演算等の作業領域として働くRAM等を内蔵した8ビットワンチップマイコンを中心とした論理演算回路として構成され、この他各基板又は各種スイッチ類及び各種アクチュエータ類との入出力を行うための外部入出力回路も設けられている。
主制御装置30の入力側には、第一種始動口スイッチ36a、普通図柄始動スイッチ66a、役物連続作動スイッチ(以下、単に「Vスイッチ」と呼ぶ)65、カウントスイッチ64、賞球払い出しスイッチ29a、満タンスイッチ43、補給スイッチ44、タッチスイッチ24a等が接続されている。また、主制御装置30の出力側には、盤用外部接続端子51、大入賞口ソレノイド40c、Vソレノイド40d、普通役物ソレノイド36b,66b等が接続されている。普通役物ソレノイド36bは、普通電動役物36を制御するもので、普通役物ソレノイド66bは普通図柄始動ゲートユニット66に備えられた電動役物66cを制御するものである。
【0021】
満タンスイッチ43は下皿23内、補給スイッチ44は球タンク27内、タッチスイッチ24aは発射ハンドル24、第一種始動口スイッチ36aは前述した遊技盤22上の普通電動役物36内、普通図柄始動スイッチ66aは普通図柄始動ゲート66d内、賞球払出しスイッチ29aは払出し装置29内の玉切りモータ29bの下方、カウントスイッチ64及びVスイッチ65は大入賞口40内の特定入賞口内に各々取り付けられている。
ここで、満タンスイッチ43は下皿23内に球が満タン状態になったことを、補給スイッチ44は球タンク27内に球が存在することを、タッチスイッチ24aは発射ハンドル24に内蔵され遊技者が発射ハンドル24に触れていることを、第一種始動口スイッチ36aは普通電動役物36に入賞したことを、普通図柄始動スイッチ66aは普通図柄始動ゲート66dに入賞したことを、賞球払出しスイッチ29aは玉切りモータ29bにより上皿15に排出される球を、カウントスイッチ64は大入賞口に入賞する全ての球を、Vスイッチ65は大入賞口40内に入賞した遊技球がV通過口70を通過したことを、各々検出するためのものである。
また、主制御装置30の出力側に接続された普通役物ソレノイド36bは普通電動役物36の開閉に使用されるものであり、普通役物ソレノイド66bは普通図柄始動ゲートユニット66の電動役物66cの開閉に使用されるものである。
【0022】
特別図柄表示装置32は、LCDパネルユニット32aと、これを駆動制御する図柄表示装置制御基板(以下、単に「図柄制御装置」という。)32b及びバックライト及びインバータ基板等の付属ユニット32cから構成されている。図柄制御装置32bは、前述した主制御装置30と同様8ビットワンチップマイコンを中心とした論理演算回路として構成されている。
【0023】
賞球制御装置31は、主制御装置30からの指令コマンドに従って玉切モータ29bを駆動制御して入賞があった場合に遊技者に賞球としての球を払い出すと共に、前述したプリペイドカードユニット13及びCR精算表示装置47等も制御するものであり、マイクロコンピュータを用いた論理演算回路として構成しても良いし、ディスクリートな回路として構成しても良い。CR精算表示装置47は、前述した上皿15の貸出釦16、精算釦17及び残高表示部18等と接続されたものである。
【0024】
賞球制御装置31は主制御装置30からの指令に従って球を払い出すが、入賞に対応した球が払い出されているか否かの検知は主制御装置30で行われる。この球が払い出されているか否かの検知は、主制御装置30及び賞球制御装置31の双方で行っても良い。
【0025】
発射制御装置33は、遊技者が操作する発射ハンドル24の回動量に応じて発射モータ33aを駆動制御するものであり、その他遊技者が発射停止スイッチ24bを押下したとき発射を停止させたり、発射ハンドル24に内蔵された前記タッチスイッチ24aがオン状態のときタッチランプ45を点灯させるためのものである。ランプ制御装置34は主としてトランジスタ等の駆動素子から構成されており、主制御装置30からの指令を受けて普通図柄保留記憶用LED49、特別図柄保留記憶用LED48、大当たりランプやエラーランプ等の各種ランプ58及び各種LED59等の各種ランプ類を点灯表示させるためのものである。音制御装置35は音源IC及びアンプ等から構成されており、主制御装置30の指令を受けるか、又は演出スイッチ50を押下することによってスピーカ46を駆動制御するためのものである。
前述した特別図柄表示装置32、賞球制御装置31、発射制御装置33、ランプ制御装置34及び音制御装置35への送信は、主制御装置30からのみ送信することができるよう一方向通信の回路として構成されているが、双方向の通信も可能であるように構成できる。
【0026】
以上説明した回路構成を有するパチンコ機10の主制御装置30内の8ビットワンチップマイコン(以下、単に「マイコン」と呼ぶ。)が実行する処理を図5に示すフローチャートに従って説明することにする。尚、ここでは、特別図柄作動口として普通電動役物36を用いるものとする。ステップ数については、以下Sと略記する。
【0027】
図5に示すフローチャートは、主制御装置30のマイコンにより実行されるメイン処理を表したものであり、約2mS毎のハードウェア割り込みにより定期的に実行される処理である。S100〜S180までの各処理は割り込み処理において1回だけ実行される処理であって「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS190及びS200の処理を「残余処理」と称する。
【0028】
マイコンによるハードウェア割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判定される(S100)。この判定処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判定することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判定するためのものである。
【0029】
正常割り込みでないと判定されると(S100:NO)、前記メモリの所定領域に所定値を書き込み、特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み、即ち初期設定が為され(S110)、残余処理に移行する。
【0030】
正常割り込みとの肯定判定が為されると(ステップS100:YES)、まず初期乱数更新処理が実行される(ステップS120)。この処理は、初期乱数の値をこの処理を実行する毎に+1とするインクリメント処理であり、この処理実行前の初期乱数の値に+1とするが、この処理を実行する前の乱数値が最大値である「329」のときには次回の処理で初期値である「0」に戻り、「0」〜「329」までの330個の整数を繰り返し昇順に作成する。
【0031】
ステップS120に続く当否乱数更新処理(ステップS130)は、初期乱数更新処理と同様に処理を実行する毎に+1とするインクリメント処理である。
【0032】
特別図柄乱数更新処理(ステップS140)は、「0」〜「14」の15個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1とされ最大値を超えると初期値である「0」に戻る。15個の各乱数値「0」〜「14」は、画面上に表示される3桁同一の「111」、「222」、「333」、「444」、「555」、「666」、「777」、「888」、「999」、「AAA」、「BBB」、「CCC」、「DDD」、「EEE」、「FFF」に各々対応する。
【0033】
普通図柄乱数更新処理(ステップS150)は、「0」〜「6」の7個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1とされ最大値を超えると初期値である「0」に戻る。
【0034】
前述した各乱数更新処理(ステップS120〜S150)により、初期乱数、当否乱数、特別図柄乱数及び普通図柄乱数が各々更新されるが、続く処理(ステップS160)ではパチンコ機10に設けられ主制御装置30に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。前述した満タンスイッチ43、補給スイッチ44、タッチスイッチ24a、第一種始動口スイッチ36a、普通図柄始動スイッチ66a、賞球払出しスイッチ29a、カウントスイッチ64、Vスイッチ65、その他の入賞口に設けられた図示しない各入賞検知スイッチ、等の各スイッチの作動状況をチェックする処理が実行される。
【0035】
この入力処理(ステップS160)により第一種始動口スイッチ36aに入力がある場合には、特別図柄作動口としての普通電動役物36に球が入賞したときであり、この割り込み処理時の前記当否乱数の値が抽出され当否判定値と比較される(ステップS170)。
【0036】
また、遊技球が普通図柄始動ゲート66dを通過し、普通図柄始動スイッチ66aで検出された場合、図7に示す普通図柄乱数抽出処理に従って当否乱数の値が抽出され当否判定値と比較される。
【0037】
本実施形態のパチンコ10は、確率変動機として構成され、通常確率時では当否判定値は「1」であるが、高確率時には「1」、「3」、「5」、「7」、「9」となり、大当りとなる確率は通常確率時の5倍となる。前述したように当否乱数を構成する「0」〜「249」の250個の各整数値の出現率は均一であり、遊技球が始動口としての普通電動役物36に入賞するタイミングで抽出される当否乱数の値は、前記ハード割り込みの微小時間である2mSと比較すれば入賞タイミングを微小時間単位で調節できないことから無作為に抽出された値となり、当否乱数は完全なる乱数として機能する。
従って、抽出された当否乱数の値が当否判定値と一致して大当りとなる確率は、通常確率時には1/250であり、高確率時には1/50(=5/250)となる。
【0038】
当否判定処理(S170)が終了すると、続いて各出力処理(S180)は、遊技の進行に応じて主制御装置30は、特別図柄表示装置32、賞球制御装置31、発射制御装置33、ランプ制御装置34、音制御装置35、大入賞口ソレノイド40c、普通役物ソレノイド36b,66b等の各種ソレノイドに対して各々出力処理を実行する。普通役物ソレノイド36b,66bの出力処理についての詳細は後述する。即ち、前記各入力処理(S160)により遊技盤面上の各入賞口に遊技球の入賞があることが検知されたときには賞球としての遊技球を払い出すべく賞球制御装置31に賞球データを出力する処理を、遊技状態に対応したサウンドデータを音制御装置35に出力する処理を、パチンコ機10に異常があるときにはエラー中であることを報知すべく図柄制御装置32bにエラー信号を出力する処理を、更には、大当り発生時には大当り処理を、各々実行し残余処理に移行する。
【0039】
前述した本処理に続く残余処理は、外れ図柄乱数更新処理(S190)及び初期乱数更新処理(S200)から構成されるが、外れ図柄乱数更新処理(S190)は、左図柄用乱数、中図柄用乱数及び右図柄用乱数から構成され、大当りでないときの外れ図柄として使用される。左図柄用乱数は、「0」〜「14」の15個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1され最大値を超えると初期値である「0」に戻る。中図柄用乱数は、「0」〜「14」の15個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、左図柄用乱数が「0」に戻るときに本処理で+1され最大値を超えると「0」に戻る。右図柄用乱数は、「0」〜「14」の15個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、中図柄用乱数が「0」に戻るときに本処理毎に+1され最大値を超えると「0」に戻る。初期乱数更新処理(S200)は、S120と全く同じ処理である。この2つの処理は無限ループを形成し、次の割り込みが実行されるまで時間の許される限り繰り返し実行される。
【0040】
次に図3及び図6を用いて実施形態1の遊技機の動作について説明する。普通図柄始動ゲートユニット66は、上部に可動片を備える電動役物66c、その下部近傍に普通図柄始動ゲート66dが形成されたものである。電動役物66cは遊技盤22前面よりも裏側に遊技球を誘導する特定入球口67を備え、特定入球口67から遊技盤面裏側に迂回して形成される球取込通路68を備え、球取込通路68の出口には特定球排出口69を形成している。
実施形態1では、普通図柄始動ゲート66dの近傍に球取込通路68及び作動時に球取込通路68へ遊技球を誘導するための電動役物66cを設け、球取込通路68は取り込んだ遊技球を普通図柄始動ゲート66dに設けられた普通図柄始動スイッチ66aの近傍に誘導する。普通図柄始動スイッチ66aは誘導され通過した遊技球を検出し、その検出に起因して抽出した乱数値が所定値であった場合に、普通図柄を所定図柄で停止表示し、普通電動役物36及び電動役物66cを作動状態に変更する。
特別図柄始動スイッチ(第1種始動口)である普通電動役物36や、特別図柄の変動表示や、各種遊技状態(通常遊技、確変遊技及び時短遊技)については、従来の遊技機と同じ構成である。
【0041】
図6(a)は、電動役物66cが作動していない状態を表す普通図柄始動ゲートユニット66の正面図であり、図6(b)は図6(a)のA−A断面図、図6(c)は、電動役物66cが作動した状態を表す普通図柄始動ゲートユニット66の正面図であり、図6(d)は、図6(c)のA’−A’断面図である。
図6(a)(b)に示すように、遊技盤22面上に発射された遊技球Pは、電動役物66cが非作動状態では、普通図柄始動ゲートユニット66の電動役物66cの間から普通図柄始動ゲート66dへかけて形成されている球通路63を流下するようになっている。このとき、遊技球Pはゲート66d内にある普通図柄始動スイッチ66aによって検出されると、図7に示す普通図柄乱数抽出処理によって乱数が抽出され、主制御装置30から普通役物ソレノイド36b及び66bに出力する構成となっている。
実施形態1では、第1種始動入賞口に設けられた普通電動役物36と、普通図柄始動ゲートユニット66に設けられた電動役物66cの作動契機を普通図柄始動ゲート66dの通過に起因して抽出された乱数値が所定値であることとしているので、その値によって普通電動役物36及び電動役物66cが作動するのである。
【0042】
なお、普通電動役物36の作動契機を普通図柄始動ゲート66dの通過に起因して抽出された乱数値が所定値であることとし、電動役物66cに別の作動契機を備えるように構成しても何等差し支えない。また、普通電動役物36の作動は、周期的に作動及び非作動を繰り返す経時的な変化をもたせた構成としてもよい。
【0043】
一方、電動役物66cが作動し開放した状態では、図6(c)(d)に示すように、普通図柄始動ゲート66dへの遊技球Pの流下が阻止されて、電動役物66cの傾動した可動片により遊技球は特定入球口67に誘導され、特定入球口67から遊技盤22前面よりも後方に誘導された遊技球Pは、普通図柄始動ゲートユニット66内の球取込通路68を経由して、特定球排出口69から再び遊技盤22面上に現れ、普通図柄始動ゲート66dへと誘導されて通過する。
これにより、電動役物66cが非作動状態に比べて普通図柄始動ゲート66dへの通過率を向上させることができる。
【0044】
普通図柄始動ゲート66dの通過に起因して主制御装置30で行われる普通図柄乱数抽出処理は、図7に示すように、普通図柄始動スイッチ66aに遊技球が検出されると(ステップS200:YES)、普通図柄当否乱数を抽出する処理が行われ(ステップS210)、保留記憶が4あるか否かが判定され(ステップS220)、肯定判定なら(ステップS220:YES)、本実施形態では普通図柄の保留記憶数を最大4としているため、リターンに抜ける。保留記憶が4ないと判定されると(S220:NO)、保留記憶が3あるか否かが判定され(S230)、肯定判定なら(S230:YES)保留記憶4に記憶し(S240)リターンに抜ける。保留記憶が3ないと判定されると(S230:NO)保留記憶が2あるか否かが判定され(S250)、肯定判定なら(S250:YES)保留記憶3に記憶し(S260)リターンに抜ける。保留記憶が2ないと判定されると(S250:NO)保留記憶が1あるか否かが判定され(S270)、肯定判定なら(S270:YES)保留記憶2に記憶し(S280)リターンに抜ける。保留記憶が1ないと判定されると(S270:NO)保留記憶1に記憶し(S290)リターンに抜ける。このように、通常、保留記憶される際にはステップS210で抽出した普通図柄当否乱数を記憶するように構成している(図8参照)。普通図柄の保留記憶数を最大4としているが、変化させても構わない。
【0045】
図8に示すように普通図柄が変動中のものについては、上記のように抽選した普通図柄当否乱数に加え、変動開始時(変動開始直前)に変動時間及び確定普通図柄も記憶するように構成している。
確定普通図柄(普通当たり図柄及び普通はずれ図柄)に関しては、普通図柄当否乱数と1対1で普通当たり図柄が設定されていれば記憶する必要はないし、また、確定普通図柄か普通図柄当否乱数のいずれかを記憶するように構成すれば問題はない。
また保留記憶数が1〜4に応じて普通図柄当否乱数が記憶されるようになっている。
【0046】
図9に示すように、変動情報選択処理は、先ず、保留記憶が1であるか否かが判定され(S300)、保留記憶が1でなければ(S300:NO)リターンに抜ける。保留記憶が1であれば(S300:YES)、保留シフト処理が行われ(S310:YES)、確変中であるか否かが判定される(S320)。確変中であれば(S320:YES)変動時間Aが選択される(S340)。確変中でなければ(S320:NO)、時短中であるか否かが判定され(S330)、時短中であれば(S330:YES)変動時間Bが選択され(S350)、時短中でなければ(S330:NO)変動時間Cが選択される(S360)。このように、変動開始時の遊技状態によって変動時間を変化させるように構成している。例えば、変動時間Aは4秒、変動時間Bは6秒、変動時間Cは30秒のように設定している。このように設定した場合、振分乱数などの所定乱数によりその内のいずれか1つを選択するように構成する必要があるため、普通図柄当否乱数が所定数であるか否かの判定処理(S370)が追加される。所定数であると判定されると(S370:YES)、当たりフラグを1にし(S380)、普通当たり図柄が選択され(S390)、普通図柄を変動処理して(S410)リターンに抜ける。普通図柄当否乱数が所定数でないならば(S370:NO)普通はずれ図柄を選択し(S400)、普通図柄変動処理を行い(S410)リターンに抜ける。
【0047】
本実施形態では、変動終了時の遊技状態によって普通電動役物36及び電動役物66cの開放態様を変化させるように構成している。
図10は、この電動役物開放処理を表したもので、先ず、変動が終了したか否かが判定され(S500)、肯定判定されると(S500:YES)、当たりフラグが1か否か判定される(S510)。変動が終了していない(S500:NO)か、当たりフラグが1でないと判定されると(S510:NO)処理はリターンに抜ける。当たりフラグが1ならば(S510:YES)、確変中か否かが判定され(S520)、確変中ならば(S520:YES)開放態様Aが選択される(S540)。確変中でなければ(S520:NO)、時短中か否かが判定され(S530)、肯定判定なら(S530:YES)開放態様Bが選択される(S550)。時短中でなければ(S530:NO)、開放態様Cが選択される(S560)。例えば、開放態様Aは6秒開放、開放態様Bは4秒開放、開放態様Cは0.2秒開放のように設定している。開放態様が選択されると、普通電動役物36及び電動役物66cの開放処理が行われ(S570)、更に所定時間が経過したか否かが判定される(S580)。所定時間経過すると(S580:YES)、普通電動役物36及び電動役物66cを閉鎖し(S590)、当たりフラグを0にして(S600)リターンに抜ける。
なお、開放態様は開放時間だけでなく、開放回数を1回開き、2回開き等に変化させるような構成としてもよい。
【0048】
以上述べた実施形態1の構成により奏する効果としては、普通電動役物66cが作動すると非作動時と比較して多くの遊技球を集球し、普通図柄始動ゲート66dに設けられた普通図柄始動スイッチ66aに遊技球が誘導されて、従来の問題点であった普通図柄の保留記憶がなくなる状況の発生を減少させ、普通図柄の保留記憶がなくならないことで、第1種始動口である普通電動役物36を作動させることができ、普通電動役物36への遊技球の入球をコンスタントに確保することができ、特別図柄の変動表示を速やかに消化することができる。
また、普通電動役物36内に設けられた第1種始動口(第1種始動口スイッチ36a)は遊技球を検出すると賞球を払い出す構成であるため、確変遊技中や時短遊技中に減少する獲得球(持ち球)を最小限に抑えることができる。
さらに、普通電動役物66cの作動により導かれる普通図柄始動ゲート66dに設けられた普通図柄始動スイッチ66aは遊技球を検出しても賞球を払い出す構成ではないため、極端に賞球の払出数を多くすることもない。
即ち、普通図柄始動ゲート66dに電動役物66cを設け、電動役物66cの作動時には遊技盤22の裏側の球取込通路68に誘導されることにより非作動時よりも普通図柄始動ゲートへ導かれる遊技球数を増大させることが可能になるが、導かれる場所が普通図柄始動ゲート66dであり賞球が得られないため、経時的に変化しても、ほとんど賞球ベースを変化させることはない。
このように、賞球ベースに極力影響を与えずに、速やかな確変遊技及び時短遊技を行わせることができることにより、遊技施設及び遊技者に時間的又は金銭的な損害を与えることがない遊技機を提供することができる。
なお、普通図柄始動スイッチ66aによる遊技球の検出に起因して抽出された乱数値が所定数であれば、電動役物66c及び普通電動役物36を作動させるように構成しているが、従来のパチンコ機と同様に、普通電動役物36のみを作動させるように構成しても良い。このとき、周期的に作動及び非作動を繰り返す経時的な変化をするように構成しても、普通図柄始動スイッチ66aとは別の検出スイッチを設けてその検出スイッチの検出に関係させるように構成しても良く、作動と非作動を遊技中に変化できる構成であれば何等差し支えない。
【0049】
次に、本発明の実施形態2のパチンコ機100について説明する。実施形態2のパチンコ機100は、遊技盤122の普通図柄始動ゲートユニット166に2つの検出装置を備えた構成としている点が実施形態1のパチンコ機10から変更した部分で、その他の構成は実施形態1と概ね同じ構成の遊技機である。
【0050】
図11に示すように、実施形態2の遊技盤122は、普通図柄始動ゲートユニット166を備えている。普通図柄始動ゲートユニット166は、普通図柄始動ゲートユニット66と共通の構造を備えているので、要素の番号を100番台として説明は援用する。実施形態2では、球取込通路168は遊技盤裏面からセンターケース139内のワープ通路171に向かって伸び出し、遊技者が視認可能な遊技盤前面に隣接する状態(遊技盤の厚さ内)で延びた通路となっており、内部に遊技球を検出して普通図柄を始動させる普通図柄始動スイッチ177を備えている。球取込通路168はワープ通路171の途中に接続され、球取込通路168を通過した遊技球は、ワープ通路171に入球した遊技球と合流するようになっている。球取込通路168は取り込んだ遊技球をステージ172を介して特別図柄始動スイッチ(第1種始動口)である普通電動役物136の近傍に誘導する。球取込通路168内には遊技球の通過を検出する検出装置(普通図柄始動スイッチ)177が設けられており、この検出装置での遊技球の検出に起因して抽出された乱数値が所定値であった場合に、普通図柄を所定図柄で停止表示させ、普通電動役物136を作動状態に変更する。同様に普通図柄始動ゲート166の電動役物作動スイッチでもある普通図柄始動スイッチ166aは通過した遊技球を検出し、その検出に起因して抽出した乱数値が所定値であった場合に、電動役物166cを作動状態に変更する。乱数を抽出する構成とする替わりに、1検出に対して電動役物を所定時間作動する構成としても構わない。
【0051】
図12(a)は、電動役物166cが作動していない状態を表す普通図柄始動ゲートユニット166の正面図であり、図12(b)は図12(a)のB−B断面図である。
図12(a)(b)に示すように、遊技盤122面上に発射された遊技球Pが、電動役物166cが非作動状態では、普通図柄始動ゲートユニット166の電動役物166cの間の球通路163を通って流下し、ゲート166dへ誘導されて通過する。このとき、遊技球Pはゲート166d内にある普通図柄始動スイッチ166aによって検出されると、図15に示す普通図柄乱数抽出処理によって乱数が抽出され、主制御装置130から普通役物ソレノイド166bに出力する構成となっており、普通役物ソレノイド166bの制御によって、電動役物166cが作動する。図15は図7の説明を援用する。
【0052】
実施形態2では、普通図柄始動ゲートユニット166に設けられた電動役物166cの作動契機を普通図柄始動ゲート166dの通過に起因して抽出された乱数値が所定値であることとし、第1種始動入賞口に設けられた普通電動役物136の作動契機を普通図柄始動ゲートユニット166の普通図柄始動スイッチ177としている。
このように、実施形態2の普通図柄始動ゲートユニット166は、電動役物166cが非作動時には、普通図柄始動ゲート166dに設けられた普通図柄始動スイッチ166aを通過後、直下に排出される従来の普通図柄始動ゲートと同様に通過口としての役割を果たすものである。
普通図柄始動ゲートユニット166はセンターケース139の左側方に設けられ、ゲート166dを通過した遊技球の一部は、第一種始動入賞口である普通電動役物136へ入賞する可能性を有している。
【0053】
一方、図13(a)は、電動役物166cが作動した状態を表す普通図柄始動ゲートユニット166の正面図であり、図13(b)は、図13(a)のB’−B’断面図である。
電動役物166cが作動した状態では、普通図柄始動ゲートユニット166は、可動片が開放することにより普通図柄始動ゲートユニット166への遊技球取り込み口が大きくなると共に、開放する可動片により遊技盤122前面より後方に遊技球Pを誘導する球取込通路168と連通するように構成している。図13(a)に示すように、傾動した電動役物166cが遊技球Pを受け止めると同時に特定入球口167へ導き、遊技球Pは球取込通路168に導かれ、センターケース139のワープ通路171に合流し、ステージ172へと導かれるように構成されている。特定入球口167へ入球した遊技球Pは、球取込通路168で普通図柄始動スイッチ177に検出され、前述したように、実施形態2では、第1種始動入賞口に設けられた普通電動役物136の作動契機を普通図柄始動ゲートユニット166の普通図柄始動スイッチ177としているので、普通電動役物136が作動し、ステージ172へと導かれた遊技球Pは、第1種始動入賞口である普通電動役物136へ入賞する可能性が飛躍的に高まるのである。
【0054】
なお、ワープ通路171を経た遊技球Pがステージ172へ導かれる代わりに、遊技盤122面上に出口を設けるように構成しても構わない。その際、出口から排出された遊技球Pの流下経路上に第1種始動入賞口である普通電動役物136が設けられていることが好ましい。流下経路上に普通電動役物136を設ける構成としては、出口から普通電動役物136までの間の遊技釘や構造物などを好適に利用して普通電動役物が閉じている状態でも入賞可能な構成が望ましいが、開いているときのみ入賞可能とする構成でもよい。
また、球取込通路168は、遊技盤前面に隣接する状態(遊技盤の厚さ内)に限らず、遊技盤122裏面(遊技盤の後方)に設けられた構成としても構わない。
【0055】
実施形態2のパチンコ機100の電気的構成は、図14に示すように実施形態1のパチンコ機10とほとんど変わらないが、普通図柄始動スイッチ166a及び普通図柄始動スイッチ177が主制御装置130に入力されるように構成されている点が、実施形態1から変更した部分である。
【0056】
実施形態2の主制御装置130で行われる普通図柄の乱数抽出及び保留記憶は、普通図柄始動スイッチ166a又は普通図柄始動スイッチ177のいずれの検出スイッチで検出したかを判断し、その判断をスイッチフラグの値によって記憶するように構成している。普通図柄始動スイッチ166a及び普通図柄始動スイッチ177を同一の用途で用いる場合には必要のない機能ではあるが、異なる用途で用いている本実施形態では欠かせない構成である。
具体的には、図15に示すように、普通図柄始動スイッチ166aに遊技球が検出されると(S700:YES)、スイッチフラグを0にし(S720)、普通図柄当否乱数を抽出する処理が行われる(S740)。普通図柄始動スイッチ166aに遊技球が検出されなければ(S700:NO)、普通図柄始動スイッチ177に検出されるか否かが判定され(S710)、肯定判定ならば(S710:YES)、スイッチフラグを1にし(S730)、普通図柄当否乱数を抽出する処理が行われる(S740)。普通図柄始動スイッチ177に遊技球が検出されなければ(S710:NO)、リターンに抜ける。
その後、実施形態1と同様の保留記憶を行いリターンに抜ける。
このように、通常、保留記憶される際には図15で抽出した普通図柄当否乱数に加えてスイッチフラグの値を記憶するように構成されている(図16参照)。実施形態1と同様に普通図柄の保留記憶数を最大4として記載しているが、変化させても何等問題はない。
【0057】
図16に示すように、普通図柄の変動中のものについては、図8に記載のもののほか、図15のステップS720及びS730のスイッチフラグの値を加えている。
確定普通図柄(普通当たり図柄及び普通はずれ図柄)に関しては実施形態1と同様に、普通図柄当否乱数と1対1で普通当たり図柄が設定されていれば記憶する必要はないし、また、確定普通図柄か普通図柄当否乱数のいずれかを記憶するように構成すれば問題はない。保留記憶数が1〜4に応じて普通図柄当否乱数及びスイッチフラグが記憶されるようになっている。
【0058】
図17に示す実施形態2の変動情報選択処理は、図9に対応する処理でありS920,S980,S990,S1000,S1010,S1020を追加したものである。先ず、保留記憶が1あるか否かが判定され(S900)、保留記憶が1なければ(S900:NO)リターンに抜ける。保留記憶が1あれば(S900:YES)、保留シフト処理が行われ(S910)、スイッチフラグが0か否かが判定される(S920)。スイッチフラグが0、即ち、普通図柄始動スイッチ166aによる検出であると判定されれば(S920:YES)、確変中であるか否かが判定され(S930)、確変中であれば(S930:YES)変動時間Aを選択し(S950)、確変中でなければ(S930:NO)、時短中であるか否かが判定され(S940)、時短中であれば(S940:YES)変動時間Bを選択し(S960)、時短中でなければ(S940:NO)変動時間Cを選択する(S970)。スイッチフラグが0でない(S920:NO)、即ち、普通図柄始動スイッチ177による検出であると判定されれば、確変中であるか否かが判定され(S980)、確変中であれば(S980:YES)変動時間Dを選択し(S1000)、確変中でなければ(S980:NO)、時短中であるか否かが判定され(S990)、時短中であれば(S990:YES)変動時間Eを選択し(S1010)、時短中でなければ(S990:NO)変動時間Fを選択する(S1020)。
変動時間が選択されると、普通図柄当否乱数が所定数であるか否かが判定され(S1030)、肯定判定ならば(S1030:YES)当たりフラグを1にし(S1040)、普通当たり図柄を選択し(S1050)、普通図柄の変動処理を行い(S1070)リターンに抜ける。所定数でないならば(S1030:NO)普通はずれ図柄を選択し(S1060)、普通図柄変動処理を行い(S1070)リターンに抜ける。
【0059】
変動情報選択処理により、普通図柄始動スイッチ166aの検出により記憶された保留記憶であるか否かを判断することで、変動時間に差を持たせることができ、利用用途に適切な開閉制御を行うことが可能となる。普通図柄始動スイッチ166a及び普通図柄始動スイッチ177の用途が異なる場合には、全く同一の変動時間では対応できなくなる場合が想定されるため、このような制御が必要になる。
【0060】
図18は、普通電動役物166c及び136の開放処理を表したもので、図10の処理のS570をS1180,S1190,S1200,S1210,S1220,S1230,S1240の処理に変更したものである。先ず、変動が終了したか否かが判定され(S1100)、肯定判定されると(S1100:YES)、当たりフラグが1か否か判定される(S1110)。変動が終了していない(S1100:NO)か、当たりフラグが1でないと判定されると(S1110:NO)リターンに抜ける。当たりフラグが1ならば(S1110:YES)、スイッチフラグが0か否かが判定される(S1120)。スイッチフラグが0、即ち、普通図柄始動スイッチ166aによる検出であると判定されれば(S1120:YES)、確変中か否かが判定され(S1130)、確変中ならば(S1130:YES)電動役物166cの制御において、開放態様Aが選択され(S1150)、確変中でなければ(S1130:NO)時短中か否かが判定され(S1140)、肯定判定なら(S1140:YES)開放態様Bが(S1160)、時短中でなければ(S1140:NO)、開放態様Cが選択され(S1170)、この開放態様に応じて電動役物166cを開放処理する(S1180)。スイッチフラグが0でない(S1120:NO)、即ち、普通図柄始動スイッチ177による検出であると判定されれば、確変中か否かが判定され(S1190)、確変中ならば(S1190:YES)普通電動役物136の制御において、開放態様Dが選択され(S1210)、確変中でなければ(S1190:NO)時短中か否かが判定され(S1200)、肯定判定なら(S1200:YES)開放態様Eが(S1220)、時短中でなければ(S1200:NO)、変動態様Fが選択され(S1230)、この開放態様に応じて普通電動役物136を開放処理する(S1240)。電動役物166c又は普通電動役物136の開放処理が行われると、更に所定時間が経過したか否かが判定される(S1250)。所定時間経過すると(S1250:YES)、電動役物166c又は普通電動役物136を閉鎖し(S1260)、当たりフラグを0にして(S1270)リターンに抜ける。
【0061】
以上述べた実施形態2のパチンコ機100の遊技盤122は、普通図柄始動ゲートに電動役物166cを設け、電動役物166cの作動時には特別図柄始動口である普通電動役物136の近傍に遊技球を誘導する構成であり、普通図柄始動スイッチ166a又は普通図柄始動スイッチ177のいずれの検出スイッチからの信号による当たりかで作動態様又は作動させる電動役物を変更することができる。普通図柄始動スイッチ166a及び普通図柄始動スイッチ177の用途として、対応する普通電動役物を変化させること、又は普通電動役物の作動態様が異なるように制御することが想定されるため、このような制御が必要になるのである。
【0062】
以上説明した実施形態2によれば、電動役物166cが作動すると非作動時と比較して多くの遊技球を集球し、球取込通路168内に設けられた普通図柄始動スイッチ177に遊技球が誘導されて、従来の問題点であった普通図柄の保留記憶がなくなる状況の発生を減少させ、普通図柄の保留記憶がなくならないことで、第1種始動口である普通電動役物136を作動させることができ、普通電動役物136への遊技球の入球をコンスタントに確保することができる。特に確変遊技中や時短遊技中における電動役物166cの作動により遊技球をワープ通路171(液晶枠飾り内)を介して特別図柄始動スイッチ136a(第1種始動口)を備える普通電動役物136近傍に誘導することで、特別図柄の変動スランプをなくし、実施形態1と比較してもさらに速やかな消化を可能とする。
また、普通電動役物136内に設けられた第1種始動口は遊技球を検出すると賞球を払い出す構成であるため、確変遊技中や時短遊技中に減少する獲得球(持ち球)を最小限に抑えることができる。
さらに、電動役物166cの作動により導かれる普通図柄始動ゲート166dに設けられた普通図柄始動スイッチ166a或いは普通図柄始動スイッチ177は遊技球を検出しても賞球を払い出す構成ではないため、極端に賞球の払出数を多くすることもない。
このように、賞球ベースに極力影響を与えずに、速やかな確変遊技及び時短遊技を行わせることができることにより、遊技施設及び遊技者に時間的又は金銭的な損害を与えることがない遊技機を提供することができる。
【0063】
本発明の実施形態3のパチンコ機200について説明する。実施形態3のパチンコ機200は、実施形態2のパチンコ機100の変更形態であり、電動役物の作動時に遊技球が球通路からステージに誘導される構成ではなく、センターケースとは別体に設けられたステージと普通図柄始動ゲートユニット266が1つのユニットとして形成されている点と、第1種始動入賞口が電動役物で構成されていない点が大幅に変化した部分で、その他の構成は実施形態2と概ね同じ構成の遊技機である。要素の番号を200番台として説明は援用する。
電気的構成においても、図20に示すように、実施形態1及び実施形態2では2つあった普通役物ソレノイドが、実施形態3では普通役物ソレノイド266bのみとなっている。
【0064】
図19に示すように、実施形態3の遊技盤222は、普通図柄始動ゲートユニット266を備えている。この普通図柄始動ゲートユニット266は、球通路263、電動役物266c、特定入球口267、普通図柄始動ゲート266d及び球取込通路268からなり、ゲート266dの内部には普通図柄始動スイッチ266aを有するもので、センターケース239の下方に、センターケースとは別体として設けられたステージ272と一体化した構成となっている。
【0065】
図21(a)は、電動役物266cが作動していない状態を表す普通図柄始動ゲートユニット266の正面図であり、図21(b)は図21(a)のC−C断面図である。
図21(a)(b)に示すように、電動役物266cが非作動時は、遊技球Pが左右に設けられた可動片の間の球通路263を通って流下し、普通図柄始動スイッチ266aを備えた普通図柄始動ゲート266dへ誘導されて通過する。このとき、遊技球Pはゲート266d内にある普通図柄始動スイッチ266aによって検出され、主制御装置30に出力する構成である。この普通図柄始動スイッチ266aの検出によって乱数が抽出され、その値によって電動役物266cが作動する。
普通図柄始動ゲートユニット266をセンターケース239の左側方に設けているため、普通図柄始動ゲート266dを通過した遊技球の一部は、遊技釘等を利用して第1種始動入賞口276へ入賞可能な構成とすることが好ましい。
【0066】
図22(a)は、電動役物266cが作動した状態を表す普通図柄始動ゲートユニット266の正面図であり、図22(b)は、図22(a)のC’−C’断面図である。
普通図柄始動ゲートユニット266は、可動片が開放することにより普通図柄始動ゲートユニット266への遊技球取り込み口が大きくなると共に、開放する可動片により遊技盤222前面よりも後方に遊技球を誘導する球取込通路268を形成するように構成してあり、電動役物266cが作動した状態では、図22(a)に示すように、傾動した電動役物266cが遊技球Pを受け止めると同時に特定入球口267へ導き、遊技球Pは遊技盤面より後方(遊技盤の厚さ内又は遊技盤の後方)の球取込通路268を経由し、センターケース239とは別体に設けられたステージ272へと導かれる。
【0067】
実施形態3では、普通図柄始動ゲートユニット266に設けられた電動役物266cの作動契機を普通図柄始動ゲートユニット266の普通図柄始動スイッチ266aの通過に起因して抽出された乱数値が所定値であることとしている。
【0068】
普通図柄始動ゲートユニット266に設けられた電動役物266cの開放処理について、図23のフローチャートを参照して説明する。
実施形態3の主制御装置230で行われる普通図柄の乱数抽出処理及び変動情報選択処理は、実施形態2と同じであるため、説明は省略する。
図23に示す実施形態3の電動役物開放処理は、図10の電動役物開放処理と同様であるが、S570及びS590をそれぞれS1370及びS1390に変更したものである。先ず、変動が終了したか否かが判定され(S1300)、肯定判定されると(S1300:YES)、当たりフラグが1か否か判定される(S1310)。変動が終了していない(S1300:NO)か、当たりフラグが1でないと判定されると(S1310:NO)リターンに抜ける。当たりフラグが1ならば(S1310:YES)、確変中か否かが判定され(S1320)、確変中ならば(S1320:YES)電動役物266cの制御において開放態様Aが選択され(S1340)、確変中でなければ(S1320:NO)時短中か否かが判定され(S1330)、肯定判定なら(S1330:YES)開放態様Bが(S1350)、時短中でなければ(S1330:NO)、開放態様Cが選択され(S1360)、この開放態様に応じて電動役物266cを開放処理する(S1370)。所定時間が経過していなければ(S1380:NO)所定時間が経過するのをまって、或いは、所定時間が経過していれば(S1380:YES)、電動役物266cを閉鎖し(S1390)、当たりフラグを0にして(S1400)リターンに抜ける。
【0069】
以上述べた実施形態3のパチンコ機200の遊技盤222は、普通図柄始動ゲートに電動役物266cを設けステージ272と一体化して、特別図柄始動口である第1種始動入賞口276の近傍に遊技球を誘導する構成である。
【0070】
本発明の実施形態4のパチンコ機300について説明する。実施形態4のパチンコ機300は、実施形態2のパチンコ機100の更なる変更形態であり、実施形態3のセンターケースとは別体のステージに誘導する構成を、実施形態2のセンターケース内のステージへと誘導する構成としたもので、その他の構成は実施形態2と概ね同じ構成の遊技機である。
図25に示すように、電気的構成においては、実施形態3と同様、第1種始動入賞口の普通電動役物を取り外したため、普通役物ソレノイド366bのみとなっている。
【0071】
図24に示すように、実施形態4の遊技盤322は、普通図柄始動ゲートユニット366を備えている。普通図柄始動ゲートユニット366は、球通路363、電動役物366c、特定入球口367、普通図柄始動ゲート366d及び球取込通路368からなり、普通図柄始動ゲート366dの内部には普通図柄始動スイッチ366aを、球取込通路368には普通図柄始動スイッチ377を設けた構成となっている。
【0072】
普通図柄始動ゲートユニット366に設けられた電動役物366cの開放処理について、図26のフローチャートを参照して説明する。
実施形態4の主制御装置330で行われる普通図柄の乱数抽出処理及び変動情報選択処理は、実施形態2と同じであるため、説明は省略する。
実施形態4の電動役物開放処理は、図18の処理と同様であるが、S1180を削除し、S1240及びS1260の処理をそれぞれS1630及びS1650に変更したものである。先ず、変動が終了したか否かが判定され(S1500)、肯定判定されると(S1500:YES)、当たりフラグが1か否か判定される(S1510)。変動が終了していない(S1500:NO)か、当たりフラグが1でないと判定されると(S1510:NO)処理はリターンに抜ける。当たりフラグが1ならば(S1510:YES)、スイッチフラグが0か否かが判定される(S1520)。スイッチフラグが0、即ち、普通図柄始動スイッチ166aによる検出であると判定されれば(S1520:YES)、確変中か否かが判定され(S1530)、確変中ならば(S1530:YES)電動役物366cの制御において開放態様Aが選択され(S1550)、確変中でなければ(S1530:NO)時短中か否かが判定され(S1540)、肯定判定なら(S1540:YES)開放態様Bが(S1560)、時短中でなければ(S1540:NO)、開放態様Cが選択され(S1570)、この開放態様に応じて電動役物366cを開放処理する(S1630)。スイッチフラグが0でない(S1520:NO)、即ち、普通図柄始動スイッチ377による検出であると判定されれば、確変中か否かが判定され(S1580)、確変中ならば(S1580:YES)開放態様Dが選択され(S1600)、確変中でなければ(S1580:NO)時短中か否かが判定され(S1590)、肯定判定なら(S1590:YES)開放態様Eが(S1610)、時短中でなければ(S1590:NO)、開放態様Fが選択される(S1620)、この開放態様に応じて電動役物366cを開放処理する(S1630)。電動役物366cの開放処理が行われると、所定時間が経過したか否かが判定される(S1640)。所定時間経過すると(S1640:YES)、電動役物366cを閉鎖し(S1650)、当たりフラグを0にして(S1660)リターンに抜ける。
【0073】
以上述べた実施形態4のパチンコ機300の遊技盤322は、普通図柄始動ゲートに電動役物366cを設け、電動役物366cの作動時には特別図柄始動口である第一種始動入賞口376の近傍に遊技球を誘導する構成であり、普通図柄始動スイッチ366a又は普通図柄始動スイッチ377のいずれの検出スイッチからの信号による当たりかで電動役物366cの作動態様を変更することができる。普通図柄始動スイッチ366a及び普通図柄始動スイッチ377の用途として、普通電動役物の作動態様が異なるように制御することが想定されるため、このような制御が必要になるのである。
【0074】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
例えば、実施形態1において、普通電動役物36の作動契機を普通図柄始動ゲート66dの通過に起因して抽出された乱数値が所定値であることとし、普通図柄始動ゲートユニット66の電動役物66cの作動契機を普通図柄始動ゲート66d内に設けられた普通図柄始動スイッチ66aとは異なる検出スイッチを遊技盤面上の所定の位置に設け、その検出スイッチが所定値であることとしても良い。この場合、新たに設けた検出スイッチからの入力を主制御装置に入力する構成が必要とされる。
また、普通電動役物36及び電動役物66cの2つの電動役物の制御(乱数抽出、ソレノイドへの出力など)を主制御装置30で行っているが、電動役物66cの作動契機に関連する制御をその他の制御装置(図柄、音又はランプのサブ制御装置)に入力する構成としても構わない。
【0075】
例えば、第1の発明は、
遊技盤面上に発射された遊技球が通過可能な普通図柄始動ゲート(66,166)と、
該普通図柄始動ゲートを通過する遊技球を検出する普通図柄始動検出装置(66a,177)と、
入口が拡大又は縮小し、遊技盤面上に発射された遊技球の入賞を検出する特別図柄始動検出装置(36a)を備える第1の電動役物(36,136)と、
前記普通図柄始動検出装置の検出するタイミングで普通図柄乱数を抽選するとともに普通図柄を変動静止表示させ、該静止表示結果により、前記第1の電動役物を駆動し、また、前記特別図柄始動検出装置の検出するタイミングで特別図柄乱数を抽選し、該抽選される特別図柄乱数によって遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定し、該決定毎に図柄指示コマンドを作成する主制御装置(30,130)と、
前記図柄指示コマンドを主制御装置から受信すると、特別図柄を変動表示した後、遊技者に有利なゲーム内容であることを示す当りの特別図柄又は遊技者に不利なゲーム内容であることを示す外れの特別図柄で静止表示するよう図柄表示装置を制御する図柄制御装置(32,132)と、
該当りの特別図柄の静止表示によって、遊技者にとって有利となる状態となるか又は外れの特別図柄の静止表示によって遊技者にとって不利となる状態とに変化する第2の電動役物(40,140)と、
を備える弾球遊技機において、
前記普通図柄始動ゲートの近傍に設けられ、入口が拡大又は縮小する第3の電動役物(66a,166a)を備え、
該第3の電動役物が駆動するときに入球する遊技球を遊技盤裏面に取り込む球取込通路(68,168)を設け、該球取込通路に取り込まれた遊技球を遊技盤面表側に誘導することにより前記普通図柄の始動確率を向上させることを特徴とする弾球遊技機である。
【0076】
第2の発明は、前記検出装置によって遊技球が検出されたタイミングで抽出される乱数値に従って、前記第1の電動役物及び/又は前記第3の電動役物の開放態様を変化させることが好ましい。
【0077】
第3の発明は、前記球取込通路は、遊技球を遊技盤裏面に取り込んで前記普通図柄始動ゲートの近傍へと誘導するものであることが好ましい。
【0078】
第4の発明は、前記球取込通路は、遊技球を遊技盤裏面に取り込んで前記第3の電動役物の近傍へと遊技球を誘導するものであり、該球取込通路にも遊技球を検出する第2の普通図柄始動検出装置(177)を備えることが好ましい。
【0079】
第5の発明は、前記各々の普通図柄始動検出装置によって遊技球が検出されたタイミングで抽出される乱数値に従って、前記第1の電動役物及び/又は前記第3の電動役物の開放態様を変化させることが好ましい。
【0080】
第1の発明において、前記通過ゲートの近傍に球取込通路を備える前記第3の電動役物を設ける例としては、第3の電動役物の可動片を通過ゲートの上部に設け、可動片の間に球取込通路を形成し、可動片が拡大するときに、可動片の誘導により球取込通路から遊技球を取り込む一例が挙げられる。
【0081】
第2の発明において、第1の電動役物及び/又は第3の電動役物の開放態様としては、具体的には、第1の電動役物及び/又は第3の電動役物の開放時間、開放回数等に変化をもたせる等の制御が可能である。検出装置の検出結果と、普通図柄の保留記憶と関連させてもよい。また保留記憶と開放態様とを関連させてもよい。
【0082】
第1の発明によれば、確変遊技中や時短遊技中に普通電動役物の作動起因である普通図柄の保留記憶がなくなる状況の発生を減少させ、確率変動遊技中や時間短縮遊技中の特別図柄の変動表示を速やかに消化させること及び確変遊技中や時短遊技中に獲得球の減少を最小限に抑えることができる。
【0083】
第2の発明によれば、検出装置によって抽出される乱数の値によって、電動役物或いは第2の電動役物の状態を変化させる等の様々な制御を付与することができる。
【0084】
第3の発明によれば、第3の電動役物が作動すると非作動時と比較して多くの遊技球を集球し、この遊技球が検出装置(普通図柄始動スイッチ)に検出されて第1の電動役物の開放作動起因である普通図柄の保留記憶がなくなる状況の発生を減少させ、普通図柄の保留記憶がなくならないことで、第1種始動口である第1の電動役物を開放することができ、第1の電動役物への遊技球の入球をコンスタントに確保することができる。また、特別図柄の変動表示を速やかに消化することができる。また、第1の電動役物内に設けられた第1種始動口は遊技球を検出すると賞球を払い出す構成であるため、確率変動遊技中や時間短縮遊技中に減少する獲得球(持ち球)を最小限に抑えることができる。さらに、第3の電動役物の作動により導かれる普通図柄始動ゲートに設けられた検出装置は遊技球を検出しても賞球を払い出す構成ではないため、極端に賞球の払出数を多くすることがないので、賞球ベースに極力影響を与えずに、速やかな確率変動遊技及び時間短縮遊技を行わせることができる。そのため、遊技施設及び遊技者に時間的又は金銭的な損害を与えることが少ない。
【0085】
第4の発明によれば、第3の発明による効果に加えて、遊技球が球取込通路から第1の電動役物の近傍へと誘導され、第1の電動役物(普通電動役物)への入球がさらにコンスタントになる。特に確率変動遊技中や時間短縮遊技中に、第3の電動役物の作動により遊技球を第1の電動役物に誘導することによって、特別図柄の変動スランプを少なくして速やかに変動表示を消化することができる。
また、2つの検出装置を設けることで、第1の電動役物及び/又は第3の電動役物の駆動態様を変化させることができるので、創造性豊かな遊技機を製造することができる。
【0086】
第5の発明によれば、2つの検出装置からの信号によって、第1の電動役物及び/又は第3の電動役物の作動時間を変化させているので、検出装置と第1の電動役物及び/又は第3の電動役物の作動時間の組み合わせが豊富になり、バリエーション豊かな構成とすることが可能であり、遊技者は変化に富んだ興趣溢れる遊技を楽しむことができる。例えば、一方の検出装置の制御で第3の電動役物を作動させ、他方の検出装置の制御で第1の電動役物を遊技者にとって有利な状態へと変化させるような構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0087】
10…パチンコ機 11…外枠 12…前面枠 13…プリペイドカードユニット
15…上皿 22…遊技盤 23…下皿 24…発射ハンドル
24a…タッチスイッチ 26…機構盤 27…球タンク 28…誘導樋
29…払出し装置 30,130…主制御装置 31…賞球制御基板
32,132…特別図柄表示装置 33…発射制御装置 34…ランプ制御装置
35…音制御装置 36,136…普通電動役物
36a,136a…第1種始動口スイッチ 37,137…普通図柄表示装置
39,139…センターケース 40,140…大入賞口
40c,140c…大入賞口ソレノイド 40d,140d…Vソレノイド
66,166…普通図柄始動ゲートユニット 66a,166a…普通図柄始動スイッチ 66b,166b…普通役物ソレノイド 66c,166c…電動役物
66d,166d…普通図柄始動ゲート 67,167…特定入球口
68,168…球取込通路 69…特定球排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤面上に発射された遊技球の入球を検出する第1の検出装置と、
該第1の検出装置での遊技球の検出に基づいて駆動する第1の電動役物と、
該第1の電動役物への遊技球の入球を検出する第2の検出装置と、
該第2の検出装置での遊技球の検出に基づいて駆動する第2の電動役物と、
を備える弾球遊技機において、
遊技盤面上に発射された遊技球の入球を検出する第3の検出装置と、
該第3の検出装置での遊技球の検出に基づいて駆動する第3の電動役物と、
該第3の電動役物の駆動に従って遊技盤裏面側へと遊技球を取り込むための球取込通路と、
を備え、
前記球取込通路に取り込まれた遊技球を前記第1の検出装置に誘導することによって、第1の電動役物の駆動頻度を高めることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記第3の検出装置に前記第1の検出装置の機能を移すとともに、第3の電動役物を第3の検出装置の近傍に設けたことを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記球取込通路へ取り込まれた遊技球を第1の電動役物の近傍に誘導することを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−22877(P2010−22877A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254494(P2009−254494)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【分割の表示】特願2003−351121(P2003−351121)の分割
【原出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【出願人】(395018239)株式会社高尾 (550)
【Fターム(参考)】